mesimarja
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( ^ω^)ささやかに休むようです
6 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:08:12.91 ID:Ptl3ZCyE0

 
彼女は外見上二十歳前後に感じられるのだが、眠るときにはいつもゆりかごを使う。

統計に照らし合わせても彼女の躰は決して小さい方ではないはずだが、
赤ん坊サイズの、つまりごく普通のゆりかごに、彼女は毎夜スッポリと収まって眠っている。

何故ゆりかごを使うのか問うてみたことがある。すると彼女はこう答えた。

ξ゚⊿゚)ξ「眠る時ぐらいは、ゆりかごから解放されたいのよ。
     いつもの揺れと同じ方向、速度で揺らせば、それに乗る私は揺れを感じなくて済むから……」

僕は殆ど失語症のような状態に陥っていたから、
彼女の真意を聞き出すための適切な言葉を口に出来なかった。


8 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:11:10.90 ID:Ptl3ZCyE0


時々家の外へ出ては、空を見上げる。
上空には、今日も安らかな夢見の顔をした人間たちが幾つもの縦列を作り、
北から南へと淑やかに流れている。

老若男女関係なく、あらゆる人間たちが流れを作っている。
僕が今敢えて趣味を一つ挙げるとするならば、
そうやって流れていく人々の人生を想像することだ。

大抵は面白いことを想像する。
あの人は今日酔っ払って終電を逃したのかも知れない。
あの人は生まれすぎた猫の子供の飼い主になってくれる人を探しているだろうか。
あの眼鏡は碁を打つためにかけているようなものだな。

しかし時々、苦いイメージが懐郷の趣を伴って現れる。
今日もそのイメージが現れたから、僕は思わずうわあ、と叫んだ。
それと殆ど同時に、家の中から彼女の叫び声が聞こえた。

慌てて部屋に入ると、ゆりかごで昼寝をしていた彼女が上半身を起こして荒く呼吸をしている。

( ^ω^)「どうかしたお?」

ξ゚⊿゚)ξ「ゆりかごが一回転する夢を見たの」

14 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:15:08.46 ID:Ptl3ZCyE0


ξ゚⊿゚)ξ「これは?」

( ^ω^)「……りんご」

ξ゚⊿゚)ξ「これは?」

( ^ω^)「たな」

ξ゚⊿゚)ξ「これは?」

( ^ω^)「さら」

ξ゚⊿゚)ξ「これは?」

( ^ω^)「カッター」

ξ゚⊿゚)ξ「違うわ、これは包丁よ。まさか知らないなんてことは無いわよね?」

( ^ω^)「言われたらすぐ納得出来るんだお。包丁とカッターは刃物という点で共通しているお? 
       だからつい、カッターと口に出してしまうんだお。

       意味性錯語と言うらしいんだけど、どうやら僕の主たる症状はそれらしいお」

ξ゚⊿゚)ξ「それだけ饒舌なのに失語症だなんて、甘えてるんじゃないの?」

( ^ω^)「そうかもしれないお。その証拠に、りんごが食べたいけどまる齧りはしたくないお」

ξ゚⊿゚)ξ「ちゃんと切って運ぶから、向こうで待っててよ」

17 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:19:10.17 ID:Ptl3ZCyE0


昨日こんな夢を見た。
 
友人が死んだ。死因は分からないが、とにかく死んだことだけがはっきりしている。
その友人が死に際に完成させたロールプレイングゲームが、何故か僕の手元にあった。

早速プレイしてみると、懐かしいドット調の画面が映し出された。
しかし、どうにも様子がおかしい。
フィールド上には街も海もなく、全てのマスが灰色のスイッチで埋め尽くされていたのだ。

画面上のキャラクターを動かすと、スイッチが一つずつ押されていく。
仕方なく、僕は全てのスイッチを押していくことにした。

そうやって百個ぐらいスイッチを押した時だったろうか。
不意に、ゲームの中、或いは現実の空に死んだはずの友人が、
うつ伏せになって回転しながら漂っているのを見つけた。

僕が彼に何か声をかけようとする前に、彼は僕にこう言った。

「そんなに十回も十五回も回っていたら、二度と家に帰れなくなるよ」

そして僕は目覚めた。

18 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:21:03.75 ID:Ptl3ZCyE0
(;^ω^)「とにかく、とても怖かったんだお。震えている自分の背中を見ているようで……」

ξ゚⊿゚)ξ「せっかくだけど、その怖さ、人には伝わらないわよ。
      悪夢なんていうのは、非常に個人的なものなの。
      夢で得た感情を共有するのはとても難しいわ」

