mesimarja
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( ^ω^)Operativeのようです
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:10:54.74 ID:DRgd9n8f0
キャスター付きの椅子に座った男が、
スチールデスクの上に足を投げ出している。

週刊誌を食い入るように読んでいたかと思うと、
不意に落胆したような表情を浮かべ、
デスクに放った。


今日ははずれか……。
呟きながら、背後のブラインドの隙間から窓外を除く。

先ほどまではビル群をはるか上空から照らしていた太陽が、
ゆっくりとビルの陰に沈んでいくのが見える。

夕暮れの訪れとはこんなにも早いものだったのか。

いや、
ここは週刊誌が暇つぶしとしての役割をしっかり果たしてくれたのだと褒めるべきだろう。

そんなことを思いながら、
男はデスクの上に置かれた煙草の箱を手に取った。

一本を口に咥え、
百円ライターで火をつける。

SLの蒸気のように勢いよく吐き出された煙はやがて拡散し、
空気の一つとなって消えた。

こうして次は夜更けを待つのだ。


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:11:21.31 ID:DRgd9n8f0
一箱分を全て灰にする頃にはなん時になっているだろうかと考えながら、
二口目のニコチンを体内に送り込む。

そのまま呆けていると、
ふと跫音が耳に届いた。

とん、とん、と音を立てながら、
鉄の階段をのぼってくる。

これはスニーカーの音だと男は見当をつけた。

やがて音が止み、
次いでドアブザーが男の部屋に鳴り響く。

ドアに近づき魚眼レンズを覗くと、
そこには一人の女性が立っていた。

ξ゚⊿゚)ξ

縮れた長い黒髪を肩の辺りまで伸ばし、
橙色のダウンジャケットを着け、
肩には焦げ茶色のショルダーバッグを掛けている。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:11:54.58 ID:DRgd9n8f0
男は微笑を浮かべながらゆっくりとドアを開き、
ようこそ、どうぞお入りください、と言って女性を室内へ招いた。

女性は軽く会釈をし、
部屋の中へ。

玄関に立つとぐるりと室内を見回し、
あなたお一人ですか? と訊ねた。

男は、そうですが、なにか不都合でもおありですか、と訊き返した。

いいえ、そんなことはありませんよ、ただ訊いてみただけです。

女性はぎこちなくはにかんだ。


お座りください。

男は部屋の右手に据えられた応接セットのソファーを掌で示した。

女性は、失礼いたします、と一礼をしてからソファーに腰かけ、
バッグを膝の上にのせた。

ファイルキャビネットの上にあるコーヒーポットから、
二つのティーカップにコーヒーを注ぎ、
どうぞ、と言いながら一つを女性の前に置いた。

女性は、ありがとうございますと礼を言い、一口飲んだ。

白い喉がゆっくりと波打つ。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:13:10.38 ID:DRgd9n8f0
( ^ω^)「はじめまして、私はこの事務所の所長の内藤といいますお」

女性の向かいに座った内藤は、
シャツの胸ポケットからステンレスの名刺入れを取り出し、
名刺を渡した。
 
女性は両手で名刺を受取ると、
軽く眺めてからバッグにしまった。

そして、

ξ゚⊿゚)ξ「はじめまして、
      私は津出礼子といいます」

と自己紹介し、
深々と頭を下げた。

ξ゚⊿゚)ξ「あの……」

女性がおずおずとした上目遣いでぽつりと言った。

( ^ω^)「どうかしましたかお?」

ξ;゚⊿゚)ξ「すみません。
       私、名刺は持っていないんです……」

( ^ω^)「ああ」

内藤は微笑した。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:13:43.84 ID:DRgd9n8f0
( ^ω^)「お気になさらないでくださいお。
     名刺を持っていようとなかろうと、
     ご依頼人であることに変わりはありませんお」

自分のコーヒーにフレッシュを一つ入れ、
プラスチックの棒でかき混ぜる。

棒と空容器を傍らの屑かごに捨て、
本題を切り出した。

( ^ω^)「それでは、
     本日はどのようなご用件でお越しくださったのでしょうかお」

ξ゚⊿゚)ξ「実は……」

礼子は両手でバッグの肩ひもを握り締めた。

ξ゚⊿゚)ξ「私は渋谷で小さな花屋を開いているのですが、
      三日前、不思議な男性がお店に現れたんです」

( ^ω^)「不思議な男性?」

ξ゚⊿゚)ξ「はい、日本人にしては珍しいくらい鼻が高くて、
      優しげな眼をした男性でした。
      見た感じでは二十代前半くらいだったので、
      多分、大学生ではないかと思うのですが――」

