mesimarja
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('A`)燃え尽きた後のようです
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 20:38:00.45 ID:NGEzR5QbO

もういいかあい。
まあだだよ。
もういいかあい。
まあだだよ。

もう、いいかあい。






4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 20:40:11.88 ID:NGEzR5QbO





('A`)燃え尽きた後のようです







5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 20:41:35.89 ID:NGEzR5QbO

 もうもうと空に昇る煙を眺め、ドクオは、ほう、と一つ息を漏らした。
 かつて人を散々振り回していた人間も、死んでしまえばああして煙と骨になる。
 ドクオが今燻らせている煙草と変わらぬ。
 煙を流した後は――脆い骨になり。
 そのまま奴という存在自体が忘れ去られ、消えてしまうのだ。

 残るのは骨だけ。

('A`)「……くそ……」

 奴の骨など見る気もない。
 煙草と共に言葉を吐き捨て、ドクオは踵を返す。
 地面に落ちた煙草は、もうもうと煙を流した後、やがてその身に宿らせていた火を消した。
 奴と違ったのは、骨の代わりに灰を残したことだけである。




7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 20:43:54.41 ID:NGEzR5QbO


 奴の家族が泣いていた。
 奴の友達も泣いていた。
 きっと彼女も泣いていただろう。






※※※※※




8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 20:46:22.81 ID:NGEzR5QbO


 もしも。

( ^ω^)「もしもだお、ドクオ」

('A`)「おう」

( ^ω^)「僕がいつか死んだとして」

('A`)「ああ」

( ^ω^)「そのときドクオとツンが生きていたら」

('A`)「うん」

( ^ω^)「僕はどっちを道連れにすると思うお?」

 数日前、ドクオの部屋でそんなくだらないことを問うたのは、奴――内藤だった。
 煙草をくわえながら本を読んでいたドクオは、顔を上げることなく答える。



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 20:49:56.94 ID:NGEzR5QbO

('A`)「ツンにしろ。俺はやめてくれ」

( ^ω^)「何でだお?」

('A`)「お前と会うためにわざわざお空の上に行く、なんつー気はない」

( ^ω^)「……まあ、そう答えると思ってたお。
       だけれど」

 だけれど、も。

( ^ω^)「僕が死んだら、ドクオは自殺しちゃうお」

 内藤の言葉を聞いたドクオは、ようやく本から視線を外した。
 内藤の顔を見る
 にこにこ。にこにこ。
 笑う内藤と言葉の内容が気味悪くて、ドクオは再び本に目を落とした。




13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 20:53:32.39 ID:NGEzR5QbO





 ―――――もういいかあい―――――

 ―――――まあだだよ―――――







14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 20:55:47.80 ID:NGEzR5QbO



 チャイムが鳴る。
 内藤との会話を思い返していたドクオは、その音で我に反った。
 灰皿に煙草を押し付けて、立ち上がる。
 誰が来たのか、おおよその見当はついている。

ξ゚⊿゚)ξ

 そしてドアを開けた先に居たのは、予想と違わぬ、目を腫らした美しい女性であった。



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 20:59:32.94 ID:NGEzR5QbO



 いくつかの氷と冷えたお茶が入ったグラスを2人分。
 それをちゃぶ台に乗せて、ドクオは床に座った。
 その向かい側には、俯く女性。
 がたがた、がた。
 外で吹きすさぶ風が、部屋の窓を叩く。

('A`)

ξ ⊿ )ξ

ξ ⊿ )ξ「ねえ、ドクオ」

 女性は、ツンは、少し嗄れた声でドクオを呼んだ。



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:02:04.89 ID:NGEzR5QbO

('A`)「うん?」

ξ ⊿ )ξ「――う?」

('A`)「……何だって?」

ξ ⊿ )ξ「……と、思う?」

('A`)「?」

 ただでさえ掠れた声が、ひどく小さくて聞き取れない。
 耳に意識を集中させる。
 数回深呼吸をした後、ツンはゆるゆると口を開いた。



 ――どうしてブーンは死んだと思う?



