('A`)はジョルジュにshitするようです |
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/13(水) 22:38:18.36 ID:k48QFN/I0
- _
( ゚∀゚) ms,qf76ef@ykgd@q@p@!!!
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/13(水) 22:44:57.46 ID:k48QFN/I0
-
教室の中。
_ ( ゚∀゚) 夏ってさ、暑いから、着る物の幅が狭くなるよなー
( ^ω^) だおーwww
( ^ω^) Tシャツに何かを重ねるのすら暑くていやだお
ζ(゚ー゚*ζ でもジョルジュ君はいつもかっこいいけどなー
川 ゚ -゚) うんうん
と、会話してる集団から遠くはなれて、 隅の方にひとり座っている男がひとり。
('A`) チッ…
などと、今日もリア充な彼らを見るとはなく眺め、舌打ちをしている。
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/13(水) 22:49:45.30 ID:k48QFN/I0
-
('A`)(ばかばかしい話題で盛り上がってチャラチャラしやがって…)
('A`)(おまえら、学校はレジャーランドか? 低脳文系どもめ)
川 ゚ -゚) やっぱ、人間は外見じゃない、中身だよなあ
('∀`)(そ、そうだそうだ! さすがクーたんはわかっていらっしゃる!)
川 ゚ -゚) 中身っつっても、顔とか体形とかって意味だけどな
ζ(゚ー゚*ζ だよねー。ジョルジュ君は何着ててもかっこいいよねー
( ^ω^) くっそwwwくやしいのうwwwwくやしいのうwwwwww
('A`)
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/13(水) 22:52:25.57 ID:k48QFN/I0
-
('A`)(チッ…やってられっか)
ドクオは椅子をやや乱暴に蹴って立ち上がる。 がたん、という音がした。
だが黒板の前でにぎやかに話しているジョルジュ達までは、その音は届かない。
ドクオは両手をポケットに突っ込んで、 ひょろ長い背を丸め気味にして、教室を後にした。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/13(水) 22:59:36.98 ID:k48QFN/I0
-
('A`)(…俺は、あいつらとは違うんだ)
廊下をひょこひょこと歩きながら、 いつものようにドクオは心の中でのモノローグを始める。
('A`)(ちゃらちゃらと遊んでばかりのあいつらは、低脳だ。 そりゃ、遊びは上手いかもしれないさ。 だがそれ以外に何ができる? 何もできない。哀れな連中さ。 最後に笑うのはこの、俺だ)
廊下にまで笑い声が聞こえてきた。 ドクオはいまいましげに舌打ちをした。
('A`)(…俺は、あいつらとは違う)
確かめるようにもう一度呟くと、ドクオは踵を返し、廊下を歩いていった。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/13(水) 23:04:48.20 ID:k48QFN/I0
-
( ><)「ドクオ君」
('A`)「おう、ビロードか…」
隣のクラスのビロードが、廊下を歩くドクオに声をかけてきた。 一年のときに同じクラスになって以来、三年間の付き合いがある親友だ。
( ><)「どうしたんです」
('A`)「どうしたって、何が」
( ><)「なんだか、イライラしてるみたいなんです」
('A`)「そうか? 俺は、そうは思わねえな…」
言いながらドクオはわざと足を速め、ビロードの傍を早く立ち去ろうとした。 正直なところ、誰かと話をしていたい気分ではなかったのだ。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/13(水) 23:09:55.22 ID:k48QFN/I0
-
( ><)「ちょ、ちょっとドクオ君」
ビロードは小走りに走って、俺の後をついてきた。 まったく、昔から鬱陶しいやつだ。
( ><)「また僕が、何か悪いことを言ってしまいましたか?」
('A`)「そんなんじゃねえよ」
( ><)「じゃ、何なんです。言ってごらんなさい」
…ちえっ。 こいつと話してると、いつもこうだ。
誤魔化すのも面倒くさくなったので、俺は正直にイライラの原因を言うことにした。
('A`)「教室にいてるとよ、女に囲まれてチャラチャラしてるやつらが目に入って、うぜーんだよ」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/13(水) 23:15:17.55 ID:k48QFN/I0
-
( ><)「…ははあ。ジョルジュ君たちですね」
('A`)「何でわかるんだよ、お前…」
( ><)「ジョルジュ君はカッコイイですからね。 それに、話も面白くて、明るくて、女子にもモテますから」
('A`)「チッ」
俺はわざとビロードから顔を背け、足を一歩踏み出した。
('A`)「つまりお前は、 俺がカッコ悪くて、話がつまらなくて、暗くて、モテない男だって言いたいんだな」
( ><)「だ、誰もそんなことは言ってないんです!」
気色ばむビロードを無視して、俺はすたすたと廊下を歩き出した。
( ><)「ぼ、僕はただ、その… ま、待ってください、ドクオ君!」
後ろから俺を追いかける足音が聞こえてくる。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/13(水) 23:23:05.93 ID:k48QFN/I0
-
( ><)「もう! ドクオ君はいつもそうなんです! ひねくれ者で、自意識過剰で…! そんなだから、クラスに溶け込めずに、友達が僕らしかいないんです!」
('A`)「余計なお世話だ。 コミュ力? 笑わせんな。 バカどもと群れる必要なんて感じないね」
( ><)「まったくもう…」
('A`)「ジョルジュだとか何だとか…チャラチャラしてるし、俺とは絶対、気が合わねえよ」
( ><)「そんなことだから、モテな」
あー、うるさい。 近所の世話焼きオバチャンかこいつは。
俺はこいつを黙らせるために、キャンキャン吼えるビロードの両肩に手を置き、 正面から目を見据えてやった。
('A`)「友達なんざ、お前らがいればいいんだよ」
ビロードは細い目をぱちぱちとさせて俺を見つめ返してくる。 肩に置いた手をどけて、立ち尽くすビロードをその場に置いて、俺はふたたび廊下を歩き始めた。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/13(水) 23:28:09.36 ID:k48QFN/I0
-
教室ではあいかわらず雑談が続いていた。
ζ(゚ー゚*ζ ブーン君もいつもおしゃれしてるじゃない
川 ゚ -゚) そうだな。お前のシルバーアクセの合わせ方、私はけっこう好きだぞ
( ^ω^) うほっwwwww
( ^ω^) じゃあ付き合ってくれお! クー!!
