mesimarja
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(´<_` )末者が想心を抱くようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:19:08.90 ID:3vSgplbG0
前の家を出てもう三日も経った。
当てもなく出て行ったものの、そろそろお腹が空いて力も出なくなりそうだ。

超能力があって良い事なのは、移動とマインドコントロールが出来る事くらい。
それ以外はあっても役に立たないし、暇つぶしにしかならない。

それに体力がないと超能力は使えない。
ほとんどの事を超能力でやっているから分からないけど
きっとすごく体力を使っているんだと思う。

(´<_`;)「力がでないじょ……」

夕暮れの街をふわふわ飛んでいたけど、もう限界だ。
ぽつぽつと付いている家の明かりが、何だかとても眩しく見える。

時々公園にいると、優しいおばあちゃん達がお菓子をくれる。
でもそれだけじゃ足りない。

本当に体力を付けるなら、ちゃんとしたご飯を食べないといけない。
何でもいいから、どこかの家に泊めてもらえればそこでご飯を食べさせてもらおう。

(´<_` )「今日はあの家に泊めてもらうじょ」

何て事はない小さな赤い屋根の家を見つけると
僕は残っている力を使って開いている窓から、こっそりと中へ入った。


(´<_` )末者が想心を抱くようです




3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:21:27.92 ID:3vSgplbG0

その家の中はとても暖かかった。
春風が吹く最近は、寒いと感じる事も少なくなったけど
やっぱり人の家に入ると暖かいと思うんだ。

家が放つ暖かさに安心したのか力が抜けて、ふわふわと床に着地した。

フローリングの床はとても綺麗で、ゴミ一つない。
恐らくリビングなんだろうその部屋は
そこにいるだけで落ち着くような雰囲気を感じた。

久しぶりの暖かさに力が緩む。
何も考えずにその場に寝転ぶと、目を閉じた。

(´<_` )「気持ちいいじょー……」

窓から入ってくる風がカーテンを揺らす。
ほんのちょっと前までは冷たい外にいたのが嘘みたいだ。
安心したせいで疲れが出てしまったのか、急に睡魔が襲って来た。

(-<_- )「んー……」

考えれば僕はまだ一歳児だ。
こうして普通の大人と変わらぬ頭脳と驚異的な能力を持っていても
身体はまだまだ子供で、体力なんてすぐになくなるのは当たり前だった。


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:23:34.10 ID:3vSgplbG0

少し寝てしまおうかな。
そんな事をぼんやりと考えていると、人の気配を感じた。

部屋の外、廊下から感じる足音。
パタパタと聞こえるその音は、きっと女の人のものだろう。

そう思う理由は特になかった。
でも今まで他の家にいた時も、最初に僕を見つけたのはいつだって女の人だった。

たまに男の人が見つける時もあったけど
それは男の人が一人で家に住んでいる時だけの話だ」。

後々の事を考えると女の人の方が都合がいい。
女の人の勘は時々超能力と使っているんじゃないかと思うくらい凄い物がある。
だから最初に見つかるのは女の人の方が楽なんだ。

ζ(゚ー゚*ζ「ちょっとー、早くお風呂入ってよね……あら?」

ドアからひょっこり出て来たのは、金髪の綺麗な女の人だった。
女の人がこの部屋に入ったと同時に香る、お腹をくすぐる良い匂い。
エプロンをしているところからして、きっとご飯を作っていたんだろう。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:25:47.72 ID:3vSgplbG0

女の人は僕を不思議そうに見つめている。
そりゃそうだ。気がついたら一歳の子供が家にいたなんて、普通なら驚くだろう。
それは今までも同じだったし、この女の人もそうだった。

ζ(゚ー゚*ζ「えーっと……君どこから来たのかな?」

にこにこと笑いながら、ひょいっと女の人は僕を抱き上げた。
初対面なのに目に見えた警戒心を抱かないのは
きっと僕が子供だからだと思う。

だからこそ、みんな僕に隙を見せる。
その隙こそが僕にとっては最高の好機なんだ。

(´<_` )(おりぇの名前は末者だじょ……)

ζ(゚ー゚*ζ「え?」

テレパシーで女の人に僕の存在を認めさせる。
けれどそんな事をしなくても普通に話す事も出来るし、むしろそうした方が手っ取り早い。

でも普通の一歳の子がこんなにお喋り出来る訳がない。
いきなり話しかけたら驚いて、すぐに逃げてしまうんだ。
だから最初に接触する時は、いつもテレパシーを使っている。

ζ(゚ー゚;ζ「あなた……一体」

女の人の顔が恐怖へと変わっていく。
目が合ったその瞬間、僕は女の人の意識を飛ばした。


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:27:37.90 ID:3vSgplbG0

どうやってそうしたのかは分からない。
でも目が合った時に念じると、相手の意識を飛ばせる事は知っていた。
そうして相手が気を失っている時に、記憶の部分をいじる。

簡単に言えば、その人の中に僕という存在を植え付けさせる。
異質な存在から当たり前の存在にさせるんだ。

(´<_` )「……これで大丈夫だじょ」

眠っている女の人を起こす。
強いショックを与えた訳じゃないから、身体を揺らせばすぐに起きてくれる。
身体を何回か揺らして声を掛けると、女の人は唸り声を上げて目を覚ました。

ζ(゚ー゚*ζ「あれ……私……」

(´<_` )「ママ、大丈夫だじょ?」

女の人、ママを心配そうに見つめる振りをした。
ママは僕を見て一瞬、誰か分からないような顔をする。

ζ(゚ー゚*ζ「あなたは……」

(´<_` )「末者、末者だじょ」

ζ(゚ー゚*ζ「末者……」

(´<_` )「ママ、僕の事忘れたんだじょ?」


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:29:46.92 ID:3vSgplbG0

ママの目を見つめながら僕はママの心に介入した。
僕を疑う心をなくして、僕を受け入れさせる。

ζ(゚ー゚*ζ「……末者ね!」

(´<_` )「そうだじょ」

疑う事を忘れたママは、記憶の中に組み替えた僕の存在を受け入れてくれた。
愛おしそうに僕の事を抱き上げると、そのままぎゅうっと抱きしめてくれる。

本当なら嬉しいはずなのに、ちっとも嬉しくない。
それはママだからという訳じゃない。誰にされても嬉しいと思わなかった。

ζ(゚ー゚*ζ「忘れる訳ないじゃない、私の可愛い末者」

(´<_` )「ママ、お腹空いたじょ」

ζ(゚ー゚*ζ「待っててね、今作っている途中だから」

そういうとママは僕をソファーの上に座らせて、慌ただしそうに部屋から出て行った。
また一人になった僕は、さっきママの記憶に触れた時に見た物を思い出す。

ママに関係する人の記憶を全部いじならいといけない。
だから、どういった人達と、どういう接触があったのか知らないと駄目なんだ。



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:31:15.56 ID:3vSgplbG0

(´<_` )(……)

