mesimarja
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(゚、゚トソン 眼と花の先のようです (*゚ー゚)
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:03:38.90 ID:om/OsL0T0

2人は手を繋いでいました。
片方が片方の手を引き、目的の場所まで向かうのです。

「着いたよ」

「うん。わかる」

とても大きな花畑。
それこそどこまでも広がるような。

そんな中に、2人は居ました。

「私の眼をあげるね」

「いらないよ」

花畑にちょこんと座りながら、話をしていました。
子供の会話とは思えません。

いえ、もしかしたら子供だからこんな事を言えていたのかもしれません。




3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:06:03.48 ID:om/OsL0T0

「どうして?どうしていらないの?」

「だって、私にはしっかりと光があるから」

焦茶色の髪を陽に輝かせながら少女は微笑み、答えます。
短く切られた髪は、とても綺麗なモノでした。

「わけわかんない」

何故こんな事を言ってしまったのでしょうか。
今になって思えば、それは酷く愚かな言葉でした。

「トソちゃん」

「・・・」

名前を呼ばれるのと、少女の手が引かれるのは同時でした。

「ね、トソちゃん」

「・・・」



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:08:29.94 ID:om/OsL0T0

そのまま少女を家の前まで届けます。
困り果てた表情の彼女は、眼で私を捉えようと必死でした。

ですが、それが上手くいかないのはよく知っています。
そのまま、何も言わずにその場を後にしました。


――――ああ。

なぜこうも、些細な怒りを引っ張ってしまったのでしょうか。
思い返してみれば、これは彼女に対するものではありませんでした。

なんと惨めなことでしょう。

すすり泣く小さな声を、今では鮮明に思い出す事が出来ます。



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:10:54.92 ID:om/OsL0T0


         (゚、゚トソン 眼と花の先のようです (*゚ー゚)



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:12:57.01 ID:om/OsL0T0

シュッシュッシュッ――――。

小刻みに聞こえる何か掠れるような音。
その音が大きくなるにつれて、重い瞼が開いてゆきます。

(゚、゚トソン「ここは・・・」

蒸気機関車の中でしょうか。

安く張られた古惚けた床。
そんな車内のボックス席に、私は一人で座っていました。

辺りを見回せど、自分以外の人間は誰一人として見当たりません。
機関車の走る音以外は何も聞こえませんでした。

四角い窓からは、立ち並ぶ木々や綺麗な小川が見えています。



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:15:09.54 ID:om/OsL0T0

(゚、゚トソン「・・・」

黙ってそれらを眺めていると、次第に景色が変わり始めました。

林のような場所を抜け、開けた場所、渓谷のような場所に出ました。
細かった小川はいつの間にか太く流れ、力強さを感じさせます。

(゚、゚トソン「この場所は・・・」

そう。
私はこの場所に何か見覚えがあります。

(゚、゚トソン「なんでしょう・・・」

走る景色を眼で追っていると、新たに違う色が見えました。
黄色や赤、とにかく様々な色が入り混じった絨毯。

つまりは花畑。
それが広がっているのです。



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:17:09.05 ID:om/OsL0T0

やはりそれを、同じように眼で追っていると、何かが見えました。
すぐ脇にある花畑。

その奥の方に、ポツリと誰かが立っているのです。

(゚、゚トソン「・・・」

恐らく、女の子でしょう。
遠くてよく分からないのに、何故だかそう感じていました。

そのまま、流れる景色に彼女を取り残し機関車は走ります。
それでも私は先程の少女を見続けました。

(* ー )

