mesimarja
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( ^ω^)の国が沈むようです
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 21:08:29.20 ID:MIG1w1FY0

いつもこうだ。
報われない。

子どもの時に好きな子に告白した。

痩せてから来いと言われ、その通りにダイエットしたさ。
でも、十分に体重を落とした時には、彼女はもう別の男と付き合っていた。

高校に入って勉強がずっと難しくなった。
親には大学に入れるように死ぬ気で勉強しろって言われた。
勿論、その通りにしたさ。

親父が死んだのは大学受験の直前だった。
入学金も授業料も払えないからと、僕は仕事に就くことになった。

僕の人生はつまらないものだ。

今だってそう、僕の人生は既に終わりかかっている。
沈みかかった船って奴だ。

笑えない比喩だって?

そうだね……。

沈みかけてるのは、僕らの国なんだから


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 21:13:42.81 ID:MIG1w1FY0

テレビで見た。
外国では財政危機って奴が起きて、色々とヤバいらしい。

そういう国を沈んでいくって表現することもあるそうだ。
泥沼にはまっていくってことなのかな。

僕にはよくわからないけど。

そんな比喩的な意味じゃない。

僕らの国は、今も沈んでいっている。

環境問題のせいで海面が上昇し、そのせいで南国の島は無くなったそうだ。
それも勿論沈むって言うんだろう。

何も間違ってはいない。

でも、僕らの国の 「沈む」 は少し違う。

ゆっくりと、海の中に沈んでいくんだ。

なん立って僕らは、船の上に生活してるんだから。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 21:16:01.70 ID:MIG1w1FY0





( ^ω^)の国が沈むようです



完全に沈むまで後────24時間

22 名前:>>19はミス:2011/11/21(月) 21:23:31.54 ID:MIG1w1FY0

そもそも何で僕たちが船の上で生活しているのか。

それを教える必要があるだろう。
簡単に言ってしまえば、これは隔離船なんだ。

病気の人。

腕がない人。

喋れない人。

そういう人たちが、この場所に集められる。

正確には、この船に、捨てられる。

僕のとおちゃんは、眼が見えないし、かあちゃんは右腕がない。

とおちゃんは先天性だから、生まれた時からずっとここにいたんだって。

かあちゃんはある日、事故で腕を無くして、ここに送り込まれたんだ。

ここきて、泣いてたかあちゃんを毎日なぐさめていたのがとおちゃんだった。

二人は結婚して僕を生んだ。

もし僕が正常だったら、本土に帰れたかもしれなかったけど。

僕は……喋れない。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 21:25:35.73 ID:MIG1w1FY0
や、のっとりだけど?

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 21:34:28.59 ID:MIG1w1FY0
>>29
じゃあ、終わった時のどちらが評価されるか勝負でもしてみませんか?wwww

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 21:41:28.71 ID:MIG1w1FY0

話を聞いた時は悔しかった。

こんなにも立派なとおちゃんが、
こんなにも優しいかあちゃんが、

どうしてこんな監獄にとじこめられなきゃならないのか

でも、そんなことはどうでもよかった。

ここは国、つまり本土の人々の税金で運営されてるから、
僕らは農業だけしていれば生きていける。

勉強はしたけどね。

ここで優秀な成績を出せば、本土に帰れる。
特別扱いって奴だ。

それ以外の人間はノルマである農作業をこなすことである程度自由に生きれるようになっている。
とおちゃんが死んじゃった時、片腕しかないかあちゃんだけではノルマの農業ができなかった。

だから、僕は働くことに決めた。

かあちゃんと一緒に暮らしたかったから。

ちなみに、与えられたノルマをこなせなかったらどうなると思う……?


飼料行き……みんなそう言ってるけど……実際はどうなのかわからない。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 21:45:50.55 ID:MIG1w1FY0

まぁ要はまともに生活はできなくなるってこと。

ζ(゚ー゚*ζ「ごめんね、ブーン……私のせいで」

気にしないでくれお

これもいつものやり取り。
僕は、かあちゃんに生きていてほしい。

でもかあちゃんは、そうは思ってなかったみたい。

それなりに優秀だった僕が、この監獄から抜け出すチャンスを自分が奪ってしまったと思っている。

でも違うんだよ、かあちゃん。
抜けだすことができたとしても、僕はかあちゃんを置いては出ない。

かあちゃんは、かあちゃんなんだから。

筆談で伝えるにはあんまりにも恥ずかしいから。

いつも笑いかけるだけで終っちゃう。
いつか、伝えられたらいいな、そう思いながら。


でも、そのいつか、が随分と短いのを知ったのは今日だった。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 21:52:28.75 ID:MIG1w1FY0

