mesimarja
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('A`) ドッペルゲンガーに会うと死ぬようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 20:02:59.32 ID:vKduuzz90
・ながら投下
・プロット一切考えてない
・厨二バトル。とにかくバトルが書きたいの!


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 20:09:08.71 ID:vKduuzz90
街が燃えていく。

ビルは倒壊し、アスファルトは砕けて、瓦礫は燃え上がる。

熱は風に乗って生き残った人々へ運ばれていき、
彼等はその熱さに咽返ってしまう。

傷だらけの体でなおも生きようとする人達は、一つの人影を見た。

(メ )

一人の男の影。

男は赤いコートを羽織り、顔を赤く塗らしていた。

その手には、巨大な方刃の剣が握られている。
方刃は、彼の顔と同じく、真っ赤に塗れていた。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 20:18:03.19 ID:vKduuzz90
***

赤いパーカーに防弾ベストを着た、
目の垂れ下った男は前を見ていた。

人気の少ない、無人と言っていい程の路地に、視線を送る。

その先には、ナイフを持ったいかにもな男が立っていた。

 ( ^Д^) 「お前、この写真の奴だろ? おい。そこのブサイク」

いかにも、いかにも“悪そうな”男が、赤いパーカー男に写真を突き出す。

('A`) 「え……人違いです。違います……」

男は、少し怯えたようにそう言った。
彼の態度に、悪そうな男は言葉を失ってしまった。

 ( ^Д^) 「………」

写真を、一度よく確認する。

そこに映っていたのは、

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 20:30:35.41 ID:vKduuzz90
                              ___________
                             |                 |
                             |      ('A`)       | 
                             |     鬱田 ドクオ  |
                             |               |
                             |  懸賞金 100000000$ | 
                             |__________|


 ( ^Д^) 9m「お前じゃん!!」

写真には、どう見ても目の前にいる男にしか見えない顔が、そこには映っていた。

思わず、悪そうな男は声を上げる。

('A`) 「いやねぇ、こういうのよくわるんですよ。
    町を歩いてたり、初対面の人と話す時とか、
    『あなた誰かに似ていませんか?』ってよく聞かれるんですよ。
    僕なんかそんな有名人じゃありませんよ。そんなイケメンじゃありませんって」

 ( ^Д^) 「黙れやブサメン」

('A`) 「………」

0.2秒後。

('A`) 「で?」

 ( ^Д^) 「ウゼェ……」


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 20:43:57.60 ID:vKduuzz90
('A`) 「人違いですから。もう行っていいですか?」

 ( ^Д^) 「待てや。ちょっと待てや。
       じゃあお聞きしますが、お名前はなんてゆーのでしょーか?」

('A`) 「鬱田ドクオですが貴方は?」

 ( ^Д^) 「はい。私めはプギャーと申します。
       では、こちらを見て下さい。この写真。
       ここには鬱田ドクオの名が記されており、懸賞金が掛けられています」

 ( ^Д^) 「罪状はなんと13記されています。一つ一つ上げていくのは非常に面倒なので、
       割愛させていただきます。単刀直入に私から言わせて貰いますと」

 (#^Д^)9m 「こ れ オ メ ー じ ゃ ね ー か ! 観 念 し や が れ !!」

(#'A`) 「だから人違いだっつってんだろーがッ!! 人の話聞きやがれ!!」

 (#^Д^) 「うっせーッ!! 目の前に一億が転がってて見逃すバカがいるかよ!!」

悪そうな男が叫び、両の腕に電流が走る。

ガラスの砕けるような音と共に肉は抉れていき、
鉛色が露わとなって行く。

(#'A`) 「一億掛けられたって殺されてやる義理はねーだろ!!」

 (#^Д^) 「はい! カミングアウト入りましたー!! 賞金首確定ー!!」



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 20:54:50.85 ID:vKduuzz90
(#'A`) 「人の話を聞けっつってんだろーがぁッ!!」

赤いパーカー男、いや、鬱田ドクオは懐からハンドガンを抜く。
その挙動と同時に悪そうな男へと発砲した。

が、銃弾は目前で弾けて炭となってしまった。

 (#^Д^) 「はい撃ったー! 今撃ったな!?
        おし!! 通報しよう! 今すぐしよう!!
        ったく! 言い逃れしよーなんてみみっちーんだよ!!」

薬莢が地面に転がり、コロン、という小気味のいい音なるよりも早く、
路地裏から青い制服姿が飛び出してきた。

そのどれもが装甲を身に纏っており、武器を手に持っていた。

短距離間空間転移による、自動装填の可能なサブマシンガン。
盾にそれを構えた彼等の制服は、

(#'A`) 「出やがったな、統治軍。そんなに俺の首が欲しいか。
     そんなに俺の首に未練があるか。そんなに俺の首が恐ろしいか。
     来るなら来い。来ねーのなら消えちまえ。邪魔だ。邪魔」

(#'A`) 「お前ら一般市民の通行の邪魔するんじゃねーよッ!!」

咆哮と共に、ドクオは発砲した。



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 21:06:54.68 ID:vKduuzz90
銃弾は、制服姿には当たらず、その目前で火花と共に散ってしまった。

(;'A`) 「あれぇー? おかしいなー……」

呟きよりも早く、男が迫ってくる。
右の、鋼で出来た拳を放ち、ドクオの腹部を殴打した。

鈍い打撃の音が鳴り、彼は身をくの字に折ってしまう。
膝を突き、腹を押さえて唾液を地面に撒く。

痛みに涙を浮かべる彼は、男を見上げた。

 ( ^Д^) 「………は?」

彼は、疑問符を浮かべていた。

 ( ^Д^) 「よくここまで生きてこられたな……お前」

(;A`) 「いやいや、こっからが本気だよ」

 ( ^Д^) 「いやいや、もう終わりだから」

制服姿が、二人を囲むように近づいていき、
銃口をドクオへと向ける。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 21:17:22.87 ID:vKduuzz90
('A`) 「もう終わり?」

 ( ^Д^) 「そう、終わりだ」

そんじゃ、とドクオは紡ぎ出し、

('A`) 「じゃあな」

右の手に突如として現れた大剣を振るう。

空間転位によって出現したその刃は、
制服姿達を薙ぎ払っていき、肉と装甲を断つ音を響かせた。

男は、辛うじて両の腕で防御して見せるが、衝撃に仰け反ってしまう。
2歩ほどの距離を離れていった彼は、自分の腕を見た。
そこには罅割れが出来ており、遅れて痛みが脳まで抜けていった。

('A`) 「耐えたか。じゃあ、俺の今のセリフなしで」

振るった大剣を、ドクオは構えなおし、

('A`) 「第2ラウンドを始めようか。時間制限は60秒な。
    連コインは無しだぜ?」

おどける様にそう言って、刃を叩き落とした。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 21:32:10.35 ID:vKduuzz90
巨大な刃は男の頭頂部を捉えており、重量を以って叩きつぶさんとする。

もう一度防ぐわけにもいかず、男はバックステップによって後退した。

振るわれた大剣は虚空を裂き、切っ先は男の胴を向く。
一歩を踏み出し、ドクオはそのまま刺突を放った。

巨大な剣の重みを感じさせぬ、切り降ろしから突きへの軽やかな連続攻撃。

しかし、男は見切ってみせた。

跳躍し、ドクオの目前へと迫って蹴りを放つ。

頭部を狙った爪先は、身を捻ったドクオの鼻に食らいつき、
男は横へ吹っ飛ばされてしまう。突きによって伸び切った腕を、
身を捻ることによって振るい、男を薙ぎ払ったのだ。

 (;^Д^) 「――――なッ!?」

身を地面にバウンドさせた男の脇腹は、抉れていた。

肉の剥がれたその身体は機械が露わとなっており、
火花と共に血液を噴き出している。







14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 21:39:47.45 ID:vKduuzz90
諾々と血を流す彼の鼻先に、冷たい物が当てられた。