 窓の音が聞こえなくなった、気がした。





※※※※※



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:05:20.98 ID:NGEzR5QbO


 うそつき。

( ^ω^)「嘘つきだお、ドクオ」

 あれは二ヶ月ほど前の、夏の日だったか。
 大学の食堂で、昼飯のラーメンを口に運びながら内藤が言った。
 暑さのために食欲の湧かなかったドクオは、水をこくりと飲みながら、向かいの内藤を見る。

('A`)「何が」

 音を立てて、内藤が麺をすする。
 にこにこ顔に、頬を染める朱色が足されて、とても美味しそうに食べるな、という感想をドクオに抱かせた。
 その顔が可愛いのだと、いつだったか内藤の恋人であるツンがにやけながら惚気ていた気がする。
 本人の前では恥ずかしくてそういったことを言えないらしく、
 ツンはいつも内藤がいないところでばかりドクオに内藤の良さを主張していた。
 女性と付き合った経験もないような自分に、そんなことを話されても困るのだが。



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:08:15.88 ID:NGEzR5QbO

( ^ω^)「ドクオは嘘ついてるお」

('A`)「……」

 さっきまでドクオと内藤が話していたのは、恋愛についてだ。
 ツンが自分たちのことをドクオに惚気るのに対し、ブーンは逆にドクオの恋愛を気にかける。

 好きな人は、気になる人はいないか。
 誰其がいいのではないか、あの人は好みではないか。
 そんなことを言う。

 その度に、ドクオは、

 ――好きな人も気になる人もいないし、あいつもこいつもどうだっていい。

 なんて答えていた。

 先程も、そんな、いつもと似たり寄ったりなことを話していたのだ。
 そしたら――嘘つき、などと。



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:11:30.78 ID:NGEzR5QbO

('A`)「嘘なんてついてない」

( ^ω^)「それも嘘」

 くすくすと笑って、ブーンは麺をすする。
 咀嚼して、美味しい、と一言。
 湧かないはずの食欲が、ほんの少し刺激された。

 「嘘つき」なんて言葉を使ってはいるが、内藤の話し方に責めるような色は微塵もない。
 むしろからかうような、楽しんでいる節さえ感じられる。
 なのに、ドクオにはその話し方こそが、何よりもドクオを責めているように思われてならなかった。

 いたたまれなくて、ポケットから煙草とライターを取り出した。
 煙草を口にくわえたところで、灰皿になるものがないことに気付く。
 食堂の水ではなく、食堂前にある自動販売機で飲み物を買えば良かった。
 それならば空き缶を灰皿代わりに使えたのに。
 ため息を一つこぼし、煙草を箱に戻す。



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:14:13.04 ID:NGEzR5QbO

('A`)「……ん」

( ^ω^)「……」

 内藤を見ると、じとりとドクオを睨んでいた。
 何だよ、と問う。

( ^ω^)「お食事中に煙草を吸うなお」

('A`)「あー……ああ。悪い、うん」

 気をつけてお? そう言って、内藤が丼の中に箸をつけた。
 目こそは厳しかったが、やはり口調はきつくない。

(*^ω^)「おいしいお」

('A`)「……良かったな」

 それ以降、恋愛の話が出ることはなかった。




27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:17:31.80 ID:NGEzR5QbO





 ―――――もういいかあい―――――

 ―――――まあだだよ―――――







28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:18:29.43 ID:NGEzR5QbO



('A`)「どうして、って」

ξ ⊿ )ξ「いきなり、自殺なんておかしいじゃない。
     ブーンは幸せだって言ってたのに。
     私と一緒にいられて幸せだって。
     なのに、どうして自殺したの?」

