mesimarja
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( ´_ゝ`)(´<_` )ついに手に入れたようです
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:03:30.83 ID:UrYsWveFP

二枚の薄いベニヤ板を少し隙間を空けて重ね合わせた、古い旅館の押入れのような、頼り無い玄関のドアがいつもに増して勢いよく壁を叩いた。

(´<_` )「兄さん!ついに女の子になれる薬を手に入れたよ!」

かん高く力強く発せられた幼い声は、活発の化身のようなその少年を靴のまま四畳半一間の部屋に踏み入れさせた。
プラスチックのちゃぶ台にご丁寧に角を置き、風俗情報誌を熟読する男、そうかとつぶやく。

(´<_` )「うん!」

その前にすとんと座り左手一本で靴を脱ぎながら、手の平がやっとまわる程のビーカーを突き出す。たぷんと揺れた中の黒い液体がパンと張った上底ラップを撫ぜた。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:05:46.51 ID:UrYsWveFP
( ´_ゝ`)「で・・・どうするんだ、それ」

ページを閉じ、大事そうに部屋の隅に立てかけ威厳を保つ。

(´<_` )「飲むのさ」

( ´_ゝ`)「お前、女の子になりたかったのか」

(´<_` )「イヤイヤイヤ~ハハハハハ、冗談は顔と体型だけにしておくれよ兄さん」

言い終えると同時に、当たり前のように少年の眉間の少し上に突き出た拳は、頭蓋の中に超低音を響かせた。

(´<_` )「痛いよ兄さん」
 
( ´_ゝ`)「じゃあどうすんだ、それ」

(´<_` )「え?飲まないのかい?」
 
( ´_ゝ`)「飲まねえよ」
 
(´<_` )「ええ!?」

大袈裟なのか本質か、そのまま部屋の外の通路に転がり出る勢いで、リ・アクション。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:13:14.01 ID:UrYsWveFP
( ´_ゝ`)「なぜそんなに驚く」
 
(´<_` )「兄さんは毎日ゴミのような生活をしてるから、いっそ女の子にでも産まれ変わりたいと思っているハズなのに・・・」

( ´_ゝ`)「よけいなお世話だ!」
 
(´<_` )「じゃあ、じゃあどうすればいいんだい?!せっかく苦労して手に入れたのに!」

震え出した輝く眼を見据え、意を決するようにして立ち上がる。

( ´_ゝ`)「よし、今日は俺は暇だ」

(´<_` )「こないだ始めた仕事をものの15分で辞めてしまったからだね!」

瞬時に右手が頬へ繰り出され

(´<_` )「いたいいたいいたい、つねらないでよ兄さん!」

( ´_ゝ`)「よし!誰かに試してみよう」

(´<_` )「ええ!?犯罪にならないかい?!」

頬から外された手の平は親指を立てたまま残し、握りしめられた。

( ´_ゝ`)「大丈夫だ」

(´<_` )「根拠は・・・無いんだね」


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:14:56.08 ID:UrYsWveFP
( ´_ゝ`)「よし、隣部屋の浪人生のドクオさんに試してみよう」

(´<_` )「・・・女の子になるのが想像できないね」

( ´_ゝ`)「いいか、ドクオさんはついに今年で十浪目だ、かなりナイーブになってるから細心の注意を払うんだぞ」

(´<_` )「なぜそんな人を・・・」


言い終えるのを聞かずにもう靴を履き終え、開け放しの扉の向こうの二階通路に出ている。

(´<_` )「あっ!素早い」

部屋の中に散った靴を引っ掛け、後に続いた。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:15:54.62 ID:UrYsWveFP
油性マジックで202とだけ書かれたドアと既に向かい合い、腕組みしている背後からにゅっと腕を伸ばし呼び鈴を押し込む。
 
( ´_ゝ`)「バカ!なぜもうチャイムを!」
 
(´<_` )「あっ、ごめんよ!兄さん!」

( ´_ゝ`)「細心の注意を払えとあれほど・・・」
 
(´<_` )「飲ませた後の話だと思ったよ」
 
( ´_ゝ`)「飲ませてから注意してどうする、飲ませちまえば後は野となれ山となれだ」

(´<_` )「そ、そうだね・・・」

暇潰しをしている人間とは思えない絵に描いたような不敵な笑みに、余計な言葉を言うまいと相槌を打ってから十数秒。背後の柵の向こうから聞こえる車の走行音が静寂を物語る。