肉厚の刃の切っ先。

それを構える男は、冷たい眼で男を見下ろしている。

('A`) 「よくここまで生きてこられたな、お前」

いや、とドクオは付け加え、

('A`) 「死に損なっているだけか」

大剣を上段に構えなおし、大きく振りかぶって、
男の頭上へと向けて叩きおろした。

 (;゚Д^) 「くっ……」

男は、片腕を伸ばして拳の先から光を飛ばした。

指向性を持つ、青の光。
高熱を持つそれはドクオの腹を貫き、
彼のパーカーは照射点から黒煙を上げた。

が、構わずに彼は刃を振るい落とし、頭蓋ごと男の身体を砕いた。
血と肉が飛沫きを上げて、ドクオの顔にこびり付いていく。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 21:53:54.34 ID:vKduuzz90
血を拭い、眉を顰めてドクオは撃たれたところを見る。

('A`) 「あー……まぁ、治るだろ」

気楽に呟いて、大剣を空間転位によって隠し場所へと送り返す。
手をぶらぶらと解しながら視線を移す。

背後は、制服姿の死体が散乱していた。

その更に奥を見ると、段々と建物が多くなっていき
“地下”への入り口のあるラウンジが見える。

('A`) 「行きますかね」

誰ともなく呟き、今は人の少なくなった、“地上”ニューソクを見渡す。

しかし、目に付くのは死体ばかりであった。
ドクオは、呆れたように溜息を付く。

もっとも、これらの死体は彼自身が作り出したものなのだが。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 22:15:39.59 ID:vKduuzz90
***

あまり広くは無い白い空間に、机が置かれていた。

イスに座ってそれに向かう目付きの鋭い、
青の征服姿の女性は本を読んでいた。

表紙には、“ドッペルゲンガーの英雄”と書かれていた。

集中して文字の羅列を目で追う彼女は、
頭の内で内容を反芻させる。

川 ゚ -゚) (ある世界のある戦場には、英雄がいた。
      英雄は多くの敵を殺し、多くの手柄を立てた。
      味方には信頼され、民達に慕われ、将軍達に称えられた)

川 ゚ -゚) (英雄は戦場で更に活躍して、そのおかげで軍は敵の本拠地へと攻め入った。
      しかし、敵にもまた英雄がいた。その者もまた多くの敵を殺し、
      多くの手柄を立て、味方には信頼され、民達に慕われ、将軍達に讃えられていた)

川 ゚ -゚) (二人の英雄は戦うことになった。人種も違えば性別も違った。
      一騎討ちとなり、二人は剣を交える。誰もが長期戦になると思っていたが、
      決着は呆気ない物であり、一合目で相打ちとなり、二人は死んでしまった)

川 ゚ -゚) (英雄は二人もいらない。同じ存在は、ドッペルゲンガーは、出会えば……)

読みいってる内にノックの音が響き、思考が中断されてしまう。
内心に溜息を吐きながら彼女は口を開く。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 22:31:23.69 ID:vKduuzz90
川 ゚ -゚) 「いいぞ。入れ」

扉の向こうへそう言うと、女性隊員が部屋に入ってきた。

足を踏み入れ、扉を閉めてから彼女は、
敬礼をして口を開いた。

(゚、゚トソン 「少佐。鬱田ドクオがニューソクに現れました。
      賞金稼ぎと手を組み、彼に立ち向かったようですが、
      結果は惨敗だったようです。現在、諜報部の者が追跡を行っています」

川 ゚ -゚) 「そうか。了解だトソン。出撃の準備は?」

トソン、とイスに座った女性は彼女を呼んで尋ねる。

(゚、゚トソン 「現在待機中ですが……」

(゚、゚トソン 「報告を聞いたヒッキー少尉が、基地から飛び出してしまいました。
      諜報部員が追っていますが、あの様子では難しいでしょう」

苦い声で語るトソンに、女性は溜息を吐いた。

川 ゚ -゚) 「“鬱田”か。単独行動は罰則の対象だ。
      が、恐らく目指す物は我々と同じだろう。
      奴の追跡は行わない。ドクオの追跡を行うぞ」



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 22:39:49.84 ID:vKduuzz90
(゚、゚トソン 「はっ、了解です」

川 ゚ -゚) 「奴はどこへ向かっている」

(゚、゚トソン 「ニューソクからラウンジへと向かったようです」

川 ゚ -゚) 「ラウンジ……? あそこには、重要な施設があったか?」

(゚、゚トソン 「いえ。あそこはただの住宅街です。
      軍基地などは一切ありません。ですが、あの狂人ならば、
      それだけで充分でしょう。彼が目的を果たすに、充分な場所であるはずです」

川 ゚ -゚) 「虐殺、か。あれほど殺しておいて、今更そんなことの為に現れる物かね」

(゚、゚トソン 「……少佐は、何か他に目的がある、と?」

川 ゚ -゚) 「なに、少々引っかかっただけさ。確証があるわけでも無い」

川 ゚ -゚) 「奴が何かをしでかす前に、仕留めるぞ」

少佐と呼ばれた女性は腰を上げて、腰に差した軍刀を左手で握る。
硬い感触が掌に当たり、彼女は気持ちを切り替えていく。

トソンを脇に従え、彼女は部屋を出ていった。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 22:51:20.45 ID:vKduuzz90
***

赤いパーカーを羽織り、防弾ベストを着けた、
オリーブドラブのカーゴパンツを履いた、ドクオがラウンジを歩く。

一軒家やアパート、マンションといった住宅の多いこの街は、
“地下”と“地上”を行き来する為に作られた住宅街だ。

もっとも、大気汚染、水質汚染、砂漠化の進んだ地上には、
既に全人類の人口は70%ほどが居なくなってしまっているが、
人間が多いことには変わりない。

全人類の人口など、規模が大き過ぎて一国と比べるべくもない。

60億だろうが70億だろうが、1億でもいれば充分多い、とドクオは思う。

集合住宅の多いこの街は、クーラーなどの排気熱によって、
暑くなってしまっている。むわっとした空気を運ぶ風に、

(;'A`) 「あっちーな……クソ。人類の4分の3死滅しろ」

とんでもない悪態を吐いた。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 22:57:46.89 ID:vKduuzz90
周囲を見渡せばマンションの窓が光を乱反射し、
更にこの街を熱している。

強烈な熱を持った光は、容赦なく道行く人々の肌を刺す。

誰も彼もが汗をかき、木陰に隠れて休む者もいた。
ドクオは、そんな人達を傍目に進んでいく。

アスファルトを踏みしめる靴の音を鳴らして、
自分のペースを以って歩いていく。

その歩調は、一般人達よりも、僅かに早かった。

('A`) 「ふぅ……」

額から垂れてきた汗を拭い、地下への入口へ辿り着いたドクオは、
大穴のようなそこへと入って行く。

辺りは薄暗く、人工の陽しか差さないここは、
どこかひんやりとしており、火照った体には心地が良い。

足を踏み入れていく。




25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 23:07:08.36 ID:vKduuzz90
背後から、大気の流れを感じた。

何かが迫ってくる、攻撃の前兆が。
背中に向けて流れてくる。

だからドクオは、腰を落としてしゃがみ込んだ。

視界の上から放物線を描いて槍が地面に突き刺さり、
3度4度としなっていく。

ドクオはそれを見届けずに、即座に背後へと振り返った。

( <●><●>) 「避けるのは分かっていました」

黒眼の大きな、灰色のスーツを着た男が立っていた。
男は右腕を伸ばし、拳を開く。

直後に白く棒状の光が輝き、男の手には槍が握られる。

( <●><●>) 「お初にお目に掛かります。
         私、賞金稼ぎのワカッテマスと申します」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 23:14:32.79 ID:vKduuzz90
('A`) 「ワカッテマス……ねぇ」

('A`) 「で? 賞金稼ぎが賞金首に一体何のご用で?」

ドクオは、両手を開いておどけてみせる。
からかうような問いに、ワカッテマスは小さな笑い声を洩らす。

( <●><●>) 「フフ、賞金首に賞金稼ぎが何の用?、とは。
         答えは一つに決まっているじゃあないですか」

('A`) 「どうかね。まぁ、仲良くなんて……」

( <●><●>) 「出来ませんね」

いや、と打ち消しの言葉を繋げて、

('A`) 「する気はないけどね」

ドクオの言葉にワカッテマスはまたもや小さく笑う。

( <●><●>) 「フフフ、面白いですね。面白い。
         賞金稼ぎを前にしてこの余裕。
         私が一流の賞金稼ぎなら、あなたは一流の賞金首だ」