 内藤は。
 一週間前、本人の住むアパートの風呂場で、手首を切って死んでいた。
 自殺。

ξ ⊿ )ξ「死んじゃう前の日も、私に優しくキスをして、私の首を軽く噛んで、私の瞼をソッと舐めて。
     3回私の耳に唇を触れさせた後に、言ってくれたわ。
     『君に触れることができて幸せだ』って。
     『君に愛されて幸せだ』って。
     『幸せで、幸せで仕方ない』って……」



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:22:14.42 ID:NGEzR5QbO

 ツンの声が震える。
 その言葉を、ドクオは静かに聞いていた。
 ――胸の中で、嫉妬という炎を暴れさせながら。

ξ ⊿ )ξ「恥ずかしかったけれど……。
     私も幸せよ、って答えたら、ブーンってば微笑んだの。
     嬉しそうに、照れ臭そうに、ふんわり笑ったのよ。
     そして髪を撫でてくれた後、ぎゅって抱きしめてくれたわ。

    ……あんなに幸せだったのに」



ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、……どうしてブーンは死んだの?」



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:24:23.35 ID:NGEzR5QbO

 ずっと俯いていたツンが顔を上げた。


 細くて綺麗な金髪が揺れる。
 ――この柔らかそうな髪を、奴は撫でたのか。

 その金髪が、彼女の薄い耳たぶをくすぐっている。
 ――この耳に、奴は唇を落として、愛の言葉を吹き込んだのか。

 大きな瞳でドクオを見つめる。
 ――この瞳を守る瞼に、奴は舌を這わせたのか。

 桃色の唇が、小さく震えている。
 ――この唇を、奴は吸ったのか。

 唾を飲み込んだのか、細い首元が動く。
 ――この首に、奴は歯を立てたのか。

 白い肌を黒い服が包んで、よく映える。
 ――この体を、奴は抱いたのか。

 奴は、奴は、奴は、ツンを――……




35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:27:00.65 ID:NGEzR5QbO

 ドクオはちゃぶ台を蹴飛ばした。
 ちゃぶ台は壁を打ち、お茶の入ったグラスは飛んで、畳の上に転がる。
 灰皿が落ちて、煙草の灰が舞う。
 彼とツンの間に障害物は無くなった。

 驚いた顔をするツンが、ドクオを見上げる。
 それに構わずドクオはツンに歩み寄り、彼女の前にしゃがみ込んだ。

ξ゚⊿゚)ξ「どく、」



 そして、ドクオはツンを押し倒した。





※※※※※



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:29:46.05 ID:NGEzR5QbO


 いつも。

(*^ω^)「いつもツンは可愛いんだお」

('A`)「あー。そう」

 ドクオの部屋でテレビゲームをする。
 昔から変わらぬ、休日の光景だ。

 昔から――そう、昔から、だ。
 ドクオと内藤は幼馴染みである。
 幼稚園の頃から仲が良い、親友。



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:31:19.75 ID:NGEzR5QbO

 その親友に彼女が出来たのは高校生のときだ。
 相手は、ツン。校内でも有名なくらいに美人で、
 ドクオも「可愛いな」と思っていた女生徒である。

 そんなツンが惚れたのは、内藤。
 たしかに、明るくていつもにこにこしている内藤は同性に限らず異性からも好かれるような人間ではあるが、
 だからといってドクオが納得出来ることでもなかった。

 何故、内藤なのだ。
 そんな疑問が浮かぶ。
 しかし、ドクオにとって最も予想外だったのは、ツンが内藤に告白したことではない。
 内藤が、その告白を受け入れたことだ。



