mesimarja
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( ^ω^)勇者が話をするようです
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:40:01.12 ID:wWiO78cmO
 ―――世界を恐怖と混乱の渦に陥れた魔王。


( ФωФ)


悪を打ち砕き、魔王を倒す役目を負った勇者―――


( ^ω^)


 今、僕らの旅は終わりを迎えようとしていた。


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:41:41.37 ID:wWiO78cmO




( ^ω^)勇者が話をするようです



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:43:28.96 ID:wWiO78cmO
( ^ω^)「この扉の向こうに、魔王がいるお……」

('A`)「身震いするな」

ξ ゚⊿゚)ξ「泣いても笑っても、これで終わりなのね……」


 故郷のヴィップ村を離れ、一体どれだけの時間が経っただろう?
今までどれだけの人が死に、どれだけの血と涙が流れただろう?

それも今日で終わりだ。
僕らが、終わらせに来た。


('A`)「……さっさと、終わらせようぜ」

( ^ω^)「お、そうだおね」

ξ ゚⊿゚)ξ「みんな、ここまで来て死ぬんじゃないわよ!」

( ^ω^)「ツン、君もだお」

( ・∀・)「魔王の悪行も、ここまでだな!」

川 ゚ -゚)「……」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:44:44.36 ID:wWiO78cmO
 旅の途中で知り合った魔法使いドクオも、精霊のクーも、
したらば町で僕の財布を盗んだモララーも。

そして何より、僕の事を理解してここまで一緒に着いてきてくれた幼なじみのツンも……

……いや、そういう話はまた後だ。
今は、魔王を倒すことだけを考えよう。


( ^ω^)「さぁ、行こうお。クー、頼むお」


 この扉一枚を隔てた所で、魔王が僕らを待っているはずだ。
城の外では、協力者たちが雑魚相手に戦ってくれている。

彼等がいるから、僕らは安心して魔王に専念できるのだ。


川 ゚ -゚)「ん」


 このタイプの扉は、精霊にしか開けない。
万物の声を理解できるという精霊・クーのお陰で、僕らはどんなピンチも乗り越えて来られた。

クーの力が扉に集まる。


( ・∀・)「おっ、開いた開いた!」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:45:58.44 ID:wWiO78cmO
 開いた扉をくぐり抜け、僕らは魔王の部屋へと足を踏み入れた。
……静かだ。
外の喧騒や、僕の心臓の音がうるさいくらいに、静かだ。

立派な玉座には、今回の旅の目的であり、宿敵である魔王が座っていた。
僕も魔王も、いきなり襲い掛かる事はしない。

小細工やズルなしで、真正面から戦いたいからだ。
そしてそれはきっと、魔王も同じ。


「―――よく来たな、勇者ブーンにその仲間よ」


 魔王のよく通る声が、静けさに満ちた部屋に響いた。
僕らは部屋の中心で、足を止める。


( ^ω^)「……」

( ФωФ)「そう殺気立つな。こんなに良い日は、きっとしばらく無いだろうというのに。
       酒でもどうだ? 美味いぞ」

( ^ω^)「魔王ロマネスク。僕らはお前を倒しに来たお」

( ФωФ)「分かっておるよ。そう焦るな」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:48:54.53 ID:wWiO78cmO
( ^ω^)「……」

( ФωФ)「ラウンジ平原での傷は、もう癒えたか?
       我輩に指一本触れられず、悔し涙を流しておったな。
       耐え難い痛みに情けない悲鳴を上げて……。……あの時の貴様らの顔は、傑作であった」

( ^ω^)「……」


 忘れてなんか、いるものか。
魔王の強さを直接、この身体に刻み込まれたんだ。

何も太刀打ちできなかったのが悔しくて、
地面に叩き付ける拳が赤く染まるまで自分の弱さを呪った。


( ^ω^)「いや……まだはっきり覚えてるお」

( ^ω^)「覚えてる。でも、僕はもうあの頃の僕じゃないお」

( ФωФ)「ほう……?」

( ^ω^)「―――この剣に賭けて、」

 剣を抜く。

( ^ω^)「お前を倒す!」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:49:58.78 ID:wWiO78cmO
( ФωФ)「……どうやら、また我輩に殺されたいらしいな」