('A`) 「いや。俺はただの最悪の悪党だよ、そんでもって」

('A`) 「お前はただの間抜けな賞金稼ぎだ。
    おら、来るなら来いよ。面倒くせーんだよ」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 23:25:34.86 ID:vKduuzz90
ハッハッハッ!と大声で笑い、ワカッテマスは槍を構える。

( <●><●>) 「では、行きますか。追うのが私の仕事なら、
         追われるのがあなたの仕事でしょう」

穂先をドクオへと向けて、放つ。

腕の振りなどではなく、重力操作による射出だ。

更に柄から小型のブースターが展開することで、
槍の速度は亜光速の域に達する。

ドクオの心臓目掛けて槍は飛来するが、
突如として出現した大剣に激突して弾かれてしまった。

あらぬ方向へ飛んでいった槍は、一人でに動きを変え、
生き物のように軌道を変化させた。
再び、ドクオへと突き刺さるコースを進む槍。

ちっ、と舌打ちをするドクオは、

('A`) 「重力操作。これだけ離れてても出来るのか」

種を見切り、冷静に槍へ対処する。

視認も困難な速度で飛来する槍だが、
結局は二次元的な動きでしか無い。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 23:32:41.74 ID:vKduuzz90
一点さえ見切れば、充分に避けられる。

いや、それ以前に、

(#'A`) 「お前がガラ空きだ!!」

咆哮し、ドクオはワカッテマスへと突進していく。
片手で大剣を構えて、一瞬という時間を以って懐に飛び込んだ。

突進の勢いをそのまま大剣の力と変えて、
身を逸らして剣を振るっていく。

首を薙ぐ軌道で刃は迫り、対してワカッテマスは両手を突き出した。

防御の行動にも見えるが、素手で刃を防ぐなど効率は悪く、
どうしても大ダメージは避けられない上に、
白羽取りをしようにしても、重量で押しつぶされてしまう。

不安材料など無く、ドクオは構わず刃を振るった。

が、これは違った。

何かの力に吹き飛ばされ、
甘かった、と、彼は思い知らされる。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 23:40:47.86 ID:vKduuzz90
背中から地面へ激突し、視界の端に刃が煌めく。

槍が、ドクオの動きを追ってきたのだ。
痛みも思考も全て振り払い、大剣を振るった。

槍は真っ二つに裂け、耳障りな音を奏でて落下していく。

瞬時に立ちあがったドクオは、肉厚の刃を構えなおして、
ワカッテマスへと向き直る。

彼の右手には、槍が握られていた。
先程と同じ型だが、先程の物のように壊れてはいない。
ワカッテマスは、それを放ってきた。

重力操作とブースターによる加速で迫ってくる槍。
ワカッテマスの右手が輝き、もう一振りの槍が放たれてくる。

槍の連射。

弾丸よりも巨大で、弾丸の如く迫り、
意思を持つかのように追尾してくるそれは、脅威である。

避けても避けても追って来て、
槍の所持者を狙えば重力操作で吹き飛ばされてしまう。
やっかいだ、とドクオは苦笑いをした。




32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 23:51:44.20 ID:vKduuzz90
しかし、彼には策が、

('A`) 「ねーよ」

無い。

ドクオはワカッテマスへとがむしゃらに突っ込んでいった。

大剣を構えて、槍を軽やかなステップでかわし、接近していく。
ワカッテマスは追加の槍を放つが、大剣によって弾かれ、
切られ、破壊されて防がれる。

( <●><●>) 「は……ッ!」

ならば、とワカッテマスは両の手を突き出し、
前方へと重力操作を行う。

後ろへと強烈な重力がドクオに掛かって行くが、
それよりも早く腰を落とし、地面に足を踏ん張らせて、耐えてみせる。
しかし、背後には槍が迫ってくる。

気にも留めずに、両の手で大剣を脇に降ろすように構え、
巨大な刃を赤い光が覆っていく。

('A`) 「射程は限定されるけどな。威力は保障する」

背筋を反らし、ドクオは思い切り大剣を振り上げた。

赤い光が大波の如くワカッテマスへと迫り、彼を浚って行った。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/11(火) 23:58:58.70 ID:vKduuzz90
身を焼きつけられ、切り裂かれ、
ワカッテマスは火だるまになって激突した。

重力操作の干渉が無くなったことで、ドクオの身は自由となり、
振りかえりもせずに迫ってくる槍を斬り落とした。

('A`) 「三流が。お前のは余裕じゃねえ。ただの無駄話だ」

倒れたワカッテマスへと吐き捨てて、ドクオは地下世界へと足を踏み入れていく。

ラウンジの暑さにうんざりしていた彼は、
地下世界への入口の涼しさに、心地良さを感じた。



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 00:09:18.94 ID:Ahlm2cXi0
***

青色のコートを羽織った、軍服姿の男は死体を見ていた。
鋼の腕をした男の物と、制服姿の者達の物だ。

青色コートの男は、吐息を洩らす。

薄い笑みの混じった吐息だ。

(-_-) 「ふふ。この切り口……」

死体の切り傷を片手で撫でて、男、ヒッキーは笑みを浮かべる。
満面の、とても喜んでいるような笑みを。

( ∀ ) 「ふふふ……あはははははっ!」

喜びで狂った笑みで、ヒッキーは大声を上げる。
彼の笑い声は人の少ないニューソクに木霊した。

嫌悪感を覚えるような、気味の悪い笑い声。

( ∀ ) 「やっと! やっと会えるんだね!! また会えるんだね!!」

腰に差した大小の軍刀を抜いて、目の前の死体を斬り上げる。
浮かびあがった死体を、更に切りつけて行き、細かく刻んでいく。

血があちこちに跳ねるが、
不思議なことにヒッキーの青のコートを、
赤い飛沫が汚すことは無かった。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 00:16:21.17 ID:Ahlm2cXi0
やがて、彼は飽きてしまったのか、
細切れになった死体が生々しい音を立てて落下する。

(-_-) 「あぁ……楽しみだよ」

大小の軍刀で虚空を裂き、血を払う。

そして、鞘へと納めていく。

キン、と小気味の良い納刀の音が響き、
ヒッキーの耳朶を打った。

この音を、彼は気に入っていた。
敵を倒すために抜き、敵を倒すことで収めた時に奏でられる、
生還の、勝利の音が、彼は好きだった。

(-_-) 「……この音を、聞けると良いな」

呟き、ヒッキーは空を見て思う。

自分が最も望む、切ることを望む、殺すことを望む者を。

(-_-) 「兄さんの前で、聞けると良いな」

( ∀ ) 「兄さんを……殺せると良いな……」

( ∀ ) 「殺したいな」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 00:32:59.08 ID:Ahlm2cXi0
***

川 ゚ -゚) 「鬱田ドクオが地下世界へ、か」

鋭い瞳をした女性が、装甲車の中で呟いた。
小型のイヤホンを耳にはめ込み、諜報員の報告を聞く。

川 ゚ -゚) 「いや。交戦は禁ずる。
      民間人への攻撃を行った場合以外、許可しない。
      お前達の戦力では敵う相手では無い。迂闊に動くな」

川 ゚ -゚) 「あぁ、それで良い。引き続き追跡を行え。
      些細なことでも見逃すな。奴の目的が不明瞭なのだからな」

彼女はそう言うと、装甲車の車内を見渡す。

座席には、彼女達統治軍の制式採用している、
装甲の付加された青の戦闘服を纏ったトソンと、
6人ほどの兵士達がいる。

(゚、゚トソン 「少佐」

少佐、と彼女を不安げな目をしてトソンは呼び、

川 ゚ -゚) 「何だ?」

と素っ気なく少佐は答える。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 00:41:17.67 ID:Ahlm2cXi0
(゚、゚トソン 「このような少人数で、よろしかったのでしょうか?」