(´<_` )「出てこないね」

( ´_ゝ`)「・・・まさか」

(´<_` )「中で死んでるのかな」

( ´_ゝ`)「言いにくいことをサラッと言いやがって」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:22:52.58 ID:UrYsWveFP
幼さと残酷さは比例する、何かの本で読んだな、
あ、漫画か、なんの漫画だったか、
などと久しぶりに使う頭の中に油をさすように必要の無い脳内の引き出しを開け閉めしたりしてみると、通路の終わりの向こうから聞こえてくるカンカンと軽快なリズム。
それに合わせて見え隠れするストレートヘアーの頭頂部。
錆び付いた階段から二階通路に長細い足を踏み入れるまで後三段のところで、ぱっちりとまつ毛のあがった瞳がこちらをとらえた。

(´<_` )「あっ、大家さん
!」

川 ゚ -゚)「あら?何してるの?」

( ´_ゝ`)「いやあ、クーさん相変わらずきょにゅうですね」

 川 ゚ -゚)「早く家賃払えバカ兄貴」

( ´_ゝ`)「へへ、なかなかいい仕事がみつらねえで・・・」

(´<_` )「こないだは15分で辞めたんだよ!コンビニ!」

川 ゚ -゚)「さいてー」

( ´_ゝ`)「あんなのは小物がやるモンです」

川 ゚ -゚)「月三万も払えない奴が何を言う、弟ちゃんまたご飯食べにいらっしゃい」

(´<_` )「ありがとうございます!」

( ´_ゝ`)「いいんすか!」

 川 ゚ -゚)「お前は来んな!」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:24:03.40 ID:UrYsWveFP
>>18
本人す
リメイクす

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:28:59.00 ID:UrYsWveFP
どさくさ紛れに図に乗る男に、
使いこまれた箒を振り上げるとそれが合図のように、
申し訳なさそうにゆっくりと扉が開いた。

( ´_ゝ`)(´<_` )「!」

('A`)「あの・・・部屋の前で何を・・・」

半開きの扉から覗く半開きの瞼にしゃがれ声、
極めつけの側頭部の豪快な逆毛がたった今、
布団から這いずり出て来たことを現していた。

(´<_` )「生きてた!」

( ´_ゝ`)「・・・いたの?」

('A`)「いたのって・・・そりゃ僕の部屋だし・・・」

(´<_` )「ドクオさん!人生変えたくないかい?」

即座に平手が口を塞ぐ。

(´<_` )「フグッ・・・」

( ´_ゝ`)「シッ!」

川 ゚ -゚)「何?なんか面白そうね」

('A`)「・・・なんなんですか」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:30:14.92 ID:UrYsWveFP
( ´_ゝ`)「ばらしてどうする、こっそりお茶とかに混ぜて飲ませるモンだろ」

(´<_` )「そうか!さすが兄さん!」

川 ゚ -゚)「なに?毒?」

('A`)「・・・あの」


(´<_` )「実は女の子になれる薬を手に入れたのさ!」

( ´_ゝ`)「・・・完全にバラしやがった」

川 ゚ -゚)「えっ?スゴいじゃない!」

(´<_` )「えへへ」

( ´_ゝ`)「まあ、そう言うわけで飲め、浪人」

('A`)「・・・なぜ僕を女に」

大前提の疑問を小虫でも払うかのように躱し、ドアをこじ開ける。

( ´_ゝ`)「とりあえず部屋に入れろや、クーさんもどうぞ」

('A`)「・・・眠いのに」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:31:37.11 ID:UrYsWveFP
部屋の中央でくしゃりとしている布団の隣りに手作りと思われる本棚。
参考書がジャンル分けして並べられている。

