mesimarja
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幸せの色は人それぞれのようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 04:16:13.84 ID:dBHGjpmY0
メリハリなしの短編集です
アドバイススレに投下したものがあります


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 04:19:11.44 ID:dBHGjpmY0



01話




3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 04:22:03.59 ID:dBHGjpmY0

重いドアをゆっくりと開ける。
大きなドレッサー、華奢なテーブル、風に揺れるカーテン、部屋の中にあるものすべてが純白であった。
そして背筋をすっと伸ばし椅子に座る花嫁姿の彼女もまた、まじりけのない白色だった。

( ・∀・)「久しぶり」

ζ(゚ー゚*ζ「おにいちゃん、」

”おにいちゃん”、その言葉がずっしりと心に響いた。
俺は彼女におにいちゃんと呼ばれる資格など、とうに失くしてしまったはずなのに。

ζ(゚ー゚*ζ「来てくれたのね!」

( ・∀・)「当たり前だろう」

目を細めふっくらと笑う彼女に、昔の妹の面影はない。しばらく会わないうちに、デレは本当きれいになった。
紅茶のような透明感のある細い髪はきっちりとまとめられ、銀色の髪飾りが光に反射するたびにキラキラと輝いている。
たまに頬に触れる薄いヴェールは、彼女をより一層美しくさせているように感じた。

( ・∀・)「きれいだ、似合っているよ」

ζ(゚ー゚*ζ「……あり、がとう。 ごめん、なんだか、緊張しちゃって」

彼女は努めて明るくふるまってくれたが、声は震えていた。目にはすっすらと涙も溜まっている。
しかし、それは悲しみからではなく、幸せからくるものだと分かった。
彼女は手に握られた桜色のハンカチをそっと目元当てる。そのハンカチだけが、昔の妹の姿と繋がっていた。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 04:24:43.56 ID:dBHGjpmY0

高校生になった年、俺は罪を犯した。

俺はひとつ下の妹に恋をしていた。自覚したのは中学生のときだったが、本当はもっと前から好きだったのかもしれない。
幼い性格の彼女はいつもおにいちゃん、おにいちゃん、と俺を慕ってくれていた。その姿が心底可愛く、愛おしくてたまらなかった。

しかし、俺と彼女は兄妹であり、血が繋がってる。これがいけないことだというのはきちんと分かっているつもりだった。
毎日毎日、自分の気持ちを押し殺して過ごす日々を送っていた。

大きな罪を犯したのは、両親が旅行に出掛けた日のこと。

夜にひどい嵐がきた。
唸り声のような風が吹き荒れ、戸や窓ががたがたと激しく揺れる。しばらくすると叩く付けるような大雨も降り、雷も鳴り出す始末。
部活で帰りが遅くなってしまった俺は、ちょうど降雨と遭遇してしまった。
玄関でびしょびしょに濡れた靴と靴下を同時に脱ぎ、ぺたぺたと廊下を歩いて居間に向かったが部屋の中は真っ暗だった。
「ただいま」と声をかけても返事はない。普段なら「おかえり」という妹の高い声が聞こえてくるはずなのに、と不思議に思う。
次第にまさかこんな雨の中まだ外にいるんじゃないかという大きな不安に覆われた。
慌てて階段を駆け上がり、彼女の部屋の戸を叩く。

( ・∀・)「デレ、いるか!? ……入るぞ?」

彼女の部屋は真っ暗だった。
電気をつけようとスイッチに手を伸ばしたが、ぱちりという音が鳴るだけで明るくなることはなかった。このひどい雷だ、きっと停電したのだろうと思いすぐに諦めた。
目を凝らして部屋を見渡すと、ベッドの上の布団が膨らんでいた。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 04:27:48.99 ID:dBHGjpmY0

ζ(゚ー゚*ζ「おにい、ちゃん?」

もぞもぞと動く布団の中から妹が顔を出した。
ちゃんと家にいて良かったと安心したが、その気持はすぐに吹き飛ばされてしまう。
彼女の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。

