mesimarja
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VIP市をテロリストが襲うようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:30:18.55 ID:D3yxHx2B0


────┼─タッグバトル─┼─┼─参加作品─┼────



青い空の中を、雲が奔っていく。
空を二つに割るように飛んでいた飛行機は、その高度をゆっくりと下げる。


「当機はまもなく着陸態勢に入ります」


飛行機が向かう先には三本の直線が見えている。
今そこから、異なる飛行機がすれ違うように飛び立っていった。
そしてまた一機が滑走路に曳かれていく。

朝でも夜でもこの空港は休むことがない。

進行方向に向かって右側には、
雲に突き刺さるような高層建築物がいくつも建ち並んでいる。


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:32:00.75 ID:D3yxHx2B0


世界有数の経済都市である  VIP市



一秒に動く金はおよそ数億とも数十億ともいわれる大都市。

南北に流れる一級河川を挟んだ対岸には、住宅街が詰まっていて、
人口密度もかなりの大きさだ。


都市は円形に広がっており、その中心には一段と高い尖塔が己を主張している。
頂上の展望デッキからは周囲が全て見渡せるだろう。


東から昇る朝日がゆっくりと光を溢し、影が短くなっていく。





様々な音が人々の目覚めを告げ、都市は動き出す。

いつもと変わらない一日が始まったかのように見えた。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:34:35.28 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――


タイトル◆side:building


――――――――――――――――――――――――――――――――――


チュンチュン

( ^ω^)「んー…」

( ^ω^)「今日も朝日が綺麗だお」


朝。天気は晴れ。
東の空に日が昇り、ほんのりとした暖かさが空気に混じる。
朝日は好きだ。気分がいい。


( ^ω^)「お」

( ^ω^)「営業のビロードくんかお」

( ^ω^)「今日も早いお」

( ^ω^)「関心関心」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:35:39.01 ID:D3yxHx2B0


足早に歩く若い男。
今年入社したばかりの新入社員だ。パリッとしたスーツがいかにも新人っぽい。
せっかくの休日なのに出勤とは本当にご苦労さまです。


( ^ω^)「あー」

( ^ω^)「いい天気なのに、朝早くから仕事とかマジしんどいっすわ」

( ^ω^)「こういう日は外で日向ぼっこするに限るお」


欠伸をかみ殺しながら、太陽に目を向ける。
眩しい。ウチの社長のハゲ頭のようだ。
なんてことを考えていると、横から声をかけられた。


('A`)「よぉ、ブーン」

( ^ω^)「お、ドクオかお。おはようだお」


こいつの名前はドクオ。
腐れ縁の旧友で、背丈が小さいが態度はでかい。
これだけだとすごい嫌な奴みたいだけど、間違ってはいないな。うん。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:36:36.01 ID:D3yxHx2B0

('A`)「相変わらずのんきな顔してんな」

( ^ω^)「そっちは相変わらず陰鬱な顔だお」

('A`)「オレの目の前の誰かさんのせいでな」

( ^ω^)「大は小を兼ねるというお」

('A`)「使い方間違ってるだろ、それ」

('A`)「とりあえず、そのでかい図体どかせよ」

( ^ω^)「と、言われましても」

('A`)「デェダラボッチとかに頼むか。山でも動かせるらしいし」

( ^ω^)「やだドックン。目が本気」

('A`)「いつだってオレは本気だ」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:37:06.40 ID:D3yxHx2B0

( ^ω^)「そんなことされたら、ウチの可愛い子どもたちが路頭に迷うお」

('A`)「おっさんばっかじゃねぇか」

( ^ω^)「若い子もいるお。秘書のトソンちゃん、受付のミセリちゃん、経理のクーちゃんに…」

('A`)「死ね。ガチで死ね」


(株)内藤商事が有する内藤ビルディング。
それがブーンこと、ボクの正式名称だ。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:39:02.64 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

-AM7:00-

内藤ビルディング

――――――――――――――――――――――――――――――――――


┌─────┐
│ロロロロロロロロロ│
│     ^ω^│ <どうも、きらきらきらりん内藤商事です
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│
│ロロロロロロロロロ│  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
│ロロロロロロロロロ│ │ | ̄Τ ̄Τ ̄| │
│ロロロロロロロロロ│ ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ
│ ┌──┐ │/::::::::::::::::::::::::::::::'A`:::\ <……
│  Τ ̄Τ │ ̄|Τ ̄Τ ̄Τ ̄Τ| ̄
│  │││ │ │|101 |102 |103| |....,,..,.......,,

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:40:39.44 ID:D3yxHx2B0

('A`)「初っ端からうざいんですけど」

( ^ω^)「まぁ、休日の朝だし? お日様も気持ちいいし?」

('A`)「ふざけんな」

('A`)「こっちは野郎どもがジメジメゴロゴロしてるだけで気持ち悪いんだよ」

( ^ω^)「ドクオも女子を入れればいいお」

('A`)「絶賛歓迎中ですけどね」

('A`)「会社とかと違って、ウチみたいなアパートには女の子は来ねーっつうの」

( ^ω^)「呼び込めばいいお」

('A`)「軽く言うね」

('A`)「じゃあ、お前のとこの女子紹介しろよ」

( ^ω^)「なんでウチ選んだし」

('A`)「近いしちょうどいいだろ」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:42:22.64 ID:D3yxHx2B0

('A`)「ビルの横の欝田荘って会社にも近いし最高じゃない? みたいな張り紙とか出せないの」

( ^ω^)「そういうことは総務を通してくれお」

('A`)「固っ」

( ^ω^)「固いもなにも張り紙するとか無理だお」

('A`)「頑張ればできるんじゃね。ほら、身体の一部を崩して象形文字にするとか」

( ^ω^)「ホラーかお」

('A`)「ウチの部屋でやったら呪い扱いされたわ」

('A`)「そのせいで一室空いてる」

( ^ω^)「…」

('A`)「黙るなよ、悲しくなるだろ」

( ^ω^)「いや、だって…」

( ^ω^)「日も差さない部屋で呪われてるとか」

(;'A`)「半分はお前のせいだよ!!」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:44:12.84 ID:D3yxHx2B0

まぁ、日照権が悪いのは概ねボクのせいだ。
それは認めよう。とはいえ別にボクだけが飛びぬけて高いわけじゃない。
周囲は全部高層建築物だ。

言ってしまえば、ドクオがこの大都市VIPでは異質な存在なのだ。


( ^ω^)「つーか、ドクオ」

('A`)「あん?」

( ^ω^)「リフォームとかしないのかお?」

('A`)「んな金がねぇ」

( ^ω^)「おま…、その土地だけは一等地じゃねぇかお」

('A`)「だけとか言うな」

( ^ω^)「身体も随分痛んでるんじゃないのかお? このままじゃいつかボッキリとかいってもおかしくないお」

('A`)「ボッキリね」

( ^ω^)「まぁ、倒壊するなんてことはそうそうないと思うけど、気を付けないと痛い目見るお?」

('A`)「…」

('A`)「…倒壊か」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:44:56.10 ID:D3yxHx2B0

( ^ω^)「え」

( ^ω^)「なに? 倒壊すんのかお?」

('A`)「そう簡単にしてたまるかよ」

( ^ω^)「びっくりさせるなお」

('A`)「ちょっと基礎工事が甘かったせいでヤバイ気がするだけだ」

( ^ω^)

('A`)「ん?」

( ^ω^)「それは…」

( ^ω^)「ガチでやべぇ」

(;'A`)「お前、そういうこと言うなよ!! ナイーブなんだからさ!!」

( ^ω^)「ナイーブとかそういう問題じゃないお」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:47:45.25 ID:D3yxHx2B0

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「マジでやばいの?」

('A`)「わりと」

( ^ω^)「例えば?」

('A`)「鉄骨だと思ってたらシャー芯だった、みたいな」

(;^ω^)「建築物とは思えない単語が出てきた!?」

( ^ω^)「折れるものの代表格じゃねぇかお」

('A`)「そうだな」

('A`)「せめてロケットペンシルぐらいだったら…」

( ^ω^)「いや、それあんま変わってないお」

('A`)「お前、ロケシン馬鹿にすんなよ。ウチの203号室のギコくんは未だに愛用してんだぞ」

( ^ω^)「ギコくんのことはどうでもいいお」

( ^ω^)「っていうか、倒壊したらギコくんもペシャンコじゃね」

('A`)「ギコくんは最近彼女できたみたいだから潰れていいかな」

( ^ω^)「私怨すぎる」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:50:02.27 ID:D3yxHx2B0

('A`)「オレも支えてくれる女性が欲しい」

( ^ω^)「お前に必要なのは女じゃなくて支柱だお」

('A`)「お前はいいよな。両方持ってて」

('A`)「どっちか譲れ」

( ^ω^)「いや、さすがに無理」

(#'A`)「なんでだよ!!」

( ^ω^)「ちょっと考えれば分かるお」

(#'A`)「やだやだ!! どっちも欲しい!!」

( ^ω^)「なにこのうっざい子どもみたいなの」

(#'A`)「お前よりだいぶ年上じゃい!!」

( ^ω^)「まぁ、築年数だけは上だお」

(#'A`)「だけとか言うな!!」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:51:53.37 ID:D3yxHx2B0

('A`)「…」

('A`)「はぁ…」

('A`)「まぁ、どう足掻こうが立派になるわけでもないし、女子が入ってくるわけでもないんだけどな…」

('A`)「夢ぐらいは見てぇよ」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「ドクオ」

( ^ω^)「ボクはドクオを見捨てたわけじゃないお」

('A`)「嘘つけ」

( ^ω^)「ドクオはドクオのままが一番いいと思うお」

( ^ω^)「気にすることないお」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:54:00.50 ID:D3yxHx2B0

( ^ω^)「それを好いてくれる住人もいるんだお?」

('A`)「…まぁ、そりゃな」

( ^ω^)「だおだお」

( ^ω^)「汚くて臭くて日照権がなくて基礎がシャー芯で、住んでるのが野郎ばっかりでも」

( ^ω^)「ドクオにはそれが似合ってるお」

('A`)「あれ? なんだろう、この気持ち。目から変な汁が出てきたんだけど」

( ^ω^)「アスベストかお?」

('A`)「お前ガチでぶっ殺すわ」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:55:49.47 ID:D3yxHx2B0

すっかり昇った太陽。
休日の静かなオフィス。
憎たらしい顔の友人。

今日も万事平和である。今のところは。


( ^ω^)(あ)

( ^ω^)(ビロードくんの湯飲みに茶柱が立ってる)

('A`)「どうかしたのか?」

( ^ω^)「いや」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「ドクオ」

('A`)「んだよ」

( ^ω^)「今日はいいことあるお」

('A`)「まるで毎日が嫌なことだらけみたいに言うのやめてくれる?」



最高に長くて最低な一日の始まりだとは、このとき夢にも思わなかった。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:58:05.88 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――


タイトル◆side:people


――――――――――――――――――――――――――――――――――


(´・ω・`)(…………)

署内は朝からずっと騒がしい。
普段なら夜勤が終わって家に帰るころだが、そうもいかない事情ができた。

この二十数年、世界中を恐怖と混乱に貶めた世界最悪のテロリスト集団が、
再びVIP市に姿を現したとの情報が入ったからだ。

情報部からはまだ連絡が来ない。
噂の真偽確認が取れるまでは、家に帰るつもりもなかった。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 18:59:01.34 ID:D3yxHx2B0



……いまからちょうど21年前。
その日は、都市の中心にVIP市の象徴として建てられたVIPタワーの一般入場日、初日だった。

僕と妹は運よく展望チケットに当選し、列のかなり前辺りに並んでいた。
後ろには長蛇の列が続き、どこまで伸びているのかもわからない。

順番が来て大きなエレベーターに乗り込む。
高度を示すメーターと僕の高揚感はシンクロしていた。

ドアが開き、飛び出すように窓際間で走る。
全面ガラス張りのデッキからは、雲ひとつない青空の市内がよく見渡せた。
小さい妹の驚きが、つないだ手を通って僕にも伝わってくる。


突然の大きな震動。

僕らのいた場所は悲鳴と喧騒で満ち溢れ、
人の波に僕らは呑み込まれた。

不快な浮遊感を全身に受けながら、僕は妹の手のぬくもりを失った。



(´-ω-`)「……夢か」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:00:38.57 ID:D3yxHx2B0

ガタン、と大きな音を立てて俺は目を覚ました。
机に打ち付けた膝が痛む。


たった四人メンバーだったという。


世界一の高さをもつVIPタワーが、倒れた。

死者283人、負傷者1713人。
翌日、世界中の紙面のトップを飾った。


展望台デッキにいた人はただ一人を残して、全員命を失った。


衝撃で意識を失った俺は、病室で目を覚まし、その時の真実を聞かされた。



奇跡


その一言に尽きる。


傾きはじめたVIPタワーは、すぐ隣の高層ビルにぶつかりながら倒れたそうだ。
多くの人がタワーから投げ出されるなか、俺は隣のビルに投げ込まれた。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:01:52.51 ID:D3yxHx2B0

俺一人だけ生き残った。


たった一人の肉親だった妹は、無残な姿で見つかった。


彼女が殺されてから復讐だけを誓って生きてきた。
警察官になり、ひたすらに業績をあげ続けた。

気がつけば20数年で、頂上の座に上り詰めていた。


世界有数の経済都市であり、数百万人もの人々が生活しているこのVIP都市で。

(´ ω `)「……必ず……必ずだ」


都市の安全を守るためではない。
警察官の職務としてでもない。

ただ私怨を晴らすためだけに。


処刑台に送るつもりなんて毛頭ない。

(´・ω・`)(俺の手で……殺す)

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:03:22.40 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

-AM7:00-

VIP市 とあるカフェテリア

――――――――――――――――――――――――――――――――――


( ФωФ)「奴との連絡はとれているのか?」

ハハ ロ -ロ)ハ「今日、作業する言ってたカラ、しばらくは無理だと思ウ」

爪'ー`)y-「やつってのは?」

三人の男と一人の女がカフェテリアの一角で話していた。
特徴的な金髪も、碧眼も、浅黒い肌も、すべてが風景にとけている。

異国人はこの都市での日常にすぎないのだ。

早足で通り過ぎる人々は彼らに一瞥もくれない。
たとえそこで、かつてない規模のテロ相談が行われていたとしても。

( ФωФ)「今回の協力者、というべきか」

ハハ ロ -ロ)ハ「仲間になりたいっテ話」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:04:41.84 ID:D3yxHx2B0

爪'ー`)y-「ふぅん。どうするの?」

彼らの熱狂的信者が自主的に運営しているサイトがある。
そこでは勝手なメンバー募集が行われていた。

勿論、そのほとんどは警察に捕まってしまうのだが。
サイト自体も巡回ルートに入っている。

だが、その中でも有望な人間を見つけた時、彼らは独自のルートで連絡を取る。
今回VIP市を訪れたのは、そのうちの一人がいるからというのもあった。

( ФωФ)「既に爆薬は郵送してある。時間がくれば動いてくれるであろう。
        それを見てから使えるかどうか判断すればいい」

爪'ー`)y-「しばらくは関係ないってことね」

( ФωФ)「それで、場所は用意できたか?」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:06:07.94 ID:D3yxHx2B0

爪;'ー`)y-「それが、殆どのホテルは予約済みだ。
       まさか一部屋も空いてないなんてことがあるなんてな」

( ФωФ)「どうするのだ?」

爪'ー`)y-「大都市と言えど、急速に成長したせいか、古い建物はまだある。
      そいつをちぃと借りればいい」

( ФωФ)「ふむ、変に高級ホテルに入るよりはいいだろうな。見当はつけてるのであるな?」

ハハ ロ -ロ)ハ「高いホテルがいいデス……」

( ФωФ)「まぁ、そういうな。で、どこであるか?」

爪'ー`)y-「ここだ」


男は先ほど買ったばかりの地図を広げ、一点を指さした。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:09:02.85 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

