mesimarja
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( ФωФ)結末を知っているようです
2 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:04:27.00 ID:ZGIs27r60


( ФωФ)結末を知っているようです


3 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:05:23.52 ID:ZGIs27r60

lw´‐ _‐ノv「やぁ、ロマじゃないか」

あおい芝の上に、白いスカートを広げて読書をする少女。
黒く長い髪の毛に真っ白なワンピースというのは、とても映えた。

( ФωФ)「シュー様、お部屋に戻りましょう」

lw´‐ _‐ノv「やだ」

ごろり。

ワンピースが汚れることも厭わないで、そのまま、夏の匂いのする芝へ寝転がる。
うぅん、と、猫のように気持ちよさそうに伸びをする。
裾から覗く素足はしろく、滑らかで。


4 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:07:56.27 ID:ZGIs27r60

lw´‐ _‐ノv「こう気持ちがいい日は、部屋なんかにいちゃいけないよ」

寝転がりながら、彼女は笑う。

lw´‐ _‐ノv「稲だって、部屋の中じゃ伸びてくれやしないさ」

例えがよく、わからないけれど。

何度か部屋に戻るよう言ったけれど、彼女は部屋に戻ろうとしてくれなかった。
仕方がないので、並んで横たわる。
青い空にぽっかりと、綿飴のような雲が浮かんで、浮かんで。

( ФωФ)「綺麗ですね」

lw´‐ _‐ノv「うむうむ」


7 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:10:41.45 ID:ZGIs27r60

lw´‐ _‐ノv「なぁ、ロマ」

( ФωФ)「何でしょうか、シュー様」

lw´‐ _‐ノv「仕事じゃないんだからシュー様はやめてほしいな」

おかしいな、自分は彼女に、勉強を教えに来たはずなのに、なぁ。

( ФωФ)「……何であるか、シュー」

うむうむ、と満足げに笑って。


lw´‐ _‐ノv「今日も、“未来”の話、教えて」



9 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:12:39.75 ID:ZGIs27r60
***

タイムマシーンは実在する。

ただし、ずぅっと過去まで遡ることは不可能だ。
タイムマシーンが発明された時代から、それが壊れる時代までしか移動ができない。

そして、どうも開発から100年もすればそのマシーンは壊れてしまうらしい。

自分が生まれたのは、その100年目が目前に迫った年だった。

様々な人間が存在した。
100年前まで行き、発明者と接触しようと試みる者。
壊れてしまう前に、時間旅行を楽しもうと旅に出る者。

どの人間がどの時代の人間かわからない。
隣人が気付けば老人になっていた。

そんなことが、当たり前だった。


10 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:14:43.99 ID:ZGIs27r60

自分は、発明者と接触する、という任務を帯びて、タイムマシーンのポッドに乗り込んだ。
選ばれた、精鋭部隊としての誇りを持って。

扉が閉まる瞬間の、両親の嬉しそうな顔が目に浮かぶ。

だが、自分を乗せたポッドは、訓練の時にいつも流れていたアナウンスを、いつまでたっても流してくれなかった。

というか、気がついたら、ポッドがなかった。

ポッドをひらいたら生首だけが残って、体だけがどこかの時代に!
という事例も報告されているので、五体満足でいられることは有難いことなのかもしれないが。
何はともあれ、事故だった。


―――米神様か?


待っていたのは合成音声のアナウンスではなく、幼い少女の声。
へんてこなスーツを身にまとって、呆然としている大の大人に向かって、彼女は動じることなくそう言った。


12 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:17:07.17 ID:ZGIs27r60

lw´‐ _‐ノv「シュールだよ、シューと呼んでおくれ、米神様や」

( ФωФ)「…うぅむ、では、シュー、ここは…何処だ?」

lw´‐ _‐ノv「米神様ならそれくらいじんつーりきでわかるだろう」

( ФωФ)「うん…?いや…えっ…?我輩は…」

lw´‐ _‐ノv+ワクテカ

(;ФωФ)


13 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:19:51.56 ID:ZGIs27r60

結局、彼女の部屋(無理矢理連れ込まれた)に飾ってあったカレンダーを見て、
自分が目標の時代より少々昔に来てしまったことを知る。
タイムマシーンが発明されるのはこの時代の20年か、30年か、まぁそれくらい先の事だった。
家もない、タイムマシーンもない、金もない、そして何より、待てない。
あるのはこの変なスーツと、体力と知識のみ。