( ^ω^)「そんなものかお」

ξ゚⊿゚)ξ「でも、私には分かる、その怖さ」

( ^ω^)「え?」

ξ゚⊿゚)ξ「私も昨日、同じ夢を見たから」

20 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:24:32.93 ID:Ptl3ZCyE0


彼女はとても元気で病気とも縁遠く思えるが、時々僕に向かって、
私はもうすぐ死ぬのだという意味の言葉をあっけらかんと語る。
 
冗句に過ぎないと笑い飛ばす心持ちの一方で、その言葉に真実味を感じてもいる。
夜にふと目覚め、彼女のゆりかごを覗き込むと、彼女が一粒の小石に変わってしまっていることがあるからだ。

もしかしたら僕が寝惚けているだけなのかも知れない。
だが、そういう時、僕ははっきりと彼女の死を予感出来る。
 
しかし……サナトリウムのような悲壮を覚えることはない。
彼女の死は、死ではなくむしろ解消なのではないかと思う。
僕と彼女の関係、僕の時間、そして失語症の、ほんの少し寂しさを漂わせる解消……。

21 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:27:12.91 ID:Ptl3ZCyE0


朝から雨が降り続いている。僕は窓からぼうっと空を眺めていた。
絶え間なく注ぐ雨粒の向こう側に、今日も人間の川が変わらず滔々と流れている。

ξ゚⊿゚)ξ「趣味が悪いわ」

ソファに寝そべって読書をしていた彼女が、僕の背中にそう声をかけた。

( ^ω^)「どういうこと?」

ξ゚⊿゚)ξ「あんなものを眺めている貴方の趣味が悪いってことよ」

( ^ω^)「でも、面白いお。それに淀みがなくて、美しくも思えるし」

ξ゚⊿゚)ξ「馬鹿じゃないの」

彼女は苦々しげに僕の言葉を一蹴すると、本を勢い良く閉じてテーブルに投げ出した。

ξ゚⊿゚)ξ「淀みのなく、連続しているものなんて大嫌い。ちょうど、この小説みたいにね」
 
それから、こうも言った。

ξ゚⊿゚)ξ「貴方も、もし小説を書くなら連続していない小説を書いてちょうだいね」
 
唐突な無理難題に僕は思わず眉を顰めた。
しかし、小説を書くというのは案外良いアイデアかもしれない。失語症の快復に効きそうだ。
早速紙とペンを持ち出して何かを書こうとした僕に、彼女は再び声をかけてきた。

ξ゚⊿゚)ξ「でもその前に、今日のお風呂掃除の当番、貴方だからね」

23 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:30:09.12 ID:Ptl3ZCyE0


( ^ω^)「思いついたんだけど、どうすればいいかお?」

僕がそう声をかけると、彼女は案の定怪訝そうな顔でこちらに振り返った。

ξ゚⊿゚)ξ「余りにも言葉が足りなさすぎるわ」

( ^ω^)「うん、つまり……ある事を思いついたんだお。
       そして、それを僕は口に出したい、もっと言えば誰かに伝えたいんだお。
       でも、これはいう必要はどこにもないし、むしろ言わないほうが良いように思えて」

ξ゚⊿゚)ξ「言ってみなきゃ分からないじゃない」

( ^ω^)「言ってから後悔することって、あるじゃないかお?
       友達に対してその場の勢いで罵詈雑言を吐いたり、
       好きな女の子を過剰に誂ったり……何だか、そういうのが怖いんだお」

25 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:33:41.71 ID:Ptl3ZCyE0
ξ゚⊿゚)ξ「それは、甘えよ」

取り付く島もなく、彼女は断言する。

ξ゚⊿゚)ξ「貴方に言いたいことがあるなら言えばいい、
     周りのことを考えすぎて引っ込めてしまうのは悪癖よ。

     それに、別に私に遠慮する必要なんて、ないじゃない。
     特に貴方の場合は、自分の言葉を押し殺すべきじゃないと思うわ」

( ^ω^)「……うん、じゃあ、言うけど」

僕は大きく深呼吸をした。

( ^ω^)「ベートーヴェンの『運命』ってあるじゃないかお、ダダダダーンって奴。
       あれ、何がダダダダーンなのか、ずっと分からなかったんだお。
       それでずっと考えていて、今朝やっと気付いたんだお。

       あのダダダダーンは、虐待された赤ん坊が階段から転げ落ちる音だったんだお」

27 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:36:32.90 ID:Ptl3ZCyE0


部屋の時計が正午を指す頃に目覚め、彼女の作った昼食をとり、昼寝をした。
そのまま夕刻過ぎまで眠り、再び起きると今度は彼女の作った夕食を摂る。
そして夜は早寝をする。敢えて、そんな一日を過ごしてみることにした。