-AM8:00-

ホテルモナー

――――――――――――――――――――――――――――――――――


そう、その日は普段どおりだった。

ホテルの朝は早い。
お客様のおはようからおやすみまでを管理をする立場としては当然のことであり、それを誇りに仕事している。
しかし、ボクのいう普段通りとは残念ながら仕事のことではない。

その日は普段どおり、ぎゃあぎゃあとうるさい弟分の話を聞いていた。


( ´∀`)「で」

( ´∀`)「またフラれたと」

( ;∀;)「そうなんだよぉ~」

( ´∀`)「もう泣くな。鬱陶しいモナ」

( ;∀;)「ひ、ひどい!!」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:13:34.61 ID:D3yxHx2B0

( ´∀`)「仮にもモナーの系列に属する者だモナ?」

( ´∀`)「女にフラれたぐらいで情けないモナ」

( ;∀;)「うぅ、クーちゃぁん…」

( ´∀`)「…」


ダメだこりゃ。
いい加減辟易したボクは匙を投げた。
泣き言に付き合って2時間になる。つまり朝の6時からこれだ。頑張ったほうだと思う。


( ;∀;)「うぅ…」

( ;∀;)「ヘビー級の恋は見事に角砂糖と一緒に溶けちゃった…」

( ´∀`)「なんだモナ、それは」


ボクの名前はホテルモナー。
それでグジグジ泣いてるこいつがボク系列になるホテルモララー。
言ってしまえば兄弟みたいなものだが、こんな不出来な弟なんていらないと常々思っていた。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:14:30.52 ID:D3yxHx2B0

( ・∀と)「ジュリマリ…、YUKIちゃん可愛い」

( ´∀`)「はぁ…」

( ´∀`)「モララー、一言だけ言わせてもらうモナ」

( ・∀・)「何?」

( ´∀`)「その人間に恋愛感情を抱く癖、直したほうがいいモナ」

( ・∀・)「えー」

( ´∀`)「えーじゃないモナ」

( ・∀・)「だって好きなんだもん」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:16:36.53 ID:D3yxHx2B0

( ・∀・)「可愛いんだよ、人間の女の子って」

( ・∀・)「こう、ビルなんかとは違ってさ。背がちっちゃくて、柔らかそうで…」

( ´∀`)「当たり前モナ。モナたちよりでかくて硬そうな人間とか見てみたいモナ」

( ・∀・)

( ・∀・)「ウルトラの母とか」

( ´∀`)「初っ端から道を踏み外しすぎモナ」

( ・∀・)「人妻もいいかなって」

( ´∀`)「そこは問題じゃねぇよ」

( ・∀・)「タロウも愛する自信はあるよ?」

(;´∀`)「…ウルトラの話はもういいモナ」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:18:45.03 ID:D3yxHx2B0

( ´∀`)「モララー、よく聞くモナ」

( ・∀・)「うん、よく聞く」

( ´∀`)「いくら愛し合っても人間と建築物では結ばれないモナ。何故だか分かるモナ?」

( ・∀・)「両親の反対?」

( ´∀`)「よし、分かった。黙って聞け」

( ´∀`)「世の中には変人もいっぱいいるから、建築物に愛情を示すような人間がいてもおかしくないモナ」

( ´∀`)「人間に愛情を示すような変な建築物もいることだし」

( ・∀・)「えへへ」

( ´∀`)「別に褒めてないからね」

( ´∀`)「でも結ばれることはないモナ」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:20:25.40 ID:D3yxHx2B0

( ・∀・)「なんなら駆け落ちでも」

( ´∀`)「駆ける足がねぇだろ、黙ってろ」

(;・∀・)「こ、こわい…」

( ´∀`)「で、結ばれない理由はただ一つ」

( ´∀`)「子どもができないから。これモナ」

( ・∀・)

( ・∀・)「え」

( ´∀`)「え」

(;・∀・)「できないの!?」

(;´∀`)「できると思ってたの!? どうやって作る気だったモナ!?」

( ・∀・)「設計図起こして基礎から固めていけばいいだけじゃないの?」

(;´∀`)「そりゃモナたちの話だモナ!!」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:22:02.65 ID:D3yxHx2B0

(;´∀`)「というか、なんで知らないモナ?」

( ・∀・)「?」

( ´∀`)「いや」

( ´∀`)「お前、ラブホだモナ?」

( ・∀・)

( ´∀`)

( ・∀・)「ボクってラブホなの?」

( ´∀`)「うん、めっちゃラブホ」

( ・∀・)「ラブホって何?」

( ´∀`)「何ってお前…、簡単に言えば人間が子作りするとこモナ」

(;・∀・)「え――――――――――――――!!?」

(;・∀・)「人の建設現場!?」

( ´∀`)「まぁ、間違いではないモナ」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:24:57.97 ID:D3yxHx2B0

(;・∀・)「ボクってそんな神聖な場所だったの!?」

( ´∀`)「いや、神聖というかどっちかというと猥褻というか…」

( ・∀・)「わいせつ…?」

(;´∀`)「あー…んー…」

( ´∀`)、「何かいかがわしいことしてたでしょ?」

( ・∀・)「例えば?」

( ´∀`)「なんかほら、ベッドの上でくんずれほぐれつ…」

( ・∀・)「え? プロレスごっこぐらいしか」

( ´∀`)「やだ、この子。純粋すぎる」

( ・∀・)「?」

( ´∀`)「確かに生まれて1年ぐらいしか経ってないけど」

( ´∀`)「まさかここまで世間知らずだったとは…」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:27:51.39 ID:D3yxHx2B0

( ´∀`)「…」

( ´∀`)「モララー、よく聞くモナ」

( ・∀・)「うん? 任せろ」

( ´∀`)「人間はその、モナたちと違って人間同士がイチャイチャすることで子どもが生まれるモナ」

( ・∀・)「基礎工事もいらないんだ…」

( ´∀`)「いらんモナ」

( ・∀・)「土台は鉄骨? 大丈夫なの? 震度6強ぐらいはいける?」

( ´∀`)「いやまぁ、骨はしっかりしてるね。震度はそこそこ耐えれる、はずモナ」

( ・∀・)「人間って柔らかそうに見えるけど結構丈夫なんだなぁ」

( ´∀`)「色々と省略したけど間違ってはないと思うモナ」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:30:34.10 ID:D3yxHx2B0

( ・∀・)「あ」

( ・∀・)「プロレスは関係あるの?」

( ´∀`)「…」

( ´∀`)「割と重要モナ」

( ・∀・)「プロレスすげぇ!!」

( ・∀・)「猪木とタイガーマスクも子作りしちゃう!?」

(;´∀`)「いや、さすがに…」

( ・∀・)「あー、イチャイチャしてないもんね。あ、でもオフは仲良しかも」

(;´∀`)「どっちにしろ嫌な絵面だモナ…」

( ・∀・)「ボクも人間とイチャイチャしたいな」

( ´∀`)「いやー、どうだろう」

( ´∀`)「手も繋げないし、キスもできないモナ」

( ・∀・)「あ、でも。この前『床にキスしてろカス』って言われたおじさんがキスしてくれたよ」

(;´∀`)「う、嬉しくねぇ…」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:32:41.73 ID:D3yxHx2B0

( ・∀・)「そうかな。優しいキスだったよ」

( ´∀`)「床だからね。激しくねぶられても困るモナ」

( ´∀`)「モララーは人間なら誰でもいいモナ?」

( ・∀・)「失礼な」

( ・∀・)「ラブホだって相手を選ぶ権利はあるよ!」

( ´∀`)「あぁ、同性とかだったら断れたりするモナ」

( ・∀・)「モナーは来る者拒まずだよね」

(;´∀`)「節操のないような言い方やめてもらいます!?」

( ´∀`)「コホン」

( ´∀`)「モナーはこれでもこの街一番のホテルモナ」

( ´∀`)「そんじょそこらの庶民に払えるお金じゃないモナ」

( ・∀・)「じゃあボクはこの街一番のラブホだね」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:34:55.80 ID:D3yxHx2B0

(;´∀`)「まぁ、そうなんだけど誇っていいものか迷うとこモナ…」

( ・∀・)「VIPルームとかあんの?」

( ´∀`)「そりゃまぁあるモナ」

( ´∀`)「ゴージャスな大理石のお風呂に、天窓がついてるベッド…」

( ・∀・)「透けてるトイレは?」

(;´∀`)「ないよ、そんなの!!」

( ・∀・)「ウチのVIPルームはマット付きのお風呂に、回転するベッドだよ」

(;´∀`)「あぁ、ね」

( ・∀・)「オプションでグッズが選べるけど、モナーはどんなのが好…」

( ´∀`)「いや、いい。ごめん、もうやめて」

( ・∀・)「えー」

( ・∀・)「これから身体と身体のぶつかり合いのプロレスの話だったのに」

(;´∀`)「いや、まじでいいから」

( ・∀・)「ちぇー」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:37:21.83 ID:D3yxHx2B0

( ´∀`)「…」

( ´∀`)「選ぶ権利って言ってたけど、好みのタイプとかあるモナ?」

( ´∀`)「正直モナにはよく分からんモナ」

( ・∀・)「そうだなー…、可愛くてー、髪がさらさらでー、目が綺麗でー、すらっとしてて…」

( ・∀・)

( ;∀;) ブワッ

( ;∀;)「クーちゃぁぁぁん!!」

(;´∀`)「最初に逆戻りしたモナ!?」

( ;∀;)「クーちゃんはヒールレスラーでね。鞭と蝋燭と鉄パイプを…」

(;´∀`)「コアな趣味の人だった!? 床にキスさせたのそいつだろ!!」

( ;∀;)「うん」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:41:22.64 ID:D3yxHx2B0

(;´∀`)「…」

(;´∀`)「…参考までに鉄パイプって何に使うモナ?」

( ;∀;)「場外乱闘…」

( ´∀`)「…」

( ´∀`)「やっぱお前の趣味分からんモナ…」


なんてめんどくさい奴だろう。
ウルトラマンからプロレスの話までしたのに、結局ふりだしに戻ってしまった。
やっぱりガン無視が一番いいのだろうか。


ウィーン


そんなこと考えるところに客が入ってきた。
朝早くから部屋の予約だろうか。生憎、本日は満室となっているのだが。


( ・∀・)「クーちゃんかな!?」

( ´∀`)「ぜってぇ違うわ」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:44:10.77 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

-AM8:30-

VIP市 警察署内

――――――――――――――――――――――――――――――――――


(´-ω-`)「ふぅ……」

もう何度目のため息だろうか。

今のところは怪しい人物は見つかっていない、という報告を受けた。
それも当然だろう。
経済都市だけあって外国から来ている人間も多く、肌の色や言語を気にしない人間ばかりだ。

他国で事件があった時、彼らテロリストは正規ルートで入国し、
パスポートを持っていたとも聞いている。
そんな人間を通常の手段で見つけ出すのは不可能に近い。

つけっぱなしの無線は、雑音を垂れ流すだけで何一つ有益な情報が入ってこない。
睡魔も限界に近く、仮眠室に入って休もうとも考えていた。

落ち着くために吸っていたタバコは、既に1箱を消費している。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:46:50.89 ID:D3yxHx2B0

(´・ω・`)(……デマだったのか?)

去年の暮にもネットでテロリストを自称する人間が逮捕された。

今回の情報源は匿名のメール。
朝の3時に署内の全PCに送られてきた。

普段ならば数人の夜勤が対応する事態だが、内容だけに俺も残ることにしたのだ。
一通のメールや一枚の便せん、その程度なら軽い調査で犯人を特定できる。
だが、今朝は異常だった。

だからこそ、こうして待機しているわけだ。

席に座っているのも疲れ、立ちあがって署内の自販機に向かう。
120円を入れてコーヒーを買った。

砂糖の甘さが疲れた体に沁み入る。
一息に飲み干して、ゴミ箱に投げ捨てた。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:49:40.16 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

-AM8:00-

VIP市 とあるアパート

――――――――――――――――――――――――――――――――――


テロリスト達は古い建物の前に来ていた。
雑談していたカフェテリアから電車で数駅程度の場所。

( ФωФ)「ここか……」

空き部屋の状態はポストから確認する。

ハハ ロ -ロ)ハ「キタネェ……」

〈::゚-゚〉「入るぞ」

爪'ー`)y-「一階、二階の真ん中の部屋が空いてるみたいだな。
      二階の方が何かあった時に対応しやすいか」

錆び付いた鉄の階段を上り、202と書かれた部屋を蹴り破る。
それだけで建物全体が軽くきしむ。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:52:13.35 ID:D3yxHx2B0

( ФωФ)「潰れないだろうな……?」

爪'ー`)y-「おそらく……で、最初にどこをやる?」

( ФωФ)「焦るな。地図を見てから決める」

彼らに目的はない。
しいてあげるのなら、壊して、殺すこと。

小さな村を一つ丸ごと更地にしたこともあれば、発破予定のビルを先に壊したこともあった。

( ФωФ)「ふむ……」

VIP市は町の中心が大きな川で南北に縦断されており、
東にはオフィスが、西には居住区が集中している。
大小多くの橋が川を跨いでかかっており、円形の線路は都市全体を繋いでいる。

ハハ ロ -ロ)ハ「ココがいいネ」

爪'ー`)y-「ん? なんだぁ、随分でけぇ橋だな」

( ФωФ)「ふむ、相当な量の爆薬が必要だな。ィシィはここでいいか?」

〈::゚-゚〉「どこでも」

褐色の大男は短く答えた。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:53:55.07 ID:D3yxHx2B0

爪'ー`)y-「早速爆弾を仕掛けるか?」

( ФωФ)「警察が多く出歩いている。気をつけろ」

爪'ー`)y-「りょーかい」

普段から話が合うのか、それとも目的がないからなのか、
コンセンサスはすぐに得られたようだ。
主犯格の男と女性を残し、二人の男は出かけた。

爪'ー`)y-「楽しみだねぇ。わくわくするねぇ。何人死ぬかな!」

背の低い剽軽な男は手に持つアタッシュケースをくるくると回して歩く。
この男の役割は爆弾の設置。
建築学と物理学に詳しく、自ら志願してテロリストに入った。

〈::゚-゚〉「……殺人狂め」

長身に幅広の身体を持つ男は、
柔道、コマンドサンボ、ボクシング、太極拳など十以上の格闘技を極めている。
彼はリーダーの男から直接オファーを受け、テロ行為に参加している。

「少しお時間いいですか?」

アパートから少し離れたところで、見周りの警察が二人に声をかける。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:56:04.33 ID:D3yxHx2B0

爪'ー`)y-「どしたん?」

「パスポートを見せていただきたいのですが……」

〈::゚-゚〉「構わない」

正規の手続きで入国している彼らを、警察官は疑いにくい。
それ以外にも、彼らは会社の社員証などの身分証明を携帯している。

そして、身分証明ができる人間の荷物を警察が調べることはしない。
この国では、プライバシーの問題が度々議題に上り、
そのたびに警察は苦汁をなめさせられてきたのだ。

何の問題もなく二人は切り抜けた。


爪'ー`)y-「さって、ついたね」

VIP市で一番大きい橋はオサム橋と呼ばれている。
橋脚は全部で36本、全長は2kmにも及ぶ。
都市の北側に位置し、朝と夜に関わらず多くの交通量がある。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 19:58:46.55 ID:D3yxHx2B0

彼らの目の前で、遅めの出勤をしている車がかなりの速度で通り過ぎていく。

爪'ー`)y-「ふむふむ」

男は橋の形状を見ただけで、男は必要最低量の爆薬を計算する。

〈::゚-゚〉「長い」

爪'ー`)y-「そういうな、簡単な計算じゃないんだからさ」

手にしたメモ用紙には次々と情報が書き込まれていく。
橋の簡易図を描き、爆破するべきポイントを赤で囲む。

爪'ー`)y-「よっと。よし、んじゃやっちまうかね」

爆発物は彼により創り出されたもので、かなりの威力を持つ。
接着面があり、高所であっても投げれば張り付くようになっている。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:03:34.17 ID:D3yxHx2B0

男達は爆弾を慣れた手つきで取り付けていく。
30分もしない内に、全てを設置し終えた。

ポケットから携帯を取り出し、登録してある番号にかける。
一度のコールで相手が出た。

【爪'ー`)y-「リーダー? 準備できたよ」

( ФωФ)】 「よし、犯行声明の準備は?」

ハハ ロ -ロ)ハ「イツデモイイヨ」

( ФωФ)「では、狼煙をあげよう」

女性がエンターキーを押すのと、男が爆弾を起動するのは全く同時だった。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:06:01.86 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

-AM9:00-

棺桶大橋

――――――――――――――――――――――――――――――――――


その日は―…、快晴だった。
雲一つない青い空。
なんとよい心地だろう。自然に笑みが漏れる。


【+  】ゞ゚)「見渡す限りの…」

【+  】ゞ゚)「パンツ」


晴れで良かった。
そうだね、スカートだね。女子はスカートだよね。


【+  】ゞ゚)「冬の絶対領域もいいものだが、やはり春夏だな」


暖かさは人を開放的にさせるのだろう。
北風と太陽の話もある。
なんならここで脱いでもいいのよ。捕まるだろうけど。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:08:35.68 ID:D3yxHx2B0

【+  】ゞ゚)「今日も一日パンツが拝めることを神様に感謝しなくては…」

【+  】ゞ゚)「イエス、パンツ!! ノー、パンツ!!」

【+  】ゞ゚)「ノーパンツ!!」

【+  】ゞ゚)「ノォ↑パンツゥ!!!」


もう少し尻上がりに発音したほうがいいかもしれない。
そう思っていたときだった。


【+  】ゞ゚)「…」

【+  】ゞ゚)「…?」


何か違和感を覚えた。
何だ? この紐パンでもいたのか?
紺パンか? 白か?