川 ゚ -゚) 「あぁ。私の部隊の中でも、
      最も優れた部類に入る君達を選抜したのだから、
      憂いなどあるはずもないだろう」

(゚、゚トソン 「ですが、全戦力を投入したほうが、よろしいのでは?
      相手は、鬱田ドクオですよ」

川 ゚ -゚) 「ドクオだからこそ、君達を選んだのだ。
      あの人類史上個人で最も多く人を殺した、人でなしだからこそ、な」

(゚、゚トソン 「ありがたいお言葉ですが……」

川 ゚ -゚) 「なに。大勢では不便なこともあるしな」

それに、と少佐は付け加えて、

川 ゚ -゚) 「鬱田ドクオを発見したら、君達は下がっていると良い。
      私自ら奴の相手をしよう」

(゚、゚トソン 「やはり、そうなりますか……」

あぁ、と応えて、

川 ゚ -゚) 「部下の不始末を拭ってやるのも、上官の仕事だろう。
      ならば、引導をくれてやるのも、この私の仕事だ」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 00:51:29.32 ID:Ahlm2cXi0
***

ドクオは、地下世界を移動する為の大型エレベーターに乗っていた。

大勢の人間が第一層から乗っていたが、
最下層に近づいてきた第560層あたりで人は少なくなってきた。

ちらほらと人は徐々に消えて行き、己の家や職場などに戻っていった。
が、賞金首である彼に、戻る場所など無かった。
帰る家もなく、彼を待つ人など誰もいない。

('A`) (誰からも不要とされている……か)

この世界に自分の居場所など何処にもないのだろう、
と、彼はそんな事を思う。

でも、それでも構わないとも、彼は思っている。

('A`) (世界政府も、統治軍も、普通の人達も、みんな死ねばいい)

己の役目を思い、彼は吐息する。

('A`) (面倒くせーな……)

ちくしょう、と人目も憚らずに悪態を吐くと、
586層に辿り着いて彼を除く全員が降りていった。

一人になり、ドクオはエレベーターの電子画面を見る。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 00:58:20.43 ID:Ahlm2cXi0
現在は586層だ。次は、587。

自分一人なのだからと、
ドクオは操作盤をいじって一番下へと向かう。

最下層、800層へと。

再びエレベーターが動き出し、
一瞬だけ訪れる浮遊感に気持ち悪さを覚える。

しばらく考え事をしながらエレベーターの画面を見ていると、
突然停止してしまった。画面には700層と表示されており、
それ以上は許可なく進むことはできないと、警告文が浮かび上がっていた。

ピー、ピー、となる警告音が、耳触りだ。

('A`) 「ちっ、うっせーなぁ……」

舌打ちを吐いて操作盤を再びいじるが、
鈍い、ビーという拒否の電子音が鳴り、
彼は更にイライラを募らせていく。

連打する。

人差し指で操作盤のボタンを連打する。

その度に音が響く。

ビー、ビー、ビー、ビー、ビー。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 01:04:12.31 ID:Ahlm2cXi0
(#'A`)

ムッとした彼は、更に連打する。

カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ。
ボタンが押す音の数に比例して、

ビー、ビー、ビー、ビー、ビー、ビー、ビー。
と電子音が返ってくる。

(#゚A`) 「す す め !」

意地になってドクオはボタンを連打する。

カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、
カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ。
その速さ、秒間16連打だ。

ビー、ビー、ビー、ビー、ビー、ビー、ビー、ビー、
ビー、ビー、ビー、ビー、ビー、ビー、ビー、ビー。
勿論、警告音も秒間16連打で返ってきた。



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 01:06:37.09 ID:Ahlm2cXi0





(#゚A゚) 「あああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!! 機械って嫌いだ!!」


拳を握り、ドクオは操作盤へと思いきり叩きつけた。


衝撃が右手に走り、破砕音がエレベーターの中に木霊する。

火花が操作盤から飛び散り、破片がばら撒かれていった。



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 01:10:53.11 ID:Ahlm2cXi0





しかし、そんなことでセキュリティが解除されるわけもなく、
ここで降りるしか無くなってしまった。


が、ドクオはエレベーターの天井をぶち破り、
エレベーターを吊るしている巨大なワイヤーを、
空間転位によって切り裂いた。


火花が散り、ドクオは笑みを浮かべる。


('∀`) 「ふっ、エレベーターめ。俺の勝ちだ……」


一瞬遅れて、支えを失ったエレベーターは落下していく。


急速なそれにドクオは身じろぎするが、
切れ残っていたワイヤーに捕まってなんとかエレベーターについていった。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 01:19:51.17 ID:Ahlm2cXi0
(;'A`) 「やばい! 何これ!! 新世界!! 俺浮いてる!!」

最下層へと向けて落下していく鉄の鏡体に、
ドクオは引っ張られるようにして落ちて行く。

風が頬を打ち、とても冷たい。

ラウンジとは大違いだな、と呑気に彼はそう思う。

エレベーターは、そんな思考をしているうちに最下層へと辿り着いた。

だが、ドクオは700層から800層までの落下の衝撃を受ければ、
無事では済むはずもなく、呼び出した大剣を構えて、振るう。
赤い光がエレベーターを焼き尽くし、爆発させた。

その爆風をクッションとして、ドクオは着地して見せる。

落下の衝撃はどの程度の物では緩和しきれない筈なのだが、
ある事件によって身体能力が強化された身は、
その程度の衝撃で怪我を負うことは無かった。

立ち上がり、背後で燃え上っているエレベーターを見てから、
ドクオは前方へと視線を移す。

その先には、巨大な建物が置かれていた。

薄暗い工業地帯。

建設途中である地下世界を照らす、研究所の光だ。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 01:30:35.42 ID:Ahlm2cXi0
忌々しげにそれを見つめて、ドクオは進んでいく。

中央に位置する研究所から外れて、
更に“奥”へと続いている坑道へと向かって。

ゆっくりと進んでいき、新しい工場や下宿を作っている、
自律機械達を視界の端に収めながら、
ドクオは坑道の入口まで辿り着いた。

入口の前には、侵入を阻むように立札が置かれていた。
立札には、

       ――――KEEP OUT―――――
        危険 高濃度魔粒子流出注意
       関係者以外の立ち入りを禁止とする


そう記されていた。

注意を呼んだドクオは、

('A`) 「ふん……」

小さく鼻を鳴らして、立札を蹴り飛ばした。
ガシャン、と大きな音を立てて立札は倒れていく。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 01:37:07.31 ID:Ahlm2cXi0
そして、口を開いて、

('A`) 「だから行くんだろーが」

誰ともなくそう言って、いや、自分に言い聞かせて、
彼は坑道の中へと足を踏み出していく。

ざっ、と靴が砂を噛んで、音が連続していく。

ドクオは、進む。

自分の為すべきことの為に、進んでいく。
心が、魂が、”やれ”と叫ぶことをやる為に。

魔粒子の臭いが、常人では分からない臭いを嗅ぎ取りながら、
坑道の中を進んでいく。

ざっ、ざっ、と音が響いていく。

坑道の奥までそれは走って行き、やがて自分の耳へと帰ってくる。
ドクオが進むたびに、音は行ったり来たりを繰り返す。

音は止まず、彼が歩みを止めることも、また、無い。





51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 01:51:29.66 ID:Ahlm2cXi0
しばらく歩いていると、ドーム状の広大な空間に出た。

見渡すほど広く、大きな機材や機械でも、ここなら運搬できるのだろう。

そういう用途で使っていた空間なのだと、
ここに放置された機械や機材が語る。

今まで進んでいた坑道も狭くはないが、
ここと比べれば天と地の差だ。
少なくとも、先ほどの坑道の10倍以上の大きさがある。

そして更に、研究所らしき施設が置かれていた。

明かりは灯っておらず、不気味な雰囲気を醸し出しているが、
坑道に入る前に見た施設によく似ている。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 02:00:56.04 ID:Ahlm2cXi0
奥に進むには、この研究所の中に入れば良いのだろうか?

そう疑問符を浮かべたドクオは、研究所へと向かっていく。
研究所の入口に立ち、中を窺う。

無人。

内部には人の姿はおろか、気配すら感じることが出来ない。
周囲を見渡してから、ドクオはもう一度内部を窺う。

('A`) (放棄された後、ずっと放置されているようだな。
    にしても、機械すら動く気配がないな。
    破壊されたわけじゃないし……)

('A`) (魔粒子のせいで故障でもしたか?)

