mesimarja
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从 ゚∀从この空の下、君と歌うようです
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 00:02:55.67 ID:S1Ipq83nO
この声は届いてますか?
僕は君に届けと声を張り上げてるよ

雑踏の中を、皆が下向き歩く暗い夜空で
一人だけ上を向いて声を張り上げているよ

気付いてよ
届いてよ
出来たら僕の隣で君の声――ピアノ――を聞かせてよ



12 名前:ID変わりました……:2011/04/06(水) 00:18:54.39 ID:S1Ipq83nO
この街に来てから4度目の春を迎えていた。
大学講内の桜並木から、春の匂いが俺の鼻孔をくすぐる。

良い匂いだ。
憂鬱に沈む心に清涼飲料水の様に、活を入れてくれる。

ξ゚⊿゚)ξ「ねぇハイン? 聞いてる?」

自分の世界に浸っていると唐突に友人のツンに、話掛けられた。

ずっと話し掛けていた様だ。

从 ゚∀从「ん? 何が?」

その答えに、ツンの顔は赤みを増して行く。

ξ#゚⊿゚)ξ「これから合コンだって言ってるでしょ?」

またそんな話か。
興味ないのに……。

从 ゚∀从「つーか俺が行ったってしゃーねぇだろ」

ξ゚⊿゚)ξ「あっきれた。あんたぐらいよ? 就活するでも無く、恋愛する気もないなんて」

なんでこの友人はこうもお節介なのか……。

从 -∀从「ほっといてくれよ」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 00:31:27.07 ID:S1Ipq83nO
ξ゚⊿゚)ξ「私達も、もう四年よ?」

从 ゚∀从「だ・か・ら、やりたい事やるんだよ」

ξ#゚⊿゚)ξ「あーもう勝手にしなさいよ!」
ツンはムッとした表情を浮かべ脇道にそれて行った。
サークル棟で愛しのダーリンに、愚痴でも言うつもりだろう。

从 -∀从「ごめんな」

どうせ合コンも俺のために、開こうとしてくれたんだろう。

心配してくれてるのは有り難いのだが、現状には満足してる。

やりたい事の為に三年間しっかり頑張ったんだ。
この一年は好きにさせて貰うさ。

从 ゚∀从「さって今日も、思いっきり楽しみますか!」

俺は気合いを入れる為、大声を張り上げた。
周りが視線を向けるが、気にしない。

今から楽しみで仕方ない俺には、些細な事だ。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 00:44:59.22 ID:S1Ipq83nO
二階建てのアパートの金属製の階段を、一段飛ばしで駆け上がる。

角部屋の205号室、今年で4年目となる私の部屋。

地元から離れ、大学生活の為の借家だ。

鍵を開けて、1Rの部屋へと入る。

そして、荷物を取り出し、俺はすぐに部屋を出た。

やっと、やっとだ。

少ない仕送りと勉学の合間のアルバイトを、やり繰りして手に入れた相棒。

こいつのお披露目が出来る。

三年我慢したんだ。

从 ゚∀从「うっし、張り切っていこうぜ」

またしても気合いを入れ、相棒を肩に掛けると俺は駅へと歩き出した。

20 名前:>>14ソイヤやめれw:2011/04/06(水) 00:59:22.49 ID:S1Ipq83nO
ガタガタと電車に揺られ、繁華街に近い駅へと向かう。

学生街にあるアパートから、三駅の距離。
オフィス街とのちょうど中間の駅に、目的の場所がある。

自分と同じ様に、それぞれの相棒を担いだ人々が電車内には見受けられた。

从 ゚∀从「ライバルって訳じゃねーが、なーんか対抗意識が芽生えるもんだね」

俺は窓に視線を向けながら、誰とも無く呟いた。

少し緊張感が増して、心臓の脈打つ音が感じられた。

それと同時に、期待感で気分が高揚してくるのも感じる。

从 ゚∀从(ワクワクしてくるねぇ)

今すぐに始めたい。
身体がうずうずとしてしまう。
早く早く早く早く早く早く早く。

俺は電車の動きが変わるはずも無いのに、もどかしい気持ちで駅に着くのを待った。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 01:11:25.66 ID:S1Ipq83nO
目的の駅に着くと、俺は颯爽と改札口まで進み足早に繁華街を進む。

