mesimarja
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( ^ω^)ブーンはその目を閉ざしたようです
1 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 22:49:50.16 ID:uYeAF69K0
見えるものだけを見ている


2 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 22:50:43.31 ID:uYeAF69K0
噴き出す汗にジリジリと焼き付けるような夏の日が終わり、
シンシンと肌寒い秋の日が深まっていた。

( ^ω^)「用意してきたお。約束の物だお」

('A`)「そうか。本当にいいんだな?」

学校の校舎裏、ここで朝の会前の空き時間を利用した
ちょっとした密会が行われていた。

( ^ω^)「決心は変わらないお」

3 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 22:51:32.15 ID:uYeAF69K0
('A`)「分かった。俺も男だ。約束は守ろう」

男は渡された物──手編みのマフラーを受け取ると、
大事そうに抱えて校舎へと消えた。

( ^ω^)「これで終わったお」

ブーンはゆっくりと屋上へと向かう。
最後の手紙はカバンの中に入れてある。ドクオには迷惑を
掛けるかも知れないが、分かってくれるだろう。

屋上への扉は閉じられていたが、用意していた合鍵で
至極簡単にガチャリと開いた。

秋の冷たい風が強く吹き荒び、悲鳴のように聞こえた。

4 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 22:52:28.51 ID:uYeAF69K0
ドクオが教室へと入る。手には持っていたはずのマフラー
はなく、お腹が異様に膨らんでいた。

(,,゚Д゚)「おい、ドクオ。妊娠でもしたか?」

('A`)「ああ、あの時の子供だよ。結婚してくれるか?」

(,,゚Д゚)「わりいな。すでに嫁がいるんでな」

騒がしい教室の中にドクオの苦笑いは弱々しく消えた。
教室前方のドアがガラリと開く。

5 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 22:53:28.24 ID:uYeAF69K0
川 ゚ -゚)「キリーツ、レイ、チャクセキ!」

学級委員のクーのよく響く声が乾いた空気にこだました。

( ФωФ)「あー、最近、学校近くに不審者が現れている」

挨拶もそぞろに朝の会が始まる。

「えー、マジかよ」「お前だろww」「ちげえよww」

( ФωФ)「今日の部活は念のためすべて休止となった」

「やったー」「帰りカラオケいこうぜww」「ラッキー」

( ФωФ)「みんな放課後はすぐに帰宅するように」

6 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 22:54:37.66 ID:uYeAF69K0
( ФωФ)「ん?今日はブーンは休みか?」

('A`)「……」

静まり返る教室。

( ФωФ)「季節の変わり目は体調を崩しやすい」

( ФωФ)「みんな気をつけるように」

担任のロマネスク先生が教室から出ると、皆が思い思いの
ことを話し出す。

8 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 22:55:34.00 ID:uYeAF69K0
「あんなことしちゃこれねーだろww」「まさかブーンがな」

('A`)「……」

(,,゚Д゚)「おい、ドクオ。お前ブーンと仲良かったよな」

('A`)「そうでもねえよ」

(,,゚Д゚)「何か知らないのか? 昨日のこと」

('A`)「シラネ」

(,,゚Д゚)「フーン」

9 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 22:56:36.54 ID:uYeAF69K0
ξ゚⊿゚)ξ「さいてー。もう学校に来ないつもりかしら」

从'ー'从「あと少しで卒業だからねー」

川 ゚ -゚)「……」

1時間目のチャイムが鳴る。道徳のモララー先生が入ってくる。
手には作文用の原稿用紙らしき束を抱えていた。

( ・∀・)「あー、皆さん。今日は特別授業を行います」

( ・∀・)「教科書をしまって下さい」

「えー」「テストかー」「まじ?ww」「やだー」

10 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 22:57:28.61 ID:uYeAF69K0
( ・∀・)「テストではありませんよー」

