mesimarja
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( ^ω^)ブーン達は食器を武器に戦うようです
9 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:17:32.61 ID:48NrKw8d0

薄暗い空間
そこはどこかのレストラン

ひっそりとした厨房に、やがてカチャカチャと音を立てながら
ボールペンサイズの人影達が姿をあらわした

皆が集まってきた先は、調理台
皆が、一つの皿を囲っている
皆手にはそれぞれの武器を持ち、皿の上の獲物を 虎視眈々と狙っていた





11 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:18:25.62 ID:48NrKw8d0

( ^ω^)「おっおっww 今日は唐揚げかおww 腹が鳴るおwwww」
武器:ミートフォーク 内藤ホライゾン 通称ブーン

(‘∀`)「バーカ 普通『腕が鳴る』の間違いだろうがwwww」
武器:バターナイフ 鬱之宮ドクオ

ξ゚⊿゚)ξ「ボケとツッコミが逆よ!」
武器:ヒメスプーン ツンデレ

( ゚∀゚)「唐揚げは俺がいただくぜ!!」
武器:ピザカッター ジョルジュ長岡

(´・ω・`)「……やれやれ」
武器:チーズフォンデュ用フォーク ショボン

( ・∀・)「♪」
武器:? モララー

( <●><●>)「私たちが勝つことはわかってます」
武器:ヒメフォーク ワカッテマス

( ><)「よくわかんないけど補佐するんです!」
武器:大型スプーン ビロード

( ^ω^)ブーン達は食器を武器に戦うようです
http://c2.upup.be/Mz9GQ5Lpfg



13 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:19:22.72 ID:48NrKw8d0


( ^ω^)ブーン達は食器を武器に戦うようです




17 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:20:32.71 ID:48NrKw8d0

(‘A`)「……んじゃあそろそろ、始めるぜ」

ドクオが、ビールの王冠を掲げた

皆の視線が、ドクオの左腕に掲げられた 小さく輝く王冠に集まる
ドクオは右腕を静かに沈ませた

皆の 生唾を飲む音が 静寂の硬度を加算させた



(‘A`)「…………せ―――――――――のぉっ!!」

ぴぃぃん

右腕が急上昇し、バレーのサーブのような要領で王冠を弾く

高く 高く   舞い上がる王冠

皆 戦闘態勢に入る

あの王冠が地に落ちた瞬間が  開始のゴングだ







21 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:22:49.87 ID:48NrKw8d0


――――  きぃん


落下音と同時に 皆はそれぞれの思考の通りに動き出した



22 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:23:52.99 ID:48NrKw8d0
(#´・ω・)「はああああぁっ!」

先制したのはショボン
長いフォンデュフォークの柄を脇に抱えるようにし、自分を軸に横薙ぎにした

ほぼ全員が開始と同時に後ろに跳躍したため掠りもしない
一人の例外 ジョルジュを除いては

(#゚∀゚)「うおおおおっ!!」

ジョルジュは自分の身長と同じくらいの丈のある、
丸い刃をもったピザカッターを全身で振るう
ショボンはそれを跳躍で躱す

ジョルジュの全体重を軸にしないと振り回せない程鈍重な武器は、
ショボンの細く軽い武器がまともにくらえば折れてしまうからだ

空を切ったカッターは遠心力を伴い、ジョルジュ自信を振り回す
伸びきった左脇をフォンデュナイフで突くが、
それは無理矢理体を捻らせて返ってきた丸い刃に叩き落された



24 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:25:00.77 ID:48NrKw8d0

( ゚∀゚)「へっ」

左足を浮かせて体を元の向きに戻したジョルジュが、薄く笑う

( ゚∀゚)「さっさと叩き折ってやる」

(´・ω・`)「…………」

―――

( <●><●>)「貴方が一番弱いのはわかってっます」

全長13.5㎝程のヒメフォークを、片腕に引っ提げている
ツンの持つヒメスプーンより2.5㎝ほど長く、ヒメスプーンに次いで軽い武器だ

対面している

ξ゚⊿゚)ξ「貴方達、ずるいわ」

ワカッテマスの後ろには、長い柄を掴んだビロードがいた
ビロードの武器はスプーン  リーチはあるが攻撃力に乏しい 主に守備に特化した武器だ
この二人はいつも連携を組んでいる
リーチの短い得物でワカが切り込み、
危険になったら、後方で待機しているビロードがそのリーチを活かしワカを守る

ヒメスプーン一本のツンにとっては、とてつもなく厄介な敵だった



25 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:26:40.82 ID:48NrKw8d0

( <●><●>)「協力しなければ、ビロードが餓死することはわかってますから」

( ><)「ここ三日ひもじいんです 今日は負けるわけにはいかないんです」

―――

( ^ω^)「またお前かお」

('A`)「しゃーねぇだろ。 他が勝手に始めちまったんだから 俺だって腹は減る
容赦はしねぇぜ」

( ^ω^)「望むところだお。唐揚げは渡さん」

('A`)「…………今度は左腕失くしてもしらねーぜ」

( ^ω^)「こっちこそ、その貧相な胸に風穴開けてやるお」

('A`)「いやんばかん♪」

( ^ω^)「きもっ    ドクオいくお!!」

('A`)「来い!!」


バターナイフとミートフォークがきらりと翻った



28 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:27:59.47 ID:48NrKw8d0

―――

ぎぃん

ピザカッターの刃が、厨房のステンレスを叩く
身体を軸に、コンパスのように円を描き 遠心力をつける
次の手を理解しているショボンは、ピザカッターの刃がジョルジュを挟んで一直線になった時
フォンデュフォークで胴を突いた

(´・ω・`)「ふっ!」

( ゚∀゚)「はぁっ!!」

ジョルジュは待ってましたと言わんばかりに 無理矢理遠心力の付いたピザカッターを持ち上げた
遠心力は斜め上―――ショボンの首へと

(´・ω・`)「くっ!!」

咄嗟にフォンデュフォークを盾にする
刃が回転し、チェーンソーの要領でガリガリと傷をつけていく
このままでは 折れてしまう  このままでは 首は飛ぶ……
対処法は ない