どうしよう、どうしよう、どうしよう。

悩んでいるうちに、彼女の部屋の扉が、叩かれた。

(゚、゚トソン「シュー様、お食事の用意が…」

召使の服を着た背の高い女性が、そこまで言って。

(゚、゚トソン「……曲者ッ!」

ぶわり。

黒いスカートをなびかせて、脇に立てかけられていたモップを手にとり、こちらへ。
洗練された動作だった。ただのメイドじゃない。


14 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:22:18.34 ID:ZGIs27r60

(゚、゚トソン「シュー様、そのロリコンから離れてください」

(;;ФωФ)そ「ロリコン!?」

慌てて弁解をしようとしても、上手い言葉が見つからない。
とりあえず、と思って彼女に一歩近づこうとすれば、目の前を、風を切りながら柄が走る。
モップが相手だというのに、死が近づいている感覚がした。

( ФωФ)「ち、違うのである…我輩は…」

(゚、゚トソン「おかしいですね、どこから入りました?シュー様を騙して抜け道を聞き出しましたか?この変態が」

こつ。

一歩、壁に追い詰められる。

( ФωФ)「これは事故なのである!我輩も、シューも被害者なのである!」

(゚、゚トソン「無垢で純真なシュー様を騙してあんなことやそんなことを…許すまじ」

こつ。

また一歩、壁に。そして、死に。


15 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:25:05.87 ID:ZGIs27r60

じりじりと追い詰められる変質者。
追い詰めるメイド。

なんなんだ、この図は。
なんでもいいから助けてくれ、誰か。
自分は、こんな時代に、こんなことをするために来たわけじゃ―――


涙目になりながら、人生にさよならを告げる準備を始めた頃に。


lw´‐ _‐ノv「なぁなぁ、トソンちゃん」


ようやく、今まで成り行きを見ているだけだった少女が、口を開いた。


17 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:27:47.52 ID:ZGIs27r60

彼女の説明はこうだ。

街を歩いていたらなんだかいかしたファッションの男がいた。
どうやら彼は米を崇め、崇め、崇め奉りすぎたせいでお金がなくなり、
このようなとんでもない服を着るしかなくなってしまったという。

話してみればなかなかいいやつで、米についての話題は尽きることはない。
ならば、何かここで働かせてやろうと思い、つれてかえってきた。

lw´‐ _‐ノv「ということで彼に仕事を与えてやりたくて」

(゚、゚トソン「ふむ、なるほど、辻褄はあっていますね……」

(;;ФωФ)(今ので納得するのであるか!?)

彼女の説明に心の中で一つ一つ、丁寧にツッコミを入れていると。

lw´‐ _‐ノv「おいお前、名前は?」

彼女は、とても素敵な笑顔で、自分に訪ねてきた。


18 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:30:30.60 ID:ZGIs27r60

自分に割り当てられた仕事は、家庭教師。
そんなにあっさりと決まっていいものか、と思ったが。

(゚、゚トソン「枠のあいている仕事はこれしかありませんので」

と、メイドでありシューの幼馴染でもある都村がそう言った。
なんでも彼女はあまりにも厄介すぎて、雇った家庭教師が次から次へとやめていくらしい。
そして、偶然にも昨日、彼女の歴史の教師が一人、やめたところだったそうだ。

( ФωФ)「歴史……」

ぱらぱら。
彼女の使っている教科書を開く。

歴史は嫌いではないのだが。


19 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:33:12.44 ID:ZGIs27r60

( ФωФ)(やはり我輩の時代のものとは違うのである……)

歴史の教科書というものは簡単に変わっていく。
突拍子もない論が当然といった顔で載っていたり。
既に証拠が揃っているような事実が載っていなかったり。

この時代と自分の時代との差は150年ほど。
それだけ時間が流れれば、
自分の頭の中の知識とこの教科書の知識とが面白いくらいに食い違ってくるのも当然とも言えよう。

(*ФωФ)

