mesimarja
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('A`)ドクオは陸上部に入っていたようです
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:03:50.65 ID:Dyuy8L9S0

俺は中学時代、陸上部に入っていた。なのに。

(゚A゚)「ぜー、ぜー、ヒュー、コヒュー」

嘘だ。絶対嘘だ。

(`・ω・´)「鬱田ドクオ、9分30秒」

ゴールラインを超えた後、俺は地面にへたり込んでしまった。
1500m程度でバテるなんて。それも9分台だなんて。絶対に嘘だ。
  _
( ゚∀゚)「まぁ……頑張ったよ、なっ」

誰だったか名前は覚えていないが、クラスメイトにポンと肩を叩かれた。
その手に噛み付きたい衝動に駆られたが、どうにか堪える。


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:06:08.53 ID:Dyuy8L9S0
ミ ゚Д゚彡「ナイスファイトー」

( ^Д^)「よく頑張った!」

同情の視線と声援を投げかけてくる教師とDQNが鬱陶しい。

運動不足だとは実感してたけど、まさかこんなに落ちるなんて。
中学校での最速タイムは5分58秒。速すぎるって記録でもないけど、悪くもない記録。
この日を境に、とても楽しみにしていた高校生活は、あまり面白くないものへと変化した。

……やっぱり、高校でも、陸上部に入るべきだった。文化部なんかじゃなくて。
俺は割と本気でそう思った。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:08:32.39 ID:Dyuy8L9S0

数学のテストが帰ってきた。200点満点のテストだ。

<ヽ`∀´>「60点以下は補習ニダ。必ず来るニダよ」
  _
( ゚∀゚)「塾がある日はどうすればいいんですか?」

<ヽ`∀´>「ダメニダ。塾なんかよりも補習を優先するニダ」

「よっしゃあ62! セーフ!」「ちょww180とかww」
そんな声を聞きながら、俺は自分の席についた。

('A`)「………………」

『51点』
何回見ても、点数は変わらなかった。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:10:28.03 ID:Dyuy8L9S0

小学校のころから、勉強はできた。
中学校での最高記録は、中間テスト、500点満点中499点。『天才だ』と言われた。
それが、今は。
少し勉強をサボっただけだ。少し予習復習をサボっただけだ。だけだったのに。

('、`*川「鬱田くんって、頭よさそうだよね。何点だった?」

(;'A`)「うぁえっ……と、その」

話しかけられて、とっさにテストの点数の部分を隠した。
しかし女子との会話でテンパリすぎていたのか、震えた手が答案用紙を床へ落とした。
女子がそれを拾い上げた。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:12:15.34 ID:Dyuy8L9S0

('、`*川「あー、うん。難しかったよね、今回。頑張ってね!」

そう言って、名前も知らない女子は俺の元から離れていった。
俺の前の席では、名も知らないサッカー部男子が、ハーレムを形成している。
運動もできて、勉強もできて、イケメンだ。たまに俺にも話しかけてくれる。
入学して1ヶ月ほどになるが、俺にはまだ友達がいない。
一応話しかければみんな返事はしてくれるし、何か貸してくれと言えば聞いてくれる。
でも、休み時間にお互いの趣味について語り合うような奴は、いなかった。

文化部に入ったのは、間違いだったんだ。やっぱり。
運動部に入っていれば、それつながりで友達もできただろうに。



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:14:19.72 ID:Dyuy8L9S0

('A`)「ほっ、ほっ、ほっ、フー、ほっ、ハー」

信じられない。
グラウンド一周。たかだかグラウンド一周で、息が切れるなんて。
調子に乗って先頭集団について行ったものの、息が苦しくなってきた。
それを悟られてはいけないので、俺は音を立てないよう必死で息を吸い込み、吐き出した。