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:11:33.17 ID:D3yxHx2B0

【+  】ゞ゚)「いや、違うな」


紐パンを見逃すわけはない。
ガン見だ。

無論紺でも白でもガン見だ。
つまり、パンツは全部ガン見だ。
これはパンツの気配ではない。もっと異質な…。


【+  】ゞ゚)「…」

【+  】ゞ゚)「…なんだ、あいつらは?」


橋のふもと、眼下で何やら蠢いている影が見えた。
あれは…、なんだ?
こんな時間に何をしているんだ?


【+  】ゞ゚)「男…」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:14:44.74 ID:D3yxHx2B0

がっかりだと思いながら観察していると、何かを設置しているようだ。
手早い。慣れている。何かしらのプロであろうことが推察された。
男は二人組、外人のようだ。


【+  】ゞ゚)「何かを準備しているのか?」

【+  】ゞ゚)「外人…、か」

【+  】ゞ゚)「…」


まさか。
いや、ありえる。ここはVIP市と外部を繋ぐ最大の橋だ。
シュチュエーション的にはこれしか考えられない。


【+  】ゞ゚)「あいつら…!!」


なんてことだ。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:18:23.22 ID:D3yxHx2B0


【+  】ゞ゚)「洋モノの撮影か…!!」


あれは撮影セットだな。間違いない。

ちょ、外人とかwwwwww滾るんですけどwwwwwwww
オレの跳ね橋が飛び跳ねちゃうよwwwwwwwなんちゃってwwwwwwwww




<では、狼煙をあげよう





爆破された。





.

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:21:13.80 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

-AM10:00-

VIP市 警察署→棺桶大橋

――――――――――――――――――――――――――――――――――


(;´・ω・`)「なっ!?」

地面が大きく揺れた。
そう錯覚するほどの爆発音だった。

慌てて窓の外を見るが、この部屋からは黒い煙しか見えない。
音がした方向に窓がある、隣の部屋に駆け込んだ。

目に入ったのは、崩れていく棺桶大橋。
橋板は崩落し、ワイヤーは嵐に舞うように千切れていく。

特撮映画のセットのようにいとも容易く、その惨劇は解体作業すら思い起こさせる。
これだけの派手な爆発を起こせるのはやつらしかいない。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:22:04.60 ID:D3yxHx2B0

知らずに握りこんでいた両の掌をほどき、署長室に戻った。
椅子に座る間もなく、扉が開けられる。

「棺桶大橋が爆破されました!!」

額に汗を浮かべながら部下が飛び込んできた。

(#´・ω・`)「知ってるッ! 今すぐに検問を敷け! 被害状況は!」

自然に言葉に力がこもる。

「わかりません……」

(#´・ω・`)「……ッ! 現場に行く。新しい情報が入り次第連絡しろっ」

「はいっ」

防弾チョッキを着て、車に乗り込む。
サイレンを鳴らし、アクセルを限界まで踏み込んだ。

車と車の間をすり抜けるように現場へと急ぐ。

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:23:12.29 ID:D3yxHx2B0

(´・ω・`)「…………」

道路が混んでいたせいもあり、30分近くかかってしまった。
辿り着くまでの間、車の中の無線で応対する。

オサム大橋は、見る影もなく完全に破壊されていた。

ここから見えるだけでも二十台以上の車が川に突き刺さり、
消防と救急が必死に救助活動を行っていた。

あまりに現実離れしたこの場所に、言いようのない感覚が体を支配する。

脳内にフラッシュバックするのはあの時の光景。

(#´ ω `)ギリギリ

間違いなく奴らだ。
背筋に冷たいものが滴る。

(#´ ω `)「……」


我に返った俺は現場に来ていた警察官に指示をとばす。

78 名前:失礼、変更ミスでした。オサム大橋→棺桶大橋:2012/05/31(木) 20:26:46.70 ID:D3yxHx2B0

(#´・ω・`)「いいから、道路を通れるようにしろっ!
       向こう岸は誘導係を用意して南の橋へ車を回せ。
       市内には緊急避難情報を流せ!!」

騒ぎに負けない大声で叫ぶ。

(#´・ω・`)「検問はっ!」

「交通量が多すぎて無理ですっ! 人数が足りませんっ!」

(#´・ω・`)「いいからやれっ!!」

無茶を押しつけているのは自分でもわかっていた。
だが、テロリストを逃がすことは許さない。

(#´・ω・`)(糞がっ……!!)

焦燥が胸を焦がす。署長という役職ゆえに、無心でテロリストを追うことはできない。
今この場所で指揮できるのは俺しかいない。
出世をすることで、逆に自らの首を絞めていたことに俺は初めて気づいた。

「ショボン署長!!」

(#´・ω・`)「なんだ?」

若い警察官が走って近づいてきた。
手には一枚の紙切れが握られている。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:28:13.14 ID:D3yxHx2B0

「犯人からと思われます」

(#´・ω・`)「渡せ……ッ!!」


「楽しんでもらえただろうか。祭りを盛大に楽しもうじゃないか」


一枚目は何の変哲もなく短い文章。

二枚目には漢字が書かれていた。

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3041654.jpg

(´・ω・`)「なんだ……これは……?」

「犯行予告……ですかね?」

(#´・ω・`)「ふざけやがって……」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:30:43.86 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

-AM10:30-

鬱田荘

――――――――――――――――――――――――――――――――――


衝撃だった。
最初は冗談かと思ったが、どうやら本当らしい。
信じられない。まさか。


(;'A`)「オサムがやられた…!?」

( ^ω^)「…?」

(;'A`)「嘘だ。そんなバカな有りえない…」

( ^ω^)「ドクオ、いきなりどうしたんだお?」

('A`)「…」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:32:13.33 ID:D3yxHx2B0

('A`)「人間が話しているのを聞いた」

( ^ω^)「なんだお?」

('A`)「オサムが落ちた、と」

(;^ω^)「オサムが落ちた!?」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「住人が川にでも落ちたかお?」

('A`)「ちげぇ」

('A`)「オサムってのは、あれだ。街の北にあるでっかい橋」

( ^ω^)「棺桶大橋のことかお? この街一番の橋だお」

('A`)「古いけどな」

( ^ω^)「知り合いだったお?」

('A`)「まぁな」

('A`)「顔は悪いけど性格も悪い、良いところを探すのが難しい奴だった」

( ^ω^)「ドクオみたいな奴だお」

('A`)

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:34:01.36 ID:D3yxHx2B0

('A`)「でもな」

( ^ω^)「さすがメンタル強いお」

('A`)「今まで数々の地震洪水を乗り切った奴だ」

('A`)「人と人を繋ぐ仕事に誇りをもっていた」

( ^ω^)「へぇ」

('A`)「パンモロパンモロってな。いつも自慢げに語ってたよ」

( ^ω^)「最低だな」

('A`)「しかし、あいつが落ちるとは…」

( ^ω^)「落ちたっていうのは、橋が陥落したってことかお?」

('A`)「あぁ、そうらしいな」

( ^ω^)「事故でもあったのかお? それとも老朽化?」

('A`)「事故かどうかは分からんが…」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:35:13.77 ID:D3yxHx2B0

('A`)「爆弾がどうのこうの言っていた」

(;^ω^)「ば、爆弾!?」

(;^ω^)「事故ってレベルじゃねぇお!?」

('A`)「だよな」

(;^ω^)「もっと詳しい情報はないお!?」

('A`)「ちょっと待て」

('A`)「まだ話してるみたいだから…」

('A`)「えーっと」

('A`)「『次はどこにしようか』?」

( ^ω^)「ん?」

('A`)「あれ?」

( ^ω^)「…」

('A`)「…」

( ^ω^)「ドクオ、確認していい?」

('A`)「いいぞ」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:36:23.74 ID:D3yxHx2B0

( ^ω^)「その話してる人間ってお前のところの住人かお?」

('A`)「いや。知らんやつらだ。ドア蹴破って勝手に入ってきた」

( ^ω^)「え、知らない人なの?」

('A`)「あぁ、全く知らん」

( ^ω^)「…」

('A`)「…」

( ^ω^)「ドクオ」

( ^ω^)「非常に言いづらいんだけどさ」

('A`)「いや、言ってくれ」

( ^ω^)「…そいつらが、その、爆弾魔じゃね?」

('A`)「やっぱりそう思う?」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:37:33.73 ID:D3yxHx2B0

( ^ω^)「…」


('A`)「…」


( ^ω^)「…」


('A`)「…」


( ^ω^)「冗談じゃないよね」

('A`)「だったらよかったんだけどな」

( ^ω^)「…」

('A`)「…」

(;^ω^)「うぉぉぉぉぉぉぉっ、やべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

(;'A`)「どうしよう!? ねぇ、どうしようこれ!!」

(;^ω^)「んなん知るかお!! 自分で解決しろ!!」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:38:52.15 ID:D3yxHx2B0

(;'A`)「ひでぇぞ、おい!! 話聞いたんだからお前も同罪だろ!!」

( ^ω^)「いや、罪はねぇし。ドクオ、どうにかしろお。そうだ、閉じ込めろ。部屋に封印しろ」

(;'A`)「無理無理。ドア蹴破られたんだぞ!? 大体、爆破されたらどーすんだよ」

( ^ω^)「大丈夫だお。自分たちがいるとこまで爆破する馬鹿はいないお!!」

(;'A`)「窓ガラス叩き割られておしまいだろ!!」

( ^ω^)「お前の部屋防弾ガラスとかじゃねぇの?」

(;'A`)「どんな警備体制とってんだよ、ウチは!!」

(;'A`)「大体防弾でも火薬は防げねぇよ!!」


( ^ω^)「…」('A` )


( ^ω^)「爆破って痛いのかな…」

('A`)「そらまぁ痛いだろ…」

(;^ω^)「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 爆破解体だけは嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

(;'A`)「オレだって嫌だよちくしょう!! しかも中にいるんだぞ!!!」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:40:33.29 ID:D3yxHx2B0

(;^ω^)「全部終わったらボカンとか…」

(;'A`)「不吉なこと言うなよ!! そうなったらお前だって危ないんだからな!!!」

(;^ω^)「え、なんで?」

(;'A`)「何か無差別テロみたいなこと言ってるし」

( ^ω^)

(;^ω^)「閉じ込めろ!! ガチで閉じ込めろ!! ドアは施錠しなおせ!! 窓は気合でどうにかしろ!!」

(;'A`)「だから、無理だって言ってんだろ!!」

(;^ω^)「合コン開いてやるからさ。ほら、クーちゃんとか可愛くてお勧めだお!?」

(;'A`)「今更すぎんだろ!! それなら日照権寄越せ!!」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「それは無理」

(;'A`)「い、意外と強情!!」

誰だったっけ、今日いいことあるなんて言った馬鹿は。
最高に最低だよ。馬鹿野郎。

オレたちの。
オレと、横の高層ビルと、中にいるテロリストの、最高に長くて最低な一日がこうして始まった。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:53:36.97 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

-PM11:10-

VIP市 アパート

――――――――――――――――――――――――――――――――――


爪'ー`)y-「いや~よかったね。百人は死んだかな?」

( ФωФ)「浮かれるな」

爪'ー`)y-「わかってますって」

爆弾を仕掛けてきた男達は戻っていた。
狭い部屋で顔を突き合わせている。

中心には何枚かの写真。
その全てが橋の崩落の瞬間を写したものだった。

爪'ー`)y-「次はどこをやりますかね?」

ハハ ロ -ロ)ハ「スコシ、面白いこと。警察にアンゴウを送ってみたい」

〈::゚-゚〉「リスクだ」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:54:52.40 ID:D3yxHx2B0

爪'ー`)y-「ィシィさんや、そうお堅くなるなって。面白いと思うぞ、ハロ」

ハハ ロ -ロ)ハ「ロマ、どう?」

( ФωФ)「ふむ……簡単に解けるようなものでは駄目だ」

ハハ ロ -ロ)ハ「難しいのならオーケーだね。じゃ、早速作るよ」

金髪に眼鏡をかけた女性はパソコンに向き直った。
とてつもないスピードで指を動かしていく。

ディスプレイには様々なタイプの暗号のひな型。
その中からお気に入りと難易度でえりすぐっていく。

ハハ ロ -ロ)ハ「ア、狙いは駅でイイかな?」

爪'ー`)y-「駅っ! 賛成だねっ!」

〈::゚-゚〉「構わない」

( ФωФ)「……さて、ハロが暗号を考えている間に、今後の相談でもしようか」

爪'ー`)y-「俺はまだまだ壊し足りねぇ。殺し足りねぇ」

( ФωФ)「警察の目も厳しくなる。やりすぎは控えるべきだ」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:56:56.25 ID:D3yxHx2B0

爪'ー`)y-「別に俺一人でやってもいいさ。
      あんたらと行動を共にしてたのは、そこにメリットがあったからだ。
      それが無くなりゃ抜けるまでよ」

〈::゚-゚〉「無謀」

爪'ー`)y-「はっ! 筋力馬鹿に……」

(#ФωФ)「フォックス!」

大きな音が話を中断した。作業をしていたハロまでが何事かと振り向く。

( ФωФ)「仲間内では罵倒は禁止だというルールだ」

ロマネスクの腕が薄い壁をぶち抜いている。
幸いにして隣の部屋の住民は留守にしていた。

爪'ー`)y-「…………すまねぇ」

あまりの迫力に、謝罪の言葉を口にするフォックス。
謝罪を確認し、ロマネスクは壁から腕を引き抜く。

〈::゚-゚〉「気にしてない」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:59:12.33 ID:D3yxHx2B0