内心に問うが、そんな事例は聞いたことがない、と自答する。

ここには、常人では嗅ぎ取れない魔粒子の臭いが充満している。
とても色濃く、地上では絶対に嗅ぎ取れない、咽かえるほど濃い臭いだ。

しかし、自分の作り出す魔粒子よりは濃度が低いな、
と、少々優越感の籠もった思いを得る。


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 02:11:54.82 ID:Ahlm2cXi0
が、背筋を突如として悪寒が襲う。

それを感じるよりも早く、ドクオは背後へと切り掛かっていた。

一瞬などよりも早く、既に持っていたと認識してもいい程の、
超高速を以って呼び出した大剣を振るって、
硬い感触を手に得る。

金属音が響き、火花が散った。

耳の奥にその音が残るが、ドクオは気にせずに次の一撃を繰り出す。
空いた左の拳に、赤い光を纏わせて、
腕を突きだして、赤光の柱を生み出す。

光の柱は、襲いかかってきた者を貫こうとした。

赤く伸びた光は、その者の腹部を捉えていたが、
青い電流によって掻き消されてしまった。

ガラスが割れるような音が轟く。

次いで、ドクオは剣を大きく横へと薙ぐ。
襲いかかってきた者は、それを軍刀で受け止め、
腕の力で押し返し、反動で自分の身を離脱させた。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 02:21:07.49 ID:Ahlm2cXi0
その者は、青いコートを羽織った青の軍服の男は、
ドクオが、よく知る人物であり、憎んでいる人物だった。

腰に大小の軍刀を差した彼は、

(#'A`) 「ヒッキーッ!」

鬱田ヒッキーだ。

(-_-) 「また会えたね! 兄さん!! 4年ぶりかな!?」

歓喜した声でヒッキーは尋ねるが、ドクオは構わず剣から赤い光を、
魔粒子による攻撃を放つ。

大波の如く迫る光は、ヒッキーへと押し寄せるが、
彼は青く輝く大小の軍刀を振るい、
赤い光を払ってみせた。

(-_-) 「話の途中なのに攻撃するなんて……面白いね。
     面白いよ。また、4年前みたいに楽しもうよ!!」

軍刀を構えて、ドクオへとヒッキーは向かう。

共に育ち、共に親の愛情を受けてきた兄弟は、
今、共に敵意を以って対峙していた。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 02:35:41.80 ID:Ahlm2cXi0
双の軍刀を構えるヒッキーは、ドクオへと青い電流で出来た刃を放った。

躊躇せずにドクオは突っ込み、電流の刃を斬り払い、
ヒッキーへと向かっていく。一歩を踏み出し、
地面を蹴りあげて跳躍し、その勢いを利用して彼は大剣を振り上げる。

右肩を抉る軌道で刃が迫り、ヒッキーは双の刃で防ぐ。

重量を誇る巨大な刃を、細くしなやかな刃で、
挟み込むように受けた彼は、
ドクオの大剣の勢いを流していく。

力があらぬ方向へと進み、
ドクオの身体はヒッキーの背後へと投げられてしまう。

振りかえり、ヒッキーは追撃を行う。

電流を纏った青の刃を、同時に振るい、
刃の軌道はそのまま斬撃となった。
ドクオの身体を雷の刃が切り裂かんと振るわれていく。

彼の体を青い電流が襲い、衝撃で吹き飛ばされてしまう。

地面へと激突するコースで飛んでいく身体で、
受け身を取り、片膝を突いて体勢を整える。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 03:05:56.07 ID:Ahlm2cXi0
痛みが胴に残っているが、この程度のダメージでは死にはしない。
ヒッキーを睨みつけ、ドクオは疾走していく。

前傾姿勢を取り、前へと飛び出していく姿勢だ。

巨大な方刃の剣を振りかぶり、
刀身には赤い光が覆われている。
真紅に染まり上がった刃は、ヒッキーへと目掛けて振り下ろされた。

空気を立ち割り、光が尾を引いていく。

軍刀で大剣をいなし、ヒッキーは即座に小振りの軍刀を、
ドクオの脇へと叩き込んでいく。
短い刃は、リーチこそ無いが小振り故の振り易さがある。

高速を以ってドクオの脇腹を貫こうとした切っ先は、
身を捻る動きによってかわされてしまう。

そのまま身を返し、ドクオは大剣で薙ぎ払う。

ヒッキーの胴を抉る一撃が見舞われ、
軍刀は辛うじてそれを防ぐ。

火花が散り、甲高い金属音が鳴る。



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 03:13:02.55 ID:Ahlm2cXi0
攻撃の手を緩めず、ドクオは次いで拳を放つ。

大剣を握っていない、自由な左の拳だ。
赤い光が拳には籠もっており、
先程放った、光の柱と同じ攻撃の動作だ。

ドクオは、ストレートの拳を放ち、

(#'A`) 「ヒッキーッ!!」

名を叫び、

(#'A`) 「死ねえぇぇッ!!」

咆哮した。

言葉と共に、拳から赤い光の柱が放たれていく。
ヒッキーは小振りの軍刀で光を遮り、

(-∀-) 「足がガラ空きだよッ!!」

足払いをドクオへと放った。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 03:21:19.23 ID:Ahlm2cXi0
飛び上がり、彼は跳躍の勢いを活かして回し蹴りを食らわせる。

ヒッキーの脇に、爪先が食らいついた。

( ∀ ) 「ぐぁっ!」

仰け反り、嗚咽を吐き出すが、
ドクオは追撃の一撃を繰り出していく。

(#'A`) 「ここでぇ――ッ」

身を縦に一回転させ、踵落としを頭頂部に叩き込み、
赤い光に覆われた大剣をヒッキーの丸まった背に振り下ろす。

溜まった光が解放されていき、ヒッキーへと放たれていく。

(#'A`) 「くたばれッ!!」

真紅が、ヒッキーへと降り注ぐ。

灼熱と斬撃が彼をズタズタに引き裂き、
衝撃に地面へと沈み、焼き尽くされてしまう。

倒れ込んだヒッキーを見届けて、ドクオは大剣の切っ先を背に突き付ける。



68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 03:28:57.09 ID:Ahlm2cXi0
(#'A`) 「お前が! お前がいなきゃカーチャンは!!
     トーチャンは!! 家はッ!! キュートはッッ!! 」

叫びを、倒れたヒッキーの背に浴びせて、
ドクオは構えた剣に力を込める。

(#'A`) 「――――俺はッ!!」

怒りの形相で、彼の背を睨みつける。

( A ) 「俺はッ……俺は………」

眉が垂れ下がって行き、一転して、
彼の表情に影が差していく。

口ごもり、目を伏せて、

( A ) 「……俺はぁッ!………クソッ」

悪態を吐き、その先は言わないことにする。

構えた剣を振るい、刃は虚空を裂いて消えていく。
背を見せるヒッキーに、ドクオは表情を戻して、

('A`) 「お前には恨み事が山ほどある。
    今回の目的は、お前なんかじゃない。
     ヒッキー。そこで寝ていろ」


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 03:34:51.14 ID:Ahlm2cXi0
ヒッキーに背を向けて、ドクオは研究所へと向かっていく。

恨みも憎しみも、仇も、全てを忘れて、ドクオは進む。

己の目的を果たす為に。己の身体が求め続ける場所へと。
何かに呼ばれる声に惹かれて、進んでいく。

砂を噛む音を立てる靴は、ヒッキーが自分の誕生日に、
家族でお金を分け合って買ってくれたものだった。

でも、もうそんなことは関係ない。

家族も、過去も、関係ない。

自分へと訴えかけて、ドクオは研究所へと入って行った。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 03:46:18.16 ID:Ahlm2cXi0
***

中に入れば受付があり、案内板が置かれていた。

ドクオはそれを見て、魔粒子抽出室への行き方を探した。
彼の目的は、そこにある。

膨大な魔粒子を抽出する為に、
地下世界の最奥で発見された、
新しい魔層を発掘する為の研究。

それをしていたのが、この研究所というわけだ。

膨大な魔粒子を持つ、現在最も濃度の高い魔粒子が取れる、新しい魔層。
だが、そこは今までの魔層とは違った。魔粒子の濃度が、
桁違いであったのだ。

抽出を行おうとした研究チームは、どんどん魔粒子を吸い上げていく機械を見て、
初めは歓喜こそしたが、次第にタンクへと治まり切らなくなって行き、
抽出を中断することも出来なくなってしまったのだ。

