mesimarja
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(´<_` )失恋のようです
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 17:51:47.31 ID:dAnTv+E0O

帰り支度をしているときだった。

前の席の伊藤がくるりと身体を反転させ、長い髪の毛を翻した。
まじまじと俺の顔を見たかと思えば、眉を垂れ下げて重苦しいため息をひとつ吐いた。

人の顔を見てため息とは、これ如何に。

(´<_` )「何?」

('、`*川「最近、あの子部活サボってるみたいなの」

(´<_` )「……誰?」

('、`*川「トソン」

(´<_` )「ああ……、都村ね」

( ´_ゝ`)「なになに、やっぱりこの間の試合のことか。 せっかくレギュラー勝ち取ったんだから胸を張らなきゃだめだよなぁ」

見るからに軽そうなリュックを背負った兄者が、いつの間にか隣にきて、ひょっこりと顔を覗かせた。



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 17:53:54.30 ID:dAnTv+E0O

('、`*川「どうしようかしら」

( ´_ゝ`)「どうしようったって、こればっかりはアイツ次第だろうさ」

('、`*川「それは、そうだけど……」

ふたりは着々と会話を進めていくなか、俺だけがぽつんと置いて行かれた。
部活の後輩である都村の話をしていることは分かったが、それ以外は何が何だかさっぱりだ。

不愉快だ。
最初から俺に話をふらないでくれ。

('、`*川「あ、ちょっと! もう、まだ話している途中じゃない。 冷たいわね」

ふて腐れた気持ちで椅子から立ち上がると、すぐさま伊藤からの非難を浴びる。
その言い草はないでしょうよ。

(´<_` )「や、正直何の話してるか分からん」

( ´_ゝ`)「あーあ、お前ってホント野暮だよな」

(´<_` )「お前には言われたくないです」


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 17:55:13.34 ID:dAnTv+E0O

('、`*川「だから、この間の大会よ」

(´<_` )「この間……あ、引退試合のことか?」

('、`*川「……そうね、その試合のことよ」

( ´_ゝ`)「お前さぁ、もっと言葉選べねーの?」

('、`*川「いいわよ、弟者だから気にしないわ」

(´<_` )「え? あ、ごめんなさい……?」

( ´_ゝ`)「あんな、俺達は弱小バレー部だったけど、ペニ達は違うだろ?」

(´<_` )「そんなの知ってる。 女子部はめちゃめちゃ強かった」

( ´_ゝ`)「だろ? そりゃ、俺たちはすぐ負けちまったし、それを悔やんだりもしないかもしれんがね、
      ペニ達は違うわけ。 わかるかね?」

( ´_ゝ`)「これ勝てば夢の春高進出って試合で、惜しくも、すーごく惜しくもいい結果は出せなくて
      そんな試合を”引退試合”って言葉で簡単に表すのはどうかと思うがねって話」



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 17:59:07.70 ID:dAnTv+E0O

悔しいが、兄者にまともに説教されてしまうのは当たり前だった。

俺たちは、楽しさ重視(もちろん不真面目にではない、勝ち負けにこだわらないということだ)で部活をしていたが、女子部は違った。
毎日毎日血反吐が出るような辛い練習を繰り返し、力をつけつつ、春高を夢見ていたに違いないのだ。

あの試合は伊藤にとって、ひどく心に残るものだったんだと、奴の言葉で気付かされた。

(´<_` )「すまん、無神経だった」

('、`*川「やーね、やめてよ。 気にしないってば……それでね、トソンの話だけど」

(´<_` )「おう」

('、`*川「あれ以来、ほとんど部活サボってるんだって。 周りも最初はショックだったろうから少しは休ませてあげようって
    言ってたらしいんだけど……もう2週間も来てないみたいで」

( ´_ゝ`)「なんだ、たった2週間じゃん。 気にすることないんじゃね? すぐ戻ってくるって」

(´<_` )「……都村は今まで練習休んだことなんてなかったし、そんな奴が2週間も休むんじゃ伊藤も心配になるだろ」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:01:25.60 ID:dAnTv+E0O