割り当てられた部屋で、にやにやと笑いながら教科書を捲る、変なスーツの男。

さぞかし怪しかっただろう。


そして寝すごし、授業初日から遅刻をしてしまったわけだが。


20 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:36:17.38 ID:ZGIs27r60

lw´‐ _‐ノv「なぁ、寝坊しちゃったロマネスク先生」

( ФωФ)「ロマでいいぞ…いいですよ、シュー様
        あと寝坊しちゃったはやめてください反省してます」

lw´‐ _‐ノv「格好いいじゃないか、ロマネスクなんて名前」

( ФωФ)「歴史上の英雄の名前だとかなんとか。
        私はちょっと英雄なんて似合わなくて……ロマでいいです」

ふぅん、とひとつ。
それから面白くなさそうに、ぱらり、と手元の教科書を捲る。
たまに赤いインクでびぃ、と線を引いてはいるものの、
その内容を彼女が理解しているとは到底思えない。

( ФωФ)「歴史は嫌いであるか…お嫌いですか?」

lw´‐ _‐ノv「主食として摂取するジャガイモの次くらいに嫌いだね」

例えがよくわからない。


22 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:39:15.91 ID:ZGIs27r60

lw´‐ _‐ノv「悔しいんだよ、こういうの見てると」

( ФωФ)「悔しい?」

そうだね、と彼女はぱらぱらっ、と、ページを逆に捲る。
見せてくれたページは、かつて存在した、偉大な王の功績だ。
戦の中、兵士たちの先頭に立ち、勇敢にも敵国に挑んでいった王。
添えられている絵画の写真も、煌びやかなものばかりだ。

lw´‐ _‐ノv「私はきっと、こんな王にはなれないだろう、って。いつまでたっても及ばないんだろう、って。」

ぺらり。

ページを、捲る。

( ФωФ)「……」


23 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:41:53.35 ID:ZGIs27r60

自分は知っている。
彼女が嫉妬し、羨望しているこの王が、実は虚像であることを。
王の成した偉業は、本当はただの名もない男達が血を流しながら成し遂げたものだということを。

自分は知っている。

( ФωФ)「シュー」

lw´‐ _‐ノv「ん」


( ФωФ)「未来の話に、興味はないか?」


過去の人間に未来を話す。

これがタブーなのは知っている。
知っているさ。

でも事故に巻き込まれたんだ、これくらい許してくれよ、時空整備係さん。


24 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:44:17.90 ID:ZGIs27r60

未来の話をしてやると、シューはとても興味深そうにそれを聞いた。
未来といってもほんの150年先だ。
とはいえ、この時代から幾ばくか先に起きる出来事で、大きく世界は発展するのだが。

いくつかの国のいくつかの事例を話す。
自分の推測した、とある結末への道筋を話す。
いくつも、いくつも、いくつも。

彼女はとても楽しそうにしていた。
自分もとても楽しかった。


26 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:45:53.67 ID:ZGIs27r60

でも知ってしまう。
思い出してしまう。

この幸せの終わり方を。
この幸せの結末を。

忘れていたのに、忘れていたのに。

彼女が一つ、呟くまでは。


lw´‐ _‐ノv「……とすると、今のままでは、王家は危ないなぁ」

彼女は、その年齢に不相応な頭脳をもってして、言った。


思い出して、しまった。


27 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:50:10.51 ID:ZGIs27r60

698年、月の暦8、13日

ヴィップ王国 満月戦争。

続く不作と王の圧政、上がり続ける税金。
満月の夜、市民達はついに剣を持ち、立ち上がった。

反王家軍と、王家の持つ騎士団との戦闘は、僅か一晩で終結。
長く続いた王家は全員、戦闘の最中で殺される。
王家の者の首を討ったとされる英雄の名は――――


28 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:52:23.05 ID:ZGIs27r60

lw´‐ _‐ノv「父さんのやり方は絶対におかしい」

lw´‐ _‐ノv「こんな政治が正しいとは、私は思わない」

でも、と。

lw´‐ _‐ノv「私はまだ小さいから、発言力も、行動力も、なにもない」


lw´‐ _‐ノv「だからこんなふうに、こんな王になりたい、悔しい」

虚像の英雄。
幼い少女が憧れる、歴史のヒーロー。


29 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:55:06.53 ID:ZGIs27r60




幼い王女が抱く、“しょうらいのゆめ”





31 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:57:12.07 ID:ZGIs27r60
***

lw´‐ _‐ノv「……うむ、もう時間か」

( ФωФ)(今日も進まなかったのである…)