頭の中で映像になって、ママの認識している人を見る。
近所の人、ママのママやパパ。そして、僕より少し大きな女の子。

(´<_` )(ヘリカルちゃんっていうんだ)

多分ここに最初からいる、本当のママの子供なんだろう。
今まで入っていた家には、こんなに小さな子と一緒にいた事はなかった。
その家族の中に子供がいても、もう大きくなったお兄ちゃんやお姉ちゃんくらいしか見た事がなかった。

だからちょっと嬉しかった。
同じくらいの子と公園で一緒に遊んでいても
たった数時間だけしか僕の事を覚えてくれない。

みんな家に帰って一人になった公園は、どんな一人の夜よりも寂しかった。
太陽はまだ空に浮かんでいるのに、黒い魔物が離れてくれない。

魔物はいつだってやってくる。
忘れる事なんて出来ないし、忘れさせてくれなかった。

(´<_` )(……自分から出て行ったのに)

嫌な事を思い出してしまった。
忘れるように頭を振って、空中をふわふわと浮いて宙を飛び回る。
こうしていると、何も考えずにいられるんだ。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:33:38.92 ID:3vSgplbG0

上から見る部屋は下から見るのと違っていて
自分がとても大きな人になったような気分になる。

人から怖がられている超能力の中で、唯一好きな力だ。

(´<_` )「それにしてもおなかすいたじょー。ごはんまだかなー」

くるくると部屋の中を回っていた僕は、人の気配を察する事が出来なかった。
それほど考えていたのか、それとも疲れていたのか、はたまた両方か。
どっちにしても、ドアの隙間から僕を見ている小さな視線は確かに僕を捉えていたんだ。

(´<_`;)(ヤ、ヤバいじょ!)

ママとは違う、とても小さな子が上を見上げているのがここからでも分かる。
きっとあの子がヘリカルちゃんなんだろう。
はっきりとした姿は見えないけど、すぐにそうだと思った。

視線を向けられている方を見ると、ヘリカルちゃんと目が合った。
ヘリカルちゃんは驚いた顔をして僕を見ている。

嫌な汗が流れた気がした。
出来ればこんな事をしている姿は見られたくなかった。

大人の記憶は気にしないでいくらでも変えられるけど、子供の記憶は変えたくない。
凄くわがままな事だと思う。でも、何故か抵抗があった。

ヘリカルちゃんの目は、驚きから不安そうな色へと変化して行く。
隙間から見える唇は少し震えていて、でも何かを言いたそうに胸を溜めているのが伝わってくる。


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:35:34.38 ID:3vSgplbG0

ヘリカルちゃんが唇を噛み締めるのとほぼ同時に、目に決意が見えた。
大きな音を立ててヘリカルちゃんが部屋へ入ってくる。
風呂上がりなんだろう、濡れた髪に頬が少し赤らんでいた。

*(;‘‘)*「だ、だ、だ、誰ですか!」

うわずった声で僕に尋ねてくるヘリカルちゃん。
僕を見上げる目は相変わらず、僕をしっかりと見ていた。

(´<_`;)「……おりぇは末者だじょ」

今度はテレパシーは使わずに、自分の口で言った。
ふわふわとその場に降りて、今度は僕がヘリカルちゃんを見上げる。

*(;‘‘)*「どど、ど、どこから来たんですか!」

ヘリカルちゃんの手が少し震えていた。
心を除いてみると、とても大きな恐怖がヘリカルちゃんを捕まえているのを感じた。

でも、それでもヘリカルちゃんは僕の近くまでやってきて、こうして僕と近くでお話ししている。
僕の力を知って、それでも話す人は久しぶりだった。

(´<_`;)「秘密だじょ」

*(;‘‘)*「どうしてですか!」

(´<_`;)「だって言ったら誰かに言うかもしれないじょ」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:37:18.61 ID:3vSgplbG0

初めて人の家に転がり込んだ時は、超能力も気遣う事なく見せていた。
マインドコントロールだって使わなかった。使わなくてもいいと思っていたんだ。

でもその時、その家の人は僕をどこかへ連れて行こうとしていた。
白い服を着た大人達が、僕を大事そうに抱えて何か難しい事を話していた。
何を言っているのかはわからない。でも良くない事なのは分かって、すぐに逃げ出した。

それ以来、マインドコントロールを使って人の心を操るようになった。
悪い事なのは分かっているけど、そうしないと怖い目に合いそうで怖かった。

だから、ヘリカルちゃんがそう聞いて来た時も疑っていた。
力を見られただけで怖いんだ。これ以上本当の僕の事なんて言えるはずもなかった。

*(;‘‘)*「言わない! ヘリカルいい子だもん!」

でも、大きく首を横に振って言うヘリカルちゃんを見て、固くなった心が解かれた気がした。
同じ子供だからかな。ヘリカルちゃんの言う言葉に嘘は感じなかった。
完全に信じた訳じゃないけど、身を構える必要はないのかもしれない。そう思ったんだ。

(´<_` )「本当に?」

*(‘‘)*「うん! 約束だよ!」

指切り。そう言ってヘリカルちゃんは僕に小指を向けて来た。
にこにこ笑うヘリカルちゃんの中には、もう恐怖はなくなっている。
ヘリカルちゃんも僕と同じように、身構える事はやめたのかな。

ヘリカルちゃんの小指に、僕の小指を結ぶ。
たったそれだけなのに、なんだかすごくドキドキする。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:40:16.43 ID:3vSgplbG0

*(‘‘)*「ゆーびきりげーんまん、うーそつーいたらはりせんぼんのーます。ゆびきった!」

元気な声で歌うと、ヘリカルちゃんはゆっくりと指を離して僕を見る。
きらきらと輝く目は、新しい事を知りたがっている様だ。
さて、どこから話せば良いんだろう。

ζ(゚ー゚*ζ「ヘリカルー、末者ー。ご飯よー」

タイミング良くママの声が聞こえて来た。
僕とヘリカルちゃんはお互いに顔を見合わせて、ママに返事をした。

ヘリカルちゃんは首を傾げながら、ふわふわと浮かぶ僕の隣を歩いていた。

*(‘‘)*「ママはどうして末者のこと知ってるの?」

(´<_` )「後で言うじょ」

自分でもよく分からないからどう話せば良いのかわからない。
取り敢えずご飯を食べながら考えよう。
そう決めて、取り敢えず久しぶりのご飯を沢山食べようと思った。


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:42:56.15 ID:3vSgplbG0

ママの作ったご飯はとても美味しかった。
といっても、まだ子供の僕には細かくすり潰した小さなご飯を少しだけ。

それでもミルクとは違って歯ごたえがあって、味のある物を食べると
いつもよりお腹がいっぱいになった気がする。

*(‘‘)*「末者! 早くおいでよ!」

ヘリカルちゃんに引っ張られて、僕は二階の部屋に入った。
大きなクマのぬいぐるみにキャラクターの絵が描かれているベット。
部屋の中を見てすぐに、そこがヘリカルちゃんの部屋だと分かった。