40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:34:29.57 ID:NGEzR5QbO

 ――ツンちゃんと付き合うんだお。

 初めて聞いたときは、ひどく驚いた。
 そして、どうせすぐ別れるだろう、と思った、のに。

 この親友は、大学生になっても尚、ツンと付き合い続けている。


(*^ω^)「恥ずかしがり屋さんで、手を握るだけで真っ赤になるんだお」

('A`)「あっそ」

(*^ω^)「それで……」

('A`)「なあ」

(*^ω^)「お?」

('A`)「うるさい」

(;^ω^)「……お……」



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:38:28.90 ID:NGEzR5QbO

('A`)「ンな惚気聞いたって、何も面白くねえんだけど」

(;^ω^)「ご、ごめん、お……」

 内藤が静かになる。
 そこでドクオは我に返り、謝ろうと内藤を見た。

 ――そして、開きかけた口が閉じる。

( ^ω^)「……ドクオ」

 ドクオが内藤を見るのとほぼ同時に、ドクオを見た内藤。
 その顔は、嫌な笑みを浮かべていた。

 まるで、あのときのような。
 まるで、あの質問をしたときのような。

 僕が死んだら……――

( ^ω^)「ドクオ。やっぱり嘘つきだお」

('A`)「嘘?」



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:41:20.68 ID:NGEzR5QbO

( ^ω^)「好きな人なんていない、とか。
       嘘だお。嘘つきだお」

 ひくり。
 ドクオの肩が、揺れた。

( ^ω^)「本当は、好きな人、いるくせに」

('A`)「――黙れよ」

( ^ω^)「そうだお? ドクオ」

(#'A`)「黙れ!!」

 怒鳴る。
 それでも内藤は黙らない。

( ^ω^)「ドクオは昔から素直じゃないんだお。
       本当のこと言わないで、僕を困らせて楽しむんだお。
       今だって」

 内藤は笑みを消して、ようやく黙り込んだ。




44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:44:24.36 ID:NGEzR5QbO





 ―――――もういいかあい―――――

 ―――――まあだだよ―――――







45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:47:48.64 ID:NGEzR5QbO



 ツンを見下ろした。
 金髪が畳の上で広がる。
 瞳がドクオを見つめる。
 口が僅かに震えていた。

ξ゚⊿゚)ξ「……何をするの?」

('A`)「……そうやって……」

 ツンの体を上から押さえ付けながら、ドクオは顔を顰めた。

 ああ、こんなに綺麗な女を、奴は自分のもののように好きにしていたのか。

 嫉妬、嫉妬、嫉妬。
 頭の中を熱が駆け巡る。
 火が回って、脳が焼けてしまう。

('A`)「そういう顔で、体で、ブーンを誘ったのか」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

('A`)「俺のことなんか考えもしなかったんだろ。
   お前はブーンに触れられることばかり考えてたんだろ。
   お前らが俺に惚気るとき、俺がどんな気持ちで聞いてたか。
   そんなこと、考えなかったんだろ」