(゚、゚;トソン「!!」

あんなに遠くに居たのに。
私には確かに彼女の口元が見えました。



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:20:24.77 ID:om/OsL0T0

くすりと笑う小さな口。
何故だか懐かしさを覚えるそれに、私は嫌悪感を抱きました。

――――リ。

( 、 ;トソン「――――!!」

急に、頭に痛みが走ります。
鈍いのか鋭いのか。
大きいのか小さいのか。

うまく判断できないそれに私は息を切らせました。

―――リリ。

両手で頭を押さえ、痛みから逃げるように床に膝をつきます。
それでも痛みは続くのです。

ジリリリリ。

次の瞬間には「パリン」というガラスが割れるような切ない音。
そこで、世界が消えました。



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:23:10.07 ID:om/OsL0T0

* * *

(゚、゚;トソン

耳元で鳴る、大きな音によって眼をさましました。
体中は汗でべたつき、Tシャツがペタリと背に張り付いています。

( 、 トソン「・・・」

枕元にある目覚まし時計を止めます。
すると、部屋に響く音は蝉の鳴く声だけとなりました。

たったさっきまで、何か良くないモノを見ていたような。
夢の内容を思い出してみようにも上手くいきません。

ゆっくりと体を起こし、大きく息を吐き出す。
まるで、悪いことをすべて吐き出すように。

(゚、゚トソン「・・・朝食」

その言葉は無意識のモノでした。
情けないと思いつつも、私はリビングに向かうのです。



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:26:21.47 ID:om/OsL0T0

( ・∀・)「おはよう。・・・具合が悪い様だけど?」

(゚、゚トソン「気にしないでください、大丈夫ですから」

朝食が並べられたテーブル。
それを見て、流石だなぁ、と一人感心するのです。

同棲相手の彼は、いつも私より早く起き、こうして準備をしてくれます。
喫茶店を経営している彼の腕は確かなものでした。

( ・∀・)「無理はしな方がいい」

(゚、゚トソン「ええ」

2人で朝食をとります。
やはり、おいしいのです。

ほとんどの会話も無しにそれを終えると、彼は家を出ました。
私は一人になったリビングで、静かに陽の光を浴びます。



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:29:14.73 ID:om/OsL0T0

ウトウトとしていると、時間が近づいてきました。
道具を準備し、大学に向かいます。

自転車にまたがり、風を切る。
流れ出る汗をその場に置き去りにするように、自転車をこぎました。

(゚、゚;トソン「・・・暑い」

大学に着く頃、額からは汗が流れていました。
この時期、こればっかりはどうすることもできません。

それでも、やはり講義を受けに行かなくてはならないのです。
足取りは重く、肩は下がったままでした。


(゚、゚トソン(お昼、か・・・)

午前の授業を終え、昼食の時間となります。
普段ならモララーのいる喫茶店に行くのですが、この暑さの中、自転車を漕ぐ気にはなりません。



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:32:57.35 ID:om/OsL0T0

仕方なく学食で過ごすことにしました。
思ったより空いており、すぐに済ませることができました。

午後の退屈な講義も流すよう聞きます。
時間はゆっくりと流れ、ようやく帰りの時間が見えてくるのです。

私は、朝と同じように自転車にまたがり、道を行きます。
しかし、家に向かうわけではなく、とある所に向かいます。

(゚、゚トソン「よっ・・・と」

AA。
扉にはそう書かれていました。

横に置かれている看板にはお勧めメニューに日替わりランチの説明。
その隣に並べるように自転車を止めます。

こおが彼の経営する喫茶店です。

扉を開くと、「からん」という乾いた音が店内に響きます。
時間のせいか、人は多いというわけではありませんでした。

( ・∀・)「ん、いらっしゃい」

私を見ると、彼は微笑みカウンターの席に座るよう指示します。
それに頷き、1日の疲れをすべて置くように椅子に座りました。


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:35:44.06 ID:om/OsL0T0

(゚、゚トソン「父さんが、たまには2人で遊びに来るよう言っていました」

出されたコーヒーを啜りながら言葉を口にします。
・・・苦い。

( -∀-)「僕はいつも行こうと言っているのだけれど」

彼がため息交じりに言います。

客も少しずつ居なくなり閉店の時間。
話の続きは帰宅してからということになりました。



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:39:36.08 ID:om/OsL0T0

( ・∀・)「どこまで話したっけ?」

(゚、゚トソン「どこまでも何も、多くは話していません」

リビングでテーブルを挟み、会話を始めます。
静かに流れるインスト曲が、白く張られた部屋をまわっていました。

( ・∀・)「じゃあ最初から話そうか」

(゚、゚トソン「父が遊びに来いと」

彼に簡潔に伝えると、先程と同じように溜め息がこぼれました。
何故でしょうか。

( ・∀・)「僕はいつも行こうとするんだ。だけど君がなかなか起きないんじゃないか」

(゚、゚;トソン「・・・気のせいですよ」

( ・∀・)「だといいのだけど」

彼は立ち上がり、コーヒーをいれ始めます。
私はそんな彼をただじっと見つめていました。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:44:49.40 ID:om/OsL0T0

少しすると、白い煙を揺らめかせるコーヒーを運んで来ました。
目の前に静かに置かれ、そっと口に持っていきます。

(゚、゚トソン「あと、早く孫の顔が見たいと」

( ・∀・)「また急だね」

(゚、゚トソン「前々から言ってましたよ。遊びに来いの次ぐらいに多いです」

( ・∀・)「だから――――」

私は彼の口に人差し指を当て静止させます。
彼はいじけた様にコーヒーを啜りました。

私も同じようにコーヒーを飲むのです。
やはり苦い。

( ・∀・)「君は、スタイルも良いし頭も良い」

いきなり何を言い出すのでしょうか。
苦みがドンドンと口に広がります。

( ・∀・)「運動だって出来る。スーツもとっても似合うよ」

「ただ」、と言って彼は続けました。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:47:38.41 ID:om/OsL0T0