川 ゚ -゚)「きれいに使ってるわね、住人の鏡だわ」

( ´_ゝ`)「まあ、十年も住んでてほとんど部屋にいりゃきれいにもしますわな」

(´<_` )「細心の注意はどこに・・・」

ドクオが扉を閉める頃には、全員部屋の中に落ち着いていた。
くるくると布団を隅に寄せ、50センチ四方の木製のテーブルの足を開きながら、当然の疑問を投げかける。

('A`)「それで・・・なんなんです?」

(´<_` )「そうなんです、この薬で人生に嫌気がさしてるドクオさんに転機をむかえてもらおうと」

( ´_ゝ`)「まあ、実験だ」

寝ぐせをカリカリと気にしながら、ペリペリとラップがはがされるビーカーの中で揺れる黒い液体を凝視する。

('A`)「・・・怖いんですけど」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:32:46.28 ID:UrYsWveFP
川 ゚ -゚)「そもそも弟ちゃん、どこでその薬を?」

( ´_ゝ`)「そうそう、聞こうと思ってたんだ」

川 ゚ -゚)「・・・最初に疑問に思えよ」

やれやれと昼寝の前に沸かしてあったポットを急須に傾け、不揃いだが趣きのある茶碗に丁寧に注いで行く。

('A`)「・・・お茶です」

川 ゚ -゚)「ありがとう」

( ´_ゝ`)「気が利くな、浪人」

(´<_` )「これは、マッドサイエンティストの白井さんからもらったんだ」

( ´_ゝ`)「ああ、あのキチガイか」

川 ゚ -゚)「ナサをクビになったとか言う人でしょ」

(´<_` )「そうそう、誰かに試してごらんって」

('A`)「・・・勘弁してください」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:33:51.27 ID:UrYsWveFP
( ´_ゝ`)「まあ、九割方死ぬな」

川 ゚ -゚)「やめたほうがいいわね」 
('A`)「・・・死にたくないです」

(´<_` )「やはりそうですか・・・」

かくりと首を落としテーブルに手を伸ばす。ひとつを選んで口に傾けた。舌の真ん中から頬の内側、上顎まで行き渡った「味」がいとも簡単に喉の奥への侵入を許した。

( ´_ゝ`)「あ!お前!」

川 ゚ -゚)「それお茶じゃないわよ!」

('A`)「弟君・・・飲んじゃった」

(´<_` )「・・・間違えたよ、兄さん・・・」

事態を受け入れた瞬間、全神経が口内に集まる。舌を縮め頬に空気を集めた。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:43:28.22 ID:UrYsWveFP
(´<_` )「う・・・う・・・」

( ´_ゝ`)「吐き出せ!」

川 ゚ -゚)「きゅ、救急車!」

('A`)「は、はい!・・・電話が無いんです・・・」

( ´_ゝ`)「クーさん!携帯!」

川 ゚ -゚)「私の部屋!急い・・・」

所狭し、誰がどの足を踏んだのか引っ掛けたのか肩に当たるは肘か膝か、どちらが出口か入り口か。
戦闘機の空中戦さながら頭上で起こる大騒動のおかげで冷静さを保ち、自らの五臓六腑との対話に成功した。

(´<_` )「ん?」

( ´_ゝ`)「・・・どうした?」

川 ゚ -゚)「だ、大丈夫?」

(´<_` )「・・・なんともない」

('A`)「・・・本当?」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:44:57.85 ID:UrYsWveFP
おのおの無理な体制で彫刻のように固まり、
唇だけを動かした。
湯気の立つ茶碗に囲まれたビーカーが全員の注目を集めた時、
頭上で異音、
木と木をすり合わせる音と共に天井の中央が四角くズレで行く。

『やはりな・・・』

川 ゚ -゚)「キャァ!」

('A`)「なっ!」

( ´_ゝ`)「・・・ジジイ、天井裏で何してやがる」

突如現れた正方形の黒い空間から斜めに覗きこむ白髪白鬚の顔に冷静に問う、が目線はそちらには向かず真下へ。

( ´W`)「弟君、後を着けさせてもらったよ」

(´<_` )「おじさん!そこに住んでいたの?!」

( ´W`)「いや、住んでる訳じゃ・・・」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:47:33.55 ID:UrYsWveFP
質問に答えろクソじじいと茶碗を投げつけてやろうと決心すると、
クーが両手の平をそちらに向け両膝を軽く曲げ硬直、
先程とまた違う彫刻と化していることに気付く。