「あぶねー」「でも作文だろー」

( ・∀・)「実は昨日、生徒から匿名の手紙を受け取りました」

( ・∀・)「とても面白いことが書いてありました」

( ・∀・)「今日は皆にもそのことについて考えて貰いたいと思います」

( ・∀・)「まずはその手紙を読み上げます」

モララー先生のいつもと違う調子に何かを察知したのか
教室に緊張感が漂い始めます。

11 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 22:58:30.99 ID:uYeAF69K0
「先生。ぼくは決心をしました。こればかりは必ずやり遂げます。
思えばぼくは何事にも中途半端で、卒業を間近にひかえ、学生生活を
振り返ってみれば、なんにもありません。本当になにもない。
ぼくは何のために生まれて来たのでしょうか。いや何のために
死ぬのでしょうか。ぼくはその場が楽しければ良いと思っていた。
ノリと勢いだけで何事も乗り越えられると思っていたのです。
だけど、どうやらそうではない。そうではなかったのです」

モララー先生が淡々と読み上げるソレに静まり返る教室。

('A`)(これってもしかして……ブーンか?)

川 ゚ -゚)「……」

12 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 22:59:33.42 ID:uYeAF69K0
「ぼくが見つけた乗り越えられない壁、これを仮に虚数と
名づけましょう。虚数は誰にでも存在します。ただ見えない。
見えないけど存在する。それに気づいた時には既に遅いのです。
自覚してしまったら消すことが出来ない。そして同じく虚数を
その手に持ってしまった人と出会えば、マイナスとなるのです」

「おれ数学苦手ー」「iは地球を救うww」「男子静かにして」

( ・∀・)「手紙はまだ続くが、今読み上げるのはここまで」

( ・∀・)「皆は卒業をひかえて何か思うことはないかな?」

( ・∀・)「やりたかったこと、こうすべきだったと後悔してること」

( ・∀・)「誰にでもそんな整理のついていないことはあると思う」

15 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:00:30.92 ID:uYeAF69K0
( ・∀・)「それでは今から原稿用紙を配ります」

「げー」「やっぱり作文かよ」「誰だよ手紙書いたやつー」

( ・∀・)「タイトルは僕・私のやりたかったこと」

( ・∀・)「何を書いても自由ですが、最低1枚は書くように」

( ・∀・)「先生は一旦、職員室に戻ります。20分後に戻ります」

「ヤりたかったことってww」「アレか?ww」「しねよww」

17 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:01:56.12 ID:uYeAF69K0
( ・∀・)「あ、ドクオくんはちょっと来てくれるかな」

('A`)「!?」

「おっ」「あの手紙ドクオかー」「意外にロマンチストだなww」

('A`)「ちげーからww」

教室から出ると廊下はすっかり底冷えをしていて、
教室内の暖かさが嘘のように思えてくる。

( ・∀・)「これ、ドクオくん宛ての手紙」

('A`)「えっ!?」

18 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:02:49.24 ID:uYeAF69K0
( ・∀・)「受け取った手紙に入っていたんだ」

( ・∀・)「それ書いた人に心当たりはあるかな?」

('A`)「……」

( ・∀・)「言いたくないのなら言わなくていいよー」

( ・∀・)「それ読み終わったら教室に戻りなさい」

( ・∀・)「皆に見せびらかすんじゃないよ?」

('A`)「……分かってます」

22 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:04:21.84 ID:uYeAF69K0
ドクオはモララー先生の少しくたびれた後姿を見送ると、
冷え切った手洗い場に腰掛けて手紙を読みます。

「ドクオくんへ。君を巻き込んで済まないと思っている。
君とは1年ほど前に喧嘩をしたね。覚えているかな。
覚えていたらそこにプレゼントがあるから受け取って欲しい。
出来ればこの手紙を受け取った後、すぐにそこへ行ってくれ」

('A`)「……」

──ドクオの頭に1年前の記憶がよみがえる。

1年ほど前、理由はよく覚えていないが、ブーンと
殴り合いの喧嘩をした。場所はそう、美術室だ。

23 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:05:48.21 ID:uYeAF69K0
やはり手紙の主はブーンだったのか。ドクオは興奮気味に
美術室に向かいます。