下調べは済んである。

縄張り争いが凄まじいが、この時期は入れ替えの時期であいた場所があるのだ。

俺は繁華街のメインストリートから、二つ離れた場所の少し寂れた一角に眼をつけていた。

多分大丈夫だろうが、先客が居ない事を祈りながら、真っすぐ進む。

メインストリート沿いには、俺と同じ目的の人がもう準備を進めている。

急がなければ。

从;゚∀从「初日から出鼻を挫かれたくねーからな」

小走りで向かったが、心配は杞憂に終わった。

やはりメインストリートから外れてるだけあり、目を付ける人は居ない様だ。

場所を確保した俺は、すぐに準備し始めた。


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 01:21:47.83 ID:S1Ipq83nO
昨日の内にある程度は準備を終えてある。

あとは軽い調整と、緊張を抑えるだけだ。

西日が差し込み、裏路地がキラキラと輝き始めていた。

从 ゚∀从「スポットライトみてぇだな」

ステージの上に立ってるみたいだ。
俺は衝動を抑えられず、相棒のアコギをバッグから取り出した。

ルール違反はいけないけど、チューニングぐらいなら良いよな?

从*゚∀从「早く始まってくれよ! もう爆発しちまいそうだよ!」

疎らにいる通行人が、微笑ましそうに俺を見てくる。
多分俺みたいな奴を、毎年見てるのだろう。

その人波をボケッと見ていると、その通行人の一人が、俺に話し掛けてきた。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 01:29:37.32 ID:S1Ipq83nO
( ・∀・)「君は新人さんかい?」

20代半ばのサラリーマンだろうか?
優しそうな外見の青年だった。

从*゚∀从「おっおう! スゲー楽しみだ」

( ・∀・)「はははwwwww あまり気負うと、本番で疲れちゃうよ」

从*゚∀从「疲れるぐらい、楽しんでやるから良いんだ!」

( ・∀・)「まぁ期待しているよ。 今日は時間がないから、これで失礼するけどね」

从 ゚∀从「おう! 今度聞いてくれよ」


青年は激励の言葉を残し去っていく。
スタートまであと30分ばかり。

良い感じに緊張が解れていった。



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 01:44:51.47 ID:S1Ipq83nO
あと30分、この街に来た理由はこのためだ。

三年待ったんだ。
今更どうって事はない。

俺の最大の目的、VIPミュージックストリートが始まるまであとは少し。

昼間はただの繁華街だが、夜には町並みに音楽という見えない色が加わる。

市がアマチュアミュージシャンの為に、この一帯を解放してくれているのだ。

元々、大学もこのために通った様な物だ。

しかし、親にギターを取り上げられ、講義も忙しくなった。
そのせいで三年もの間、辛酸を舐めさせられたのだ。

歌いたい気持ちばかり募ったこの三年間は苦痛であったが、今やっと解放される。

从 ゚∀从「はぁー」

ゆっくりと深呼吸をする。

時計を見ると開演まであと5分を切っていた。
チューニングは完璧、喉の調子も良い。

あとは歌うだけだ。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 02:00:50.28 ID:S1Ipq83nO
西日は消え去り、街灯が辺りを照らし始める。

それと同時に、木琴の音が街中に響き渡った。

(   )『皆さんこんばんは! 本日も夜の蚊帳が落ちてまいりました。皆さんに音楽の街、VIPの夜を楽しんで頂こうと思います』

進行役の声が一瞬止まる。そして、

(   )『ミュージックストリートの開演です!』

スタートの合図を、告げた。

そしてその合図と共に、四方から数々の音が沸き上がる。

ロック、ヒップホップ、コーラス、ポップス、果てには演歌まで。
我先に音を伝えようと、声を張り上げていた。

从;゚∀从「やっべ出遅れた!」

周りの勢いに気圧されてしまった様だ。

俺はすぐさま、コードを掻き鳴らし曲の前奏を爪弾き始めた。

今夜のステージの開演だ。
誰かに声を届く様に、俺もまけじと声を張り上げた。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 02:12:05.90 ID:S1Ipq83nO
開演すると、このイベントを目当てとした人々は、メインストリートの方へと足を進めて行く人が殆どであった。