29 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:28:51.62 ID:48NrKw8d0

(´・ω・`)「チッ…降参だジョルジュ」

武器を放棄し、後方へ跳躍したショボン

( ゚∀゚)「よっしゃ!」

まず 一勝

―――

( <●><●>)「はぁっ!!」

ワカッテマスは、右手でヒメフォークを突き出した
ツンはヒメスプーンの背で弾く

渾身の力で弾き飛ばしたツンの胴は がら空きだった

( <●><●>)「ビロード!!」

( ><)「はいなんです!! ツンさん、ごめんなさい!!」

ワカッテマスの影から現れたビロードは、長大なスプーンを横に構えていた



30 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:29:53.64 ID:48NrKw8d0

( ><)「はあぁっ!!」

バットと同じ要領で振り切られたスプーンは、ツンの脇腹を殴打した

ξ ⊿)ξ「かはっ…!」

肋に衝撃を受けたツンは呼吸の術を失い 小さな息を吐いて厨房にどさりと落ちた
勝敗はとうについていたが、ワカッテマスは容赦しない

( <●><●>)「恨まないでください。」

吹き飛ばされても武器を離さなかった拳を、ヒメフォークの柄で叩いた
砕かれた拳から、その手には似つかわしくない銀色の光が零れた

( <●><●>)「観念なさい」

ξ ⊿)ξ「……くっ……そぉっ…………」

ツンは悔しげな声を噛み締め、今夜のおかずを諦めた



32 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:30:59.03 ID:48NrKw8d0

―――

('A`)「おーらよっと!!」

翻る 幅広い閃光
袈裟掛けに切り上げる斬撃
ぎぃんと 大型のシルバーとぶつかる重い音 手に伝わる衝撃

('A`)「流石に大型武器相手じゃあ分がわりぃか」

( ^ω^)「ブーンに勝とうなんて10年早いお」

('A`)「この間のミートナイフvsヒメフォークの時は俺がかったじゃねーか」

(;^ω^)「ナイフ長いし重過ぎんだお!
それをフォークの刃で引っ掛けて投げ飛ばすなんて卑怯だお!!」



33 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:31:54.89 ID:48NrKw8d0

('A`)「武器の選択って大事だよなぁ」

回想に浸る為、小型…といっても ドクオの身長並の長さのある武器を肩に担いだ
対するブーンは ドクオの武器より更に頭二つ分程大きい武器を杖代わりに突いた

( ^ω^)「今回ミートフォークな僕に隙はないお
      適度なリーチ・適度な重量・刺殺による殺傷能力 申し分ないお」

('A`)「俺はバターナイフ 軽量化を優先しつつ、前回の難点であった「薙ぎ」を克服した
   俺にも死角はない」

( ^ω^)「じゃぁお互い、前回の弱点をおさらいし克服したということで……

('A`)「もう一丁!!」

言うや否や、二人の武器は交ぜ合い 高い金属音を奏でた



34 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:32:59.80 ID:48NrKw8d0

―――

リタイアしたショボンを見送った後、ジョルジュは開いていた引き戸の影に身を隠した
いざというときに駆け出せるよう、半開きの戸のすぐ隣で構えている
ステンレスの冷たい感触が、ついた片膝をしんしんと冷やしていく
真上でブーンとドクオが打ち合っている振動が、ジョルジュの所まで響いてくる

( ゚∀゚)(勝った方の不意を衝いてやる)

脇に置いて手を添えているピザカッターに目をやる

ピザカッターの重量は最上級で、威力はあるが体力の消費は他のシルバーの比ではない
好んで扱っているジョルジュであっても、連戦無双は避けたいところだった
特にショボンのようにリーチが無駄に長いのは苦手だった
差し違える覚悟で投げつけてやろうかと思ったほどだ

( ゚∀゚)(ドクオ相手なら投げれる気もするんだがなぁ)

ハンマー投げの要領で投げる姿をシュミレーションする
うん、俺かっこいい



37 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:33:59.66 ID:48NrKw8d0

( ゚∀゚)(持ったまんま上まで跳ぶのは疲れるから、いっそ投げ上げて 上でキャッチしてやろうか)

脳内でシュミレーションを繰り返し、経験からタイミングを計る
手元に武器がない時間というのは致命的だ
ピザカッターの重量から投げ上げた時の滞空時間をシュミレーションから目算し
感覚を掴む為に何度か拳を作る

( ゚∀゚)(……よし)

綿密に作戦を練り上げ、満足した 丁度その時
上で、一際大きい ぎぃん という金属音が聞こえ  次いで、上の調理台から
シルバー…もとい、どちらかの武器が落ちていくのが見えた
勝敗はついた
あの二人は仲がいいから、打ち合い後必ず緊張を解く

今がチャンスだ

ジョルジュは棚から身を乗り出し、ピザカッターを投げ上げようと下段から振りかぶった



38 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:35:10.24 ID:48NrKw8d0

ばっかだなぁ
隠れるなら、最後までこそこそ隠れてりゃいいんだ
しかも、人の獲物を下からこそこそ狙っていたのが気に食わない
俺があいつを狩る為に、
わざわざこんな重い武器をえっちらおっちら狙撃ポイントまで運んできたんだ
邪魔なんかさせるかよ
むかつくから今回はおまえを潰すけどさぁ
恨むなよな
おまえが俺の獲物を狙ったんだからな
頼むから頭だけは守ってくれよ
ディナー前に潰れた頭なんざ見たくないんだからな
明日には元通りとはいえ、胸糞悪いんだからな
俺は悪くないんだからな
一撃必殺をお前なんかに使うのは勿体ないが、仕方ねぇ


( ・∀・)(勝つのは、俺なんだからな)

背中から、背負ってきた武器をおろす
平時に使うなんてありえない武器だが、こういう時はいいだろう



39 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:36:10.38 ID:48NrKw8d0

武器はシルバー なんてルールがある
シルバーとは主に食器……みんなが使っている フォークやスプーン等を指す
だが    『食器』とは定められていない
言ってしまえば、『銀』であればいい
一応ルールには則っている
屁理屈だが
きっと次にはルールを改正されてしまう
まさに一撃必殺なのだ