( ・∀・)「どうしたんだ!?」

彼女はうわ言のようにこわい、こわいと呟きながら膝をかかえた。

ζ(゚ー゚*ζ「……窓がね、割れそうなの…おうち壊れちゃう……誰もいないし…電気もつかないし…真っ暗やだよ……こわいよぉ…」

気付いた時には彼女を抱きしめていた。
肩を小さく揺らし、苦しそうに嗚咽をあげている彼女がにとても申し訳ないことをしたと思った。
俺の帰りが遅くならなければ、こんなに怖い思いをすることもなかったのだ。

( ・∀・)「ごめんな、ひとりにして。 いますぐ、電気付けてきてやるからな」

そうして妹から離れようとしたが、それは彼女によって阻止された。
しっかりと俺の服を掴んで離そうとしない手にそっと触れると、今度は頭を俺の胸に当ててかぶりを振った。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 04:30:30.32 ID:dBHGjpmY0

彼女はゆっくりと顔をあげる。
うっすらと赤く染まった鼻で、いくつもの涙の通り道ができている頬で、恐怖の渕に立たされているほど不安げな目色で、振り絞るように発した。



ζ(゚ー゚*ζ「どこにも、行かないで」



俺は強く、強く抱きしめた。自分の中に取り込んでしまいたいと思った。
恐怖を、不安を、すべて吸い取ってやりたかった。彼女の涙は、ひどく心が痛む。

( ・∀・)「行かないよ、もう大丈夫、怖くないだろ?」

彼女も俺の背に手をまわし、きつく抱きついた。何度も頷きながら「こわくないよ」と言う。
冷たかった妹の身体は徐々に、温かみを帯びていった。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 04:35:47.48 ID:dBHGjpmY0

――――――

ζ(゚ー゚*ζ「もう、どっかいっちゃったね」

妹は俺の胸に顔をうずめたままポツリと呟いた。
彼女の震えはすっかり止まり、背中に回す腕の力もほとんどなくなっていた。

ζ(゚ー゚*ζ「うーこわかった……ごめんね、おにいちゃん」

そう言うと、そっと体をはがした。俯いたまま袖で頬をこすり、手で軽く髪の毛を直す。
自分の身体がすっと冷めていく感じがした。なんだかひどく寂しかった。今までこんなにも近くにいた妹が、やけに遠くに感じる。
下を向いていた彼女はパッと顔をあげ、にっこりと笑った。

ζ(゚ー゚*ζ「ありがとね、おにいちゃん大好き!」

ああ、なんて可愛いんだ……なんて愛しいんだ……

( ・∀・)「俺も、すきだ」

彼女の唇に自分の唇を当てた。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 04:40:48.24 ID:dBHGjpmY0

すぐに離れ、彼女を覗きこむと、目を満月のようにまんまるにしている。

今度はぶつけるよう唇を押し当てて、そのまま覆いかぶさるようにして彼女の身体を倒した。
彼女の口がわずかに動いたが、それを無視してひたすらそのふわふわとしたやわらかい唇を堪能した。

ζ(゚ー゚*ζ「やめて、おにいちゃん」

彼女はおさまったはずの涙をぼろぼろと零しながら、俺の二の腕を震える手でつかんでいた。
一気に正気を取り戻した俺は、慌てて彼女から退いた。




( ・∀・)「ごめん……」

俺はなんてことをしてしまったんだろう。
身体の震えが止まらない。自分が欲望のために彼女を泣かせて、傷付けてしまうような醜い人間だったなんて。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 04:50:48.21 ID:dBHGjpmY0

( ・∀・)「ごめんなぁ…デレ……本当に、ごめん…」

彼女は起きあがり、俺の手を優しく握った。

ζ(゚ー゚*ζ「いいの……謝らないで、謝らないでよぉ…」

ふたりで泣いた。
涙をぬぐうことをも忘れて、ずっとずっと泣いて、いつの間にか眠っていた。

朝が来ると、妹は何事もなかったかのように振舞った。
キッチンのテーブルにはトースト、ジャム、マーガリンが並べられていて、「おはよー、朝は牛乳でしょ?」と言いながら、コップに注ぐ妹の姿があった。
昨日のことをきちんと謝るべきだと思ったが、口を開いても言葉を発することができなかった。