(`・ω・´)「よーし! 100mのタイム測定するぞー!」

この体育の授業では、E組とF組が合同で参加している。
各組が一列に並び、横になった人と一緒に走るのだ。

ミ ゚Д゚彡「鬱田くんって何か速そうだな。おーこえぇ」

('A`)「あ、はい……」

9 名前:>>7こんなもんだったよ……:2010/12/17(金) 00:16:14.67 ID:Dyuy8L9S0

見るからにDQNっぽい男子。そして、見るからに運動部所属であるとわかる男子。
おそらく誰が相手だろうと同じことを言ったのだろうが、それが苦痛で仕方なかった。

ミ ゚Д゚彡「ま、がんばろーな」

('A`)「えっと、どうも……」

小さな声で対応しながら、クラウチングスタートの姿勢をとる。
銃声がした。

本当に、カスみたいなスタートだった。足がうまく回らない。
追いつかないとと思っても、差は開いていくばかりで。
20メートルほど前でDQNがゴールしたのを見て、俺は体から力を抜いてしまった。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:18:40.27 ID:Dyuy8L9S0

( ゚д゚ )「鬱田ドクオ、19秒5」

嘘だ。絶対に嘘だ。
中学時代の最速タイムは、13秒8。スパイクを履いてのタイムだが、そんなに速くはない。
それでも、それでも。昔なら、もっと加速できたはずなのに……。
ふと顔を上げると、ストップウォッチを持って、こちらを見ている人がいた。

( ゚д゚ )「おー、ドクオか。久しぶりだなー」

中学時代の、先輩だった。

('A`)「あ……お久しぶりです」


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:20:14.68 ID:Dyuy8L9S0
陸上部に入部してすぐ『短距離より楽そうだ』と思い、「走り幅跳びがしたい」と言った。
そこにいたのがこのミルナ先輩だ。
――唯一、俺が『憧れ』というものを抱いた人間だった。
勉強もできて、足が長くて、イケメンで、そして運動もできる。
大股な助走で、軽々と5m以上跳んでみせるその姿に、俺は憧れていた。

( ゚д゚ )「しっかしお前、もうちょっと頑張れよー。ほら、あっちに女子いるだろ? タイム言ってこい」

ミルナ先輩指差した方向には、クラス全員の名前が書かれた紙を持って、ベンチに座っている女子がいた。
せめて、せめて――まだ余裕があると思わせたい。
俺は息切れを必死に押し殺しながら、小走りでベンチへ走った。

そうだ、陸上部にはミルナ先輩もいたんだ。俺は今さらながらに思い出した。

('A`)(……やっぱり、陸上部に入ればよかった)

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:22:10.56 ID:Dyuy8L9S0

( ´_ゝ`)「それでだなー、今年は蛾の幼虫を観察することにしようと思う」

間違えた。本当に、間違えた。
ちょっと考えれば、わかったのに。

(´<_` )「このテーマを聞いた上で、各自どのように観察をすればいいのか、考えてくれ」

10人足らずの部員。女子は1人もいない。
先輩は優しそうな人だったが、結構なアニオタだった。そしてなんかカマ臭い。

こんなところで、高校生活をエンジョイできるわけがない。
輝く汗が飛び散る中、青春を謳歌できるのは、運動部に入った奴だけだ。
いや――文化系クラブに入るにしても、せめて吹奏楽部あたりに入っていれば。
ここ数日、こんな考えばかりが、頭の中を渦巻いている。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:25:00.47 ID:Dyuy8L9S0

(-_-)「どうしようかなー……どうやって調べよう。どうすればいいと思う?」

('A`)「え? あっと、うーん……」

純粋に、生き物が好きで入ってきた奴もいる。けど、俺は違った。
中学時代の友達が言っていた言葉。『高校の運動部は、かなり練習がキツイらしい』
中学時代陸上部で辛い思いをしてきた俺は、『楽そうだから』という理由で、生物部に入った。

週1回の部活。これで楽ができると思った。実際、毎日走っていた中学時代と比べれば、かなり楽な生活になった。
――だが、こんなに暇な生活を送ることになるとは、思いもしなかった。
授業が終わって、ユニフォームに着替え始める運動部の連中を横目に見ながら、俺は1人ですぐに帰る毎日。
みじめでしょうがなかった。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:27:15.71 ID:Dyuy8L9S0