それをあんな奴に使ってしまうのは勿体ないが、仕方ない

そろそろ台上での一騎打ちに決着がつく

耳をぺたりと折り畳んで耳当をする
この中でこんな大きい耳があるのは自分だけだ
きちんと隠しておかないと、頭隠して耳隠さずになってしまう
あと、 何か が潰れる音を、耳で聞かない為でもある

滑り止めとクッションの役割を果たす手袋をした両手で武器を構え 呼吸を計る




42 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:37:31.65 ID:48NrKw8d0

打ち合いを凝視しながら、現在地点から落下予測地点へ到達する時間を計算する

打ち合いを、カウントダウンで数えていく

( ・∀・)(5・4・3・2……)

―……いち

予想通り、片方の武器が弾かれ、厨房の下に落ちていった
今だ

武器を振りかぶって、飛び出す





43 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:38:38.88 ID:48NrKw8d0

―――

(;<●><●>)「…………」

(;><)「…………」

ワカッテマスがビロードを背に庇って、寸胴鍋の影から全てを見ていた
二人共、冷汗をかいている
モララーの、あまりにも突飛した残虐性と、
殺傷能力的に反則な武器の、反則的な使い方を目の当たりにした

終わりまでの成り行きも、全て見た
あそこにいたのが自分達でなくてよかったと、不謹慎ながら本気で思ってしまう


あの武器は反則だ
いや あれは武器と言えるのか
言葉のあやを利用したのはわかっている
しかしあれは 些かやり過ぎだと思った

(;  )「ワカッテマス君……」



45 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:40:10.11 ID:48NrKw8d0

ビロードに呼ばれて振り返る
そこにいるビロードは目隠しをされていた
他の誰でもない 自分の手によって
そっと手を離した

(;<●><●>)「すいません。無意識だったようです」

( ><)「何があったんですか わかんないんです」

覗き込もうとするビロードを止めた
自分は少し 過保護なのかもしれない

( <●><●>)「脱落者です」



47 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:41:48.07 ID:48NrKw8d0

―――

脱落者
ツンは目を閉じている
その隣で、ショボンはモララーが待機していた場所を見上げている
ジョルジュが隠れていた棚の上、
ブーン達が一騎打ちをしていた調理台   ―に、隣接されている棚の上

普段そこには物は置かれず、主に注文伝票が貼り付けられるだけの台になっている
しかし今日は違った
大きめの皿がいくつか乗っていて、クロスがかけられていた
きっと明日使うのだろう

……そんなことはさておき

(;´・ω・)「んー…そう来たか」

最初に脱落し、ずっと観戦していたショボンでも モララーを見つけられなかった
そして、見つけた時には後の祭りである



48 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:43:15.71 ID:48NrKw8d0

時間は少し、遡る
モララーがカウントし始める頃
ブーンもドクオも、限界が近付いていた

ブーンのミートフォークは、ミートナイフ程ではないにしろ、相当の重量がある
更に、ビロードのスプーンより、更に頭一つ分ほど長い
つまり、長くて重くて持ちづらいのだ

対して、軽量化を追求したドクオではあるが、
ブーンに比べ、長さは頭二つ分程短い
つまり攻撃するには、ブーンの攻撃を掻い潜って距離を詰めなければならず
更に武器の耐性でブーンに劣る為、攻撃したら退かなければならない
無駄の多い動きが、体力も筋力もないドクオの体を蝕んでいった

(;^ω^)「ぜぇ はぁ ぜぇ はぁ」

(;‘A`)「ぜぇ ぜぇ…ごふっ」

まだ、他にも脱落してない者がいる
双方、長引かせたくはなかった



50 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:44:25.14 ID:48NrKw8d0

(;^ω^)「…おっ、お……次で、決着つけてやるお」

(;'A`)「はぁ はぁ はぁ はぁ……望むところだぜ、唐揚げは渡さん」

お互いに、息を整えながら武器を構える
ブーンは引き摺るように、右下段に ドクオは上段に

呼吸を整えて、タイミングを計る
お互いにしかわからないような些細なことを合図に、二人は最後の一騎打ちを始める

(#'A`)「おおおおおおおおお!!」

(#^ω^)「からあげええぇぇぇ!!!!」

一合
ドクオが、重力と慣性の法則と僅かな筋力を武器に 力任せにフォークを叩き落す

ブーンの右側にフォークが弾き戻される
左足を一歩踏み出し、今度は軌道を変えて一撃



51 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:45:44.78 ID:48NrKw8d0

二合
下段からのフルスイングで、バターナイフを弾き上げる
ドクオは武器を離すまいと必死な為、諸手を上げて胴ががら空きだった

振り上げたフォークを捻じり、ドクオの体を引っ掻く向きにして振り下ろす
ドクオが後ろに跳躍し、間を開ける
逃げられたところに、突きを繰り出す

三合
ドクオの胴に突き進むフォークの広い面を、上から落ちてきたバターナイフの刃が下へと弾き落す
ドクオはリーチを無視する為、柄と刃の間の一番細い部分を左手で掴み、
右手で柄の最短を押し込んでいた

(;^ω^)「チッ」

刃を反転させる
三本の鋭い刃先が、緩やかなカーブを描いてドクオの首を狙っている
そのまま振り上げた



53 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:46:54.35 ID:48NrKw8d0

(;'A`)「くっ……」

右に逸れたバターナイフを左手で固定し、右手で掴んだ柄を横に引いた

四合
首目掛けてとんでくるフォークをてこの原理で横から打ち、フォークの軌道を斜めに逸らした
が、そこまでだった
焦って柄を引いたドクオの手は、衝撃で柄から離れてしまった

(;;'A`)「しまっ――」

( ^ω^)「隙ありっ」

五合目
斜め上から、袈裟掛けにフォークを振り下ろす
それは勢いよくバターナイフに当たり、衝撃でドクオの手から離れてしまった
ぎぃん と小気味の良い音を立て、それからバターナイフは調理台の下に落ちていった