川 ゚ -゚) うむ、それはごめんこうむる _ ( ゚∀゚) あーあwwwフラれちまったなあブーンwwwww _ ( ゚∀゚) じゃあ俺なんかどう? クーちゃん
川 ゚ -゚) 100万回OKする
(;^ω^) シャベツだおー!
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/13(水) 23:34:05.16 ID:k48QFN/I0
-
川 ゚ -゚) 差別? とんでもない、これは合理的理由に基づく区別だ
ζ(゚ー゚*ζ だよねー
川 ゚ -゚) ジョルジュ君はなんといってもイケメンで、おまけに高身長だ
( ^ω^) おっおっおっ、クラスで一番高身長だお… _ ( ゚∀゚) いや、一番じゃねえよ。たしかドクオってやつのほうが背は俺より高いぜ
( ^ω^) ドクオ? 誰だそれ、聞いたことねえwwww
ζ(゚ー゚*ζ あー私知ってる。教室の隅で、いっつも一人でいる人だよねー _ ( ゚∀゚) ああ。キモオタグループにすら入らず、 昼休みは弁当を食った後、いつも寝たふりか、一人でどっかへ行ってるヤツだ
( ^ω^) ふーん、そんなやつがいたのかお。ぜんぜん気づかなかったお。 クー、お望みの高身長だお! 告ってみればどうかおwwwwwww
川 ゚ -゚) …いや、やめておこう。ドクオなら見たことがある。 身長は高く、顔もそんなに悪くは無いのだが、いかんせん表情に影が射しているのでな
ζ(゚ー゚*ζ あ、根暗ってやつ?
( ^ω^) ひきこもり予備軍かおwwwww
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/13(水) 23:41:22.87 ID:k48QFN/I0
-
川 ゚ -゚) いつも一人で本を読んでるか、寝たふりをしてるかだな
( ^ω^) きっもwww本物のぼっちだおwwwww
ζ(゚ー゚*ζ この前も暗そうな本を読んでブツブツ言ってたよー。 あんな人が大量殺人とかしちゃうんだろうねー _ ( ゚∀゚) あー…
デレの言葉で、思い出した。 いつだったか、なにげなくジョルジュがドクオの傍を通ったとき、 ふと、その読んでいる本に目がいったのだ。
本ならジョルジュもよく読む。 ただ、学校では人と話すのが忙しくて、ページを開くヒマが無いだけだ。
だから、そのときドクオが読んでいた本が、気になった。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/13(水) 23:48:35.14 ID:k48QFN/I0
-
ドクオが読んでいたのは、日本では新潮社から刊行されたばかりの、 ヘミングウェイの三冊目の短編集だった。 _ ( ゚∀゚)(…へえ)
この高校にも、ヘミングウェイを読むやつがいたんだ。 ジョルジュはそう思った。ちゃらけたやつが多いこの学校で、意外な出来事だった。
そのとき、ジョルジュはドクオに声をかけようと思った。 だが、それはできなかった。
何か得体の知れない力が、ジョルジュの声を喉の奥に押し込めてしまっていた。
_ ( ゚∀゚)(…この俺が、声を掛けられないなんてな)
不思議な雰囲気のヤツだな。 ドクオのことを、ジョルジュはそう考えていた。
- 30 名前:afo ◆2z7bKNbsWo :2008/08/13(水) 23:50:34.05 ID:k48QFN/I0
- 釣りスレについかっとなってスレたてて書いたけどつかれた
またそのうち書き溜めて続き書くわ 支援ありがとー!