船が沈んでいる。

それに気づいたのは、釣りをしているお爺さんだった。

僕ら家族にとてもよくしてくれて、釣れた魚をよく分けてくれたお爺さん。

もともと漁師をやっていて、その時に足を失ったと聞いた。

そのお爺さんが、船がゆっくり沈んでいると話してくれた。

海面をおそるおそる覗いてみると、確かにゆっくりと沈んでいた。


昨日が騒がしかったのは、これのせいか……。


お爺さんの言う通り、確かに昨日は騒がしかった。
普段あんまり見ないヘリコプターが何機も飛んでいたし、
この船で働いている「健常者」の人たちがドタバタと走り回っていた。

生まれて初めて見た光景で会ったけど

それがこの後に影響してくるなんて考えもしなかった。


45 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 21:57:57.28 ID:MIG1w1FY0

船が沈んでいる。

すぐに大騒ぎになった。

あちこちで、みんなが話している。
それを横身に見ながら、かあちゃんの元に走った。

ああやって話せたらどれだけいいだろう。

そうは思ったけれども、何よりも母ちゃんに伝えるのが先だと思った。
僕らの暮らす部屋は、小さい扉がたくさん並んだ三等客室と呼ばれる場所。

自分の家の番号を確認して、部屋に飛び込む。

もどかしく思いながら、紙に今起きていることを書いた。

船が沈んでいるんだって。
かあちゃんはここでまってて。
他の人に聞いてくるから。

殴り書きになってしまって、かなり読みにくそうにしてたけど、
かあちゃんは意図をさっしてくれたみたいだ。

これで、外が騒がしくてもそんなに心配しないだろう。
次に僕がするべきなのは、なんで船が沈んでいるかだ。

49 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 22:05:17.76 ID:MIG1w1FY0

原因を調べるのは簡単じゃないだろう。

この緊急事態で、話せない僕との筆談に付き合ってくれるとも思えない。
でも、僕がやらなきゃいけないんだ。

とおちゃんの代わりに、僕が。

甲板で話しているグループに近寄って筆談をしようと紙を取りだした。
でも相手にしてくれなかった。

めんどくさそうに手を振られる。
あっちへ行けということだろう。

しつこくするわけにはいかないので、どうにか話してくれそうなグループを探す。

何回か断られて諦めそうになっている時、僕に話しかけてくれる人がいた。
  _
( ゚∀゚)「ぼうず、確か話せねぇんだよな?」

その声の持ち主は全く知らない大柄な男の人だった。
頷いて反応すると、少し聞き取りにくい口調だったその人は自分の耳をさしていった。
  _
( ゚∀゚)「俺は耳が聞こえねぇんだ。何か起きてるみたいだが、知ってることを教えてくれないか?」

耳が聞こえなければ、僕と同じく会話には入れない。
わかりやすく、完結に手元に会ったメモ帳に書いた。

船が沈んでいる、と。


51 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 22:10:58.99 ID:MIG1w1FY0
  _
( ゚∀゚)「おいおい、そりゃまじかよ?」

ほんとだお。
試しに、海面を見てみるといいお。

男と一緒に船の縁まで向かう。
  _
( ゚∀゚)「あーこりゃほんとか……」

どうすればいい

筆談で聞く。
僕らの会話は他の人よりずっと遅い。
でも、だからこそ、ゆっくり話すことで少しくらいは冷静になれる。
少なくとも、あちこちにいる大人みたいに慌てふためくことは無い。

そんなことをすれば会話が成り立たなくなるわけだし。
  _
( ゚∀゚)「どうすればって、そりゃ探そうぜ。健常者、サマをよ」

喋れない子どもの僕と、聞こえないおっさんのコンビができた。
我ながらなかなかアンバランスさに少し笑ってしまう。

前を歩くおっさんは僕の笑いに気づかなかった。



53 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 22:15:19.77 ID:MIG1w1FY0