ξ゚⊿゚)ξ「そんなによく眠れるわね。疲れているの? 疲れることなんて何もしてないのに」

夕食後の洗い物をしている彼女の声が遠くの方から微睡をかき分けてやってくる。

( ^ω^)「疲れてなくても眠れるときは眠れるんだお。それも、頭痛も無しに、爽やかな気持ちで……」

ξ゚⊿゚)ξ「ふうん。そういうものかしら。良い夢でも見られるの?」

( ^ω^)「いや、というよりは……必要に迫られてるんだお、この睡眠は」

ξ゚⊿゚)ξ「どういうこと?」

( ^ω^)「つまり……僕は休んでるんだお。それも死ぬ気で。
       死ぬ気で休憩しているんだお」

僕はそう言って軽く笑い、そしてそのまま眠りへ落ちた。
現実が夢に切り替わるその一瞬、僕はまぶたの裏に映った彼女の悲しそうな表情を、確かにみとめた。

28 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:39:31.35 ID:Ptl3ZCyE0


どうしても彼女との出会いや彼女との関係、もしくは僕自身の人生について考えてしまう時がある。
しかし、こればかりは彼女と議論を交わすことが出来ない。そういった類を口にしただけで、彼女が激怒するからだ。

ξ゚⊿゚)ξ「それは、そんなに必要なことなの?」

初めてその話題になった時、彼女はほとんど軽蔑のような目付きで僕を睨みつけたのだった。

ξ゚⊿゚)ξ「貴方が今の貴方になるまでにどんな人生を歩んできたか、
     そしてこれからどんな人生を歩んでいくのか、そんなに必要なことなの?」

( ^ω^)「そう言われると確信は持てないけれど……でも、気になるじゃないかお。
       僕もこの年齢になるまでに、色々な経験をしてきただろうし……
       それに、君との出会いの切っ掛けすら思い出せないというのは、君に対しても失礼だお」

ξ゚⊿゚)ξ「私だって覚えていないわ、何の意味も無いもの。少なくとも、ここではね」

( ^ω^)「そういうものかお。
       でも、思い出は大切なものだって言うじゃないかお、月並みだけど……」

ξ゚⊿゚)ξ「やっぱり貴方も、人生が直線的な流れのようなものだと思っているの?」

( ^ω^)「発想としては陳腐かも知れないけれど、最も合理的じゃないかお」

ξ゚⊿゚)ξ「直線的な人生なんて、その先には墓場しか無いのよ。怖くないの? 
     ゆりかごと墓場の間にただ線を引くだけだなんて、何て面白くない人生!」
 
その後も議論は続いたのだが、だんだん両者とも訳の分からない理屈を振り回すようになり、
最終的には揃って不貞寝することになった。

29 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:42:33.40 ID:Ptl3ZCyE0


空を見上げ、おうい、と人の流れに向かって叫んでみる。
答えは返ってこない。目を閉じ、表情の希薄な人たちはただひたすら、
それだけを目的としているかのように北から南へ流れ続けている。

それを眺め続けていると、やがて僕の中にマジョリティへの憧憬や罪悪感のようなものが生まれてくる。
僕はここにいて良いのだろうか、僕がやっている時間の浪費に近い寄り道は、果たして正当化されるのだろうか。
 
晴雨や寒暖を問わず流れ続ける人生の群れへの没入を、
僕は密かに願っているのかもしれない。

だがその一方で、僕は僕自身の快復と復帰を恐れてもいるのだ。

30 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:47:05.07 ID:Ptl3ZCyE0
十一

ξ゚⊿゚)ξ「面白くない」
 
そうして僕の処女作は一蹴された。リハビリのために書いたとはいえ、少々ショックだ。

ξ゚⊿゚)ξ「あのね、私、連続しているものは大嫌いなの」

( ^ω^)「うん、それは前にも聞いたお……
       けれど、難しいんだお、連続しない小説を書くっていうのは。
       どうしたって、ストーリーっていうのが存在してしまって……」

ξ゚⊿゚)ξ「それは、過去を書こうとするからよ。
      現在だけを書けばいい、現在起こっていることを、現在の感情だけで綴れば、
      きっと私の御眼鏡にも適うでしょうね。

      私が求めてるのは長大なストーリーじゃないわ、単一的なエピソードよ」

( ^ω^)「その違いがいまいち分からないお……つまり、成長や変化が嫌いなの?」

ξ゚⊿゚)ξ「さあね。そのあたりは私が自分で決めるわ。私が好きな小説の条件は、私が好きであることよ」

( ^ω^)「……ずいぶん我儘な人だお」

ξ゚⊿゚)ξ「当たり前よ、読者だもの」

34 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:52:39.00 ID:Ptl3ZCyE0
十二

昨日こんな夢を見た。

あらゆる場所から「さようなら」が聞こえてきた。
駅のプラットホームから、高層ビルの屋上から、古びたアパートの一室から、
「さようなら」は遍く響き渡っていた。僕はその全てを捉えていたのだ。
 