('A`)「授業やってないかな」

美術室を覗くと誰もいないようです。

('A`)「しつれーしまーす」

木の匂いのする美術室にドクオのか細い声が響く。

('A`)「誰もいないな」

人が居ないことに安心すると、ブーンからの贈り物が
あるらしい場所を探す。

24 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:07:20.22 ID:uYeAF69K0
('A`)「特に何も無いようだが……」

ドクオは授業中に一人だけ抜け出している状況に
少し緊張と焦りを覚えつつ、辺りを見回します。

('A`)「確か、ブーンの木版画が飾ってあったような」

壁を見るとたくさんの絵が並んでいましたが、
その中に見覚えのあるブーンの作品がありました。

('A`)「これか?」

木版画には女性の萌え姿が描かれていました。

28 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:08:44.94 ID:uYeAF69K0
ドクオは絵を手に取りまじまじと見つめながら、ブーンと
なぜ殴り合うほどの喧嘩をしたのかを思い出しました。

('A`)「あれ……!?」

手に何かが当たり、木版画を裏返しにしてみると
紙が貼り付けてあります。

('A`)「おいおい、また手紙か?」

紙を広げて見ると、準備室 床側 戸棚とあります。

木版画を壁に戻し、美術準備室のドアへと向かいます。

29 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:10:24.41 ID:uYeAF69K0
準備室もやはり無人でドクオは安心します。

('A`)「戸棚っと……」

戸棚を開けてみると学生のカバンらしきものが置いてあります。

('A`)「これ、ブーンのカバンか?」

ふと、窓の外を何かが上から通り過ぎた気がしました。

('A`)「ん……!?」

ドクオはひどく胸騒ぎがして、早くプレゼントとやらを
受け取って教室に戻ることにします。

31 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:12:03.95 ID:uYeAF69K0
ブーンのカバンの中には手紙だけが入っていました。

('A`)「また手紙か!? いい加減にしろって」

ドクオは自分のおかれている状況が段々と理不尽に
思えてきて苛立ちさえ覚えるのでしたが……。

('A`)「こ、これは……!?」

手紙を手に立ち尽くすドクオ。静まり返ったその場所に
心臓のドクンドクンという音だけが鳴り響いているようでした。

33 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:13:37.68 ID:uYeAF69K0
──その頃、教室では。

(,,゚Д゚)「20分経ったけど先生こねーな」

川 ゚ -゚)「道徳係は先生を呼びに行ってください」

「道徳係って誰だよ」「ブーンじゃね?」「まじか?ww」

(*゚ー゚)「……」

川 ゚ -゚)「女子の道徳係は、しぃさんでしたよね」

(*゚ー゚)「はい」

川 ゚ -゚)「では、私がブーンくんの代行で同行します」

34 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:15:16.71 ID:uYeAF69K0
寒さがすっかり染み込んだ廊下を二人の女生徒が並んで歩く。

(*゚ー゚)「あの……」

川 ゚ -゚)「ん? なんですか、しぃさん」

(*゚ー゚)「ブーンくんが昨日したこと」

川 ゚ -゚)「ああ、それなら私もよく知らないんだ」

川 ゚ -゚)「被害者のでぃさんに直接聞いてみたら?」

川 ゚ -゚)「確かしぃさんは、でぃさんと仲良かったよね」

35 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:16:47.69 ID:uYeAF69K0
(*゚ー゚)「あの……あれって本当は」

川 ゚ -゚)「何か知ってるんですか?」

学級委員のクーは歩みを止めて、はっきりとした口調で尋ねる。

(*゚ー゚)「いえ……私は……」

川 ゚ -゚)「そう。本人達が説明してくれるのを待つしかないね」

(*゚ー゚)「……はい」

38 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:18:07.78 ID:uYeAF69K0
職員室に着くと、そこにモララー先生の姿は無かった。