( ^ω^)「もうあんな思いはしないお。だって、たくさんの苦難を一緒に乗り越えた仲間がいる!」

( ^ω^)「ツンは、いつも僕の考えを理解してくれた。
      どんなにピンチでも、最善の動きをしてくれたお」

( ^ω^)「僕らをサポートしてくれたのは、ドクオだお。
      何度傷付いても、僕はドクオの魔法でまた立ち上がれるんだお」

( ^ω^)「クーは言葉は少ないけど、誰よりも悪を憎んでいるお。
      お前に殺された同族の仇を討つんだって、ここまで着いてきてくれた」

( ^ω^)「モララーがいなければ、僕たちはまだこの城の仕掛けに頭を悩ませていたお。
      手癖が悪いのも、使い所を間違わなければ長所になるんだお」

( ФωФ)「……つまらぬ。仲間だ? そんなもの、一体何の役に立つというのだ!
       よかろう。その素晴らしい仲間と共に、死ぬがいい!」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:51:06.10 ID:wWiO78cmO
(#'A`)「っ!」

 魔王が放った火の玉を、ドクオが水の魔法で打ち消す。

剣を握りしめ、僕は魔王の元へと駆けた。

魔王の周りに結界が張ってあるのは、ラウンジ平原の戦いで分かっている。
それを解くのは、


川 ゚ -゚)「―――いけ!」


 クーだ。
無理やり結界をこじ開けているのだから、彼女の負担は大きい。

頼む、あと少し耐えててくれ……!


ξ#゚⊿゚)ξ「っはぁああああ゛ぁああ……!!」

(;ФωФ)そ「?!」


 一足先に魔王の懐へと距離をつめたツンが、
気合いの声と共に鋭い蹴りを放った。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:52:50.87 ID:wWiO78cmO
(;ФωФ)「くっ」

 蹴りはガードされたが、ツンの本気の攻撃は―――

ξ ゚⊿゚)ξ「かかったわね!!」

 その小さい拳全てに込められた、全力のパンチだ。
あれをモロに食らえば、骨や内臓も無事ではいられない。


(;メФωФ)「ぐはぁっ!」

( ・∀・)「ほらほら、武器いっぱい持ってるから機敏に動けねぇんだよ!
       戦闘で大事なのは素早さだぞ?!」

(;メФωФ)「い、っいつの間に!!」


 ―――あぁ、つくづく僕は仲間に恵まれている


(#'A`)「いけ、ブーン!!」

川 ゚ -゚)「とどめを!」

ξ ゚⊿゚)ξ「終わらせるのよ!」

( ・∀・)「手短にな!」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:54:17.74 ID:wWiO78cmO
 ―――始まりは、この剣を抜いた時から。

勇者があるべき姿に悩まされたりもした。
どうすることもできなくて、自分の無力さに涙を流した事もあった。

つい仲間に八つ当たりして、喧嘩にもなった。
仲直りした時、僕は仲間の大切さをより深く感じた。

勇者の旅は、もうこれで終わりだ。
終わらせなければならない。

この世界の為に。
仲間の為に。
自分の為に―――!!


(#゚ω゚)「これで終わりだお、魔王!!」

(;メФωФ)「っこの我輩がっ! たかが勇者ごときに負けてたまるか……っ!」


 さすがに黙ってやられてはくれないか……

魔王の手に、膨大な魔力が集中しているのが分かった。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:56:07.76 ID:wWiO78cmO
まずい、あんな魔力をモロに受けたら……!


(#'A`)「ブーン、迷うな! 進め!」

川 ゚ -゚)「おまえのサポートは、わたしたちのやくめだ!」

ξ#゚⊿゚)ξ「ここで引いたら、ぶっ殺すわよ!」

( ・∀・)「骨は拾っといてやんよwwww」


 ……全く、勝手なことばかり言う奴らだよ、本当に。

でも、心の底から信用できる。


(#゚ω゚)「おぉぉおぉおおぉぉ!!」

(#メФωФ)「ッぬぉぉおおぉぉお!!」


 魔王の繰り出した渾身の魔球と、僕の剣がぶつかり合った。

その圧倒的な力に、押される。

何とか踏ん張って耐えてはいるが、それも時間の問題だ……!