('、`*川「あら、よく知ってるわね」

(´<_` )「あ? ああ……まぁ俺もほぼ毎日部活行ってたからね。 伊藤も都村も頑張ってたのは知ってるって」

( ´_ゝ`)「の、わりにはさっき言い草か」

(´<_` )「うっせ、お前だってたった2週間とか言ったじゃねーか」

(-、-*川「はいはい、喧嘩はやめてね。 とにかく、そういうわけで心配なのよ」

( ´_ゝ`)「真面目な奴は周りに発散しないで、ぐずぐず考え込むからなぁ」

(´<_` )「まぁ……心配なのは分かる。 が、悪いけど、俺には何もできないよ。 すまんな」

('、`*川「ううん。 ちょっと聞いてほしかっただけ。 ありがとうね」

( ´_ゝ`)「そのうちケロっと戻るって!」

('、`*川「うん……そうよね! あの子バレー好きだし……きっとまた考え直してくれるわよね」

伊藤がいつもの笑顔に戻ってくれたが、俺の心の中には、薄黒いもやが残ったままだった。



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:03:35.12 ID:dAnTv+E0O

―――よく知ってるわね。


伊藤の言葉に、心臓がどきりと跳ねた。

失言だった。
ちゃんと動揺を隠せていただろうか。
可笑しな受け答えになっていなかっただろうか。
バレてはいないだろうか。

俺がこの1年間心の内にひっそりと秘めていた気持ちが。



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:04:42.22 ID:dAnTv+E0O

バレー部は、他と比べて男女の仲が良かった。

俺達と女子部では、志の違いがあった。実力にも大きな差があった。
それでも、いい関係が保てていたのだ。

俺たちが女子部を嫉むこともなければ、女子部が俺達を見下すこともなかった。
たまには、合同で合宿(と言っても夕食が一緒なだけだが)をしたり、お互いの試合では応援しに行ったり。

部活全体がそんな仲だから、もちろん俺と都村も会話を交わしたことは何度もある。

しかし、ふたりきりで話す機会はこの1年間、一度もなかった。
俺たちは、特別な関係ではなかった。先輩・後輩の間柄であり、それ以上でも以下でもない。

だけど俺は、気付けば彼女に好意を抱いていた。

きっかけなんてものは、正直覚えていない。きっとあまりにも些細なことだったに違いない。
それでも、俺のこの気持ちが”好き”という感情であるのはまぎれもない事実だと思うのだ。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:08:50.61 ID:dAnTv+E0O

(´<_` )(それにしても危なかった……)

(´<_` )(こんなんバレたら、どんだけ奥手なんだって馬鹿にされるに決まってる……)

動揺を落ちつけるために、中庭の隅にひっそりと設けられているベンチでコーヒーでも飲むことにした。
薄暗いそこは、あまり学生から人気がなく、ひとりになるには持ってこいの場所だ。

足を進めていくと、いつもと違うことに気付く。
日の当たらない湿った場所であることはいつも通りなのだが、珍しくひとつの人影が見えた。

先を越されたかと思ったが、何もベンチはひとつではない。
もう一方に座ればいいだけだと、更に歩みを進めていった、が。

(´<_`;)(………………あるぇ?)

自然と足が止まる。

鼓動が変なリズムを刻む。

ぎちぎちぎちぎち、ぎち、ぎち、



(゚、゚トソン「……あ、流石先輩」


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:12:16.51 ID:dAnTv+E0O

少し癖のある栗色の髪が、ふわりと揺れた。

(´<_` )「よう」

(゚、゚トソン「ども」

久しぶりに都村の顔を見た気がした。
残念ながら、そこにはバレーをしている時のような生き生きと輝く瞳を見ることはできなかった。

俺は、空いている方のベンチにゆっくりと腰を沈めた。

あれ、なんだ、もしかして同じ場所に座るべきだったか?
なんか意識してるのバレバレか?

ああ、17にもなって、なんて恥ずかしい。

(゚、゚トソン「それ、なんですか」

(´<_` )「え? ……ああ、これか。 飲む?」

俺は手に握っているまだ未開封の缶コーヒーを彼女の方に差し出した。


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:13:43.77 ID:dAnTv+E0O

都村は俺の手を凝視したあと、「コーヒーですか」と苦い顔をした。

(´<_` )「なんだ、コーヒー嫌いか?」

(゜、゜トソン「はい……」

「そうか」と言って、俺はコーヒーのプルタブの手をかけた。
ごくり、と一口飲んでみるが、落ち付けない。
むしろ、教室にいたときより心臓がおかしくなりそうだ。頭のなかが徐々にぐちゃぐちゃと混ざっていくのが分かる。

ひたすら沈黙が続く。

ちらりと隣を盗み見にすると、彼女は何をするわけでもなく、ただ自分のローファーのつま先に視線を注いでいるだけのようだった。
なにか、話しかけてみるべきだろうか。

今、俺は都村とたった二人きりなのだ。
こんな機会、きっともう二度とないに決まっている。



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:15:42.04 ID:dAnTv+E0O

(´<_`;)「さ、最近、部活、行ってないんだって?」

都村はゆっくりと俺の方に振り返った。
その悲しみの色さえ見えない曇った瞳を見て、俺は自分の発言にひどく後悔する。

(゚、゚トソン「はい……なんか、どうしてもやる気出なくて」

しかし、変にあとには引けない気がした。

(´<_`;)(ここは、簡単に話を終らせるしか……)