クラスの中でも、野球部や陸上部、サッカー部に入った奴らは、同じクラブの奴と仲良くなって、グループを築いている。
俺はどのグループにも入ることができなかった。
当たり前だ、スポーツテストで散々カスな記録を出した俺なんか、誰も見向きはしない。

俺自身は、この思いを誰かに打ち明けたことはない。
だが母親ゆえに何かを感じ取ったのだろうか。何か新しいこと始めるかい、と、カーチャンは言ってくれた。
水泳教室、テニスクラブ、etcetc……。どれも入る気にはなれなかった。
全部、高校の部活でもできることばかりだった。

('A`)(運動部に入ってれば、運動部に入ってれば……)

授業中も、俺はずっと考えるようになった。
『こんな体力で運動部に入ってどうする』『醜態を晒さなくてよかったじゃないか』
しつこく脳裏に浮かぶ考えを、俺は必死で押さえ込んでいた。

19 名前:>>18俺の尻を貸すからそれで暇を潰してくれ:2010/12/17(金) 00:29:16.77 ID:Dyuy8L9S0
('A`)「はー……」

背負っていたカバンを適当に投げて、俺は制服のままベッドに倒れこんだ。

('A`)「文化部なんか入ってないで、陸上部に入れば良かったのかなぁ」

('A`)「最初の方はしんどいだろうけど、続けてれば体力も戻ってくるだろうし……」

何もない天井を見上げて――いつの間にか、俺は眠っていた。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:31:10.22 ID:Dyuy8L9S0


夢を見た。
中学校の頃の夢だ。




24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:33:09.46 ID:Dyuy8L9S0

( ;^ω^)「ヤバイお! この陸上部、腕立て100回とか縄跳び1000回とかやらされるらしいお!」

(;´・ω・)「ほんと!? スパルタにも程があるでしょそれ!」

(;'A`)「どうしよ、俺絶対無理だ……」

( ・∀・)「おーい1年生ー、アップ行くぞー」

( ;^ω^)そ

(;´・ω・)そ

(;'A`)そ

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:34:18.04 ID:Dyuy8L9S0

( ・∀・)「いや、何もそんなにビビらんでも」

( ;^ω^)そビクッ

(;´・ω・)そビクッ

(;'A`)そビクッ

( ;・∀・)「……お願い、なんかしゃべって」

入ったばっかのころは、背の高い先輩達にビビってて。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:35:34.73 ID:Dyuy8L9S0

('∀`)「そーいえばよ、俺ら入学したばっかりのころはさー、縄跳び1000回とか筋トレ100回でビビッてたんだよなwww」

( ^ω^)「wwwあwwwるwwwあwwwるwww」

(´・ω・`)「今じゃ筋トレとか縄跳びとか出たらラッキーだもんね。200m×16とかほんとにやめてほしいよ」

( ゚д゚ )「おいこら1年、アップ行くぞ」

('∀`)(^ω^)(´・ω・`)「はーい」

( ゚д゚ )「こっちみんな」

夏休みには、もう先輩たちとも打ち解けていた。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:37:08.79 ID:Dyuy8L9S0

(*‘ω‘ *)「4m20cm!」

(*‘ω‘ *)「ファール!」

(*‘ω‘ *)「ファール!」

( A )「~~~~~~!」

大会じゃ、ロクな記録が出なかったな。ってか大会で力を出し切れた記憶がない。


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:38:05.75 ID:Dyuy8L9S0

( ゚д゚ )「はい、んじゃー走り幅跳びの練習を始めたいと思いまーす」

(=゚ω゚)そ

( ´ー`)そ

( ゚д゚ )(お前も昔はあんな感じだったよな)

('A`)(そーっすね、ほんと懐かしいです)

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:38:47.37 ID:Dyuy8L9S0

('A`)「えーっと、とりあえず最初は砂場を掘って……」

(=;゚ω゚)そビクッ

( ;´ー`)そビクッ

( ;゚д゚)(………………)('A`;)

2年になると、扱いづらい新入生に四苦八苦し。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:40:00.24 ID:Dyuy8L9S0
('A`)(そうか今日は三年生修学旅行か! 先輩いないんだっけ、どうしよ……)


(=゚ω゚)ソレデサー


( ´ー`)マジデー?