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:49:55.87 ID:NGEzR5QbO

ξ゚⊿゚)ξ「……妬いてたのね」

('A`)「そうだよ。妬いてたんだ。
   何でブーンなんだよ。何でブーンを選んだんだよ。
   何で……」

ξ゚⊿゚)ξ「苦しそうな顔」

 白く細い指が、ドクオの頬を撫でた。
 表情のない顔で、ツンは言葉を紡ぐ。

ξ゚⊿゚)ξ「あなたは、そんな顔をして……」





ξ゚⊿゚)ξ「ブーンを抱いたのかしら?」





※※※※※



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:52:07.93 ID:NGEzR5QbO


 いやじゃ。

(  ω )「嫌じゃ、ないお」

 ――内藤が自殺をしたのは一週間前。
 その日の、一日前。

 ドクオは、自分の部屋で内藤を組み敷いていた。

 さっきまで話していた内容は、ツンについてだった。
 そして、ツンの可愛らしさを語る内藤の姿に、ドクオの嫉妬心がついにはち切れたのだ。

 嫌か、と問うドクオに、内藤は首を横に振った。
 ドクオが、苦い顔で囁く。

('A`)「……お前、知ってたんだろ?
   だから最近、俺にあんなことばっかり言ってきたんだろ?」



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:53:42.42 ID:NGEzR5QbO

 ドクオが内藤を好いていることに、内藤は気付いていたのだ。
 だからわざとらしく、あんなことを訊いて、挑発してみせたに違いない。


 内藤の着ていたカッターシャツのボタンを乱暴に外す。
 いくつかボタンが飛び、畳の上を転がった。


('A`)「……そういえばお前、男みたいな服、増えてきたな。
   ツンと付き合ったからか?
   やめろよ、似合わないから」

(  ω )「……僕には、こういうのが似合うって、ツンが」

('A`)「その『僕』ってのも、似合ってねーよ」

(  ω )「でも、これはドクオのためだお」

('A`)「……知ってる」



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 21:56:09.92 ID:NGEzR5QbO

 小学生の頃。
 2人でゲームをしていたとき、ドクオが、気に入っているキャラクターについて説明をした。
 その翌日から、内藤は「私」だった一人称を「僕」に変えたのだ。
 キャラクターの一人称も「僕」だった。

 カッターシャツを剥ぐ。
 ツンほど細身ではないが、程よく肉のついた体はむしろ余計に女らしく、いやらしかった。

 下着越しに、胸を掴む。


(  ω )「、っあ」

('A`)「……これも、ツンが触ったのか」

(  ω )「ごめんなさい、お……」

 柔らかい感触が、ドクオに興奮と嫉妬の感情を沸き上がらせる。
 彼女の体に触れ、そして彼女に触れられていたツンが、いつも羨ましくて仕方がなかった。



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:00:56.24 ID:NGEzR5QbO

(  ω )「でも、本当はドクオにしか触らせたくなかったんだお」

 内藤の穿いているスラックスを脱がした。
 そして、ショーツに手をかける。

('A`)「……なのに、ツンと付き合ったのか?
   そもそも、何で女と付き合おうと思ったんだよ」

(  ω )「誰だって、良かったんだお。
       ドクオが素直になってくれるなら、そのためなら、誰だって良かったんだお」

 ただそこに、ツンが現れただけ。
 内藤の目的のための手段として、ツンがやって来ただけ。
 まるで、ドクオ以外の人間のことなどどうでもいいのだと言われているようで、
 ドクオの体が歓喜に打ち震えた。

('A`)「ブーン。ブーン……」



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:05:16.13 ID:NGEzR5QbO

 どうでもいい女に好き勝手にされていた内藤の肌を、ドクオが撫でる。
 内藤が吐息を漏らし、ドクオの身に縋った。
 ツンにもこんな風に甘えてみせたのだろうか。
 それでも、今、彼女の相手をしているのは自分だ。

 興奮、嫉妬、二つの熱が綯い交ぜになって、ドクオの体を内から燃やした。
 燃やして、燃やして――

(  ω )「ドクオ……」

('A`)「……ブーン」



('A`)「何で、さっきから泣いてるんだよ」



 燃やした後に残るのは、何なのだ。





58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:07:02.03 ID:NGEzR5QbO





 ―――――もういいかあい―――――

 ―――――まあだだよ―――――







59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:10:54.51 ID:NGEzR5QbO



('A`)「――な、ん……」

ξ゚⊿゚)ξ「……本当に、抱いたのね」

 カマをかけただけだったのに。
 ツンが呟く。

ξ゚⊿゚)ξ「ブーンを奪ったのね。私から」

('A`)「ち、――違う、ブーンは……ブーンは最初から俺の……」

ξ゚⊿゚)ξ「私にキスをして、首を噛んで、瞼を舐めて。
     私の耳に唇を触れさせて、髪を撫でて。
     私を抱きしめた後、ブーン、何て言ったと思う?」

 ドクオの頬に這わせていた左手。
 その手で、ツンは爪を立てた。

ξ゚⊿゚)ξ「『ドクオ』ですって!
     私への愛を囁いてたんじゃなかったのよ!
     私にまるで愛撫するように触れておきながら、あの子は私を見ていなかった!」