(´<_` )「そうか、まぁ、今はのんびりしてさ、また復帰すればいいんじゃないかな」

(゚、゚トソン「のんびりっていうか……やめようと思ってます、部活」

(´<_`;)「え!!??」

思わず、彼女の方へと身体を乗り出してしまった。
都村は遠慮がちな声でもう一度「やめます、バレー」と零し、再び視線をつま先に向けた。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:54:10.48 ID:dAnTv+E0O

(´<_` )「な、んで」

(゚、゚トソン「………………」

驚いた気持ちを沈めて「そうか」と一言言おうと思っていたが、ぽろりと本音が零れてしまった。
慌てて「嫌なら言わなくてかわまない」と付け足したが、彼女はそろりそろりと口を開く。

(゚、゚トソン「なんていうか、本当にやる気でないんです」

(゚、゚トソン「ぽっかりと穴が空いたどころか、もう空っぽ。 私の中、空っぽなんです」

(´<_` )「今はそうかもしれないな……」

(゚、゚トソン「……先輩、私この間の試合、すごく辛かったです。 悔しくて、悲しくて、苦しくて……だってそうでしょう?
  あんなに頑張ってきたのに、あと一歩で春高だったのに」

(´<_` )「そうだな、すごく惜しかったな。 でも次に活かせる試合だったと俺は思うぞ」

(゚、゚トソン「……でも、でも伊藤先輩たちにとっては……最後だったんですよ?」

(´<_` )「……そうだな」

(゚、゚トソン「私は、先輩たちと……行きたかった……」


30 名前:規制でした:2010/12/02(木) 18:57:26.73 ID:dAnTv+E0O

(゚、゚トソン「もう嫌なんです。 こんな苦しいの。 もう、やなんです」

都村が苦しいのは痛いほど分かっているつもりだった。
どんなに厳しい練習でも、弱音を吐かずに必死にしがみ付いている姿を、俺はずっと見ていたのだ。

でも、だからこそ、今辞めたら後悔することも目に見えている。
この苦しみから解放されたとき、真面目な彼女はきっと、なんでもっと頑張らなかったのだろうと、自身を追い詰めるはずだ。
なんで辞めてしまったのだろうと、責めたてるはずだ。