振り下ろした姿勢のまま、ブーンはにっこり笑った

( ^ω^)「打ち取ったり、だお」



55 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:48:00.75 ID:48NrKw8d0

ドクオがへたりと座り込んで、息を洩らした

(;;'A`)「…くへぇ……完敗かよ」

ブーンがすぐ隣に立って、ドクオに手を差し伸べた

( ^ω^)「おっお、今回は接戦だったお ブーンもちょっと恐かっ……――」

……いや、差し伸べかけて止まってしまった


ヒュッ


物凄いスピードで、ブーン達の隣を何かが通過した
ブーンは再度緊張の糸を張りつめ直し、調理場の下を覗いた



59 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:49:39.37 ID:48NrKw8d0

―――

ジョルジュが棚から身を乗り出し、ピザカッターを投げ上げようと下段から振りかぶった
その時、 真上から落ちてきているモララーと目が合った
 _
(;゚∀゚)「……えっ?」

にやりと笑ったモララー
そしてモララーをあそこまで加速させている原因
モララーより先に落ちてくる 銀色の塊
太い柄 重い先端 先端の両端にある、暴力的な凹凸
金属で出来たあれは ある工具を連想させたが、あれはあくまでも調理用具
しかし、あれは反則だと思う
あれはまるで   ――殺人に特化した金槌


そう 確か ミートハンマーとかいう…………


モララーが全身を使って一回転し、槌を振り上げた
こちらもピザカッターを振り上げるが、恐らく無意味だろう

何かを囁いたモララーの口元を凝視したまま
ジョルジュの目の前は、真っ黒に染まった

( ^ω^)ブーン達は食器を武器に戦うようです
http://e2.upup.be/f3oSi9Nhbm



60 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:50:48.92 ID:48NrKw8d0

―――

( ・∀・)(……今だ!)

タイミングを見計らって、飛び出す
正確には、後半はミートハンマーに引き摺られるようにして

柄にしがみ付くようにして、急降下
目標のジョルジュは ほぼ予想通りのタイミングで、棚からひょっこりと頭を出してきた

( ・∀・)(ばっかwwww)

思わずニヤけた時に、丁度ジョルジュと目が合った
驚愕と恐怖に染まっている
反則だろう と、  あってはならないことだろう と、
表情が訴えている

引き攣るように 更に口角を吊り上げて笑い返し
そのまま、攻撃体勢へと意識を向ける
一撃必殺 一回こっきりの見せどころ

唐揚げなんかどうでもいい
今日は、これがしたかっただけなんだ

( ・∀・)「ぬるぽ しちゃう?」



63 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:52:28.75 ID:48NrKw8d0

真っ逆さまの体勢から踵落としの要領で足を後ろに振り切る
背筋を使い猫のようにしならせた体を、腹筋の力で一気に丸める
両手でしっかりと掴んだミートハンマーを、力いっぱい引き寄せながら

ミートハンマーは頭上で弧を描き、遠心力をつけて一回転を繰り出す
回転し、遠心力の付いたミートハンマーは、前方の目標――ジョルジュへと
吸い寄せられるように向かって行った
 _
(;゚∀゚)「うおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」

ジョルジュは雄叫びを上げながら、無駄でしかない回避行動を取る
正当な武器では最も重いピザカッターを、両腕で抱えて振り被ろうとしている
そんな重たいものを、盤石な体勢を整えるロクな足場もないくせに、振り翳せるはずがない
当然、ジョルジュは武器に振り回され、無い足場に足を取られ、真っ逆さまに落ちていった
奇しくもそれで、一撃目を躱すことが出来たわけだが  そんなことに意味はない
モララーはもう二度空中で回転し、床に接する直前のジョルジュ……否、ジョルジュの前に翳されたピザカッターを
容赦なく 殴り込んだ

( ・∀・)「ガッ!」

掛け声とともに、ミートハンマーを振り下ろす
槌部分はピザカッターに深い溝をつくるかたちでめり込み、ジョルジュをピザカッターごと地面に叩き付ける
地面と板挟みにする といった表現が正しいかもしれない



64 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:53:53.16 ID:48NrKw8d0

モララーの手には、柄を伝って頭蓋を叩き割る感触が伝わってきた
すぐに丸い刃の下から液体めいたものが粘性をもって漏れ出してくる
上手く着地したモララーは、そのままジョルジュには見向きもせずに
近くにあったバターナイフを掴みあげた


静観している者の息が止まる
空気が張り詰めた

モララーはきょろきょろと周りを確かめるように見回した後、
ブーンたちのいる台の上を見上げた
僅かに血飛沫を浴びた狂気的な顔と 目が合った

(;^ω^)「っ!」

(;'A`)「ひっ……」

( ・∀・)「…………」

モララーは にやぁり と、いやらしく口元を歪めた
ブーン達の背筋に冷たいものが奔る
モララーは耳当を外し、首にかける
片手でバターナイフをぶんぶんと振って手になじませてから、初動もなしにブーン達のいる台まで跳躍した



66 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:55:29.94 ID:48NrKw8d0

(;^ω^)「ドクオ逃げろお!!」

咄嗟に一歩前に出て、ドクオを庇うようにミートナイフを前に出す
ぎぃん と鈍い音が木霊した

(;'A`)「すまねぇ!」

(;^ω^)「いいからはやく脱落者は非難するお!!」

ドクオを逃がす間も、打ち合いは止まることはない
モララーはドクオには全く興味を示していないようにも見えるが、隙を見せればどうなるかわからない
今はドクオを逃がすことが専決だ