がん、がん、と大きな音が聞こえた。
おっさんはもちろん気づいていなかったけど。

その服を引っ張る様にして、意識を向けさせる。
  _
( ゚∀゚)「なんだ坊主?」

あっちから音がする

そう書く。
指差す先は、「農場」。

この船は農場が何ブロックgかあり、居住者である僕たちもまたブロックごとに区切られていた。

聞いた話だと、前中後の三区画。
そのどれも巨大な壁で仕切られている。

その大きな鉄扉に、僕らのブロックの人々が農具をぶつけていた。
頭が痛くなるほどの音が鳴っている。
  _
( ゚∀゚)「あれはこわれねーよ。あんなことしても無駄だ」

その大男はどうやら船に多少詳しいらしく、僕は黙って従うことにした。
農場を無視し、どんどんと進んでいく。


55 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 22:20:13.49 ID:MIG1w1FY0
  _
( ゚∀゚)「おっと、同じく少しは賢いのがいるみたいだな」

おっちゃんに連れられて辿りついたのは、見たこともない扉。
そもそも、この付近に来たことがないから当たり前なんだけど。

今、船のどこあたりにいるのかが全く分からない。

壁には「該者」近寄ることを禁ず。

とあった。

該者とはつまり僕らのことをさす言葉だ。

昔は色々な言葉があったらしいけど、これに統一された。
一つ一つの呼び名のある病状が外傷を纏めて表せて、
さらに人権団体がうるさくないように配慮したようだ。

勿論昔の話だけど。

今は人権団体なんて存在しない。

なぜか?
みんな自分の方が大事だから。

それにもし、人権団体なんてあったら……。
こんな船は作られてないだろうしね。

59 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 22:26:26.00 ID:MIG1w1FY0
  _
( ゚∀゚)「あんたら、その扉は開くか?」

大柄なおっさんに話しかけられて、前にいたグループは皆一様に黙ってしまった。
おっちゃんは何故かはわからないが、返事がないと判断したのだろう。
付け加えるように質問した。
  _
( ゚∀゚)「昨日騒がしかった連中は、、いったいどこにいった?」

( ´∀`)「分かんないモナ。私たちも今ここに来たばかりで。
      中に人はいないかもしれないモナ」

今来たばかり
中に人はいない

最もわかりやすいように書く。
それを見て、先にいたグループが僕らのことを理解してくれたようだ。

聞こえないおっさんと

喋れない僕とを。

( ´∀`)「少しくれないかモナ?」

太ったおっさんは甲板にいた他の大人と違った。
僕から紙を受け取ると、すらすらと書いていく。

そこには、こう書かれていた。



60 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 22:29:56.78 ID:MIG1w1FY0

私たちは捨てられたのではなかろうか?
  _
( ゚∀゚)「ああ……」

それだけで、おっちゃんは理解したようだ。
僕は分からなかったので、首をひねる。
  _
( ゚∀゚)「坊主……この船は沈んでるって言ったろ?
     んでもって、普段ここにいる見張りがいない」

( ´∀`)「食堂にもいなかったモナ」



つまり、僕らは……


  _
( ゚∀゚)「捨てられたんだ」


61 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 22:36:47.51 ID:MIG1w1FY0
  _
( ゚∀゚)「この船について一切知らせない、国の方針はおかしいと思ってたんだよ」

( ´∀`)「そうモナね。今思えば気づくべきだったモナよ……。
      私たちをまとめて殺そうと国が画策していたなんて」

僕はおじさんの言葉を書こうとしたが、手が震えてうまく書けない。
国に捨てられたってことはどうなる。

かあちゃんは、どうなる?

ぼくはどうなる?

おじさんが僕の肩に手をおいてくれて、それで少し安心した。
  _
( ゚∀゚)「生きてこの船から逃れるには、勉強をしてきたお前の知恵が必要だ」

( ´∀`)「この子、勉強してたモナ? いや、紙とペンを持ってるってことはそうモナね。
      モナーも昔勉強してた時、支給されたモナ。勿論、ほとんど残ってないモナ」

僕に何ができる?

