('A`)親父の背中、のようです |
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 14:44:34.33 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)
今年で27歳になる。 俺は独身。名前はドクオ。実にぴったりだ。 親元にいても迷惑がかかるし、一人都会に出てきた。 都会にきてやっていることも無い。 一人きりで家に篭っているだけ。 そろそろ食糧も尽きる。 それが死を意味するのか、まだわからない。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 14:48:49.69 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)
古いアパートだ。 電車が走るとずいぶん揺れる。 ガタンゴトン、ガタガタガタ 家が崩れんばかりに揺れる。 ('A`)「はたらかねーと」 財布の中を覗く。 所持金は700円。 ここに来たときに必死で貯めた20万円も、いつの間にか消えた。 ('A`)「・・・コンビニいくか」 俺は椅子から立ち上がり、ドアに向かった。 部屋が薄暗いので、転びそうになるが、何とか持ち直す。 ガチャ
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 14:51:48.66 ID:QSYEDE7C0
- ("A")「やばい」
すごく眩しい。 目がくらむ、とかそんなレベルではない。 もはや前は見えていない。 目が慣れるのに十数分はかかった。 ('A`)フゥ ふらふらと、俺は線路沿いの道を歩き出した。 俺の見た目は、多分どこぞのホームレスのようになっているはずだ。 水道が止められているので、洗濯できない。風呂は入れない。 ('A`)オェッ 自分でえづいた。情けない。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 14:57:04.80 ID:QSYEDE7C0
- テロテロテローン
―――『VIP☆STOP』 ('A`)「タウンッワーック、タウンッワーックッ、シゴートシゴト」 コンビニに入るなり、俺はアルバイト情報誌を探す。 ('A`)「あったあった」 俺は一部拾い上げると、飲み物の棚に行く。 周りが俺のことを見ている気がする。 そりゃ、こんな格好みたら誰でも驚くわな。 『小岩井おち○ぽミルクと珈琲』 飲み物をレジに持っていき、百円玉を取り出す。 「100円になりまー」 ('A`)ハイ 「お預かりしまー」 「レシートお返ししまー」 ('A`)テクテク 「ありがとーございまー」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 15:01:43.64 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)テクテク
アルバイト情報誌を読みながら、線路沿いを歩く。 コンコンコンコン・・・ 踏み切りの音。 ガコッガコッガコッ シュゴォオオオォオォオ 電車の音。 ('A`)ジュルルルルル ストローの音。 やがてアパートに着く。 アパートから徒歩5分の距離にコンビニがあるのはとても便利だ。 ('A`)「072号室、っと」 鍵を開け、中に入る。 ゴミ臭い。ホコリ臭い。男汁臭い。 ('A`)オェッ
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 15:04:58.70 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)「警備員、は今やってるな」
('A`)「コンビニ店員、人コワイ」 ('A`)「刺身たんぽぽ、俺がやっても面白くない」 ('A`) まあ、いつもと同じ調子で、働く気など起きない。 こんなダメ人間を作ってくれたお父さんお母さん、僕はとても不幸です。 トゥルルルルルル ここ5ヶ月なることの無かった電話のベルが鳴った。 ガチャ ('A`)】ハイ
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 15:08:16.25 ID:QSYEDE7C0
- 「ドクちゃん?お母さんだけど」