歌い始めて10分、未だに足を止めてくれる人は皆無だ。

从;゚∀从(予想はしてたが、こうも人通りがないとはね)

精一杯の声は届かない。
虚しさが心を包み始めるが、歌う事の楽しさを覚えた身体が諦めの二文字を提示させない。

从 ゚∀从(まだ初日だしね。 諦めるのには早いか……)

俺は構わず、1時間歌い続ける。

このイベントの終わりは夜の9時だ。

残り40分ほど、その間書き溜めた歌を、俺はノンストップで歌い続けた。

自分の世界に入っていると、気付けば一人観客が居る事に気付いた。

('A`)

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 02:21:53.43 ID:S1Ipq83nO
少し喉が渇いた事もあり、休憩がてらたった一人の観客に俺は話し掛けてみた。

从 ゚∀从「歌聞いててくれたのかい?」

(('A`))「……」

歳は俺と大して変わらなそうな男は、首を横に振る。

从;゚∀从(なんだこいつ……)

じゃあこいつは目の前で何をしているのだろうか?

从 ゚∀从「じゃあなんだってんだよ?」

('A`)「……」

まただんまりだ。
気持ち悪い奴だが、ここは無視を決めこんだ方が良さそうだ。

从 ゚∀从(その内帰るだろ)

俺はペットボトルのお茶を一口飲んで、また演奏をスタートさせた。

相変わらず観客が増える気配は無かったけれど。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 02:35:52.04 ID:S1Ipq83nO
時間は午後9時、フィナーレの時間。

開演と同じ、木琴の音が終了の合図となる。

(   )「皆さま本日の演奏は終了のお時間となりました。皆さんまた明日をお楽しみに」

街全体はその音声と共に、急激に熱を下げて行く。

放送の時、俺は演奏の途中であったが、渋々帰り支度を始めた。

ルール違反をして、追い出されたくはない。

あの男は最後まで居たのだが、演奏が終わるとどこかへと去っていった。

从;゚∀从「ほんとなんだってんだよ!」

一日目の観客は演奏を聞いてないと言う不思議な男が一人だけ。

从 -∀从=3「はぁ、幸先わりいなぁ」

俺はため息をついたあと、相棒を担いで駅へと向かった。

しかし煮え切らない部分があったが、それでも気分は高揚していた。

やはり歌う事がなによりも、俺は好きらしい。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 02:46:36.12 ID:S1Ipq83nO
ξ゚⊿゚)ξ「さっさと開けなさいよ!」

部屋の鍵を開けると、ツンが立っていた。

从 -∀从。・゚「なんだよこんな朝っぱらから」

ξ゚⊿゚)ξ「心配だから、見に来たのよ」

从 ゚∀从(そういや学校に顔出して無かったっけ)

あの日から三日経っていた。
俺は単位の殆どを取得しているため、学校に週一ぐらいでしか行く必要がないのだ。

ξ゚⊿゚)ξ「まぁ元気そうね」

从 ゚∀从「別に三日ぐらいじゃ、なんも変わらんだろ」

ξ゚⊿゚)ξ「そう言いながら、風邪引いて一週間うなされたのは誰でしたっけ?」

从;゚∀从「おめえは俺の母親かっての!」

ξ゚⊿゚)ξ「まぁとりあえず上がって良い?」

从 -∀从「どうせ上がるつもりだろ?」

ξ^⊿^)ξ「まぁね」


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 02:57:42.70 ID:S1Ipq83nO
ツンは部屋に上がると、小言が耐えなかった。

まぁ確かに全然掃除してないけど、そんな小姑みたいに怒らなくてもさ……。

ξ#゚⊿゚)ξ「少しは女の子の自覚しなさいよね?」

从 ゚∀从「別にいーだろ独り身なんだし」

ξ゚⊿゚)ξ「この朴念仁」

从 ゚∀从「ほっとけ」

ξ゚⊿゚)ξ「それで? ファンとか出来た?」

从 ゚∀从「いや? 良く解らん奴は居るけど」

ξ゚⊿゚)ξ「なにそれ?」

あれから毎日、演奏に出掛けているが、初日の変な奴はいつも俺の所に来ていた。

从 ゚∀从「まぁ、害はないけど一言も喋んない奴でよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「ストーカーじゃないの? そいつ」