( ФωФ)「これだけ大きな都市になると後1、2回が限度だと見るが」

ハハ ロ -ロ)ハ「デキタヨー」

パソコンを操作していたハロが手を休める。

( ФωФ)「見せろ」

ハハ ロ -ロ)ハ「コレ」

爪'ー`)y-「なんだこりゃ? これで特定できるのかよ?」

画面上に表示された一文字に頭を傾げるフォックス。

ロマネスクはすぐに理解した。
解読可能かどうか、そして易し過ぎないかどうか。

何よりも面白いかどうか。
これらの点からその暗号を吟味する。

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 20:59:58.16 ID:D3yxHx2B0
( ФωФ)「ふぅむ、ギリギリ許容範囲か」

もう一人の男は最初から興味を持っていない。
窓際で人の流れを眺めている。

ハハ ロ -ロ)ハ「送るヨ」

( ФωФ)「ああ」

爪'ー`)y-「俺らも行きますか。 で、どこに?」

実際に爆弾を仕掛ける二人が立ちあがる。

( ФωФ)「―――――駅だ」


爪'ー`)y-〈::゚-゚〉「了解」


短い返答を残し、予告現場に向かった。

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:01:46.38 ID:D3yxHx2B0
( ФωФ)「ふぅむ、ギリギリ許容範囲か」

もう一人の男は最初から興味を持っていない。
窓際で人の流れを眺めている。

ハハ ロ -ロ)ハ「送るヨ」

( ФωФ)「ああ」

爪'ー`)y-「俺らも行きますか。 で、どこに?」

実際に爆弾を仕掛ける二人が立ちあがる。

( ФωФ)「―――――駅だ」


爪'ー`)y-〈::゚-゚〉「了解」


短い返答を残し、予告現場に向かった。

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:02:56.20 ID:D3yxHx2B0


(;'A`)「はぁー…はー…」

( ^ω^)「ドクオ、どうしたお?」

(;'A`)「お腹の中で一寸法師が暴れ回ってるんだけど」

( ^ω^)「お前、ピッコロ大魔王だったのかお」

(;'A`)「ドラゴンボールに一寸法師は出てこねぇよ!!」

(;'A`)「あ、倒壊しそう」

( ^ω^)「ゲロ吐くみたいな感じで言うのやめてくれる?」

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:04:16.98 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

-PM12:00-

VIP市 警察署内

――――――――――――――――――――――――――――――――――


俺は現場を引き上げて帰ってきた。
そのまま残っていても得られる物は少なかったろうし、
総指揮の指示が全体に届かず、無駄な混乱を引き起こしてしまっていたからだ。

それに静かに考える時間も欲しかった。
すでに暗号解読班を呼んでいたが、返答は芳しくなかった。
数列や置き換えなどの、既存の暗号文ではなく、
閃きが重視されるなぞなぞ型暗号では、力を発揮できないそうだ。


(´・ω・`)(なんで白と黒に……。背景全体が塗りつぶされている意味はなんだ……)

時折飛んでくる状況報告に、適当に相づちを打ちながら考える。

(´・ω・`)(……正直に受け取っていいのか?)

国際テロ集団【檻の火】は、過去にもこのような暗号を送っていたことがはっきりしている。
公表されていたのは、解読できた事例に限られていたが。

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:05:33.28 ID:D3yxHx2B0

それも当然だ。
解読できなかった暗号が何かの拍子に解読されてしまった場合、
その国の警察信用はガタ落ちする。

VIP市の環状線には20の駅があり、地下鉄を入れればその倍はある。
それら全てを調べ、人員を配置することは不可能だ。

(´・ω・`)「白、黒……ホワイト、ブラック……」

口に出してみるが、何も浮かんでこない。

「署長! 爆破先がわかりました!」

無駄とも思える時間を過ごしていると、解読班の一人が部屋に資料を持って入ってきた。
大きな路線図を机に広げる。

「ここです。白松駅と黒田駅の間に一つ駅があります」

(´・ω・`)「流石駅……ツインタワーの足下か……」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:06:35.36 ID:D3yxHx2B0

「すぐに避難を」

(´-ω-`)「…………」

駅の左右の描かれ方が違うのは「白」と「黒」の名がある駅の間ということか。

説明を受ければ納得するしかなかった。
確かにその通りなのだ。
何もおかしいことはない。

俺は違和感を無理やり押し込めることにした。

(´・ω・`)「ツインタワーに避難指示を出す。電車も止めろ。爆弾処理班を向かわせる」

「はいっ!」

手元の無線から指示をとばす。

(´ ω `)「犯人を捕まえたら、必ず俺の所へ連れてこい」

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:07:46.77 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

-AM12:30-

流石ツンタワービル

――――――――――――――――――――――――――――――――――


空気の振動で窓が揺れた。
ちょっとびびった。
目を凝らすと黒い煙が上がっているのが見える。


( ´_ゝ`)「おい、弟者。聞こえたか」

(´<_` )「あぁ、聞こえた」

( ´_ゝ`)「煙が見えるな」

(´<_` )「あぁ、見えるな」

( ´_ゝ`)「なんだ、あれは? ちょうど影になってて、うまく見えん」

(´<_` )「爆発みたいだな」

(´<_` )「人間が騒いでいる」

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:09:31.68 ID:D3yxHx2B0

( ´_ゝ`)「花火には早くね?」

(´<_` )「花火とは違うような気もするが」



( ´_ゝ`)(´<_` )



( ´_ゝ`)「爆破テロとか?」

(´<_` )「笑えない冗談だな」


オレの名前は兄者。
VIP市の最高峰たる流石ツインタワービルの東が、このオレだ。
東を制するものは世界を制す。んー、いい言葉だなこれは。

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:11:32.44 ID:D3yxHx2B0

(´<_` )「解体業者か何かじゃないのか」

( ´_ゝ`)「なるほど」

( ´_ゝ`)「つーことは、あれは老朽化したビルの解体か」

(´<_` )「と思うが」


ちなみに、オレとクリソツな顔をしたこの男は弟者。
流石ツインタワービルの西はこいつだ。
構造上、途中まで階層を共有している。まぁ、キングギドラみたいなものを想像してくれるといい。


( ´_ゝ`)「解体かぁ」

( ´_ゝ`)「死ぬなら、あれがいいな。美女に囲まれて死にたい」

(´<_` )「美女がハンマー持って叩き壊すのか」

( ´_ゝ`)「そんな漫画あったな。主人公は男だったけど」

(´<_` )「男に壊されたいのか?」

( ´_ゝ`)「アホか。どうせなら、可愛い子にもみくちゃくにされて死にたい」

(´<_` )「お前がアホだ」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:12:44.15 ID:D3yxHx2B0

( ´_ゝ`)「兄に向ってアホとは失礼なやつだな」

(´<_` )「人間にビルの周囲でカバディでもやらせるつもりか」

( ´_ゝ`)「楽しそうじゃん」

(´<_`;)「不気味って言うんだよ!!」

( ´_ゝ`)「またまた弟者ったら、そんなこと言って、実は自分もやりたいんだろ?」

(´<_` )「死ね」

( ´_ゝ`)「そういう風に過程をすべて省いて一言にされると結構傷つく」


ウーファンファンファン
ピーポピーポー


(´<_` )「ん?」

(´<_` )「パトカーに救急車…?」

( ´_ゝ`)「オレのハートを治療しに来たのか」

(´<_` )「それは建築家に頼め」

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:13:47.71 ID:D3yxHx2B0

( ´_ゝ`)「匠にオレの心が癒せるかぁ!!」

(´<_`;)「誰がビフォーアフターに頼めと言ったよ」

( ´_ゝ`)「遊び心で屋上に露店風呂作ってほしい」

(´<_`;)「リフォームしてもらう気満々じゃねぇか!!」


ピーポピーポー


( ´_ゝ`)「…」

( ´_ゝ`)「別方向に行ってるな」

(´<_` )「音があった方角だな」

(´<_` )「解体作業でけが人でも出たか。パトカーは何なのか分からん…、が?」

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:23:16.87 ID:D3yxHx2B0

ファンファン


(´<_` )「…」

(´<_` )「こっちに向かってきてないか?」

( ´_ゝ`)「いや、さっき向こうに走っていっただろ」

(´<_` )「それは救急車だけみたいだな。パトカーはこっちに来てる」

( ´_ゝ`)「ん、あぁ、本当だな」

(´<_` )「しかも大量にだ」

( ´_ゝ`)「…」

(´<_` )「…」

(´<_` )「…兄者」

(;´_ゝ`)「違う違う!! オレ何もしてないよ!?」

(´<_` )「まだ何も言ってないぞ」

(;´_ゝ`)「そんなこと言って、完全にオレを疑ってただろ!!」

(´<_` )「うん」

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:29:00.88 ID:0bv6W2x30
 

※帰宅したので、タッグ相方の私がこの後を引き継がせてもらいます。
  ツ、ツンタワー…



135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:29:01.32 ID:D3yxHx2B0
支援!

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:31:37.20 ID:0bv6W2x30
 
(;´_ゝ`)「はっきりと断言したよ、この子!!」

(´<_` )「…」

(;´_ゝ`)「い、言っとくが、オレは悪いことなんてしてないからな!!」

(;´_ゝ`)「ちゃんとゴミは週4で出してるし、エアコンの設定温度は守ってるし!!」

(;´_ゝ`)「女子トイレのウォッシュレットを勢い最強にして遊んだことはあっても、それぐらいだし!!」

(´<_` )「なにやってんだよ、お前」

( ´_ゝ`)「ひゃん、ってなるのが楽しくてつい」

(´<_` )「流石ビル七不思議のひとつが今解けたわ」


139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:33:09.21 ID:0bv6W2x30
 
(´<_` )「とりあえず、そんな阿呆なことで警察は来ないと思うが」

( ´_ゝ`)「良かった…」

(´<_` )「でも、オレは今後兄者を軽蔑していくけどね」

( ´_ゝ`)「存外良くなかった」

(´<_` )「しかし、なんだって警察が」

∑(;´_ゝ`)「は!!」

(;´_ゝ`)「弟者!!」


(;´_ゝ`)(´<_` )


(´<_` )「しかし、なんだって警察が…」

(;´_ゝ`)「ナチュラルに無視するのやめて!!」


143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:36:56.28 ID:0bv6W2x30
 
(´<_` )「なんだクズ者」

(;´_ゝ`)「グサっとくるわ、それ」

(;´_ゝ`)「いや、今はそれどころじゃない。とりあえず流れてる放送を聞け」

(´<_` )「放送? なんだ? 全館放送してるのか?」

( ´_ゝ`)「してるしてる。もう全国区」

(´<_` )「全国区って…」


『全館に伝えます。お、落ち着いて聞いてください』

『あーっと、これなんて読むのじゃ?』

『あ、はい、えーっと、緊急避難指示をだします』

『このビルはテロ↓リィスト↑に狙われれれます』

『早急にひなんを…、って、あれ? 姉者? 姉者どこいったのじゃ? 姉者?』

『姉者ー!! 置いていかないでなのじゃー!!!』


(´<_` )「…」

(´<_` )「へぇ」

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:40:58.26 ID:0bv6W2x30
 
( ´_ゝ`)「聞いた?」

(´<_` )「聞いた」

(´<_` )「警察の来た意味が分かったな」

( ´_ゝ`)「ほら見ろ!! オレじゃなかっただろ!!」

(´<_` )「いや、この際それはどうでもいい」
   _,,_
( ´_ゝ`)「…」

(´<_` )「不服そうな顔するなよ、めんどい」

(;´_ゝ`)「めんどいってひどくね!?」

(´<_` )「…しかしテロか」

(´<_` )「厄介だな」

( ´_ゝ`)「普通にスルーですか」

(´<_` )「構ってほしけりゃ真面目なこと喋れ」

( ´_ゝ`)「真面目ねぇ…」

(´<_` )「ごめん、無理だよな」

(;´_ゝ`)「それぐらいできまーすぅー!!」

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:43:15.20 ID:0bv6W2x30
 
( ´_ゝ`)「つーかさ」

( ´_ゝ`)「人間は避難してるみたいだけど、オレらはどーしようもなくね?」

(´<_` )「そりゃそうだが」

(´<_` )「まぁ、警察もいるし、ここのセキュリティも馬鹿じゃない」

(´<_` )「とりあえず大丈夫だろ」

( ´_ゝ`)「だよな。不審な人物が朝方うろついていたような気もしたけど大丈夫だよな」

(´<_` )

(´<_` )「は?」

( ´_ゝ`)「ん?」

(´<_` )「なんて言ったこの右曲り」

(;´_ゝ`)「何その呼び方!?」

(´<_` )「だから、なんて言ったって聞いてんだよ」


149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:45:13.92 ID:0bv6W2x30
 
(;´_ゝ`)「いや、朝方に不審者を見かけて…」

(´<_` )「て?」

( ´_ゝ`)「七不思議を八不思議にしようかなーって」

(´<_` )

( ´_ゝ`)「テヘッ」

(´<_` )《 ぶっっ殺すぞ… 》

(;´_ゝ`)「腹の底から絞り出したような声を出してきた!?」

(´<_` )「なんで、それさっさと言わないの? アホなの? 兄者なの?」

(;´_ゝ`)「いや、兄者だけどね。うん、それ言われちゃうと肯定しかできないよ、オレ」

(-<_- )「はぁー…」

(´<_` )「詰んだくせぇ…」

( ´_ゝ`)「まだ大丈夫だよ!! 頑張ろうよ!!」

(´<_`;)「てめぇが言うか!!」


150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:47:36.96 ID:0bv6W2x30
 
(´<_` )「…」

(´<_` )「ん? でも、待てよ?」

(´<_` )「テロの情報が入ったのは今さっきだよな?」

( ´_ゝ`)「そうやね」

(´<_` )「兄者が不審者を見たのは?」

( ´_ゝ`)「早朝」

(´<_` )「…」

(´<_` )「爆発の音が聞こえたのは2時間と少し前か」

( ´_ゝ`)「どうかしたのか?」

(´<_` )「いや、あの爆発音からすると結構離れた場所だろ?」

( ´_ゝ`)「あぁ、そうだな」

( ´_ゝ`)「どうかしたのか?」

(´<_` )「…時間的に、な。普通、先に仕掛けたほうを爆破するだろう?」

(´<_` )「いや、まぁ、さっきの爆発は大分前に仕掛けられたものとも考えれるが…」


152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:48:55.42 ID:0bv6W2x30
 
(´<_` )「うぅ…む」

( ´_ゝ`)「…」


弟者が思考モードに入った。
こう見えて結構冴えてるやつだ。何かとっかかりを掴んだのかもしれない。
お前が不審者ちゃんと見てりゃいいんだよ。ってツッコミはなしでお願いします。

しかし、それなら先に確認すべきことがある。
考えの邪魔をしたくはなかったが、自身の生死がかかっているのだ。
これだけは確認しておかなければ。


( ´_ゝ`)「弟者」

(´<_` )「ん、なんだ?」

( ´_ゝ`)「テロリストは…」

( ´_ゝ`)「女の子かな」

(´<_` )「…」

(´<_` )「だとしても、もみくちゃにはされないから安心しろ」


流石、弟者。
分かってるぅ。

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:50:36.95 ID:0bv6W2x30
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――

-PM13:00-

VIP市 ぼろアパート

――――――――――――――――――――――――――――――――――


『警察に犯行予告が届きました。目標は流石駅のようです。
 ツインタワーからスーツ姿の人々が次々と避難しています。
 みなさんも近づかないようにして下さい。以上、現場からでした』