書きこむ手はさっきよりもずっとしっかりしていた。。

( ´∀`)「とりあえず静かに話せる所に行きたいモナ。みんな、ついてきてくれるかモナ?」

男の後ろにいたのは、二人の小さな女の子。

見た目には特に病気には見えなかったが。

63 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 22:42:45.11 ID:MIG1w1FY0

僕の家に来て


家にはかあちゃんが残っていたから、一度帰りたかったのだ。
おじさんとおっちゃんは快諾してくれた。

ζ(゚ー゚ζ「ブーン……その人達は」

怯えるかあちゃんにどう説明すればいいか迷っていると
おっちゃんが説明してくれた。
  _
( ゚∀゚)「いきなりお邪魔してすまねぇ。この船が大変なことになってるんでな。
     何とかしようと相談する場所を探してたんだ」

( ´∀`)「突然申し訳ないモナ。私たちが脱出するには彼の力が必要なんですモナ」


ζ(゚ー゚ζ「……わかりました。具体的にはどうするんですか?」



64 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 22:48:44.35 ID:MIG1w1FY0
  _
( ゚∀゚)「ここから一番近い島は分かるか」

僕は授業で習った事を思い出す。
紙の中心に僕らの国を書き、そこから一番近かった島を書く。

距離は大体30km程だったはず。

(; ´∀`)「30km……とても泳げる距離じゃないモナね」
  _
(; ゚∀゚)「想像以上に遠いな……」


ζ(゚ー゚;ζ「そんな……」

僕も思い出してまた手が震えてくる。
30kmも移動できる手段なんて考えられない。

黙って沈んでいくのを待つのかもしれないと、諦めかけた時

(; ´∀`)「昔、この船にもボートがあると聞いたことがあるモナ」
  _
(; ゚∀゚)「それだっ! それはどこにある!?」


66 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 22:56:26.22 ID:MIG1w1FY0

(; ´∀`)「分かってたら苦労はしないモナよ」
  _
(; ゚∀゚)「そうだな」

おじさんの筆談は僕よりずっと早く、僕が入り込むスキマは無かった。
それに、子どもである僕が何かをするより、大人である彼らに任せた方がいいのだ。


ガタン


大きく足元が揺れた。

(; ´∀`)「船がっ!」

全員で外に向かって走る。
揺れは激しく何度もこけながら、やっと外に出てきた時、目の前は絶望的な展開が広がっていた。

甲板に海水が流れ込んできていた。

ζ(゚ー゚;ζ「ブーン逃げるわよっ!」

より高く、上へ上へと。
息を整える暇もなく階段を駆け上って。

二人の小さな女の子はおじさんとおっさんが背負っていた。

70 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 23:01:32.26 ID:MIG1w1FY0

今頃【農場】に逃げた人々はおぼれ死んでるんだろう。
この船で生き残っているのはもう僅かしかいないんじゃないか。
僕らも結局生き残れないんではないか。

そう思っていた。

まさにその通りで、一番高い所まで逃げてきた時、そこにいたのは僕ら五人だけだった。
隣のブロックには生きている人がいるかもしれないが、それはここからじゃわからない。
  _
(; ゚∀゚)「ここまでか……?」

(; ´∀`)「せめて娘二人は助かってほしいモナ……」

僕らはもう諦めていた。

その時、二人の女の子が遠くを指差す。
その方向から来たのは大きなヘリコプター。

結局、僕らはなんとかして助かった。
生き残ったのは僕らだけだった。

僕は疲れ切ってしまい、ヘリコプターの音を聞きながらゆっくりと眠りについた。


71 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 23:06:50.03 ID:MIG1w1FY0


───────

今日午前2時、該者隔離施設船が事故により水没しました。
居住していた人々で助かったのは6人だけだそうです。

関係者はこの痛ましい事件  ピッ



なかなかいい案でしたね。
これで生活保護受給者も、社会保障関係費も随分少なくなります。

……たまたま船は沈んだのだ。
我々は何もしておらんよ。

ああ、そうでしたね、失礼。
生き残った連中はどうします?

ああ……次の施設に入れろ。

では、そのように。






72 名前:適当につけた ◆uLH4otBrgoPN :2011/11/21(月) 23:09:13.67 ID:MIG1w1FY0
久しぶりに乗っ取りができそうなスレを見つけたので、ついやってしまった。
後悔はしていない。

じゃあ、もう一人、頑張ってくださいな。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 20:57:51.03 ID:pFOkYfrK0
乗っ取るわ

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 21:18:55.35 ID:pFOkYfrK0
VIP国は、昔から外敵に襲われ悩んでいた。