礼子はそこでいったん言葉を切り、
小さく息をついてから、続けた。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:14:07.75 ID:DRgd9n8f0
ξ゚⊿゚)ξ「それは三日前の午後の、よく晴れた日のこと、
      私がお店の中で薔薇の棘をとっているときでした。
      十本のリナリアを抱えた男性がお会計をお願いします、
      と言いながら私にお花を渡しました。
      そこまでは他のお客様と変わりなかったのですが、
      レジで代金を請求したときです。
      男性がズボンのポケットから緑色の宝石のようなものを出し、
      これとその花を交換して欲しいと言ってきたのです。
      私は驚きながらも、申し訳ございません、とお断りしたのですが、
      それでも男性は、お願いですから交換してください、と言ったきり、
      石を差し出したまま硬直してしまったんです。まるで石像のように。
      でも……不思議と不気味な感じはしなくて、
      なんだか、芸術的なものを見ているような錯覚に囚われてしまったんです。
      儚さ、というのでしょうか、そんな印象を受けて――
      気付いた時には、私は石を持ったまま立ち尽くしていました……」

( ^ω^)「無意識のうちに花と交換してしまっていたということですかお」

礼子はゆっくりと頷いた。

内藤は顎に手を当て、
少し考える素振りをしてから口を開いた。

( ^ω^)「その宝石のようなものをお見せいただけますかお」

ξ゚⊿゚)ξ「はい、持ってきました」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:14:28.96 ID:DRgd9n8f0
礼子はバッグから緑色の物体を取り出し、
テーブルの上に置いた。

蛍光灯の明かりを照り返し、
美しく輝く楕円形の物体がテーブルの上に乗っている。

内藤はその物体に視線を注ぎながら、
礼子に訊ねた。

( ^ω^)「手にとってみてもかまいませんかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「どうぞ」

テーブルに置かれたそれを人差し指と親指でつまみ、
顔に近づけた。

指に伝わる硬くも滑らかな感触、
表面に帯びる澄んだ光沢。

六cmはあろうかという大粒のエメラルドを、
内藤は矯めつ眇めつ一分ほど眺めたのち、
礼子に差し出した。

( ^ω^)「ありがとうございましたお」

ξ゚⊿゚)ξ「いえ」

礼子は掌でエメラルドを受け取ると、
指で優しく包み込み、
バッグに仕舞った。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:15:07.00 ID:DRgd9n8f0
( ^ω^)「とても上等なエメラルドとお見受けしましたが、
     あなたは先ほど、緑色の宝石のようなもの、と形容されましたおね」

ξ゚⊿゚)ξ「私、宝石には全く興味がないんです」

礼子は毅然とした表情できっぱりと言ってのけた。

ξ゚⊿゚)ξ「私は普段から宝石より断然美しいものに囲まれているものですから」

( ^ω^)「それはやはり――」

内藤が言い終わるより早く、
礼子は言葉を継ぎ足した。

ξ゚⊿゚)ξ「宝石と違い、お花は生きているんです。
      生きているからこそ、命があるんです。
      命があるからこそ、
      いつかは生涯を終えなければならない時がきます。
      だからこそ目一杯花開くんです。
      その時がくるまで精一杯生きるんです
      生きているからこその美しさがあるんです」

一頻り言い終えると、
礼子ははっと息を飲んだ。

恥ずかしげに顔を俯け、
スイッチが切れたかのように黙りこくってしまった。

今までとは打って変わり熱を帯びた語勢から、
礼子の花に対する愛情の深さが窺い知れる。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:15:34.37 ID:DRgd9n8f0
内藤は再び微笑を浮かべた。

( ^ω^)「恥じることなんてありませんお。
     あなたの花を想う気持ち、
     十分伝わりましたお」

礼子はなおも俯いたまま、
小さな声で答えた。

ξ゚⊿゚)ξ「ありがとうございます……」

内藤は自分のティーカップを手に取り、
口に運んだ。

かなりぬるまっている。

一口だけのつもりだったが、
そのまま一気に飲み干した。

カップを置き、
口を尖らせてゆっくりと息を吐くと、
俯いている礼子に問い掛けた。

( ^ω^)「では、今回のあなたのご依頼は、
     その男性を捜し出してほしい、
     ということでよろしいのでしょうかお?」

その言葉にようやく顔を上げると、
そうです、と恥ずかしさのせいか目を合わそうとはしないが、
肯定した。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:16:05.63 ID:DRgd9n8f0
( ^ω^)「その目的も、
     お伺いしてよろしいですかお」