( -∀-)「朝にしっかりと起きれて、料理が出来ればさらにいいのだけれど」

( 、 ;トソン「・・・うぅ」

口に広がる苦さはコーヒーのモノだけではない気がします。
意地の悪そうに笑う彼を見て、私も何かを言いたくなるのです。

(゚、゚;トソン「あ、あなただって!」

( ・∀・)「何?いってごらん」

(゚、゚;トソン「えっと・・・料理が上手ですね」

( ・∀・)「ありがとう」

爽やかな微笑み。
それを見ると敗北を認めざるを得なくなります。

( ・∀・)「さて、もうそろそろ寝ようか。誰かさんが遅刻すると困るしね」

そんな言葉に何も言い返せず、私は寝室に向かうのでした。




27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:50:57.21 ID:om/OsL0T0

* * *

シュッシュッシュッ――――。

(゚、゚トソン「また・・・?」

「また」、この言葉を口にしたと言うことはつまり――――。
私は昨晩のことを覚えているのです。

そして理解します。
これが夢だと云うことを。

起きている間はこの夢のことを忘れていることも同時に理解しました。

何故そうなっているのかは解りません。
ただ、普通の夢とはどこか違う気がします。

(゚、゚トソン「やっぱり、この景色・・・」

どこか見覚えがる。


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:54:00.61 ID:om/OsL0T0

昨日と同じ機関車に揺られながら見る景色。
相変わらず懐かしさを感じさせるのです。

規則的に流れる音はグルグルと車内を泳ぎます。
その音に混じるように、一つの声が聞こえました。

『いらないよ』

とても幼げな声。

( 、 トソン「・・・っ」

また。
聞き覚えのある声が響きます。

『その眼はあなたのモノ』

( 、 トソン「これ・・・は」

頭が痛い。
眼を細め窓の外を眺めると、花畑が見えてきました。



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 22:57:33.70 ID:om/OsL0T0

『ごめんね、トソちゃん』

( 、 ;トソン「――――!!」

自分の名前と、謝罪の声。
それを聞いた途端、私は車内に金切り声を響かせました。

ああ――――。
頭が、痛い。

夢の中だと言うのに、意識がどんどんと薄れていきます。
ぼんやりと、眼鏡が曇る様とは少し違う。

カラフルな絨毯を眺めながら、呼吸を荒くします。
そして、また、あの少女を視界にとらえました。

(゚、゚;トソン

眼を見開き、しっかりと見つめます。
荒くなる呼吸は収まる処を知らないようです。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:01:57.91 ID:om/OsL0T0

そして、昨日との明らかな違い。

(゚、゚;トソン「距離・・・がっ、ちか・・・」

絞り出すように声を出します。
彼女とこの機関車との距離が明らかに近くなっている。

そして、眼を細めた状態で彼女の顔を見ることができました。
私は確かにあの子を知っている。

昨日の微笑みはどこへ消えたのでしょう。
彼女は黒いワンピースを握りしめ、眼の捉える一線に私を置きます。

私より手前を見ているようでもあり、奥を見ているようでもある。
もしかしたら私自信が捉えられているのかもしれない。

(゚、゚;トソン「!!」

その顔を、私はようやく思い出しました。
何故。
何故、忘れてしまっていたのでしょうか・・・。



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:04:09.11 ID:om/OsL0T0

( 、 ;トソン「あなたは・・・」

名前を呼ぼうとして、失敗に終わります。
これは、きっと夢の終わり。

もう目覚めの時間が近づいてきている。
せめてもと思い彼女を見つめます。

やはり悲しげな表情のまま彼女は口を動かしました。

(* - )

ごめんね。
そう言った気がします。

いえ。
確かにそう言ったのです。

ドロリ。
私を包む夢は、熱に負けたチョコのように溶けます。

ここで夢が終わり―――。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:09:21.61 ID:om/OsL0T0