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:00:49.13 ID:aO88e8hH0
- きのうのながらのやつのつづきにだー
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:03:32.46 ID:aO88e8hH0
-
教室の中。
_ ( ゚∀゚) 夏ってさ、暑いから、着る物の幅が狭くなるよなー
( ^ω^) だおーwww
( ^ω^) Tシャツに何かを重ねるのすら暑くていやだお
ζ(゚ー゚*ζ でもジョルジュ君はいつもかっこいいけどなー
川 ゚ -゚) うんうん
と、会話してる集団から遠くはなれて、 隅の方にぽつんと座っている男がひとり。
('A`) チッ…
寝たふりをしながらも、今日もリア充なジョルジュ達を、遠めに見るとはなく眺め、舌打ちをしている。
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:04:56.49 ID:aO88e8hH0
-
('A`)(あーうるせえ! 大声で騒ぎやがって!)
('A`)(ばかばかしい話題で盛り上がってチャラチャラしやがって…)
('A`)(おまえら、学校はレジャーランドか? 低脳文系どもめ)
川 ゚ -゚) やっぱ、人間は外見じゃない、中身だよなあ
('∀`)(そ、そうだそうだ! さすがクーたんはわかっていらっしゃる!)
川 ゚ -゚) 中身っつっても、顔とか体形とかって意味だけどな
ζ(゚ー゚*ζ だよねー。ジョルジュ君は何着ててもかっこいいよねー
( ^ω^) くっそwwwくやしいのうwwwwくやしいのうwwwwww
('A`)
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:06:16.21 ID:aO88e8hH0
-
('A`)(チッ…やってられっか)
ドクオは椅子をやや乱暴に蹴って立ち上がる。 がたん、という音がした。
黒板の前でにぎやかに話しているジョルジュ達までは、その音は届かない。
ドクオは両手をポケットに突っ込んで、 ひょろ長い背を丸め気味にして、教室を後にした。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:08:23.81 ID:aO88e8hH0
-
('A`)(…俺は、あいつらとは違うんだ)
廊下をひょこひょこと歩きながら、 いつものように、ドクオは心の中でのモノローグを始める。
('A`)(ちゃらちゃらと遊んでばかりのあいつらは、低脳だ。 そりゃ、遊びは上手いかもしれないさ。 だがそれ以外に何ができる? 何もできない。 …哀れな連中さ)
廊下にまで笑い声が聞こえてきた。 ドクオはいまいましげに舌打ちをした。
('A`)(…俺は、あいつらとは違う)
確かめるようにもう一度呟くと、ドクオは踵を返し、廊下を歩いていった。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:10:27.16 ID:aO88e8hH0
-
( ><)「ドクオ君」
('A`)「おう、ビロードか…」
隣のクラスのビロードが、廊下を歩くドクオに声をかけてきた。 一年のときに同じクラスになって以来、三年間の付き合いがある親友だ。
( ><)「どうしたんです」
('A`)「どうしたって、何が」
( ><)「なんだか、イライラしてるみたいなんです」
('A`)「そうか? 俺は、そうは思わねえな…」
言いながらドクオはわざと足を速め、ビロードの傍を早く立ち去ろうとした。 正直なところ、誰かと話をしていたい気分ではなかったのだ。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:12:19.93 ID:aO88e8hH0
-
( ><)「ちょ、ちょっとドクオ君」
ビロードは小走りに走って、俺の後をついてきた。 まったく、昔から鬱陶しいやつだ。
( ><)「また僕が、何か悪いことを言ってしまいましたか?」
('A`)「そんなんじゃねえよ」
( ><)「じゃ、何なんです。言ってごらんなさい」
…ちえっ。 こいつと話してると、いつもこうだ。
誤魔化すのも面倒くさくなったので、俺は正直にイライラの原因を言うことにした。
('A`)「教室にいてるとよ、女に囲まれてチャラチャラしてるやつらが目に入って、うぜーんだよ」
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:14:18.84 ID:aO88e8hH0
-
( ><)「…ははあ。ジョルジュ君たちですね」
('A`)「何でわかるんだよ、お前…」
( ><)「ジョルジュ君はカッコイイですからね。 それに、話も面白くて、明るくて、女子にもモテますから」
('A`)「チッ」
俺はわざとビロードから顔を背け、足を一歩踏み出した。
('A`)「つまりお前は、 俺がカッコ悪くて、話がつまらなくて、暗くて、モテない男だって言いたいんだな」
( ><)「だ、誰もそんなことは言ってないんです!」
気色ばむビロードを無視して、俺はすたすたと廊下を歩き出した。
( ><)「ぼ、僕はただ、その… ま、待ってください、ドクオ君!」
後ろから俺を追いかける足音が聞こえてくる。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:16:34.49 ID:aO88e8hH0
-
( ><)「もう! ドクオ君はいつもそうなんです! ひねくれ者で、自意識過剰で…! そんなだから、クラスに溶け込めずに、友達が僕らしかいないんです!」
('A`)「余計なお世話だ。 コミュ力? 笑わせんな。 バカどもと群れる必要なんて感じないね」
( ><)「まったくもう…」
('A`)「ジョルジュだとか何だとか…チャラチャラしてるし、俺とは絶対、気が合わねえよ」
( ><)「そんなことだから、モテな」
あー、うるさい。 近所の世話焼きオバチャンかこいつは。
俺はこいつを黙らせるために、キャンキャン吼えるビロードの両肩に手を置き、 正面から目を見据えてやった。
('A`)「友達なんざ、お前らがいればいいんだよ」
ビロードは細い目をぱちぱちとさせて俺を見つめ返してくる。 肩に置いた手をどけて、立ち尽くすビロードをその場に置いて、俺はふたたび廊下を歩き始めた。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:18:19.92 ID:aO88e8hH0
-
教室ではあいかわらず雑談が続いていた。
ζ(゚ー゚*ζ ブーン君もいつもおしゃれしてるじゃない
川 ゚ -゚) そうだな。お前のシルバーアクセの合わせ方、私はけっこう好きだぞ
( ^ω^) うほっwwwww
( ^ω^) じゃあ付き合ってくれお! クー!!