ζ(゚ー゚*ζ「冷めちゃうよ?」

( ・∀・)「…ああ」

臆病な俺は、そのままやり過ごしてしまった。
妹とぎくしゃくするようなことはなかったけど、極力ふたりきりになることは避けた。
また、自分がどうにかなってしまったときは、今度こそ彼女に……そう思うと怖くて仕方なかった。

高校卒業と同時に急いで家を出た。

そして今日、彼女の結婚式に出席する。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 05:06:27.66 ID:dBHGjpmY0

( ・∀・)「まだ泣くのは早いだろう」

ζ(゚ー゚*ζ「うん、うん、そうだよね」

彼女は今日から、新たな人生を歩み始める。
俺と同じ姓ではなく、愛する人と同じ姓を名乗り、その人と支え合いながら一生を過ごしていくのだ。
それは、彼女にとっての幸せであり、俺にとっても幸せなことである。

( ・∀・)「幸せになってくれよ」

ζ(゚ー゚*ζ「私ね……初めておにいちゃんより好きな人に出会えたの……幸せになるよ、絶対に」

彼女の穏やかな表情は、俺には眩しすぎた。
眩しくて直視できない、眩しくて目が焼けるように熱い。
下を向くと目の前に桜色が広がった。それを目に押し当てて、込み上げてくる声を殺した。

( ・∀・)「……お前は、俺のことを”おにいちゃん”って呼んでくれるんだな…」

ζ(゚ー゚*ζ「当たり前じゃない!……今までも、これからも私のおにいちゃんだよ?」

あの日のように、ふたりとも泣いていた。
しかし、あの日とは何かもが違う、心が透通るような涙だ。

さらさらと揺れる白いカーテンの音が、とても心地いい。
窓から吹く春風は、真っさらになった俺の心をも揺らした。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 05:12:17.13 ID:dBHGjpmY0
01話終わり

おかしな時間に投下するんじゃなかった

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 05:26:36.53 ID:SB/qOdKvO
みてたよー

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 05:32:22.37 ID:dBHGjpmY0
>>12 ありがとうございます
嬉しいよ、ちゅっちゅっ

投下続けます

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 05:33:53.55 ID:dBHGjpmY0
 


02話





15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 05:37:35.02 ID:dBHGjpmY0

僕の唯一の取り柄は”短気ではない”ということだ。
もっと図々しく言ってしまえば、心が広い方だ。

式場の関係により、僕たちの式の開始時間が少し遅れてしまうらしい。
盛大なものとは言えないが、それなりの人数の人が祝いに来てくれている。その人たちを待たせるのはいかがなものか、と思うが遅れてしまうもの仕方無い。
不満な気持ちもなくはないが、こんなめでたい日にそれを顔に出すのはバカ者である。

このことを知らない僕の花嫁にさっそく知らせに行かなければと、彼女の部屋に向う。

こんなに厚いドアには無意味かもしれないとも思ったが、軽く2回ノックをした。案の定返事はない。
先ほど部屋を訪れたときには、すでに着替えは完了していた(それはもう美しかった)し何の問題もないだろうと思い、ゆっくりとドアを開けた。

僕の目に飛び込んできた画は、床に膝をつき肩を揺らしている男の後ろ姿と、その肩を優しく撫でて微笑むデレの姿だった。
はてさて、これは一体どういう状況なのだろうか。
邪魔しない方がいいのかとも思ったが、僕は自然と部屋の中に入り、がちゃん、とドアを閉めた。

ζ(゚ー゚*ζ「あ、ブーン」

そう言って細めた彼女の目には、うっすら涙が溜まっている。
振り返った男の目からは大粒の涙が零れ落ちていた。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 05:49:27.19 ID:dBHGjpmY0