しかし、僕はまるで満足できなかった。
それらの「さようなら」は、致命的に何かが足りなかったのだ。

何が足りないのか、はっきりとは分からない。
しかし、その足りない何かが言葉の類であることは、朧気に理解していた。

( ^ω^)「もっと言うべきことがあったはずなのに。言わなくていいことが、あったはずなのに……」

そうしたコミュニケーションの不全が、「さようなら」には込められていた。
疲労しているのだな、と思った。だが、それ以上には何も感じられなかった。
 
しかし、不全は失語症の僕へ深刻なダメージを与えていた。
人生の断絶を意味する「さようなら」を、僕だっていつかは口にしていたかもしれない。
ただ僕は、「さようなら」と適切に言う機能すら失っていただけなのだ。

意味性錯語を患う僕は、もしかしたら「さようなら」の代わりに「こんにちは」とでも言ってしまったかも知れない。

36 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 21:57:18.27 ID:Ptl3ZCyE0
そう考えると、急に現在の現実が恋しくなり、僕は慌てて目覚めた。
まだ夜半過ぎだった。星の輝きに照らされた人の波が、黒い線を描いて流れていた。僕はそれを眺め、断絶を考えた。

その時不意に、黒い線から小さな影のようなものが音もなく落下を始めた。
それは地上に近づくにつれ、すう、と闇に溶け込んだ。
 
聞こえはしなかったが、あの人もたった今、「さようなら」と言ったに違いない。
翌朝、目覚めた彼女に僕は昨夜の悪夢を報告した。
しかし彼女はほとんど反応を見せず、代わりに彼女自身の悪夢を主張し始めた。

ξ゚⊿゚)ξ「貴方が見た夢なんて大したこと無いわよ」

彼女はそう前置きし、自信さえ匂わせながら僕に言った。

ξ゚⊿゚)ξ「私はね、ゆりかごの一歩外が墓場だった夢を見たのよ」
 
数秒後、困り顔の僕に彼女は、かつて無いほど頬を膨らませていた。

44 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:02:02.04 ID:Ptl3ZCyE0
十三

一度、彼女が本を読みながらそのままソファで眠りに落ちてしまった時、
目覚めた際の彼女は常日頃よりも一層気怠そうだった。

ξ゚⊿゚)ξ「ああ、ゆりかごで眠らなかったのね」

彼女はやや悔しげに独りごちた。

ξ゚⊿゚)ξ「道理で、悪夢を見なかったわけだわ」

( ^ω^)「ゆりかごで眠ると、悪夢を見るのかお?」

僕がやや驚いて問いかけると、彼女は面倒くさそうに髪を掻き、大きく欠伸をした。

ξ゚⊿゚)ξ「……ええ、そうよ。ゆりかごで眠ると、悪夢を見れるの」

( ^ω^)「じゃあどうしてゆりかごで眠るんだお。毎日、最悪の目覚めだろうに」

ξ゚⊿゚)ξ「だって、そうでもしないと私は完全に甘えきってしまうもの」

53 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:07:16.60 ID:Ptl3ZCyE0
( ^ω^)「……何に?」

ξ゚⊿゚)ξ「つまりね、この世界そのものがゆりかごなのよ……
     私は、いつまでもいつまでも揺られているだけ。貴方も、いずれは……」

( ^ω^)「いいよ、もう」
語る表情が徐々に歪められているのに気づき、僕は慌てて彼女を制した。

ξ゚⊿゚)ξ「だから、せめて夜は悪夢を見るの。
     現実の補償と言っていいかも知れない、依存を補償する、恐怖や、不安……」

( ^ω^)「……答えたくないなら答えなくて構わないけど、例えばどんな夢を見るんだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「時間が徐々にすり減っていくような……。
     漠然とした不安、奇妙なイメージと不可解さ……
     底の知れない沼と、果てのない宇宙の、繰り返し……」

61 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:10:50.62 ID:Ptl3ZCyE0
十四

僕の処女作はこんな内容だった。
 
今日も人々が人々の波にもまれて生きている。
それはあまりに哀しいことだ、と通りがかった宇宙人は呟いた。

彼はUFOに乗り、宇宙を独りで旅している。
孤独が好きで、常に人と関わる生活など、考えるだけでも吐き気がする程忌み嫌っていた。
そんな彼だから、目の当たりにした地球の光景に哀れみを覚えたのである。

「この中にも孤独が好きな者はいるだろうに、可哀想なことだな」
 
彼の住んでいた星は地球の数倍大きかったが、人口は地球の半分にも満たなかった。
だから彼は家族以外の星の住人に会ったことがほとんど無かった。
そんな彼が孤独を愛するというのだから、これはもう、半分病気のようなものである。
 
観察しているうち、彼は地球人の生態に並々ならぬ好奇心を抱いた。
そこで彼は、UFOから降りて地球人への接近を試みたのである。
 
変装を果たした彼が最初に歩いたのは夜の繁華街であった。
当然、若者を中心とした地球人が多数たむろしている。
あまりの喧騒に宇宙人は発狂寸前になり、慌てて人気のない路地裏へと逃げこんだ。