川 ゚ -゚) うむ、それはごめんこうむる _ ( ゚∀゚) あーあwwwフラれちまったなあブーンwwwww _ ( ゚∀゚) じゃあ俺なんかどう? クーちゃん
川 ゚ -゚) 100万回OKする
(;^ω^) シャベツだおー!
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:20:20.65 ID:aO88e8hH0
-
川 ゚ -゚) 差別? とんでもない、これは合理的理由に基づく区別だ
ζ(゚ー゚*ζ だよねー
川 ゚ -゚) ジョルジュ君はなんといってもイケメンで、おまけに高身長だ
( ^ω^) おっおっおっ、クラスで一番高身長だお… _ ( ゚∀゚) いや、一番じゃねえよ。たしかドクオってやつのほうが背は俺より高いぜ
( ^ω^) ドクオ? 誰だそれ、聞いたことねえwwww
ζ(゚ー゚*ζ あー私知ってる。教室の隅で、いっつも一人でいる人だよねー _ ( ゚∀゚) ああ。キモオタグループにすら入らず、 昼休みは弁当を食った後、いつも寝たふりか、一人でどっかへ行ってるヤツだ
( ^ω^) ふーん、そんなやつがいたのかお。ぜんぜん気づかなかったお。 クー、お望みの高身長だお! 告ってみればどうかおwwwwwww
川 ゚ -゚) …いや、やめておこう。ドクオなら見たことがある。 身長は高く、顔もそんなに悪くは無いのだが、いかんせん表情に影が射しているのでな
ζ(゚ー゚*ζ あ、根暗ってやつ?
( ^ω^) ひきこもり予備軍かおwwwww
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:22:32.79 ID:aO88e8hH0
-
川 ゚ -゚) いつも一人で本を読んでるか、寝たふりをしてるかだな
( ^ω^) きっもwww本物のぼっちだおwwwww
ζ(゚ー゚*ζ この前も暗そうな本を読んでブツブツ言ってたよー。 あんな人が大量殺人とかしちゃうんだろうねー _ ( ゚∀゚) あー…
デレの言葉で、思い出した。 いつだったか、なにげなくジョルジュがドクオの傍を通ったとき、 ふと、その読んでいる本に目がいったのだ。
本ならジョルジュもよく読む。 ただ、学校では人と話すのが忙しくて、ページを開くヒマが無いだけだ。
だから、そのときドクオが読んでいた本が、気になった。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:24:15.01 ID:aO88e8hH0
-
ドクオが読んでいたのは、日本では新潮社から刊行されたばかりの、 ヘミングウェイの三冊目の短編集だった。 _ ( ゚∀゚)(…へえ)
この高校にも、ヘミングウェイを読むやつがいたんだ。 ジョルジュはそう思った。 ちゃらけたやつが多いこの学校で、意外な出来事だった。
そのとき、ジョルジュはドクオに声をかけようと思った。 だが、それはできなかった。
何か得体の知れない力が、ジョルジュの声を喉の奥に押し込めてしまっていた。
_ ( ゚∀゚)(…この俺が、声を掛けられないなんてな)
不思議な雰囲気のヤツだな。 ドクオのことを、ジョルジュはそう考えていた。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:26:15.01 ID:aO88e8hH0
- 2.
黴と水場の匂いがする男子トイレ。 六つ並んだ小便器の、いちばん入り口に近い場所に、ドクオは立っていた。
入り口に人の気配がした。
('A`)(ちっ)
ドクオは心の中で舌打ちをした。
一人きりのトイレという空間は、実に気持ちがいいものだ。 その静寂を、誰かに無遠慮にも破られたことに対し、ドクオは不快の意を表情に出した。
入ってきた男はずかずかと歩みを進め、ドクオの隣の小便器に立った。
('A`)(…えっ?)
ドクオは当惑した。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:28:27.42 ID:aO88e8hH0
-
すいている男子トイレの場合、普通、先客の隣に並ぶようなことはしない。 二つ三つの間を空けて立つのが常道だ。
('A`)(なんだこいつ?)
