mesimarja
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('A`)ドクオ君は考えすぎてしまうようです
1 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 16:50:16.21 ID:Fh5KQN5n0
【さいしょ】

('A`)

 僕はドクオ。ドックンと呼ばれたりもする、見るも不快な奇生物、ドクオ。

('A`)

 17年と少し生きてみて、ようやっと気付けたことがあるんだ。

('A`)

 どうやら僕は。

('A`)

 そこそこにハイレベルな変態らしい。

('A`)

 色男って、ツラいね。げへっ。


2 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 16:53:06.29 ID:Fh5KQN5n0
【アイスについて考えてみる】

( ^ω^)「おいすー」

 夏の日の朝、からから、と音を鳴らした扉の向こうから、常時にこにこ笑顔の友人が現れ、教室に足を踏み入れる。
 君は知っているか、クソ田舎の高校には、こういう奴がいるんだ。
 名前はブーン。ちょっとしたデブの、ブーン。まだまだあおくさい高校生だ。高校生なら、このくらい愛想豊かな方が良い。

( ^ω^)「お、ドクオ、おいすー」

 挨拶と共に、ブーンは僕のもとへ駆け寄ってくる。窓際から一つ飛ばした一番前、教室の中での、僕の居場所へと向かって。

3 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 16:55:33.72 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「よっ」

 おはようの代わりに、そんな風に声を投げた。この挨拶は僕にとって、僕を僕たらしめるものであり、ある種の誓いだ。

( ^ω^)「相変わらずドクオはクールだお」

('A`)「うるせ」

 これだ。相も変わらず、変わらない。変化しないもの、それが好きだ。
 
( ^ω^)「昨日、カッコいい飛行機を見たんだお」

('A`)「へぇ、また、アレか」

( ^ω^)「そう、ブーンって、飛んでたお」

 両手を広げ、ちょこちょこと走り回るボーズをとる。ブーンはいつも、これだ。

('A`)「何度も言うが、その音はどう考えても自動車だろう」

( ^ω^)「飛行機だお」

('A`)「さいで」

 ブーンもブーンで、相変わらず、かな?

4 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 16:57:41.77 ID:Fh5KQN5n0
 変わらないものが好き。そう思い始めたのはいつだったか。振り返ってみようか。

 あれはいつだ、小学生より少し前か。

(*'Θ`)「アイスアイスアイスーー!!」

 大好きなアイス。バニラ味でまろやかで、カップの中で弾ける様に光輝く、アイス。これは今でも大好きだ。
 蓋をあけ、白く広がる大地にスプーンをさしこむ。すくいあげ、口へと運ぶ。そうだ、一口目だ、最初がとびきり美味いんだ。
 そもそも、少年だった僕にとっては、アイスを食べる、その行為自体がただ嬉しかった。たまらなく幸せだったんだ。
 しかし、それらはまだ妄想にすぎない。その時の僕は、アイスを買ってもらい、母親の隣で踊るようなスキップを披露しながら、自宅へと歩を進めていた。
 家に帰れば、妄想が現実になる。舌にへばりつく甘さと、耳にまで走る冷たさ。楽しみだった。幸せだった。その時の僕には、それだけしかなかった。

5 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:00:12.76 ID:Fh5KQN5n0
 それだけしかなかったから、僕は。

( ∵) アイヤー

(*'Θ`)「――ッ!?」

 前を見ていなかった。

 甲高いベルの音が耳に飛び込んだが最後。僕は変な人が乗る自転車に撥ね飛ばされた。

( ∵) バッキャロー

 変な人はそんな台詞を辺りに撒き散らしながら、逃げた。悪い人だ。こんな風にはなりたくない、今でもそう思う。

6 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:02:21.37 ID:Fh5KQN5n0
J( 'ー`)し「あらあらうふふ、ねえねえドックン」

