mesimarja
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(´・ω・`)曰く、「男には譲ってはいけないものがある」ようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:27:14.29 ID:sW4PESjR0
その一。

(‘_L’)「――…と言うわけで、近年ではウィジャ盤を始めとした簡素な占いや呪いが――」

この国は古き良き『帝王神権説』の国である。
なので僕もそれ相応の英才教育をされる。金持ち故の苦労、だろうか。
ただ他の国と明確に違うのは、そのメニューの中に『魔法』が入っていることだ。

(´-ω-`)「(魔法で私刑を行うぐらいなのに、今更こんなことを教えられてもなぁ……)」

(‘_L’)「…王子。聞いていますか?」

執事の、厳密に言えば父上の執事のフィレンクトが顔を近づけてくる。
ここは彼の面目を保つ為にも、悪ふざけや低能な反抗はせず、大人しく答えるべきだろう。

(´・ω・`)「…ん。真面目に聞きます」

(‘_L’)「よろしいです。では、続けます。…で、近年の呪いの傾向としては――」

…ああ、退屈だ。
平和なのはいいことだけど、退屈だ。


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:30:04.48 ID:sW4PESjR0
そのニ。

/ ^、。 /「君って、もしかして童貞?」

僕の数少ない日本人の友達、イオさん。
時間ができたらしく今日も唐突に訊ねて来たのだ。退屈がしのげて良かった。
しばらくは前の『私刑』の話をしていたのだけれど、これまた唐突にこんなことを聞かれてしまった。

(´・ω・`)「そうですよ」

/ ^、。 / y‐。゜ο「正直だねー」

夜のベランダでシャボン玉を吹きながら僕を褒める。
…なんで携帯してるんだろう……シャボン玉……

/ ゚、。 /「やっぱそれって『外交上の理由』ってやつなのかな?」

(´-ω-`)「…まぁ、そうですかね」

一国の王子がうっかり子供を作ることなどあってはならない。
そういうことは正式な儀式と手続きを済ませた後でなければ、僕はもとより僕以外の多くの人間に被害が出るだろう。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:33:04.78 ID:sW4PESjR0
月光を受けて七色に輝くシャボン玉。
まるで宝石のようだ。少し、儚過ぎる気もするけれど。

/ ^、。 /「大変だね。きっとモテるのに」

それを眺めながら同情するように呟く。
同情されるのは嫌いだけど、同時に褒められているのであまり悪い気はしなかった。
…嗚呼、僕の単純な脳細胞。

(´・ω・`)「…でも僕は僕でしか生きたことがないので、よく分かりません」

/ ^、。 /「ハハッ。スーパーソニックみたい」

僕は僕としてしか生きられない。
それに、他人の心を完全に読み取ることなどできない。それはきっと超能力の範疇だ。
できたとしてもどうしようもないだろうし。人間はそれほど強くも偉大でもない。

(´・ω・`)「イオさんはどうなんですか?女性関係は」

彼は彼でカッコいい……と僕は思っている。
単に外国人への憧れというものなのかもしれないけれど、多分そうだ。伊達男に違いない。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:36:04.95 ID:sW4PESjR0
/ ゚、。 /「僕?…僕はねー……」

黒い瞳と、同じく黒い髪が揺れる。
鼻梁の通った顔の作りは当たり前だけど日本人的で綺麗だ。

――そして、その唇から爆弾投下。

/ ^、。 /「…入れはしないけど、気持ち良くはするかなー」

(;´・ω・`)「……は?」

僕としては、「恋人いますか?」ぐらいのつもりで訊ねた問い。
でもどこかで意思の疎通が上手くいかなかったらしい。どうしてこうなった。
戸惑いを説明不足と判断したのか彼はなおも続ける。

/ ^、。 /「首筋とか、耳とか脚とか、色々。そこを噛んだり舐めたりくすぐったりした時の顔が、大好き」

(;´・ω・`)「…あのー、すいません」

/ ^、。 /「その時の声とかも。痙攣してる様子も、終わってグッタリした様子も可愛い」

…駄目だ、この人聞いてない。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:39:05.07 ID:sW4PESjR0
――小一時間の説明の後、