( ФωФ)「君たち、何をしているのかな?」

担任のロマネスク先生がお茶をすすりながら
手招きで二人を呼び寄せる。

川 ゚ -゚)「道徳の授業中なのですがモララー先生を呼びに来ました」

( ФωФ)「モララー先生ならさっきまで居たんだがね」

( ФωФ)「入れ違いで教室に戻ったんじゃないのかな」

川 ゚ -゚)「分かりました」

40 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:19:36.66 ID:uYeAF69K0
職員室を出るとまた廊下の冷えた空気に包まれる。

川 ゚ -゚)「一旦、教室に戻りましょう」

(*゚ー゚)「いえ、もしかしたら保健室に居るのかも」

川 ゚ -゚)「保健室?」

しぃによるとモララー先生は時々、保健室に立ち寄っては
そこに居る体の弱い生徒達に授業を行っているらしかった。

川 ゚ -゚)「そうだったんだ」

川 ゚ -゚)「気づかなかった。学級委員失格だな」

(*゚ー゚)「私も最近知ったんです……」

41 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:21:06.44 ID:uYeAF69K0
──その頃、保健室では。

( ・∀・)「もう少し簡単に考えてみたらどうかな」

(-_-)「いや否定神学の審級は僕らの世代にとっては未だ有効で……」

(#゚;;-゚)「でも対象を喪失しても消費=生産を前提すれば……」

从 ゚∀从「確かに……しかしその手紙は一体誰のものなんです?」

(-_-)「この場合、所属の問題より対象依存で考えないと……」

( ・∀・)「まあ、いろいろ意見はあると思う」

( ・∀・)「タイトルは僕・私のやりたかったことで書いて欲しいんだ」

43 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:22:39.87 ID:uYeAF69K0
保健室の外側、花壇のある場所を一瞬何かが舞い上がり、
校舎側の見えないところへと移動した。

(-_-)「!?」

( ・∀・)「なんだろう? ハインさん見てきてくれるかな」

从 ゚∀从「はあ、いいですけど」

校庭側の扉を開けると、冷え切った大気がどっと押し寄せ、
ベッド上にあった原稿用紙が宙を舞う。

从 ゚∀从「あ、ごめんごめん」

(#゚;;-゚)「……」

でぃという名の女生徒が原稿用紙を無言で丁寧に拾い上げる。

45 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:24:23.93 ID:uYeAF69K0
ハインが外から持ってきたもの──黒い布状のなにか──は
男子生徒の学生服のようでした。

从 ゚∀从「一体だれのだこれ」

( ・∀・)「胸ポケットの中を見てみなさい」

从 ゚∀从「えーと、あ、手帳!」

ハインが取り出した学生手帳にはブーンの名前があった。

从 ゚∀从「内藤ホライゾン、だれ?」

(#゚;;-゚)「!?」

( ・∀・)「ブーンくんの制服のようだね」

46 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:25:52.91 ID:uYeAF69K0
(-_-)「ブーンって……あの?」

ヒッキーとハインはでぃの顔をそれとなく伺う。

(#゚;;-゚)「……だと思うけど」

( ・∀・)「今日は休みだと思ったんだけどな」

急に押し黙る三人を不思議そうに見守るモララー先生。

沈黙の保健室をノックする音がした。

48 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:27:32.97 ID:uYeAF69K0
しつれーしまーす。ガラッ!

川 ゚ -゚)「あの、モララー先生はいらっしゃいますか」

lw´‐ _‐ノv「いるわよ。ちょっと待っててね」

机で書類の整理をしていた保健のシュール先生が
対応している声がする。

入り口ドアとツイタテで隔てられた空間から顔がのぞく。

lw´‐ _‐ノv「生徒さんが来てるようですけど」

49 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:29:11.72 ID:uYeAF69K0
( ・∀・)「はい、分かりました、すぐ出ますので」

( ・∀・)「それじゃ作文は次の授業までに書いておいて下さい」

( ・∀・)「ブーンくんの制服は先生が預かろう」

从 ゚∀从「あっ! はい、どうぞ」

ハインはまだ制服のポケットを探っていたが、何かを取り出して
ベッドの布団奥に隠し、制服と学生手帳を渡した。

(-_-)「!?」

ヒッキーの目には隠された何かにベットリと赤い血が
ついているように見えた。

50 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:30:43.29 ID:uYeAF69K0
( ・∀・)「あ、クーさんにしぃさん、もうそんな時間か」