( ・∀・)「ええと、はじめまして、ですね。 デレの兄のモララーです。 本日はおめでとうございます」

( ^ω^)「あ、ああありがとうございます! にゃ、な、内藤ホライゾンと申します!!」

のろのろと立ち上がりぺこりと頭を下げた彼に、僕も慌てて頭を下げた。
その姿に僕のかわいい花嫁さんは小さく声を漏らして笑う。

( ・∀・)「ははは、そんな堅くならないで下さい。 すみませんでした、何度も実家に足を運んで頂いたのに留守にしてしまって…」

( ^ω^)「いいえ! いいえ!」

彼女のお兄さんか……通りで男前なわけですね。
笑った顔がとてもよく似ている。

( ・∀・)「ん、クーからメールだ……じゃあ俺はそろそろ行くね。 また後で」

ζ(゚ー゚*ζ「うん!」

( ・∀・)「じゃあ、内…ホライゾンさんも、失礼します」

( ^ω^)「あ、はい!」

( ・∀・)「……妹を、デレをよろしくお願いします」

モララーさんは深く深く頭を下げ、部屋をあとにした。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 06:01:18.56 ID:dBHGjpmY0

デレにお兄さんがいるという事実を知ったのは、プロポーズをした直後だった。

「結婚して下さい」と言ったとき、彼女はとても喜んでくれた。嬉しい、嬉しい、と何度も言いならが、一筋の涙を流した。
こんなに大きな反応をしてもらえるとは夢にも思っていなくて、僕も幸せな気持ちでいっぱいになった。
でも、彼女の涙は次第に喜びの涙ではなくなっていた。なぜか本格的に泣きだしてしまったデレの背中をさすりながら「どうしたの?」と問う。

ζ(;ー;*ζ「私、ずるい、の……」

( ^ω^)「ずるい?」

ζ(;ー;*ζ「私、お兄ちゃんがいる、んだけど……」

”ずるい”と”お兄ちゃん”がどう繋がるかと不思議に思ったが、今はぼとりぼろりと落とすように話す彼女の言葉を拾うことに専念した。


繋げていくと、彼女は昔、あることをきっかけに自分の兄とキスをしてしまったことがあるという話だった。
たった一度だけではあれど、兄妹でキスをするなんて僕にとってはあまりにも衝撃的な一言であり、自分でもよくわからない感情が身体中をぐるぐる駆け巡った。
その次の日、彼女の兄は謝ろうとしていたが、彼女はそれを拒んだという。

ζ(;ー;*ζ「私もね、おにいちゃんのこと、好き、だったから」

がこんがこんと脳が揺れた。もう目玉が落ちてもおかしくないくらい目を見開いた。
動画の中だけじゃなくて現実にもこんなことがあるんだと、余計なことが一瞬だけ頭をよぎる。

ζ(;ー;*ζ「謝ってほしくなくて、逃げた……傷つきたくなくて………逃げたの……でも、そのせいでお兄ちゃんはきっと、ずっと辛い思いして、る…」

そういうと彼女は両手で顔を覆い、火がついたようにわっと泣き出した。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 06:11:46.10 ID:dBHGjpmY0

一瞬でもバカなことを考えた自分が心底憎たらしかった。

愛しい彼女が、こんなにも苦しんでいるのだ。それを救ってあげるのが僕の役目ではないか。
デレの肩を自分の方にぐっと引きよる。

( ^ω^)「よしよしお」

ζ(;ー;*ζ「……きっとね、ざいあくかんで、いっぱいになってる……私があのとき、お兄ちゃんと向き合わなかったから、……私が悪いのに…お兄ちゃん……」

ζ(;ー;*ζ「ごめんね、ごめんね……せっかく結婚しようって言ってくれたのに……こんなのあんまりだよね、私、サイテ…」

( ^ω^)「もしかして、今も恋愛感情があるのかお?」

ζ(;ー;*ζ「……」フルフル

( ^ω^)「僕のこと、好きお?」

ζ(;ー;*ζ「…………昔の私は”好き”って言葉簡単に使ってた……それで、人を傷つけた。 今は”好き”って言葉に出すってことはすごく、すごく意味があることだっ
て思ってる」

( ^ω^)「……うん」

ζ(;ー;*ζ「ブーン、大好きだよ」

僕には、その言葉だけで充分すぎた。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 06:21:18.58 ID:dBHGjpmY0