北方の山からは山賊が、南方の海からは上陸してきた海賊が。

西の森からは危険な野生生物が人間の血肉を求めて。

東には巨大な工業地帯があったが今はもう稼動していない。

何故か?国の外に出られなくなり稼動もメンテもできなくなったのだ。

今から十年程前に今の国王が四方を巨大な壁で取り囲んだ。

外敵が忍び込めないように高く、高く。

外に続く門などは作られず、検問などに余計な兵を裂く必要もなかった。



そう、外部からの侵入と同時に貿易などもできなくした諸刃の剣である。

他の国からの品は手に入らなくなったし動物の肉も食えなくなったが

自国で栽培した野菜があるし物を作る技術も十分だったから問題ない。

他国の奇形野菜や変な物質で育てられた肉を食うより遥かにマシだ。

好き好んで自国民を陥れようとする奴なんてこの国にはいないだろう。

逃げる場所もなく捕まるだけのこの国では……安心だと思っていた。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 21:33:38.09 ID:pFOkYfrK0
気遣ってくれるのはとても嬉しい
よかったら同時投下しないか?
君の書く話も気になる

33 名前:>>30 上等だぜ:2011/11/21(月) 21:40:58.52 ID:pFOkYfrK0
('A`)「スペルでお前の場を一掃して荒ぶるグリズリーで直接攻撃、俺の勝ちだ」

(;^ω^)「また負けたお!クリーチャー除去されると弱るお……」

('A`)「スペルカードは貴重品だからな、こんな狭い国じゃそうそう見つからんだろう」



僕たちが熱中しているのは、十年前まで生産されていたカードゲームって奴だ。

西の森で取ってきた木を東の工業地帯で紙に加工して絵やテキストを刷ってたそうだ。

多彩な効果のカードを駆使した戦いに、当時は子供達の間で大流行していた。

今でも国で木を栽培してはいるが、カードゲームに使える分の紙までは作れない。

十年前で時が止まった娯楽に、未だ僕らは熱中しているのだ。

もうやっていない家庭を周り、必死に集めて回って「デッキ」を作った。

デッキというのは、戦わせるカードを集めて束にしたいわゆるチームみたいなもの。

僕は森の凶暴な動物をモチーフにしたクリーチャーを召喚しまくり

相手を殴って倒す「ビートダウン」というシンプルな戦略を取っているのだが

自身の体力を回復したり、クリーチャーを倒す「スペル」、つまり呪文と

壁となるクリーチャーがバランスよく混合されたデッキにいつも負けていた。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 22:00:24.52 ID:pFOkYfrK0
僕の親友であるドクオは、かつて工業を発展させる研究者を目指していたが

十年前に壁が作られた時に広大な工業地帯も破棄する事になり

工業は今までの技術を使って最低限の品を作る程度に留められた。

国内の小さな工場を見て絶望したドクオは燃え尽き症候群となり

自堕落な生活を送っているが、カードゲームの時だけ目が生き生きとしている。

僕らは、壁が作られる時に国外に出て行った親に捨てられた。

そのせいで国から補助金が出ているから、生活の心配はない。

閉塞感はあるが、見上げれば青空が見られるこの国が嫌いじゃなかった。

( ^ω^)「なぁドクオ」

('A`)「ん?」

( ^ω^)「君はカード以外はボーッとしてるだけだけど」

( ^ω^)「工場に行って機械のメンテナンスとかしてみないのかお?」

('A`)「キョーミねえな、俺は進化と発展を司る技術が好きなだけで機械は別に好きじゃない」

( ^ω^)「今からでもやってみたらどうかお?機械いじり」

('A`)「お前も毎度しつこいな、俺の天性は多分そんなもんじゃない」

54 名前: ◆e/PZJKPmUg :2011/11/21(月) 22:15:42.45 ID:pFOkYfrK0
('A`)「俺が生まれた時に、いるかどうか分からんが神様が授けてくれたのが」

('A`)「研究者となりこの国を更に発展させる才能だったんだ」

('A`)「俺がセオリー通り成長すれば、外敵からの防衛装置も作れた筈なんだよ」

('A`)「だが天は俺に与え、俺を受け取った親と国は俺を捨てた」

( ^ω^)「……」

('A`)「この国が鉄檻と同義の壁なんぞ作らず軍事兵器開発に着手していれば」

('A`)「俺の親だって国と俺を捨てるハメになんかならなかった筈だ」

(;^ω^)「君は親も憎いと思ってるのかお?」

('A`)「壁が作られてしばらくは恨んださ。でもな」

('A`)「年端もいかないガキを連れて、危険極まりない国の周辺を突破できたかな」

('A`)「育てるのめんどくさいから国に置いていったってのが正解かもしれんけど」

('A`)「幼かった俺を危険に晒したくないっていう良心もあったと俺は信じたい」

( ^ω^)「……親が好きなんだおね、ドックンは」

(#'A`)「ドックン言うな!このおおおおおおおお」

(;^ω^)「うわっ!ちょっと!」

58 名前: ◆e/PZJKPmUg :2011/11/21(月) 22:25:41.89 ID:pFOkYfrK0
僕と怒ったドクオは男同士の取っ組み合いになった。