広い中庭に寝転がりながらのただの雑談。
気付けば歴史の授業の時間は終わり、シューは部屋に戻らねばならなくなる。

lw´‐ _‐ノv「次は数学だー」

( ФωФ)「数学は、嫌いであるか?」

lw´‐ _‐ノv「ん?主食として食べるパンの次に嫌いだね」

やっぱりよくわからない。


32 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 02:59:34.00 ID:ZGIs27r60

しかし、そんな他愛もないやりとりに幸せを覚えているのも確かだ。
幼い彼女に愛おしさすら覚えている。
年の差もいいところだ、と悩む夜ですら幸せで、幸せで。

しあわせで。

終わりなんて、忘れてしまいそうになるほどに。

このまま忘れて、そして何も知らないまま、終われたら。
彼女と一緒に、終われたら。

何度願っただろう。
何度祈っただろう。

でももう自分は、結末を知っている。


33 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:02:24.93 ID:ZGIs27r60

( ФωФ)「……城の中も外も、最近騒がしいのである」

lw´‐ _‐ノv「む?……うむ」

ぱたぱたと、ワンピースを叩きながら、シューはじっと、高い城壁の外に視線を投げる。

城壁の外にはざわめきが満ちていた。
祭りでもない。
祝日でもない。

どろどろとした重いざわめき。

彼女の白い足を汚しながら飲み込んでしまう、黒い音の波。


34 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:05:07.16 ID:ZGIs27r60

lw´‐ _‐ノv「ロマ、しゅくだい」

唐突に、シューは言う。

( ФωФ)「え」

lw´‐ _‐ノv「明日の授業までに答え出しといてね」

( ФωФ)「我輩が宿題を解くのであるか!?」

lw´‐ _‐ノv「うるせーシュー様の命令だーい」

本を拾い上げ、無意味に1回転。
白いスカートが広がり、黒い髪が向こう側へ回り。
その整った顔がこちらをまた、向く。

( ФωФ)「……っ」


35 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:08:00.39 ID:ZGIs27r60

ひどく真剣な表情。
まっすぐな視線。

逸らすことは、できない。
逃げることは、できない。

彼女のだす宿題とやらを。

聞きたくない。


36 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:11:09.57 ID:ZGIs27r60


lw´‐ _‐ノv「この王宮が陥落するのに、あと何日ほどかかるでしょーか」

にっこ







698年、月の暦8、11日

ベッドの横に据えられた日めくりカレンダーは、そんな日付を映していた。


37 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:13:43.04 ID:ZGIs27r60

( ФωФ)「……酷なのである」

誰にともなく呟く。

( つωФ)「酷なのである……」

窓の外から見える城下町。
異様な熱気を孕んだ人々の声、声、声。
いずれ弾ける熱と暴力。

史実に記されるのは王族の死のみ。
さて実際は何人死ぬ?


38 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:16:16.28 ID:ZGIs27r60

記憶の箱をひっくり返して、事件の記述を探して探す。
誰かが生き残っていた、とか。
誰かが助かった、とか。

そういった表記はなかっただろうか、なかっただろうか。


なかっただろうか?


思い浮かぶのは忌まわしい英雄の名前。

39 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:18:39.68 ID:ZGIs27r60
***

( ФωФ)「逃げるのである、シュー」

翌日、彼女の部屋の扉を開いて、開口一番そう言った。

lw´‐ _‐ノv「その心は?」

教科書をぱたりと閉じ、じぃ、とこちらを見つめる。
あおい、青い瞳。

吸い込まれそうなほどにあおく澄んだ、綺麗な瞳。



( ФωФ)「我輩は、シューを失いたくない」

lw´‐ _‐ノv「ふぅん」


40 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:21:06.06 ID:ZGIs27r60




「それが、宿題の答えなのか」


若く聡明な王女はそう言って、笑った。




41 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:23:35.35 ID:ZGIs27r60

lw´‐ _‐ノv「で、実際は何時なんだ、近いのだろう?」


lw´‐ _‐ノv「ロマは本当にわかりやすいなぁ。バレバレだぞ?」


lw´‐ _‐ノv「ロマ」



lw´‐ _‐ノv「教えてくれないかな、ロマ」

彼女の震える指先が。
頬を伝う涙をそっと、すくいあげた。


42 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:27:41.06 ID:ZGIs27r60
***