 そうそう、僕の母親は、不思議な人なんだ。

(*+Θ+)「な、なに……? カーチャ……」

 撥ね飛ばされ、トリプルアクセルの要領で吹き飛んだ僕は、ありとあらゆる角度から地面に頭をぶつけ、満身創痍だった。どこかしらから出血もあったはずだ。

J( 'ー`)し「カーチャンね」

(*+Θ+)「……ん?」

 母親……カーチャンは、いつもいつもその顔に浮かべている、優しい笑顔を崩さないまま

J( 'ー`)し「泣きそう」

 そう言った。

(*+Θ+)

7 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:03:56.60 ID:Fh5KQN5n0
J( 'ー`)し「ドックンがね、痛そうなの」

(*+Θ+)「いたいよ」

J( 'ー`)し「可哀想なの」

(*+Θ+)「たすけて」

J( 'ー`)し「カーチャン、泣きそう。でも笑う。カーチャン、強い子」

(*+Θ+)

J( 'ー`)し「うふふ」

 本当に、不思議な人なんだ。

J( 'ー`)し「あらあらドックン」

(*+Θ+)「え?」

J( 'ー`)し「アイスが」

(*+Θ+)

8 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:06:32.29 ID:Fh5KQN5n0
 カーチャンが小指で指し示す方に目をやると、僕の大好きな大好きな、大好きな大好きなアイスが地面に転がっていた。
 ひしゃげたカップから、甘そうな冷たそうな部分がはみ出てしまって、地面に流れ始めていた。

(;'Θ`)「あ!!」

 僕は、身体的な痛みには強い子だった。転んだり、落ちたり、刺されたり、撃たれたりしても、泣かない強い子だった。
 けれども、精神的な痛みには弱かったんだ。

( ;Θ;)「ウワーン」

 どうして、どうして、壊れちゃったの? 僕の大好きなアイスが、壊れてしまった。

10 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:08:59.96 ID:Fh5KQN5n0
( ;Θ;)

 君と初めて会ったあの日っていうか今日っていうかついさっきから、僕は君が好きでした。
 君は冷たい人でしたね。お金を払わないと、僕のものにはなってくれなかった。
 逆に言えば、金さえ積めば君は誰のものにでもなった。尻軽だ、ビッチだ、冷血漢だ。漢じゃないけど。

( ;Θ;)

 それでも、それでも僕は君が好きだったから、お金を出しました。
 母親が一生懸命働いて稼いだお金を僕が貰って、君を手に入れました。嬉しかった、幸せだった。

( ;Θ;)

 それでもやっぱり、君は冷たい人でした。ひんやりしてました。
 まあ今思えば、温かい君なんて考えられないわけで。僕は、その冷たさに魅了されていたのです。

( ;Θ;)

 濡れた身体に、白い肌。美しかった。ゆっくりと服を脱がし、使い慣れた僕のアレを持って、その肌を撫でながら、愛したかった。
 ぺろりと舐めた時の、あの甘さ。君はどうしてそんなに甘いのか。教えてくれよドラえもん。ああ、気が狂うほどに甘美な、誘惑。

11 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:11:58.99 ID:Fh5KQN5n0
( ;Θ;)

 愛していた。君は、僕の全てだった。なのに、なのに。コワレテシマッタ。君がいない世界なんて、考えられない。

 だからね、僕は。僕は――

( ;Θ;)「アイスもいっこ買って」

J( 'ー`)し「任せろ」

( ;Θ;)「ウワーイ」

 新しい君を買うのでもういいです。

 僕は、ぐちゃぐちゃになってしまったアイスを見て、ひたすらに泣いていたんだ。
 壊れてしまった、変わってしまった。壊れるのは嫌だ、変わるのは、嫌だ。

 この時からかな、僕が「変わること」を恐れるようになったのは。このアイスが、キッカケになったのかな。

 なんだ、この茶番。ぜったい、違うな。

12 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:14:42.90 ID:Fh5KQN5n0
J( 'ー`)し「きゃっ」

( ;Θ;)

 そんな話とは関係なく、カーチャンの口から零れた小さな悲鳴があったから、その方向に目をやった。

J( 'ー`)し「んもう、エッチな風さん」

( ;Θ;)