('A`)】「うん」 「お父さんが倒れのよ」 ('A`)】「うん」 ('A`)】 ('A`)】「え?」 「お父さんが倒れたの!急だったから取りあえず連絡したんだけど」 ('A`)】「あー、うん、わかった、行く」 俺はカーチャンから病院の場所を聞き、出かける準備をした。 ('A`)】「そうか、親父も歳だもんな」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 15:10:47.34 ID:QSYEDE7C0
- 残りの600円で風呂に入り、服もある程度整える。
カーチャン、電車賃ありがとう。 ---- --
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 15:16:57.96 ID:QSYEDE7C0
- 親父は、いたって健康だった。
医者によると、単なるギックリ腰だとか。 それは倒れた内に入るんだろうか、とも思ったが、口に出すのはやめた。 J( 'ー`)し「ドクちゃん、ご飯食べてる?」 ('A`)「あんまし」 J( 'ー`)し「仕事は?」 ('A`)「クビになった」 J( 'ー`)し「・・・・そう」 親父がのんきに寝ているそばで、俺とカーチャンが話している。 カーチャンは、俺のことを責めもせず、ただ静かに微笑んだ。 J( 'ー`)し「ごめんね、大したことなかった」 ('A`)「いいよ。なんとも無くてよかったじゃない」 俺とカーチャン、そして眠る親父の間に、ほんの少しの静寂が訪れる。 苦労をかけているのは、紛れも無く俺の方なのだ。 今さら親に当たれないし、今さら謝れない。 ('A`)
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 15:24:28.28 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)
親父、という生き物を理解したのは、幼稚園の頃だっただろうか。 その頃は背の高い親父なんて周りにはいなくて。 他の奴の親が見上げるほど背の高かった親父は、俺の自慢だった。 いつも格好いい親父だった。 ('∀`)「トーチャン!肩車!」 _ ( ゚∀゚)「おうおう!乗れドク!」 背の高い親父の肩車は、まるで展望台のように周りを見渡せた。 塀の向こうの犬が見えて。天井の染みが間近に見えて。 親父の石頭を掴みながら、落ちないようにはしゃいでいた。 友達が、親父を格好いいと言うから、さらに俺にとってのヒーローになった。 ---- --
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 15:30:39.30 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)
だが頑固で厳格な親父は、俺が歳を重ねるにつれ、鬱陶しい存在になっていった。 _ (#゚∀゚)「ドク!お前またこんな点数取りやがって!」 ('A`)「うるせーな・・・」 _ (#゚∀゚)「ああ!?開き直るかお前えぇえぇ!!」 それに少々ヒステリックときたもんだ。 反抗期の俺はそれが鬱陶しくて、何度か家を飛び出した。 まあ、根性の無い俺のことだから、腹が減って家に帰ってきて、 親父にボッコボコにされていたのだが。 無邪気に格好いいなんて、思うことができなくなっていた。 歳を重ねると、だんだん心が濁ってくる。くすんでくる。 ---- --
- 21 名前:再開:2009/06/27(土) 15:44:13.81 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)
で、現在俺はニート。 散々親父に刃向かっといて、結局このザマだ。 親父は俺と顔を合わせないようになったし、俺も居づらいから家を出た。 話を聞けば、俺がときどき貰っていた仕送りは、親父が身体に鞭打って稼いだ銭らしい。 そうなればなおさら情けなくなってくるから困る。 ---- -- J( 'ー`)し「・・・ドクちゃん」 ('A`)「はい」 J( 'ー`)し「お父さんね、色々いってるけど、心配してるのよ」 ('A`)「・・・・そうか」 俺はそれだけ言うと、病室を出ようとした。 J( 'ー`)し「何処へ行くの?」 ('A`)「帰るわ。俺も仕事探さないと」 もっともらしい理由を述べて、ここから逃げようとした。 本当は、自分が情けなくなってきたからだというのに。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 15:49:09.59 ID:QSYEDE7C0
- J( 'ー`)し「これ」
カーチャンは、茶封筒を差し出した。 ('A`)「何これ」 J( 'ー`)し「生活大変でしょ?お父さんが渡せって言ってたのよ」 ('A`)「そーか」 俺は茶封筒を受け取って、病室のドアを開けた。 ('A`)「親父に礼言っといて」 バタム ---- --