69 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:14:50.00 ID:Ptl3ZCyE0
そこで彼は、汚れた壁を背に座り込んでいる中学生ぐらいの少女を発見する。
彼女は朽ち果てた色の瞳をし、じっと一点を見つめていた。宇宙人は彼女に興味を持ち、会話を試みる。
 
聞いてみると彼女は、しばらく前に家から追い出されたらしい。
原因は、母親が新しい男を家に連れ込んだためだ。

邪魔者扱いとなった彼女は家に帰れなくなり、仕方なく今日までフラフラと放浪していたが、
いよいよ金が尽き、どうしようもなくなってしまった。頼れる友達もいない。
彼女は学校でもいじめられており、まるっきり天涯孤独の身の上だったのだ。
 
話を聴き、宇宙人は彼女を手助けすることにした。同情というよりは、共感を覚えたのである。
彼は自らが地球人でないことを明かし、その上で何か出来ることはないかと尋ねた。
 
当初少女は疑うばかりだったが、宇宙人が元の姿に戻ったことで信用せざるを得なくなった。
少女は彼に、せめて家に帰れるようにしてほしい、と願った。
 
宇宙人はその願いを叶えた。
少女は家に帰ることが出来、それを見届けると、彼はまたUFOに乗って旅に出た。
 
地球時間にしてそれから六年後、宇宙人は再び地球を訪れた。少女の事が気にかかったためである。

75 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:18:32.56 ID:Ptl3ZCyE0
前回と同じように地球人に扮して街を歩く。すると、何故かたちまち視線が集まってきた。
中には悲鳴を上げて逃げ出すものもいる。彼が不審に思っていると、地球人の若者が一人、近づいてきて叫んだ。

「おい、コイツ、例の宇宙人なんじゃね?」
 
宇宙人の変装は、六年前と全く同じものだった。しかし、だからと言って何故ばれたのだろう?

実は、少女に真の姿を見せた際、彼女はその変身の様を携帯電話で動画撮影していたのである。
それはインターネットから瞬く間に全世界へ広がった。
動画の画質が良く、テレビでも再々取り上げられたために、記憶している人間が多くいたのだ。
 
宇宙人はたちまち地球人に取り囲まれ、撮影の嵐を受けた。
彼はその時やっと、携帯電話が撮影機能を持っていると知ったのだ。
彼はテレビや研究所などから引っ張りだことなり、UFOへ帰ることも出来なくなった。

交流を嫌う彼に取って、それは耐えられないことだった。
 
やがて、彼は少女と再会した。少女はあの動画を切っ掛けにたちまち有名人となった。
今では、モデルとして雑誌やテレビで活躍しているのである。

「あの時はありがとうございました! おかげで私、今は幸せです!」
 
満面の笑みで握手を求めてくる彼女に激昂した宇宙人は、その場で彼女の首をもぎ取った。
そしてそのままUFOに逃げ戻り、搭載していた電磁兵器を駆使して地球を破壊してしまったのである。

78 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:22:03.46 ID:Ptl3ZCyE0
 ( ^ω^)「ねえ」

僕は改めて読み返し、首を傾げながら彼女に呼びかける。

( ^ω^)「やっぱりこの小説、面白いと思うんだけど」

ξ゚⊿゚)ξ「自己満足なんて要らないわよ。私にとっては面白くないんだから」

にべもない彼女の言葉に、僕はもう一度首を傾げた。

83 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:26:54.83 ID:Ptl3ZCyE0
十五

何かあっただろうか……いや、何も無い。特別な事は何も無かった。
僕と彼女が繰り広げたのは、仄かな幻視が垣間見えるだけの日常に過ぎない。

滅多な幸福も不幸もなく、いや、どちらかと言えば幸福なのだろうが、
それを必要以上に噛み締める機会もなかった。

限り無い湖に張られた薄氷のように、この日常は、
どこか危うげながらどこまでも平坦に続いていくような気がする。
 
しかし、実際のところどこまでも続くものなんて存在しない。
だから、僕が馳せる永久への思いは、失う確信によって裏打ちされていると言えるだろう。

ともかく、今日も彼女はゆりかごに眠っている。
僕はそんな彼女に儚さを感じ、同時に愛おしく思う。
儚いから愛おしいのだ。僕は彼女が死ぬことは無い、と確信する。

死ぬのではない。消えるのだ。

84 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:30:40.19 ID:Ptl3ZCyE0
十六

引き篭もり同然の彼女を外へ連れ出すのには相当苦労した。
散々に説得した挙句、僕が弁当を作り、荷造りやその他の準備も全て僕が引き受ける条件付きで、
彼女はようやく外出を承諾したのである。
 