やがてその膨大な魔粒子はタンクを破壊し、抽出機を破壊し、
第800層から一気に地下世界全土へと拡散していった。

その、魔粒子流出を引き起こした魔層こそが、彼の目的だ。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 03:53:11.93 ID:Ahlm2cXi0
ドクオは、機械の暴走などという、単純な事故などではないと、
偶発的に起きたことではないと、そう睨んでいた。

でなければ、自分の身体が、
ここへと向かえと命じるはずがない、と。

案内板を見て、ドクオはエレベーターに乗る。

('A`) 「またエレベーターかよ」

あまり、エレベーターにいい思い出の無い彼は、
うんざりとしたようにそう呟く。

だが、今回はエレベーターはちゃんと起動してくれた。
目的地へと真っ直ぐに向かってくれた。

魔粒子抽出室への、直通のエレベーターなのだから、
当然のことなのであるが、彼は少しほっとした。
電子画面を見ながら、階層の表示を見る。

現在は一階だ。

目的地は地下10階にある。

電子画面の表示がB1、B2、と段々上昇していく。

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 04:01:23.42 ID:Ahlm2cXi0
***

(メ _ ) 「ぐぅ……兄さん……まだ、まだ僕は……やれるよ!
     まだ、まだアンタを刻むまで! アンタを殺すま…で……ぇッ!」

研究所の前で倒れたヒッキーは、
地を這って扉の前へと進んでいった。

既に満身創痍で、立つこともままならない彼は、
それでも、狂気に満ちた闘志を絶やすことは無い。
あくまでもドクオを倒すつもりのようだ。

腕を伸ばし、張って行く。

彼の兄さんが入って行った、研究所の扉の前で、
何とか立ち上がり、ヒッキーは中へと入ろうとする。

「敗れたようですね」

背後から、聞き慣れた声が聞こえ、彼は背後に振り返った。

大小の軍刀を抜き、

(メ-_-) 「まだ負けてない」

強がりをしてみせるが、肩で呼吸をし、
身体中が傷だらけである。

血が、諾々と流れていく。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 04:09:36.03 ID:Ahlm2cXi0
(゚、゚トソン 「そうですが。まぁ、どのみち、
      アナタでは勝てないことは分かっていました」

ヒッキーが振り返った先には、
装甲を纏った戦闘服を着たトソンと、

川 ゚ -゚) 「単独行動は軍紀違反だ、ヒッキー。
      しかし、今回は相手が相手だ。
      今なら不問にしてやろう」

(メ-_-) 「キューちゃん?」

川 ゚ -゚) 「違う。私はクーだ。いい加減間違えるのはやめろ」

クー少佐が立っていた。

川 ゚ -゚) 「奴の私が追跡する。
      坑道の前で装甲車が控えている。
      まだ動けるな? そこまで自力で行って応急処置を受けて来い」

(メ-_-) 「僕はまだ……いや、僕が、僕がアイツを倒さないといけないんだ。
      兄さんを殺さないといけないんだ」

川 ゚ -゚) 「その傷では無理だ。奴は私が始末しておく」

(メ-_-) 「僕は!」

川 ゚ -゚) 「命令だ」

(メ-_-) 「うっ……」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 04:24:12.61 ID:Ahlm2cXi0
張り上がった声に、ヒッキーは身じろいでしまう。

背を向け、クーは研究所へと向かっていく。
トソンは、それに付いていこうとするが、

川 ゚ -゚) 「トソン。君はここで待っていてくれ。
      よければ、ヒッキーを味方の元へと運んで貰いたい」

片手で制し、クーは彼女にそう言い放つ。

(゚、゚トソン 「ダメです。クー少佐。
      たとえ貴方でも、お一人ではご無事では……」

川 ゚ -゚) 「無事であることを前提に、戦いなどせんさ。
      私はいつも、戦いには死を覚悟して臨んでいる」

川 ゚ -゚) 「どうしてもというのでここまで連れてきたが、
      この先はどうしても無理なのだよ。
      君を連れて行くわけには、いかんよ」

川 ゚ -゚) 「奴と相対させるわけには、いかんよ」

(゚、゚トソン 「何故そうやってお一人で背負おうとするのです。
      何故そうして人を遠ざけて行ってしまうのです。
      クー先輩。あなたは何時もそうです」

川 ゚ -゚) 「今は少佐だ。トソン後輩」

(゚、゚トソン 「失礼ですが、軍学校の先輩であることに変わりません」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 04:31:15.83 ID:Ahlm2cXi0
(゚、゚トソン 「言わせて頂きます。先輩はずっとそうでした。
      一人で塞ぎこんで、一人で解決しようとして、成し遂げちゃうんです。
      貴方が苦しむことを、共に苦しむ周囲の人のことも、考えて下さい」

(゚、゚トソン 「未熟なこの身ですが、一矢ぐらいは鬱田ドクオに報いれるはずです」

(-、-トソン 「お願いします。どうか、連れて行って下さい」

頭を下げて、トソンは懇願した。

川 ゚ -゚) 「ダメだ。あの男は危険すぎる。
      それに、私の部下を、私の部下が傷付けるところなど、
      私は絶対に見たくはない」

それでも、クーは頑なに拒んだ。

川 ゚ -゚) 「私に罪を償わせてくれ。
      こんなことにさせてしまった私に、
      贖罪の為の戦いをさせてくれ」

(゚、゚トソン 「………」

言葉を失い、トソンはしばらく黙りこくり、

(゚、゚トソン 「……了解」

思い口を開いてそう応えた。



80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 04:38:42.56 ID:Ahlm2cXi0
クーはそれを見届けて、研究所へと足を踏み入れていく。

が、

(メ゚_-) 「兄さんは僕が殺すんだ!!」

彼女の背へと、ヒッキーが電流で出来た刃を放つ。

(゚、゚;トソン 「クー先輩ッ!」

トソンが慌てて叫ぶが、クーは、冷静に背後へと振り返る。
手には身の丈を裕に超える2mもの太刀を構えていた。

巨大な太刀を、彼女は悠然と振るう。

長身を誇る刃からは、とてつもない風圧と冷気が放たれ、
ヒッキーの雷の刃を掻き消し、彼の身体を真っ二つに切り裂いた。

川 ゚ -゚) 「お前を止めてやれなかったのも、私の罪だ。
      恨むがよい。無念を訴えるがよい。私の背は罪を背負おう」

空間転移によって太刀を掻き消し、彼女は研究所へと進入していった。

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 05:03:20.45 ID:Ahlm2cXi0
***

地下10階へと辿り着いたドクオは、
信じられない光景を目の当たりにしていた。

(;'A`) 「こ、こいつは……」

奥へと進み、魔粒子抽出室へ向かっていく最中、
ドクオは周囲が黒く染まっているのを見た。
研究所のただの一室が、広い空間が、黒いのだ。

真っ暗で、漏れ出てきている魔粒子のみが周囲を淡く青に照らしている。

(;'A`) 「照明を着けたはずなのに、どうしてこんなに……」

呟くが、答えなど出せるはずもない。

('A`) 「一体なにが、何が起きたんだ」

不思議そうに、そして注意深く辺りを見回しながら、
ドクオは魔粒子が青く輝く空間を抜けていく。


87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 05:11:24.41 ID:Ahlm2cXi0
すると、ここよりも更に広い空間に出た。

流出した魔粒子が先程よりも強く輝いており、
その濃度の高さを、物語っていた。

そして、最奥部に近づいてきているということも。

ドクオは、一歩を進んでいくと、身体の奥から鼓動が高鳴るのを感じた。

ドクン、と、心臓にも似た鼓動だ。

それは、

('A`) (呼ばれているのか……?)

自分の中の、魔粒子製造器官の高鳴りだ。
空間を進んでいくと共に、鼓動は更に高まって行く。

('A`) (そうか。その通りか)

青の光が幻想的な雰囲気を生み出す、
この空間の奥には、扉がポツリと一つ置かれていた。
黒と青の空間に、一つだけ鈍く光る鉛色の扉。

ドクオは、そこへと向かっていく。

('A`) (あれ、なんだな?)