電気をつけて、床の上に二人座る。
ヘリカルちゃんは可愛らしい目を大きくさせて、僕の事を見ていた。

*(‘‘)*「あのね、えっとね。うーん、何から話すんだっけ?」

(´<_` )「おりぇの事だじょ?」

*(‘‘)*「そう! あのね、ヘリカルいっぱいいっぱい考えてるの!いっぱい末者とお話しようと思ってるの!」



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:45:11.89 ID:3vSgplbG0

ご飯を食べている間、色々な事を考えていた。
例えばママの事をどう説明すればいいのかとか、どこまで僕の事を話せばいいのかとか。
とにかく僕はヘリカルちゃんと話す事に色々準備と心構えをしていた。

けれどどうしてだろう。
きらきら光るヘリカルちゃんの目を見ていると、固めていた心が柔らかくなっていく。
自然と笑みを浮かべる事が出来たんだ。

(´<_` )「いいじょ、何でも答えるじょ」

*(‘‘)*「じゃあね、末者はどこから来たの?」

(´<_` )「覚えてないじょ。でもここの近くじゃないじょ」

*(‘‘)*「それじゃあ末者は遠いところから一人で来たんだね」

(´<_` )「そういうことだじょ」

*(‘‘)*「あとね、どうしてママは末者の事知ってたの?」

さっきまでずっと考えていた事をまた聞かれた。
難しい事を考えるのは止めよう。
そう決めると、自然と思っていた事が口からこぼれ落ちて来た。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:47:49.38 ID:3vSgplbG0

(´<_` )「超能力を使ったんだじょ」

*(‘‘)*「へー! ちょーのーりょくってすごいね!」

(´<_`*)「それほどでもないじょ」

*(‘‘)*「ね、どうして末者はちょーのーりょくが使えるの?」

(´<_` )「わかんないじょ、生まれた時から使えてたじょ」

*(‘‘)*「じゃあね……うーんと、末者はどうやってお話できるようになったの?」

(´<_` )「わかんないじょ、気がついたら話してたじょ」

*(‘‘)*「そうなんだ! じゃあね、えっとね……」

目を輝かせながら、ヘリカルちゃんは僕に色んな事を聞いて来た。
好きな物は何、お空を飛ぶのってどんなかんじ、。
そんなとりとめもない質問に僕は一つ一つ素直に答えていった。

*(‘‘)*「えへへ、末者とお話できて嬉しいな」

(´<_` )「じゃあ今度はヘリカルちゃんの事教えて欲しいじょ」

*(*‘‘)*「うん!」


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:49:20.02 ID:3vSgplbG0

ヘリカルちゃんのパパは遠くでお仕事をしている事。
ヘリカルちゃんは幼稚園に通っていて、ひまわり組な事。

心を覗けば分かる事を口に出して聞くのは久しぶりだ。
ママの記憶を見て知っている事も、もう一度確認して噛み締めるように覚えて行く。
たどたどしいヘリカルちゃんの言葉を聞いているだけでワクワクする。

そういえば最後に色々な話を聞いたのはいつだったっけ。
そう考えて記憶の奥を探っても、もう思い出せなかった。

(´<_` )「そうだ、ヘリカルちゃんにお話があるんだじょ」

*(‘‘)*「ん? なーに?」

完全にヘリカルちゃんを信用しようと思った僕は
ヘリカルちゃんに僕の力にについて詳しい事を教えようと思った。

(´<_` )「超能力は一度にたくさんの人を動かす事が出来ないんだじょ。
    だから僕を知っているのはヘリカルちゃんとママだけなんだじょ。
    でも他の人は僕の事を知らないじょ。知られたら大変な事になるんだじょ」

*(‘‘)*「んー……むずかしいよぉ」

首を傾げてしまったヘリカルちゃんに、僕もつられて首を傾げた。
僕はなんとなくわかっていても、ヘリカルちゃんは全然わからない。

どうにかしてわかりやすく伝える方法はないか。
考えに考えた結果、秘密にしてほしい事だけを言うことにした。


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:51:41.40 ID:3vSgplbG0

(´<_` )「えっと……ママとヘリカルちゃん以外の人に僕の事がバレたら大変なんだじょ。
    だから秘密にしててほしいんだじょ」

*(‘‘)*「そっかぁ。じゃあまたゆびきりがふえたね!」

ヘリカルちゃんはそう言って、嬉しそうな顔をして僕に小指を差し出した。
その動作だけで何をしようとしているのか理解した僕は、差し出された小指に自分の小指を絡めた。
僕より少し長いヘリカルちゃんの小指がぎゅっと握る感覚に、またドキドキした。

*(‘‘)*「ゆっびきりげーんまーん、うそついたらはりせんぼんのーます、ゆびきった!」

さっきと同じように大きな声で指切りの歌を歌う。
さっきと違う所は僕を見るその目が明るく、その表情が柔らかい事だ。
はにかんだように笑いながらヘリカルちゃんはとても可愛いくて、ほっぺたが熱くなった。

ζ(゚ー゚*ζ「ヘリカル、そろそろ寝る時間よ」

ゆっくりと開かれたドアの間からママの顔がひょっこり出て来た。
時計を見るともう九時。随分と話し込んでいたみたいだ。

僕を抱き上げるママに、ヘリカルちゃんは不満そうな顔をする。
頬を膨らませながら唇を尖らせて、ママの足下でやだと駄々を捏ねている。

*(‘‘)*「えー、もう少しだけいいでしょー」

ζ(゚ー゚*ζ「駄目よ、明日も幼稚園でしょ」

*(‘‘)*「むー」


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:53:18.95 ID:3vSgplbG0

幼稚園、という言葉を聞いたヘリカルちゃんはしぶしぶ納得する。
それでもどこか納得いかないようで、すこし拗ねていた。

納得しきれていないヘリカルちゃんを見て、ママが腰を落としてヘリカルちゃんの頭を撫でた。
ヘリカルちゃんと同じ目の高さになったママは、優しくヘリカルちゃんに話しかける。

ζ(゚ー゚*ζ「また明日遊べばいいじゃない。ね、末者」

(´<_` )「そうだじょ」

ママに同意するように、僕も言う。
ヘリカルちゃんは少し考えるように俯くと、ママの言う事を理解したらしく
ぱぁっと笑顔になって嬉しそうな顔をする。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:54:55.81 ID:3vSgplbG0

*(‘‘)*「そうだね! また明日があるもんね!」

ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、じゃあ早く明日になるために寝ないとね。おやすみヘリカル」

ママは僕を抱きかかえている方とは別の、空いている腕でヘリカルちゃんを抱きしめる。
その姿を見て、何だかとても寂しくなった。
僕もママに抱きしめてもらっているのに、何だか一人遠くに感じたんだ。