川 ゚ -゚)「ちょっ・・・天井薄いから破れ・・・」

傷んだ薄い板を突き破る破壊音と、
テーブルに落下し多種多様な器を四方に散りばめる激突音が、
クーの言葉をかき消した。

川 ゚ -゚)「・・・弁償しなさいよ」

( ´W`)「いやいや・・・ハハハ」

(´<_` )「相変わらず面白いね!おじさん!」

( ´_ゝ`)「なんのつもりだジジイ」

バウンドして布団に顔を埋めている白衣の男の臀部に向かい
軽快な音を立てて、
足の甲を打ち付けた。

( ´W`)「痛、痛っ、蹴るのをやめたまえ、兄君」

('A`)「・・・部屋がメチャクチャだ・・・」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:49:44.11 ID:UrYsWveFP
落胆するドクオをよそに尻への打撃の、
ほんのわずかな合間を縫って起き上がる顔に悪びれる様子は無い。

( ´W`)「弟君、君は私の研究所を出てから真っすぐうちに帰ったかい?」

(´<_` )「ううん、かなり寄り道をしたよ!」

( ´_ゝ`)「何が研究所だ、プレハブのボロ屋じゃねえか」

外野のヤジにビクともせず質問を続ける。

( ´W`)「途中、駄菓子屋に寄ったね」

(´<_` )「うん!あとコンビニと公園と、あと・・・」

川 ゚ -゚)「ずいぶん遠回りね」 

( ´W`)「うん、そして君は駄菓子屋の手作りジュースコーナーでジュースを買った」

('A`)ドクオ「あの、怪しい飲みもの・・・」

(´<_` )「五円だからたまに飲むのさ」

( ´_ゝ`)「あんなもん飲むな・・・あっ」

一同の頭に、町外れの老夫婦が営む駄菓子屋の店頭に並ぶ『手作りジュースコーナー』が思い浮かぶ。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:52:20.05 ID:UrYsWveFP
( ´W`)「気付いたかい?」

('A`)「容器が同じ?」

( ´W`)「そう、あの容器は私が駄菓子屋の夫婦に寄付しているのさ、
研究で汚れて使い物にならなくなったヤツをね、ハハハ」

高笑いが始まると同時に二方向から繰り出されたのは、
先程感を掴んだ足刀、
そして武器と化した箒。
乾いた音とにぶい音を交互に奏でる。

川 ゚ -゚)「そんなモン寄付すんな!」

( ´_ゝ`)「しねっ、しねっ」

( ´W`)「痛、二人してやめなさ・・・グゥッ!」

('A`)「それじゃあ、弟君は・・・」

( ´W`)「そ、そう、駄菓子屋で手作りジュース飲んだときにポンと置いたところが悪かった・・・入れ替わって持って来てしまったのさ」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:54:22.10 ID:UrYsWveFP
( ´_ゝ`)「・・・気付けよ」

(´<_` )「全く気付かなかったよ、兄さん」

川 ゚ -゚)「・・・ちょっとまって、じゃあ・・・」

('A`)「誰か、他の子が飲んでしまうかも!」

( ´W`)「その心配は無い、あのジュースを買うのは君ぐらいで、町の子供達は飲まないよ」

('A`)「・・・よかった」

( ´_ゝ`)「真っ黒だもんな、あれも」

(´<_` )「慣れるとなかなかイケるよ!」

川 ゚ -゚)「もう飲んじゃだめよ」 

('A`)「売れる前に捨てるんですね、安心だ」

( ´W`)「いや、売れ残りは本人達が毎晩飲んでるらしい」

川 ゚ -゚)「ええ!?」

( ´_ゝ`)「・・・駄菓子屋のじいちゃんが女に・・・」 

(´<_` )「兄さん!興味ゼロの顔だね!」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:55:15.96 ID:UrYsWveFP
川 ゚ -゚)「馬鹿なこと言ってないで早く連絡をしないと」