( ФωФ)「ふむ、予想通りだな」

ハハ ロ -ロ)ハ「馬鹿ばっかリ」

狭い室内で二人はテレビ映像を見ていた。
そこに映っているのは、駅と一体化しているツインタワービル。

( ФωФ)「そろそろフォックスとィシィが向こうに着くだろう」

ハハ ロ -ロ)ハ「どのくらいの威力?」

( ФωФ)「持って行った爆弾の数から見ると、できて半壊程度だろうな。
        さほど大きい駅ではないが、塔や橋のように連鎖的な威力を期待できない」

ハハ ロ -ロ)ハ「フーン」

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:52:58.25 ID:0bv6W2x30
 
( ФωФ)「引き上げる準備でもしておくか」

ハハ ロ -ロ)ハ「ウチアゲは?」

( ФωФ)「逃げてからやる」

隣の住民がいつ帰ってきてもおかしくはない状況で、酒を呑むテロリストはいない。
そもそもテロが成功した後に祝うというのも聞いたことはないが。

それが彼らの流儀だった。

ハハ ロ -ロ)ハ「まぁイイヤ」

女性は手際よく電子製品を片づけていく。
部屋の使用痕を消していた時、男の電話が鳴った。

【爪'ー`)y-「フォックスだ。爆弾は仕掛けたぜ」

( ФωФ)】「なら帰ってこい」

【爪'ー`)y-「ィシィさんは今帰ってる。俺はもう少し遊んでいくよ」

( ФωФ)】「爆弾はもう無いはずだが?」

【爪'ー`)y-「火薬は残ってるんだな。
        それに、起爆装置くらいなら自分で作れる」

( ФωФ)】「帰ってこい。命令だ」


158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:54:43.71 ID:0bv6W2x30
 
【爪'ー`)y-「だから、目的を果たしたら帰るって。心配してくれなくて結構」

( ФωФ)】「っ!」

通話は一方的に切られた。
男は何度かかけ直すが、でる気配はない。

ハハ ロ -ロ)ハ「アイツ……」

みなまで言わず口を閉じる女性。

( ФωФ)「……ふぅ……二人が帰ってくるまで待つ。
        フォックスも素人ではない……後、罵倒は禁止だ……」

言いたいことを悟ったロマは、付け足すようにぼやく。
テロ予告で電車は完全に止まっていたせいで、
ィシィが帰ってくるまでにはしばらく時間がかかった。


( ФωФ)「タクシーを使う発想はなかったのか……」

汗だくのィシィを見てロマネスクは呟いた。

ハハ ロ -ロ)ハ「走ってキタの!?」

( ФωФ)「……怪しまれていないだろうな?」

〈::;゚-゚〉「大丈夫」


163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 21:58:27.80 ID:0bv6W2x30
 
( ФωФ)「フォックスは?」

〈::゚-゚〉「知らない」

頭を横に振る。
それで質問は終わったと考えたィシィは、座り込み壁にもたれて眠り始めた。


( ФωФ)「…………」

ハハ ロ -ロ)ハ「ドウスル?」

( ФωФ)「我輩が聞きたい……」

数十年間、行動を共にした彼らの間に信頼がないわけではなかった。
何度も新しいメンバーを迎え、何人も死に分かれてきた。

その中で彼ら四人こそが初期メンバーであり、付き合いは最も長い。
基本的には各々の自由行動が許されているのだ。

加えて、捨ておくにはフォックスの能力はあまりにも惜しい。
今回のように足を引っ張られることも多かったが。


( ФωФ)「……待つか」


そう決断せざるを得なかった。


166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:01:08.89 ID:0bv6W2x30
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――

-PM14:00-

VIP市 警察署内

――――――――――――――――――――――――――――――――――


(;´・ω・`)「なんだこれは……」

トイレに行こうとちょうど席を立ったときだった。
対策室のファクシミリに一枚のプリントが送られてきた。

ただ数字だけが羅列されている。
いたずらかと思い捨てようとしたが、後半の内容を見て手が止まった。

(´・ω・`)「!?」

送り元は市内の南側にあるコンビニ。
送り主はテロリストの一人だと自称していた。

(´・ω・`)(……馬鹿な。今までの行動を考えると軽率すぎる)

相手は十数年間、世界中から逃げ続けていたのだ。
こんな浅はかな行為をするわけがなく、偽物だと考えるのが妥当だろう。


だが、心の奥底では引っかかりを感じていた。

168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:03:52.82 ID:0bv6W2x30
 
(´・ω・`)(このコンビニ……市の南側のか………………!)

(´・ω・`)「流石タワーは囮だ!!」

気づいた瞬間に叫んでいた。


白と黒の間にある駅は────


───二つある。


そう、VIP鉄道は『環状線』だ。
違和感は背景が黒かった理由。

(´・ω・`)(白と黒だけだから気づきにくかった……反転していたんだ!!)

テロリストの目標は、反対側の白と黒の中間。


(´・ω・`)「渡辺駅!!」


流石駅で待機していた署員に指示を出し、手があいている全署員を渡辺駅に急行させた。
爆弾処理班は間に合わないかもしれないが、避難は間に合うかもしれない。


171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:06:04.97 ID:0bv6W2x30
 
(´・ω・`)「なら……これは……ヤツらの仲間の可能性がある、か」

ご丁寧に暗号がのせてある。
次の爆破先を示すものだろう。

15分後に渡辺駅が爆破されたと連絡が入った。
何とか被害は最小限に収めることができたらしい。

(´・ω・`)「今度は数字の羅列か……」

これこそ、暗号解読班の十八番だろう。
俺がわざわざ考える必要はないかもしれない。

それでも相手方の予想より早く解読できれば、それだけ奴らに近づくことができる。

(´・ω・`)「6桁の数字が…………10行か……」


130815
130431
129983
128991
126959
114695
130815
130815
130815
130815


172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:08:32.70 ID:0bv6W2x30
 
(´・ω・`)(こういうのは、あいうえお表やアルファベットに当てはめて考えられることが多い。
      ただそれにしては、数字が似通いすぎている。
      どこかで区切るにしても、そのヒントすらない
      言語に置き換える暗号としては不十分だ……)

(´・ω・`)(数字のまま使うならどうする……?)

(´・ω・`)(……進数変更か)

(´・ω・`)(全部試してみるか)


   2進数   8進数 16進数 

11111111011111111 377377 1FEFF
11111110101111111 376577 1FD7F
11111101110111111 375677 1FBBF
11111011111011111 373737 1F7DF
11110111111101111 367757 1EFEF
11100000000000111 340007 1C007
11111111011111111 377377 1FEFF
11111111011111111 377377 1FEFF
11111111011111111 377377 1FEFF
11111111011111111 377377 1FEFF


(´・ω・`)(こうして見ると、あまりにも明らかだな)


177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:10:40.34 ID:0bv6W2x30
 
(´・ω・`)「注目すべきは記号だ」

0の部分だけを線で繋いでいく。現れたのはあまり見慣れない記号。
手元にある地図と照合する。
当てはまる場所はたった一つだけ。


(´-ω-`)「……出かけてくる」

「署長っ! では指揮はどうすれば……」

(´・ω・`)「副署長がいるだろ」

「いつ頃帰られますか?」

(´・ω・`)「……少し出かけるだけだ」


本当のことは言わない。
言えば、引きとめられるのは分かっていた。

俺は普段入らない部屋の前に立つ。
カードキーと暗証番号の二重ロックをあけ、目的の物を探す。


178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:13:05.63 ID:0bv6W2x30
 

(´・ω・`)「…」


拳銃と予備弾倉。
催涙ガス、煙幕、手榴弾。

そして……少し大きいビー玉サイズの物質。
これを飲み込めば、もう後戻りをすることはできない。
もし俺の予測通りになれば、帰ってくることはないはずだ。


(´ ω `) ゴクン


信号を発信するための特殊な装置を靴下の中に隠す。

十分な武器を身につけ、僕は一人警察署を出た。



向かう先は―――――――渋沢高等裁判所。





179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:14:52.26 ID:0bv6W2x30
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――

-PM15:00-

VIP市 渋沢高等裁判所

――――――――――――――――――――――――――――――――――


( ,_ノ` )「ふっ…」

( ,_ノ` )「こうなっちゃ司法も糞もねぇな…」


2度目の爆発が起きたのはさっきのことだ。
どうやら駅が爆破されたらしい。
ナベ…。収容力、じゃねぇや、包容力のあるいい女だったが…。残念なことだ。


( ,_ノ` )「…」

( ,_ノ` )「それで…」

( ,_ノ` )「怪しげな男が目の前にいるってか」

(  ,_ノ)━・~ スー…

( ,_ノ` )y━・~ プハァ


181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:17:44.69 ID:0bv6W2x30
 
( ,_ノ` )「ふっ」

( ,_ノ` )「…」

:( ,_ノ゚ ):「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 死にたくないよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

( ゚∋゚)「…」

( ゚∋゚)「…ちょっと落ち着け。というか揺れるな。人が驚く」

( ,_ノ` )「これが落ち着いていられるか!!」

( ,_ノ` )「爆破されちゃうんだぞ!? 司法最後の砦たる渋沢高等裁判所が!!」

( ゚∋゚)「…それは最高裁だろ」

( ,_ノ` )「うるせぇぞ、家庭裁判所」

( ,_ノ` )「つーか、お前も一緒にボカンだからな」

( ゚∋゚)「…まぁ、そうなるな」


183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:19:54.46 ID:0bv6W2x30
 
( ,_ノ` )「クール気取りやがってこの野郎」

( ,_ノ` )「民事か!」

( ゚∋゚)「…その煽りはよく分からんが」

( ゚∋゚)「…とりあえず、その男がテロリストと決まったわけじゃないだろう」

( ゚∋゚)「…今、取り乱しても仕方のないことだ」

( ,_ノ` )「いいや、あれはきっとテロリストだね」

( ,_ノ` )「オレは今まで数々の犯罪者を見てきたから分かる」

( ,_ノ` )「追い詰められた野獣のような目、ひくついた鼻は獲物を求めてるに違いねぇ」

( ,_ノ` )「奴はやってる…!! 間違いない!!」

( ゚∋゚)「…偏見極まりないな」

( ,_ノ` )「うるせぇ!! この道40年!! 伊達に裁判所やってませんよ!!」

( ゚∋゚)「…でかい犯罪なんて扱ったことないじゃないか」

( ,_ノ` )「犯罪に大小はない!!」

( ゚∋゚)「…それはそうだが、今言うセリフじゃないな」


186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:23:07.61 ID:0bv6W2x30
 
( ,_ノ` )「早く捕まえて懲役1年と3ヶ月にしないと」

( ゚∋゚)「…また微妙なラインついてきたな」

※適当です


( ,_ノ` )「未遂だからな。執行猶予もつけなきゃ」

( ゚∋゚)「…まぁな」

※重ね重ね言いますが適当です


( ,_ノ` )「しかし、今にも事を起こしそうな面してやがる」

( ,_ノ` )「既遂になったら大犯罪だ」

( ゚∋゚)「…実行されたらお前のところでは裁けないけどな」

( ,_ノ` )「やめてよ。そういうこと言うの」

( ,_ノ` )「あぁ、やべぇ。キョロキョロしてるよ。完全に不審者だよ」

( ゚∋゚)「…」


187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:24:57.87 ID:0bv6W2x30
 
( ゚∋゚)「…一応、確認しておきたいんだが」

( ゚∋゚)「…男っていうのはあいつだろ?」


爪'ー`)y‐


( ,_ノ` )「ちげぇよ、馬鹿。それは善良な一般市民だろ」

( ,_ノ` )「こいつだ」


(´・ω・`)


( ゚∋゚)「…」

( ゚∋゚)「…どっかで見たことある顔だな」

( ,_ノ` )「指名手配とかの紙だろ」

( ゚∋゚)「…そうだったかな」

( ,_ノ` )「警察は何をしているんだ!! 早くそいつを捕まえないととんでもないことに!!」

( ゚∋゚)「…何故かすっごく違和感を感じる」


191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:27:01.02 ID:0bv6W2x30
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――

-PM15:15-

VIP市 渋沢高等裁判所

――――――――――――――――――――――――――――――――――


人のまばらな高等裁判所に、鞄を持った男がやってきた。
左手の携帯電話で誰かと話しながらも、目はあちこちへ動いている。
普段からこの場所を訪れる人間ではない。

それに今日は……全ての裁判が延期されている。


(´・ω・`)「警察ですが」

爪'ー`)y-「ん? どうしたんですかい?」

(´・ω・`)「鞄の荷物を見せてもらっても?」

爪'ー`)y-「ああ、すいません。取引先の資料が入ってるので……」

(´・ω・`)「見せられないと?」

爪'ー`)y-「ええ。協力できずにすいません」


192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:29:24.79 ID:0bv6W2x30
 
(´・ω・`)「いえ、特に問題はありません」

右手を捻りあげ、関節技で固める。
違っていたらどうすればいいか、そんなことを考えている余裕はない。

爪;'ー`)y-「ってえええ。警察がんなことしていいのか!」

(´・ω・`)「鞄を調べさせてもらう」

大きめの鞄の中に、目的のものが入っていた。
予想通りだ。

(;´・ω・`)「爆薬……ッ! 答えろ。檻の火だな?」

爪#'ー`)y-「っち。離しやがれっ!」

右腕が外れるのも構わずに、左手のナイフを振り抜いてきた。
つかんでいた腕を離し、距離をとって銃口を向ける。

爪'ー`)y-「知ってるぜ。この国じゃ簡単に撃てないってことはな」

(´・ω・`)「一つだけ聞く。お前は21年前のVIPタワー崩壊テロに関わっていたのか?」

爪'ー`)y-「VIPタワー……? 懐かしい名前だ。ありゃあ最高だった。
      今はあん時と同じ四人だな、そういや。偶然っておもしれぇ」


(´・ω・`)「…そうか」


193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:31:19.16 ID:0bv6W2x30
 
爪'ー`)y-「さ、捕まえてくれれば構わな…… あ ? 」

大きな音と同時に、拳銃から細い煙があがる。
軽い衝撃で腕全体がわずかに痺れた。

そして男は地面に崩れ落ちた。
何が起きたのか、まだ理解できない顔をしている。

(´・ω・`)「言え。他の仲間はどこにいる」

爪;'ー`)y-「なっ!? てめぇ、何したかわかってんのか!」

怪我をした犬が吠えたところで、何も感じない。
銃声を聞き、少しずつ人が集まってきている。
用事は、すぐ済ませたほうがいい。


(´・ω・`)「…わかってるさ」

今度は左肩を打ち抜いた。

爪;'ー`)y-「があああああっ!!」


男が痛みで呻く。
周囲の一般市民がざわめいているが、もう俺には関係ない。


195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:35:56.73 ID:D3yxHx2B0

(´・ω・`)「どこに本拠地がある?」

爪;'ー`)y-「言う……かよ……糞ヤロウ」

(´・ω・`)「そうか……残念だ」


銃口を頭に向け、 引き金を引いた。







( ,_ノ` )「…」

( ゚∋゚)「…」

( ,_ノ)━・~ スー…

( ,_ノ` )y━・~ プハァ

( ,_ノ` )「も、もちろんオレは、しゃいしょから分かってたよ?」

( ゚∋゚)「…殴っていいか?」..

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:36:58.66 ID:D3yxHx2B0
猿がものすごいので、タッグの利点を生かさせてください。
見づらいかもしれません、ごめんなさい。
まとめ様、ごめんなさい。

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:37:43.29 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

-PM16:00-

VIP市 ドクオアパート

――――――――――――――――――――――――――――――――――


( ^ω^)「ねぇねぇ、ドクオさん」

('A`)「なんですかブーンさん」

( ^ω^)「どうしてこうなった」

('A`)「オレが聞きたい」


こんにちは。
今日も元気にサービス残業。内藤ビルディングです。
ビロードくん、ニュースも携帯も見てないんだろうなぁ。頑張って仕事してる。


( ^ω^)「ビロードくんもそのうち気付くだろうけど」

( ^ω^)「当面の問題は…」

('A`)「あぁ」..