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:58:09.28 ID:wWiO78cmO
(;^ω゚)「ッ」

(#メФωФ)「ふははははは! どうした勇者! 押されているではないか!」

(;^ω゚)「ぐ……!」


 まずい、もう腕が……!


「全く、最後まで世話が焼けるんだから!!」

「そんなもん、打ち返しゃーいい話だろ?!」

(メ ^ω^)「?!」


 背中に、二人分の手の感触。
ツンとモララーが、僕を助けてくれているようだ。

打ち返せ? ずいぶん簡単に言ってくれる。
でもたしかに、魔王のあの面に一発お見舞いするのも悪くない……!


(#゚ω゚)「うぉああぁああぁぁぁあ!!」


 身体中の力を振り絞り、魔力の球を押し返す。
魔王の顔が、驚きに歪むのが少しだけ見えた。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:59:16.88 ID:wWiO78cmO
('A`)「遅くなった! 魔力練り込むのに時間かかってな!」

川 ゚ -゚)「もうこれいじょうはむりだ」


 魔王の繰り出した魔球に、ドクオとクーが作った魔球がぶつかる。

二つは激しく反発しあって、やがて物凄い風を起こして掻き消えた。

魔王も油断している。
仕留めるチャンスは、今しかない!!


(#゚ω゚)「―――喰らえお!」

(;メФωФ)「む……!」


 思い切り振り下ろした剣は、真っすぐに魔王の胸へ突き刺さる。

剣が、聖なる光を放った。


(;メФωФ)「ぐ、ぐああぁぁ!!」


 光に包まれて苦しげにもがく魔王を、僕たちはただただ見つめた。
その身体は、やがて砂になって崩れてゆく。

そして、最後まで苦悶の表情を浮かべながら、魔王は地面へと還っていった。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:01:04.04 ID:wWiO78cmO
(;^ω^)「……倒した、お」

ξ*゚⊿゚)ξ「やった! やれば出来るじゃない!」


 ツンが褒めてくれる言葉も、今は耳に入らない。
疲れて、もう倒れそうだ……。

魔王だったものに突き刺さったままの剣を抜いた。

文献が本当なら、この剣の中に魔王の魂が閉じ込められているはずだ。
剣が折れない限りは、こいつも出てこられない。


(;^ω^)「とりあえず、外に出ようお……。もうヘトヘトだお……」

(;'A`)「そうだな。俺ももう簡単な魔法すら使えねぇや」

( ・∀・)「だらしねぇwww」

川 ゚ -゚)「わたしもつかれた」

ξ ゚⊿゚)ξ「それじゃ、さっさと―――」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:02:04.47 ID:wWiO78cmO
 ツンが言葉を切る。
主を失った魔王の城が、大きく揺れ出したのだ。

くそ、安心するにはまだ少し早すぎたか……!


(;^ω^)「崩れるお!」


 瓦礫が降る階段を、必死に駆け降りる。
まだ幼いクーは、モララーの背中だ。

転ばないように、だけど早く。
急がないと城の崩壊に巻き込まれる!


( ・∀・)「出口だ!」


 先を走っていたモララーが、いち早く城の外に出た。
続いて、ツン。

体力のないドクオと、ヘトヘトに疲れきっている僕が一番最後だ。
半ば飛び込むように外に転がり出た途端、魔王城は全壊した。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:03:07.98 ID:wWiO78cmO
(;^ω^)「……」


 今まで厚い曇で覆われていた空は晴れ、緩やかな風が吹く。
枯れていた草花が蘇り、世界にはこんなにも緑色が溢れていたのかと思った。

そんな些細なことが……幸せだと感じられる日がまた来るなんて……思わなかっ……


( ^ω^)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「ブーン?」

( ^ω^)

ξ;゚⊿゚)ξ「……気絶してやがる……」

(;・∀・)「こんな時くらい、根性見せろよ……」

('A`)「まぁまぁ、一番気張ったのはこいつなんだから許してやれって」

川 ゚ -゚)「かえろう」

( ・∀・)「……そうだな。ラウンジの王様に、魔王討伐に成功したって報告に行かなきゃ、だな」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:04:17.56 ID:wWiO78cmO
* * * * *
 * * * * *

 次に僕が目を覚ましたのは、魔王討伐から2日が経ってから。

ベッドに寝かしつけられて、その傍らではツンが腕を枕にして眠っていた。
ずっと看病してくれてたのか。

言葉は素直じゃないけど、本当は優しい。
それは僕が一番よく知ってるんだ。


( ^ω^)「……ありがとうお」


 さて、そろそろ起きようか。
さすがに2日も寝ると、頭の回転が鈍い。

他の3人は? どこだ?