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 15:54:33.62 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)
帰りの新幹線の中で、俺は考えていた。 親父は俺のことを嫌っていると思っていた。 しかし親父はわざわざ俺のために働いて。 今回のケガだって、結局は俺の為だった。 何でだろう。どうしてだろう。 考え出すとキリが無い。 俺はアルバイト情報誌を片手に、眠った。 ('A`)ハッ 寝すぎた。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 15:55:33.67 ID:QSYEDE7C0
-
―――『3週間後』
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 16:03:12.59 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)イラッシャイマセー
俺はコンビニでバイトを始めた。 別に親父に敬意を表して、とかではない。 生活のためだ。 ('A`)100エンカラオアズカリシマース 一日レジに立っていると、色々な人が来る。 ムカつく顔した女子高生とか、口がポカンと開いた老人とか。 みんな流れるようにしてこのコンビニを訪れ、そして去っていく。 言ってみれば工場のベルトコンベアみたいなもんだ。 流れてきて、用を済ませて、流れていく。 いわゆる中間地点。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 16:07:12.54 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)
昨日も、今日も、明日も。 同じ場所、同じ作業。 さて今日も一日頑張りますか。 / ,' 3「ほっほ!ほほっほ!ほほほ!ほほ!」 ('A`) 何か来た。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 16:12:05.20 ID:QSYEDE7C0
- / ,' 3「うほほほほほ!久々のコンビニぃぃぃぃぃ!」
('A`) やばい。 確実にイッてる。 何がイッてるって、行動が。 / ,' 3「ふひひひひひひひひ!!!うっほーぃぃぃいいい!!」 ポイーン ポイーン ('A`) ほら、ジジイのくせに跳ね回って。 しかも何か呪文唱えてる。 / ,' 3「~~~~~~~」←呪文的な何か 警察呼ぼうかな / ,' 3「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」 やっぱりいいや。
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 16:16:39.95 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)
変なのが去って行ったよ。やったね! / ,' 3 そうでもなかった。 ('A`)「御用ですか?」 / ,' 3「ブサイクに用は無いわ」 ('A`)。0(死ね) ああややこしい。本当に警察呼ぶぞちくしょう。 / ,' 3「警察は遠慮するわい」 ('A`)「呼びますからちょっと待ってくださいね」 / ,' 3「OK分かった坊主。少々ばかり待て」 よく分からないジジイはレジの前を陣取った。 他の客が俺のいるレジを避けていく。 ('A`)
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 16:21:13.74 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)「はい。で何なんですか?」
/ ,' 3「まあ今日は坊主、貴様と話しに来たのじゃよ」 ('A`)「帰ってください」 / ,' 3「ここで糞をぶちまけるぞ」 ('A`)「どうぞ」 流石に公衆の面前で糞の放出を見る趣味もないので、とりあえず話を聞くことにしました。 / ,' 3「この辺に」 ('A`)ハァ / ,' 3「安くて楽しい」 ('A`)エェ / ,' 3「セクキャバはないかの」 (#'A`)「帰れジジイ!サツ呼ぶぞ!」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 16:25:03.62 ID:QSYEDE7C0