(#゚;;-゚)(しぃちゃんだ)

保健室組の三人はツイタテ外の様子を息を殺して伺っている。

川 ゚ -゚)「20分後ということだったので」

( ・∀・)「そうだね。もう30分たってるのか」

時計を見上げる二人。

(*゚ー゚)「あの……でぃちゃんやヒッキーくんは」

51 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:32:02.40 ID:uYeAF69K0
( ・∀・)「来ているよ。でも今は作文を書いているところだから」

モララー先生はクーの顔を確認しながらも、そう言った。

(*゚ー゚)「はい……」

( ・∀・)「それじゃ教室で授業を再開しよう」

──教室近くまで来ると生徒達の笑い声がする。

( ・∀・)「おやおや、騒がしいな」

川 ゚ -゚)「はあ……すいません」

学級委員としての責任感からかなぜか申し訳なさそうなクー。

52 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:33:26.35 ID:uYeAF69K0
「あの時の顔ww」「あれは吹いたww」「ちょww似てる」

ガララッ!一瞬で静まり返る教室。冷たい風が教室内に入り込む。

( ・∀・)「あー、それでは後ろの人は作文を回収して下さい」

( ・∀・)「テーマは僕・私のやりたかったことでした」

( ・∀・)「学生生活を振り返りつつ、ちゃんと書けたかな?」

( ・∀・)「ただ、みんなに考えて欲しかったのはそれだけではありません」

( ・∀・)「これから途中まで読んだ先ほどの手紙の続きを読み上げます」

53 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:35:28.26 ID:uYeAF69K0
「ぼくは手を取り合った時点で負債となるものを獲得したのです。
ぼくの目的とはなんだったのか。もっとしたいことがあったはずです。
でもマイナスになればプラスへと引かれるしかない。場の力には
誰も逆らえないのです。ぼくのこれからは決まってしまいました。
ぼくは誰かもう一人を引きずり込み、いつか来た道を知らない顔で
通り過ぎて行くしかない」

川 ゚ -゚)「……」

突然の沈黙が教室に染み込んでいくまで、相当な時間が
過ぎたような気がした。

生徒に思考を巡らさせるために設けられたらしい
その空き時間は、まったく違った効果を生み出す。

教室の外をなにげなく見ていた生徒の一人が、向かい側の
校舎壁にぶらりと垂れ下がるなにかを発見したのだった。

「きゃぁぁああああああああああ!」

56 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:37:14.70 ID:uYeAF69K0
──その頃、保健室では。

从 ゚∀从「とにかくブーンを探したほうがよさそうだね」

(-_-)「まだそうと決まった訳ではないけど……」

(#゚;;-゚)「そんな……」

コンコン、とノックする音がする。ドアは開かれない。
シュール先生が対応したようだ。ガララ。

lw´‐ _‐ノv「はい、なにかしら?」

('A`)「あのー、でぃさんに渡したいものが……」

60 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:39:29.32 ID:uYeAF69K0
lw´‐ _‐ノv「ごめんなさい、今はちょっと、どうかしら」

('A`)「あっ、外からでいいので」

ドクオは暖かい保健室に入ると、ツイタテでさえぎられた
空間に向かって少しどもりながら話し出す。

('A`)「あの、ぶ、ブーンからことづてです」

('A`)「これは、受け取れないそうです」

手に持っていたマフラーをツイタテの中へと差し出す。

61 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:41:27.04 ID:uYeAF69K0
((#゚;;-゚)「……」

でぃはふるえながらそれを受け取る。

('A`)「これは答えではなく、リセットだ、とのことです」

('A`)「それじゃ俺はこれで」

ドクオは逃げるように保健室を飛び出した。

(#゚;;-゚)「……」

从 ゚∀从「やっぱりブーンは……」

三人はブーンの学生服からみつけた存在しなかったはずの
血の付いた折り鶴をじっと見ていた。

63 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:43:40.00 ID:uYeAF69K0
ドクオは走っていた。