いつか必ず、この苦しみは時間と共に流れていく。
それなのに、ここで投げ出してはだめだ。だめなんだ。

しかし、俺にそんな言葉を投げかける権利があるのだろうか。

(´<_` )「あー…………”冬来たりなば春遠からじ”って言葉知ってるか?」

(゚、゚トソン「……流石先輩って野暮だって言われません?」

(´<_` )「すまん、忘れてくれ」


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:59:56.77 ID:dAnTv+E0O

(゚、゚トソン「先輩の言いたいこと、なんとなくわかりますよ」

(゚、゚トソン「でも、どうしようもないんです。 もう、全部どうでもいいっていうか……」

(´<_` )「バレー嫌いになったのか?」

我ながら、ふざけたことを聞いてると思う。
都村がバレーを嫌うことなどできるはずないのに。

(゚、゚トソン「…………いいえ」

彼女は小さく首を振った。

(´<_` )「バレー本当にもうやりたくないのか?」

俺は、お前がバレーをしている姿をもっと見ていたいよ。
なんて、言えないけど。

(゚、゚トソン「………………わ、かんないです」

(´<_` )「そうか」



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:08:26.60 ID:dAnTv+E0O

(゚、゚トソン「でも、たぶん……やりたい、と思います」

(´<_` )「そうか」

(゚、゚トソン「バレーはやっぱり好きですし、やりたいですよ。
     でも、また、あんな状況になること考えると怖くて……どうしたらいいか分からないんです」

(´<_` )「………んーまぁ、やりたいなら、やればいいんじゃねーか? と俺は思うけどなぁ」

(゚、゚トソン「分かってます!!」

がたん、

隣のベンチが軋む。
彼女は立ち上がって、うっすらと赤く染まった目で、俺の顔を真っすぐに見た。

(´<_` )「と、そん……」

(゚、゚トソン「本当は部活に行きたいし! ボールだって触りたい!
     でも、でも足が動かないんです!! 自分で自分がコントロールできないっ……」

(;、;トソン「頭と、気持ちが、ごちゃごちゃになること……流石先輩にはないですか?」


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:10:45.88 ID:dAnTv+E0O

都村は泣いていた。
初めてみた彼女の涙に、俺の心臓は強く強く掴まれてしまった。

大きな粒をぼとりぼとりと零しながら、息を詰まらせながら、必死に繋いだ言葉に、

(´<_` )「ある」

(;、;トソン「…………」

(´<_` )「あるぞ」

(;、;トソン「………………うん」

ちゃんと応えたいと思った。

(´<_` )「どこにあるか知らねーが、あるよな、変なストッパーが……
       で、動けなくなんの。 身体も、気持ちも。 自分でもどうしようもねぇのな」

(;、⊂トソン「…………」

都村は手の甲でごしごしと頬を拭きながら、こっくりと頷いた。


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:13:36.90 ID:dAnTv+E0O

都村はそのまま力なくベンチへと腰を落とした。

気付けば、俺も彼女の隣に座っていた。
勝手に体が動いていたように思う。俺も、やればできるじゃないか。

(´<_` )「大丈夫か?」

(;、;トソン「……うっ、うっ………っ」

都村はなおも苦しそうに息を整えようとしている。
俯きながら肩を揺らす彼女をみていると、今までにない感情に満ち満ちていく感じがした。

おそるおそる彼女に手を伸ばす。柔らかい髪の毛が震える指先をかすめた瞬間、

(;、;トソン「す゛み゛、ません゛……大丈夫、です」

彼女がぱっと顔をあげる。
行き場をなくした俺の手は、数秒間宙を彷徨ったあげく、自分の後頭部へと移動した。



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:16:55.78 ID:dAnTv+E0O

(゚、゚トソン「もっと、向き合ってみますね」

彼女が笑った。

(´<_` )「ああ」

彼女が笑った、それだけで、心臓が痛いほど軋む。





俺の気持ちはまたひとつ、大きくなってしまった。


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:20:33.16 ID:dAnTv+E0O

――――――
――――
――


('、`*川「いやー、それにしても良かったわ」

( ´_ゝ`)「なーにが?」

伊藤が突然にこやかな表情で、俺の机で頬杖をつく。
隣にいた兄者は、興味津津で体を乗り出してきた。邪魔だ。

('、`*川「トソンが部活出てくれるよーになって」

(´<_` )「なんだ、今さらだな」

( ´_ゝ`)「来るようになってしばらくたつじゃねーの」

('、`*川「そうだけど! 改めてさぁ……あの子にはすごく力があるのっ、投げだすにはもったいないわ!」

(´<_` )「……俺も、そう思うよ」



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:26:30.11 ID:dAnTv+E0O

都村は次の合宿にはきちんと参加していた。
自分なりに整理がついたのだろう。

彼女の復活を聞いて、馬鹿みたいに嬉しかった。


('、`*川「まったく、あの子は内に溜めるくせ直さなきゃねぇ……」

('、`*川「感情もあまり出さないし、辛いなら泣けばいいのよ! 女なんて泣いてなんぼよ」

( ´_ゝ`)「それはどうかと思うー」

+('、`*川「あるものは使う」

( ´_ゝ`)「その考え捨てて」

('、`*川「私、あの子の涙なんて見たことないわ」

(´<_` )「え!?」


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:27:47.89 ID:dAnTv+E0O
(´<_` )「まじで」

('、`*川「マジマジ、あの子意外と強がりなのよねぇ。 そこも可愛いけど」

( ´_ゝ`)「ペニも見習え」


あのとき見たことは、特別なものかもしれない。

めったに流さない、流せない涙を流し、大きな声で自分の気持ちを口にできたときに、俺は隣にいれたのだ。
もしかして、少し、ほんのわずかだけでも、彼女の役に立てたのかもしれない。

そう思うと、胸がじわりと熱くなった。
可笑しな優越感に覆われた。

都村にとって、俺の存在が小さくでも刻まれればいいなと思った。


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:31:07.63 ID:dAnTv+E0O

―――――――
――――
――


(゚、゚トソン「あれ? 流石先輩?」

(´<_` )「! おお、都村か」

(゚、゚トソン「久しぶりですね、大学楽しいですか?」

(´<_` )「おお、まぁな」

(゚、゚*トソン「じゃあ、なんか奢ってください」

(´<_` )「なんでだ」

次に彼女とふたりきりになったのは、1年半後の街のカフェだった。


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:37:12.12 ID:dAnTv+E0O

ヘタレな俺は、結局彼女に何も言えないまま卒業した。

いいわけすると、そんな状況ではなかった。
都村はバレーに再び(それはそれは熱い)闘志を注ぎ、俺は受験勉強に追いかけ回されていた。
とても好きです付き合って下さいなんていう雰囲気ではなかったのだ。