从 ゚∀从「それが演奏が終わると、どっか行くんだよな」

ξ゚⊿゚)ξ「確かに良くわかんないわね」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 03:09:20.12 ID:S1Ipq83nO
从 ゚∀从「まあ、もう少し様子を見てみるさ」

ξ゚⊿゚)ξ「気をつけなさいよ。 あんた見た目はそこそこなんだから」

从 ゚∀从「はいはい」

ξ#゚⊿゚)ξ「はいは一回!」

その後はいつものくだらない話をしたあと、夕方が近付き俺は街へと出ていった。
ツンは彼氏とデートに行くらしい。

俺はいつもの場所に着くと用意を始めるが、すぐに違和感を感じた。

少し音を鳴らすとギターの弦が痛んで来ているようだ。
楽器店で弦を買って来ないとならない。

从;゚∀从「不味いな……間に合うか?」

開演まで1時間を切っている。
間に合うか怪しい所だ。

俺は駆け足で、楽器店へと向かった。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 03:24:40.52 ID:S1Ipq83nO
少しばかり走ると近場で、こじんまりとした店を発見する。

从;゚∀从「悪い! アコギのケーブルを出してくれ! 早く!」
店内は弦楽器が多数飾られていた。
ギター専門店と言った所か?

時間があればゆっくり見て回りたい所だ。

キョロキョロと周りを見回していると、店の奥から店員と思わしき人物が出てくる。

从'ー'从「はいはい? ギターの弦ですかぁ?」

从;゚∀从「頼む急ぎなんだ!」

从'ー'从「もしかして今日の参加するんですかぁ?」

从;゚∀从「だから早く!」

なんだこの店員は、人が急いでいると言うのに……。

从'ー'从「ウチで張り替えれば、すぐに終わりますよ?」

从 ゚∀从「へ?」

突然の申し出に変な声が出てしまった。

从'ー'从「急ぎなんでしょう? 早くギター持って来て?」

从 ゚∀从「良いのか?」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 03:38:56.63 ID:S1Ipq83nO
从^ー^从「お安いご用です」

店員は笑顔で答える。
時間はあまりない。
甘えるしかないみたいだ。

相棒をギターケースごと運び、店へと戻る。

从;゚∀从「はぁはぁはぁ」

息を切らせながら、俺は先程の店員に相棒を渡した。

从'ー'从「じゃあ預かるね」

店員さんは店の奥の工房に、ギターを運ぶとすぐに戻って来た。

从;-∀从「はぁ……はぁ」

从'ー'从「そんな焦んないでも大丈夫だよ。 間に合うから」

その言葉で少し冷静さを取り戻して言った。

从 ゚∀从「はぁ……ごめんなさい。ちょっと焦り過ぎました」

从^ー^从「仕方ないよ。楽しみが奪われるのは辛い事だもの」

从 ゚∀从「こういう風に駆け込む人は他にも、居るんですか?」
从'ー'从「いっぱい居るよ~。あと急に敬語にならなくても良いよw」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 03:48:13.69 ID:S1Ipq83nO
从 ゚∀从「いやなんか失礼だったなぁと思って」

从'ー'从「気にしない気にしない! 音楽好きに悪い人は居ないの」

从 ゚∀从「ありがとう」

なんかこういう出会いも、始めての経験かもしれない。
弦の張り替えを待つ間、音楽の話題で俺達は盛り上がった。

学校の友達とは違う、数年来の友人の様に話が尽きる事は無かった。

開演まで残り10分を過ぎ、店の奥からギターを持った男が出てくる。
張り替えが終わったようだ。

しかしその男にどこか見覚えがある。


78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 03:56:22.04 ID:S1Ipq83nO
('A`)「……」

その男に見覚えがあるはずだ。
いつも、居るあの男だ。

从;゚∀从「あっお前は! 変なやつ!」

ついつい口をついて出てしまった。
店員さんは後ろでクスクスと笑っている。

从^ー^从「時間無いんでしょ? さぁ行ってらっしゃい」

从;゚∀从「あっああ。 でもお代は?」

从'ー'从「帰りに寄って頂戴」

从 ゚∀从「良いの?」

从'ー'从「良いから良いから」

そんなやり取りをしてる間に、変なやつはギターケースに俺のギターを入れていた。

从 ゚∀从「……」

('A`)「……」

俺は変なやつを一瞥したあと、店員さんに挨拶をしていつもの場所に戻っていった。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 04:02:07.60 ID:S1Ipq83nO
俺はすぐさまチューニングの確認を行った。

从 ゚∀从「……まったくズレがない」

意外とギターの弦は、湿気や気温に敏感だ。

なのにまったくズレの無い音程に、俺は驚愕していた。

('A`)

あの変なやつがやったのだろうか?