でも正直、彼に元気が戻ってきて安心しているのだ。

国や親の事を話しているドクオの顔は無表情すぎた。

しかし無表情ながら呪詛でも吐き出しているかのように淡々と話すのだ。

そうだな……例えるならこの国で催される「シバイ」というやつ。

役者が架空の登場人物になりきって劇をするというものだ。

あれは事前に台本でセリフを読んで練習するらしいが……

ドクオの話し方はあんな感じだ。親友ながら寒気を覚える。

('A`)「こ、この辺にしといてやらぁ……ハァハァ」

( ^ω^)「体鍛えてるわけでもないんだから無茶すんなお」

ヒョイッパクパク

(;^ω^)「ああっ!ベニサスおばさんのクロワッサンが!」

('A`)「カードで負けた分と喧嘩で負けた分のアンティだぜ」モグモグ

ベニサスおばさんとは、僕らを育ててくれた親代わりの人だ。

今でも時々、パンなどの食物を持って話をしに来てくれる。

62 名前: ◆e/PZJKPmUg :2011/11/21(月) 22:37:57.98 ID:pFOkYfrK0
親に捨てられ塞ぎこんでた頃の僕はドクオよりも暗かった。

でもあの人が僕らを引き取ってくれてから世界は変わった。

両親と一緒にいた頃と変わらないくらい楽しくて暖かい家庭だった。

しかし子供が多いと負担も大きい。

おばさん達に子供ができて、僕らは自分から去っていく事を決めた。

おばさんの子供、またんき君は僕らにとって弟みたいなものだ。

ろくな娯楽の無いこの国で、彼にもカードを教えてやったら賑やかになるな。

僕はお金を持って、まだ行っていない家庭にカードを譲りに行ってもらう。

大抵はタダで譲ってくれるが、金を見せると押入れとかから探し出してきてくれる場合もある。

そして家を出てしばらくブラブラと歩いていた時、あいつに遭遇した。

65 名前: ◆e/PZJKPmUg :2011/11/21(月) 22:50:24.48 ID:pFOkYfrK0
( ゚Д゚)「今日は金持ってるようだな……せっかくだから俺に貢がねえか?」