/ ^、。 /「ごめーん、なんか勘違いしてたみたいだね」

(;´-ω-`)「分かってもらえたならいいです……」

「人を一部の性癖で判断してはいけない」とは父上の言葉だけれど、それが揺らぎかけた。
恐るべしエロトーク。僕も気をつけよう。
うっかり何か言わないように。

/ ゚、。 /「…でもさ、難しいよね。男女って」

高く昇った満月を見上げ、詩でも読むかのように一言。
それはシャボン玉以上に儚げな表情で。

…なんだっけ、こういうの。
「オクユカシイ」と表現するのだったかな。

/ ^、。 /「避妊とかさ!」

――で、台無し。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:42:04.77 ID:sW4PESjR0
あんまりにも無邪気に言うものだから、こちらとしても咎めようがない。
…でも、イオさんは軽快さの中に深刻さを含む発言を。

/ ゚、。 /「…うちの国とかは、そういうのの軽い行為や売り買い、結構あるからさ。昔から」

(´・ω・`)「………」

/ ゚、。 /「僕は一辺倒に否定しないけどね。…でも、責任は取るべきだと思う」

僕の国は一夫多妻制ではない。逆でもない。王家だからと言って側室があるわけでもない。
だからきっと、僕はたった一人としか性交しないだろう。
それで子供にこの位を譲って、終わり。

だけど、それで十分だ。

/ ^、。 /「よく言うんだよね、『女は腹痛めて子供産み、男は頭抱えて子供育てる』ってさ」

(´-ω-`)「……そう、ですね」

多分、僕には自分が幸せになる権利や他人を幸せにする権利があまりないだろうから。
…後者は一人分ぐらいはあると思いたいけど。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:45:06.02 ID:sW4PESjR0
その三。

僕も一応『王子』という身分であるから、仕事をしなくてはならない。
その日の仕事は激励。
病院で長期療養中の人々に元気を与える……と言えば聞こえはいいが、ようは世間話をしただけだ。

「こんにちわー」

(´・ω・`)「こんにちは」

廊下を歩いている最中でも挨拶が飛んでくる。
テレビには割とよく出るので、有名人。スターのような扱い。

ハハ ロ -ロ)ハ「…大丈夫デスか?」

(´・ω・`)「ん?ああ、大丈夫だよ」

今日はフィレンクトがいないので付き人はハローのみだ。
最初の頃こそ頼りなかったが、今ではもう立派なメイドと言えるだろう。
勿論、父上の執事には劣るのだけれど。
しかし、ハローこういう小さな心遣いには本当に感謝している。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:48:04.41 ID:sW4PESjR0
帰りがけ、ある病室が目が行った。
中には二人の恰幅の良い男。片方は不機嫌な顔で床に臥せているが。

ハハ ロ -ロ)ハ「あの椅子に座っている人、シーン選手じゃないデスか」

(´・ω・`)「…て、誰?」

ハハ ロ -ロ)ハ「ハァ、王子は世間知らずデスね」

世間知らずもなにも、それは僕の部屋にあるテレビをハローがほとんど毎日四六時中占領してるからだろう。
別に見ないからいいけど。
呆れ顔で、彼女は説明する。

ハハ ロ -ロ)ハ「この国のこないだ選ばれた代表チームのフォワードデス。…なので、サイン貰ってきマス」

(;´・ω・`)「え?…ちょっと!」

フォワードということはサッカーだろうか、などと考えているうちに、ハローはさっさと病室に入っていってしまった。
渋々、けれど顔は営業スマイルで僕も続く。

ハハ ロ -ロ)ハ「…スイマセン。サイン、お願いしマス」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:51:05.78 ID:sW4PESjR0
( ・ー・ )「…ハハ。僕より遥かに有名な王子の隣で、僕にサインですか」

困ったように微笑むシーン選手。
僕に悪いと思ったのか軽く会釈をする。勿論、僕も返した。
ハローが取り出した色紙に、サラサラと自らの名前を書き込んでいく。流石に慣れているようだ。
…と、サインを書き終えた彼はベッドの上に横たわる青年に尋ねる。