しん、と、不思議に静まり返った夜。
手探りで王宮の中を進む。
足音は一つだけ。
こつん、こつん、と固く響く。

どこからか聞こえてくるざわめきはひどく遠くて。
喉の渇きにも似た焦燥感がいまにも胸を食いちぎって溢れてきそうな。


月の光はあおじろく。

おそろしくも、うつくしい。


44 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:30:50.06 ID:ZGIs27r60

彼女はいつもの白いワンピースではなかった。
黒い、黒い、夜の色のドレス。

「母様が亡くなった時に着たきりなんだ」

彼女は微笑む。

「あれから身長、伸びてなかったみたいでね」

しゃらり、しゃらり。

レースが、フリルが、擦れて音を立てる。
響く、ちいさなに、足音。

しゃらり、しゃらり。

こつん、こつん。


45 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:32:30.03 ID:ZGIs27r60

白い腕には無骨な銀の剣。
月の光をはね返して鈍く輝く。

「ロマ」

彼女は剣を握ったその腕を、差し出す。
ざわめきはじわじわと近づく。

「まだ兵も気付いていない。父様が死んだこと、殺されたこと」


「わたしが殺したこと」

剣が纏った赤い雫がぽたりとたれる。
とろり、と、床に広がるあかいいろ。


46 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:34:22.41 ID:ZGIs27r60


愛しい時間にさようなら。

愛しい貴方にさようなら。



貴方の未来にこんにちは。


47 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:37:15.14 ID:ZGIs27r60

lw´‐ _‐ノv「ロマの未来では、私はここで死ぬことになっているんだろう?」

何が嬉しいのか、シューはわらった。
今しがた、自分の死を知らされたというのに。
自分の死を、悟ったというのに。

lw´‐ _‐ノv「なら尚更、私は今、死ななきゃいけないじゃないか」

( ФωФ)「なん、で」

簡単なことじゃないか。

ふふん、と、得意げにシューは笑って。

lw´‐ _‐ノv「歴史ってのは、変えちゃぁ、ダメなんだろう?
       未来ではそんなことも分かってないのか?」

48 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:39:55.54 ID:ZGIs27r60

( ФωФ)「シューのためなら、構わないのである」

震える喉を押さえつけて声を絞り出す。

( ФωФ)「未来なんて壊れてしまえばいいのである。
        シューのいない未来なんて、いらないのである……!」

いらない、いらない、いらない。
駄々っ子のように繰り返す。

涙を流しながら、そればかり繰り返す自分を、彼女は白い腕で、ゆっくり、抱き締める。


49 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:42:01.07 ID:ZGIs27r60

lw´‐ _‐ノv「この馬鹿者が」

子供のように泣きじゃくる自分の頭をゆるゆると撫でながら。

lw´‐ _‐ノv「私には必要なんだよ」

彼女は笑う。
白い指が髪を絡め取ってするりと抜ける。

その感触がひどく心地良い。

lw´‐ _‐ノv「未来が壊れてロマが未来からいなくなってしまったら、私はどうすればいい?」


50 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:44:04.71 ID:ZGIs27r60



私の未来にさようなら。




51 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:45:31.87 ID:ZGIs27r60

柔らかい唇が、そうっと、離れた。
彼女は泣いていただろうか。
僕は泣いていただろうか。


「ありがとう」


どちらともなく、つぶやく。

やがて、声が、ざわめきに、呑まれる。


52 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:46:52.78 ID:ZGIs27r60


嗚呼、結局。



ちゃんとした宿題の答えを、出せなかったな。



53 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:48:18.60 ID:ZGIs27r60

698年、月の暦8、13日

ヴィップ王国 満月戦争。

続く不作と王の圧政、上がり続ける税金。
満月の夜、市民達はついに剣を持ち、立ち上がった。

反王家軍と、王家の持つ騎士団との戦闘は、僅か一晩で終結。
長く続いた王家は全員、戦闘の最中で殺される。
王家の者の首を討ったとされる英雄の名は、ロマネスク。

54 名前: ◆Ty0zHFIrVQ :2010/09/05(日) 03:49:04.58 ID:ZGIs27r60
以上です
ありがとうございました

三国志参加作品です

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