(;´・ω・)「ドクオ!こっち!こっち!!」

少し離れた棚からショボンが手招きする
その隣のツンは震えていた



67 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:56:46.51 ID:48NrKw8d0

―――

ショボンの所まで這い登っていったドクオは、へたり込んで全身で息をつく

その間にも、シルバーの音はやまない

(;'A`)「ツンは大丈夫なのか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「正直、あんまり」

(;'A`)「ジョルジュ、後で定位置に戻すのか……」

ξ゚⊿゚)ξ「放置しても、明日になれば治るんじゃない?」

(;'A`)「そうだけど、そうもいかんだろ」

普段は店内を飾る『人形』の自分たちにとって、 死 という理念はない
夜間の『破損』は、朝には『なかったこと』になっている
ようは元通り



70 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 20:58:48.72 ID:48NrKw8d0

つまりジョルジュは放っておいても、明日の朝には元の形に戻って 定位置で立っている

(;'A`)「あそこまで原型留めないのは前例がないし……戻らなかったら最悪だろ」

ξ゚⊿゚)ξ「明日になれば元通り それがここなんだから、大丈夫でしょ」

(´・ω・`)「まぁそういう心配はないだろうけど…問題はルールだよね」

ξ゚⊿゚)ξ「改正に決まってるでしょ」

(;'A`)「あれはいやだなぁ」

(´・ω・`)「会議出来るのも夜のうちだから……早く終わらせてもらわないとね」

(;'A`)「だなぁ……あと四人か?」

ξ゚⊿゚)ξ「そういえば、あの卑怯者達を見かけないわね……」



71 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:00:09.22 ID:48NrKw8d0

―――

::( ><)::「なんか、寒気が……」

( <●><●>)「気のせいでしょう それよりどうしますか?あと残っているの、私達とブーンとキチガイですよ」

(;><)「キチガイ……?」

( <●><●>)「モララーです。先程ジョルジュの頭をミートハンマーで潰しました」

(;><)「怖いんです!!」

( <●><●>)「今は武器をバターナイフに切り替え、ブーンと交戦中です」

( <●><●>)「ここで相談です。   参戦しますか?」

(;><)「いやなんです」

( <●><●>)「最後まで聞きなさい。
        ブーン側として参戦して、後からブーンを始末するか
        それとも、無所属で突っ込むか」

(;><)「モララー側の選択肢はないんですね」

( <●><●>)「ブーン無くして返り血を浴びたキチガイと対決したいですか?私はお断りです」

(;><)「お断りします!!」



73 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:01:15.04 ID:48NrKw8d0

( <●><●>)「ヒメフォーク ヒメスプーン 大型スプーン……武器はこれだけです」

( <●><●>)「ブーンはミートフォーク モララーはバターナイフ」

( ><)「バターナイフ自体は脅威じゃないんです。ワカッテマス君が正面から絡めて、僕が後ろから大型スプーンで……」

( <●><●>)「いいえこうしましょう……」


―――

干戈が続く
もう、フォークの右端の刃が半分に折れてしまった
ドクオとの一騎打ちの疲労も蓄積されたままだ
しかし負けるわけにはいかない
唐揚げの為に…………!!

(#゚ω゚)「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」



74 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:02:53.25 ID:48NrKw8d0

ぎぃん

刃を水平に並べて振り降ろすが、付け根の部分をバターナイフの根元で受け止められる
これから鍔迫り合いではなく、先端の方へ流される
モララーは刃と一緒に、ナイフの軌道から逸れた
刃を後ろにする形で体の左側にフォークを滑らせ、しゃがみ込むモララー

しまった
自身の胴はがら空き モララーは居合の構え

斬られる
今日は下半身とおさらばだ また明日……




きいん!!

突如鳴り響く シルバーの音



77 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:05:06.72 ID:48NrKw8d0

―――

左手を軸にした居合切りは、大型スプーンによって遮られた

( ・∀・)「なっ!?」

突如現れた介入者

( <●><●>)「ビロード!」

( ><)「はいなんです!!」

力を込めたままのバターナイフを捉えたスプーンの裏側は、上を向いて刃を上へ逃がした
その時出来た下の隙間から、大型フォークが突きだしてくる

(;・∀・)「うおっ!」

後退して距離を取る
状況を確認した



78 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:06:21.82 ID:48NrKw8d0

大型スプーンを携えたビロード
ミートフォークを構えたワカッテマス
少し距離を置いたところで尻餅をついているブーン

( <●><●>)「ブーン 加勢します」

( ><)「とりあえずモララーからなんです!!」

(;^ω^)「おっ?」

( ・∀・)「……」

四面楚歌のようだ

( <●><●>)「ビロード!後は任せました!!」

( ><)「りょうかいなんです!!」

ビロードはスプーンを後方に捨て、ワカッテマスからミートフォークを受け取った
ワカッテマスはヒメフォークとヒメスプーンを装備して、ブーンと一緒に離れる



81 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:09:26.62 ID:48NrKw8d0

ビロードは震える手でミートフォークを握っている

( ・∀・)「重いんじゃねーのか?」

(;><)「いいんです!!」

( ・∀・)「ブーンから長物取り上げておきたかったんだろ」

(;><)「モララーには関係ないんです」

( ・∀・)「向こうは作戦会議か 余裕だな」

(;><)「だからなんなんですか」

( ・∀・)「ワカッテマスがビロードを置き去りにするなんてな」

(;><)「……」

( ・∀・)「保護者は、子供から目を離しちゃいけないんだぜ?……すぐに失くしちまうから、なっ!!」

タイミングを計って飛び掛る



82 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:10:44.46 ID:48NrKw8d0
相手は軟弱な奴で、武器はミートフォーク
ビロードは上段へは構えられないと見て、同じく下段から切り上げる

(;><)「あうあう…!!」

ビロードは腰より少し高い位置から刃を立て、斜めに斬り降ろしてきたフォークの重さに任せる形だが、先程までブーンの相手をしていた俺にはへでもない
弾き上げて刃のラインをなぞってやる
このまま進めばビロードの指が落ちる