小さな声でママにおやすみなさいと言うと
ヘリカルちゃんはママから離れてベットへと飛び込んだ。

部屋の電気を消して、ママに抱きかかえられて部屋を出る直前
ベットの中へ潜り込んでいたヘリカルちゃんが突然起き上がると、僕に向かって手を振った。

*(‘‘)*「末者、おやすみ! また明日!」

暗くてよく見えないけど、きっとヘリカルちゃんは笑っているんだろう。
その声に返すように僕もおやすみと言うと、ヘリカルちゃんよりもずっと小さな手を振った。


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:57:06.10 ID:3vSgplbG0
その日の夜は、昔ヘリカルちゃんが使っていたベビーベットを借りて眠った。
近くにママがいるのに、何故か寂しい。
その寂しさの理由はなんとなくわかっていた。

(´<_` )(家族……)

今まで潜り込んで来た家と決定的に違う点。ここにはもう家族が出来ている事だ。
そこに僕が入り込んだ。マインドコントロールと超能力を使って家族の一員になった。
けれどそれでも遠い。完成された家族に入った事で、更に寂しさがこみ上げて来た。

(´<_` )(……僕の家族は、どうしてるんだろう)

遠い記憶の彼方にある家族の姿。
今はもうぼやけて、はっきりと思い出せない記憶。
あの家族の中にいる間、僕はどんな顔をしていたんだっけ。

(´<_` )(…………もう関係ない話だじょ)

考えれば考えるほど寂しくなる。
考える事を止めて寝よう。きっと疲れているだけなんだ。

頭の中を空っぽにして目を閉じると、すぐに睡魔が襲ってきた。
心地の良い眠気にまかせるままに意識を手放す。

『明日もいっぱい遊ぼうね!』

(-<_- )「あそぶじょ……むにゃむにゃ……」

夢と現実の狭間に見た幻想に幸せな気分になって
僕はそのまま眠りに落ちた。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 02:59:26.62 ID:3vSgplbG0

それから暫くはとても楽しい日々が続いていた。

朝、ヘリカルちゃんが幼稚園バスに乗って出かけるのをママと一緒に見送る。
昼までの間は、ママが家事をやっている隣で一人遊んでいた。
時々ママに気付かれないように家事の手伝いなんて事もやったりしている。

お昼ご飯を食べた後は、ヘリカルちゃんが帰ってくるのを待つ。
後は眠くなるまで、帰って来たヘリカルちゃんとずっと遊んでいる。

たまにヘリカルちゃんが友達と遊びに行っちゃう時もあるけど
夕方になればすぐに帰って来てまた遊べるから、寂しくない。

ζ(゚ー゚*ζ「ヘリカル、パパから電話よ」

*(*‘‘)*「本当!? わーい! 貸して貸して!」

一人になるよりも、ヘリカルちゃんと遊べない事よりも
ヘリカルちゃんとママと、遠くにいるパパが仲良くしている所を見るのがずっと寂しい。

マインドコントロールは遠くにいる人にまで飛ばす事は出来ない。
だからパパは僕の事を知らない。僕は顔も見た事のないパパと話す事はなかった。

ママに抱かれているのに、間違いなく家族の輪の中にいるのに。
時々、どこかでここにいるのは間違っていると言われているような気がして溜まらなかった。


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:01:17.36 ID:3vSgplbG0

僕がこの家に来て二週間と三日経った時の昼。
ヘリカルちゃんの幼稚園がお休みと言って、
朝から僕たちはヘリカルちゃんの部屋で仲良く遊んでいた。

ママは買い物へ出かけていて、僕らはお留守番。
色んな事をして遊んで、さぁ次は何をしようか。

そんな事を考えているとヘリカルちゃんが部屋にいた大きなぬいぐるみをだっこして
僕の前に勢い良く転がり込んで来た。

*(‘‘)*「おままごとしよ!」

転んだ拍子に床に顔を擦ってしまったのか、頬か少し赤い。
けれどヘリカルちゃんはそんなもの気にもせずにニコニコ笑っている。

(´<_` )「いいじょ」



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:03:08.94 ID:3vSgplbG0

ヘリカルちゃんより大きなくまのぬいぐるみがお父さん。
ヘリカルちゃんがお母さん。そして僕が赤ちゃんになった。
仕方ないと言ったらそれまでだけど、僕としてはお父さんをやりたかった。

台所にあったママのエプロンを付けてヘリカルちゃんは僕をだっこした。
これじゃあ本当の赤ちゃんみたいで恥ずかしくて、あまりいい気分ではなかった。

*(‘‘)*「末者顔あかーい」

(´<_`*)「気のせいだじょ……」

*(‘‘)*「えへへー。さぁ、早く食べないとパパもご飯待ってるわよ」

小さな椅子に座っている大きなぬいぐるみ。
その前にはおもちゃのお皿とコップが三人分。
僕はくまのぬいぐるみの隣に、ヘリカルちゃんは僕の隣に座っている。

*(‘‘)*「それじゃあみなさん、いただきまーす」

(´<_` )「いただきますだじょ」

*(‘‘ミ●ω●彡「いただきますだくまー」

僕に続いて大きな声で言うそれは、くまのぬいぐるみの役をしたヘリカルちゃんの声。
お皿を持ってご飯を食べる真似を二人でする。

時々ヘリカルちゃんが僕の方を向いて、食べ零しを拭う手振りをしてくれた。
やっぱり恥ずかしくて、してくれた後はそっぽを向いてしまう。


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:04:54.72 ID:3vSgplbG0

どうしてだろう。あまり子供扱いされたくないのはずっと前からだったけど
ヘリカルちゃんには、今まで一緒にいた人の誰よりも子供扱いされたくない。
どうしてこんな気持ちになるのか、それはわからなかった。

*(‘‘)*「末者ぁ。ぼーっとしてどうしたの?」

(´<_` )「何でもないじょ」

*(‘‘)*「本当に? ママ末者がふりょーにならないか心配だなー」

(´<_`;)「……」

どこでそんな言葉を覚えているんだろう。
まるでどこかのホームドラマで、幸せな家族が冗談で言いそうな事を言って来た。

多分ふりょーの意味はわかっていないに違いない。
ぼうっとしていただけで不良予備軍に慣れるなら、この世界の大半の人が不良予備軍だ。

*(‘‘)*「ねぇ、パパもそう思わない?」

パパと声をかけられたぬいぐるみは、当然ながら何も言わない。
一人二役をしていたのを忘れているのか、
ヘリカルちゃんがくまのぬいぐるみの声を真似る事はなかった。

ヘリカルちゃんは何も言わないぬいぐるみの返答を待っていたが
突然何かを思い出したかのように、あっと声を上げた。

*(‘‘)*「そうね! パパはめがねがないといけないんだったわ!」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:06:58.18 ID:3vSgplbG0

(´<_` )「ほへ?」

*(‘‘)*「ちょっと待っててねパパ。めがね持ってくるから」

どうやらヘリカルちゃんの中ではパパは眼鏡をかけているものらしい。
という事は、ヘリカルちゃんのパパも眼鏡をかけているのかな。
何となくそう思いながら、眼鏡を探すヘリカルちゃんの背中を見ていた。