ドクオは横目を使い、隣に並んだ男の顔を見た。 _ ( ゚∀゚)「よう」
…ジョルジュだ。
ドクオはもう一度、心の中で舌打ちをした。
('A`)(ちっ、嫌な奴が隣に来た…)
_ ( ゚∀゚)「お前、ドクオだろ? 同じクラスのよ」
('A`)「…ああ」
なんだ? こいつから声をかけてくるなんて。 ドクオはとっさに身構えた。
ちゃらけた奴らしく、軽いイタズラでも仕掛けてくるつもりか。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:30:52.92 ID:aO88e8hH0
- _
( ゚∀゚)「『蝶々と戦車』、どうだった?」
('A`)「…は?」
ドクオは一瞬、ジョルジュが何を言っているのかわからなかった。 だから、あらためてジョルジュの顔を見た。
長めの前髪をアシンメトリーに流し、両脇の髪をくしゃっと軽く外側に跳ねさせたようなチャラ夫の口から、 ヘミングウェイ短編集の最新刊の話が出ているとは、どうにも信じられなかったのだ。
('A`)「…もしかして、小説の話か?」 _ ( ゚∀゚)「ああ。お前、前に読んでただろ」
ドクオの『所用』が終わった。 チャックを上げ、洗面台に向かう。
ジョルジュも、後から着いてきた。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:33:29.17 ID:aO88e8hH0
-
水を出し、手を洗う。
('A`)「お前、本なんて読むのか」
ジョルジュも隣の洗面台についた。 _ ( ゚∀゚)「ああ。 面白いじゃねえか、本はよ」
('A`)「お前らが読む活字なんて、せいぜいがヤンジャンかファッション誌くらいだと思ってたよ」 _ ( ゚∀゚)「んだよそれ…ひでーな。 俺だってあの短編集の一巻と二巻は読んだっつーの。 名作短編『三発の銃声』は、また今回も収録されなかったんだろ?」
('A`)(へえ。見かけによらず、本当に本好きなんだな…)
ドクオはそう思ったが、黙っていた。
手を振って水滴を飛ばしながら、二人は並んで男子トイレを出た。 そして、教室への廊下を並んで歩き始める。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:38:07.99 ID:aO88e8hH0
-
('A`)「確かに『三発の銃声』が入ってないのは惜しかったけど、それでも俺にとっちゃ面白かったぜ」 _ ( ゚∀゚)「へえ、そうなのか。俺も読みてえな」
初めてまともな返事を返してきたドクオに、 ジョルジュは目を輝かせて、早口に返事をした。
楽しそうに屈託なく喋りかけてくるジョルジュを見ていると、 ふいにドクオは、卑屈な気分に襲われた。
('A`)「…まあでも、お前には無縁の本だよ、三巻は」 _ ( ゚∀゚)「どういう意味だよ」
ドクオは目を伏せて、唇の端を歪ませ、わざとにやけた調子で言い放った。
('A`)「三巻には、人間の苦悩ってやつがよりいっそう強く描かれていたんだ」 _ ( ゚∀゚)「…俺が、悩みなんかなさそうに見える、って言いたいわけか」
ふふん、と鼻で笑って、ドクオは足を速めた。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:40:39.01 ID:aO88e8hH0
- _
( ゚∀゚)「おい、待てよ。 俺にだって悩みはあるんだぜ」
ジョルジュはドクオの後ろについて歩きながら、少し強い声で言った。
('A`)「ふうん。悩み、ねえ」 _ ( ゚∀゚)「前々からお前に声をかけたかったのに、今日の今まで、それができなかったんだぜ」
ドクオの足並みが乱れた。
('A`)(…なんだって?) _ ( ゚∀゚)「やっと話せたと思ったら、お前はそんなふうに自分から壁を作りやがる。 ったく、食えねえ奴だぜ…」
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:43:04.38 ID:aO88e8hH0
-
二人は教室ドアの前に帰りついた。
ドクオはドアに手をかけて、立ち止まり、 思いなおして、ジョルジュのほうを見た。
('A`)「ふ、ふん。明るくて人気者のリア充であるジョルジュ様が、 気の毒な一人ぼっちのドクオ君を、みんなの輪の中に入れてあげようと奮闘中、ってか?」
ドクオとジョルジュは、しばし、強い視線をぶつけ合った。
やがて、ジョルジュがにやりと笑った。 _ ( ゚∀゚)「いいねえ、その態度」
ドクオは眉をひそめ、ジョルジュから視線を逸らし、 教室ドアを乱暴に開け、中に入った。
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:45:57.42 ID:aO88e8hH0
-
( ^ω^) おー、おかえりジョルジュ
ζ(゚ー゚*ζ 遅かったじゃない! _ ( ゚∀゚) はは、すまんすまん。何の話してたの?
川 ゚ -゚) 駅前に新しくできたカフェのスイーツ(笑)を食べに行こうって話だ
彼らの大きな話し声は、教室の最後尾にいるドクオの耳にまで、否応なしに届く。
('A`)(チッ…やっぱあいつら、うるせえなあ)
ドクオは鞄を開き、一冊の文庫本を取り出した。 新潮社特有の帯を繰ってページを開いたところで、ジョルジュの言葉を思い出した。
('A`)(…あんなチャラ夫でも、本を読んでるんだな。 それにわざわざ俺に声を掛けてくるなんて…。 今まで、そんなやつ、このクラスに一人もいなかったのに)
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:49:37.84 ID:aO88e8hH0
- _
( ゚∀゚) おー、いいじゃん。みんなで行くの?