('A`)「なんという物を飲まされそうになったんだ、僕は・・・」

( ´W`)「もうすぐ夕食の時間だ、もう少し待てば結果が・・・」

足、箒に加え、無残に破壊されたテーブルの足で打撃の三重奏が始まった。

('A`)「このっ!このっ!」

川 ゚ -゚)「アホ!アホ科学者!」

( ´_ゝ`)「死ね!氏ねじゃなく死ね!」

( ´W`)「ちょちょちょい、痛っ、やめ、痛っ、痛い、ごめんなさい・・・グッ・・・ふぐぉっ!」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/27(木) 23:58:32.45 ID:UrYsWveFP
四畳半一間の大騒動、
窓の向こうでは小山の中腹からはみ出るオレンジ色の放射線がひかりを弱め、
ネズミ色の薄い幕が徐々に町を覆い始める。
しあわせの香りが帰路に着く人々の鼻をくすぐり始める頃、
駄菓子屋『むらや』の小さな窓に上がりが灯った。

瓜゚∀゚)「はい、あなた出来ましたよ」

爪゚ー゚)「・・・うん」

店の戸を閉めて一時間、
いつものように食卓に二人分の夕食が運ばれてくる。
そして傍らに、
両手でちょうど囲めるぐらいの大きさのお盆に並べられた、
ラップで蓋をされたビーカーの手作りジュース。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:00:13.52 ID:RN0qCX+yP
瓜゚∀゚)「ふぅ、今日も売れませんでしたねえ」

爪゚ー゚)「・・・うん」

瓜゚∀゚)「ふふっ、あの子だけはよく買ってくれるのにねえ・・・」

五円玉を握りしめて全速力でかけてくる少年の顔を思い出し、
笑いシワを浮かべた。

爪゚ー゚)「・・・うん」

< ゚ _・゚>『ワンッ』

瓜゚∀゚)「はいはい、ギコちゃん、いつものジュースですよ」

爪゚ー゚)「・・・うん」

勝手口から居間に飛び乗り、
ピンと持ち上がった尻尾を大きく振りながら
真っ白い身体の先端の真っ黒い鼻でビーカーの匂いを端から素早く嗅いでいく。

瓜゚∀゚)「ギコちゃんとあの子は、これが好きねえ・・・はいどうぞ」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:01:15.47 ID:RN0qCX+yP
耳の上の毛の短い部分をほぐすように撫で、
お盆の上の一つのラップを外すと鼻ごとビーカーに口を突っ込み、
幾度も舌を出し入れしながら容器内の液体を飲み干した。

今日の客はたった一人その少年。
昨年駅前通りに出来た大型スーパーに対する住民の反響は上々。
客足は日に日に増える一方。
勿論親子連れの為のゲームコーナーや、
お菓子売り場も設けられている。
自転車に乗ってわざわざ町外れの駄菓子屋までこずかいを握りしめ、
集まる必要が無くなった。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:05:32.26 ID:RN0qCX+yP
瓜゚∀゚)「・・・お菓子も売れませんねえ」

爪゚ー゚)「・・・うん」

二つ目のビーカーのラップに爪を立てながら、
一つ息を飲み努めていつもの口調を崩さないように話す。

瓜゚∀゚)「・・・そろそろ・・・あなた・・・」

爪゚ー゚)「店・・・畳むか」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:06:26.98 ID:RN0qCX+yP
瓜゚∀゚)「寂しくなりますねえ」

爪゚ー゚)「・・・うん・・・うちは子供もできなかったし・・・店もうまくいかんし・・・苦労させて悪かったなあ」

瓜゚∀゚)「何を言ってるんです、私は幸せですよ・・・二人でいれば」

爪゚ー゚)「・・・ありがとうな」

瓜゚∀゚)「・・・あなた」

店頭にちいさな頭の人だかりをつくり、
飴玉を口に含みながらのくじ引きを楽しみに集まって来ていた
子供達の賑やかな声がまるで遥か昔のように思い鼻の奥がつんと熱くなる。
味噌汁のお椀を空にしたことを確認し、
さてと食器を下げようと畳に手を付いたとき背後からの震えるような呻き声に振り返った。