*(‘‘)*「あった!」

そう言って掲げた物は眼鏡じゃなくてサングラスだった。
でもこういうのは多分言っちゃいけないんだろうな。

楽しそうにスキップをしながらヘリカルちゃんはぬいぐるみに抱きついた。
動かないくまのぬいぐるみに、優しくサングラスをかけさせてあげている。

*(‘‘)*「はい、パパどーぞ」

『ほら、さっさととりな』

(´<_`;)「……!」


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:08:35.47 ID:3vSgplbG0

何だろう、今の感覚。
頭の中で何か思い出させるような光が頭の中で瞬いて、すぐに消えてしまった。

一瞬頭の中を駆け抜けた、一人の女の人。
何故か思い出すと震えが止まらなくなるけど、懐かしさを感じさせる人。
あの人は、誰だっけ。

*(‘‘)*「どうしたの、末者?」

『どうしたのじゃ、末者』

確かにヘリカルちゃんが僕の事を呼んでいるのに、別の声が聞こえて来た。

ヘリカルちゃんよりも少し大きな女の子。
茶色の髪をした女の子が僕の中で笑っている。

それだけじゃない、青と緑の良く似た人。
金髪の綺麗な、格好いい女の人。
頼りないけど、応援したくなるような大きな背中をした男の人。

『OK、ブラクラゲット』

『流石だな兄者』

『流石ね私、今日も素敵よ』

『私サラリーマンンンンンンンンン!』

( <_ ;)「……っ」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:10:24.61 ID:3vSgplbG0

懐かしくて、暖かくて、とても痛い。
思い出せない訳はない。けれど、思い出せば辛くなる。
無理矢理記憶を封じ込めていたのに、どうして今になって思い出したんだろう。

『「末者」』

もう誰の声かもわからない。
恐怖から目を瞑って俯いていると、誰かが僕を抱きしめてくれた。

暖かいぬくもりに混乱していた頭が落ち着いていくのがわかる。
ゆっくりと目を開くと、視界いっぱいに広がるのは緑色の髪。
僕を抱きしめてくれるヘリカルちゃんは、泣きそうな顔をして僕を見ていた。

*(‘‘)*「大丈夫?」

(´<_`;)「あ……」

大丈夫、そう言いたかったのに言葉が出てこない。
何も言わない僕に何を思ったんだろう。ヘリカルちゃんの表情はますます曇って行く。


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:11:55.28 ID:3vSgplbG0

僕から離れると、ヘリカルちゃんは俯いてしまった。
笑った顔ばかり見ていたから、ヘリカルちゃんにこんな顔をさせてしまった事が悲しくて
気がつけば僕まで俯いてしまっていた。

*(‘‘)*「ごめんね、ままごといやだったね。ごめんね」

(´<_`;)「ち、違うんだじょ。ヘリカルちゃんが悪いんじゃないんだじょ」

*(‘‘)*「でも、でも」

(´<_`;)「本当だじょ。ただ、思い出しただけなんだじょ」

*(‘‘)*「思い出した?」

(´<_` )「……家族の事を思い出したんだじょ」


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:13:17.33 ID:3vSgplbG0

ここよりも遠い所にいる僕の本当の家族。

鬼よりも怖い母者がいて、影も頭も薄い父者がいる。
美人なのに肉体的に母者の血を見事に引いているおっきい姉者がいて
家族の誰とも似ていないちっちゃい姉者がいる。

喧嘩ばかりしていたけど、大好きなおっきい兄者と
一緒におっきい兄者の暴走を止めていたちっちゃい兄者がいる。

そして、その中に僕がいた。

*(‘‘)*「ふぅん、そうなんだー」

家族の事を誰かに話すのは初めてだった。
今まで話す必要もなかったし、思い出すような事も何一つなかった。

*(‘‘)*「でも末者寂しくない?」

(´<_` )「寂しくないじょ」


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:15:35.89 ID:3vSgplbG0

この家で暮らすようになって、何度か寂しい思いをした原因はこれだ。
本当の家族の事を思い出して、寂しくなる。
けれど僕が寂しいと思う資格はないんだ。

*(‘‘)*「どうして?」

(´<_` )「……僕がいない方がいいからだじょ」

その言葉を言った瞬間、僕の中の何かがはじけ出した。
気がついたら思っていた事を全部吐き出していたんだ。

(´<_` )「超能力を持った赤ちゃんなんておかしいじょ。
     周りの人だって、おかしいって言ってたんだじょ。
     だからきっとみんなも僕の事おかしいって思ってるんだじょ」

本当のことを言うと、家族のみんながどう思っているかなんて知らない。
他の人の心はすぐに覗けたのに、どうしても家族の心は覗けなかった。
本当に僕の事を嫌っていたら。そう思った途端に怖くなるんだ。

(´<_` )「僕みたいな悪い子がいない方が、みんな幸せだじょ」

だから家族から僕の記憶を消して来た。
僕に関する全ての事を忘れさせて、家を飛び出した。

居心地が悪かった訳じゃない。
みんなが嫌いだった訳じゃない。

みんなから貰う幸せと、周りの悪意に耐えきれなくて逃げ出したかったんだ。


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:17:13.71 ID:3vSgplbG0

全て言い終えると、ヘリカルちゃんの方を見る。
僕が話している間、ヘリカルちゃんは何も言わずにただ僕の言葉を聞いていた。

大きな目をしたヘリカルちゃんの目が曇る。
泣きそうな顔をこらえるような、そんな顔をしていた。

*(‘‘)*「どうしてそういう事言うの……?」

(´<_` )「……」

*(‘‘)*「そんな事ないよ、末者はわるいこなんかじゃないよ」

(´<_` )「でも」

*(‘‘)*「ヘリカルは知ってるの! 末者がわるいこじゃないって知ってるの!」

堪えていたヘリカルちゃんの涙がこぼれ落ちる。
一粒二粒落ちた涙を拭って、強い意志を持った目で僕を見ていた。
その目は、初めて僕の元へ歩み寄る決意を込めた目に良く似ていた。


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:18:34.85 ID:3vSgplbG0

*(‘‘)*「だからそんなこと言わないで」

(´<_` )「……」

*(‘‘)*「末者が寂しいならヘリカルがいるから、だから、だから」

言いながらヘリカルちゃんは僕を抱きしめる。
涙で肩が濡れて冷たい。その冷たさの分だけ、僕も悲しくなった。
それはきっとヘリカルちゃんを泣かせてしまったから。だからこんなに悲しくなるんだ。

(´<_` )「……ごめんじょ」

どうすることも出来なくて、僕はただ謝る事しか出来なかった。
ママが帰ってくるまでの間、ヘリカルちゃんは僕を抱きしめたままずっと泣いていた。
時々僕の名前を呼びながら、強く抱きしめて泣いていた。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:21:36.62 ID:3vSgplbG0