ξ -⊿゚)ξ「!」

( ^ω^)「ツン、起きt」

ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン! やっと起きたのね! ずっと寝てるし、ちょっと心配したんだから!」

(;^ω^)「ご、ゴメンお……」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:05:49.09 ID:wWiO78cmO
ξ ゚⊿゚)ξ「まぁいいわ。それより、魔王討伐の報告をみんなが待ち侘びてるわよ。
       あんたが代表して喋るんだから、シャキッとしなさい!」

(;^ω^)「そういうのは苦手なんだけど……」

ξ ゚⊿゚)ξ「世界にとって大事な発表なんだから、そんな事言わないの!」

( ´ω`)「はい……」

( ^ω^)「そういえば、ドクオたちは?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ラウンジ王のところ。もう外は本当に凄いわよ。
       魔王討伐したってアンタの報告を聞きに、世界中から人が集まってるんだから!」

(;^ω^)「おー……」


 あまり人の前に立つのは好きじゃないんだけど、仕方ない。

ドクオたちと合流して、僕はラウンジ王のショボンさんからお褒めの言葉を受けた。

全世界の人がずっと待ち侘びていた話だ。
数えきれないくらいの人間が、すでにラウンジのドームに集まってると聞かされた。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:07:10.98 ID:wWiO78cmO
(´・ω・`)「この扉の向こうに、全世界の人間が勇者どのの話を聞きに集まっている。
      さぁ、心の準備はいいかな?」

( ^ω^)「―――はい」

 僕の話を聞いたら、みんな驚くだろうか?
どうであれ、物凄い騒ぎになるのは避けられないだろう。

うう、物凄く緊張してきた……

(´・ω・`)「じゃ、行こう」


 ショボン王の後を、あまり目立たないように着いていく。
僕が予想していたよりもずっと多くの人たちが、ラウンジドームに来ていたようだ。

(´・ω・`)「あ、あー、あー」


 マイクの調子を確かめ、ショボン王が適当な言葉を発する。
ただそれだけで、ドームの中は水を打ったように静まり返った。

ああ、緊張する……。
でも、僕の後ろにはツンたちがいる。

魔王の時と、一緒だ。
何も恐れることはない……。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:08:03.81 ID:wWiO78cmO
(´・ω・`)「君たちも知っての通り、魔王は死んだ」

 人々から喜びの声が上がり、ショボン王は嬉しそうに微笑んだ。
続ける。


(´・ω・`)「魔王を倒したのは、ここにいる勇者たち5人」

(´・ω・`)「勇者ブーン、武闘家ツン。魔法使いドクオに、精霊のクール。盗賊の、……モララー」

( ・∀・)「何で俺の時だけ紹介するの渋ったんだ?」


 そりゃあ、盗賊なんて堂々と紹介するものじゃないだろう。


(´・ω・`)「彼らの困難の先には―――」


 ショボン王の話は長い。
微動だにせず、ずっと立っているのがそろそろ辛くなってきた。


( ・∀・)ZzzZz

( ^ω^)「(立ったまま……寝てる……だと……?)」

(´・ω・`)「―――では、長くなってしまったが……。勇者ブーンのお話を」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:09:41.63 ID:wWiO78cmO
 やっと僕の話す番がやってきたか。
マイクの前に立つと、歓声がうるさいくらいあちこちから聞こえてくる。

嬉しいけれど、やっぱりこういうのは苦手だ。
……じゃあ、緊張するけど報告しようか。


( ^ω^)「皆様、遠いところをわざわざありがとうございますお」

 歓声。
それがある程度収まって、僕はまた口を開いた。

そんなに長くは喋らないつもりだ。
立ってるのも疲れたし、さっさと終わらせてしまいたい。


( ^ω^)「僕たちは、長い旅の末に魔王を倒す事が出来ましたお。
      これも、皆様の応援あってこそですお」

( ^ω^)「長かったですお。本当に。……少し、僕のお話に付き合って頂けますかお?」


 歓声。
まぁ、肯定と受けとっても構わないだろう。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:10:32.49 ID:wWiO78cmO
( ^ω^)「―――僕が生まれ育った村で、この剣を抜いた時から、勇者の旅は始まりました。
      それまで普通の人間だった僕は、何の訓練もないまま、勇者として旅に出された。
      ……その村では、この剣は勇者の資格がある者しか抜けないというくだらない伝説があったんですお」