(;^ω^)「うー緊張したお! さすがデレたんのお兄ちゃん、男前すぎだろ……」

ζ(゚ー゚*ζ「何言ってるの、ブーンが一番かっこいいよ」

(* ^ω^)「デレたーん」

ああ、やっぱりデレには笑った顔が一番だ。
今日のみたいな雲ひとつない青空のような笑顔、それは僕にこのために生きているのかもしれないと思わせるほど美しい。

( ^ω^)「……お兄さんなんだって?」

ζ(゚ー゚*ζ「ブーンの言った通りだったよ……幸せになってくれって言ってくれた! えへへ、ブーンはすごいね」

彼女はずっと、自分は兄にとって罪悪感を持つ対象でしかないと考えていた。自分だけ幸せになっていいのかと悩んでた。
しかし、それが間違いだということは僕からすれば明らかだ。それはもうはっきり、くっきり、分かる。
そんなの当たり前だ。だって彼女たちは……

( ^ω^)「かわいい妹の幸せを願わない兄なんて、いないお」

兄妹なのだから。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 06:29:04.88 ID:dBHGjpmY0

僕の唯一の取り柄は”短気ではない”ということだ。
もっと図々しく言ってしまえば、心が広い方だ。

デレが笑ってくれるのなら、どんなことでも受け止められる自信がある。

ζ(゚ー゚*ζ「お兄ちゃん少し痩せてたなぁ」

( ^ω^)「……どーせ僕は太ってるおー」

ζ(^ー^*ζ「ふふ、そうじゃないってばぁ」

でも、ちょっとくらいのヤキモチは許してほしい。


彼女は立ち上がり、僕の手をそろりと握る。
僕も彼女の手をきつく握り返えした。

窓の外から、チチチと鳥のさえずる声が聞こえる。
もしかしたら青い鳥かもしれないなと、またバカなことをぼんやり考えた。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 06:31:49.07 ID:dBHGjpmY0
02話終わり

もうしばらくやります

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 06:40:19.78 ID:dBHGjpmY0
 


03話





23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 06:45:41.15 ID:dBHGjpmY0

久しぶりに見るデレは少し痩せていて、以前よりも女性らしくなっていた。
いつの間にあんなに立派なレディーになったのだろうか。
そんなことは、所詮ただの”お隣さん”である私には分かるはずもなかった。

( ・∀・)「今日は来てくれてありがとなぁ」

川 ゚ -゚)「いや、こちらこそ出席できて良かったよ。 とてもいい式だったな」

モララーと二人で土手近くの一本道をぷらぷらと歩く。
夜道はまるで水の中にいるような静けさで、月の光だけが私たちを照らした。

( ・∀・)「俺も」

川 ゚ -゚)「お前は出席して当然だろうが」

( ・∀・)「……クーがいなかったら、きっと出てなかったよ」

川 ゚ -゚)「……」

( ・∀・)「ありがとなぁ」

川 ゚ -゚)「ああ」

自分でも嫌になるくらい素気ない返事をしてしまった気がした。
私は一体いつになったら、女性らしくなれるのだろうか。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 06:51:34.28 ID:dBHGjpmY0

小さな頃からモララーに恋をしていた。
家が隣同志で、年が同じ。必然的によく遊ぶようになり、彼と一緒にいるときが一番楽しいと感じた。

しかし、モララーにも好意を寄せている人物がいた。
そしてその人物は好きになってはいけない人であった。そのことを私だけにこっそり教えてくれた。
彼にとって私は”特別”であったから打ち明けてくれたのかもしれないが、全然嬉しくなかった。そんな”特別”は要らないのだ。

彼はどうにかしてふっ切るために、様々な女の子と付き合うようになった。
客観的に見て(私が好意を持っているからではなく)彼は格好良かった。
顔はある程度整っているし、スポーツは何でもできた。勉強はそこそこだったが、それすらも彼にとってはプラスの要素になるのだ。憎たらしい。