(;><)「はわわわわっ!!」

上がった柄を無理矢理引き下ろして俺の攻撃を回避する

::(;><)::「あ…あ……」

( ・∀・)「どうしたビロード そんなんじゃ足止めにすらなんねーぞ?」

ビロードを甚振る
このまま、ワカッテマスの盾を無効化してしまおう


「ビロードは足止めじゃないおっ!!」



83 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:11:31.12 ID:48NrKw8d0

(;・∀・)「なっ」

突如、背後から後頭部を襲う鈍い痛み

( <●><●>)「ビロードは囮です。最初からこうなることはわかってました」

ヒメスプーンを担いだブーンと、ヒメフォークを構えたワカッテマスだ
先程の攻撃はブーンのスプーンだろう
盾ではなく、打撃系の使い方をするようだ

そして今一番の問題は……

( ・∀・)(……挟まれたな)

スプーンならまだしも、ビロードとワカッテマスはフォークだ
棘を前後で気にするのは辛い
バターナイフは槍のように使えば有効かもしれないが、槍の経験はない



85 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:13:10.45 ID:48NrKw8d0

( <●><●>)「よく頑張りましたね」

(;><)「普通に死ぬかと思ったんです」

( ^ω^)「あんなの見れば死にたくもなるおね」

三人でモララーを囲い、追い詰める


( <●><●>)「ブーン、いっそ共同戦線組んで、モララーを倒したら終わりにしませんか?」

( ^ω^)「残念だけど、唐揚げは少ない食糧だお」

( <●><●>)「それは残念です」

( ・∀・)「じゃあ俺混ぜてよ」

( ><)「今回はお断りなんです」

( ・∀・)「ビロードこの野郎」



86 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:14:20.35 ID:48NrKw8d0

軽口を叩き合ってはいるものの、場の空気はどんどん張り詰めていく
ブーンはヒメスプーンを、ワカッテマスはヒメフォークを、ビロードはミートフォークを、
モララーはバターナイフを、それぞれの武器の特徴を活かせる形で構えている

一瞬の沈黙の後、先に動いたのはワカッテマスだった
モララーから見て右斜め前に居たワカッテマスは、ヒメフォークを左脇に構え、切っ先で地面を擦りながらモララーに向かっていった

次いで、モララーの真後ろにいるビロードが、ミートフォークを振り上げた

(;・∀・)「わっ!」

( ><)「今まで大型スプーン担いでやってきたんです!こんなので腕が上がらないわけがないわけがないんです!!」

モララーは、先程ミートフォークを持って震えているビロードを見て、重いのだと判断していたが、そうではなかった
ビロードは恐怖で震えていただけであり、フォーク自体は重くもなんともなかった

(#><)「うああああああああっ!!」

ビロードは渾身の力でフォークを振り降ろした



89 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:15:33.94 ID:48NrKw8d0

( ・∀・)「チッ」

モララーは二つのフォークから逃れるべく左に跳躍する
そこにはブーンが居る わかっている わかっているからこそ

左脇も見ずに刃の向きを変え、右手を軸に左手で柄を押し、バターナイフを突き出した

( ^ω^)「おっ」

そこにはヒメスプーンを振りかぶっているブーンがいた
即座に峰でモララーの攻撃を受けたブーンはそれを下にいなし、弧を描いた大きな金属板を縦にして、モララーに振り降ろす

バターナイフもろとも両腕を下げ肩を落とした姿勢のモララーは、柄を強く握り、自分を軸にナイフを円状に振り回した

( <●><●>)「回転切りですか」

( ><)「リンクも真っ青なんです」



92 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:16:29.99 ID:48NrKw8d0

隙をつきにきていた二人の攻撃を、間一髪で回避する
今度はブーンもいない方へ跳躍して、溜息を吐いてみせた

( ・∀・)「三人相手はやっぱり辛いね」

( <●><●>)「ならリタイアすることをお勧めします」

( ^ω^)「僕は唐揚げだけ手に入れば何でもいいお」

( ><)「僕もお腹が満たされればなんでもいいんです」

( ・∀・)「僕は勝てれば嬉しいかな。ミートハンマー試せて満足してるし」

( ^ω^)「あれはねーお」

( ・∀・)「シルバーじゃないか」

( ><)「微妙に発音変えないでほしいんです」



94 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:17:18.33 ID:48NrKw8d0

( <●><●>)「早く決着つけないと、たとえ勝てても唐揚げにありつく前に朝が来てしまいます」

( ^ω^)「そら勘弁だお」

(;><)「です」

( ・∀・)「おまえらほんと正直だな」

ブーンとビロードが武器を構える
モララーも溜息を吐いて姿勢を整えた

一拍おいて、戦闘は再開される

ブーンが大きく振りかぶる
ワカッテマスがモララーの背後を突く為に駆ける
モララーはブーンと同じ姿勢で振りかぶり、二人の真ん中で交差し、火花を散らせる
ワカッテマスが背後から突きを繰り出してくる



96 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:18:30.90 ID:48NrKw8d0

モララーはブーンと交えていたバターナイフを横一線に振りぬき、しゃがみ込む
頭上をヒメスプーンとヒメフォークが前後から通過していく

頭を下げたまま右肩を軸に転がり、受け身を取るとすぐに立ち上がった
モララーは二人の間を抜け、傍らに立つ
ワカッテマスのフォークにブーンのスプーンが嵌ってしまい、体勢を立て直せないようだ