僕としてはのどかなピクニックを理想としていたのだが、
変わり映えなくどこまでも続く道程には流石に辟易した。
他方で彼女は想像以上に楽しんでいるらしく、僕が歩く通りに不平ひとつ言わずついてくる。

( ^ω^)「しかし、帰れるのかお。目印のようなものが何も無いお」

ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫よ。私が覚えているから」
 
景色はどこまで行っても変わらなかった。
空はいつまでも蒼く、そこに映る人の流れはどこまでも真っ直ぐだった。

僕はふと、いつかの夜に見た落下した人の事を思い出した。
そして、いい加減疲労を感じ始めた頭に、落ちた彼の発見を目的として組み込む。

死体を発見しようという心持ちは無く、むしろ彼とは会話がしたかった。
途中で弁当を食べ、なお歩いた。
彼女は僕の作ったおにぎりが不揃いだったことを随分と愚痴っていたが、やがて不意に口を閉ざした。

87 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:34:37.40 ID:Ptl3ZCyE0
( ^ω^)「疲れたかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「ううん……ねえ、貴方はどこまで歩いて行きたいの?」
 
彼女の問いかけに答えようとした時、視線の彼方に何か落ちているのが見えた。
駆け寄って拾いあげてみると、それはボロボロの革靴だった。

( ^ω^)「どうしてこんなところに靴があるんだお」

そう独りごちて、よく観察してみる。何の変哲もない革靴であったが、妙に記憶の奥底を擽った。

「酷く草臥れているお。履きつぶしたんだろうけど……」

ξ゚⊿゚)ξ「ねえ」

彼女がやや不安そうな声色で話しかけてくる。

ξ゚⊿゚)ξ「そろそろ帰らない?」

( ^ω^)「え?」

ξ゚⊿゚)ξ「もうすぐ日も暮れるわ。そろそろ戻らないと……」

彼女の言葉は正しく聞こえたが、その割に彼女の態度はいつになく弱々しかった。
彼女は明らかに、何かを恐れていた。

96 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:38:53.34 ID:Ptl3ZCyE0
改めて手の中の革靴に視線を落とす。記憶がぐるり、と半回転したような錯覚を感じた。
記憶の底が表出し、僕は一人の男を思い出した。
 
彼は僕の、無二の親友だった。幼い頃からの腐れ縁で、ずっと友達で居続けていた。
彼の思い出ならば語り尽くせないほどに湧きでてくる。
そんな彼のことを、僕は今の今まで全く意識に上らせることが無かったのだ。

( ^ω^)「あの日落ちたのは、あいつだったのかもしれないお」

何の気もなく口にしたその思いは、言葉になった瞬間に真実味を持った。
そして直後には、そうとしか考えられなくなってしまったのである。

彼の人生が流れから外れて断絶された……意外なことに、
その事実は僕の心へあまり深刻なダメージを与えなかった。
無論、悲しみはある。しかしどこかで、運命的な必然性を感じてもいるのだ。

( ^ω^)「そういうものなんだお。そういう……。
       あいつにしたって、僕にしたって、誰にしたって、もがき苦しんでいるんだから……。
       死の価値を高めることすら、世迷言に思えてくるお。

       疲れたんなら、仕方ない。評価はしないし、馬鹿野郎と言いたいけれど、仕方ない……」
 
振り返ると、彼女は涙を流していた。泣いていると表現するのは躊躇われる。
彼女の涙はあまりにも自然な、感情を伴わないもののように感じられた。

103 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:43:06.89 ID:Ptl3ZCyE0
僕は僕自身の、余りある幸福について考えた。
彼女や、この世界のおかげで、僕の「さようなら」はかき消された。
だから、僕は社会や人間から断絶された親友を想い、それを起こした社会に憎悪や諦観を覚えることが出来る。

( ^ω^)「帰ろうかお」
 
目的は果たした。しかし彼女はどうだろう? 頬を伝う止まない涙を、彼女は指で拭っていた。

( ^ω^)「……大丈夫? 哀しいのかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「……いいえ。でも、哀しくないことが哀しいのかもしれない」

彼女はそう言うと、少しだけ僕の方へ身体を寄せた。

ξ゚⊿゚)ξ「私には分からないわ。空を流れる人のことも、その革靴も、あらゆる人生も……。
     だから、貴方ほど感傷に耽ることが出来ない。その振りをするのは簡単かもしれないけど、
     でも、中身がない……この涙も、何の意味もないわ。何の意味もないのに止まらない。

     私には何も分からないのに……」
 
彼女の無知を論う権利を僕は持ち合わせていない。
僕に限らず、多くの人が何も知らないのだ。社会のことも、人生のことも、何も。
だから僕らは時々、言うべきことを言わないでいるし、言わないでいいことを言ってしまう。