- / ,' 3「おうおう。最近の若いのは冗談を知らんの」
ジジイはムカつくほど頬を膨らませて言う。 (#'A`)「冗談になってねーんだよ!営業妨害だわ!」 / ,' 3チェー こちとら給金を貰うために働いてるというのに・・・ 今日は厄日だな・・・ / ,' 3「わしはこの辺のホームレスじゃよ」 ('A`)「聞いてないし大体予想できてる」 / ,' 3チェー ('A`)ウゼェ・・・
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 16:34:33.48 ID:QSYEDE7C0
- / ,' 3「坊主、貴様親不孝もんじゃの」
('A`)ピク ('A`)「なに言ってるジジイ」 コイツエスパーじゃないのか? / ,' 3「親父さんが苦しい思いして育てたというのに・・・ ほんに、最近の若いのは親心を知らんの」 ('A`)「よく分からんぞジジイ」 / ,' 3「ぎっくり腰で入院というのに金だけ貰って帰ってくるとはの。 ふぉっふぉ」 ('A`) 何で、コイツがそんなことを知っている? 俺に血族は両親だけだぞ? おかしい。何かがおかしい。 / ,' 3「ふぉっふぉっふぉ!冗談じゃよ」 ('A`)「やっぱり警察呼ぶ」 / ,' 3「冗談だというに!待て!落ち着け!」 ('A`)ウゼェ・・・
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 16:41:22.52 ID:QSYEDE7C0
- / ,' 3「あながち間違いじゃなかったようだしの!」
('A`)「うるせー早く帰れジジイ」 / ,' 3「でものぅ坊主」 ('A`)「・・・・・・」 / ,' 3「愛を持たずに子を叱る親なんておらんのじゃよ」 ('A`)!? / ,' 3「じゃあの。親父さんと向き合ってみることじゃ」 ジジイはそれだけ言い残して店を出て行った。 不気味だ。エスパーだ。 でもそれ以上に。 ジジイは俺の心を見透かしていて、 俺の思っていることの答えを伝えに来たのではないのか? 俺は散らかったレジの周りを片付け、商品の整理に行った。
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 16:46:00.45 ID:QSYEDE7C0
-
―――『さらに1ヶ月後』
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 16:51:07.93 ID:QSYEDE7C0
- あのジジイの言っていたことは、すっかり頭の中から消えていた。
('A`)ラッシャーイ 俺の接客も板についてきた。 ('A`)ラッシャーイ マルボロ? ラッキーストライクデガマンシナ そんな時だった。 ドタドタドタドタ! / ,' 3「ひゃぁあああああああああああ!!!!!」 ガッシャアアァアァアァン ('A`) また来やがった・・・
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 17:03:08.21 ID:QSYEDE7C0
- / ,' 3「小僧オオォォォォオオオオ!!大変じゃ!!変態じゃああああああああ!!!」
('A`)「俺の視界に変態はジジイだけだぞ」 /#,' 3「ふざけとる場合じゃないぞ小僧!お前の親父さんがあああああ!!!」 ('A`)「ふざけてるのはお前だろ?何言ってんだよ」 /#,' 3「はよ行かんと死んでしまうぞ!」 ('A`)「うるせーなジジイ。ふざけて言ってんなら帰れ。警察呼ぶぞ」 /#,' 3「いいから戻れぇええ!!信じられなければ自分の親に連絡せえええええ!!」 ただならぬ事態。知らないジジイが息を切らして報告。 信じろという方が厳しいだろう。 だが、胸騒ぎがする。 コイツは以前、俺の心を読んだ。 まさか。そんなはずがない。 ('A`)「ジジイ」 / ,' 3「なんじゃ!はよせんと!」 ('A`)「嘘じゃねーんだな?」 / ,' 3「嘘じゃないわい!わしは人の死で遊ぶ人間じゃないわ!」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 17:14:52.28 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)フー