その日は何だかいつもより寂しくて、ヘリカルちゃんと一緒の部屋で眠った。
ママは危ないから駄目、って言っていたけど
ヘリカルちゃんも僕も一緒になって駄々をこねると、諦めたように笑いながら許してくれた。

子供らしくない事を言うけど、こういう時子供で良かったと思う。
ちょっとくらいのわがままは笑って許してくれる。
もう少し大きくなったらそうは言っていられない。子供だけの特権だ。

*(‘‘)*「末者ー」

(´<_` )「うん?」

二人で入っても少し大きなベットに、くっついて眠る。
目を瞑っているとヘリカルちゃんに呼ばれて、少し目を開けた。

電気のない部屋には窓から見える月しか明かりがない。
月の光で見えたヘリカルちゃんは、子供らしくない顔で大人みたいな事を言った。


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:23:32.86 ID:3vSgplbG0

*(‘‘)*「今でもお家に帰りたい?」

問われた言葉に、僕は胸を詰まらせた。

帰りたくない訳はない。
少なくとも僕が知っている限りではみんな優しくて、毎日がとても楽しかった。
出来る事なら帰りたい。帰って、またあの頃みたいに笑っていたい。

でも今更帰ってもみんなは僕の事を覚えていない。
記憶の消し方は知っているけど、消した記憶の戻し方は知らない。

戻ったって僕は、あの家の子供である証拠がない。
自分でしたことなのに、今になって後悔しているなんてどうかしている。

薄暗い闇の向こうから、ぼんやりとしているヘリカルちゃんの顔が見えた。
どんな顔をしているのかまでは、よく見えなかった。

(´<_` )「わかんないじょ」

*(‘‘)*「どうして?」

(´<_` )「わからないのはわからないんだじょ」

*(‘‘)*「ふぅん」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:25:20.31 ID:3vSgplbG0

あのね、そう言ってヘリカルちゃんが話を始める。

*(‘‘)*「もし末者がほんとうのお家に帰りたくないなら、ずっとヘリカルが末者といてあげるよ」

(´<_` )「……ヘリカルちゃん」

*(‘‘)*「ね、そうしたら寂しくないでしょ?」

小首を傾げて言うヘリカルちゃんに胸が熱くなる。
どんなに知能があっても、誰も持っていない力を持っていても、どうする事も出来ないこの思い。

嬉しくて、苦しくて、楽しくて、何て言ったらいいのかわからない思い。
ヘリカルちゃんに会った時から感じていた胸のドキドキは、どんどん大きくなっていくばかりだ。

*(*‘‘)*「えへへ、末者だーいすき」


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:27:16.99 ID:3vSgplbG0

抱きしめられる。それと同時に胸のドキドキがまた大きくなった。

ヘリカルちゃんにまで聞こえちゃうんじゃないかと思うくらい大きくて
バレないかなとかと考えていると、またドキドキが大きくなる。

どうすればこれは止まるんだろう。
緊張しているのか、喉もカラカラでほっぺも熱くなっている気がする。

そんな僕を知って知らずか、ヘリカルちゃんは僕に頬ずりしてくすくす笑っている。
暫くはそんなことをして笑っていたけど、時間が経つとヘリカルちゃんが大きな欠伸をして

*(‘‘)*「おやすみ末者……」

(´<_` )「おやすみだじょ」

そうは言っても中々眠れなくて、結局ヘリカルちゃんにおやすみと言ってから随分たってようやく眠る事が出来た。


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:28:51.96 ID:3vSgplbG0

その日から僕とヘリカルちゃんは、一緒にいることが多くなった。
末者が寂しくないように、ヘリカルちゃんはそう言って僕と一緒にいてくれた。

そうは言ってもヘリカルちゃんには幼稚園もあって、朝になればバスに乗って行ってしまう。
友達と遊びに行ったりだってする。だから、必ずしも一緒にいれる訳じゃなかった。

それでも一人じゃないって、好きって言ってもらえた事が嬉しくて
それまで感じていた寂しさがどこかへ飛んで行ってしまった。

一緒にいる時間が増えれば増えるほど胸があったかくなって、ドキドキが大きくなる。
どうしてこうなるのかは分からなかったけど、きっと嬉しくて、楽しくて幸せだからそうなるんだと思った。

このままここにいてもいいのかもしれない。
本当の家族であるみんなの事を忘れた訳じゃないけれど
ヘリカルちゃんと一緒にいるのは本当に楽しくて、幸せだった。

そんな生活を、二ヶ月近く過ごしていた。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:30:39.15 ID:3vSgplbG0

ζ(゚ー゚*ζ「それじゃあ、お留守番よろしくね」

*(‘‘)*「はーい!」

(´<_` )「いってらっしゃいだじょ」

お昼を過ぎた日曜、ママが買い物に行ってくると言って出かけた。
お腹いっぱいお昼ご飯を食べた僕は、午後のうららかな日和に眠気を誘われていた。

*(‘‘)*「末者眠い?」

(´<_` )「ねむくないじょ」

*(‘‘)*「目ぇうとうとしてるよ」

(´<_` )「そんなことないじょー……」

意地を張っていると、ヘリカルちゃんが僕を抱えてソファまで運ぶ。
大人が三人座れるソファは、子供の僕とヘリカルちゃんが座っても広い。
端っこの方に座らされると、その隣にヘリカルちゃんがちょこんと座った。

*(‘‘)*「ヘリカルのところに横になっていいよ」

そう言うとヘリカルちゃんは、自分の膝をぽんと叩いて僕を見た。
最初は恥ずかしさから意地を張っていらないと言っていたけど、睡魔は僕より意地が強かった。
結局ヘリカルちゃんに促されるまま横になると、ヘリカルちゃんは嬉しそうに僕の顔を覗き込んで来た。



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:32:10.81 ID:3vSgplbG0

*(‘‘)*「えへへー。なんだかこいびとみたいだね」

(´<_` )「こいびと?」

*(*‘‘)*「この前テレビで見たの! 女の人が男の人をこうやってたの!」

(´<_`*)「ふーん」

興奮しながら説明するヘリカルちゃんの言うテレビがどんな物なのかわからないけれど
こいびとって言葉に、こっそり嬉しくなった。

ヘリカルちゃんにとって僕は、どんな風に見られているんだろう。
もう初めて会った頃の他人とは違うし、友達とも違う気がする。
弟か、もしかしたらこいびとなのか。どっちかなんだろうな。

出来たら弟よりもこいびとの方がいいなぁ、なんてこっそり思った。

*(‘‘)*「ねんねんこーふーふふーふふーん」

僕の頭をさすりながら、ヘリカルちゃんがよくわからない歌を歌った。
多分子守唄なんだろう。自分で作ったのか、誰かに教えてもらったのか、初めて聞く子守唄だった。
温かな太陽のぬくもりとヘリカルちゃんの歌に誘われて、気がついた時にはもう眠っていた。

それでも意識はぼんやりと残っていて
僕が寝ていると気付いていないヘリカルちゃんは相変わらず子守唄を歌っていた。


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:33:42.23 ID:3vSgplbG0
*(‘‘)*「ねんねんこー……んーんん……」