( ・ー・ )「どうだい君も?」

(=-ω-)ノ「…お呼びじゃない」

「あっちいけ」というように色紙を払いのける。
本当に迷惑そうな顔だ。…どこか不自然だな、なんだろう。
…だがハローはフォローするように言う。

ハハ ロ -ロ)ハ「イエイエ。是非イヨウ選手にも…」

(=-ω-)ノ「もう選手じゃない。…ただの、能無しだ」

ボソリと一言呟いて、そのまま布団を被ってしまった。
…後で聞いた話なのだが彼は前回の選抜の前に病気を発症、それから入退院を繰り返す日々らしい。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:54:05.29 ID:sW4PESjR0
自暴自棄気味の彼にハローとシーン選手は苦笑い。
ここは放っておくべきと判断したのか、声をかけ病室を出て行く。

( ・-・ )「そうそう」

扉の前で立ち止まり、振り返る。
彼はボリュームを下げてこう言った。

( ・ー・ )「…今、お時間大丈夫ですか?」

(´・ω・`)「今ですか?」

正直、あまり大丈夫ではない。
家に帰って経済学の勉強でもしたいところだ。
しかし、僕の隣にはキラキラと目を輝かせる女の子。…これは断れない。

(´・ω・`)「…ええ。大丈夫ですよ」

( ・ー・ )「良かった。なら、少しお話しませんか?」

快く了承する僕とハロー。
かくして、この国の未来のスターと散歩に行くこととなった。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 20:57:06.64 ID:sW4PESjR0
その四。

爽やかな午後の日差しが柔らかい、秋の日。
病院の一角。よく手入れされた木々の中を三人は進む。
口火を切ったのはシーン選手だった。

( - ー - )「…一応、ライバルなんて言われていた時期もあったんですが……」

あの青年のことだと直感する。
多分誰でもいいから……いや、できればあまり深い関係ではない人に、話を聞いて欲しいのだろう。
こちらも王子なので馬鹿な真似はできないと信用してくれたらしい。

( ・-・ )「…うん、そんな時期の方が長かったかな。中学からの付き合いで、いつも競い合っていました」

ハハ ロ -ロ)ハ「………」

本当に、それこそイヨウ選手と同じかそれ以上残念そうに、彼は語る。
思わず言葉に詰まる。

( - )「…そこに、あの病気です」

木の陰に入り表情が読めなくなる。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:00:06.27 ID:sW4PESjR0
( - )「昔は正直『怪我しちまえ』、…とか思ってました。でも…」

(´-ω-`)「………」

( ・ー・ )「実際ああなられると、やっぱり寂しいもんですね」

木漏れ日の中、哀しそうに笑う。
一言で言えば「胸が打たれた」になる。
…幼い頃からこういう話に僕は弱い。

僕が何か、気の利いたことでも言おうと思ったその時。

「シーンくーん!」

( ・ー・ )「…すいません。友達が来たようなのでこれで失礼します。お付き合いさせてしまって、すいませんでした」

女性の声に促されるよう、彼は去っていった。
…まぁ多分彼は大丈夫だろう。これからも上手くやれるはずだ。

ハハ ロ -ロ)ハ「…友達じゃなくて彼女デスよ」

聞いてないって。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:03:06.35 ID:sW4PESjR0
その五。

平和な業務に忙殺されている僕が気づき始めたのは、そのしばらく後。
イオさん曰く「袖振り合うも多生の縁」。何度かイヨウ選手の病室を訪ねた後だ。

シーン選手はよく見舞いに来るらしい。
幼馴染の友達――ハローによると『彼女』――を連れていることもあった。

(´・ω・`)「……う~ん」

「悔しさをバネに頑張る」とはよく言われる言葉。
…でも、そんなに上手く方向転換できる人は中々いない。
それを僕は最近――具体的に言えば『私刑』を行うようになってから――よく実感する。

ハハ ロ -ロ)ハ「……ハァ」

多分ハローも同じ気持ちなのだろう。協力者であることだし。
…じゃあ、偶然にしても僕の行為を知ってしまったイオさんはどう思うのだろう。
同じような気持ちになるのだろうか?