そんなことをしているうちに、彼には誰も寄り付かなくなった。女の子はもちろんのこと、男友だちまで少し減ってしまったのだ。
モララーは自業自得だと変に笑い飛ばしたが、私は一切笑えなかった。

川 ゚ -゚)「もう、そういうことは辞めたらどうだ?」

( ・∀・)「うん、クーがそういうなら辞める」

どうせ聞かないだろうと半ば呆れ気味に言えば、彼は素直に頷く。
その時に、モララーの笑顔を久しぶりに見れた気がした。そしてそのことをひどく嬉しく思う私は、彼を嫌いになることはできないのだと思った。

それをきっかけにモララーは本当にだらしない遊びを辞めた。

あまり得意ではなかった勉強に力を注ぎ始める。
熱でもあるのかと茶化すと、「クーと同じ大学行くんだ」と得意気に言った。
そして本当に同じ大学に進み、毎日を健全に楽しんだのち、真面目に就職活動を行い、今では立派な社会人だ。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 06:55:35.03 ID:dBHGjpmY0

どんなに時間が流れても、彼の恋愛に関するベクトルが私に向けられることはなかった。

もしかしたら、まだ彼女を、デレを忘れられていないのかもしれない。
しかし、それを確かめる勇気が私にはない。



( ・∀・)「なぁ、クー」

川 ゚ -゚)「ん」

( ・∀・)「俺さ、逃げてばっかだなぁ」

川 ゚ -゚)「なんだ、藪からスティックに」

( ・∀・)「ふるいっつの!」

そう言って私の背中を叩き、にやりと笑った。
いつもはあからさまに流すくせに……今日はよほど気持ち良く酔っ払っているのかもしれない。

川 ゚ ー゚)「なんだ、気分良さそうだな」

( ・∀・)「ふふん、そりゃあ、いい気分にもなるさ」

川 ゚ -゚)「……それは結構。 で、続きは?」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 06:59:43.53 ID:dBHGjpmY0

( ・∀・)「昔はさ、自分じゃどうにもできないからって……女の子に逃げた」

川 ゚ -゚)「ああ、ひどかったな」

( ・∀・)「その次は、勉強に逃げた」

川 ゚ -゚)「勉強するのはいいことだぞ」

( ・∀・)「で、家から逃げた」

川 ゚ -゚)「……通学、大変だもんな」

( ・∀・)「んで、今度は…………」

川 ゚ -゚)「……」

( ・∀・)「最悪だな、俺……クーが優しいからって、俺は……」

川 ゚ -゚)「それは、違うぞ」

ぴたりと足を止めると、彼も歩くのをやめた。
「違くないよ」と言いたそうに眉を下げるモララーの顔は、なんだか笑える。
こいつは全く分かっていないようだ。

川 ゚ -゚)「別に私が優しい性格だから、お前を放っておかなかった訳じゃない。 お前が、好きだから……放っておけないんだ」

( ・∀・)「……」

川 ゚ -゚)「なんだ、そんなに意外か? ふん、まったくお前は鈍いな!」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:05:36.54 ID:dBHGjpmY0

精一杯の強がりだった。
目を丸くさせる彼の顔は少しマヌケだ。だけど、今の私には堪えるものがある。
やはり私は彼にとっての”違う特別”にはなれないという現実を突きつけられているのと同じだ。

( ・∀・)「そんなふうに、想ってくれてるなんて……思ってなかった」

川 ゚ -゚)「そうか、そうか。 じゃあびっくりしただろう」

( ・∀・)「……ちょっと、待って」

ひとつ大きな深呼吸をして、ポケットに手を入れた。
再び出された手の中には小さなレモン色の箱が握られていた。

( ・∀・)ノ□「ん」

川 ゚ -゚)「なんだ、これは」

( ・∀・)「誕生日プレゼント」

川 ゚ -゚)「ばかにしてるのか?」

( ・∀・)「してないよ」

川 ゚ -゚)「……私の誕生日はあと4ヵ月も先だが」

( ・∀・)「知ってるって……」

闇に飲み込まれてしまいそうな小さい声で「開けて」言う。
するりとリボンを外し蓋を開けると、華奢な指輪が入っていた。中央にはひし型のイエローサファイアがぴかぴかと光っている。なにがなんだか意味が分からず、「綺麗だな」と的外れなことを言ってしまった。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:09:44.28 ID:dBHGjpmY0