暫くすると、ヘリカルちゃんの声が途切れ途切れになって来た。
目を開けていないからどうなっているのか良く分からないけれど、きっとヘリカルちゃんも眠いんだろう。
声は次第に聞こえなくなって、代わりに寝息が聞こえて来た。

それからどれくらい経ったんだろう。
次に目が覚めたのは。外の騒がしい声だった。

(´<_- )「んー……?」

ソファにもたれるようにして眠っているヘリカルちゃんを起こさないように宙に浮くと
眠い目を擦りながら窓の外を覗いてみた。

けれど家の前に立っている木や草が邪魔でよく見えない。
近所の人のようなおばちゃんが、この家の前で誰かと話している姿しか確認できなかった。

(´<_` )「何かあったんだじょ?」

こういう時の超能力だ。頭の中をからっぽにして、外へと意識を集中させる。
うっすらと木が消えて、僕の目の前には障害物はなくなった。

(´<_`;)「!?」

家の前にいたのは、見覚えのある白い服の大人だった。


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:35:01.68 ID:3vSgplbG0

最後に見たのはずっと前。
名前も忘れた街で見つかり、あやうく連れて行かれそうになった時だ。
確かにあの時、その場にいた人全員の中にある僕の記憶を消したつもりだったのに。

(´<_`;)「ど……どうしよう」

おばさんと話している内容は僕の事だった。
最近、ここで一人で遊んでいる赤ちゃんは見なかったか。
見覚えのない子供の姿を見かけなかったか。そんな事だった。

一人で遊ぶ赤ちゃんなんて僕以外で見た事がない。
見覚えのない子供は最近じゃ僕の他にいないはずだ。
という事は、やっぱり僕を捜しているんだろう。

見つけられたら何をされるか。
今はバレなくてもその内バレるなら今なんとかしよう。
そう思った時、僕は頭の中に念を送っていた。

(-<_- )(記憶を消せば、今度こそ確実に消せばだいじょうぶだじょ)

白い服を着た人の思考に入り込む。
脳の中にある、全ての記憶を詰め込む場所に入って記憶を少し変えればいい。
それで終わるはずだった。


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:36:44.92 ID:3vSgplbG0

(´<_`;)「じょ!?」

突然窓ガラスが割れ、大人達が家に突撃して来た。
入って来たなんて優しい物じゃない。突進でもしてきたかのような勢いで侵入して来た。

窓ガラスが割れたと同時に結界を張ったお陰で僕やヘリカルちゃんに被害はこ来なかった。
けれど目の前には体つきの良い大人が三人。
どうあがいても逃げるのは難しそうだし、何よりヘリカルちゃんもいる。

迂闊に暴れる事は出来ないと踏んだ僕は、相手の大人達に向かって念を送った。
心を無にして、確実に相手の意識を失わさせる。

一人、また一人と家に侵入して来た大人達を倒して行く。
けれどあくまで一過性のものだ。時間が経てばすぐにまた目覚めてしまうだろう。

*(;‘‘)*「末、者?」

騒ぎに気付いたのか、ヘリカルちゃんの小さな声が後ろから聞こえた。
本当はもっと早くから気付いていたんだろう。ヘリカルちゃんの目は恐怖に怯えていた。

(´<_` )「大丈夫だじょ。取り敢えず部屋に逃げるじょ」

強張った顔のまま、ヘリカルちゃんは頷く。
横たわる白い服の大人達を横目に、僕らはリビングから急いで抜け出した。


58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:39:06.51 ID:3vSgplbG0

飛んでいる僕の後をヘリカルちゃんが小走りについて来る。
外は騒がしくて、色んな人の声が聞こえて来た。

ヘリカルちゃんの部屋へと行く途中の窓からのぞいてみると、家の前は人でいっぱいだった。
近所の人、通りすがりの人、あの白い服を着た人達。
集まった人の中にはママの姿も見えた。

泣きながらヘリカルちゃんと僕の名前を呼んでいるのを、白い服の人に押さえつけられている。
僕はその姿に見ていられなくなって、悔しさだとか悲しさだとかを堪えてヘリカルちゃんの部屋に飛び込んだ。
とにかく今はヘリカルちゃんの安全を一番に考えながら、部屋に鍵をかけた。

*(‘‘)*「ねぇ、なにがあったの? ママは大丈夫なの?」

ようやく落ち着いた頃、ヘリカルちゃんが僕に聞いて来た。
ママの泣いている姿を思い出して胸が苦しくなる。
けれどヘリカルちゃんを心配させたくなくて、僕は少し嘘をついた。

(´<_` )「大丈夫だじょ、ママは安全な場所にいるじょ」

*(‘‘)*「本当?」

(´<_` )「本当だじょ。超能力を甘く見ないで欲しいじょ」

僕の言葉にヘリカルちゃんが少し笑ってみせた。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:40:52.69 ID:3vSgplbG0

今は安全でもあの白い服の人達の事だ。
もしかしたらママも捕まってしまうのかもしれない。
それだけじゃない。ヘリカルちゃんのパパやヘリカルちゃんだって捕まるかもしれない。

僕一人のせいでこんな事になってしまった。
僕のせい、僕がここにいるせいで。

(´<_` )(……もうこれしかないじょ)

この場にいる人みんなの記憶を消す。
もう白い服の人達だけをどうにかするというところを超えてしまった。
今この場にいる人、間接的でもこの事を知っている人に忘れてもらわないと行けない。

(-<_- )(大丈夫だじょ、難しくはないじょ)

ほんの少し力を加えれば良いだけ。
それだけで助かるならどうってことない。

*(‘‘)*「末者?」

ヘリカルちゃんが不思議そうに僕の顔を覗き込んだ。
変な顔でもしていたのかな、ヘリカルちゃんが首を傾げている。


60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:42:48.89 ID:3vSgplbG0

*(‘‘)*「どうしたの?」

ヘリカルちゃんの顔を見て、僕の中にあった苦しい感情が沸き上がった。
それは家族の記憶を失わせた時と同じ感情。
大切なものを自分の手で失ったあの時の後悔が急に溢れ出した。

*(‘‘)*「末者? どっかいたいの?」

今から僕が何をするのかなんてヘリカルちゃんは知らない。
知らないままでいたほうが、きっとヘリカルちゃんの為なのかもしれない。

けれど、ヘリカルちゃんにだけは本当の事を話したい。そう思った。

(´<_` )「……ヘリカルちゃん」

僕の様子に何かがあると察したんだろう。
ヘリカルちゃんは不安そうな顔をして、僕の事を見ている。

(´<_` )「今からみんなの記憶を消すじょ。
     そうすればみんな僕の事を忘れて、今起きている事は何もなかったことに出来るじょ。」

*(‘‘)*「え……どうして……?」

(´<_` )「あの白い服の人達は僕を狙っているんだじょ。
    だから、もうあの白い服の人達が追ってこないようにみんなの記憶を消すんだじょ」

誰か一人でも記憶が残っていたら、またあの白い服の人達が来るかもしれない。
僕だけならまだ大丈夫。けれど、何も関係のない人にまでひどいめに合うのは嫌だ。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:44:48.01 ID:3vSgplbG0