('A`)「これで役目は果たした。だけど……」

校舎外にあるゴミ捨て場にたどり着くと、ドクオは
ポケットからブーンのカバンにあった手紙を取り出した。

('A`)「こんな……こんな結末は認めない!」

ドクオはその手紙をびりりと何度も破り、ゴミの中へと
まき捨てた。

('A`)「これでいい。俺は受け取らなかったんだ」

65 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:45:31.31 ID:uYeAF69K0
教室では生徒達が爆笑していた。
その騒ぎは別のクラスにも飛び火したのか、外を見て
ちょっとした祭りとなっているようだった。

(,,゚Д゚)「あのバカなにしてやがんだ」

校舎壁を何かが動いている。屋上へと伸びたロープを軸に
何度も何度も振り子のように往復している。

耳を澄ますとかすかに声が聞こえるようだ。

⊂二( ^ω^)⊃「ブーーーーーーーーーーーーーーン」

全裸で赤いフンドシを下げたソレはブーンのようでした。

67 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:47:42.24 ID:uYeAF69K0
「これってww」「昨日のはこれのリハーサルかよww」

ξ゚⊿゚)ξ「さいてー。ばっかじゃない。クラスの恥よ」

从'ー'从「またうちのクラスで謹慎処分かなー」

( ・∀・)「こらー、やめなさい、あぶないだろう」

モララー先生は窓から大声を張り上げるが届いていないのか、
ブーンの動きは一向に止む気配はない。

( ・∀・)「みなさん、自習、いや作文を続けていて下さい」

モララー先生は教室を飛び出していった。

68 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:49:26.32 ID:uYeAF69K0
川 ゚ -゚)「……」

学級委員のクーは教卓から落ちた手紙を拾い上げる。
騒がしさを増した教室で、誰もが祭りを楽しむ中、
読み上げられた続きの部分を見つけると黙読を始める。

「これからのぼくらに出来ることと言えば、流れていく景色を
同じように見て、そうして安心し合う。言葉にすると消えてしまう
それは、ただ伝えるだけではだめで、伝え方にも価値を与えて、
そう、楽しませていくこと。結果ではなく経過だとよく言われるけれど、
ぼくらには両方が必要だったのです。だからぼくは、ぼくらの犯した
罪を許そうと思う。ぼくはもう二度とそれを一人では見ない。
ただ虚数を抱えた事実を、その事実たちと共にただ生きて生きたい」

川 ゚ -゚)「……」

クーは読み終えると静かに教卓へと手紙を戻した。

69 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:51:38.96 ID:uYeAF69K0
( ФωФ)「はい、すいません、ほらブーンも」

職員室には、校長や集まった先生方に謝るロマネスク先生の
姿があった。

( ^ω^)「もう、ごめんだお」

「まったく」「先生のクラスは」「前回とは違う生徒ですか」

同じクラスに二人目の謹慎処分者を出すことになるかについては
次の職員会議に持ち越されることとなった。

( ФωФ)「一体、なにを考えているんだね」

特別に設けられた視聴覚室での反省会が始まった。

71 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:53:26.25 ID:uYeAF69K0
( ФωФ)「ブーンも知ってるだろう。でぃさんのこと」

( ^ω^)「……」

重い沈黙がただでさえひとけもなく冷え込んだ部屋を
さらに居心地の悪いものへと変えていく。

( ФωФ)「なんであんなことをしたのか言えないのかね」

( ^ω^)「飛べると思ったからだお」

( ФωФ)「ふざけているのかねブーン」

( ^ω^)「……」

73 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:55:25.52 ID:uYeAF69K0
( ФωФ)「とにかく反省文は書きなさい。5枚以上だぞ」