( ・∀・)「2年前のクーの誕生日に買った」

川;゚ -゚)「2年前!?」

( ・∀・)「買うまではクー喜ぶかなってうきうきしてたんだけど……買ったあとに渡すべきじゃないって、思ってさ……」

川 ゚ -゚)「どうして……?」

( ・∀・)「俺、クーに甘えてばっかの駄目な奴だったし。 こんなんじゃクーは幸せにできないと思ったんだ。 ……好きな奴には幸せになってほしいだろ」

( ・∀・)「ほら、俺知っての通り女々しいからさ。 だから、ずっと持ち歩いてた……うわ、かっこ悪いなぁ……」

これは夢なのだろうか。

( ・∀・)「いつの間にかクーがそばにいるのが当たり前に思ってたけど、そうじゃないって気づいたんだ」

叶うはずがないと思っていたのに…

( ・∀・)「俺、頑張る! 人間としても、仕事でも、一人前とは言えないから今すぐは難しいけど…… 死ぬ気でクーを幸せにできるように頑張るから」

( ・∀・)「だから、クーさえよければ、それまで待っててほしい。 …………泣くなよ」

視界がゆらゆら動く。目を開けているのがあまりにも辛くて、ぎゅっと瞑ると手の甲にぽたりと水滴が落ちた。
モララー、お前は今どんな表情をしてる?

川; -;)「頑張らなくたっていいよ、今までのモララーでいい……待つよ、いつまでだって……当たり前だろ? 今までだってずっと、ずっと……」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:13:00.69 ID:dBHGjpmY0

モララーが私の手を取り、指輪をはめてくれた。
普段はあまりアクセサリーを身につけないので、少しだけ違和感を感じる。

川 ゚ -゚)「むむ、こんな綺麗なの私には不釣り合いではないか?」

( ・∀・)「何言ってんだ、似合ってるよ」

川*゚ -゚)「そ、そうか」

( ・∀・)「これ、クーの誕生石なんだよー。 仕事運が上がるってお店のおねーさんが言ってた」

川 ゚ -゚)「仕事運か……」

( ・∀・)「おう!」

右手の薬指がほんのり重い。
この重さをずっと感じていたいと思った。


月の光に照らされて、かちりとイエローサファイアが輝いた気がした。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:13:16.02 ID:db4YoivZ0
支援

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:16:44.11 ID:dBHGjpmY0
03話終わり



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:19:55.38 ID:dBHGjpmY0
>>30 ありがとうございます
おかげで最終話投下できそうです

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:23:39.29 ID:dBHGjpmY0
 


04話





34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:26:14.10 ID:dBHGjpmY0

ここ見たことある?

……そうか、家の近くにある土手道だ

あ、桜が咲いてる……
そういえば春には、桜がちらちらと舞って、歩くのが楽しいんだよね

よくお兄ちゃんとクーちゃんと、落ちてくる花びらを何枚取れるか競争したっけ

懐かしい……

あ、お兄ちゃんとクーちゃん?
なんだか幼い……

ん、私もいる

あんなに必死に花びら追いかけて、我ながらおバカっぽいなぁ……

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:31:14.47 ID:dBHGjpmY0

川 ゚ -゚)「よし、ケッコンのちかいをしよう」

( ・∀・)「いきなりだなー」

川 ゚ -゚)「わたしたちは、おさななじみだろう?」

( ・∀・)「うん」

川 ゚ -゚)「なら、するのは当たり前だ」

( ・∀・)「なんでー?」

川 ゚ -゚)「む、なんでと言われると……デフォだから?」

( ・∀・)「でほ?」

川 ゚ -゚)「まぁまぁ、いいじゃないか!」

( ・∀・)「うーん、いいけど」

ζ(゚ー゚*ζ「だめーーー!」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:36:21.97 ID:dBHGjpmY0