(;^ω^)「ふざけるなお!この金はカードを買う為のものだお」

この男はギコ。壁が作られた時に親に捨てられた子供の一人だ。

彼は誰にも引き取られる事もなく、同じ境遇の子供と徒党を組んでいた。

そして強盗などを平気で行い、子分を囮にして逃げるのだ。

( ^ω^)「君だって平穏に暮らしてれば補助金がもらえるのに、何で!」

(,,゚Д゚)「へっへっへ・・・俺は親にいい事悪い事しつけられる前に捨てられたからな」

( ^ω^)「でも人のものを盗めなんてことは教えられてないはずお!」

(,,゚Д゚)「うるせぇな・・・ちまちま補助金貰ってたんじゃ目標に届かねぇんだよ」

(#^ω^)「どうせ危ないクスリを買う為だろうお!渡さないお!」

(,,#゚Д゚)「そんな安っぽいもんじゃねえよ!壁を壊すんだよ!」

(;^ω^)「……!?」

(,,゚Д゚)「いいかぁ……こんな国にウンザリしてる奴は山程いんだ」

(,,゚Д゚)「そいつらに金握らせて一斉に一箇所の壁を壊しておきゃあ……」

(,,゚Д゚)「くだらね古カードなんざで我慢して遊ぶこたぁねえッ!」ボカッ

67 名前: ◆e/PZJKPmUg :2011/11/21(月) 22:57:49.08 ID:pFOkYfrK0
(#)^ω^)「うぶぉぉぉぉぉぉ!」ドサッ

思わぬタイミングからの攻撃を受けて、お金を落としてしまった。

(,,゚Д゚)「へへっ……大人しく渡せばいいんだよ」

ガチッ

(,;,゚Д゚)「!?」

僕は、金を取られたのとくだらない古カードと呼ばれたのにカチンときていた。

(#^ω^)「くだらない古カードなんかじゃない!あれは……あれは!」

(,,゚Д゚)「黙れピザ!」ガッ

(#^ω^)「僕らに楽しみと希望をくれる紙束だおぉぉぉぉぉっ!」







その後は馬乗りになってギコを殴り続けた。

クスリでボロボロになったギコの体が悲しくて、泣いた。

お金だけ返してもらってその場を立ち去った。

73 名前: ◆e/PZJKPmUg :2011/11/21(月) 23:09:42.15 ID:pFOkYfrK0
(,,#)Д(#)「てめぇだけは……この国から出られると思うなよ」

( ^ω^)「朝の美しい青空と、友がいるこの国が僕は嫌いじゃないお」

(,,#)Д(#)「友だと?所詮他人は使い捨ての道具よ」

(,,#)Д(#)「手下どもは暴力と、壁を出たら使えない金だけ渡してる関係だ」

( ^ω^)「……君の親御さんは」

(,,#)Д(#)「あいつらはきっと俺を売ったんだよ!家畜のようにな!」

(,,#)Д(#)「ただ国に尽くすだけの家畜になるかよ……俺は獣だ!」

(,,#)Д(#)「忌々しい壁を壊して俺は自由に……」

( ^ω^)「今だって君は自由だお、そして僕たちも」

(,,#)Д(#)「外の世界を自由に見られない国なんて缶詰と一緒だ!」ウッウッ

(,,#)Д(#)「俺はやるぜ……この国に復讐をよ」

( ^ω^)「泣き止んだらまた元気出せお……」



すっかり夜になってしまったが、僕はできるだけカードを譲ってもらいにまわった。

そして家に帰りぐっすりと眠り……。

75 名前: ◆e/PZJKPmUg :2011/11/21(月) 23:17:56.24 ID:pFOkYfrK0
>>72
乙、面白かったよ


コンコン

( ^ω^)「はーい」

('A`)

( ^ω^)「どうしたお……」

と言いかけて、持っている缶と袋を見て理解する。

('A`)「今日は大雨だから気が滅入ってな」ドサッ

袋の中にはお菓子類が入っている。

( ^ω^)「いいお!丁度昨日たくさんカード手に入れたお!」

('A`)「面白い……俺のスペル速射を防ぎきれるかな!?」

僕たちは菓子をつまみながらひたすらカードゲームをした。

('A`)「ほう、俺が珍しく負けるとはな」

('A`)「ついでだが今日は泊まっていっていいか?」

( ^ω^)「すごい雨っぽいし今日は特別だお」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 21:35:43.89 ID:ElkDT9vK0
全てを閉ざす楕円の長壁・クローズドウォールが完成してから2年の月日が流れた。

超、超硬度のナノ合金「ヴィプロウ」による外界との一切の遮断は、国王を含む当時の国家上層部にとって予想以上の成果をもたらしていた。

しかし功労者である「ヴィプロウ」の開発主任、アサピー=テクノグラスは公的な文書には登場しない。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 21:47:40.87 ID:ElkDT9vK0
否、前文には語弊がある。

そもそもアサピー=テクノグラスという人物の痕跡はどのような形であれ一切存在しないのだ。

ただ一つを除いて…

从 ∀从「あぁ、あのアホメガネな」

从 ∀从「よく知ってるよ」



从 ゚∀从

そう言って彼女、ハインリッヒは煙草を吸った。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 22:03:14.06 ID:ElkDT9vK0

クローズドウォールプロジェクト・スタートチームメンバーの一人、ハインリッヒ=ハイヒル。

それがまだあの国が外部と交信可能だった時に最後に確認された情報であった。

从 ゚∀从「しかし、あんたは何であいつを知っている?」

隔離された純白の病室の寝具の上でハインリッヒは怪訝そうに眉を潜めた。

その反応は当然とも言えるだろう。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/21(月) 22:07:50.20 ID:ElkDT9vK0
( ・∀・)「そんな事は些末ですよ。プロフェッサーハイヒル。有り得ないなど有り得ない」

( ・∀・)「貴方が一番ご存知のはずです」

从 ∀从

私の言葉を聞くと彼女は視線を下に落とした。

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