* * *

(゚、゚トソン「おはようございます」

( ・∀・)「君がアラームより早く起きるなんて珍しいね」

皮肉を言う彼は朝食を作っている途中でした。
どうやら今日はパンのようで、コーヒーの匂いが漂っています。

( ・∀・)「ねえ・・・やっぱりどこか悪いんじゃない?」

(゚、゚トソン「え?どうしてです?」

( ・∀・)「顔色悪いよ」

その言葉で、自身にかなりの疲労感があることに気がつきます。
寝る前よりも、はるかに多い。

(゚、゚トソン「大丈夫です、きっと・・・」

( ・∀・)「本当に?僕の名前わかる?君の名前も」

少しムッとするも、彼を心配させたくは無い。
呆れるように口にします。



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:12:39.64 ID:om/OsL0T0

(-、-トソン「猫田モララー、都村トソン」

( ・∀・)「正解。じゃあ、ご褒美」

テーブルに運ばれた料理を指して彼はそう言います。
不正解だったら食べられなかったのでしょうか。

(゚、゚トソン「最近、変な夢を見るんです。たぶん」

( ・∀・)「たぶん?」

パンを齧りながら彼は訊き返しました。
それに頷くと、再び言葉を口にします。

(゚、゚トソン「内容は全く覚えていないんです。でも何か見ていた気はして」

( ・∀・)「疲れて見えるのはそれのせい?」

(゚、゚トソン「ええ・・・、恐らく」



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:15:05.06 ID:om/OsL0T0

( ・∀・)「その夢を見る原因・・・も、不明?」

(゚、゚トソン「ええ。内容を覚えていれば解るかもしれないのですが」

( ・∀・)「んん・・・」

そこからの朝食は実に静かなものでした。
私はその静けさが嫌いではありません。

むしろ、この静けさが好きだからこそ、彼とこのような関係でいられるのです。

大人の付き合いともなれば、体を重ねることもあります。
それが嫌だったわけではありません。

しかし、そういった行為を重ねるより、彼と静かな時を過ごす方が。
彼の放つ、ゆっくりと浸透していく声に包まれる方が、何倍も気分がいいのです。

以前それを彼に話したら、驚いた表情をしていました。
そして、優しく笑い、こう言ったのです。

「僕も同じことを考えていた」、と。

思えば、その時になって初めてより良くお互いを知ろうとし始めたのかもしれません。



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:17:12.52 ID:om/OsL0T0

そんな私たちが、互いの変化を見つけるのはいとも簡単です。

( ・∀・)「何か分かったらすぐに教えてよ」

そう言って彼は仕事に向かいました。
開けた扉からは白い日が入り、部屋をより一層明るく照らすのです。

暫くすると昨日と同じように自転車にまたがり、大学に向かいました。
もう夏休みが始まろうとしています。

そして、帰宅してからのささやかな時間。
この間は夢のことなど完全に頭から抜けていました。


次の日の朝、彼に言われてようやく徒事ではないと認識するのです。



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:19:20.65 ID:om/OsL0T0

( 、 トソン「おはようございます・・・」

(;・∀・)「・・・」

起きてきた私の姿を見た彼。
それはそれは滑稽なものでした。

まるで時を止めたかのように静止して、私をじっと見つめます。
もしかしたら私の方が滑稽かもしれません。


異常なまでの体の疲れ。
べたりと張り付く衣類。

夏の暑さが原因と言うには、少々行き過ぎたモノでした。

前髪を掻きあげるように頭を押さえます。
ぽっかりと抜け落ちた何か。

その何かが重要なのに――――。

(;・∀・)「今日は休むべきだよ!絶対休むんだ!」

彼の言葉が何度も耳に刺さります。



40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:21:41.18 ID:om/OsL0T0

( 、 トソン「いえ、どうせ明日からは――――」

視界が歪む。
彼の顔も、温かく盛られた朝食も。

まるで見るもの全てが煙に包まれたように。

「トソン?ねえっ!?トソン!!」

彼のこんな声を聞くのはいつ以来でしょうか。
少し大袈裟なんですよ。

ちょっと疲れてるんです。
きっとそうです。

( 、 トソン「だいじょ・・・ぶ。ちょっと寝る・・・だけ、で、す――――」

病院よりも何よりも、今は自分のベッドで寝たい。
その気持ちは彼に伝わったでしょうか?

とりあえず今は、そう。

おやすみなさい。



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:23:17.19 ID:om/OsL0T0

* * *

( 、 トソン「さっきまで見ていたと云うのに・・・」

そう、私はまた夢の中。
先程まで見ていたのもやはり同じものでした。

一つ変わっている点。
それは、距離。

「私」と「少女」の距離。
確かに近くなっていましたた。

次は電車の中だと言わんばかりに――――。

電車は小刻みに音を立てて、花畑に向かう。
窓から見える景色をぼんやりと眺めます。



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:25:17.22 ID:om/OsL0T0

(゚、゚トソン「あなたの目的は何なのですか?」

外に飛ばすように放った言葉は窓に遮られました。
そうしているうちに、少女のいる景色が見えてきます。

赤、黄色、白。
他にもいくつかの色が混じり、香り高い絨毯ができているのです。

必死に少女の姿を探しました。
何か言いたい事があるのではないか?

私に。
あんな残酷なことを言った、この私に。

どちらを向いているかもわからぬ少女を置き去りにした私に。

あなたは、何を言いたいのですか。

(゚、゚トソン「!!」

見つけた。
やっぱり距離が近くなっています。



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:27:06.06 ID:om/OsL0T0

(*゚ー゚)