川 ゚ -゚)「むむ、デレ」

( ・∀・)「おー! いっぱい花びらとれたなぁ」

ζ(゚ー゚*ζ「うん!」

川 ゚ -゚)「おいおい、今いいところなんだぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「クーちゃんずるい! デレもおにいちゃんとケッコンする!」

川 ゚ -゚)「ざんねんだが、日本じゃジュウコンはみとめられていないのだ」

( ・∀・)「ジュウコン?」

ζ(゚ー゚*ζ「おにいちゃんとっちゃヤダーーー!!!」

( ・∀・)「なに言ってるんだよ、おれはいつまでもデレのそばにいるぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「ほんと?」

( ・∀・)「当たり前だって」

ζ(゚ー゚*ζ「わーい、おにいちゃんダイスキ!」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:42:40.57 ID:dBHGjpmY0

――――――


ζ(-ー-*ζ「んん……」

( ^ω^)「起きたかお?」


今日は私とブーンの結婚式だった。

無事に式が終わって、家に帰って、それで……
どうやら寝てしまっていたらしい。


ζ(゚ー-*ζ「ごめん、寝ちゃって」

( ^ω^)「いいお、いいお。 何着もドレス着替えたり、お酒飲んだり、大変だったおね」

ζ(^ー^*ζ「うん、でも楽しかった」

( ^ω^)「僕もだお! あ、お茶飲むお?」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、私が」

( ^ω^)「いいから、いいから」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:48:49.76 ID:dBHGjpmY0

( ^ω^)「どうぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「ありがとう」

テーブルの上にはピンクと水色のマグカップが置かれた。
私の持ち物はピンク色のものが多い。ハンカチしかり、ポーチしかり……
いい年してピンクに拘るなんて、とたまにバカにされることもあるが、今はまだやめることができなそうだ。

ζ(゚ー゚*ζ「あ、桜茶?」

マグカップの中心に花びらが一枚ぽっかりと浮かんでいる。
ほんのりと桜の香りがした。

( ^ω^)「そうお、おいしいおね。 あ、そういえば何か夢見てたお? 寝ながらうっすら笑ってたお」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ、本当? ……うーん、昔の夢を見てた気がするけど、あんまり覚えてないなぁ」

( ^ω^)「まぁ、夢なんてそんなもんだおねぇ」

ブーンはごくりごくりと喉に熱いお茶を通した。
あーあ、勿体ない。

ζ(^ー^*ζ「もっと味わえばいーのにっ」

(;^ω^)「おー、確かにそうお。 なんだかマグカップだとゴクゴクしたくなるお」

ζ(゚ー゚*ζ「ふーん? じゃあ今度は湯飲みの買おーよ」

( ^ω^)「いいおね」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:51:12.16 ID:KdKZuO1gO
支援

42 名前:>>35 ありがとうございます:2010/06/19(土) 07:53:15.49 ID:dBHGjpmY0

ζ(゚ー゚*ζ「んー、やっぱちょっと疲れたなぁ」

( ^ω^)「楽しいことと疲労は比例関係だおねー」

ζ(^ー^*ζ「ね!」


不安はいっぱいあった。
それでもこうして式をあげられたのは、ブーンがいてくれたからだ。

自分がしてきたこと、思ってること、全て受け入れてくれた。
お兄ちゃんときちんと向き合う勇気をくれた。
いつもいつも私を笑顔にしてくれた。

でも、これからそうじゃない。

これからは、私もブーンを支えてあげられるような存在になりたい。
幸せにしてもらうだけじゃない。彼にも幸せだと感じてもらえるように……



( ^ω^)「デレ」

いつもはふざけてデレたんだの、デレにゃんだの言うだけに、こうもきちんと名前を呼ばれると未だに鼓動が速くなる。
徐々に顔が熱くなるのが分かった。ああもう。

( ^ω^)「これからも、よろしく」

桜色に染まった私の頬に、彼の唇が優しく触れた。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 07:56:16.35 ID:dBHGjpmY0
04話終わり

すべて終了しますた
読んでくれた人ありがとう

>>41 ありがとうございます!

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