礼子は小さく頷くと、
コーヒーで唇を湿らせた。

カップを置き、口を開く。

ξ゚⊿゚)ξ「私は、知りたいのです。
      あの男性が交換したお花が、
      今どのように扱われているのか、
      なぜあそこまでしてお花が欲しかったのか、
      それだけが知りたいのです。
      それだけが……」

言い終わると、
窺うような眼で内藤を見つめた。

内藤はその眼を見据えながら、
大きく頷いた。


( ^ω^)「お任せくださいお」



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:17:20.61 ID:DRgd9n8f0
 *


内藤は翌朝から調査を開始した。

鼻が高く、
優しげな眼をした二十代前半の大学生と思しき男性、
という依頼人の証言のみを頼りに、
電車を乗り継ぎ、
靴底をすり減らし、
渋谷の大学や短大を訪ね歩いた。

学生には、
妹を妊娠させて行方をくらませた男を探している、
協力してほしい、
と哀切な表情を作って嘘をつくだけでよかった。

だが、有益な情報を得るには至らなかった。

恐ろしく存在感が薄いのか、
はたまた交友範囲が狭いのか、
見当はつきかねたが、
今の内藤には歩き続ける他なかった。


東四丁目にある大学へ続く通りを歩く頃には、
時刻は三時を過ぎており、
その時になってようやく昼食を抜いていることと、
ニコチンの禁断症状が出始めていることに気付いた。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:17:46.05 ID:DRgd9n8f0
空腹とニコチンの誘惑に耐えながら、
内藤は考えていた。

もしかすれば、
男は大学生ではない可能性がある。

それか、
渋谷界隈の学生ではないのかも知れない。

推測が当たってしまった場合、
それは内藤の調査が徒労であることを意味していた。

推察をしなおすにしても、
限られた証言からまた別の道筋を導き出すのは骨が折れる。

ましてや大都会東京ともなると尚更だった。


やがて、
十メートルほど離れた距離から、
大学名の彫られた大きな石標が眼に入った。

キャンパス内では、
高層マンションを思わせる巨大なビルが威容を誇っている。

目標にしていたビルだ。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:18:13.65 ID:DRgd9n8f0
正門に目を向けると、
そこにはまばらではあるが、
数人の学生が行き交っている。

談笑しているグループもいれば、
カップルもいる、
むろん一人のものも。


( ^ω^)「すみませんお」

内藤はその中から、
一人でキャンパスから出てきた男子学生に声をかけた。

丸縁の眼鏡をかけ、
赤いチェックのYシャツと同じ柄のマフラー。

背には黒いリュック。

この男子学生に声をかけたのは、
服装の野暮ったさと、
真面目を絵に描いたような風体をしているためだった。

要するに、
非協力的な態度はとらないであろうと予測したからである。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:20:18.13 ID:DRgd9n8f0
(-@∀@)「なにか」

男子学生はこれといって警戒する様子もなく立ち止った。

( ^ω^)「あの……」

わけありな様子であることをそこはかとなく悟らせるため、
うつむき気味に小さく呟く。

(-@∀@)「ど、どうされたんですか?」

男子学生が幾分動揺した様子で訊ねると、
内藤は顔をあげた。

( ^ω^)「実は、ある男性を探していましてお」

(-@∀@)「人探し、ですか」

( ^ω^)「ええ、その、
      私には六歳年の離れた高校三年になる妹がいるのですがお、
      その妹が……」

そこでわざと口ごもり、
下唇を強く噛んで見せた。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:21:26.21 ID:DRgd9n8f0
時が止まったかのように沈黙が流れる。

行き交う学生達が胡乱気に二人を流し見ては通り過ぎた。

男子学生は先を促さず、
不安げな眼差しで内藤を諦視している。

相手に最大限の関心を惹かせるため、
内藤はもったいぶるようにして沈黙に身を委ね、
心の中で一分間を計っていた。


一分が経った。


( ^ω^)「妊娠させられてしまいましてお……」

歯を食いしばりながら、
めいっぱい絞り出すようにして言葉を吐き出す。

(;-@∀@)「え?」

硬直した状態のまま、
男子学生の口だけが動いた。

今度は明らかに動揺している。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:22:10.41 ID:DRgd9n8f0
( -ω-)「渋谷でナンパされ、
      のこのことついていってしまったのが運の尽きでしたお……」