(゚、゚;トソン「しぃ!!!」

彼女の名前を呼んだ時、たくさんの花びらが宙を舞いました。
色づいた風は彼女の姿を遮ります。

(゚、゚;トソン「しぃ!!しぃなんでしょう!!?」

風が吹きやんだのでしょう。
花たちは静かに眠りにつきます。

しかし、そこに少女の――――しぃの姿はありませんでした。

(゚、゚;トソン「なんで・・・」

私は機関車の床に膝をつきました。
手は名残があるのか、窓のふちに残したまま。

( 、 トソン「・・・」

ぼんやりと虚空を見つめる。
そんな私に後ろから声がかかりました。




45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:29:05.66 ID:om/OsL0T0

「トソちゃん」

(゚、゚;トソン「!!」

飛び上るようにして後ろを向きます。
ここ数日、よく見た姿。

幼い頃、一緒にいた姿。

(*゚ー゚)「トソちゃん、その眼よく見える?」

しぃは一歩ずつ近づいてきます。
その度に、私から余裕がなくなっていくのが解りました。

(゚、゚;トソン「なんで、こんな夢に」

(*゚ー゚)「・・・」

少女の瞳は私を捉えているのでしょうか?
いえ、そんなはずはないのです。

だって彼女の眼は・・・。



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:31:28.29 ID:om/OsL0T0

コロン。

不意に、彼女の足元に何かが転がります。
それが何か理解した瞬間、私は大きな悲鳴をあげていました。

( 、 ;トソン「・・・っ」

(*゚ー )「トソちゃん・・・」

彼女の眼がコロコロと音をたてて車内を走ります。
ぽっかりと空いたしぃの左目は黒く、すべてを吸い込んでしまいそうな空間でした。

( 、 ;トソン「何です・・・?」

私は彼女から逃げられない。
この夢から覚める方法を私は知らないのです。

(* ー )「眼が無くたってね、しっかり見えるの」

コロコロ。
ころころ。

もう片方の目も、くるくると踊ります。




47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:34:07.10 ID:om/OsL0T0

( 、 ;トソン「嘘ですよ」

(* ー )「・・・本当よ」

寂しそうに彼女は言います。
涙を流せるのなら、きっと流しているような。

そんな声でした。

(* ー )「私ずっと言いたかったことがあるの」

(゚、゚トソン「しぃ・・・?」

いつの間にか止まっていた機関車。
外に見えるは大きな花畑。

何故かすべての窓が開いていました。

(* ー )「これ」

(゚、゚トソン「これ、は・・・」

小さな手から渡されたのは、綺麗とは言い難い花冠。
色も、形も、花の大きさもバラバラ。



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:36:12.08 ID:om/OsL0T0

しかし、私にはそれがどれだけ価値のあるものか分かっていたのです。
ぼろぼろの少女の手が、私の顔をそっと撫でます。

なぜ、こんなにも怖がっていたのでしょう。
彼女はいつだって――――。

(;、;トソン「しぃ、わたし、ごめっ・・・」

(* ー )「違うよ。トソちゃんは何も悪くないの。悪いのは私の方」

(* ー )「もう会えないけど」

そう言って彼女を包むように花が入り込んできます。
私は必死に手を伸ばしますが、しぃに近づくことさえできません。

(* ー )「ごめんね、トソちゃん」

(;、;トソン「待って!待ってよ!!会えるよ!!会いに行くからぁ」

(* ー )