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:14:28.35 ID:NGEzR5QbO

(;'A`)「っつ……――」

ξ゚∀゚)ξ「はは、あはははははは!
     馬ッ鹿みたい!!
     私ったらそこでようやく気付いたのよ!
     利用されてただけだって!
     アンタの気を引くための道具だったんだって!
     でもね、私、馬鹿みたいだけど馬鹿じゃないから気付いたことがまだあったの!!」

 爪が軋み、ぎり、と音を立てる。
 頬の皮がめくれ、ツンの爪と指の中で丸まった。

ξ゚∀゚)ξ「きっと彼女の目的が果たせたんだって!
     そして――だから道具の私は必要なくなったんだって!
     ドクオの名前を呼んだのは彼女なりの別れの言葉なんだってね!!
     あはははははははは!
     最低だわ! 最悪だわ! こんなのってないわよ!」



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:17:33.20 ID:NGEzR5QbO

 ツンの叫ぶ声がドクオの耳を刺す。
 頬から血が流れた。
 ツンの声が、手が、憎しみをぶちまける。
 ドクオは、ツンの見開かれた目が憎悪の炎に彩られているように錯覚した。

ξ゚∀゚)ξ「さあ――どうするの? ドクオ!
     まさか私をブーンみたいに犯すために押し倒したんじゃないんでしょう!?
     首を絞める?
     骨を折る?
     好きにしなさいよ。
     私は、アンタがブーンを抱いたかどうか確認したら、その後に死ぬつもりだったんだから」

 たしかにドクオはツンの首を絞めるつもりでいた。
 自分がブーンに愛されていないことにも気付かぬツンの愚かさが、ひどく忌ま忌ましく感じられたからだ。
 しかし、この女は知っていた。
 知っていて、ドクオの元に来た。



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:20:51.85 ID:NGEzR5QbO

 ……ふと。
 ドクオの脳裏に、先程のツンの言葉が甦った。
 その言葉が、疑問が、ドクオの肝を冷やさせる。

 ドクオも気になっていた、不可解な事項。


('A`)「……なあ。なあ、おい」

 ドクオの右手がツンの胸倉を掴む。
 ツンの左手がドクオの頬から離れ、ぱたりと音を立てて畳に落ちた。

ξ゚-゚)ξ「……なあに」



('A`)「ブーンは、何で死んだんだ」

 あっさり、ツンは答える。



ξ゚∀゚)ξ「私が彼女の手首を切ったからよ」







68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:23:31.20 ID:NGEzR5QbO



 一週間前。内藤が住むアパートの一室。
 内藤がツンを抱きしめ、ドクオの名を口にした直後。

 すべてに気付き、その衝撃に動けないでいるツンから、内藤は体を離した。

( ^ω^)「……ツン。ばいばいだお」

 ばいばい。
 それはどういう意味?

ξ ⊿ )ξ

 咄嗟に、内藤の手を握る。

ξ ⊿ )ξ「……お、願い……今日、今日だけ、一晩だけ、泊まらせて……」

 内藤にも罪悪感というものがあったのだろう。
 ツンの願いに、内藤は頷いた。

( ^ω^)「……分かったお」




70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:27:39.41 ID:NGEzR5QbO

 一緒に風呂に入ってほしいと言うと、彼女はこれにも頷いた。



( ^ω^)「気持ちいいお。……ありがとう、だお」

ξ゚⊿゚)ξ「……ううん」

 内藤の背中にまとわりつかせた泡をシャワーで流し、ツンは、その背に口付けた。
 小さく体を跳ねさせた内藤が、振り向こうとする。
 シャワーを床に置いて、ツンの細い腕が内藤を後ろから抱きしめた。