内藤は堅く眼をつぶりながら、
体を小刻みに震わせた。

握った両拳に力を込める。

(;-@∀@)「そ、それはお気の毒に」

男子学生は当たり障りのない気休めを言った。

( ^ω^)「でも、あいつにも非はありますお。
      何の警戒もなしに見ず知らずの男についていくだなんて。
      ですから、私は別にその男性を叱責するつもりなんてないんですお。
      とにかく会って話し合いたいだけなのですお」

内藤の話を黙って聞いていた男子学生は、
先ほどとは打って変わって引き締まった表情を浮かべると、
小さく二度頷いてみせた。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:22:59.43 ID:DRgd9n8f0
(-@∀@)「わかりました。
      僕でよければご協力しましょう」

( ^ω^)「ありがとうございますお」

内藤は深々と頭を下げた。

コートの胸ポケットからメモ帳を取り出し、
男性の顔の特徴や雰囲気をそのまま男子学生に告げた。

特徴を聞いた男子学生は腕を組むと、
それこそ学生らしく、
問題に取り組むように眉間に皺を寄せてうんうんと唸ってみせた。

二分ほどが過ぎたとき、
男子学生が唐突に「あっ」と声を上げたが、
「いや、まさかな」と呟いて再び眉間に皺を寄せた。

( ^ω^)「なにか心当たりがあったんですかお?」

内藤は思わず訊ねた。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:23:32.31 ID:DRgd9n8f0
(-@∀@)「うーん、
      あなたの証言に該当するかもしれない男性の姿が一瞬脳裡を過ったのですが、
      でも、あいつがそんなことをするはずは……」

( ^ω^)「その男性のことを教えてもらえませんかお」

男子学生は思案するようにいい渋っていたが、
絶対に人違いだとは思いますが、
と前置きをしたうえで、答えた。

(-@∀@)「うちの大学に、さすがという学生がいるんです。
      僕と同じ法学を専攻していましてね。
      ノートの貸し借りや昼食を一緒にするくらいには親しい仲でして。
      あなたの言った特徴通り、まあ、とてもハンサムな男なんです。
      無論、成績も優秀ですが、
      それ等を鼻に掛けるような尊大な人間ではありません」

( ^ω^)「さぞかし羨望されているのでしょうお」

(-@∀@)「物静かで積極的に交流を持とうとするようなタイプではありませんが、
      誰かがわからない問題を聞いたり、
      食事に誘ったりしても断るような人ではないですね。
      とても自然体な人柄なので、むしろ羨望というよりも、
      頼れる存在といったほうが適切かもしれません」

( ^ω^)「なるほど」

内藤は軽く相槌をうった。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:23:56.57 ID:DRgd9n8f0
(-@∀@)「ただ……」

男子学生が眉をひそめた。

( ^ω^)「なにかあったのですかお?」

(-@∀@)「彼は、ここのところ大学に顔を見せていないんですよ。
      今日でちょうど一週間になります」

( ^ω^)「顔を見せなくなる前日、
      なにか兆候のようなものはありましたかお」

(-@∀@)「いいえ、全く変わったところなんてありませんでした」

男子学生の返答を聞いた内藤は、
顎に手を当て、
考える素振りをした。


これは当たりである可能性が高い。

一週間の空白。

容貌の一致。

今までで一番有力な情報と見ていいだろう。

あえてはずれた場合のことは考えず、
内藤はこのチャンスに賭けてみることにした。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:24:15.87 ID:DRgd9n8f0
( ^ω^)「彼のお住まいはどちらなのでしょうかお」

(-@∀@)「わかりません。
      大手企業の御曹司なんて噂も立っていましたが、
      彼は家庭のことは僕を含めて誰にも話したがりませんでしたから」

男子学生はきっぱりと言うと、
眼鏡の縁をつまんで上にあげた。

( ^ω^)「裕福な家柄かもしれないと」

(-@∀@)「あくまで噂ですけどね」

( ^ω^)「最後にもう一つお伺いしてよろしいですかお」

(-@∀@)「なんでしょう」

( ^ω^)「さすがとは、
      流れる石と書いて流石と読むのでしょうかお」

(-@∀@)「そうです」

男子学生がこくりと頷くのを確認すると、
内藤は頭を下げた。

( ^ω^)「ありがとうございましたお」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:25:10.97 ID:DRgd9n8f0
 *


時刻四時半過ぎ、
広尾二丁目に到着した。

騒々しい市街とは一線を画した閑静な住宅地。

内藤の推測が正しければ、
男性はこの界隈のどこかに住んでいるはずだった。

ここがはずれだった場合は、
三丁目や松濤もあたるしかない。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:25:26.73 ID:DRgd9n8f0
夕刻になろうとも、
寒冷な風は朝と変わらぬ強さで吹きすさんでいる。