寂しそうな微笑み。
私は認めたくなかったのです。

もう会えないと言う響きを。
今までで一番辛く夢が終わるのです。



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:38:05.65 ID:om/OsL0T0

* * *

(;、;トソン「まって――――」

(  ∀ )「いっ・・・」

彼女を掴むように伸ばした手。
それは私を心配していたであろう人を叩くことになりました。

(゚、゚;トソン「あれ?」

彼がいる、ということはつまり。
これは夢ではない。

(;・∀・)「大丈夫?だいぶうなされてたけど!?」

(゚、゚トソン「大丈夫です・・・。それに、思い出しました」

( ・∀・)「思い出したって?夢を覚えているじゃなくて?」

(゚、゚トソン「どちらもです」

( ・∀・)「聞かせてもらえる・・・?」

彼の問いに頷き、昔話を始めます。
夢に出てきた少女と私の話を。



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:40:03.92 ID:om/OsL0T0

まだ幼い頃、ここから離れた街に住んでいました。
綺麗な街で、そこに住む人たちも穏やかな心を持っていました。

(゚、゚トソン「しぃ、いこー」

(*゚ー゚)「トソちゃーん。まってよー」

私といつも一緒になって遊ぶ子がいたのです。
その子こそ、夢にでてきた少女。

明るい性格の彼女はみんなに慕われていたでしょう。
そんな彼女といつも一緒にいるのが楽しくもあり、誇らしくもあったのです。

ところがある日、彼女は怪我をしてしまったのです。
大きな傷は見当たらなく、誰もが胸をなでおろしました。

しかし、少し経ってからの彼女の一言。
それが大きな悲しみの始まりだったのかもしれません。

「なんか、今日は暗いね」

そう、彼女の眼からは少しずつ光が消えていったのです。



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:42:00.04 ID:om/OsL0T0

彼女はそれからどんな気持ちだったのでしょうか。
ストレスに苛まれ、食べては戻す日々。

肩を掴まれては飛び上るほどに驚き、声を震えさせる。
あんなにも元気だった少女が、歩くのすら怖いと訴える。

そんな彼女を私は元気づけたかった。
どうにかして、明るい彼女に戻させたかった。

一見普通の少女は、誰も知らない闇のどん底に突き落とされていたのです。

(゚、゚トソン「しぃ」

(*゚ー゚)「トソ・・・・ちゃん?」

玄関前に座る彼女。
私は彼女の手をとり、一つの場所に向かいました。

(*゚ー゚)「トソちゃん!駄目!!怖いよ!!」

涙声の訴えに、私は耳を貸しませんでした。



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:43:36.79 ID:om/OsL0T0

(゚、゚トソン「ついたよ」

(* ー )「え・・・?花の香り?」

恐る恐る顔をあげる彼女の手を引き、前に進みました。
着いたのは、街はずれにある、大きな大きな花畑。

(゚、゚トソン「見えなくても、わかるでしょ?」

(*゚ー゚)「うん・・・うん!!」

しぃの笑った顔を久しぶりに見た気がしました。

それからというもの、時間さえあればいつもそこに行きました。
彼女はそこだと、とても愛おしく笑うのです。

そして、そんな風に過ごしていたある日。
いつも通り彼女の手を引いて歩いていました。



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:46:02.47 ID:om/OsL0T0

(゚、゚トソン「着いたよ」

(*゚ー゚)「うん。わかる」

花畑。
甘い香り。

(゚、゚トソン「私の眼をあげるね」

あの時、善かれと思って言った発言。
自分からしてみたら良い人になったつもりでした。

(*゚ー゚)「いらないよ」

彼女は遠くを見るようにして言います。
その言葉に私は、自分が否定された気がしていて苛立ちました。

そこから少しの会話をした後、彼女を家まで送り届けたのです。
眼の見えない彼女を家の前に置き、無言で帰る。

本当に。
本当に残酷な行為です。



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:48:00.43 ID:om/OsL0T0

(;*゚ー゚)