( ^ω^)「手紙は苦手だお」

( ФωФ)「手紙じゃない、反省文だ」

机の上に置かれた原稿用紙は100枚以上はあった。
あれで紙ヒコーキを折ったらどれかは届くだろうか。

( ^ω^)「家で書いてもいいかお」

( ФωФ)「だめだ。書き終わるまでは帰れないからね」

ブーンは黙々と文章を書き連ねる。誰にも届かない手紙は気が楽だった。

75 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:57:25.02 ID:uYeAF69K0
コンコン、視聴覚室を叩く音が響いた。

( ФωФ)「どうしました? モララー先生」

( ・∀・)「ブーンくんのことでちょっとお話があるのですが」

( ФωФ)「分かりました。おい、ブーン、ちょっと出てくるから」

( ^ω^)「分かったお」

しばらくの間、廊下で話し声がしていたが、二人はどこかに
行ってしまったようだ。

「ブーン、居る? 入るよ」

76 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/20(土) 23:58:42.37 ID:uYeAF69K0
川 ゚ -゚)「ブーン」

( ^ω^)「クー、なにしにきたお」

川 ゚ -゚)「私はキミを誤解していたようだ。昨日のことを謝りたい」

( ^ω^)「過ぎたことだお。それに誤解じゃないと思うお」

川 ゚ -゚)「なぜ?」

( ^ω^)「結局、なにも変わらなかったお」

川 ゚ -゚)「そんなことはないと思う」

川 ゚ -゚)「実際、私は気づけたからね。もちろん他にも──」

77 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/21(日) 00:00:06.13 ID:KfT+ItvR0
( ^ω^)「クーは何を見、何を聞いたお」

川 ゚ -゚)「ん?」

( ^ω^)「クーはクーの知っていることを見て聞いたんだお」

川 ゚ -゚)「うん?」

( ^ω^)「新しいことは生まれなかった、でもクーの気持ちは嬉しいお」

川 ゚ -゚)「そうか。私も話せてよかったよ」

クーは他にも寄るところがあると言って、少し名残惜しい様子で
視聴覚室から出て行った。

78 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/21(日) 00:02:03.15 ID:KfT+ItvR0
( ФωФ)「そうか、そんなことがあったのか」

保健室の中のツイタテの前でロマネスク先生が
手に持ったなにかをじっと見ていた。

細やかに文字が書き込まれたメモ用紙のようだった。

从 ゚∀从「それが私達の知っているすべてです」

(#゚;;-゚)「……」

(-_-)「僕たちの手に渡った時点で形を変えている可能性はある……」

(-_-)「でも彼が持っていた事実を考えるなら……」

80 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/21(日) 00:03:30.22 ID:KfT+ItvR0
保健室を出て、陽の暮れた職員室近くで二人は立ち止まる。

( ФωФ)「先生、我々に出来ることとは何でしょうね」

( ・∀・)「私は、私達も彼らの一部になることだと、そう思っています」

( ФωФ)「そんなこと出来るのでしょうか」

( ・∀・)「彼らにとって有効であれば血や肉となる」

( ・∀・)「そうでなかったとしても、どこかで似たものを見た時──」

( ・∀・)「その足掛かりになればいい。そう思いませんか」

( ФωФ)「彼らもまた私達の一部……ですね」

81 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/21(日) 00:05:25.47 ID:KfT+ItvR0
ブーンの起こした事件は瞬く間に学校中の噂となった。
それは今までの噂を覆い隠すには十分の大きさだった。

「全裸だったらしいよww」「なぜww」

校舎外に置かれたゴミ捨て場に風が吹き、女生徒の制服の燃えカスと共に
紙吹雪が舞い上がり、地上に生えた雑草に落ちて消えた。

その場所は、黒くなった歴史ある校舎が覆い重なり、これから
来る冬の凍て付く寒さから守っているようでもあった。


おしまい。

82 名前: ◆clite/Wn.A :2010/11/21(日) 00:08:29.99 ID:KfT+ItvR0
支援ありがとうございました!すごく助かりました。
おつかれさま。
ではまたねー(そそくさ)

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何かの続き?
[2010/12/18 03:06] URL | #- [ 編集 ]


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