朝から歩き通したところで決して慣れることのない寒風。

内藤にとってそれは、
空腹とニコチン中毒を誘発させる邪魔な存在でしかなかった。

加えてアスファルトを踏みしめる足に、
にわかな痛みまで感じ始めている。

しかし、
欲求と痛みに耐えているからこそ、
今自分は仕事をこなしているという実感もわく。

週刊誌を読んで漠然と日々を過ごすよりは、
よほど有意義な時間を過ごしていると確信してもいい。

轟々と使命を全うする寒風のように、
内藤も己の職務遂行に尽力するだけだった。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:26:38.85 ID:DRgd9n8f0
「流石」と書かれた表札を探しながら路地を歩いていると、
一匹の白いチワワを散歩させている女性とすれ違った。

この辺りに住んでいる主婦に違いない。

( ^ω^)「すみませんお」

内藤は女性の後ろ姿に声をかけた。

その声に足を止めた女性は、
キョトンとした表情を浮かべながら振り返ると、
「私ですか?」と自身に指をさしながら訊ねた。

薄く茶色のかかった長髪を後ろに束ね、
連れのチワワは置物のように、
女性の足元に鎮座している。

( ^ω^)「ええ、あなたにお伺いしたいことがありましてお」

爪゚ー゚)「なんでしょうか」

( ^ω^)「この辺りで流石さんのお宅を探しているのですが、
      ご存じありませんでしょうかお」

爪゚ー゚)「流石さん……ああ」

女性は破顔すると、
内藤の後ろを指差した。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:27:25.34 ID:DRgd9n8f0
爪゚ー゚)「流石さんなら、
     この路地の右側の、
     二つ目の角を曲がればすぐですよ。
     青い屋根とクリーム色の外壁で、
     門柱には表札も掛っているのですぐにわかりますよ」

( ^ω^)「ありがとうございますお」

女性に警戒している様子はないが、
念のため考えておいた嘘をついておくことにした。

( ^ω^)「私は流石くんの友人なのですが、
      彼がここのところ大学に顔を出していないものですからお。
      心配なので様子を見にいこうかと」

爪゚ー゚)「そういえば……」

女性は顔を心なし上に向けた。

爪゚ー゚)「私も最近流石さんの奥さんを見てないわ」

( ^ω^)「流石さんとは親交が深いのですかお?」

顔を内藤に戻し、
女性は首を振った。

爪゚ー゚)「いえ、道であったら軽く世間話をするくらいですよ。
     とても上品そうな初老の方です。
     息子さんが大学生だとか、旦那さんが小さな会社の重役だとか、
     それくらいのことしか聞いたことはありませんが」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:28:10.06 ID:DRgd9n8f0
内藤はここで話を切り上げることにした。

( ^ω^)「どうもありがとうございましたお」

礼を言いながら頭を下げると、
女性も軽く頭を下げてから背を向けた。

チワワが甲高く一吠えしながら立ち上がる。

女性は息を弾ませながら速足で歩くチワワと共に去って行った。

内藤も踵を返し、
三十メートル程先の角を曲がった。

女性の教えてくれた通り、
目的の家は角を曲がってすぐ、
右手のとっつきに二階建を構えていた。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:29:03.03 ID:DRgd9n8f0
ポーチへと通じる門扉の両側には煉瓦造りの門柱が立ち、
右側には同じ素材の低い塀が続き、
左側には駐車場と思しい奥行きのあるスペースが空いている。

門柱には確かに「流石」と彫られた白い大理石の表札が掛っており、
下にはカメラ付きのインターホンが。

その隣りの塀に造りつけられた郵便受けには、
新聞が五部はみ出ていた。

二階の出窓を見上げたが、
白いレースカーテンによって閉ざされている。

なかの様子を窺うことはできない。

流石にインターホンを押して直撃するわけにもいくまい。

張り込んで男性が出てくるのを待つべきかと考えていると、
不意に誰かの声が聞こえた。

「どちらさまでしょうか」

声色から察するに若い男性のようだ。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:29:46.52 ID:DRgd9n8f0
内藤は声が門柱のインターホンから流れているのに気付き、
顔を近づけた。