瓜゚∀゚)「ギコ?」

真っ白い毛並みから真っ白い煙が唐突に噴き出した。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:08:31.10 ID:RN0qCX+yP
日は完全に姿を隠し、薄黄色の輝く斑点が空を彩り始める頃、四畳半の空間は息苦しい騒動から少し落ち着きを取り戻していた。

( ´_ゝ`)「早く電話しろクソジジイ」

川 ゚ -゚)「おじいさん達に何かあったら、本当に捕まるわよ」

( ´W`)「チェッ・・・はーい」

( ´_ゝ`)「チェッ、じゃねえよ」

('A`)「ま、間に合うかな?」

立派な口髭の隙間からとんがらがせた唇を突き出し、不満を露わにしながら白衣の内ポケットから携帯電話を取り出す。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:10:50.70 ID:RN0qCX+yP
( ´_ゝ`)「・・・携帯持ってやがる」

川 ゚ -゚)「普通持ってんのよ」

(´<_` )「んー、お茶がんまい」

その顔をしたまま電話を耳に当てていたが、
突如全身を硬直させ眉毛のかぶさりそうな目を見開いた。

( ´W`)「・・・女の子の声!」

川 ゚ -゚)「・・・うそ」

( ´_ゝ`)「マジかよ・・・」 

( ´W`)「あ、あ、あ、あの、あの、あの・・・成功・・・」

川 ゚ -゚)「貸しなさいっ・・・もしもし、あの・・・おじいさん?」

『いえ』

川 ゚ -゚)「おばあさん?」

『違います』

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:11:50.76 ID:RN0qCX+yP
川 ゚ -゚)「・・・違うって」

開いた瞼は眉毛の中に沈み、白髭の茂みから再度現れる尖った唇。

( ´W`)「・・・自信あったのに・・・」

( ´_ゝ`)「だまれ」

『ギコです』

川 ゚ -゚)「・・・ギコって・・・犬の?!」

( ´_ゝ`)「何?」

('A`)「・・・あのひとなつっこい白い犬?」

( ´W`)「なんと・・・」

(´<_` )「・・・テレビ見ていい?」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:13:29.89 ID:RN0qCX+yP
爪゚ー゚)『あ~もしもし!クーちゃんかい?』

川 ゚ -゚)「あっ・・・おじいさん?・・・どう・・・」

爪゚ー゚)じぃ『いやあ、たまげたよ!
ペットのギコが・・・
ほら君んとこの兄弟の兄ちゃんが拾ってうちに連れて来た・・・
あれがねえ、急に女の子になってねえ、ハハハ』

数日前駄菓子屋の前を通りかかり、
挨拶を交わしたおじいさんより十歳ほど若く聞こえる、
希望に満ちた笑い声が受話器に響いた。
通話を終えた後、クーは思わず微笑む。


58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:16:49.07 ID:RN0qCX+yP
川 ゚ -゚)「・・・あのおじいさんの笑い声始めて聞いた」

( ´_ゝ`)「随分しゃべってましたね、ボケ寸前だったのに・・・」

川 ゚ -゚)「事情話したら、お礼言っておいてって」

( ´W`)「いやいやあ・・・」

川 ゚ -゚)「いや、あなたにじゃなく・・・」

一同の視線を集めた少年の目線は小さなブラウン管テレビ。

(´<_` )「・・・プッ・・・ブラマヨ面白れー」


しあわせの香りはいつもより長く夜の町をあたため続けていた。



~おしまい~

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:19:19.11 ID:RN0qCX+yP
以上でおわりです。

素人なりにクオリティアップさせようとしたのに、クドくなるばかり・・・

支援感謝します


ありがとうございました!

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:29:03.25 ID:0d/EosrQP
面白かったよ。
リメイク前のSSって何?

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:35:39.85 ID:RN0qCX+yP
>>63
おととしぐらいにオリジナルキャラでVIPでスレ立てて書いたやつです

弟「兄さん!ついに女の子になれる薬をみつけたよ!」

たしかこのスレタイで

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:30:30.16 ID:a4ZAp2DN0
これで終わり?って感じもするけど面白かったよ乙

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/28(金) 00:36:54.00 ID:RN0qCX+yP
>>64
ありがとうございます

別の話しで続きがあるので、また書いてみます

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