自分へと、彼は問う。

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 05:17:14.10 ID:Ahlm2cXi0
ドクン。

一際大きな鼓動が己の内から聞こえ、

('A`) 「じゃあ、行くか」

それを返答としてドクオは扉へと手を掛けていった。

が、

「ドクオ」

名呼ぶ声が聞こえて、彼は背後へと振り返る。
すると、そこには慣れ親しんだ顔があった。

統治軍の物である、装甲を施された青の戦闘服に、
鋭い瞳をした黒の長髪。背の高い女性は、
こちらを向いており、彼は、

('A`) 「キュ……」

かつての友人の名を呼びかけそうになり、

('A`) 「クー少佐か」

険しい表情をして名を呼んだ。

川 ゚ -゚) 「久しいな、ドクオ」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 05:27:01.26 ID:Ahlm2cXi0
凛とした声に、彼は懐かしさを感じた。
この声を聞くのは、彼にとって3年ぶりのことであった。

川 ゚ -゚) 「あの時以来だな。VIPでの戦い以来だ」

('A`) 「そうだな」

川 ゚ -゚) 「敵味方、であったがな」

('A`) 「そうだったな」

川 ゚ -゚) 「何故私の元を離れた? 統治軍に、世界政府になんの不満があった?
      あんなに多くの者の幸せを祈ったというのに、今のお前は正反対だ」

川 ゚ -゚) 「今のお前は、多くの者を悲しませる」

('A`) 「大勢の幸せなんて、そんなもん望んじゃいないよ。
    もう、みんな死ねば良いと思っている」

川 ゚ -゚) 「……本心か?」

('A`) 「あぁ。新資源である魔粒子を見つけてから、
    世界政府は体よく地下世界への移住を勧告できるようになった」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 05:34:36.51 ID:Ahlm2cXi0
('A`) 「『魔粒子さえあれば何でも出来る。だから、皆さんの力をお貸しください』
    ってな。自分達が地上を駄目にした癖に、そう住民達を誘導した。
    自分達の汚点である地上から目を逸らさせてな」

川 ゚ -゚) 「許せないか?」

('A`) 「……それほどでもない」

でも、とドクオは続けて、

('A`) 「家族や友達を殺した、ヒッキーのような奴を生んだ世界政府を、許せやしない」

('A`) 「ヒッキーは……統治軍に入ってから可笑しくなった。
    前のあいつなら、家族を喜々として殺すようなことはしなかった」

川 ゚ -゚) 「だから復讐する、と?」

('A`) 「あぁ……」

川 ゚ -゚) 「そうか……そうか。分かった」

川 ゚ -゚) 「一億の賞金首の誕生の理由が、良く分かった」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 05:45:14.45 ID:Ahlm2cXi0
川 ゚ -゚) 「鬱田ドクオ。貴様の罪状は13」

川 ゚ -゚) 「牢獄を脱獄した罪」

川 ゚ -゚) 「都市を破壊した罪」

川 ゚ -゚) 「20もの軍基地を襲撃した罪」

川 ゚ -゚) 「味方兵士を殺害した罪」

川 ゚ -゚) 「統治軍地上本部に保管されていた機密兵器を強奪した罪」

川 ゚ -゚) 「破壊行為」

川 ゚ -゚) 「金品を奪った罪」

川 ゚ -゚) 「魔粒子の大量解放による大気汚染」

川 ゚ -゚) 「魔粒子による水質汚染」

川 ゚ -゚) 「一般人の殺害」

川 ゚ -゚) 「統治軍の将校の殺害」

川 ゚ -゚) 「個人での魔粒子生成器官の使用」

川 ゚ -゚) 「ジェノサイド罪」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 05:52:52.41 ID:Ahlm2cXi0
川 ゚ -゚) 「我が背負うは罪。我が振るうは断罪の太刀。
      貴様をその十三の罪状ごと断ち切ってくれる」

両手を構え、クーの拳の中には太刀が現れた。

('A`) 「来いよ。統治軍、素直クール」

腕を振るい、片手に大剣を構えて、
ドクオはクーと対峙する。

川 ゚ -゚) 「おぉ……ッ!」

2mもの長い太刀を、彼女は華麗に振るってみせた。
重みなど感じさせぬ素早い振り。

高速で横一閃を放つ刃をくぐり抜け、ドクオはクーへ迫る。

川 ゚ -゚) 「甘い」

が、目前には彼女の軍靴の裏が見えていた。
空いた左の手で足を防ぐが、勢いをそがれてしまう。


95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 06:03:08.31 ID:Ahlm2cXi0
ドクオは、鈍くなった疾走の動きのまま、
大剣の柄尻をクーの胴へと繰り出した。

素早い攻撃に、クーは長い太刀の柄でそれを防いだ。

硬い金属音が響き、太刀の刃を返して、
左からの薙ぐように思いきり振るっていく。
長くしなやかな刃は、太く巨大な刃と激突した。

火花が散り、ドクオが膝を前に突き出してクーの胴を狙う。

瞬時に身を横へと逸らして、クーは膝蹴りをかわす。

追撃を恐れたのか、クーはバックステップを行って、
そのまま距離を取って行く。

('A`) 「ちっ」

上手く間合いが取れずに、ドクオは舌打ちをした。

川 ゚ -゚) 「お前の体術は厄介だからな。
      間合いはゆずりはせんよ」

構えた太刀を脇に降ろし、刀身を外側へと向ける。

身を逸らすことで、横への一閃を放つ為の、
力を溜め込む姿勢だ。

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 06:09:25.65 ID:Ahlm2cXi0
リーチは圧倒的にクーが有利であり、
懐へと飛び込めばドクオは一気に攻めていけるが、
彼女の太刀の優位性は非常に厄介であった。

それでも、

('A`) 「おぉ……ッ!」

迎撃が待ち構えているとしても、
ドクオはクーへと突っ込んでいく。

赤い光を剣に纏わせ、両手で構えなおす。

太刀の間合いへと踏み込んだ、その瞬間。
ドクオは剣を振り上げ、高熱を持った赤い光を放った。
空気を焼き尽くしていき、クーへと赤い大波が迫って行く。

が、彼女は横から振るった刃から、冷気を放つ。

赤と青が、激突した。

それらは溶け合い、打ち消し合い、
爆発を巻き起こして消えていく。

直後に、クーとドクオの間に、音が轟いた。

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 06:21:31.18 ID:Ahlm2cXi0
熱と冷気が風に乗って消えて行き、
クーは頬に熱さを、ドクオは頬に冷たさを感じた。

ニヤリ、と互いに笑みを浮かべて、攻撃の動作を繋げる。

ドクオは赤く輝く拳を前へと突き出し、
クーは唯一自由な青く輝く片足を突き出していく。
互いの攻撃は交差し合い、互いに攻撃を受けてしまう。

ぐっ、と二人は嗚咽を漏らして吹き飛ばされていき、
地面に激突する前に受け身を取る。

クーはしゃがみこんで力を溜めこみ、身を思いきりひねっていく。
太刀の刀身を青い光が覆っていき、
彼女の居る空間を凍てつかせていく。

対して、ドクオは叫びを上げる。

(#'A`) 「器官解放!」

叫びと同時に、身体は影を纏っていき、
黒い禍々しい光を負った彼はの目が赤く輝く。

左胸からは血の如く真紅の光が噴出しており、
その光は全て彼の構える大剣へと吸収される。
巨大な刃が、赤く輝き、膨張していった。

ドクオの周囲は、赤く燃え盛って行く。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 06:27:07.77 ID:Ahlm2cXi0
赤と黒を纏い、ドクオはクーへと突き進む。

全力で駆け抜けていき、紅の巨刃を構えて、
彼の周囲を支配する炎と共に、激突していく。

体当たり。

己の身を武器にしたドクオに、
クーは己の全力を太刀へと込めて、

放つ。

何百と言ったガラスの割れるような音が轟き、
ドクオへと青の光の波が押し寄せていく。

彼は、迷わずにその波へと突っ込んでいった。

凍てつく光が、燃え盛るドクオを一気に飲み込んでいく。


101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 06:33:57.67 ID:Ahlm2cXi0
赤と青が、再び激突した。