( ^ω^)「ツ、」

ξ゚⊿゚)ξ「大好き」



 そして、シャワーから剃刀に持ち替えたその手で、愛しい女の手首を裂くことに成功したのである。




71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:30:33.76 ID:NGEzR5QbO

(;^ω^)「え……あ……?」

ξ゚⊿゚)ξ「大好き。大好きなのに。
     あなたも愛してくれてると思ってたのに」

 内藤の頭が、状況を理解したのに十秒もかからなかった。
 次々に滴る自分の血を、出っ放しのシャワーの湯が流していくのを見つめる。

( ^ω^)「――ああ」

 それから、無事な方の手で、ツンの持つ剃刀を握った。
 ツンの手が離れる。
 すると、まるで内藤が自ら手首に剃刀を宛てがっているような姿になった。



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:32:52.01 ID:NGEzR5QbO

 立ち上がり、湯が張られた浴槽に入る。
 そのまま腰掛けると、まるでドラマか何かで見るような自殺の光景が出来上がった。
 それを、ツンはぼんやりと眺めていた。

 湯の中で血が広がる。

( ^ω^)「ツン、今すぐ帰るんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「……何で?」

( ^ω^)「ツンが疑われるかもしれないお」

ξ゚⊿゚)ξ「だって、私が切ったのよ」

( ^ω^)「僕が悪いからだお。
       ……ツン」




76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:34:09.33 ID:NGEzR5QbO



( ^ω^)「ごめんなさいお」



ξ゚⊿゚)ξ



ξ゚-゚)ξ





77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:37:31.45 ID:NGEzR5QbO


 ツンは風呂場を出て、おざなりに体を拭い、服を着込んだ。
 鞄を引っつかんで玄関に向かう。
 ドアを開いたところで足を止め、一度振り向き――

ξ;⊿;)ξ「ああ、ああ……ひぅ、うああ……」

 ――鳴咽を漏らしながら、内藤の部屋を後にした。


 憎くて、内藤の手首を切った。
 それからどうするのかも考えず、ただ怒りと憎悪に身を任せて。
 もしかしたら内藤が剃刀を取らなければ、ツンは手首だけでなく、彼女の体の至る所を切り刻んでいたかもしれたい。

 だというのに。

 『ごめんなさいお』

 最後にそんなことを言うから。
 ツンが愛した、内藤らしさを見せ付けるから。



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:40:11.08 ID:NGEzR5QbO

 どうしようもないほど愛しさが込み上げた。
 風呂場へ戻り、内藤を助けたくなった。
 それでもやはり、身を焦がす憎しみと怒りと嫉妬がそれを許さない。

ξ;⊿;)ξ「あああああああ……――ぅぐ、あ、あああ……ブーン、ブーン……」

 だって内藤が生きたって、彼女はもうツンを見てはくれないのだ。




80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:43:07.89 ID:NGEzR5QbO





ξ゚⊿゚)ξ「ほら。早くしてよ」

(;'A`)「……お前……お前がやったのかよ……」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

 ツンの細い首に、ドクオの手がかかる。
 両手で力いっぱい、押し潰すように。

(#'A`)「お前がブーンを殺したのか!
    俺の! 俺のブーンを!!」




81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:46:09.41 ID:NGEzR5QbO

ξ; ⊿゚)ξ「……っ……、くぅ……」

 ツンは、一瞬顔を歪めた、が。

ξ; ∀ )ξ

 すぐに笑みを浮かべた。
 嬉しそうに。
 内藤のところへ行けることを、喜ぶように。



 『僕が死んだら』



 怒りに唸るドクオに、内藤の言葉が正気を取り戻させる。
 両手から力が抜けた。

ξ;-⊿゚)ξ「っ……ぇ、……?」

 ツンの上から退いて、ドクオが畳に座り込む。
 咳き込みながら、ツンは仰向けに横たわったまま呆然と天井を見上げていた。



83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:49:29.37 ID:NGEzR5QbO

('A`)「……帰れよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「けほっ、……な、んで」

('A`)「お前なんか殺さない。
   お前なんかをブーンのところに行かせない」

 ポケットから煙草の箱とライターを取り出し、ツンを睨む。

('A`)「帰れ。帰れよ。出ていけ。
   早く」

 身を起こし、ツンはドクオを一瞥した。
 そしてまた、俯く。



84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:54:01.91 ID:NGEzR5QbO



 僕が死んだら。
 ドクオは。
 自殺しちゃうお。



 そうだ。
 内藤はすべて分かっていた。
 ドクオの気持ちも、己がいずれ死ぬことも。
 すべて分かっていた内藤が言ったのだから、ドクオの自殺も必然なのだ。
 だから、ドクオは死なねばならぬ。