( ^ω^)「想像出来ますか? 今まで普通の人間として育てられてきたのに、ある日突然家や村から放り出されるという意味が」

( ^ω^)「自分の身は自分で守るしかない。食料も自分で。怪我しても、自力で。
      モンスターが出るので夜もゆっくり眠れず、火を起こすのすら時間がかかる。
      火を絶やすと獣がやってくるので、一晩中見張ってなければならない」

( ^ω^)「それでも、ツンが……。村から一緒に来てくれた彼女がいてくれた事は、
      僕にとって、とても大きな心の支えになりました。
      誰かが横にいてくれるっていうのは、本当に安心するんですお」

( ^ω^)「……最初の町でドクオとクーに会ったとき、僕は酷い怪我を負っていました。
      モンスターと戦って負った怪我です。
      病院にかかった僕は、何日かそこで過ごすはめになりました」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:11:39.67 ID:wWiO78cmO
( ^ω^)「入院して三日目の朝、看護師さんが言いました」

( ^ω^)「『早く怪我を治して、魔王を倒しに行ってね』」

( ^ω^)「……」

( ^ω^)「僕には……いや、勇者には、ゆっくりと怪我を治療する時間すら与えられません。
      食事を摂りに行けば、みんなが僕を見る。好意的な視線じゃなかったことは、よく分かりました。
     『何のんびり飯なんか食ってんだよ』と、心中では思ってたんじゃないですかお?」


 僕の視界からは、聴衆の怪訝そうな表情がよく見える。

こんな時だけは黙り込むのか。
相変わらず、君たちは卑怯だな。

(;´・ω・`)「ゆ、勇者どの?」

( ^ω^)「勇者っていうのは、正義の味方のように思われがちですおね。
      でも、僕は違う」

( ^ω^)「勇者は、『魔王に立ち向かう勇気も度胸もない奴らが仕立てあげた生贄』なんだと思います」

( ^ω^)「勇者なんて、作り出のは簡単なんですお。
      それに、いくらでも代わりはいる」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:12:56.96 ID:wWiO78cmO
( ^ω^)「もしも勇者が戦いから逃げ出したら、あなたたちは全力で吊るし上げて、死ぬまで追い詰めるのでしょう。
      身体は鍛えられますが、精神は簡単には鍛えられない。
      たまったもんじゃないですお」

(;'A`)「お、おいブーン?」

( ^ω^)「本当に、卑怯で―――汚い―――クズの集まり」


 口だけ出してればいいお前らには、分からないだろう

特別なことは何も望んでいなかった人間が、いきなり非日常に投げ出されたという意味が。


( ^ω^)「……少し、熱くなりすぎましたお。
      申し訳ないですお。話を、戻します」

( ^ω^)「モララーと会った村は、魔王の配下による襲撃を受けました。
      襲撃を受けたとき僕らは、魔王を倒すための試練を受ける為に、近くの山にいました」

( ^ω^)「―――僕らが戻ってきた頃には、ほとんどの村人が殺されていました。
      そこで、僕らは散々詰られました」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:14:17.14 ID:wWiO78cmO
( ゚ω゚)「『勇者のくせに、今までどこにいたんだ!!』」

( ゚ω゚)「『人を救えないで何が勇者だ!!』」

( ゚ω゚)「『死んだ家族を返せ!!』」

( ^ω^)「……ってね」

( ^ω^)「お前らは、僕に『早く魔王を倒せ』と言う。
      僕らは寄り道せず、魔王を倒す為に必要な試練を受けていた」

( ^ω^)「それなのに、僕のせいにされてもね。一体どうしろって言うんですかお。
      理不尽な事で詰られ、石を投げられ、それでも僕はひたすら謝らなければいけない」

( ^ω^)「僕は、さっきも言った通り―――普通の人間ですお。
      一度に出来ることだって限られる」

( ^ω^)「家族が殺された? 魔王が存命だった以上、いずれは村や町が襲撃されるかもしれないと予想出来たはずだお。
      何で武器を取って戦おうとしなかったんですかお?」