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:41:35.19 ID:D3yxHx2B0

('A`)「テロリストがウチに帰ってきたってことだ」

( ^ω^)「なんで入れちゃったの? ねぇ、なんで?」

('A`)「蹴破られたんだよ。マジで倒壊するかと思ったわ」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「ドクオ」

('A`)「嫌だ」

( ^ω^)「まだ何も言ってないじゃん」

('A`)「どうせいっそ倒壊しろとか言う気だったんだろ」

( ^ω^)「うん」

(;'A`)「嘘でもいいから違うって言えよ!!」

( ^ω^)「だってしょうがないお」

( ^ω^)「ドクオ、潰れてくれ」

(;'A`)「お前、本当に友達か!?」..

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:44:38.21 ID:D3yxHx2B0

( ^ω^)「ボクは友人より世界を取るお!」

(;'A`)「普通逆だろ!!」

( ^ω^)「友人より世界を取るお、ボクは!」

(;'A`)「倒置法にしろって意味じゃねぇよ!!」

( ^ω^)「ドクオはどうすれば倒壊するお? ちょっとガツンといっとく?」

('A`)「何怖いこと言ってんの? 大体ガツンってなんだよ」

( ^ω^)「ウチの屋上の給水棟でも落とせば…」

('A`)「被害甚大だからやめよう」

( ^ω^)「ドクオ!!」

('A`)「なんだよ」

( ^ω^)「この後ずっとテロに怯えて暮らすことになってもいいのかお?」

('A`)「それはお前の話であって、オレの今後をこれっぽっちも考えてないだろ」

( ^ω^)「そんなことないお。どうせリフォームするならいっそバラバラになってもいいんじゃないかと」

('A`)「鬼かおのれは」

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:49:51.62 ID:D3yxHx2B0

( ^ω^)「さぁ、倒壊してくれ!! できるだけ派手に!!」

(;'A`)「嫌だって言ってんだろ!!」


(;'A`)「っ!!」

(;'A`)「うぐぅ!?」

( ^ω^)「どうしたお?」

(;'A`)「一寸法師が…」

( ^ω^)「が?」

(;'A`)「大暴れしてる…」

( ^ω^)「おぉ…」

(;'A`)「マジで、倒れちゃうから、勘弁…」

( ^ω^)「頑張れ、頑張れ、一寸法師!!」

(;'A`)「てめぇふざけんなよ!!!!」

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:52:03.83 ID:D3yxHx2B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

-PM16:00-

同上

――――――――――――――――――――――――――――――――――


通話先から聞こえてきたのは、明らかに銃声だった。
直後、彼との通話は切れる。

(#ФωФ)「誰だッ!」

ハハ ロ -ロ)ハ 「ロマ、落ち着いテ」

(#ФωФ)「殺してやる」

ロマネスクが怒り、壁を何度も蹴り抜く。
その右足を片手で悠々と受け止めたのは。


〈::゚-゚〉「…」

〈::゚-゚〉「俺がやる」


ィシィだった。

208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:54:17.56 ID:D3yxHx2B0
それは十数年間の活動の中で、初めて彼が見せた自らの意志。
石のように無表情だったその顔に浮かび上がるのは憤怒。

(#ФωФ)「ィシィ?」

〈::゚-゚〉「二人は逃げろ」

ハハ ロ -ロ)ハ 「ィシィも一緒ニ」

〈::゚-゚〉「…」

( ФωФ)「…」

( ФωФ)「…最後に派手に吹き飛ばす。例のサツを殺したら来い。
        集合場所は――――だ」

ハハ ロ -ロ)ハ 「ロマ、いいノ?」

( ФωФ)「男が決めたことに水を差すのは野暮だろう」


軽く頭を下げるィシィを横目に、
ロマネスクは、すでに持ち主のいないはずの携帯にかけた。

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 22:56:25.80 ID:D3yxHx2B0

『……檻の火か? 今どこにいる?』

短いコールで目的の相手はすぐにでた。
それを確認すると、携帯をィシィに投げる。

〈::゚-゚〉「ドクオアパート」

『……内藤ビルディングの裏か……』

〈::゚-゚〉「そこで待つ」

『……すぐに行く』

通話はそれだけで終わった。


( ФωФ)「銃は?」

〈::゚-゚〉「いらない」

( ФωФ)「そうか……健闘を祈る」

ハハ ロ -ロ)ハ 「また後デ」

210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:00:53.58 ID:D3yxHx2B0


二人は荷物を背負って部屋を出ていった。
後に残ったのは男一人。


〈::゚-゚〉「…」


凶器一つすら持たず、何もない部屋の真ん中に座っていた。

ただ静かに、その時を待っていた。

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:05:06.94 ID:D3yxHx2B0
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――

-PM16:45-

VIP市 ドクオアパート

――――――――――――――――――――――――――――――――――


(´・ω・`)「……ここか」

先程のテロで路線が麻痺し、道路は普段の倍以上混んでいた。
それを運転してきたにも関わらず、男に疲れている様子は全くない。

アパートの近くに車を止めたショボンは、両の拳を強く握りしめていた。

(´ ω `)(檻の火が……妹の仇がここにいる……)

腰のホルスターから拳銃を抜き残弾を確認している。
彼のベルトには複数の武器が引っかけてある。

音を立てないようにそっと階段を昇っていたが、諦めて普通に二階へ向かった。
古すぎる階段や床板は、どれだけ注意してもある程度の音を出してしまう。

201号室の前を通り、そこに進入の後はないのを確認する。
202号室の前で足を止めた。扉には蹴破られた跡が残っている。

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:06:49.86 ID:D3yxHx2B0

(´・ω・`)(……死ね)

ゆっくりと銃をあげ、扉へ向けた。
人差し指で引き金を引き絞っていく。

その時、扉が膨張し、破裂するかのように飛び出した。
少なくとも彼にはそう見えただろう。

内側から強力な力を加えられた扉は、
ショボンに当たり、銃を弾き飛ばす。

(;´・ω・`)「がっ!!」

扉の陰から太い腕が伸び、動揺したショボンの喉元を掴む。

〈::゚-゚〉「…………」

ィシィは首をへし折らんと力を加えていく。

(;´ ω・`)「ごほっ……っ……」

万力のような力から逃れられないと知ったショボンは、
咄嗟にナイフを腕に突き立てた。

〈::゚-゚〉「!!」

218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:10:51.95 ID:D3yxHx2B0
(;´ ω・`)「けほっ……げほっ……」

息を整えながら、二階の廊下から飛び降りた。
狭い廊下では不利だと考えての行動だった。

〈::゚-゚〉「…」

(;´・ω・`)「……仲間、はどこだ」

同じように飛び降りてきたィシィに問いかける。
腕に刺さっていたナイフを抜いた後、投げ捨ててから答えた。

あくまで、武器は使わないという意思表示。
自力で殺せるという表現だった。

〈::゚-゚〉「……俺一人」

(´・ω・`)「他の……二人はどこにいる?」

男に動きがないのを見て、さらに問う。

〈::゚-゚〉「言う必要はない」

両足の筋肉が膨れ上がり、爆発的な加速を生み出す。
数メートルの距離を一瞬で無くし、ショボンを殴る。
咄嗟に両腕でガードするが、構いもせずその上から叩きつけた。

(;´・ω・`)「がっ、は……!!」

勢いを殺しきれず、背から茂みに倒れ込む。

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:14:02.73 ID:D3yxHx2B0

〈::゚-゚〉「…………」

ショボンとて警察官。
格闘の心得が無いわけではなかった。
それを圧倒的に上回るパワー、技術、スピードを持つィシィ。

起き上って体制を整えようとしている間に、猛攻は続く。

(;´・ω・`)「っ!! くっ!!」

右足のローキックを飛んで避けたショボンに、裏拳気味の左手の薙ぎが入る。
辛うじて右手で頭を守ることに成功したが、嫌な音が体の中に響いた。

(;´ ω・`)「ぐあああっ!!」

〈::゚-゚〉「…ふん」

地面に崩れ落ちたショボンの腹を、振り抜いた右足を軸にした回し蹴りが捉えた。
為す術もなく茂みを突き抜け、コンクリートの塀に叩きつけらる。


(メ´ ω `)「ごほっ………」

血を吐くほどの強烈な一撃だった。

223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:19:47.48 ID:D3yxHx2B0

(メ´ ω `)「…っ」

(メ´ ω `)「…は……」

意識の薄れかけていたショボンの左手は、触れた金属の何かを掴んだ。
ゆっくりと近づくィシィに向け、引き金を引いた。

〈::;゚-゚〉・「ぐっ!!!」

銃声は二回。

一発はィシィの太股を打ち抜き、 次の一発は大きく外れる。
一瞬で状況を理解したィシィは、急所を両腕で守りつつ接近し、
銃を持つ腕を蹴り飛ばした。

〈::゚-゚〉「…よくやる」

(メ´ ω `)「くそっ……」

逆転のチャンスを失ったショボンは、それでも足掻こうと震える足で立ち上がった。
その頭の上から、ィシィの両手を組んだ一撃が振り下ろされた。
あまりの衝撃で、地面に叩きつけられた後もわずかに浮き上がる。

227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:23:47.39 ID:D3yxHx2B0
吐き気を催しながらも、ゆっくりと立ち上がるショボン。
ィシィはその首を掴み、持ち上げる。

(メ´ ω `)「くっ…」

〈::゚-゚〉「…楽には殺さない」

そのまま横に放り投げた。
何回かバウンドし、仰向けに倒れ、息荒いまま動かなくなる。

(メ´ ω `)「……はあっ……はぁっ………………」

〈::゚-゚〉「命乞いは?」

(メ´ ω `)、「…………ベッ」

ショボンは口の中の血と唾液をィシィ目掛けて吐き出す。
ほとんど身体の動かない彼にできる、唯一の反抗だった。

〈::゚-゚〉「…………」

汚れた服を意にも介さず、倒れたショボン見下ろす。

(メ´ ω `)「…」

(メ´ ω・`)「……」

229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:28:25.22 ID:D3yxHx2B0

(メ´・ω・`)(……右腕は……動かないか…………肋骨も……折れてるな……。
       ……ここで……死ぬのか? 敵討ちもできず…………。
       まだだ……まだ、死ぬわけにはいかない)

〈::゚-゚〉「…最期だ」

(メ´・ω・`)「お前のな」

〈::゚-゚〉「ほざけ」

ショボンはまだ何とか動く左腕で、コートの背側でナイフを強く握った。
上から見下ろすィシィには、それが見えていない。

ィシィが息の根を止めようと、屈み込む。

(メ´・ω・`)「っああああ!!!!」

死力を尽くしたショボンの一振りがィシィに迫る。
咄嗟に上半身を捻り、軌道から退避したィシィだったが、避けることはできなかった。

ナイフは初めっから足を狙っていた。
肉を裂き、深くまで突き刺さる。


〈::;゚-゚〉「がぁ!!!?」

(#メ´・ω・`)「地獄に、落ちろ!!!」

柄の部分にある小さな突起を押さえ込んだ。

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:30:23.71 ID:D3yxHx2B0

本来は切っ先を飛ばすはずの火薬が、行き場をなくして暴発する。
それが体内でとなれば、強靭な筋肉も役には立たない。


〈::;゚-゚〉「あ、が…」

彼の右足は、大部分の太ももを食いちぎられたかのように失っていた。


(メ´ ω・`)「は…、はは……」

だがそれと同じく、柄を握っていたショボンの右手も深刻な傷を負っていた。
手のひらは真っ赤に焼け、小指と薬指が半分ほどもげている。


〈::; - 〉「ぐぅっ……っ」

〈::; - 〉「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

ィシィも立っていることができなかった。
それでもショボンを殺そうと、無事な両腕で首を締め付ける。


が。


その手にはもはや力が残っていなかった。

232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:31:04.31 ID:D3yxHx2B0

(メ´ ω `)「はぁっ……はぁっ……」

〈::; - 〉「……」

ィシィは力尽きたのか、目を閉じて動かない。

(メ´ ω `)「はっ……はっ……はっ……はっ……」

小刻みの呼吸で酸素を得る。

(メ´ ω `)「まだ、……だ……まだだ……」

(メ´・ω・`)「…ぐっ」


蹴り飛ばされた銃の元に這って近寄る。
指が無事な右手で引き金を引いた。

全身を引き裂くような痛みに耐えながら、二発、三発。
銃弾は全て命中し、芝は真っ赤に染まった。



そこまでして、ついにショボンも気絶した。

233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:34:01.09 ID:0bv6W2x30
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――

-PM20:00-

VIP市 警察署

――――――――――――――――――――――――――――――――――


ただただ、残念なことだと思った。
旧友であるオサムとナベが崩落。
非常に心が痛かった。許すまじテロリスト。そう思ったものだ。


( ゚д゚ )「…」

( ゚д゚ )「仇を討とうにも動けぬ」

( ゚д゚ )「歯がゆいが仕方ないのないことか…」

少しだけ意識を中へ向ける。
飛び交う無線と怒号。音がガチャガチャと混じりあって騒々しい。
その中で寂しく空いている空間があった。


( ゚д゚ )「…」


この警察署の署長席だ。

236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:36:08.59 ID:0bv6W2x30
 
( ゚д゚ )「ショボン」

( ゚д゚ )「何か思いつめている顔をしていると思っていたが…」


仇討ちとは先ほど自身でも言った言葉だ。その気持ちは分かる。
しかし、組織の長たる署長が単独行動とは。
なんとも…、なんとも、馬鹿な話だ。


( ゚д゚ )「立場を捨ててまでか」

( ゚д゚ )「…」

( ゚д゚ )「私怨、のようなものだな…」


警察という組織に属していると分かる。

ここで職務に専念するということは、『そういうこと』なのだ。
一介の公務員が正義感だけで悪に立ち向かうなんて美談はそうそうあるものではない。

私怨か、名誉か、それとも何か別のもっと強い欲求か。
毒を制するには強力な薬が必要なのだ。
そして、強い薬には少なからず副作用がある。そういうことだ。


237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:39:03.64 ID:0bv6W2x30
 
( ゚д゚ )「判断力も行動力もある優秀な人材だったが」

( -д- )「仕方がないか」


代わりの人間なんていくらでもいる。
人の補充はできよう。
先ほど警視総監と思しき人物が訪れてきた。用件はご察しの通りといったところか。


/ ,' 3

从 ゚∀从


人の波がはける。そこを老年の男と女性が足早に出ていった。
噂の警視総監とその付添い。
付添いの女はショボンの元部下ながら本部に招かれた超エリートだ。


( ゚д゚ )「かつての上司へ最期通告をしに行くのか」

( ゚д゚ )「なんとも皮肉な話だな」


239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:41:42.69 ID:0bv6W2x30
 
( ゚д゚ )「…」

空いた署長の椅子に座るのはあの女かもしれない。
そう考えると少しだけ寂しくなった。
まぁ、仕方のないことだ。

( ゚д゚ )「ショボン」

( -д- )「お前のケツも悪くなかったが…」

( ゚д゚ )「ハインちゃんのケツには逆らえん」

( ゚д゚ )「…」

( ゚д゚ )「逆らえんのだ!!」





从 >∀从「クシュッ!!」

/ ,' 3「ん、風邪かね? 体には気をつけてもらわんと困るよ」

从 ゚∀从「失礼しました」

从 ゚∀从「…」

从 ゚∀从「…悪寒?」

243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:45:44.61 ID:0bv6W2x30
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――

-PM23:00-

VIP市 VIP総合病院

――――――――――――――――――――――――――――――――――


目が覚めたときは病院だった。
左手の感触は無く、包帯で覆われている。
右腕は固定されており、思うように動かせない。

(メ´・ω・`)「…」

(-@∀@)「目を覚ましましたか」

(メ´・ω・`)「……俺はどうなってる?」

(-@∀@)「右手は今後、殆ど使えないでしょう。左腕と肋骨は全治1ヶ月。
       術後なので、一週間は動いてはいけません。
       手術から一日もしないうちに目が覚めたのは驚きですが……」