例えば、「さようなら」のように。

116 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:48:50.34 ID:Ptl3ZCyE0
( ^ω^)「帰るお」

さらりと口にした風を装いながら、頭の中は適切な言葉を探すためにフル回転していた。

( ^ω^)「帰る場所があるお。それだけは確かなことだと思うお。だから、帰るお。そして眠ることにしようお」
 
革靴はその場に置き去ることにした。地面に指でささやかなメッセージを書き残し、僕らは帰路についた。
彼女の涙はいつしか止み、いつもの強気な態度を取り戻していた。
まるで、先程の出来事を全て忘れてしまおうと考えている風にさえ思えた。
 
彼女は無知である以前に、知るということを知らないのかもしれない。
彼女は、彼女の領域内で起きている事以外、少しも受け付けられないのだ。
普段引き篭もり、人の流れを嫌うのはそのためだろう。
 
出来ることなら僕が知る喜びを教えてあげたいが、生憎それには時間が足りなさ過ぎた。

124 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:52:12.28 ID:Ptl3ZCyE0
十七

「眠れないの?」
 
小石、もしくは彼女が窓辺に座り込んでいる僕に問いかけてきた。
その時僕は、壁に向かって自己紹介をしている最中だった。
今宵は星の輝きが一層強く、まるでもうすぐ宇宙が蒸発してしまうようだ。

その宇宙の家の中で、僕は彼女におずおずと呟いた。

( ^ω^)「こんなことを言うと君は怒るかもしれないけど、僕はやっぱり、
       人生が直線的な流れとして在るように思えてならないんだお。

       君の言う、エピソードとしての人生にしたって、それが積み重なるから今の僕がいるわけだし……。
       つまりね、その流れは僕が生きている限り止められないんだお。

       ごめん、だけど、僕はやっぱり君とどうやって出会ったのか、
       もしくは自分がこれまでどのような人生を歩んできたのか、気にしてしまうお。

       現在に不満があるわけじゃない。でも、何と言うかな、罪悪めいた感情が僕を支配しているんだお。
       僕だって北から南へ流れる川の流れに寄り添わないといけないはずだお。
       僕はここでエピソード的に存在していてもいいんだろうか」

133 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 22:57:28.07 ID:Ptl3ZCyE0
彼女からの答えはしばらく返ってこなかった。
また眠ってしまったのではないかと思えた頃、ようやく彼女は一言、口にした。

「休憩してるのよ」

( ^ω^)「休憩?」

「……貴方は、ほんのささやかな休憩をしているだけ。
 満足に人生へ帰るために、失語症を治すために。だから、何も気にしなくてもいいのよ。
 頃合いが来たら、貴方は帰るわ。流れの中に……。そしてまた、淀みなく流れていくのよ……」
 
彼女の台詞の調子には、どこか絶望のような匂いがあった。
離別を惜しんでいると考えるのは少々自意識過剰だろう。
彼女の言葉の濁りは、自己矛盾をありありと表現している故であるはずだ。

「貴方がここで得たものは、一つのまとまった人生のストーリーじゃない、
 簡単に壊れてしまうような、繊細なエピソードなのよ。
 貴方はこの話を心に留めるにしても、それを刺戟的な体験と考えてはいけないわ。そして、私のことも……」

( ^ω^)「でも、それは余りにも虚しいじゃないかお。
       君の存在も、僕の休憩も、僕の人生に組み込まれた貴重な部品であることに変わりはないんだし……」

「いいえ、部品なんかじゃないわ。私も、この家も、小さな石にすぎないのよ。
 だから貴方が快復すれば、そこから始まる貴方のストーリーの続きに、私たちは関与しない。
 
 そういうものなのよ。私たちを取り入れたストーリーなんて、碌なものじゃないわ。
 それは、ただの甘えだもの。でもね、本当は、そういうものに憧れているのよ……」

146 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 23:02:38.01 ID:Ptl3ZCyE0
彼女が連続した小説を嫌う理由が分かった気がした。
ストーリーになれない彼女は、ストーリーや、人生に嫉妬していたのだ。
自分がそうなれないことを分かったうえで、反抗するがためにゆりかごを使っていたのだ。

( ^ω^)「でも……君のやり方は、正直スマートでは無かったと思うお。
       だって君の言うとおりだとすれば、僕は快復後、君について考えを巡らせることも出来なくなるお。
       そうするには、君の存在はあまりにも大きすぎたお」

「ええ……。でも、こうするしか無かったのよ。
 もしかしたら快復した貴方が再び自分の人生に戻って、
 その人生が……呆気なく終わりを迎えてしまうかもしれない。けれど私は……」
 