从;゚∀从「もしかしてあいつすごい奴なのかもな……」

そんな風に考えていると、いつもの木琴の音が街に響いた。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 04:11:22.35 ID:S1Ipq83nO
ハインの去った店内で二人は会話していた。

从'ー'从「かわいい娘じゃない?」

('A`)「……」

从'ー'从「教えてくれてもよかったんじゃないの~?」

('A`)「……」

从'ー'从「いじるからやだって? そんな事しないって」

('A`)「……」

从#^ー^从「現にしてるって? ドックンも言う様になったわね」

(;'A`)「……」

从'ー'从「まぁいっか。 で? ドクオは今後どうするの?」

('A`)「……」

ドクオと呼ばれた青年は店の奥へと、引っ込んでいった。

从'ー'从=3「はぁ……もう少し積極的になれば良いのに」

引っ込み思案な甥に、しばしヤキモキしてしまう渡辺楽器店の店主であった。



85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 04:22:48.79 ID:S1Ipq83nO
今日は始めて、あいつ以外の観客が来た。

从 ゚∀从「次でラストだ! 聞いてくれ」

あいつは来なかった。
居なければ居ないで寂しいもんだ。

9時調度に終わる様に、本日のラストソングを歌いきる。

観客は五人ほど、初日に話しをしたリーマンも来てくれた。

その人達の瞳が、俺の方へと向いている。

その瞳に答えるため、精一杯歌に気持ちを乗せた。

終了の合図と共に湧いた小さな拍手が、いつもとは違う達成感を感じさせてくれた。

从*゚∀从「ありがとよ!」

みんな笑顔で帰っていく。
俺は人が掃けると、片付けを始めた。

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 04:34:19.80 ID:S1Ipq83nO
一通り片付けが終わると、リーマンが俺に声を掛けた。

( ・∀・)「お疲れ様。よかったよ」

从 ゚∀从「今日は来てくれてありがとうな」

( ・∀・)「むしろこっちが感謝したいくらいさ、良い歌だった」

从*゚∀从「あんま褒めんなよ! 恥ずかしいから」

感想を言われるのは始めてだ。
なんかくすぐったい。

( ・∀・)「明日も頑張ってね。 僕は友達の所にいくよ」

从 ゚∀从「あー俺も、張り替えの代金払いに行かなきゃ」

( ・∀・)「張り替え? ギターの?」

从 ゚∀从「そうそう。 近くの渡辺楽器店って所」

( ・∀・)「あーなら一緒に行こうか? 調度そこに僕も用があるし」

从 ゚∀从「まぁ断る理由もないし、良いぜ別に」

片付けが終ると同時に、二人で渡辺楽器店に向かう事になった。

随分と奇遇だ。

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 04:46:06.86 ID:S1Ipq83nO
从 ゚∀从「どーもー代金払いに来ましたー」
从'ー'从「はーい。ってモララー君も一緒?」

( ・∀・)「まぁたまたまね」

从 ゚∀从「まぁたまたまですね」

二人の声がハモる。

从'ー'从「まぁいっか! ドックンなら奥に居るよ?」

( ・∀・)「んじゃ勝手に行きますね」

从'ー'从「はいはーい。 それでえーと……」

そういえば、名前すら言って無かった。
慌てて俺は名前を名乗る。

从 ゚∀从「ハインって言うぜ」

从'ー'从「私はアヤカね。ハインちゃんは2000円で良いわよ」

从;゚∀从「随分安くないか?」

殆ど弦代のみだ。
なんか悪い気がする。

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 04:54:52.15 ID:S1Ipq83nO
从^ー^从「まぁお友達価格って事で」