( ^ω^)「あなたは、流石さんのご子息様でしょうかお?」

「そうですが」

怒りも動揺も感じられない無機質な声音で答える。


男性以外の人間でなくて僥倖だった。

目的の男性が自ら声を掛けてきたのなら、
これで張り込む手間も省ける。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:30:14.38 ID:DRgd9n8f0
内藤は問い掛けた。

( ^ω^)「私、内藤インヴィスティゲイションの内藤というものですが、
      あなたにお訊ねしたいことがありますお」

「なんでしょうか」

コートの内ポケットから宝石を取り出し、
それをカメラに向けてかざした。

( ^ω^)「これについてですお」

「……」

しばしの間があった。

受話器を置いた気配はない。

なにかを思案しているのかも知れない。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:30:49.27 ID:DRgd9n8f0
内藤は付け加えた。

( ^ω^)「花屋のご主人に頼まれたのですお。
      あなたを捜し出してほしいと。
      ですが、私はあなたから代金を徴収するためにここへきたのではありませんお。
      どうか、話を聞いていただけませんでしょうかお」

「……わかりました」

一分もかからずに返答があった。

「鍵は開いているので入ってきてください。
 入ってすぐに階段があるので、
 そこをのぼって左側にある、
 ドアが開け放しになった部屋にいます」

かちゃりと受話器の置かれる音が聞こえた。

内藤は門扉を開いて敷地内に入ると、
芝生の上に埋め込まれた四角い飛び石のアプローチを通り、
ポーチの前に立った。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:32:08.48 ID:DRgd9n8f0
バーハンドルのついたドアを開き、
家の中へ。

靴脱ぎに立つとすぐ、
フローリングの廊下の右隣りに二階へと続く階段があった。

内藤は靴を脱いで家にあがり、
階段の段差に足をかけた。

十二段をのぼりきると、
横に伸びた廊下に行き着いた。

男性の言葉通り、
左側にドアの開け放たれた部屋がある。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:32:23.82 ID:DRgd9n8f0
左に曲がって部屋の前に立つと、
そこにはベージュのセーターと茶色のチノパンを着けた人物の後ろ姿があった。

その人物の前には、
シーツが山並みのように隆起したベッドが据えられている。

他には、
ベッドの傍らのナイトテーブルと、
風とジルバを踊るカーテン以外なにもなく、
侘しさと虚無感が空間を支配していた。

背を向けている人物が、
おそらく男性なのだろう。

内藤の存在には気づいているはずだが、
振り向く気配はない。

じっと眼前のベッドを見下ろしている。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:32:58.45 ID:DRgd9n8f0
(   )「どうぞ、入ってきてください」

背を向けたまま、
立ち尽くしている内藤に声を掛けてきた。

家の前で聞いた男性の声だった。


内藤は部屋に踏み入り、
男性の隣に立った。

( ´_ゝ`)

優しげな眼と高い鼻。

証言とここまで一致する人間もそういないはずだ。

そしてなにより、
ベッドの上に並べられた十本に及ぶ紫紺のリナリアが、
男性が目的の人物であることを決定づけていた。

( ^ω^)「菊にしては少しばかり派手ではありませんかお」

隆起したベッドを見下ろしながら、内藤は問い掛けた。

( ´_ゝ`)「好きな、花だったんです」

ベッドを見据えたまま、
男性は答えた。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:33:18.87 ID:DRgd9n8f0
男性と対面してようやく、
礼子の話していた言葉の意味が理解できた。

確かに男性からはそこはかとない儚さが感じられる。

この部屋の雰囲気も、
男性が醸し出すオーラによるところが大きいのだろう。

その理由は考えるまでもなかった。

ベッドの上に寝ている全身から顔までシーツを被せられた遺体。

小ぶりながら膨らんだ乳房を見るに、
どうやら遺体は女性のようだ。

両手を組んでいるのか、腹の辺りも膨れている。

まるで一つのオブジェのように、
ベッドは部屋の一角に据え付けられていた。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:34:04.61 ID:DRgd9n8f0
依然ベッドを見詰めたまま、男性が口を開いた。

( ´_ゝ`)「それで、お話したいこととはなんなのでしょうか」

内藤もベッドに視線を注いだまま、答えた。

( ^ω^)「先ほどもお聞かせした通り、
      あなたがエメラルドと花を交換した店の店主から依頼を受けたんですお。
      あなたがなぜあそこまでしてリナリアを欲しがったのか、
      交換されてどのように扱われているのか、
      見つけて聞き出してほしいと」