(メ´・ω・`)「…そうか」

医者の話を聞いても大して思うところはなかった。
自分の身体よりも、テロリストのことに興味がある。


244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:49:08.63 ID:0bv6W2x30
 
「いいかな」

(´・ω・`)「……どうぞ」

/ ,' 3「失礼するよ」

静かなノックをして入ってきたのは精悍な体つきの老人。
警視総監だった。

(メ´・ω・`)「お久しぶりです」

/ ,' 3「…ショボン君、キミには期待していたんだがな」

(メ´・ω・`)「……」

/ ,' 3「殺人容疑で逮捕せざるを得ない。
    殺したのがたとえ極悪非道のテロリストだとしても、この国は法治国家だからな」

(メ´・ω・`)「……罪状は?」

/ ,' 3「殺人二件で間違いないか?」

(メ´-ω-`)「………ふぅ」

あの男は確かに死んだのだ。
これで残るは、二人。

(メ´・ω・`)「…」


248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:55:04.55 ID:0bv6W2x30
 
/ ,' 3「といっても、二件目は正当防衛じゃろう。
    裁判員制度もあろうし、情状酌量の余地は十分にある」

(メ´・ω・`)「他のテロリストは?」

/ ,' 3「……キミが気にすることじゃない。爆弾を仕掛けている彼らを捕まえるのは、我々の仕事だ」

从 ゚∀从「総監」

从 ゚∀从「そろそろお時間です」

/ ,' 3「そうか。かなりの数の爆弾が仕掛けられたらしく、人手が足りていないようじゃ。
    ワシらも、もう行かせてもらう」

从 ゚∀从「…」

警視総監と元部下が病室から出ていく。
ドアを閉める彼女の服の袖から、一枚の紙切れが落ちた。

(´・ω・`)「…ん」

それを手に取り目を通す。

(´・ω・`)(………感謝する)

見えない後ろ姿に礼を言った。
もう警察官ではない俺に、情報をくれた。
おそらく、犯行予告が届いたのだろう。同時に何カ所も破壊するといった旨の。


250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:57:22.34 ID:0bv6W2x30
 
縮尺の小さな都市の地図。
バツが付いているのはみな、有名な高層建築物だ。

(メ´・ω・`)(奴らはまだVIP市内にいる……)

武器は一つを残して全て回収された。
それでも、俺はやらなければならない。

たった一人の妹の命を奪った奴らに、代償を払わせてやる。

俺は痛むからだを無理矢理引き摺って、窓から外に出た。
向かう先はもう決まっている。





从 >∀从「クッシュッ!」

从 ゚∀从「本格的に風邪かなぁ…」

从 ゚∀从「…」

从 -∀从「部下からの最期の手向けっすよ、先輩……」


252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/31(木) 23:59:36.40 ID:0bv6W2x30
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――

-PM23:00-

VIP市 VIPスカイツリー最上階

――――――――――――――――――――――――――――――――――

人気のない展望デッキに二つの影があった。
既に入場時間は過ぎており、他に動いているものはない。

( ФωФ)「性懲りもなく高層ビルを建てるのが好きだな」

彼は目下にある数十のビル群をひとつずつ眺める。

明るく輝く商社ビル。
豪華なホテル。
簡素な作りの超高層マンション。
夜の空に光を映すラブホテル。

( ФωФ)「人は馬鹿だ……たった二十数年前の悲劇すら顧みることをしない」

( ФωФ)「だからこそ、我々のような存在が常に警鐘を鳴らさねばならないのだ」

ハハ ロ -ロ)ハ 「ロマ……、ィシィは……」

( ФωФ)「人類全てが生き残ることはできない。
        より優秀な人間の選別は欠かせない。
        神に選ばれていない人間を廃棄することは必要なのだ」

255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:07:03.50 ID:lShEwqSF0
 
( ФωФ)「残念ながら……ィシィもまた神には選ばれていなかったのだ」

ハハ ロ -ロ)ハ「……」

彼らがここにきてから既に一時間以上が経過していた。
別れた仲間との再会は果たせそうになかった。

ハハ ロ -ロ)ハ「ん」

この場にそぐわない無機質な音が鳴り響く。
それはロマネスクの携帯電話が着信を知らせる音。

( ФωФ)】「首尾は?」

電話先の声はロマネスクが予想していたよりもずっと若い。
だが、言葉は力強かった。
電話越しだが、確かにやるべきことを遂行してくれたのだと確信する。

ハハ ロ -ロ)ハ「彼からですか。随分と時間かかりましたね」

ハハ ロ -ロ)ハ 「もう爆発サセル?」


( ФωФ)「そうだな……。
        ……この爆発は彼ら二人に捧げよう……」

電話を切って手元を見つめる。
この街の命運全てがそこに握られていた。


256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:08:49.68 ID:lShEwqSF0
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――

-AM00:30-

内藤ビルディング

――――――――――――――――――――――――――――――――――


夜。
月明かりが優しく辺りを照らしている。
朝日も好きだが、月の光も好きだ。心が落ち着く。


( ^ω^)「ドクオがあそこで倒壊していれば…」

('A`)「すっごい嫌な仮定すんのやめない?」


こんな状況じゃなければ。


( ^ω^)「テロリストたちは出ていったお」

( ^ω^)「まぁ、ブーンたちは現状安全だけども安心はできないお」

('A`)「人間は被害が及ばないところに逃げりゃいいが、オレらはそうはいかないからな」


258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:10:24.61 ID:lShEwqSF0
 
( ^ω^)「爆破されたのは棺桶大橋と渡辺駅かお」

('A`)「オサムとナベちゃんか…」

( ^ω^)「後追っとく?」

(;'A`)「追わねぇよ!! なんでそんな軽いノリなんだよ!!」

( ^ω^)「いやぁ、生と死の瀬戸際にあると感覚分かんなくなってくるお」

('A`)「お前分かってて言ってるだろ」

( ^ω^)「うん」

('A`)「…極限状態で本当のお前が見れた気がするよ」

( ^ω^)「しかし、静かだお」

('A`)「だな」

( ^ω^)「もしかしてもういないんじゃないのかお? 国外逃亡とかありえるお」

('A`)「だといいけどな」

('A`)「あいつらのアジトの顔が見たいぜ」

( ^ω^)「写真もらっておけばよかったのに」

('A`)「いや、本当に顔が見たいって意味じゃなくてね」

262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:12:37.25 ID:lShEwqSF0
 
ジェイソンも真っ青なスプラッタな喧嘩から数時間。何事もなく過ぎ去った。
本当にテロリストは帰ったんじゃないだろうか。
そうだな。帰ったに違いない。そうであってくれ。

ビロードくんもようやく仕事が一区切りついたみたいだし、これで帰れるってものだ。


( ^ω^)「長い一日だったお」

('A`)「まだ終わってねぇけどな」

( ^ω^)「ボクらの話じゃないお」

( ^ω^)「ビロードくん。ウチの新入社員の話」

('A`)「休日なのに仕事してたのか?」

( ^ω^)「そうだお」

('A`)「この騒ぎの中でか? 随分と仕事熱心だな」

( ^ω^)「だお」

( ^ω^)「まぁ、テレビも携帯も見てないみたいだししょうがないお」

('A`)「まぁ、仕事してりゃそうかもしれんが…」

( ^ω^)「営業は大変だお」


264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:14:36.72 ID:lShEwqSF0
 
('A`)「営業なのに休みの日に出勤してきて事務してんのか。確かに大変だな」

( ^ω^)「お? 別に事務はないお」

('A`)「は?」

( ^ω^)「営業だから、もちろん外回りだお」

( ^ω^)「えーっと、今日はホテルモナーに流石ツインタワー。車がないから電車で移動してたみたいだお」

('A`)「…」

('A`)「ん?」

( ^ω^)「ん?」

('A`)「じゃあ、今は外なのか?」

( ^ω^)「いや、ちょうど一区切りついたところだから帰ってきたお」

('A`)「ん?」

( ^ω^)「ん?」

( ^ω^)「えーっと、……あれ?」

( ^ω^)「なんで外回りなのに事件を知らないんだお?」

(;'A`)「オレが聞きてぇよ!!」

268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:16:40.65 ID:lShEwqSF0
 
( ^ω^)「んん?」

(;'A`)「…」

( ^ω^)「…」

(;'A`)「そのビロードくんってのは今どこにいんの?」

( ^ω^)「地下駐車場」

(;'A`)「車持ってないのに?」

( ^ω^)「…」

(;'A`)「…」


     ( ><) パカッ

     ( ><)「よし、なんです」

     ( ><)「檻の火の最高傑作。炎と共に散るんです」


( ^ω^)「…ほぅ」

( ^ω^)「まさかウチにもテロリストがいたとはね」

( ^ω^)「してやられたわ」

269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:18:31.47 ID:lShEwqSF0
 
('A`)「…」

( ^ω^)「…」

('A`)「どうすんのこれ」

( ^ω^)「さぁ?」

('A`)「…」

( ^ω^)「どこがいい?」

('A`)「何が?」

( ^ω^)「倒れる場所」

('A`)「…こっちには来んな」

( ^ω^)「OK-☆」

(;'A`)「お前絶対こっちに倒れてくるつもりだろ!!」

(;^ω^)「どっちにしたって巻き込まれるのは確定だお!! 仲良く倒壊するお!?」

(;'A`)「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! あっち行け、こっち来んな!!!」

(;^ω^)「死なば諸共だお!!!」

(;'A`)「使う場面、間違えてるだろ!!!」

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:20:31.20 ID:lShEwqSF0
 
(;'A`)「止めろ!! どうにかして、そのビロードって奴をとめろ!!!」

(;^ω^)「む、無理だお!!! 地下駐車場なんて手出しできねぇお!!!」

(;'A`)「何かあんだろ!!! このままだろ粉微塵なんだぞ!!?」

(;^ω^)「だって、そんなこと言ったって…!!」

(;'A`)「なんでもいい!! 何かできることを…!!」

( ^ω^)「…!!」

( ^ω^)「ドクオ…、アレだお」

(;'A`)「あ、アレ? アレってなんだ?」

( ^ω^)「象形文字だお!! 象形文字!! ドクオがやったっていう呪いの…!!」

(;'A`)「呪いって言うなよ!!」

( ^ω^)「アレを使えば…!!」

(;'A`)「使えば…!?」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「やっぱり、どうにもならねぇ気がする」

(;'A`)「思わせぶりな伏線回収すんな、ボケぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:23:42.43 ID:lShEwqSF0
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――

-AM00:30- 

VIP市 VIPスカイツリー最上階

――――――――――――――――――――――――――――――――――


(メ´・ω・`)「…やっと会えた」

向こうからは暗闇にいる俺の顔は確認できてないはずだ。
それでも、声でわかるだろう。
わからないのなら、別にそれでいい。

( ФωФ)「…」

( ФωФ)「…誰だ?」

(メ´・ω・`)「知る必要はない。お前等はここで殺す」

ショボンは折れた右腕でナイフを構えた。
痛みに顔を歪めながら、二人を睨みつける


278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:26:06.06 ID:lShEwqSF0
 
ハハ ロ -ロ)ハ 「殺ス? そんなボロボロの身体で何を言ってるノ?」

( ФωФ)「そうか。お前がフォックス殺した奴だな? ィシィもか」

対して二人のテロリストに焦りはない。

(メ´・ω・`)「……そうだ」

一歩前に出る。
彼らの間はおよそ15メートルほど。

( ФωФ)「まぁ待て」

制するように手のひらを向け、手元の椅子に座った。
ショボンにも座るよう促すが、それには応えない。

( ФωФ)「どうやってここがわかった? ィシィが喋るはずはない」

(メ´・ω・`)「……」

( ФωФ)「痛みで辛いだろうに。その身体では走ることすら困難だろう。
        逃げてもいいが、わざわざ話をしてやってるんだ」

(メ´・ω・`)「…確信じゃない。同僚が教えてくれた話を元に推測しただけだ」

( ФωФ)「ほう?」


279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:28:01.33 ID:lShEwqSF0
 
(メ´・ω・`)「高層建築に爆弾が多く仕掛けられていること。
       お前等がまだ市内にいること。……二つを総合すれば、ここが浮かび上がった」

苦しそうに息をして、話を中断する。
その間、ロマネスクはなにも言うことなくただ待っていた。

(メ´・ω・`)「爆弾が設置された建物は円形になっていて、その中心地はここだ」

( ФωФ)「なかなかいい線をいっているが、ここもまた爆発させる可能性を考えなかったのか?」

(メ´・ω・`)「……理由は二つ。一つはさっき言った。
       まだこの市内にいるのなら、……360度全ての方向が見渡せるここはベストだ」

(メ´・ω・`)「もう一つはここが21年前の事件で倒壊した、VIPタワー跡地だということ。
       以前事件のあった場所に建てられたここを破壊するのは、ナンセンスだろ?
       この時間に人はいないし、前の事件の存在が希薄になる」

それは長年の研究からショボンが立てた仮説。
いつか相対した時のために磨いてきた一撃必殺の武器。

( ФωФ)「大当たりだ。よく我々を研究している。そろそろやり方を変える必要がありそうだな」

ハハ ロ -ロ)ハ「ですネ」

思考が筒抜けであったことに何の驚きもない二人。

(メ´・ω・`)「…??」

そのことにショボンは動揺を隠せない。

283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:33:19.28 ID:lShEwqSF0
 
ハハ ロ -ロ)ハ 「ロマはね、最初からキミが来ると予想してたンダヨ」

(;メ´・ω・`)「なっ!?」

( ФωФ)「…『奇跡の少年』」

(;メ´・ω・`)「…!!」

( ФωФ)「お前のことだろう? あの事件後、立派に育って警察官になったと聞いてね。
        檻の火の最高傑作の生き残りを一目見たかったのさ」

ハハ ロ -ロ)ハ 「随分新聞に載ってたヨ」

( ФωФ)「妹は死んだか。残念だよ」

(#メ´・ω・`)「お前らがっ!! お前らがあいつのことを語るなっ!!」

勢いよく立ち上がるものの、痛みが体を貫き倒れこんだ。
ナイフも手元を離れる。

(;メ´ ω・`)「ぅぅぅ……──―っ!!」

( ФωФ)「お前には何も出来ない。誰も救えやしない。
        それを今から教えてやる」


285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:36:48.80 ID:lShEwqSF0
 
( ФωФ)「連れてこい」

ロマネスクがより窓に近い位置に移動する。
ハローはショボンを支えて立たせ、後ろに従った。

( ФωФ)「見えるか? 明かりがついたままの建物だ。
        避難指示が出てるはずだが、警察に黙って入ったんだろうな」

彼が指さすのは背の高いビル。


『カチッ』


右手に握ったスイッチを押した音。
派手な爆発音と、オレンジ色の炎の塊が見え、建物は沈む。


( ФωФ)「次はアレだ」

45度ほど歩き、また建物を指さす。


『カチッ』


(;メ´ ω `)「……」

( ФωФ)「どうだ? 中々見れる光景じゃないぞ、しっかりと見ろ」

290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:40:28.57 ID:lShEwqSF0
 
( ФωФ)「その隣の建物見えるか?」


『カチッ』 


今し方更地に変わった建物の隣に背の低い幅広な建物がある。
左側から順に炎をあげ、数秒で瓦礫と化した。

積み木が崩れるように、いとも容易く崩壊していく。

( ФωФ)「くくく……」

自分で立つ力もないショボンを、ハローが無理やり歩かせる。

( ФωФ)「はっ、はははははは。あははははははははははは!!!!」

他に人のいない展望デッキに響き渡る。
断続的に空が赤く染まり、その度に軽い振動が起きた。


( ФωФ)「素晴らしい……用意した甲斐があったというものだ」


294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:42:53.36 ID:lShEwqSF0
 

『カチッ』 

『カチッ』 

『カチッ』 


彼の一歩ごとに火の手が上がる。
ここには人々の叫びは届かない。

( ФωФ)「ふぅむ、おはよう。恐怖と絶望にまみれた新たな世界」

両手を広げて仰々しい言葉を口にするロマネスク。


人々の叫び。
鳴り響くサイレン。

まるで都市自体が悲鳴をあげているかのようだった。


( ФωФ)「さぁ、幕が下りる。そろそろ退散しようか」

(;メ´ ω `)「……」 

ハハ ロ -ロ)ハ 「この人はどうするノ?」


297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:46:52.87 ID:lShEwqSF0
 
( ФωФ)「奇跡の少年」

( ФωФ)「お前をこの地に埋めることによって、すべては完遂される」

( ФωФ)「なに、悲しむことはない。妹も一緒だ」

腕を掴んで引き寄せた。
ショボンは彼にもたれる形になる。

(メ´ ω `)「……」  

(メ´ ω `)「……ぉ」
  
( ФωФ)「ん?」


たった一言、ショボンは呟いた。


ハハ ロ -ロ)ハ「オゥ?」

( ФωФ)「なんだ?」


もはや意識もないと考えていた二人は、何を言われたのか即座に理解できなかった。
丸腰の相手と油断し、悠長に聞きなおす。


301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:49:58.06 ID:lShEwqSF0
 
(メ´ ω `)「……」

(メ´・ω・`)「地獄に…
                  …堕ちろ」



       ≪ カチッ ≫




天高く聳えるVIPスカイツリー。

特別な日でもない限り、夜中に灯がともることはない。


(;ФωФ)「!! ? 