焦ったように彼女の眼が動きます。
どうせ、見ることなどできないのに。

なんて愚かなことを思ったのでしょう。
私の背中には、少女の涙交じりの謝罪が聞こえていました。

それから何日も、彼女の家の近くまで行きました。
玄関で座りこみ、誰かを待っているような彼女。

それを見るたびに胸が痛んだのです。


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:50:01.20 ID:om/OsL0T0

(゚、゚トソン「それから暫くして私は引っ越すことになりました」

( ・∀・)「彼女とは?」

( 、 トソン「あの日以来、一度も話していません」

今思えば、彼女に対する苛立ちなどでは無かったのです。
眼が見えずとも大人な彼女。

それに対して、成長の無かった自分。

そんな葛藤と、嫉妬だったのでしょう。
そして、嫌な自分は忘れてしまえと言う甘い誘惑。

いつの間にか私は過去のことを隠していたのです。

( 、 トソン「・・・」

謝りたい。
すぐにでも。

そう考えていると彼が立ち上がり、腰を捻り骨を鳴らします。



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:52:02.25 ID:om/OsL0T0

( ・∀・)「まだ正午になっていないね」

(゚、゚トソン「・・・ええ」

( ・∀・)「今日は僕の店も定休日だ」

(゚、゚トソン「そうですね」

( ・∀・)「じゃあ行こうか」

(゚、゚;トソン「へ?いや・・・どこに?」

( ・∀・)「謝りたいんでしょ?」

(゚、゚トソン「!!・・・はい」

そうだ。
私は彼女に謝らなければいけない。

許してもらおうなんて思っちゃいない。
けど、謝らなくてはいけない。



60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:54:11.58 ID:om/OsL0T0

* * *

モララーの運転する車の中。
心臓の音が高鳴ります。

( ・∀・)「何故彼女は君の夢に現れたのだろうね?」

不意に出た彼の発言に、私は恐る恐る答えます。

(゚、゚トソン「多分、彼女も謝りたかったのです」

( ・∀・)「だとしても・・・何で今さら?」

(゚、゚トソン「それは・・・」

『もう会えないけど』

夢の中で聞いた言葉が再び響きます。
何故だか不安でしょうがないのです。

もう会えないなどとと言うのは、私の中では一つの答えでしかなかったのですから。


陽が沈む前に、私たちはその街に着くことができました。
車で一夜を過ごし、次の日に彼女に会うことにしたのです。



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:56:04.24 ID:om/OsL0T0

朝。
私は普段からは考えられないほどあっさりと目を覚ましました。

すでに疲れといったモノは無くなっています。
こんな朝方から家にお邪魔するのは迷惑と思いつつ、逸る気持ちを抑えられませんでした。

(゚、゚トソン「ここです・・・」

( ・∀・)「・・・」

変わっていない。
あの幼い頃見ていたものと、全く同じ。

あの頃はしぃがここに座っていた。
私が手をとった。

2人で駆けまわった。

( ・∀・)「まだ泣かないでよ」

(゚、゚;トソン「わ、わかってますよ」

とは言ったものの、涙ぐんでいるのは確かで。
ようやく謝れるのです。

やっとで仲直りが出来るのです。
嬉しくてどうにかなってしまいそうでした。


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 23:58:00.75 ID:om/OsL0T0

(゚、゚トソン「おはよう・・・ゴザイマス」

扉を開けて、控え目に声を発します。
まだ彼女たちは住んでいるのでしょうか。

「今行きますね」

少し離れたところから女性の声。
しかし、その雰囲気は若いとは言えなかった。

('、`*川「はい・・・。あら?」

ああ。
私はこの人を確かに知っている。

しぃの、お母さん。

(゚、゚トソン「お久しぶりです。都村トソンです・・・。覚えていらっしゃるでしょうか?」

俯くようにして言ったそれに、彼女は笑みを見せた。

('、`*川「・・・!!もちろんよ。さあ、あがって。後ろの人は知り合い?」

そんなこんなで2人でお邪魔することに。
通された部屋には沢山の写真が貼られていました。



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:00:03.25 ID:UrGNDMiG0

('、`*川「トソちゃん・・・おっきくなったわねぇ」

(゚、゚トソン「いえ、そんな。・・・それで、急かすようで悪いのですが」

('、`*川「しぃのことでしょう?」

おばさんはどこか寂しげに笑います。
そして、近くに飾られていた写真を一つ手に取り、私に差し出すのです。

('、`*川「少し前に死んじゃったわ。・・・それが一番最近の写真」

(゚、゚;トソン「え・・!?死ん・・・・」

('、`*川「連絡しようにも出来なくて・・・。本当にごめんなさい」

( 、 ;トソン「いえ・・・、謝らないで。どうか、謝らないでください」

もう会えない。
その言葉の意味を認めたくありませんでした。

いやな事を押し込めるのは悪い癖なのでしょう。
それでもこればかりは、押し込めていたかった。



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:02:13.15 ID:UrGNDMiG0

('、`*川「・・・私が言うのもなんだけどね、彼女、人気者だったのよ」

おばさんの話に、耳を傾けます。

('、`*川「贔屓目なしに見ても、可愛かったわ。年々それが増していくの。
     明るかったし、そこらを歩けば声を掛けられてね」

( 、 ;トソン「・・・」

('、`*川「あの子の眼は砂時計だったの。少しずつ光がなくなってゆく」

しかもそれは台に固定されていた。
一度流れ出してしまえば、もう元には戻れない。

('、`*川「でもあの子が楽しそうにしていたのは、光があったからなのよ」

幼い頃、彼女も言っていた。
思えば最後の会話の内容がそれだった。

('、`*川「あの子、目が見えなくなってもね、しっかりあなただけは見えていたわ」

それはつまり――――。

(;、;*川「あの子の光になってくれてありがとうね、トソちゃん」



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:04:00.78 ID:UrGNDMiG0

( 、 トソン「やめてください・・・」

(;、;トソン「お礼なんて、言わないでください」

私は咎められなければならないのに。
謝罪の言葉を吐き続けなければならないのに。

写真の中で笑う、見たこともない彼女に会いたかったのに。
会って一言言いたかった。

これから、昔みたいに仲良くできるかもと思っていた。
なのに、なのに。

(;、;トソン「うぁ、うう・・・ああぁ」

私とおばさんはそれから多くの涙を流しました。
慰めるように背を撫でてくれたモララー。

それでもこの胸の痛みは消えませんでした。

今の私にはみっともないなんて言葉は通用しないでしょう。
それほどまでに、大きなものを失ってしまったのです。