一瞬の空白の後、俺はコンビニを飛び出した。 まずは母に連絡をして確認。事実だった。 俺は急いで新幹線に乗った。 新幹線の車内で店長に連絡して、その旨を伝える。 (;'A`)。0(急げ急げ急げ急げ急げ急げ) 心臓が異常なほどに脈打っていた。 親の死に目など考えもしなかった。 だがしかし、今こうして直面している。 大好きだった親父の死が、 大嫌いだった親父の死が、 目前に迫っていると思うと、後悔する。 歳をとると、親の気持ちというのは分かる、なんて言葉を聞く。 まさかこんなことになってから分かるとは。 我ながら呆れる。情けない。 (;'A`)「クソクソクソクソクソクソクソ!」 ズボンを思い切り引っかく。ガリガリと無機質な音がする。 (;A`)「あああ、クソ、クソ!」 ジジイに言われたときに気付いてりゃ、親父に謝れたかも知れないのに! 愚か、愚か!死が近づかないと、人間は大事なものが分からない! 畜生、畜生、畜生畜生畜生畜生・・・
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 17:22:38.14 ID:QSYEDE7C0
- ―――『病院』
('A`)「ぜーっ、ぜーっ」 息も切れる、息も切れる。 運動なんてここ数年してなかったものだから、心臓が爆発しそうだ。 (;'A`)「すみません!長岡っておっさんの病室!」 ( ^ω^)「おっお、少々お待ちお」 パラパラ ( ^ω^)「072号室ですお」 ('A`)。0(オナn・・・今はいいわ) ブタマンみたいな看護婦短く礼を言って、階段を駆け上がる。 (;'A`)。0(エレベータなんか使ってられっか!) カツカツカツ、とリノリウムの床が鳴く。 ゼッゼッ、と俺の肺も鳴く。 ('A`)。0(何で072号室が17階なんだ畜生!) エレベータを使っておけば良かったと今さら後悔。 無い体力を搾り出して、俺は17階まで駆け上がった。
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 17:33:58.93 ID:QSYEDE7C0
- J( 'ー`)し「・・・・ドクちゃん」
(;'A`)「親父は!?」 J( 'ー`)し「まだ生きてる」 ('A`)「悪いんだろ?」 J( 'ー`)し「うん。癌って言ってたわ」 ('A`)「もう・・・手遅れ?」 J( 'ー`)し「お医者様が今検査してるわ もう少しで結果が分かるけど」 J( 'ー`)し「覚悟は、しておかないとね」 ('A`) 口がパクパクと動いているのだが、言葉が紡ぎ出せない。 巨大な恐怖と対峙したときのような感覚と、 新しい発見をしたときのような感覚とが入り混じる。 その不快感に、飲み込めないほどの吐き気を催した。 そしてそれを、同時に自分を責めることに転嫁した。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 17:43:32.34 ID:QSYEDE7C0
- (;A;)「あ、あ、あ」
ガキの頃の、悲しくなると口がポカンと開いて、 そこから嗚咽が漏れると同時に、涙腺から涙が漏れる感覚。 久しく感じていなかった感覚に、包まれていく。 (;A;)「あ、あわ、あああ」 みっともないといえばそこまでなのだが。 20代も後半の男が、もはや言い表しようがないほどガキに戻っていた。 (;A;)「うううあ!!ああああああああ!!」 自分はダメ人間だと思い込んで、 持っていた夢も投げ捨てて、 劣等感に身を委ねて逃げて。 周りの人間なんてまるで見ないで。 注がれる愛なんてまるで触れないで。 愛と憎しみを勘違いして。 ガキ臭い意地だけにしがみついて。 馬鹿を通り越して愚か者の境地だ。 ああ、ああ。 ごめんなさい、神様。 ゴメンナサイ、お母さん。 ゴメンネ、お父さん。 ('A`)
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 17:55:45.77 ID:QSYEDE7C0
- カラカラ ゴロゴロゴロ
親父がベッドごと帰ってきた。 (^o^)「検査をしたのですが」 J( 'ー`)し「はい」 (^o^)「特に転移も見られず、初期症状です。安心ですね」 J( 'ー`)し「は、はい・・・」 カーチャンが、ヘタリと腰をおろした。 俺は部屋の隅で頭を抱えていた。 (^o^)「無理は禁物です。息子さんもいらしてるようですし、 話し合ってみてください」 ペタペタ カラカラ 医者が出て行った後も、俺は頭を抱えていた。 親父が死ぬということも無く、ほっとするはずなのに、 幾らか取り払えぬ不安が胸を覆っていた。 (;A;)「うぐっ」 口にしたいのだけど、どうも言葉が見つからない。 というより、俺の深層心理が反抗している。 何だろ。
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 18:03:50.88 ID:QSYEDE7C0