从 ゚∀从「ありがとな!」

俺は仕送りまで遠いので、有り難く受け取る事にした。

从'ー'从「その変わり、ドックンの事聞いても良い?」

その言葉のあと、アヤカさんの目は真面目な事を話す目付きになった。
何か誤解しているのか?
少し怖い。

从;゚∀从「いやずっと、俺が歌ってる時に近くにいただけですよ?」

从'ー'从「珍しいわね……」

アヤカは何やら考えこみ始めた。
何か気になる。

从 ゚∀从「珍しい?」

从'ー'从「あの子、耳が聞こえないのよ」

从 ゚∀从「へ? でもこっちの声は聞こえてるみたいでしたよ?」

从'ー'从「読唇術って奴ね。ある程度なら会話は解るのよ」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 04:59:41.41 ID:S1Ipq83nO
じゃああいつは、なんで俺の歌ってる所に居たんだ?

ますます解らなくなってきた。

从'ー'从「お願いなんだけど、ちょっとドクオと話ししてもらえないかな?」

アヤカからのお願いだが、俺も理由が気になる。

从 ゚∀从「俺も気になるから、話ししてみたい」

俺は了承すると、アヤカに促され店の奥へと進んだ。

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 05:08:28.92 ID:S1Ipq83nO
( ・∀・)「あれどしたの?」

先程のモララーと言うサラリーマンが、俺を見て首を傾げる。

从 ゚∀从「ちょっと、そこの変なやつに話があってな」

俺はずかずかと工房の中に入っていく。

(;'A`)「……」

変なやつは身じろぎしながら、椅子に座っていた。

从 ゚∀从「なぁおい? なんで耳が聞こえねーのに俺の所にずっと居たんだ?」

俺は目の前に座り、問い質す様にゆっくりと言葉を投げ掛けた。

(;'A`)「……」

変な奴は無言のまま、手をばたつかせている。

从#゚∀从「なんか喋れよ!」

まだだんまりだ。
会話の内容が解るなら、話してくれても良いと思う。

( ・∀・)σ从 ゚∀从「なんだよ?」

すると後ろからモララーが、突いてきた。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 05:18:37.97 ID:S1Ipq83nO
( ・∀・)「いやこいつ喋れんのよ」

从 ゚∀从「そうなの?」

( ・∀・)「さっきから手話で話すから、通訳してくれってさ」

从;゚∀从「なんかごめん」

ちょっと悪い気がして謝ると、変なやつはゆっくり首を振った。

(('A`))「……」

そして、俺には全く理解出来ないが手話を開始した。

( ・∀・)「通訳するよ?」

从 ゚∀从「頼む」

('A`)「……」

手の動きに合わせて、モララーが私に話し掛けてくる。

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 05:24:07.20 ID:S1Ipq83nO
( ・∀・)「最初に不気味がらせてごめん」
从 ゚∀从「別に気にすんな」

('A`)「……」

( ・∀・)「最初は何と無く遠目で、君が歌ってる姿を見てたんだ」

从 ゚∀从「それで?」

('A`)「……」

( ・∀・)「楽しそうに歌う君が、どんな言葉を伝えたいのか気になって近付いたんだ」

从 ゚∀从「……」

('A`)「……」

( ・∀・)「そして君のメッセージが心に凄く響いた。 歌声は解らないけど、伝えたいメッセージは確かに僕に届いた」

从 ゚∀从「うん」

('A`)「……」

( ・∀・)「でも僕には勇気がないから、中々言いだせなくて、いつも見てるだけしか出来なかったんだ」

('A`)「……」

( ・∀・)「頑張って、もう気味が悪くなる様な事はしないから、さよなら」

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 05:33:17.09 ID:S1Ipq83nO
そう言うと、変なやつの動きは止まった。

从 ゚∀从「なんだよ。歌聴いてないなんて嘘じゃねーかよ!」

('A`)「……」

( ・∀・)「声は聴いてない」

从 ;∀从「俺は誰かに気持ちを届けたかったんだよ! それが伝われば十分なんだ!」

('A`)Σ 「……」

( ・∀・)「なんで泣いてるの?」

从 ;∀从「しらねー! なんか嬉しいのと、むかつくのが半々ぐらいだ」

(;'A`)「……」

( ・∀・)「どどどどうしよう? モララー?」

(;'A`)「……」

( ・∀・)「今のは通訳いらない!」

从 ;∀从「はは……ばーか!」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 05:43:53.97 ID:S1Ipq83nO
一度塞きをきった涙は、中々収まる事は無かった。