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:06:00.78 ID:UrGNDMiG0

('、`*川「ごめんね、こんな時間まで引きとめちゃって」

(゚、゚トソン「いえ、こちらこそ急に押しかけちゃって・・・。その上お昼までいただいて」

('、`*川「いいのよ。いつだって歓迎よ、私も、あの子も」

(゚、゚トソン「はい・・・。それじゃあ」

昼を少し過ぎたあたり。
私たちは彼女の家を後にしました。

ぼんやりと街を眺める私は、抜け殻のようだったに違いありません。

( ・∀・)「ねえ、花畑に行ってみようよ」

(゚、゚トソン「ええ、行ってみましょう」

彼の手を引き、街の外れまでやってきます。
全てが懐かしい。

花の季節が終わっているせいか、ほとんどが緑変わっていました。
それでも、ここにいたことは確かなのです。



68 名前:>>67 ×緑変わって  ○緑に変わって:2009/05/18(月) 00:08:27.51 ID:UrGNDMiG0

(゚、゚トソン「ここでこうして、座っていたんですよ」

彼にあの頃の二人を見せるように屈みます。

(゚、゚トソン「そして、こう・・・。花冠の造り方を教えてですね」

『これは何色?』

『それは青いよ』

( 、 トソン「こう・・・。ぎこちなかったですけど・・・」

( 、 トソン「確かに、2人で、ですね・・・」

『だって、私にはしっかりと光があるから』

( 、 トソン「こ・・・う・・・」

( -∀-)「我慢なんてしなくてもいいよ」

(;、;トソン「しぃが・・・。しぃが・・・!!」

私は彼の服を握りしめて、大きく声をあげました。
さっきすべて流したと思っていた涙は、まだまだ隠れていたようです。


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:11:03.54 ID:UrGNDMiG0

(;、;トソン「ごめん、しぃ・・・。ごめんね」

風が吹き、緑が静かに揺れます。

それが私を慰めているものなのかどうかは知りません。
しかし、それはとても優しく吹いていました。

『トソちゃん、あーそぼ』

眼を閉じれえばあの頃に戻れそうで。
でも結局はあの頃でしかなくて。

彼女もまた、私と仲直りがしたかったのでしょう。
そのために、夢にまで現れた。

私はただ、今は亡き少女に謝罪の言葉を投げるだけでした。



71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:14:15.67 ID:UrGNDMiG0

――――八月上旬。

帰って来てから一週間。
夏が本気を出し始めました。

私はと言うと、あの日からだらしない生活を送っていました。
アラームなどかけず、起きたくなるまで寝る。

蝉の声と、静かになるクラシックが心地いいのです。

( ・∀・)「ただいまー」

( 、 トソン「おかーえりーなさーい」

日光を浴びながら、リビングで横になる私。
体は起きても、何かをする気が起きなかったのす。

( ・∀・)「ねえ、これ見てよ」

(゚、゚トソン「なんです?」

ごろりと体を彼の方に向けます。
彼が持っているのは、様々な花の種に、それを育てるための土。



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:16:15.39 ID:UrGNDMiG0

(゚、゚トソン「・・・?」

( ・∀・)「トマトとか食べれた方が良かった?」

(゚、゚トソン「いえ・・・。ただ、何でまた急に?」

( ・∀・)「いやー。面白そうなの見つけてさ」

そう言って彼は財布から二枚のカードを取り出しました。

臓器提供意志表示カード。
それにはそう書かれていました。

何気なく裏を見ると、そこには既に名前が書かれていました。

片方のカードには「猫田 モララー」。
もう片方のカードには、「猫田 トソン」。

(゚、゚;トソン「え・・・?あの、これって?」

「ほら、眼球とか、提供すれば誰かの役にたつかなーって。
 だったら花とかたくさん見ておいた方がいいかなーって・・・」

後ろを向き頬を掻く彼。
普段とは違い、その口調は妙に落ち着きがありませんでした。



73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:19:50.70 ID:UrGNDMiG0

(-、-トソン「ムードも何もあったものじゃありませんね」

「はは・・・」

結婚指輪の代わりがカード。
普通ならすぐにでも別れの言葉を叩きつけるのかもしれません。

それでも、やはり私たちには。
このようなものが一番似合っているのでしょう。

(゚、゚*トソン「仕方ありませんね。役にたつためですから」

( *・∀・)「それじゃあ!?」

(゚、゚*トソン「よろしくお願いします」

私は二枚のカードに丸をつけます。
囲まれた文字は「眼球」。

開けた窓からは風が入り込みます。
花を育てようとしたのは、きっとたくさん眼に焼き付けておきたかったからでしょう。

この美しくも、儚い風景を。



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:22:45.08 ID:UrGNDMiG0

私にとって彼女は、私の外側を照らす光でした。
彼女にとって私は、彼女の内側を照らす光でした。

その関係が、とても大きなものだったのだと、今になって思います。

(゚、゚トソン(春に、また会いに行きます)


私の眼を掬った人には見えるのでしょうか?
とても大きな花畑が。

小さな手が。
焦げ茶色のショートヘアーが。

今はもう見れない、屈託の無い笑顔が。

『眼が見えなくても平気』

風が吹けば、花が香れば、いくつもの言葉が浮かんできます。


幸せはいつだって、眼と花の先にあったのです。



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:24:00.29 ID:UrGNDMiG0


(゚、゚トソン 眼と花の先のようです (*゚ー゚)


   おしまい

76 名前: ◆1opJeO9WQk :2009/05/18(月) 00:27:24.79 ID:UrGNDMiG0
<あとがき>

支援感謝です
お疲れ様です

「目と鼻の先」と「眼と花の先」をかけたギャグタイトル
中身は温かホラーのつもり

最近寒いですね
風邪を引かないようお気を付け下さい

おやすみなさい

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:40:55.58 ID:t2kze2TrO
>>80
>私にとって彼女は、私の外側を照らす光でした。
彼女にとって私は、彼女の内側を照らす光でした。

ここがうまく受けとれなかったんだ…

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:47:02.75 ID:/6XUqeFVO
>>82
トソからしてみれば、しぃがいるから見るものすべてが楽しく思えた
しぃからしてみれば、何も見えなくてもトソが傍にいれば安心できた


みたいな感じですがどうも分かりにくいですね
そのうち、ブログでもう少し分かりやすく説きます



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