( ^ω^) だおー。特進クラスで今日学校に出てきてるのは俺らだけだけどNE! _ ( ゚∀゚) えっ、今日の放課後すぐ行くの? ここの五人で?
(;^ω^) …えっ?
川 ゚ -゚) …
ζ(゚ー゚;ζ …よ、四人でしょ?
ちらりと、デレはドクオのほうを見た。
('A`)(…頼まれたって行かねーよ、バーカ)
むかっ腹をしまい、ドクオは再び椅子を立ち上がった。
('A`)(スイーツなんざ、時間と金のムダだっつーの。 ばからしい… ビロードとワカッテマスのとこに遊びに行こっと)
大股に歩いて、ドクオは後ろのドアから教室を出て行った。 ぴしゃん、と、ドクオが閉めたドアが音を立てる。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:53:21.24 ID:aO88e8hH0
-
(;^ω^) ちょ、聞こえたんじゃないかお?
川 ゚ -゚) 無言でキレるのって、何か怖いな
ζ(゚ー゚;ζ …後姿もキモっ _ ( ゚∀゚) ああ、でもさ、ああいう態度もマジ可愛いよな、あいつ
(;^ω^) え? 何言ってんだお?
急に何か思いついたように、ジョルジュは晴れやかな顔になった。 顔をあげて、明るい声で言い放った。 _ ( ゚∀゚) あ、わりい! 俺、今日は放課後ムリだわ!
ζ(゚、゚*ζ えーっ。つまんなーい
きーんこーんかーんこーん
ガラガラガラ
(´・ω・`) 英語の授業はじめるぞカスどもー _ ( ゚∀゚) うぃーす
川 ゚ -゚) ちえっ。ジョルジュ君が来ないなら今日はやめにするか…
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:54:16.26 ID:aO88e8hH0
- 3.
きーんこーんかーんこーん
( ><) …五時間目のベルです
( <●><●>) ドクオ君、授業はどうしました?
屋上にゆるやかな風が吹き、紫煙独特の香りが、フェンスにもたれたワカッテマスの鼻をくすぐる。 ドクオは薄い煙を長く細く吐き出しながら、言った。
('A`) あ、今日の授業は四時間目までだから
( <●><●>) …特進クラスは、六時間目まで英語の授業があることはわかってます
('A`) うっせえなあ…
ドクオはキャスターを咥え、軽くふかす。
('A`) お前らこそ、こんな屋上でサボってていいのかよ
( ><) 僕らは四時間目までなんです!
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 22:57:25.53 ID:aO88e8hH0
-
('A`) じゃあ、俺も四時間目までだ
( ><) ドクオ君はだめなんです! 特進クラスは上位国公立志望です! センターの科目数が多いんですから、授業がたくさんあるのは当然です!
('A`) いいんだよ…
ドクオは煙を吐くために、顔を横にそむけた。 同時に、小さい声で言葉を続ける。
('A`) …俺は、お前らと一緒でいいんだ
( ><) えっ、最後のほう、声が小さくて聞こえなかったんです。何て言ったんです?
( <●><●>) ビロード
ワカッテマスがビロードの肩に手を置いて、しつこい追求を諌めた。
ビロードはまだ何か言いたそうな不満げな表情をしていたが、 ワカッテマスのいつになく真剣な顔を見て、しぶしぶながらも口を閉じた。
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:00:13.96 ID:aO88e8hH0
-
('A`) なあ。俺ら、三年だよなあ
ドクオは呟くように、誰に語りかけるともなく、そう言った。 あたりまえのことを突然言い出したドクオに、ビロードもワカッテマスも、とっさに言葉は返せなかった。
( <●><●>) それが、どうしたんです?
('A`) 夏休みって、これで最後なんだな
( ><) あっ
三人のあいだに沈黙が流れる。
三人が同じ学校で過ごす、最後の夏休み。 いまさらながら、その事実にビロードとワカッテマスは気づいたのだ。
('A`) 俺…やっぱ、特進クラス辞めるわ。 おまえらと一緒にいれる最後の夏休みだってのに、勉強勉強じゃあ…
( <●><●>) そんな、もったいない
('A`) うっせえ! 何がもったいないだ! だったらお前らが特進クラスに来いよ!
( ><) …行けるもんなら、とっくに行ってます!!