 火をつけた煙草をくわえ、立ち上がる。
 俯いてしまったツンなどには、もう目もくれず。



85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:56:54.93 ID:NGEzR5QbO

 どうやって死のう。
 首吊り。
 飛び降り。
 睡眠薬。

 そうだ、内藤と同じ死に方はどうだろう。
 剃刀で手首を。

('A`)「……いや」

 目の前で煙が踊る。
 煙草がちりちりと灰になっていく。

 焼身。

 燃えて、燃えて、燃えたら。
 何が残る?

 灰なんかじゃなく。
 骨なんかじゃなく。





※※※※※



86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:58:57.73 ID:NGEzR5QbO


 よく。

( ^ω^)「よく、かくれんぼして遊んだお」

('A`)「……そうだな」

 裸体のまま、横になったまま、内藤が笑う。
 しかし、涙は、まだ彼女の頬を伝っている。

 弾む息を整えながら、ドクオは頷く。

 昔。
 二人でかくれんぼをすることが多かった。

( ^ω^)「ドクオってば素直じゃないから」

 ぽろり。
 また、涙が。

('A`)「……何で、泣くんだよ」

( ^ω^)「嬉しいから。
       悲しいから」

 相反する感情を口にして、内藤は泣く。
 わけが分からないドクオは、その疑問を視線で内藤に投げかける。



87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 23:01:20.21 ID:NGEzR5QbO

( ^ω^)「……素直じゃないから、僕が鬼になると、ドクオはいつも意地悪するんだお」

 しかし、返ってきたのは昔話の続き。
 煙草をくわえ、ドクオは黙って聞くことにした。

( ^ω^)「僕が『もういいかい』って訊くと、ドクオは『まだだよ』って答えるんだお。
       何回も、何回も。
       いつまで経っても探しに行けなくて、痺れを切らせて振り返ると、見当たらなくて。
       本当はとっくの昔に隠れてたくせに、『もういいかい』『まだだよ』ってずっと続けて、意地悪する……」

 そんな風に素直じゃないから。

(  ω )「だから、僕、分からないんだお。
       ドクオは本当に僕を好きなのか。
       ……抱かれたのが嬉しくて、でも、ちゃんと言ってくれないから悲しくて」

 ぽろぽろ。ぽろぽろ。

(  ω )「――ねえ、ドクオ……」

('A`)「……」





88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 23:03:39.14 ID:NGEzR5QbO





 ―――――もう、いいかあい―――――












89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 23:06:04.99 ID:NGEzR5QbO





 燃えた後は。

 何も隠せぬ。

 その身の内の、骨を隠せぬ。

 その身の内の。

 心を隠せぬ。

 ただ、ただ。

 隠れる場所をなくしたものが、

 剥き出しにされて、

 そこに、あるだけ。

 忘れ去られた、その後も。

 そこに、あるだけ。





75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 22:33:25.85 ID:ND4nNjuUO
内藤は女、ツンはレズでおk?

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 23:09:11.01 ID:NGEzR5QbO
終わりです。

支援やら何やら、ありがとうございました。


>>75
おk


文が未熟な上に、説明不足な感も否めません。ごめんなさい。
何か質問とかあれば、どうぞ

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 23:12:29.27 ID:CFwzmbngO
こないだの落ちが女ロマの作品と同じ意表を突かれた

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/31(土) 23:24:54.30 ID:NGEzR5QbO
女ロマ……だと……!?
その作品探してみる。


質問、なさそうですかね。

それでは、読んでくれた方、代理してくれた方、レスしてくれた方々、本当にありがとうございました。
ノシ

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