わかっている、わかっている、わかっている。ストーリーというのは何とも残酷なものだ。
僕が乗るゆりかごは、一直線に墓場へ向かっているのだもの。

それがいつやってくるか、僕にも、君にも分からない。だから僕らは、休憩にさえ恐れを感じてしまうんだ。
休憩をしている間にストーリーが終わったら元も子も無いのだから。
そうして動けなくなるまで生き続けて、親友のように呆気ない最期を迎えてしまうことだってあるのだ。

156 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 23:07:20.57 ID:Ptl3ZCyE0
( ^ω^)「だから僕を流れから外して……ささやかな寄り道をさせてくれたわけかお。
       死や老いを心配しなくて済むこの世界へ、僕を休ませるために」

「許してほしいの、私はこの世界のことしか知らないわ。
 この甘美で、休むにはぴったりな世界のことしか……。でも、ここは生き続けるには少し穏やかすぎるのよ。
 
 ゆりかごのようにいつまでもいつまでも甘えていられる……成長の余地も、変化の余地も無い。
 けれど気付けば、ゆりかごは墓場に到着しているのよ。私が一歩踏み出せば、もうそこには何もない」

( ^ω^)「つくづく不思議だお。
       そんな君は、僕にとっての何なんだろう……ごめんね、さっきから自分の話しかしてないお」

「いいのよ。貴方はこのささやかな時間に、沢山甘えておくべきだわ。
 そのためにこの世界があって、そのために私がいるのだから」

( ^ω^)「うん。随分……何も無かったお。そう、何も無かった。
       本当に、こんな時間が欲しかったんだお、進まない時間が」

「ねえ……貴方の書いた小説、実はそんなに悪くなかったわよ」

( ^ω^)「本当に?」

「面白くはなかったけどね」

( ^ω^)「二作目は、きっと面白いものになっていたはずだお」

「楽しみにしたかったわ」

163 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 23:11:44.83 ID:Ptl3ZCyE0
十八

ξ゚⊿゚)ξ「これは?」

( ^ω^)「りんご」

ξ゚⊿゚)ξ「これは?」

( ^ω^)「さら」

ξ゚⊿゚)ξ「これは?」

( ^ω^)「包丁」

ξ゚⊿゚)ξ「これは?」

( ^ω^)「君」

ξ゚⊿゚)ξ「おめでとう、全問正解よ」

( ^ω^)「ありがとう……。しかし、不思議なものだお、こうして話していると、
       自分の中で失語症だった時と大して違いが分からないんだお。
       まるで、僕は最初から失語症じゃなかったかのようにも思えるお」

170 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 23:15:27.00 ID:Ptl3ZCyE0
ξ゚⊿゚)ξ「貴方はずっと理解出来ていたんだものね。
     それを、上手く伝えるのに苦労していただけ。
     要は、他人による評価が重要になってくるのよ」

( ^ω^)「そうだった、そういう世界だお……。僕自身は変わったつもりはない、
       周りだって変わっていないように見えるのに、
       いつだって世の中は自転以上の速度で起伏を繰り返しているんだから」

ξ゚⊿゚)ξ「外から見れば穏やかな川の流れにしか見えない。
     けれど、身を投じれば激流に感じられるときもある……
     ええ、でも大丈夫よ、貴方はすっかり快復したわ」

( ^ω^)「うん……ありがとう」

ξ゚⊿゚)ξ「どういたしまして」

( ^ω^)「さようなら」

ξ゚⊿゚)ξ「さようなら」

( ^ω^)「足りないかお」

ξ゚⊿゚)ξ「十分よ」

178 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 23:19:25.67 ID:Ptl3ZCyE0
十九

ゆりかごの中に、小石が一つ落ちている。
何の気なしに揺らしてみると、小石はころころと従順に転がる。
妙に感傷的な気分だ。

ゆりかごの外へ飛び出してしまわないようにゆっくりとゆっくりと、僕はいつまでも揺らし続ける。

やがてその石が自らゆりかごの外へ羽ばたいたら、僕は涙と喝采を彼に送るだろう。
ちっぽけなその存在が自らの運命を悟り、そして抗おうとしたことに祝福を覚えて。

180 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 23:23:07.90 ID:Ptl3ZCyE0
二十

今日も僕は、人の波の中で生きている。









( ^ω^)ささやかに休むようです 終わり

196 名前: ◆FeIP505OJ. :2011/07/22(金) 23:29:58.99 ID:Ptl3ZCyE0
ちょっとどこから手をつけていいかわかんないのですが、とりあえず終わりました。
いやほんとどこから手をつけていいかわかんないのですが、
こんなにたくさん有名作者の方々に来て頂けるなんて感激の極みです。

あとまあたらしいゆりかごはまとめサイトかどこかできっちり読むのがお勧めです。

いやまあそういうわけですので宴もたけなわではございますが、
ここらで締めさせていただきたいと思います。

あと、そのう、俺の投下作品も、読んでいただけたらなって。
なんでもないです。支援とかありがとうございました。

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