とげとげしいドクオの言葉に、ビロードもつい買い言葉で強い口調になった。
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:05:32.33 ID:aO88e8hH0
-
ドクオはなおも強い調子で言いつのった。
('A`) 勉強、勉強! くだらねえ、こんな毎日に何の意味があるってんだ!? 勉強さえしてりゃバラ色の未来があるみたいに言われて、 模試でいい成績をとるだけで、まるで救国の英雄みたいにちやほやしてさ。 あんな、バカでも満点がとれる模試ごときでよ…
( <●><●>) それは、模試で良い成績もとれない私達への嫌味ですか
ワカッテマスが、大きな瞳をドクオに向け、無表情に言った。 ドクオはその冷たい声に、身をこわばらせた。
一分ほど沈黙が流れた。
('A`) …すまん
か細い声で、ドクオは呟いた。
そして、短くなったキャスターを咥え、紫色の煙を勢いよく肺に吸い込んだ。
('A`) ぜんぜん、楽しくねえんだよ。毎日がよ…
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:07:23.40 ID:aO88e8hH0
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( <●><●>) ドクオ
ワカッテマスが、屋上の青空を背景にして、ドクオの顔に自分の双眸を近づけた。 大きな、何でも見通していそうな、黒色の瞳だった。
( <●><●>) 君が、何かに悩んでいるのは、わかってます
ドクオは息を呑んだ。 そして、先ほど吸い込んでいた煙を、ワカッテマスの鼻先に向けて吐き出した。
けほ、けほっと軽い咳をして、ワカッテマスはドクオから離れ、その場にかがみこんた。
( ><) ひ、ひどいんです!
両手を振り上げて怒っている小柄なビロードを押しのけて、 ドクオは長身の体をフェンスから離し、ワカッテマスの前までゆっくりと歩いていく。
まだしゃがみこんでけほけほとやっているワカッテマスの隣に立ち、 ドクオは身をかがめ、大柄なワカッテマスの姿を上から覗き込んだ。
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:09:13.45 ID:aO88e8hH0
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('A`) なあ、ワカッテマス
ワカッテマスは咳き込んで涙目になりながらも、きっ、と、大きな瞳を開けてドクオを見上げる。
('A`) …お前ならわかってるだろう。教えてくれ。 模試で全国一位を取るような俺と、 かたや、勉強もせずに、楽しそうにいつもちゃらちゃらと女に囲まれて過ごしてるやつ。 いったい、どっちが「勝ち」なんだろうな?
ワカッテマスは無言でドクオをにらみつけ、ゆっくりと立ち上がった。 ( <●><●>) 行きましょう、ビロード
ワカッテマスはそう言って、屋上階段のほうに歩き出す。
( ><) …そうですね
ビロードも、その後を追った。
ドクオも二人の後を目で追った。 だが、足で追いかけていくことはできなかった。
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:11:14.25 ID:aO88e8hH0
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がちゃん、と、屋上の鉄の扉が閉まる音がした。 重々しい音だった。
ドクオはもう一度、フェンスにもたれかかった。
ふと、あたりを見回した。 今度は誰もいなかった。
校庭から金属バットの音が響いてきて、続いて誰かの歓声があがっている。
五時間目の空を眺めながら、 ドクオはひとり胸ポケットに手をやって、新しいキャスターを一本、取り出した。
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:13:24.53 ID:aO88e8hH0
- 4.
六時間目終了のチャイムが鳴っても、ドクオはまだ屋上にいた。 キャスターの空箱が、ひねりつぶされて足元に転がっていた。
校庭から人の気配が消える頃、ドクオは座り込んでいたフェンス際から、ようやく腰を上げた。
('A`) さあて、そろそろ…
ズボンの埃をはたき、ドクオは歩き出す。
教室に鞄を取りに戻る気にはなれなかった。
財布と携帯は持っている。 それ以上の物は、今は必要なかった。
誰とも、会いたくなかった。
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:15:26.27 ID:aO88e8hH0
-
下駄箱までの廊下で、先生に出会うことはなかった。 靴を履き、夏休みのひとけの無い校庭を、グラウンド横の駐輪場に向かう。
セミがうるさく鳴いている。
駐輪場への角を曲がったところで、ドクオはのけぞって驚いた。 道を塞ぐように、大きな赤いバイクが停めてあったのだ。
_ ( ゚∀゚)「…よう」
そして、バイクのシート部分にもたれかかるようにして、ジョルジュがいた。 ドクオのほうを向いて、片手を上げて挨拶している。
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:17:14.74 ID:aO88e8hH0
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突然の出来事に、ドクオはぽかんとしてバイクを眺めていた。 フルカウルの大きな車体。 駐輪場の屋根を通り抜けて差し込む太陽の光に、各部がぴかぴかと輝いている。
_ ( ゚∀゚)「ようってば」
ジョルジュがもう一度声を出したので、ドクオはようやく、はっと我に返った。
('A`)「…んだよ。そんなところにバイク停めるんじゃねえよ。 チャリが出せねえじゃん」
ドクオは、初めて間近で大きなバイクを見て興奮していることを悟られないように、 わざとそっけなく、ジョルジュのほうを見ないようにして、言った。
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:21:15.78 ID:aO88e8hH0