( ・∀・)「もらったぁ!!」

刃を二人に向け、バットのように構えると、そのまま薙いだ





が、それは宙を斬る
モララーは何が起きたのかわからずにそのまま仰向けに倒れた



97 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:19:49.75 ID:48NrKw8d0

( ・∀・)「……は?」

自分に馬乗りになっているビロード
その両手は、モララーからは見えない位置に固定されていて、あたかも両腕で何かに縋りついているようだった

あと体に力が入らない 起き上がれない
右肩が、痛い


(;><)「モララー……ごめんなさい、なんです」

( ・∀・)「?」

見ると、ミートフォークが右肩に刺さり 衣服を縫い付け肩から先は完璧に割れて、右腕は胴から離れていた

( ・∀・)「……あぁ……」

負けたのか と呟く
ごめんなさい と、鼻声のビロードの声が返ってくる



99 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:21:34.79 ID:48NrKw8d0

ビロードの全身は震えていて、もう力なんか入っていない


( ・∀・)「…………泣いてんなよ ばーか」

(;<●><●>)「ビロード!離れなさい!!」




次の瞬間には、ビロードの背に 銀色の片翼が生えていた



101 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:22:20.97 ID:48NrKw8d0

(;><)「……ぁ…う…………?」

モララーの左手に握られたバターナイフ
それはビロードの鳩尾に食い込んで、左の肩甲骨の下から生えていた
血が滴る反った刃が照明を受けて、きらりと光った

( -∀-)「ビロード、また明日な」

そのままモララーは動かなくなり、ビロードもその上に重なるように崩折れた
ひく、ひく と小さく痙攣し、すぐに動かなくなった
その両腕は、モララーを抱き締めていた


( <●><●>)「…………」

(;^ω^)「…………」



102 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:23:25.74 ID:48NrKw8d0

残された二人は、反応に困ってしまった
柄にもなく奇襲したビロードと ビロードを道連れにしたモララー

モララーの残した 「また明日」 の言葉

確かに朝になれば体は元に戻り、定位置につく
明日の夜になれば、記憶はそのままに、いつも通り動き出す

しかし
後味の悪い「また明日」だった
明日ビロードは、モララーは 何食わぬ顔で挨拶できるのだろうか

いまからここで刃を交える自分達も、明日も仲良くやれるのだろうか

ワカッテマスは思考する
ブーンは苦悩する

明日を考えると 今後を考えると
これ以上の争いは避けた方がいい
しかし



103 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:25:33.69 ID:48NrKw8d0

( ^ω^) グゥ~グルルルル……

( <●><●>) グゥ~…キュルル……


( ^ω^)「……恥ずかしい」

( <●><●>)「失礼」

腹は、減っているのだ
唐揚げは 魅力的過ぎた
もともとビロードと分け合うつもりのワカッテマスには苦ではないが
大食らいのくせにもう何日も食べていないブーンは、我慢の限界であった

( ^ω^)「ぁー……とりあえず」

( <●><●>)「結局山分け案は可決されず終いなんですね」

( ^ω^)「僕はそうしたいけど、腹が許してくれないんだお」

( <●><●>)「……全くブーンは、仕方ないですね」



105 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:26:41.42 ID:48NrKw8d0

構える
ヒメスプーンのブーンと ヒメフォークのワカッテマス
分で考えれば、ブーンの方がやや劣るくらいだ
リーチはワカッテマスにあり、パワーはブーンにある

ブーンは武器を立て、首の部分と柄に近い峰に手を添えた やや左寄りに構える
上がった右腕の脇から、ワカッテマスの動向を観察する

対して
ワカッテマスは柄の方を右上に掲げ、左手の中指を首に添えた

お互い 守りやすい体勢から始まる
どちらともなく、ごくりと生唾を飲みこんだ

( <●><●>)「……」

( ^ω^)「…………」



107 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:27:56.67 ID:48NrKw8d0

―――

(´・ω・`)「ぅわあ……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……ビロード…」

(;‘A`)「モララーの野郎……」

三人は、棚の上から一部始終を見ていた
ドクオは顔を顰め、ツンは顔の半分程を手で覆っていた


何の打合せもなく、ビロードはモララーを二人に任せ、モララーの死角を通って近くの棚へよじ登っていった
ショボン以外の二人は、ビロードが逃走したのかと思っていた
大きなフォークで棚の高いところへよじ登っていくビロードを、どこか落胆した目で見ていた

しかし、下で二人に危機が迫った時、なんの躊躇いもせずにビロードは飛び込んでいった



109 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:28:52.18 ID:48NrKw8d0

刃を固定するために、右手を柄の上に 左手で首をしっかりと掴んで

振りかぶった際に後ろに下がったモララーの肩へ、その刃は吸い込まれていった
右手を肩に付け、自身の体が落下する衝撃をフォークに載せる
その際に右手の甲を平べったい柄が貫いた
痛みに顔を歪めながらも、ビロードは左手に力を籠め、刃を奥まで突き刺した

だからワカッテマスの「離れなさい」にも反応することは出来ず
スイングで右手から左手へと移ったバターナイフに貫かれた


上から一部始終を見ていた
心が、重かった

('A`)「無茶しやがって……」

ドクオのセリフが、二人の心を代弁していた



111 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:29:49.33 ID:48NrKw8d0

―――

ブーンとワカッテマスは、静かに対峙している
お互いの呼吸音が聞こえる
生唾を飲む音

二人は駆け出した


先行はワカッテマス
フォークを振り上げる
柄が体を向いている
ブーンのがら空きの右を狙って、一閃
ブーンはスプーンを横にし、応戦
組み合い 互いに後退する
着地と同時にワカッテマスは駆け出す 左に振り払ったフォークを右上に構え直し
対してブーンはスプーンを下にして居合の構えを取る
右手で鞘の代わりをしたブーンは、スプーンを片手でワカッテマスと対峙する