〔ココア〕⊂(´<_` )「ほい、おまたせ」

(゚、゚トソン「すみません、ありがとうございます」

あれからずいぶん経つが、彼女のことを忘れたことはなかったように思う。

何もずっと恋愛感情を抱いていたわけではない。
1年半もたてば、そりゃいろいろあった。

実際に彼女と会えば、ああ懐かしいなと思うだけかと思ったが、そんなことはなかった。
昔の感覚が、色彩豊かになっていく。みるみるうちに、たくさんの感情が掻き立てられる。


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:39:25.93 ID:dAnTv+E0O

(゚、゚トソン「おいしい」

そう言って、ふっくらと微笑む彼女に少しだけ違和感を感じた。
なんだか、前より素直になった気がする。

彼女にもこの1年半、きっと様々な出来事があったのだろう。
そう思うと、少しだけ複雑な心持ちになる。

(´<_` )「そういえば、お前まだコーヒー飲めないのか」

(゚、゚トソン「別にいいじゃないですか、ココア最高」

(゚、゚トソン「ん? 私がコーヒー飲めないの知ってたんですか?」

ちくり、

(´<_` )「ん? ああ、まあね」

(´<_` )「それより、バレー、見たぞ。 すごかったな」

(゚、゚トソン「見てくれたんですか! ありがとうございます」


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:42:52.53 ID:dAnTv+E0O

(´<_` )「夢叶って良かったね」

+(゚、゚トソン「途中で負けちゃいましたけどね。 でもあのオレンジコート踏めて、とりあえず満足です!」

(´<_` )「ははは、そうかそうか。 あのとき、やめなくてよかったなぁ」

(゚、゚トソン「え、私辞めたいなんて口に出してましたっけ?」

ちくり、

(´<_` )「ああ、冬の予選が終わったあと、ふたりで話したんだぞ。 お前が泣きだしちゃってさ……」

ちくり、ちくり、

(-、-;トソン「そうでしたっけ!? うあー……恥ずかしいです、泣くなんて……」

ちくり、ちくり、ちくり、



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:45:36.76 ID:dAnTv+E0O

(゚、゚トソン「よく覚えてますね!」

どうやら、俺の大切な思い出は、俺だけのものだったらしい。

(´<_` )「まあね」

(゚、゚*トソン「恥ずかしいから、忘れてくださいねー」

(´<_` )「やだよ」

やだよ、絶対忘れてやらねーよ。

(´<_` )「だってお前との、唯一の思い出だもん」

(゚、゚トソン「えー、ひどいですよ、先輩! 他にもいろいろあるじゃないですか! 合宿で花火もしたし、カレーも一緒に、」

(´<_` )「みんなではね」

(゚、゚トソン「…………」

(´<_` )「ふたりの思い出は、それだけ」

彼女の黒眼が微かに動いた。
俺は今、一体どんな表情をしているのだろうか。



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:48:37.27 ID:dAnTv+E0O

―――――

(゚、゚トソン「ごちそうさまでした」

(´<_` )「おう、次は受験だな。 がんばれよ」

(゚、゚トソン「はい!」

俺がひたすら隠し続けたきた気持ちに、おそらく彼女は気付いただろう。
そして、彼女とはきっと二度と会わないだろう。
なんとなく、そう思う。

(゚、゚トソン「それでは、また」

都村は顔の横で小さく手を振った。
その”また”が実現できたら、どんなに嬉しいことだろうか。
俺は鉛のように重くなった手を持ち上げる。

彼女は、一度にこりと笑ってから、帰る方向へと歩きだした。



俺の足は動かないままだ。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:53:03.07 ID:dAnTv+E0O

(゚、゚トソン「流石先輩、」

彼女が振り返り、俺の名前を口にした。

都村は顔を歪ませ、どこか苦しそうな表情をした。
目にはうっすらと涙が溜まっているように見えるのは、気のせいだろうか。


(゚、゚トソン「冬来たりなば春遠からじ、って言葉……知ってますか?」


(´<_` )「…………ああ、知ってるよ」


三日月のように細めた彼女の瞳からは一粒の雫がこぼれて、頬を伝う。


(´<_` )「じゃあな!」


俺は彼女に背を向け、歩き出した。


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:55:09.23 ID:dAnTv+E0O



(´<_` )失恋のようです



おわり



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:58:08.66 ID:dAnTv+E0O
見てくれた方、お疲れさまでした

同じ題名でもうひとつ話を考えているので、いつか投下します
次はもっと頑張ります

ありがとうございました

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