(;'A`)(……マジでどうしよう)

3年生が抜けてからは、ミルナ先輩みたいになろうと頑張ってた。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:42:04.48 ID:Dyuy8L9S0

('A`)「今日はー……坂ダッシュでも行く?」

(=゚ω゚)「えー、実践練習がいいですょぅ」

( ´ー`)「坂ダッシュは正直しんどいもんねー」

('A`)「き・み・た・ち・ね・ー」

( ^ω^)「ドクオー、今日は何するんだお? 僕らは坂ダッシュだけど」

(´・ω・`)「おーい、しぃ。僕たち今日のメニューなんだっけ?」

(*゚ー゚)「えーっとー……坂ダッシュ!」

(=゚ω゚)「短距離組も長距離組も坂ダッシュですょぅ! 僕らもいきましょうょぅ」

('A`)「……やれやれ、しょうがないか」

指導力が足りなくて、理想と現実のギャップに泣いた日もあったかな?

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:43:27.82 ID:Dyuy8L9S0

(*;ー;)「ぐすっ、ひぐっ、うぇぇ」

(;^ω^)(ドドドドドクオォー……しぃが、しぃが泣いてるおー)

(;'A`)(県大会に出場できなかったのがショックだったらしい)

(* - )「うぅ……ぐすっ」

(^ω^;)=(;^ω^)(なんとかしてくれおドクォォォォォ!)

('A`; )=( ;'A`)(無茶振りはやめてくれぇぇぇぇぇ)


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:44:45.58 ID:Dyuy8L9S0


(*^ω^)「僕、この前しぃに告白してOKもらったんだお!」

(´゚ω゚)「マジで!?」

( ゚A゚)「マジで!?」



( ´ー`)「僕、ドクオ先輩のこと好きですよ」

(゚A゚)!?

青春ならではのイベントも、あったっちゃあったかな。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:47:49.01 ID:Dyuy8L9S0

(#´・ω・)「ブーン! だらけてないでちゃんと練習してよ!」

( ^ω^)「まあまあ、落ち着いてくれお。別にいいじゃないかおー、このくらい」

(#´・ω・)「ドクオもだよ! 休憩長すぎない? っと、しぃ! ほら行くぞ!」

(;'A`)(……キャプテン、大変そうだな)


( ;ω;)「しぃに振られたお! なんでだお!? まだ一週間だお!?」

(;'A`)「おいおい……何があったんだよ一体」

( ;ω;)「わからないお! 理由は教えてくれなかったお! 妙に僕のこと避けるし!」


後輩の世話にも手を焼いたけど、同級生の間でもいろんなトラブルがあったな……。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:50:22.28 ID:Dyuy8L9S0

(*゚ー゚)「ドクオ先輩、お疲れさまですー」

(*゚ー゚)「ドクオ先輩って帰り道どっちでしたっけ? あ、私と一緒ですね! よかったら……」

(*゚ー゚)「最近調子どうですか? ドクオ先輩」

(;'A`)「えーっと……あー、はい」

……なんでこの時逃げてたんだろ、俺。

( ´ー`)「あ、ドクオ先輩。好きです」

('A`)「そうか。じゃ、砂場掘ってくれ」

( ´ー`)「ドクオ先輩の体……柔らかいですね」

('A`)「そうか。じゃ、このメジャー持ってってくれ」

( ´ー`)「ドクオ先輩ry」

一回キレてぶん殴ってみたけど逆効果だったんだよな……この時のスルースキルは神がかってた。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:51:51.93 ID:Dyuy8L9S0