- _
( ゚∀゚)「・・・・・・おうドク」 どれくらい経ったろうか。 親父が目を覚まし、俺に話しかけてきた。 ('A`)「・・・・・ああ」 _ ( ゚∀゚)「ちっとばかし無理しすぎたわ。 肩揉んでくれねーか」 親父はそう言うと、俺に背中を向けた。 ('A`) 親父の背中は、ムカつくほどに広かった。 俺の背中は頼りなくて、肩幅もなくて、ひょろりとしている。 俺の父親であるはずの親父の肩幅は、俺よりはるかに広い そこには何か俺には無いものがあった。 苦労とか、年月とか。 ('A`)「親父、あのさ」 _ ( ゚∀゚)「父、ってーのはなぁドク」 ('A`)コク _ ( ゚∀゚)「背中がでかくなるもんなんだよ」
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 18:11:22.81 ID:QSYEDE7C0
- _
( ゚∀゚)「親父、っていうのはな、 一般人には知れないほどの荷物を背負わなきゃいけねぇ。 それが家族ってやつだ」 ('A`) 俺は黙って親父の演説を聞いていた。 _ ( ゚∀゚)「おっ母へ愛を注がねばならん。 ガキにも愛を注がねばならん。 家族のために、他人に頭下げて仕事をせにゃならん」 ('A`) _ ( ゚∀゚)「それなのにちっせぇ背中してたらよぉ? 落っこちちまうだろ?荷物がよ」 ('A`)「あのよ、親父」 _ ( ゚∀゚)「おぅ。今日は怒らねぇから何でも言え」 ('A`)「俺には、あんたが俺を愛してたように思えなかったんだ」 _ ( ゚∀゚)・・・・・・ 親父は黙りこんだ。 しばらくの沈黙の後、口を開いた。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 18:18:49.17 ID:QSYEDE7C0
- _
( ゚∀゚)「あのな、ドク」 ('A`) _ ( ゚∀゚)「お前を愛してなきゃぁ」 _ ( ゚∀゚)「お前は今まで生きてねぇんだよ」 ('A`) _ ( ゚∀゚)「お前のために仕送りなんぞしねぇんだよ」 ('A`) _ ( ゚∀゚)「おっ母が泣いて止めるほど仕事はしねぇんだよ」 (;A`) _ ( ゚∀゚)「そこまでちっせぇ背中じゃあねぇ」 (;A;)「だってさ、いつも俺のこと頭ごなしに叱ってさ」 _ ( ゚∀゚)「いつも褒められたかったか? それなら今からでもやってやるぞ? お前がそれで楽しいならな」 もはや返す言葉もない。 家族を背負った人間の言葉は、重い。
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 18:27:13.93 ID:QSYEDE7C0
- (;A;)「親父」
_ ( ゚∀゚)「おう」 (;A;)「あどざ、俺ざ、いづも反抗しでざ」 _ ( ゚∀゚)「いつの話してんだ! んなことは今からでも清算できんだろ?」 (;A;)「うぐぅううぅ!」 顔中鼻水と涙だらけで、えらい汚い顔を晒している。 できれば今すぐに顔を洗いたい。 でも、今じゃなきゃ、親父と向き合えない気がする。 (;A;)「親父ぃ!今までごべんなざいぃ!」 _ ( ゚∀゚)「まったく、きったねえ顔だ! 顔洗って来い!」 (;A;)「うっ!うっ!」 親父に促されて、俺はトイレに向かった。 ---- --
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 18:30:41.03 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)フゥ・・・
ちょっとした失態だ。 お見苦しいところをお見せしました。 さて、病室に戻るか。 ---- -- J( 'ー`)し「おかえり、ドクちゃん」 カーチャンが、リンゴをむいて待っていた。 J( 'ー`)し「食べる?」 ('A`)「いいよ、親父に食わせてやりなよ」 _ ( ゚∀゚)「俺はリンゴ嫌いだぞ」 J( 'ー`)しシャクシャク ('A`)シャクシャク ('A`)「俺さ」 _ ( ゚∀゚)「おう」 ('A`)「親父の仕事継ぐわ」
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 18:37:09.75 ID:QSYEDE7C0
- _ ブッ