( ^ω^)「魔王に勝てない、なんて言い訳は通用しませんお。
      何の取り柄もなかった僕が、魔王を倒せたんだから。
      もしも一人ひとりが襲撃に備えていたら、死ぬ人もそんなに出なかったと何で考えない?」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:15:23.24 ID:wWiO78cmO
( ^ω^)「人のせいにするのは簡単だお。楽だし、気持ちも晴れるお。
      でも、それのしわ寄せを受ける人間の気持ちは、誰も考えなかったんだおね」

( ^ω^)「……まぁ、ここまで色々と言わせてもらいましたが、僕はあなたたちに感謝してるんだお」

( ^ω^)「今まで、決められたレールを歩かされてきた僕に、
      最高の復讐方法を与えてくれたんだから」


 今さら後悔したって遅い。

僕の声に耳を傾けてくれた奴が、今この場にいるか?
早く魔王を倒せとせき立てて、自分のやった事はなあなあにしようなんて、あますぎる。


( ^ω^)「僕は、魔王を倒しました。仲間と一緒に、倒しm」

(;´・ω・`)「勇者どの!! さっきからあなたは何を―――」

( ^ω^)「うるさいお!」

(´・//ω・`)「……え?」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:16:25.26 ID:wWiO78cmO
 驚いたように目を丸くさせたまま、ラウンジ王の上半身が地面に落ちた。
殺したのは僕だ。

王殺しは大罪だけど、恐れるものはもう何もない。

だって、仲間のサポートがあったとは言え、
百以上の兵を率いても倒せなかった魔王を倒したのは僕なんだ。

例え千の兵が僕を狙っても、そんなの片っ端から倒せばいい話。

数々の試練を乗り越え、僕は強くなった。
宿敵だった魔王も、もうこの世にはいない。

僕を殺すために、自分の命を守りながらモンスターどもと四六時中戦い抜く覚悟はあるか?

食べ物に困って、そこらにいる虫や、よく分からない茸を食べる覚悟は?


( ^ω^)「……無いんだろうなあ」


 マイクに通らなかった声は、きっと誰にも届かなかっただろう。

それで、いい。

今までだって一度も届かなかったんだ、今さら期待なんかしないさ。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:18:22.15 ID:wWiO78cmO
( ^ω^)「―――僕は、魔王を倒しましたお」


 あれ、誰も聞いてない。

どいつもこいつも情けない悲鳴を上げて、逃げようと出入り口に殺到して。
全く醜いもんだ。

少し、静かにさせる必要がある。


( ^ω^)「『炎』」


 僕はドクオほど魔法が得意じゃないから、魔法の名前を言わなきゃ魔力が安定しない。
少し面倒だけど、まぁ仕方がないな。

出入り口から壁を伝い、僕が作り出した炎が聴衆を閉じ込める。
パニックは悪化するかもしれないけど、いずれ冷静な誰かが気づくだろう。

―――騒げば騒ぐだけ、酸素を消費するだけだと。


( ^ω^)「……話を続けるお」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:19:30.43 ID:wWiO78cmO
( ^ω^)「旅の間、ずっと考えたんだお。どうすれば、お前らに復讐出来るか。
      そうしたら、名案が浮かんだお」

( ^ω^)「勇者として、僕は旅に出た。魔王を倒せば、恐らく僕がこの世界で一番強くなれる。
      一番じゃなくても、上位には入れると思うお」

( ^ω^)「だから、魔王を倒す為の努力は惜しまなかったお。
      素晴らしい仲間がいてくれた。
      苦労はしたけど、それでもなんとか魔王を倒せたお」

( ^ω^)「でも、僕の復讐はまだ始まってない。だから、この場を借りて、報告するお」


 そろそろ、聴衆が大人しくなってきた頃か。

静かになったのはいいことだ。


( ^ω^)「―――これからは、僕がこの世界を統治する」

(;'A`)「おい、どうしちまったんだよブーン!!
    今までのは全部芝居だったって事か?!」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:20:39.64 ID:wWiO78cmO
 芝居? はは、まさか。