聞いてみたいが、わざわざ聞くほどのことでもないような気もする。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:06:06.34 ID:sW4PESjR0
僕の感性は普通の人間とは変わっているらしい。
一応特別な環境で育ってきたからだろう。…そう、思いたい。

ハローも幼い頃からメイドとして育てられてきた。
給仕の他に護身術も学んできた。だったら、やっぱり普通とズレが出るのは仕方ないことなんだ。

(´・ω・`)「………」

人は皆違うという。
でも国を運営する者からすれば、いちいち一人一人に構っている時間は到底ない。
僕も父上も神様じゃない。…いやきっと神様でも無理だろう。

(´-ω-`)「う~ん…」

少し違うけど、これも『責任』なんだろう。
上に立つ者の責任。

――だとすると、人と違う感性を持つ人間が、こんなポジションにいて良いものだろうか。


…最近悩んでいる。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:09:10.88 ID:sW4PESjR0
ハハ ロ -ロ)ハ「…不公平だ、とか思っていますか?」

――僕の隣に座ったハロー。
普段見せないような優しさを含んだ表情。こんな時だけ流暢な言葉遣い。
…どうやら、僕の悩みなどお見通しらしい。

ハハ ロ -ロ)ハ「…いくら高く広い視点で見ることが大事だといっても――」

(´-ω-`)「………」

軽く、そして優しく僕の頬を触れる。
目線をしっかり絡ませ、言う。

ハハ ロ -ロ)ハ「――それで、目の前で困っている人を助けない理由にはなりませんよ?」

ポンポンと頭を叩くように撫でると、部屋を出て行ってしまった。

(;´・ω・`)「……アレ?」

…ああ。うん、そうだな。
思わずドキドキしてしまったことは内緒にしよう。一生。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:12:07.48 ID:sW4PESjR0
その六。

次の日。
漠然とした胸のざわめきと、確かに聞いた『音』に突き動かされて、僕は病院に来ていた。
あの若きエースのカルテを見る為に。

(´・ω・`)「…じゃあ、失礼します」

ほとんど顔パス状態なので、すんなりと見せてもらえた。
…この状況はプライバシーの観点に立つとちょっと改善する必要があるな。便利なのは便利だけど。

白の紙束、なんとも言えない色合いの写真、その他もろもろ。
――そしてそれらを見ていくうちにある確信が。

(;´・ω・`)「…どうしようか」

帰り道、頬を汗が伝わる。予測は当たってしまった。
もやもやとした気持ちが僕を苛む。
舌打ちが出るが、そんなことでは何も変わらない。

詰まる所、僕は信じたくなかったのだ。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:15:05.53 ID:sW4PESjR0
その七。

(#゚ω゚)ノ「クソッ!!」

力任せに道端の空き缶を蹴り飛ばす。本業の動きとあってか、コーヒーの缶は遠くまで飛んでいった。
同時に痛み出すわき腹。それが神経を逆撫でする。

(= ω)ノ「クソッ……」

イヨウは将来有望の選手だった。
今回の選抜でも間違いなく、とまでは言えないが、かなり高い確率で選ばれていただろう。

――この妙な病さえなければ。

これのせいでずっと苦しんできた。
学生時代も、勿論今も。
これさえなければ……、どうしてもそう思ってしまう。

(= ω)ノ「…クソッ」

苛々して仕方ないのだ。
もう止まらない。手当たり次第、壊していくしかない。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:18:05.30 ID:sW4PESjR0
――ちょうど、寝ていた猫を蹴り飛ばしたところだった。
彼の耳にキーンという高い音が届いた。まるで耳鳴りのような。
実際イヨウもそう思ったので耳を塞いだ。

(=゚ω゚)ノ「…耳鳴りじゃない?」

音は前方より、キーンキーンと連続して聞こえてくる。
やがて音源がはっきりする。

(´・ω・`)「こんばんは。…やっぱり、おかしいですね」

暗闇より現れたのは赤いローブの銀髪の青年。
学生服と腰に下げた銀の儀礼剣。そして右手に持った音叉。それらが合わさり非常に特徴的な見た目である。
…青年は普通この国のなら誰でも分かる有名人で、実際何度か会っているのだが、暗さのせいで判別することはかなわなかった。