 泣きながらでも、僕は見た。しっかり見た。カーチャンが履いている黒いピッチピチのタイトスカートの奥にある、Tの字を。赤だった。刺激的な、赤だった。

J( 'ー`)し「あらあらうふふ、カーチャンだってまだまだ若いのよ」

( ;Θ;)

J( 'ー`)し「ドックンのえっち」

(*'Θ`)

 この日、僕は眠れない夜を過ごしたんだ。はじめての、興奮。

14 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:17:50.01 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 誰もが知っていることだけど、この世界には様々な色がある。
 青、緑、水色、黄色、水色、白、黒、水色、橙、そして、赤。赤は、好きだ。肌色に似合うから。

('A`)

 肌色も好きだ。肌色といえば、人の肌が真っ先に浮かぶね。
 その次は、やはり女性だね。例えば同じ肌色があっても、僕の肌色は汚い。女性の肌色は綺麗。ふしぎ。
('A`)

 すると見えてくるのが足だ。女性の足。世の男性諸君はどうしてか、女性の足が好きだ。何故か? 僕は知っている。

('A`)

 太股だ。ふともも。女のふとももが嫌いだという男を見たことはあるかい? 僕は、ない。
 なぜ男は女のふとももが好きなのか? 触りたい、揉みたい、挟まれたい、理由は様々だろうけど、僕には一つの答えが見えている。

15 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:21:02.93 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 パンツだ。パンツ。ぱんつ。ふとももの先には、パンツがあるから。
 女性のパンツが嫌いな男がいるかなんて……ふ、聞くまでもないね。
 パンツの奥に何があるのかは僕はまだ知らないが、パンツのことは知っている。
 ふとももが魅力的に見えるのは、その先にパンツが存在するからだ。

('A`)

 そして、そのパンツが赤だったら? 好きなふともも、好きなパンツ、好きな赤。ふふふ、パーフェクト。完璧、完璧なパーフェクトだ。ふふふ。

('A`)

 嬉しいねェ、幸せだねェ、興奮するねェ。貴方が嬉しいと、僕も嬉しい。貴方の幸せは、僕の幸せなのさ。
 ありがとう、カーチャン。カーチャンのおかげで僕は、こんなにも立派になることができました。カーチャンの赤いパンツ、大好きです。


――結論。


('A`)「パンツはやっぱり、赤に限るな」

( ;^ω^)(ドクオはブーンを見ながらなにを考えているんだお)



【アイスとパンツについて考えました】

17 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:23:17.14 ID:Fh5KQN5n0
【犬について考えてみる】

( ∵) アイヤー

 授業が終わり、先生が教室から立ち去ろうとしている。僕はその姿を目だけで追って、ふと、考える。

( ∵) サヨナラー

('A`)

 腹がへった。丁度昼休みになったところだ。ご飯を食べよう、そうしよう。

('A`)

 あ。

('A`)

 弁当忘れた。

('A`)

 まいったな。

19 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:25:19.05 ID:Fh5KQN5n0
( ФωФ)「どうしたであるか?」

('A`)「え? ああ、弁当、忘れたみたいでさ」

 背後から飛んできた声。少しだけ驚きはしたものの、コイツはそういう奴だと納得できるから、特に慌てたりはしなかった。

( ФωФ)「そうであるか。なら吾輩の弁当を食べるである」

('A`)「いや、それは悪いよロマネスク」

 僕の後ろの席のクラスメイト。猫目のロマネスク、コイツは良い奴だ。とにかく良い奴だ。

( ФωФ)「黙れ、黙って食え。しかし半分だ、半分しかやらぬ。ウインナーもやらぬ」

('A`)「あはは、ありがとよ」

20 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:27:17.94 ID:Fh5KQN5n0
 いつも偉そうぶった話し方をして、いつもいつも僕に優しさを振りかざしてくる。丁度いい温度の優しさを。