( ´_ゝ`)「あの店員さんがわざわざそんなことを」

男性はぽつりと言った。

相変わらず声音からは感情が読み取れなかった。

( ^ω^)「わざわざ、ですかお」

内藤が呟く。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:34:18.81 ID:DRgd9n8f0
( ^ω^)「無理もないと思いますお。
      まさか花とエメラルドを交換してくれだなんて、
      人生で初の体験だったでしょうからお」

内藤はそこで口をつぐみ、
右手の筋向いに設けられた出窓に顔を向けた。

桃色に染まった空を一羽のカラスが横切る。

黄昏時を知らせるかのように、
別のカラスが鳴き声を上げる。

薄闇と、
先ほどより強さを増したように感じられる寒風が室内を包み込む。

その中にあってなお、
ベッドに乗った遺体と紫紺のリナリアのコントラストが、
より存在感を増しているように思われた。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:34:47.42 ID:DRgd9n8f0
男性の声が聞こえたのは、
それから十分ほどが経った頃だった。

( ´_ゝ`)「終わらせたかったんです」

声に気付いた内藤は顔を男性のほうに向けた。

( ^ω^)「終わらせたかった?」

( ´_ゝ`)「ええ」

男性はベッドを見下ろしたまま頷いた。

( ´_ゝ`)「この閑散とした部屋をご覧の通り、
      僕たちは何もかも失ってしまったんです」

なおも淡々とした口調ながら、
男性は言葉を継いだ。

( ´_ゝ`)「野心的な人間が墓穴を掘った……それだけのことですよ」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:35:06.30 ID:DRgd9n8f0
( ^ω^)「……」

その言葉を聞いた内藤に、
これ以上詮索しようという気持ちは起きなかった。

詮索しなくとも、察しはついた。

そして、ようやく気付いた。

部屋に立ち尽くし、
茫然とベッドを見詰める男性に感じらるもの、
それが「諦念」であることを。

全てを諦めた人間の纏うオーラ、そして眼差し。


――内藤は腹を決めた。


おもむろにポケットからエメラルドを取り出し、
男性の眼前に差し出す。

男性の視線が一瞬ベッドからエメラルドに、
次いで内藤の顔に止まった。

意図を探るように、
じっと眼を見詰める男性に向かって、
内藤は言った。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:35:53.19 ID:DRgd9n8f0
( ^ω^)「提案があるのですがお」

( ´_ゝ`)「提案?」

( ^ω^)「ええ、このエメラルドを、
      もう一度彼女に届けるんですお」

( ´_ゝ`)「意味がわかりません」

男性はにべもなく答えた。

( ^ω^)「要するに、
      あなたが直接あの女性に理由を話す、
      ということですお」

男性は小さく溜息をついた。

( ´_ゝ`)「この宝石が偽物かどうかを疑っていらしゃるのでしたらご安心ください。
      目利きの宝石商にも鑑定してもらった二百万相当の逸品です」

( ^ω^)「それも含めて彼女に説明してくださいお」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:36:26.70 ID:DRgd9n8f0
( ´_ゝ`)「ですから――」

男性の言葉を遮り、内藤は続けた。

( ^ω^)「あなたは、感謝していないのですかお」

( ´_ゝ`)「え?」

男性が軽く眼を細める。

初めて表情を変えた瞬間だった。

( ^ω^)「あなたの要求通り、
      エメラルドと花を交換してくれた女性に感謝していないのかと訊いているんですお」

その問いに気後れしたのか、男性は一歩後退った。

(;´_ゝ`)「もちろん感謝しているに決まっているじゃないですか」

平静を装おうとはしているが、
声が幾分震えている。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:36:50.57 ID:DRgd9n8f0
内藤は一瞬の隙を感じ取ると、
一気にまくしたてた。

( ^ω^)「私は彼女に明日あなたが直々に弁明にくると報告しますお。
      もしあなたが現われなかった場合は、
      私はなにも知らされていないとしらを切りますお。絶対に。
      そうなれば、彼女は未練を抱えたまま一生を終えることになる。
      本当に感謝しているのであれば、
      彼女に直接理由を話すのがあなたの義務だと思いますお」

内藤は言い終えると、
男性の答えを待つことなく、
エメラルドをベッドの傍らのナイトテーブルに置いた。

振り返り、
うなだれたまま立ち尽くす男性を見た。

表情もオーラもすっかりと対面した時のものに戻り、
体を煽る寒風にも眉ひとつ動かさない。

ただただ思案にくれている。

内藤にはそう感じられた。

ここで答えを急いたところで回答は得られないだろう。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:37:31.03 ID:DRgd9n8f0
内藤は無言のまま部屋から出ると、
階段を下りて玄関のドアを開けた。