(;´・ω・)「おね……がい!」

('A`)「おうよぉ!」

最後の大会では、リレーメンバーに選ばれたんだよなー。

( ^ω^)「ドクオ! 後は任せろぉぉぉお!」

(;'A`)「ハァ、ハァ、ハァ、っっいっけえええええブーン!」

メンバーの中じゃ一番遅くて、3番手を任されていた。俺の役目は、現状維持。
抜かれないことだけを考えて、アンカーであるブーンに繋ぐ。そうすれば、最速の男ブーンが最後にぶっちぎってくれた。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:53:13.49 ID:Dyuy8L9S0

( #^ω^)「ドクオォー! 抜けとは言わないけどせめてもうちょい差詰めてくれおー! あれは流石に無理だお!」

(#'A`)「うるせー! 俺だって頑張ったわい! 左の奴に抜かれないようにするのが精一杯だったよ!」

(#´・ω・)「君たち、短距離と幅跳びだけなら体力有り余ってるだろ!? 僕は1500mと3000m走った後だったかrオボロロロ」

(;^ω^)「「ショボォ――ン!」」('A`;)

そんなこんなで、俺の陸上生活は終わったんだったな。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:55:09.91 ID:Dyuy8L9S0

携帯を見ると、もう12時を回っていた。流石に寝すぎだ、夕飯も食べてないぞ。
月明かりが窓から差し込んでくる。俺はカーテンを開けた。

('A`)「………………」

薄暗い部屋の中で、俺は体を起こし、考える。
夢だったのだとしたら、とても哀しすぎる夢だった。

('A`)「えーっと、確か……押入れの中だったかな、タオル」

立ち上がって押入れの前まで行き、少しためらった後、俺は戸を開いた。
いろんな物をごちゃごちゃと詰め込んである。だがそれはすぐに見つかった。


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:57:10.83 ID:Dyuy8L9S0

('A`)「運動部に、陸上部に、入らなかったことを。後悔してるわけじゃあないんだ、俺は」

さほど大きくない、黒い箱。中にはスポーツタオルが入っている。
箱に貼り付けられている紙には、後輩からの寄せ書きが。

"高校行っても頑張って!"
"今までありがとう!"
"実は好きでした!"

改めてその寄せ書きを見ると、心が少し温かくなった。
そして、すぐに冷たくなった。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:58:00.31 ID:Dyuy8L9S0
('A`)「体を鍛えるだけなら、自分でもできる。毎日ランニングでもすればいいんだ」

この寄せ書きは、確かな事実を表しているように見えたから。

('A`)「友達を作ることなんて、そんなに難しいことじゃない。適当に話しかけりゃいいんだ」

当たり前の事実だ。だけど、俺はわかってなかったみたいだ。


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:58:59.14 ID:Dyuy8L9S0

(;A`)「俺は、俺は――――」

タオルの箱に、涙が落ちた。

(;A;)「色々、言い訳してたけど、俺は、俺は」

止まらない。止められない。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:00:05.79 ID:Dyuy8L9S0

(;A;)「ただ戻りたかっただけなんだ……楽しかったころに…」

なまじ成績が良かったせいか、俺だけが別の高校に行ってしまった。
いつか隣に並んでやろうと鍛えていたけど、ついに短距離走では一度も追いつけなかったブーン。
優しい笑顔の裏に、長距離選手故のストイックな側面を持ち合わせていたショボン。
2人とも、ここにはいない。


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:01:37.92 ID:Dyuy8L9S0


合格発表の日、全員第一希望を通った俺たちは、深夜の公園に集まっていた。

('A`)『うちのクラスは、全員第一希望を通ったらしいな』

( ^ω^)『めでたい話だお』

(´・ω・`)『ぶっちゃけどうでもいいんだけどね』

('A`)『ブーンくーん、ショボン君にオブラート1枚』

( ^ω^)『……僕達、もう会えないのかお?』

('A`)『どうした藪からスティックに』

(´・ω・`)『そんなわけないでしょ、会えるに決まってるよ』


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:02:54.96 ID:Dyuy8L9S0

( ;ω;)『僕達……ずっと、友達だおね?』

('A`)『なに泣いてんだキメエwwwww』

(´・ω・`)『当たり前でしょwwww僕らは、ずっと……』

(;A;)『『ずっと、友達だろ』』(´;ω;`)