(=゚ω゚)ノ「……何だお前」

(´・ω・`)「別に。僕のことなどどうでもいいですよ」

音叉をしまいながら不機嫌そうに返事をする。
…いや、その実彼は機嫌が悪かったのだ。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:21:07.32 ID:sW4PESjR0
(´・ω・`)「…もしかして、諦めてますか?」

(#゚ω゚)ノ「当たり前だッ!!」

挑発するように言った次期国王。
間髪入れずにイヨウは吼えた。
言葉足らずだが、「病気のせいで人生を諦めているか」という問いだった。

(#゚ω゚)ノ「ああそうだよ、お前に何が分かる!全部、全部この病気のせいだ!!」

(´-ω-`)「……見境なく人に当たるのも?一日寝て過ごしているのも?好きな人を譲ったのも?」

(#゚ω゚)ノ「――ッ!他人のお前が口出ししてんじゃねぇ!!」

どうやら青年は事情をほとんど知っているらしい。
…だが、それを批判される覚えはないはずだ。ショボンは紛れもない『他人』なのだから。

――しかし。

(´・ω・`)「…実は、そうもいかないんです」

青年は言う。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:24:05.75 ID:sW4PESjR0
(´-ω-`)「だって、貴方はこの国の市民ですから。それに――」

ゆっくりと右手が動き出す。
それは言葉や容姿と同様、王室特有の優雅さを持った動きだった。

(´・ω・`)「――男として、目の前で困っている人を助けるのは当たり前でしょう?…それが僕の譲れないものです」

(= ω)ノ「………ッ」

(´-ω-`)「…次期国王、ショボンヌ・S・ハイドレードより王の判決を言い渡す」

古より伝わる、荘厳で高潔な言葉。
青年より、魔法使いより、次期国王より判決が言い渡される――

(´-ω-`)「貴方から――」

――瞬間。
右わき腹から血が噴き出す。
目を見開くイヨウ。手で押さえるも、意味はない。

やがて意識が遠のいた。
…青年の最後の言葉など、聞こえはしなかった。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:27:05.82 ID:sW4PESjR0
その八。

(=゚ω゚)ノ「……ん?」

――白色の天井と同じく白色の蛍光灯。
彼が目を覚ましたのは、ある病院のベッドだった。
主治医の説明では「鋭利な刃物的な何かでわき腹を貫かれていましたが、幸い命に別状はありません」とのこと。

(=-ω-)ノ「…このご時世で僕は辻斬りに遭ったわけかよ……」

傷口を触ってみる。どうやらそうらしい。
信じられないことだが、因果応報とも言える。
今までの怠惰の。

(=゚ω゚)ノ「………」

退院したら迷惑かけた人達に謝りに行こう。
その後は就職先でも探すか。
どうせ、金が欲しいからやってたわけじゃないし。

ポジティブにそう決める。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:30:07.51 ID:sW4PESjR0
――しかし、そうはいかなかった。

(;゚∋゚)「おっ、おまっ、おっ……」

(=-ω-)ノ「とりあえず落ち着いてください」

ドアを破るような勢いで入ってきた監督。興奮する彼をなだめる。
…深呼吸を二度ほど繰り返し、やっと落ち着いた。
すると彼はなんとも言えない嬉しそうな顔で言ったのだ。

( ^∋^)「――病気、治ったってよ!!」

(=゚ω゚)ノ「…へ?」

都合良過ぎるだろう、とイヨウは思う。信じられない、とも思う。
だが――

(= ω)ノ「そう…ですか…ッ」

――嬉しかった。また大好きなサッカーができる。アイツと競い合える。
そう思うと、やはり涙が止まらなかったのだ。
…枕元の手紙など気づかないほどに。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:33:06.72 ID:sW4PESjR0
その九。