僕は芝居を打ったことなんか一度もない。

石を投げられても、にっこりと笑っていられる人間がいると思ったか?
例えそんな人間がいたとしても、それは僕じゃない。

勇者が腹の底で何を考えているかも知らず、
分かろうともせず、何を勝手な事を言ってるんだ。


( ^ω^)「ドクオ、クー、モララー。僕は君たちと素晴らしい仲間のままでいてほしいお。
      ……分かってくれるおね?」

(;・∀・)「はぁ? 何があったかさっぱり分かんねぇ……。
      何なんだよ、何でラウンジ王が死んでんだ……?!」

川 ゚ -゚)「おまえが こんな にんげんだと おもわなかった」

川 ゚ -゚)「おまえ なんか、なかま じゃない!」

(#'A`)「あぁ、お前なんかもう仲間じゃない!」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:22:40.91 ID:wWiO78cmO
( ^ω^)「……勇者の心が綺麗なんて、幻想だお」

( ^ω^)「本当の仲間なら、理解して欲しかったお……」

(#'A`)「冗談じゃねぇ!」

 冗談だって、僕は何も言っていない。
勇者は恨みや憎しみを感じないなんて、本気で思ったのか?

僕だって一人の人間だ。
みんな、それを忘れているんだよ。

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

( ^ω^)「ツン……」

(#'A`)「ツン、お前も何か言えよ!
    こいつの言ってる事はおかしいって、お前からも言ってやれ!!」


 僕と戦おうというのか、杖に魔力を集めだしたドクオの前に、ツンが立った。

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

(;'A`)「……ツン?」

ξ ゚⊿゚)ξ「私は」

ξ ゚⊿゚)ξ「今も昔もこれからも、」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:23:58.59 ID:wWiO78cmO





ξ ゚⊿゚)ξ「ブーンの味方よ」







47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:25:13.12 ID:wWiO78cmO
 固く握られた小さな拳が、ドクオの顎を捉えた。


( ^ω^)


 ―――村を追い出され、僕らはしばらく二人で旅をした。

ツンは、僕の気持ちを理解してくれた。
ツンだけが、僕を分かってくれた。

星空が綺麗だった夜、僕らは誓った。

例え僕の思いが理解されなくとも、仲間となる人は殺さない。

ずっと前からの約束だ。
だから、ツンなりに手加減はしてるはず。

それでも、しばらくは起きないだろうけど……。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:26:17.03 ID:wWiO78cmO
川 ゚ -゚)「どくお……」


 クーがドクオの身体を揺らす。
どことなく悲しそうな表情だ。

まだ幼い彼女には、あまり良くない光景を見せてしまったかもしれないな……。

ごめんよ、クー。

モララーは……逃げたのか。
薄情だけど、まぁ、盗賊なんてそんなもんなんだろう。

おっと、すっかり聴衆を忘れていたよ。


( ^ω^)「―――失礼しましたお。それでは、ラウンジ王の椅子も空いた事だし、
      ―――これからは、僕がこの世界を収めます」

( ^ω^)「それでは、これで魔王討伐の報告を終わりにさせていただきますお」

( ^ω^)「ご静聴、ありがとうございました」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:28:01.90 ID:wWiO78cmO
 ……拍手はなし、か。

まあいい。
絶望的なお前らの瞳が、拍手代わりだということにしておこう。

ξ ゚⊿゚)ξ「お疲れさま」

( ´ω`)「本当に疲れたお……。大人数の前で喋るのは、やっぱり緊張するおね……。
      まだ魔王と戦った方が緊張しなかったお……」

ξ ゚ー゚)ξ「ふふ、これからはもっと大変なんだからね。
       シャキッとしなさいよ!」

( ^ω^)「お、そうだおね」

 さぁ、まずは何をしようか。
この世界を収めるには、まず何が必要かな。

そうだな……。
全員が発狂するくらい、追い詰めてみようか。

世界は、もう僕の手の上。

僕が死ぬまで、まだまだ時間はある。
殺される心配も今はない。

だって、僕を誰よりも理解してくれているツンが一緒なんだから。
( ^ω^)「さぁ、ずいぶん遠回りしちゃったけど……」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:29:08.66 ID:wWiO78cmO


「―――ここから、始めるとしようか」



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 18:29:54.36 ID:wWiO78cmO


( ^ω^)勇者が話をするようです


終わり

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