そんなやり取りも、あったっけな。

高校へ入るとき、俺は携帯を買ってもらった。ブーンもショボンも同じくだ。
けど、電話帳に、2人の名前はない。あれから、ずっと会っていないからだ。

59 名前:>>58簡単に言ってくれるけどさ……:2010/12/17(金) 01:04:00.78 ID:Dyuy8L9S0

J( 'ー`)し「ブーン君とショボン君は、高校でも陸上を続けてるらしいねえ」

('A`)「……そうなんだ」

ときどき、カーチャンからかつてのクラスメイトたちの話を聞くことがある。
そのたびに、少しだけ、胸が苦しくなる。


60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:05:18.96 ID:Dyuy8L9S0

从'ー'从「あ、ドクオくんだ~。久しぶり~」

('A`)「ア、オ、オヒサシブリデス……」

从'ー'从「ドクオくんって確かVIP高校だよね? いいなー、頭良くて」

('A`)「イエ、ベツニソンナコトハ」

从'ー'从「部活はなにしてるの~? やっぱり陸上部?」

('A`)「イエ、エト、ソノ、生物部ニ……」

从'ー'从「……生物部? へぇー、そうなんだ。すごいね」

街角で、かつてのクラスメイトとすれ違うこともあった。毎回のように『部活はなに?』と聞かれる。
「生物部です」と答えるのが、なんとなく嫌だった。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:06:11.92 ID:Dyuy8L9S0

('A`)「卒業アルバム、卒業アルバム……。どこだったっけな」

押入れの中にもぐりこんで、中学校の卒業アルバムを探す。
結構手間取ったが、どうにかそれを引っ張り出すことができた。

('A`)「……へへ、懐かしいな」

駅伝大会。必死の形相で走っている。寒かったなーこのとき。
修学旅行。異様なまでに辛いマーボー豆腐を、友達から押し付けられている。この後ホテルで吐いたんだよな……エレベーター降りた直後。
文化祭。舞台の上で、マイクを手に、化学の実験をしている。地味に盛り上げたんだぜ、これ。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:07:42.68 ID:Dyuy8L9S0

そして、その輝かしい思い出の横に、いつも立っているのは――

【( ^ω^)('A`)(´・ω・`)】【( ^ω^)っ)'A`)】【('A`ll)(・ω・`*)】

――俺の、友達。


('A`)「…………」

なんとなく、アルバムを閉じた。これ以上、見てはいけないような気がしたから。

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:09:13.83 ID:Dyuy8L9S0
そう、俺が今いるのは、

天才と呼ばれ、

運動もそこそこできて、

友達に囲まれていた、中学校ではない。

勉強はできない。運動もできない。友達もいない。そんな高校にいるのだ。
楽しかったあのころには、もう戻れない。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:10:04.30 ID:Dyuy8L9S0

でも――

('A`)「さて、宿題すっか」

なぜだか、暗い気分にはならなかった。
部屋の電気をつけて、机に向かう。
そうだ、簡単なことだよな。学校生活ってのは、友達がいるから楽しいんだ。
部活がどうこうなんて、後からついてくる。


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:11:55.88 ID:Dyuy8L9S0

('A`)「今度、あいつらに会ったら、携帯番号聞いとかなきゃなー」

ノートを出して、横に教科書を置く。意気揚々と教科書を開く。

('A`)「うん、まったくわかんね」

ペンは、まるで進まない。授業ちゃんと聞いとけばよかった……。

まあ、朝までには終わるだろう。
根拠はないけど、なんとなくそんな気がした。

                           おわり

コメント

部活ってやってるときは苦しいことばっかなのに
後で振り返るとすっごくいい思い出になってるんだよな……
[2012/02/14 13:26] URL | #- [ 編集 ]


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