( ;゚∀゚)`;:゙;`;:゙;`;:゙;` ( ⊂彡 | | し ⌒J _ (;゚∀゚)「お前本気か!?」 ('A`)「ああ。俺も親父みたくなれるようにさ」 _ (;゚∀゚)「いや待て待て待て!早まるな!」 ('A`)「もう決めたからさ」 J( 'ー`)し「ドクちゃん、こうと決めたら変えないものね」 _ (;゚∀゚)「いや、俺はどうなっても知らんぞ!」 ('A`)「いいよ。構わんよ。 俺もなんか背中に背負える男になるからさ」 J( 'ー`)し「いいじゃない、お父さん」ニヤリ _ ( ゚∀゚)「俺は責任とらんからな!絶対だぞ!」 こうして、俺はちょっと遅めに人生を作り直すことにしたのでした。 ---- --
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 18:37:50.76 ID:QSYEDE7C0
-
―――『半年後』
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 18:40:04.85 ID:QSYEDE7C0
- ('A`)「仕事終わったー!」
川 ゚ -゚)「お疲れ。今日は早く終わってよかったじゃないか」 ('A`)+「これで今日はゆっくりクーと居られるってわけだ」 川 ゚ -゚)「この喪男め!」 アハハハハハハハハ 川 ゚ -゚)「ドクオ、君の背中は――」 ('A`)「おぅ?」
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 18:41:46.11 ID:QSYEDE7C0
- 川 ゚ -゚)「小さいけど、何かを背負えそうだな」
('A`)「そ、そうか?」 ('A`) ('∀`) ('∀`)親父の背中、のようです // FIN //
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 18:43:04.96 ID:QSYEDE7C0
-
( ゚∀゚)o彡゜後日談! 『ジョルジュが焦るほどの仕事場の実態』
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 18:46:29.57 ID:QSYEDE7C0
- _
( ゚∀゚)「はあああああああいいい!!それではああ!!!」 ('A`)「店長ー!おっぱい入りまーす!!」 _ ( ゚∀゚)「よおおおっしゃあああああああ!!!!!!」 ソォイッ _ ( ゚∀゚)「おっぱい小さなコも! おっぱい大きなコも! おっぱいがあることに意味がある!! さあてさてさて揉みましょおおお!! おっぱいタイムううぅううぅうっ!!開始いいいいいいい!!!」 『やっほおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』 ('∀`)「仕事って、気持ちいい!」 ---- --
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/27(土) 18:49:45.30 ID:QSYEDE7C0
- _
( ゚∀゚)「なあドク」 ('A`)「ん?」 _ ( ゚∀゚)「こんな仕事でよかったのか?」 ('A`)「だってさ、この仕事の存在もあっての親父だろ?」 ('∀`)b「だったら俺もそれを支えるよ!」 _ (;゚∀゚)。0(さすがにこれは俺の代で根絶やしにしておくべきだったぁああああ!!!) ('∀`)「おっぱい入りまーす!!!」 _ ( ゚∀゚)「まあ、親父としては嬉しいんだがな!!」 ┼ヽ -|r‐、. レ | d⌒) ./| _ノ __ノ ------------------ 制作・著作 うんこ
- 73 名前: ◆Cevuprut3U :2009/06/27(土) 18:51:55.87 ID:QSYEDE7C0
- はいごめんなさいお粗末さまでした。
ほんとうに精子ですごめんなさい。 今回はマジメな話をながらでどんなけ書けるか挑戦してみました。 俺には無理でした。 ながらでかける人は尊敬しますわ。 支援とかありがとうございました。 おちんぽみるk(ry 噴出しております。
- 80 名前: ◆Cevuprut3U :2009/06/27(土) 19:00:00.33 ID:QSYEDE7C0
- 川 ゚ -゚)は嫁候補ます。
そのへんは想像にお任せしてもいいと思うます。
- 82 名前: ◆Cevuprut3U :2009/06/27(土) 19:02:54.88 ID:QSYEDE7C0
- いつも、ちくわだの、たくわんだの
ふざけてばかりでごめんなさいます。、 今回わりとマジメに書いたます。 でもなんでだろう。途中で我慢できなくなりました。 反省しています。後悔はしていません。
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