- _
( ゚∀゚)「お前、きょうウチへ遊びに来いよ」
('A`)「…は?」 _ ( ゚∀゚)「どうせヒマなんだろ?」
ドクオが何か言おうと、ジョルジュのほうに向き直ったとたん、 ジョルジュはドクオの胸に、どん、とヘルメットを押しつけた。
('A`)「ちょ、ちょっと待てよ!」
ヘルメットを両手で抱えて、ドクオは口をとがらせる。 _ ( ゚∀゚)「お前、五時間目をサボってただろ。 英語のショボン、明後日にテストだってよ。 俺のノートでも写さないかぎり、いくらおまえでも、ショボンのテストは厳しいぜ?」
('A`)「……」 _ ( ゚∀゚)「ほら、早くメットをかぶれ。もしかして被り方を知らないのか?」
('A`)「ば、ばかにすんな! メットくらい…」
ドクオはヘルメットを頭に載せて、顎紐のフックを閉じた。
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:23:35.15 ID:aO88e8hH0
- _
( ゚∀゚)「よっ、と」
ジョルジュは赤いバイクに飛び乗ると、 手馴れた手つきでキーをまわし、セルスイッチを押した。
軽いモーター音に続いて、重く激しいエンジン音が、駐輪場に響く。 _ ( ゚∀゚)「なにボサッとしてんだ。早く乗れよ」
('A`)「…あのな、何で俺が、お前のウチなんかに」 _ ( ゚∀゚)「言ったろ。英語の勉強だよ。 ヘミングウェイの『三発の銃声』の原書、読みたかねえか?」
('A`)「えっ? そ、そんなの持ってるのか?」 _ ( ゚∀゚)「さ、はやく乗れや」
ジョルジュは左手をクラッチから離し、ドクオのほうに掌を向けて、差し出した。
ドクオは少しの逡巡の後、差し出されたその手を無視して、 バイク後部のタンデムハンドルに手をかけて、ジョルジュの後ろに座った。
できるだけ体をジョルジュから離し、ドクオはリアシートに垂直に座っている。
ジョルジュは視線を前に戻すと、エンジンの回転を大きくひとつ上げてから、発進した。
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:27:02.46 ID:aO88e8hH0
- 5.
広い道に出た。 周りを走っているクルマの数は少なく、快適な走行が続く。
巧みなハンドリングで、ジョルジュは軽快に赤いバイクを走らせた。
('A`)「お前のウチって、遠いのか?」 _ ( ゚∀゚)「すぐ近くだよ。バイクで三十分ほどだ」
('A`)「ぜんぜん近くじゃねえよ…」 _ ( ゚∀゚)「どうした。バイクが怖いのか?」
図星をさされて、ドクオはかっと顔が熱くなる。
('A`)「そ、そんな問題じゃねえよ!! もっと丁寧に運転しやがれって言ってんだ!!」 _ ( ゚∀゚)「そうはいっても、こうやってトロいクルマを抜いて走るのも気持ちいいだろ?」
('A`)「ばかやろう、う、後ろに乗ってる俺のことも考えてだな…!」
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:29:35.89 ID:aO88e8hH0
- _
( ゚∀゚)「怖いか。 怖いなら、タンデムハンドルなんかにつかまらずに、 俺の腰に手を回して、お前の体をぴったりと俺の背中にくっつけてろよ」
('A`)「なっ…!」 _ ( ゚∀゚)「その姿勢が、いちばん重心が安定して怖くないんだよ。 いいからやってみろって」
('A`)「ば…バカヤロウ! そ、そんなこと、できるかっ!!」 _ ( ゚∀゚)「…できないっての?」
ジョルジュはすこし身をかがめ、カウルの風防圏内に自分の頭を入れると、 右手のスロットルをひねって、急激に加速した。
強烈なGと風が、ドクオの上体を直撃した。
周囲にクルマは無い。 広い直線道路だ。
スピードは、ぐんぐんと上がっていった。
('A`)「ひ、ひっ…!」
- 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:30:49.22 ID:aO88e8hH0
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 ̄ ̄ ̄二二ニ=- '''''""" ̄ ̄ -=ニニニニ=-
/⌒ヽ _,,-''" _ ,(^ω^ ) ,-''"; ;, / ,_O_,,-''"'; ', :' ;; ;,' (.゙ー'''", ;,; ' ; ;; ': ,' _,,-','", ;: ' ; :, ': ,: :' ┼ヽ -|r‐、. レ | _,,-','", ;: ' ; :, ': ,: 第一話 d⌒) ./| _ノ __ノ
- 92 名前:afo ◆2z7bKNbsWo :2008/08/14(木) 23:33:24.71 ID:aO88e8hH0
- しえんあざす
青春のもうひとつの形のジュウナイル的なアレ作品で、 悩みを描いたりいろいろ書いたり。
続きはまたそのうち~
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コメント |
凄い厨二の香り
[2008/11/29 14:21]
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つかウホ臭い
[2008/11/29 17:16]
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個人的には面白い試みだな、と思う。
ブーン系ではあまりないスタイルだし、むしろブーン系である必要がないジャンルかも知れないけど、普通の青春ものの小説読んでる気分で読める。
確かに厨二臭いけど、青春なんてまさしくそんなもの。
俺は意外と好き。
[2008/11/30 14:23]
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自分は好きだなー
[2008/11/30 22:22]
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いいなあ
[2009/12/09 17:38]
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