空はいつの間にか、薄い墨汁を流したかのような灰色に覆われており、
太陽の姿はなく、カラスの鳴き声も、
風に煽られざわざわざと音を立てる草花のざわめきに取って代わっていた。

……早いものだ。

心中で独りごちながら、
内藤は門扉を潜った。

それと同時に、
右の頬に湿った感触を覚えた。

拭った手のひらを見ると、
そこにはわずかながら水が付着していた。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:37:51.36 ID:DRgd9n8f0
次いで頭にも柔らかな感触。

内藤は空を仰いだ。

その眼に広がったもの、
それは無数に降りしきる雪だった。

緩慢な速度で顔に落下した結晶は瞬く間に水と化し、
冷やりと皮膚を刺激する。


この雪ははたしてどれほど積り、
溶解するのだろうか。

内藤はコートの襟を立て、歩き出した。


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:38:37.28 ID:DRgd9n8f0
 ※


事務所に戻った内藤は部屋の明かりをつけると、
コートを玄関先のポールハンガーにかけ、
応接セットの近くの電気式スタンドヒーターのスイッチを入れた。

ソファーに座り、
ヒーターに両手をかざして数秒間温め、
上着の内ポケットから煙草の箱を取り出した。

一本をくわえ、火をつける。

ゆったりとニコチンを堪能しながら、
内藤は広尾での事象を思い返した。


正直なところ、
男性が礼子の元を訪れるという保障はない。

内藤の言葉を嘘と決めつけてしまう恐れもある。

やはり無謀な賭けだったのだろうか。

心に懸念が兆したが、
一方的に一任した以上翻意するわけにもいくまい。

いまはもう、あの男性を信じるしかなかった。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:39:10.02 ID:DRgd9n8f0
腕時計を見た。

時刻は七時十分。

煙草をステンレスの灰皿に捨てるとソファーから立ち上がり、
正面の窓にかかっているブラインドをあげた。

結露して煙ったガラスの外では、
いまもなおこんこんと雪が降っている。

その内の幾粒かがガラスにあたり、
滴り落ちた。


とりあえず男性と接触したことを報告しよう。

内藤は背後のデスクにつくと、
電話から受話器をとり、
番号をプッシュした。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:40:22.08 ID:DRgd9n8f0
「はい、津出生花店でございます」

三回目の呼び出し音で返事がかえってきた。

依頼人の声だった。

( ^ω^)】「こんばんは津出さん。内藤ですお」

「あ、内藤さん。なにかわかったんですか?」

内藤は単刀直入に申告した。

( ^ω^)】「ええ、あなたの探していた男性が見つかりましたお」

「え!?」

礼子が声をあげた。

声音からも驚きようが窺える。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:40:51.66 ID:DRgd9n8f0
「ほ、本当ですか?」

震えた声で礼子が訊ねる。

( ^ω^)】「本当ですお。
       詳しいことは直接お話しさせていただきたいのですが、
       明日そちらに伺ってもよろしいでしょかお」

「いえ、そんな、私のほうから事務所へ……」

そこで礼子の声が途切れた。

来客があったため挿話口を手で塞いでいるのか。

内藤は訝りながら耳をすませた。

すると、微かに車の走行音が耳に届いた。

どうやら挿話口を塞いでいるのわけではないようだ。

ではなぜ唐突に沈黙したのか。

内藤は一言も発さず、
室内を包む静寂の中で思索していた。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:41:23.61 ID:DRgd9n8f0

まさか……。


内藤は電話を切ってから席を立つと、
ヒーターと明かりを消し、
コートを持って事務所を出た。


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:44:41.62 ID:DRgd9n8f0



               Fin





59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:47:17.72 ID:DRgd9n8f0
支援ありがとうございました。

ハードボイルドを意識して書いたのですが、
自分の筆力ではこれが限界でした……。

楽しんでいただけたなら幸いです。
ありがとうございました。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 00:51:13.14 ID:lSNCxkp30
面白いけどここで終わりかよおおおお

不完全燃焼

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 01:02:11.94 ID:8JGNO5XN0
おつだけど
最後どうなったんだよ


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/26(木) 01:07:25.98 ID:DRgd9n8f0
>>60
wikiからの抜粋ですが

「反道徳的・暴力的な内容を、批判を加えず、
 客観的で簡潔な描写で記述する手法・文体」

確かにこれらの条件は満たされていませんね……。
>>62
内藤が確かめに行った。ただそれだけなんです。
なんの捻りもありません……。

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