114 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:30:48.75 ID:48NrKw8d0

干戈の音が甲高く響く
刃の横で対峙したワカッテマスは、それを裏返す

( ;^ω^)「おっ!?」

居合で若干上を向いていたスプーンは、ブーンの力でするりと上へ上がっていく
胴体が、がら空きだ

( <●><●>)「いただきます」

フォークの先を左下に逸らし、弧を描くようにブーンの腹に横一線をくらわした





いや、斬ったはずだった



117 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:31:38.33 ID:48NrKw8d0


上がってしまったスプーン
ブーンは舌打ちする     一か八かだ
先は遠い  なら

ブーンは柄に手を添え、渾身の力でそこへ振り降ろした
肉薄したワカッテマスの、首に

(;< ><+>)「がっ…!?」

フォークを遠心力で右に飛ばしてしまう
ワカッテマスは丸腰だ




( ;<―><+>)「うぅ……ぐっ…………」



118 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:32:32.83 ID:48NrKw8d0

倒れ伏したワカッテマスに、ブーンはスプーンを向ける

( ^ω^)「勝負あったり だお」

( ;<●><+>)「……完敗です」

ワカッテマスが負けを認めた
今日の優勝者はブーンとなった

避難席で見守っていた三人も降りてくる

('A`)「おっつー」

(´・ω・`)「白熱した一騎打ちだったね」

ξ゚⊿゚)ξ「唐揚げ一個寄越しなさいよ」

皆、口々に何かを話していた



135 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:38:15.81 ID:48NrKw8d0

(‘A`)「おっと 外が明るくなってきた 食うなら早くしな」

(´・ω・`)「動けなくなる前にね」

( ^ω^)「だおね いただきまーす」

ξ゚⊿゚)ξ「あーん」

( ^ω^)「…………あーん」

仲睦まじく唐揚げを食べている二人を一瞥し、ドクオはワカッテマスに肩を貸して立ち上がった

(‘A`)「んじゃ、俺達は先に定位置に戻るぞ」

( <×><+>)「では、また明日……おやすみなさい」

ξ゚⊿゚)ξ「おやすみ」(^ω^ )



136 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:39:08.95 ID:48NrKw8d0

二人は定位置に戻っていった
ショボンもお休みを言って定位置に戻っていく

朝になれば、皆人形に戻るのだ
レストランの いろいろな場所に飾られている人形

( ^ω^)「ごちそうさまだおー♪ さて、ツン 僕達もそろそろ戻るお」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ、また明日ね」

( ^ω^)「また明日だお 明日にはジョルジュもモララーもビロードも復活してるはずだお」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね 明日は明日で、楽しくやりましょう」

そう言って、二人は別れた  それぞれの定位置に向かって




142 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:42:00.99 ID:48NrKw8d0

―――

『うわ 今日は三体か』

『どれも派手だなぁ』

『替えの人形 まだある?』

『あるある こいつとこいつと……こいつでいっか。配置してきまーす』

『あー……バターナイフ削れてるよ……モララーか』

『ピザカッターもフォンデュフォークも致命傷だぞ』

『昨日はよっぽど暴れたんだなぁ……』

『今度料理の隣に注意書き挟んどきますね』



144 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:42:55.95 ID:48NrKw8d0

――― 夜―――


薄暗い空間
そこはどこかのレストラン

ひっそりとした厨房に、やがてカチャカチャと音を立てながら
ボールペンサイズの人影達が姿をあらわした

皆が集まってきた先は、調理台
皆が、一つの皿を囲っている
皆手にはそれぞれの武器を持ち、皿の上の獲物を 虎視眈々と狙っていた




148 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:44:02.65 ID:48NrKw8d0

( ^ω^)「おっおっww 今日はエビチリかおww」
武器:ミートフォーク 内藤ホライゾン 通称ブーン

('∀`)「エビときたら本気出さないとな」
武器:バターナイフ 鬱之宮ドクオ

ξ゚⊿゚)ξ「あんたたち、まるで子供ね」
武器:ヒメスプーン ツンデレ

( ゚д゚)「敵に不足なし」 
武器:フィッシュナイフ 河内ミルナ

(´・ω・`)「まだ湯気が立ってるね」
武器:大型スプーン ショボン

(・∀ ・)「あははははー」
武器:デザートナイフ 斉藤またんき

( <●><●>)「勝たなければならないことはわかってます」
武器:ヒメフォーク ワカッテマス

( ФωФ)「承知」
武器:フォンデュフォーク ロマネスク




154 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:45:18.32 ID:48NrKw8d0


「昨日」がなく「明日」がなく「今」しかない
それをみんなは知らない

新しい仲間が増えたことも 親友が消えていったことにも気づかない
何故なら彼等には「昨日」がないから




158 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:46:17.61 ID:48NrKw8d0


( ^ω^)ブーン達は食器を武器に戦うようです  終




161 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:48:01.41 ID:48NrKw8d0
投下は以上です
前半は荒らしもなく快適に投下出来ました
あと、沢山の支援ありがとうございました

当時ウェイターをやっていて、シルバーに萌えたのはいい思い出
ジョルジュがピザカッターを担ぐ妄想をしたところから、この物語は始まりました

「昨日」がなく「明日」がなく「今」しかない
この概念は、演劇「人形館」から拝借しました
現実から逃げた女の子が人形になってしまうお話です

その中の台詞に
「どうせ、明日になったら忘れちまうんだからさ」
という台詞があります
つまり、翌日になれば………

質問等あったら受け付けます
ありがとうございました



181 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 21:59:04.49 ID:48NrKw8d0
ちょっとだけ補足を

モデルの「人形館」では、人形で劇をするおばあさんが、現実逃避で逃げ込んできた子供を人形にしてしまうというお話です
人形の世界は楽しいよ 素晴らしいよ って
「私、人形になります!」の言葉で契約完了
元人間だった人形たちは夜だけ動き出します

今作ったクッキーで、今お茶会を開いたり とにかく「今」だけなんです
昨日も明日もない彼らは、今しか知りません
その世界観を「そのことすら知らない」という設定に捻ってぶち込ませていただきました

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 21:57:37.26 ID:DD3Pq+zz0
替えの人形なくなったらどうすんだろ
人数減っていっても気づかないだけ?

182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 21:59:24.20 ID:TckrFBdr0
つまらんが過去作伝えておきたかったら書いといてもいいよ

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 22:00:23.06 ID:XrlA3saG0
ブーン達は毎日が初対面ってことでおk?

190 名前: ◆zynqho4iRI :2011/06/06(月) 22:08:13.08 ID:48NrKw8d0
ご指摘ありがとうございます
戦闘ものは初めてなので、これからも精進していきたいとおもいます

>>178
したら…仕入れるのではないでしょうか
日中は店の装飾品なわけですし

>>182
図書室の人 と呼ばれたりします
今は「月刊少女小説 ちょwwwwのようです」の方で「( ・∀・)恋実れ!のようです」を連載させていただいています

>>183
初対面だけど いつものメンバー みたいな認識があります
例えば、二日目 全く知らないキャラがいても動じません


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