ハハ;ロ -ロ)ハ「ワッ… … ッ


その最上階。
ドーナッツ型の展望台は、一瞬だけ紅く輝く。


街の涙のように、ガラスの破片が夜空にキラキラと光った。



305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:51:57.75 ID:lShEwqSF0
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――

-AM00:45- 

VIP市 VIPスカイツリー

――――――――――――――――――――――――――――――――――

    
       │
       │
.        (+)
.       1 1
      (^o^ ) 『I AM SUKAI TURIー!!』 
.       1+1
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.       1+1
.       1+1
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306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:52:33.26 ID:lShEwqSF0
 


 ::::::::::::::::::::::::......   ........::::::::::::::::::::::::::: ;;;;;;;::::::::::::::::::
           γ ⌒ ⌒ `ヘ
          イ ""  ⌒  ヾ ヾ    ドガァァァァァァァァン.....
        / (   ⌒    ヽ  )ヽ
        (      、 ,     ヾ ) <BARUSU!!
 ................... .......ゞ (.    .  ノ. .ノ .ノ........... ........
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  _ _i=n_ ._ [l_ .._....,,. .-ー;''!  i;;;~-ヽ_ii_i=n_ [l h__
  /==H=ロロ-.γ ,~ー'''l ! |'''ーヾ  ヾ 「!=FH=ロロ
  ¶:::-幵-冂::( (    |l  |    )  )=HロΠ=_Π
  Π=_Π「Ⅱヾ、 ⌒~"""''''''⌒~'"´ ノ;;'':::日lTΠl:::....
 Д日lTl,,..:''''"   ""'''ー-┬ーr--~''""   :::Д日lT::::
 FH=n.:::::'            |   |         :::FL日l」:::::
 ロΠ=:::::.:.        ノ 从 ゝ        .::田:/==Д::
 口=Π田:::.                   .::::Γ| ‡∩:::::
 Γ| ‡∩Π::....                ...:::Eヨ::日lTlロ::::
 Д日lTlロ_Π::::.......            ...::::::::田:凵Π_=H:::
 =Hロ凵Π=_Πロ=HロΠ:::.................:::::::::::口ロロH「l.FFl 




309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:54:58.37 ID:lShEwqSF0
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――

……………◆side:????

――――――――――――――――――――――――――――――――――


夜が明けた。
何者かの爆発によって崩落した建物は、未だに黒く煙を上げている。
火は既に消し止められたものの、騒ぎは収まらない。

瓦礫はうず高く積まれ、一時的な処理がしてあるにすぎない。
その敷地内で瓦解したものもあれば、隣の家屋を巻き込んだものもあった。


堅牢な橋も 厳格な裁判所も

暢気な駅も 惚気るタワーも

陽気なビルも 陰気なアパートも

天真爛漫なホテルも 絢爛豪華なホテルも

その形を残すことなく消え去った。


消え去った。

はずである。

312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:56:29.63 ID:lShEwqSF0
 

ξ ゚⊿゚)ξ「はい、セーレツ」


( ^ω^)

('A`)

( ´∀`)

( ・∀・)


ξ ゚⊿゚)ξ「番号ー」


( ^ω^)「1」

('A`)「2」

( ´∀`)「3モナ」

( ・∀・)「4だよ!!」

ξ ゚⊿゚)ξ「はい、よろしい」

ξ ゚⊿゚)ξ「皆さんは今日からツデカンパニーの一員です」

ξ ゚⊿゚)ξ「わが社の利益になるようにしっかり稼いで、かっちりショバ代を納めてください」

314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 00:57:59.96 ID:lShEwqSF0
 
( ^ω^)「へーい」

ξ ゚⊿゚)ξ「…」

<ボゲラァ!?

ξ ^⊿^)ξ「返事は?」

(;^ω(メ)「は、はーいですお」

(;'A`)「きょ、恐怖政治ぃ…」

( ´∀`)「ハァ…」

( ´∀`)「なんでホテルの王たるモナーがこんなビルのテナント扱いを…」

ξ ゚⊿゚)ξ「おたくの株の5割をウチが所持しているからです」

(;´∀`)「大株主!!」

( ・∀・)「ツンちゃん、今日はどんな感じで行く?」

ξ ゚⊿゚)ξ「鬼畜ガン責め。汁も金も絞り取るように」

( ・∀・)「OKー」

(;^ω^)「どんなビルなんだお、ここ…」

(;'A`)「複合企業ってレベルじゃねぇぞ…」

319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:01:53.42 ID:lShEwqSF0
 
ξ ゚⊿゚)ξ「えっと…、そこのあなた」

(;'A`)「は、はい?」

ξ ゚⊿゚)ξ「仮設トイレか何か?」

(;'A`)「元アパートメントです!!」

( ^ω^)「お前、トイレだったのかお…」

(;'A`)「てめぇまで言うか」

( ^ω^)「どおりで臭いと」

('A`)「え、そうなの? ガチで? 結構傷つくんだけど」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほら、トイレも社畜の巣もさっさと働きなさい」

(;'A`)「だからトイレじゃねぇ!!!」

( ^ω^)「社畜の巣って」

ξ ゚⊿゚)ξ「文句でも?」

(;^ω^)「いえ、なんでもないですお!! さっさとお仕事開始しまーす」


322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:05:02.91 ID:lShEwqSF0
 
(;'A`)「はぁ…」

(;'A`)「鬼だよ。ここのオーナー」

( ^ω^)「まぁ、そう言うなお」

( ^ω^)「一時は本当に死ぬかと思ったけど、こうやってまたココにいれるっていうのは幸せだお」

('A`)「そらそうだけどよ…」

('A`)「わざわざ被害を受けた企業を受け入れて、ビルの瓦礫を再利用してこのビルを建てたんだろ?」

('A`)「とんだ道楽だぜ」

( ^ω^)「おかげさまって感じだお」

('A`)「あれで性格がもうちょっと可愛ければなぁー」

ξ ゚⊿゚)ξ「ん?」

(;'A`)「いいえ、なんでもありません!!」

ξ ゚⊿゚)ξ「あ、そうそう。トイレに社畜」

( ^ω^)「マジひでぇ呼び名」

('A`)「泣くよオレ」

ξ ゚⊿゚)ξ「うっさいわね。分かりやすいからいいでしょ」

325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:08:47.96 ID:lShEwqSF0
 
ξ ゚⊿゚)ξ「で、お前ら」

( ^ω^)「はぁ」

('A`)「なんすか」

ξ ゚⊿゚)ξ「新人教育を任命するわ」

ξ ゚⊿゚)ξ「新人、じゃないわね。新テナント教育」

(;^ω^)「きょ、教育!? なんですかお、それ」

ξ ゚⊿゚)ξ「新しいのが入ったのよ。私も手一杯で面倒見切れないから、あんたらに任せようってわけ」

('A`)「すげーブン投げなんすけど」

(;^ω^)「ボクたちだって無理ですお!! そんな人を教えるだなんて…」

ξ ゚⊿゚)ξ「黙らっしゃい。もう決定なの」

ξ ゚⊿゚)ξ「アホども入ってらっしゃい」


328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:11:35.32 ID:lShEwqSF0
 
( ´_ゝ`)「ひかえおろぅ!! ひおかえおろぅ!!」

( ´_ゝ`)「この、えーっと紋所? が目に入らぬか!!」

( ´_ゝ`)「この町一番の流石ツインタワーとはオレらのことだ!!」

(´<_` )「元だけどな」

(´<_` )「というかアホどもはやめてください。アホは兄者一人です」

( ´_ゝ`)「それは聞き捨てならないな」

(´<_` )「あぁ、ちゃんと聞いててくれ。オレの本音だ」

( ´_ゝ`)「すごい。そんな返し方されるとは思わなかった」


( ^ω^)「…」

('A`)「…」

ξ ゚⊿゚)ξ「見ての通り、アホよ」

( ^ω^)「あぁ」

('A`)「えぇ」


330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:14:09.47 ID:lShEwqSF0
 
( ´_ゝ`)「おい、そこの!! オレたちの顔を知らんとは言わせんぞ!!」

( ^ω^)「知んねぇっす」

(´<_` )「言われたぞ」

( ´_ゝ`)「えー、どうしよう」

('A`)「なんだこれ」


ξ ゚⊿゚)ξ「じゃ、よろー」

(^ω^;)「ちょっと、放りっぱなし!?」

ξ ゚⊿゚)ξ「私も忙しいのよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「パチンコの出玉の調整でしょ、馬券の発行に、カジノの準備もあるの」

(;'A`)「ここ、非合法な建物じゃねぇだろうな…」


333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:16:01.52 ID:lShEwqSF0
 
ξ ゚⊿゚)ξ「あ、そうだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「今日の夜、新人が入ったお祝いにセレモニーやる予定だから一応準備しときなさい」

( ^ω^)「準備って、別にボクたちは着飾ったりするわけじゃないお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「窓磨くとか」

(;^ω^)「ただの掃除じゃん!!」

('A`)「人間が楽しむだけだろ、そういうのは」

ξ ゚⊿゚)ξ「あら。そうでもないわよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「ご飯なんかは食べれないけど、屋上から花火打ち上げる予定だからそれぐらいは見れるんじゃない?」

( ^ω^)「…」

('A`)「…」

( ´_ゝ`)「…」

(´<_` )「…」


ξ ゚⊿゚)ξ「?」


337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:20:17.84 ID:lShEwqSF0
 
( ・∀・)「花火!? またボカーンってやるの!? わーい、楽しみだなー」

(;´∀`)「不吉なこと言うの禁止!!」

ξ ゚⊿゚)ξ「あー…」

ξ ゚⊿゚)ξ「そういうことね」

ξ ゚⊿゚)ξ「大丈夫よ。ただの花火だし」

( ^ω^)「ま、まぁ、そうですよねー」

('A`)「どうも火薬系の話を聞くと頭をよぎるな」

ξ ゚⊿゚)ξ「ちゃんと花火職人も呼んであるんだから」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほら、もう準備に取り掛かってるわ」


( ><) イソイソ


( ^ω^)

('A`)

( ^ω^)「ん?」

('A`)「んん?」

342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:23:39.14 ID:lShEwqSF0
 
( ^ω^)「…」

('A`)「…」

(;^ω^)「あ、あのツンさんこれは?」


ξ ゚⊿゚)ξ「花火職人のビロードさんよ」


(;^ω^)「…」

(;'A`)「…」




「「いやあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」」





344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:28:16.28 ID:lShEwqSF0
 


世界有数の経済都市である  VIP市



一秒に動く金はおよそ数億とも数十億ともいわれる大都市。

南北に流れる一級河川を挟んだ対岸には、住宅街が詰まっていて、
人口密度もかなりの大きさだ。


だが、暮らしているのは人々だけではない。


みんな知ってるいるが、誰も知らない。

“それ”は確かにそこにいて。

きっと、今日もどこかで新しい”それ”が生まれている。


346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:34:31.68 ID:lShEwqSF0
 
从 ゚∀从「私がこの椅子に座る日が来るたぁね」

从 ゚∀从「…」

从 -∀从「…ショボン先輩」


( ゚д゚ )「…」


从 ゚∀从「…」

从 ゚∀从「…なんだろう、お尻がムズムズする」


349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:37:00.72 ID:lShEwqSF0
 
(,,゚Д゚)「やっとできた彼女にも振られ…」

(,,゚Д゚)「家はテロに被害にあって…」

(,,゚Д゚)「そして何故か犯人扱いされてる…」

<被告人。質問に答えないさい。

(;,゚Д゚)「だから、オレは関係ないって言ってるでしょ!!」

(;,゚Д゚)「203号室は確かにオレだけど、そんなこと知らねーっての!!」

(;,゚Д゚)「場所間違えてんじゃねーのか!?」


( ,_ノ` )「こいつ、やってるぜ」

( ゚∋゚)「…お前は本当に信用ならん」


355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:50:01.84 ID:lShEwqSF0
 
川 ゚ -゚)「んー…」

川 ゚ -゚)「会社が移転したのはいいけど、通勤がダルいな…」

川 ゚ -゚)「ま、色々と遊べる要素があるのはありがたいんだが」

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「…」



川 ゚ -゚)「何か煙あがってるんだけど」


356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:51:05.36 ID:lShEwqSF0
 
人々は営みを続ける。
恐ろしい出来事があろうとも、哀しい別れがあろうとも、
小さな力を重ねあって、お互いに支えあって、抗いながら。

毎日を、必死に生き抜いている。


そんな彼らの苦難をよそに、阿呆な建物達は日夜構わず大騒ぎ。
どこから生まれてどこへ行くのか。そんなことはお構いなしに。


人に聞こえぬ言葉でもって。
僅かも動けぬ場所にあって。


人を見守り、時にからかい、その身朽ち果てるまで。
ただそこに────在り続ける。



 交わることのない二つの物語は。


   これからもどこかで。


      続いていく。



357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 01:52:24.95 ID:lShEwqSF0
 


 【VIP市をテロリストが襲うようです~おしまい~】



从;'ー'从「わ、私の出番はー!!?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ねぇよ」

从'ー';从「ひ、ひどいですぅ!!」


364 名前:ξナ⊿ギ)ξ:2012/06/01(金) 02:01:40.60 ID:lShEwqSF0
投下は以上になります。
長い時間のお付き合いありがとうございました。

合成士さん(◆gMIGdyOjeA)【人間パート】×ナギ(◆SEOMSVVqUg)【建物パート】でお届けいたしました。
猿さんにガッツリやられたけど支援のおかげで頑張れました。ありがとうございます。

それでは、ここいらで失礼します。


370 名前: ◆gMIGdyOjeA :2012/06/01(金) 02:10:42.72 ID:bEsIUiShO

タッグ作品はナギさんと共同で書かせてもらいました。

軽快な建物パートは流石の出来でした。

お互いの得意を最大限に生かすため、真逆のジャンルを混ぜ込んでみました。

お楽しみいただけましたら幸いです。

投下お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。


タッグバトルはこれで終了になります。
今後の予定はブログやTwitter、総合にて報告しますので、少々お待ちください。


ちなみに、この作品は「受賞圏外」とさせていただきますが、【読者賞】は選択可能ですので、よろしくお願いします。

それでは、長くなりましたが、お付き合いいただきありがとうございました。

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