('A`)「うまい」

( ФωФ)「当たり前だバカ者。母君の作る弁当は世界一である」

('A`)「そこまで言うか」

( ФωФ)「母君は最強である」

 何が楽しいのかはわからないが、普段より幾ばくか弾んだ声に耳を傾けながら、タコさんっていうかネコさんウインナーを手にとり、頬張る。

('A`)「うまい」

( ФωФ)「おい」

('A`)「え?」

( ФωФ)「しばき倒すぞ」

21 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:29:54.16 ID:Fh5KQN5n0
 あ、ごめん。そう返すとロマネスクは、ちょっぴり怒った顔でため息を一つこぼした後

( ФωФ)「そういえば最近、犬を飼い始めたのである」

 そう言った。

('A`)「へえ、可愛い? 種類は?」

( *ФωФ)「可愛いのである。ふわふわで、ふわふわだけどつるつるの、チワワである」

('A`)「チクワ?」

( ФωФ)「ちわわ」

('A`)「ちくわか」

( ФωФ)「引っ掻くぞ」

22 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:30:07.80 ID:Fh5KQN5n0
 あ、ごめん。そう返すとロマネスクは、ちょっぴり怒った顔でため息を一つこぼした後

( ФωФ)「そういえば最近、犬を飼い始めたのである」

 そう言った。

('A`)「へえ、可愛い? 種類は?」

( *ФωФ)「可愛いのである。ふわふわで、ふわふわだけどつるつるの、チワワである」

('A`)「チクワ?」

( ФωФ)「ちわわ」

('A`)「ちくわか」

( ФωФ)「引っ掻くぞ」

25 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:32:42.77 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 犬、犬か。それはいい。コイツに飼われるのなら犬も、幸せさ。

 ロマネスクは、優しい。何度も言うが、良い奴だ。
 ロマネスクに初めて出会ったのは、振り返って確かめるほどの距離でもない、つい最近だ。

( ∵) ハジマリー

( ФωФ)「転入生のロマネスク君である。よろしく頼む」

( ∵) オワリー

 二年目に入った高校生活、クラス替えなんぞはなかったから、代わり映えしないだろうと思っていたら、コイツがふらりと現れたんだ。

( ФωФ)「貴様の名を教えるである。吾輩はロマネスク君であるが」

('A`)「ん、ドクオ。よろしく」

( ФωФ)「よろしく頼む」

 法則性も何もないぐちゃぐちゃな席順の前と後ろ。そんな関係から始まった僕とロマネスクの繋がり。

26 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:34:54.42 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「具合悪い」

( ФωФ)「それはマズイ。保健室に行くのである」

('A`)「いや、そこまででは」

( ФωФ)「うるさい黙れ。吾輩の歯が折れるまで噛み付くぞ」

('A`)「それは嫌だ。お前も嫌だろそれは」

( ФωФ)「いやだ。だから保健室」

('A`)「わかったわかった。ありがとよ」

 こんなことや。

27 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:38:02.68 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「教科書忘れた」

( ФωФ)「吾輩が見せてあげるである」

('A`)「いや、前と後ろじゃ無理だろ」

( ФωФ)「ふむ。それは困った」

('A`)「ロマネスクが困る必要はないさ」

( ФωФ)「閃いた」

('A`)「なに?」

28 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:39:27.58 ID:Fh5KQN5n0
( ФωФ)「吾輩も教科書忘れたである」

('A`)「え? あるじゃん」

( ФωФ)「これは、違うである。教科書じゃないである」

('A`)「ないであるか。ではその教科書に見えるソレはナニ?」

( ФωФ)「紙……紙……紙オムツ、そう紙オムツである」

('A`)「紙オムツ」

( ФωФ)「紙オムツ」

('A`)「無理があるな」

( ФωФ)「無理したからな」

('A`)「ははは」

 こんなことも。

30 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:41:26.35 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 なんというか、いつだって辛さや悲しみを共有してくれる、そんな奴。優しいんだ、とっても。