ハハ ロ -ロ)ハ「まんま辻斬りデスよね?」

「失礼な、医療行為だよ」と言い返そうとし、やめる。
確かにあれは投げやり過ぎた。時間がなかったとはいえ説明もなしにわき腹貫いたわけだから。

(´-ω-`)「そのうち謝りに行かないと……」

『瀉血』というものがある。
膿や毒素を排出する為、患部を切り血を出すことだ。
加えて魔術方面では身体の禍を取り出すことでもある。今回僕がやったのはつまりそれだ。
刻一刻と病気……というか、『呪い』は進行していた。それを解く為最も確実で早い方法があれだった。

ハハ ロ -ロ)ハ「…ところで、どこで気づいたんデスか?」

(´・ω・`)「『音』だよ。呪い特有のね」

最初に会った時からどこか不自然な感じがしていた。
だからカルテを見たり、人体の波動を調べたりしたんだけど……

どうやらビンゴだったらしい。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:36:06.61 ID:sW4PESjR0
(´・ω・`)「にしても、『言い訳する権利を没収する』か……」

偉そうなことを言ったもんだ、と自分でも思う。
本当にいつか謝りに行かないと……。あと、これから術者を探しに行かないと。

ハハ ロ -ロ)ハ「これから、大丈夫デスかね?」

(´・ω・`)「…本人次第でしょ」

――そう。それは本人次第だ。
たとえ病気が治っても、彼が変わらなければ何も手に入れられない。
逆に言えば、病気であろうと本人さえ変わればなんとでもなるのだ。…少なくとも僕は信じている。

(´-ω-`)「…手紙、読んでくれたかな」

ハハ ロ -ロ)ハ「?なんて書いたんデスか?」

(´・ω・`)「教えない」

…たった一言だけど、伝わったはずだ。
きっと大丈夫だ。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:39:06.18 ID:sW4PESjR0


『男には譲ってはいけないものがある』

どんな世界。どんな時代。どんな境遇でも。
…一番大事なものは、絶対に、譲っちゃ駄目なんだ。

(´-ω-`)「『一人分』か……」

ハハ ロ -ロ)ハ「へ?」

(´・ω・`)「…なんでもないよ。先の話だ」


――もう一つの『譲ってはいけないもの』が見つかるよう、人知れず誓いを立てる。




END?


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:42:07.04 ID:sW4PESjR0
その後。

(; - )「くぅ…っあ……ッ!!」

内臓がひっくり返ったかのような痛み。
イヨウに呪いをかけた張本人、シーンは呪いのフィードバック『返しの風』により苦しんでいた。
暗い夜道で「人を呪わば穴二つ」という自分に外法を教えた人間の言葉が反芻される。

人を呪わば穴二つ。
『呪い』というものは非常に厄介で、破られた場合には術者に呪いが跳ね返るのだ。
たとえ成功したとしても、素人が外法に手を染めればそれ相応の報いが来る、というわけだ。

「…そう。詰まる所の因果応報です」

(;・-・ )「……ッ」

ちょうどショボンが『私刑』…というか、『瀉血』を行い倒れたイヨウを病院に運んでいた頃。
シーンもある人物に声をかけられていた。

(;・-・ )「…誰だ……」


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:45:06.40 ID:sW4PESjR0
――彼のことを語る時、人はまず、その大きな傘のことを口にする。
真夜中の空の色をそのまま付けたような、綺麗な群青色の傘。

月夜の晩。今宵も彼はその傘を差していた。

/ ^、。 /「こんばんは」

黒髪と、黒い瞳。
鼻梁の通った顔は二枚目と言えるだろう。
彼はいつも通りの柔和な笑みを浮かべ、星空の下登場した。

(;・-・ )「…誰だ」

わき腹を押さえ呻きながらも再度問う。
その様子を曖昧で笑みを浮かべ眺める男。ショボンは『イオさん』と呼んでいる。

/ ゚、。 /「僕ですか?そうですねー……」

残った右手を口元へ当てる。
大きな黒い瞳が揺れる。濁りながらも、どこか澄んだその瞳。
…ただし全く笑っていないが。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:48:09.25 ID:sW4PESjR0
/ ^、。 /「――しがない、錬金術使いのレインメイカーです」