*(‘‘)*「ヘリカルのきおくもけしちゃうの?」

それは、ヘリカルちゃんにも言える事だった。

(´<_` )「……うん」

頷いた僕に、ヘリカルちゃんは何も言わない。
その代わり、顔をくしゃくしゃにして涙を零した。

*( ;;)*「いやだよぉ……そんなのいやだぁ…………」

(´<_` )「……」

*( ;;)*「だって、そしたら……、末者また一人になっちゃうよぉ……」

(´<_` )「ヘリカルちゃん……」

*( ;;)*「だめだよぉ……。末じゃ、は、一人じゃな、いよぅ……」

ぼろぼろと大粒の涙が、ヘリカルちゃんの綺麗な目からこぼれて行く。
頬を伝って、僕の頬に落ちて、また僕の頬を流れて行く。
ヘリカルちゃんの涙は熱くて、切なくて、胸が苦しくなった。


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:46:46.47 ID:3vSgplbG0

(´<_` )「ごめんじょ」

苦しい思いを吐き出した言葉はそれだけだった。
本当はもっと別の事を言いたかったのに、どれも言えなくてどこかに飛んで行ってしまった。

泣いているヘリカルちゃんの涙を拭おうと手を伸ばすけど、
どんなに拭いても涙はこぼれて行くばかり。
外の喧騒が嘘みたいな部屋の中で、ヘリカルちゃんの泣き声だけが聞こえていた。


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:48:21.86 ID:3vSgplbG0

随分長い間そうしていたような気がする。
けれど、実際にはあまり時間は経っていないんだろう。
外のざわめきは更に増し、ドアの向こうから人の気配を感じた頃、ようやくヘリカルちゃんの涙が止まった。

目も顔も鼻も真っ赤になったヘリカルちゃんは、鼻水をすすりながら僕に小指を差し出した。

*(‘‘)*「末者、やくそく」

なんの約束なんだろう。そう聞く前にヘリカルちゃんに無理矢理小指を握られていた。

*(‘‘)*「あのね、ぜったい末者おうちに帰る事!」

(´<_`;)「へっ!?」

一瞬何を言われているのか分からなかった。
家に帰る、という意味に気付いた頃にはヘリカルちゃんの歌も終わっていて
僕が反論する前に小指を離してしまった。

*(‘‘)*「はい、もうゆびきりしたよ。破ったら針千本だからね!」

小さく舌を出して、ヘリカルちゃんは笑ってそう言う。
さっきまで泣いていたのが嘘みたいな顔して笑うもんだから、反論も何も出来なかった。


67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:49:25.49 ID:3vSgplbG0

部屋のドアが強く叩かれる。
ヘリカルちゃんはその音に怯えながらも、僕に向き合って話を始めた。

*(‘‘)*「末者を忘れるのは嫌。でも末者が一人になるのはもっと嫌。
     だから絶対おうちに帰って」

(´<_`;)「でも……」

*(‘‘)*「きおくがなくなっても、消えないものはあると思うの。
     だって、ドラマの人だってきおくそーしつになっても大丈夫だったもん!」

正直根拠がわからない。多分奇跡の事を言ってるんだろう
そんな都合のいい奇跡なんて本当に存在するかわからない。
けれどどうしてだろう、ヘリカルちゃんが言うと信じてみようと思うんだ。


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 03:51:15.07 ID:3vSgplbG0

*(‘‘)*「だからね、今は末者のこと忘れちゃうけど、また会ったらちゃーんと思い出すようにするね」

ヘリカルちゃんはそう言うと、僕の額と自分の額を合わせた。
僕の頬を包むヘリカルちゃんの両手は震えていて、その目は泣きそうになっていた。
鼻の奥がつんとくるのを我慢して、僕はヘリカルちゃんを見上げていた。

*(‘‘)*「だいすきだよ、末者」

(´<_` )「……おりぇもだじょ」

その好きはどういう意味なんだろう。結局知る事は出来なかった。
でもそれでもいい、ヘリカルちゃんが僕を好きでいてくれるなら何だって良かった。

部屋のドアが破られる。そこから沢山の大人達がやって来た。
僕はヘリカルちゃんを守るように思いを込めると
持っている全ての力を使って、この場にいるみんなの中の僕を消した。







73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 04:03:25.74 ID:3vSgplbG0






夕暮れが差す街並。カラスもお家に帰る為にカァカァ鳴きながら並んで帰って行く。
公園の子供達も迎えに来たママと一緒に帰って行く。
一人、また一人公園には子供が帰って行く。

(´<_` )

その中で僕は一人、ベンチに座っている。

ζ(゚ー゚*ζ「ヘリカルー! そろそろ帰るわよー」

*(‘‘)*「はぁい!」

金髪の綺麗なママの声に反応して、一人の女の子が笑顔で走って行く。
緑色の二つ結びの髪を揺らしながら走る女の子の目に僕が映った。
女の子は走る足を止めて、僕を見ていた。

*(‘‘)*

(´<_` )

もの言いたげな女の子は、ママの呼び声に気を向けずに僕の方へやってくる。
いつか感じたドキドキが止まらない。僕だけが変わらずに、あの時のままだ。


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 04:06:40.02 ID:3vSgplbG0
*(‘‘)*「ねぇ? ママは?」

(´<_` )「……」

何も言わない。だって僕は話せないのが普通だから。
分かるような分かっていないような顔をして首を傾げると
女の子が不安そうな表情をして僕に顔を近づけてくる。

*(‘‘)*「ちゃんとおうちに帰るんだよ?」

泣きそうな顔に、最後に見たあの時の顔が浮かんだ。
何も言えない代わりに小さく頷くと、女の子はぱぁっと顔を明るくする。

もう一度ママが女の子の名前を呼ぶ。
女の子はママの声に反応すると、僕の方を振り返らずに家へと帰って行く。
僕は一人、その後ろ姿を見送っていた。

(´<_` )「……」

誰もいなくなった公園で一人思う。
女の子の事を、少しずつ思い出しつつある家族の事を。

(´<_` )「……行くじょ」

家に帰ろう。
あの子との約束を守るため、また幸せな日々をあの家族を過ごすため。

*(‘‘)*

いつかあの女の子に、もう一度会うため。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 04:08:44.32 ID:3vSgplbG0
さるこわい

以上で投下は終わりです
末者の設定に関してですが、記憶を消す力はないです
話の都合上後付けでつけたものです
他にも実際の末者設定を生かせていない物が多々ありました
本家末者好きには本当に申し訳ない。だが正直後悔はしていない

支援してくれた人も、読んでくれた人も
夜遅いレベルを超えたにも関わらずありがとうございます

それでは、おやすみなさい


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