強力な力と力の衝突に、
黒の空間はたわみ、収縮し、そして拡散していく。

空気の瀑布が巻き起こった。

その中心地では、赤が、
赤い光を放出し続ける左胸を持つ、
ドクオがクールの懐に飛び込んでいた。

(#'A`) 「消し炭になれ!!」

彼に纏わりついていた黒い光は消え去っていたが、
青の光の波を超えてもなお、
ドクオの大剣の輝きは健在であった。

巨大な刃を叩きつけ、真紅の輝きがクーを呑み尽くしていく。

轟音が響き、ドクオの耳朶を打つ。

高熱によって空間が歪み、空気が燃え盛って行く。
刃を振るった後には、炎のみが残った。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 06:39:02.29 ID:Ahlm2cXi0
黒の空間が大炎上を起こした。

今やこの空間を照らす物は魔粒子の青ではなく、
ドクオの炎の赤であった。

左胸の光が収束していき、輝きは失われる。

が、大剣は消さない。

敵がこの程度でくたばるとは思っていないからだ。

炎がうねりを上げる前方に、一つの火の塊がある。
それは、徐々に勢いを失っていき、やがて、消えた。

他の炎よりも早く、消えた。

炎の中には、青の姿があった。

青の軍服には焼け焦げたところがあり、
太刀を杖代わりにするその姿は満身創痍だ。

それでも、彼女は鋭い視線を絶やさず、ドクオを睨みつける

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 06:45:41.69 ID:Ahlm2cXi0
川メ゚ -゚) 「これほどまでとは……」

太刀を構えなおし、ドクオへと切っ先を突きつける。

('A`) 「まだやるか?」

問いに、彼女は頷いた。

川 ゚ -゚) 「あぁ。まだお前の罪を断ち切ってはいない。
      私は罪を償わせてやれていない。
      我が使命は世界政府の定める法を、秩序を守ること」

川 ゚ -゚) 「部下であったお前は、私が殺さなければならない。
      止めてやれなかったのだから。だから、今止めてみせる」

クーの言葉に、ドクオは呆れたように首を振って、

('A`) 「何時までそんなことを続けるつもりだ?」

そう尋ねる。が、

川 ゚ -゚) 「何時まで世界政府を敵に回すつもりだ?」

天の邪鬼な質問を返され、ドクオは口をへの字に結ぶ。

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 06:56:06.07 ID:Ahlm2cXi0
('A`) 「分からない。でも、今回はアンタ達の相手をしにきたわけじゃないんだ。
    だから、俺はアンタが邪魔をしない限り、俺は何もしない」

川メ゚ -゚) 「見て見ぬふりをしろ、と?」

('A`) 「あぁ。そうだ」

川メ゚ -゚) 「出来ん」

('A`) 「そうか……」

どこか残念そうにドクオが呟き、大剣を構えなおす。

長すぎる太刀を構えて、クーはドクオへと対峙する。

が、

川メ -゚) 「ぐっ……なんだ。これは、記憶か?
      私の、ではない。貴様、か? いや、いや、いや……」

川メ; - ) 「何だというのだ、これは……」

突如、苦しそうにクーは手で顔を押さえる。
ドクオは突然の彼女の異変に、目を丸くした。

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 07:06:59.75 ID:Ahlm2cXi0
(;'A`) 「どうした?」

川メ - ) 「世界政府の……くそっ……ダメだ…」

疑問符を浮かべ、クーへと近寄ろうとするが、
自分の腹に突き刺さった刃の衝撃に、身じろぎしてしまう。

(;゚A`) 「何時の間に……」

彼女の背後、黒の空間に鉛色に輝く扉が開き、
そこには、目付きは違うが、黒の長髪のクーそっくりな女性と、
白の長髪の女性が立っていた。

o川*゚ー゚)o 「目標沈黙。続いての攻撃へと移行します」

jl| ゚ -゚ノ| 「いや、まだいい。
       まだ、まだあの作品には攻撃しなくてもいい」

o川*゚ー゚)o 「了解。試作品Cへの攻撃を開始します」

(;'A`) 「キュート、か?」

jl| ゚ -゚ノ| 「その通り。私の作品である、完成作Qだ」

白髪の言葉と共に、キュートが空間転移によって巨大な刃を呼び出す。
刃は、クーの周囲を旋回し、取り囲んでいく。

(;'A`) 「ッ! 逃げろ、クー!!」

息を飲み込み、助けようと近づいていくが、既に遅い。

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 07:15:16.03 ID:Ahlm2cXi0
川メ - ) 「があぁぁぁぁぁッ!!」

悲鳴が響き、刃の群に細切れにされてしまい、
クーはその場で倒れていった。

大剣を構え、キュートへと疾走していく。

左の胸から赤い光を放出して、
黒い光を纏って、大剣は真紅に輝いていく。

空間転位によって刃の群が迫ってくるが、
赤の光の波を放って、刃を焼き尽くしていく。

そのまま勢いをそがずに駆け抜けていき、キュートの懐へ飛び込む。

(;゚A`) 「ぐ……ッ!」

が、背中から刃が突き刺さり、腹から剣が生えてきた。
血がクジラの潮吹きのように噴出して、
キュートの顔が赤く染まって行く。

次いで、キュートはいつの間にか構えた右手の刃で、
ドクオの喉元を突き刺した。

(メ;゚A`) 「なっ……」

何だ、と彼は叫びたかった。何でだ、と彼は叫びたかった。
何でお前がここにいて、何でお前がこんなに強いんだ、
何で俺の前に立ちはだかる、と。

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 07:26:00.86 ID:Ahlm2cXi0
jl| ゚ -゚ノ| 「どうしてだ?と問いたい顔だな。
       完成品D。私から言わせてもらえば、
       どうして疑問もなくお前が力を触れるのかが疑問だ」

jl| ゚ -゚ノ| 「お前の知っているキュートもクールも、
       皆、私が作った人造人間だ。
       そして、貴様も」

(メ゚A`) 「………ッ!」

馬鹿な、と言いたいが、喉に剣が突き刺さっている為に言えない。

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 07:42:48.36 ID:Ahlm2cXi0
jl| ゚ -゚ノ| 「よく今まで自分の生い立ちを怪しまずにいたものだ。
       貴様も少々あの失敗作に似ているところがあるのかもしれんな」

ドクオの意識が、薄れてゆく。

手の感覚が無くなり、足の感覚がなくなり、
身体が変に軽くなって行くのを感じる。

jl| ゚ -゚ノ| 「もっとも、クールに破壊されたアレとは、お前の性能は比にならんが。
       何。心配することは無い。お前の戦闘能力は素晴らしい物だ。
       成長する人造人間。私の完成作に相応しい物だ」

ふざけやがって。そんなことを信じられるか。
ドクオはそう叫びたかったが、出来ない。

jl| ゚ -゚ノ| 「後は、Qとの合一を果たせば、お前は究極の作品となる。
       安心して眠るがいい。次に目覚めた時には、
       お前は私の最高傑作となっているだろう」

jl| ゚ -゚ノ| 「Q。合一を開始しろ」

o川*゚ー゚)o 「了解。対象Dを認識。これより、Dとの合一を開始します」

喉元の刃が熱くなって行き、左胸が焼きつくような熱を感じる。

やがて、心臓ではなく赤く輝く球体が左胸から飛び出し、
キュートはそれを飲み込んでいった。ドクオはそれを見届けると、そのまま瞼を閉じていった。
そして彼は、己の胸の高鳴りの理由を把握した。

俺は、この為に、こいつに会う為に、おびき寄せらたのだ、と。

112 名前: ◆K8iifs2jk6 :2009/08/12(水) 07:47:46.58 ID:Ahlm2cXi0
支援ありがとうございました。

そういえば、ながら投下ってしたことないな、と思い、
衝動的にスレを立ててから約12時間。約半日ですよ。

非常に疲れましたが、いい経験になったと思います。

長々とお付き合いさせてしまい、すいません。




113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 07:51:12.12 ID:JVGwuu1gO
え、おわり?

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/12(水) 07:51:25.21 ID:b4+PfQ0w0
終わり…だと…?



116 名前: ◆K8iifs2jk6 :2009/08/12(水) 07:54:01.24 ID:Ahlm2cXi0
>>113-114
乙ありがとうございました

おしまい。バッドエンドです。
始めからこういう感じの結末にしようと思ってました。


コメント

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
FFⅦのリユニオンを思い出した
[2009/08/15 19:19] URL | #- [ 編集 ]


ブレイブルーに似てるな…ヒッキーとか
[2010/05/12 15:23] URL | #- [ 編集 ]


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