――直後のことだった。
右手が真下にスライド。流れるような動作で懐より試験管が取り出される。
白色の液体が入ったそれを手首だけを使い放り投げる。

ここまで、所要時間一秒に満たない。

(;・-・ )「これは……氷!?」

シーンの足元で広がった謎の液体は、彼の左足を足首まで凍結させた。
通常の物理法則では当てはまるものが見つからない。

…つまり、『魔法』だ。

/ ^、。 /「動くと危ないですよー。十分ぐらいで溶けるんで、大人しくしててくださいね」

言いながら、今度はポケットに手を入れる。
次に取り出されたのは子供が持っていそうな、シャボン玉をする為のセットだった。
年不相応に違いないのだが何故か彼にはフィットしている。


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:51:06.68 ID:sW4PESjR0
/ ゚、。 /「…あの人も甘いですよね。『返しの風』程度でチャラにするなんて」

ピンクの容器。蓋を開けストローを入れる。
そしてニ、三度上下させる。

/ ^、。 /「なので、僕は僕で罰を与えることにします。今更『誰かに止めて欲しかった』……なーんて言い訳、しませんよね?」

(;・-・ )「ひっ…」

笑顔に気圧される。
シーンが今まで出会った人間の中で、最もと言っていいほど清々しい笑み。
…ただ相変わらず目は全く笑っていない。

/ ゚、。 /y‐。゜ο

ふー、という具合に球状の液体が空を飛ぶ。
夜風に流され、シーンの方に。そして――

(; - )「うぐぅっ!!」

――爆発した。


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:54:06.74 ID:sW4PESjR0
比喩でもなんでもない。彼の肌に触れた瞬間小規模な爆発を起こした。
二の腕の皮が薄く剥け、血が垂れる。

/ ゚、。 /y‐。゜ο「僕はですね、貴方のような人間が大嫌いです。同じ土俵で勝負しようとせずに卑怯な手段を使った貴方が」

バンッバンッ、と連続した破裂音。
手加減しているのだ。本来ならば、一撃で死に至らしめることのできるものを、あえて。

ただ苦しませる為に。

(; - )「…僕には、病気の――」

/ ^、。 /「知りません。貴方の母が癌ですぐにでも手術しなければいけなくてお金が必要でついでにずっと幼馴染が好きだったことも、全部」

血飛沫をハンカチで拭いながら、ニコニコと笑う。
痛みで意識が飛ばないように適当に揺り起こしながら。

/ ^、。 /「…でもこれは僕のエゴです。その価値観に貴方を巻き込むのはおかしいのかもしれませんね」

「まぁ、やめませんけど」と繋げ、シャボン玉で遊び続ける。
月光を受けて七色に輝くそれは儚く美しかった。


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 21:57:10.55 ID:sW4PESjR0
/ ゚、。 /「…ん、そろそろ時間みたいです」

しばらくの後、血だらけで地面に伏した男にそう告げる。
…無論返事などない。

/ ^、。 /「もう卑怯なことしちゃ駄目ですよー?…次は、殺しちゃうかもしれません」

片手で救急車を呼びながら、釘を刺すように。
意識がないので意味がないのだが。

イオは傘をもたげ、空を見上げる。
星空は曇り始めている。雨が降ってきそうだ。

/ ゚、。 /「………」

一瞬。
本当に一瞬だが、素に戻ったように無表情となるイオ。
――その意味を知る者はまだ誰もいなかった。


END?


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/02(金) 22:00:15.36 ID:sW4PESjR0
ご支援ありがとうございました。
この作品は「(´・ω・`) 曰く「男は皆、魔法使い」のようです」また、「(´・ω・`) 曰く、「男がやってはいけないことが三つある」ようです」
…の続きっぽい何かです。
特に連続性はありません。
必殺仕事人とか大好きです。


ショボンが悩んでいます。
そして「妖怪キャラかぶり」のイオの『私刑』も登場。
やってることはショボンと同じなのに、彼だけ悪人に見えるのは何故なんでしょうか?


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