変なやつだけど、こいつはいち早く俺の言葉に気付いてくれてたんだ。

从 ;∀从「グスッ……また来てくれよ」

('A`)「……」

( ・∀・)「良いの?」

俺は無理矢理、涙を拭うとドクオの眼を見て答える。

从 ゚∀从「当たり前だろ! 大事なファン一号なんだから」

('A`)「……」

( ・∀・)「僕で良いの? 歌を聴いてる訳じゃないのに」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 05:49:46.76 ID:S1Ipq83nO
从 ゚∀从「何度も言わせんなよ。 俺の言葉が初めて届いた相手なんだから、当たり前だろ? それともいやなのか?」

(('A`))「……」

( ・∀・)「そんな事ない! 僕は君の事が好きだ!」

从*゚∀从「えっ? えっ?」

なんか今、唐突に告白された気がする。

モララーはにやにやと笑っている。

(;'A`)「……」

すると、ドクオはモララーに掴み掛かっていった。

( ・∀・)「ははwww そんな間違った事は言ってないつもりだけど?」

(;'A`)「……」

ドクオは何やら、真っ赤になって抗議している。

从*゚∀从「ははっははは」

( ・∀・)「はははは」

(*'A`)「……」

工房に笑顔が溢れる。
笑い声は二つだけれど、三人の気持ちが何と無く伝わっていた。

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 05:59:34.53 ID:S1Ipq83nO
从 ゚∀从「電車の時間あるから、今日は帰るな!」

( ・∀・)「また明日ね!」

(*'A`)「……」

ドクオは少し目線をずらして、手を振っていた。

店は閉まっていたが、アヤカに軽く挨拶を交わして俺は帰途に着く。

今日は沢山の出会いがあった。
それも素敵な出会い。

从*゚∀从「ドクオねぇ……変なやつだけど良いやつ」

俺は遅くまで、やっている書店に立ち寄り手話の本を買って帰る。

今度は直接あいつの言葉を伝えて欲しい。

俺は電車に揺られながら、明日どんな事を話そうと胸を踊らせていた。

――終わり

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 06:03:19.52 ID:S1Ipq83nO
ふうっオナニー終了。

こんな明け方までご支援ありがとうございました。

正直、途中でストーリーが大幅に変わりました。

その分、恋愛色が色濃くなりました。

では質問とかあればどうぞ~

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 06:05:24.18 ID:J7nkPUYw0
終わり・・・だと・・・?
おつ

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 06:13:01.86 ID:S1Ipq83nO
>>112
今後の展開は御想像にお任せします。

テーマとしては、言葉を伝えるなのでドクオに言葉が伝わった時点で、終結なんですよね。

あとぶっちゃけますと体力の限界。


113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 06:07:09.91 ID:4kA67IYvQ

渡辺の年齢いくつくらいのイメージ?

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 06:15:13.88 ID:S1Ipq83nO
>>113
見た目は20代前半、実年齢は……

从#^ー^从

怖くて言えません

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 06:16:50.43 ID:tk36IFDV0
  |:.   |         |::.  |
  |:::.   |         |::.  |
  |:::::::..... |         |:::::::....|
  ===    ∠>  ===  ∠>
  |:.   |   /     |::.  |  /
  |:::.   |  /      |::.  | /
  |:::::::..... |/        |:::::::....|/
  ===         ===
  |:.   |         |::.  |
  |:::.   |         |::.  |
  |:::::::..... |         |:::::::....|
  ===         ===
  |:.   |         |::.  |
  |:::.   |         |::.  |
  |:::::::..... |         |:::::::....|
 从::゚∀从<オツダ    从'ー'从<ヒジョウニオツダ!!
wwwwwwwwwwwwwwwwwww

ちなみに楽器経験者ですか

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/06(水) 06:19:45.86 ID:S1Ipq83nO
>>117
エレキギターしか触ってません。

正直、アコギは全然解らん。

投下中はあんま触れなかったけど、そのAA好きだwww


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