 自慢話に聞こえたら申し訳ないが、僕は基本的に何もかもが苦手な人間だ。長所なんて、ない。

('A`)

 だから、僕の人生は失敗だらけ。失敗の連続。失敗しかない。失敗から産まれた。産まれたことが失敗。
 僕イコール失敗、失敗イコール死――やめよう無駄に死にたくなる。

('A`)

 またもや自慢話に聞こえたら申し訳ないが、僕は僕が知っている中では最強クラスの、精神的弱者だ。
 周りから見れば些細なことだと笑われるような出来事でも、僕は二日と半日程落ち込むことがある。

31 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:43:49.33 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 僕が落ち込む度に、ロマネスクは助けてくれる。ぽん、ぽん、と、僕の肩を叩いてくれる。
 わずかな時間で、僕はコイツに何度、救われたんだろう。

('A`)

 気が効く、優しい、頼りになる。それがロマネスクだ。
 そんな良い奴がさ、犬を飼うんだってさ。お笑いだ。

('A`)

 ロマネスクはきっと、いや、必ず、犬を可愛がるだろう。大事にするだろう。
 残念だったな。ロマネスクが「飼う」と言った以上、犬はもう愛されることからは逃げられない。宿命だ。

 幸せさ、絶対に。羨ましいほどに。

34 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:46:11.40 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 ロマネスクの手にかかればあの犬も、この犬も、みんな幸せ。
 この果てしない空で散った巻き毛のライカ、クドリャフカだって幸せになれるのさ。
 それはさすがに大袈裟か。まいっちゃうね。マイッチングよしこちゃんだね。

('A`)

 うん、うん。そうだ、うん。

('A`)


――決めた。


('A`)「俺、ロマネスクの犬になる」

( ;ФωФ)「急におかしなことを言うな!!」



【犬と猫目について考えました】

36 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:49:12.93 ID:Fh5KQN5n0
【女の子について考えてみる】

(*゚ー゚)

 ショートカットのね、女の子がね、いてね。
 可愛いのよ、これが。物凄い美少女。えらいこっちゃやで。すごいの。

(*゚ー゚)

 名前は……しい。しいちゃん。でらべっぴん。
 そんな可愛い女の子がね、あのね、なぜかね、僕の目の前にいるの。
 休み時間だからね、僕ね、寝てたのよ。机に突っ伏してね、寝てたのよ。

(*゚ー゚)

 そうしたらね、聴こえたの。耳が、耳がね、音を聴く、その役目をね、果たしたの。すごいのね、耳って。

(*゚ー゚)「ねえ、ドクオ君」

 ほらあ、ね? ほらほらあ、ね? 聴こえるじゃん? 透き通るなんぞ生温い、表現が足りない、言葉の引き出しが爆発した。
 耳が溶けるレヴェル、とろけるレヴェル。甘くて艶めいて、けれども幼さあどけなさが未だ残るプリティーな声が。ヴォイスが。耳を犯し回ったの。

37 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:51:11.76 ID:Fh5KQN5n0
(゚A゚)「なんや!!」

 僕ね、驚いちゃって。カーチャン以外の女性に話しかけられるルルなんてね、奇跡だから、奇跡。ホープ。平和。
 時報のお姉さん、ありがとう。留守番電話のお姉さん、ありがとう。貴女たちのおかげで

(゚A゚)「なんの用やボケ!! 用件をはよ言えやワレ!! いま14時やでワラァ!!」

 こうして、可愛い女の子と普通に会話というタスクを乗り越えることができました。

(;゚ー゚)「うん、うん、あのね」

(゚A゚)「えらいこっちゃ!! むちゃくそに可愛い!! えらいこっちゃ!!」

 ああ、どこかの世界の女神様、感謝いたします。

39 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:53:14.65 ID:Fh5KQN5n0
(゚A゚)


 ひとつ、僕の目の前に、美少女が。


(゚A゚)


 ひとつ、季節は、夏。


(゚A゚)


 ひとつ、女子高生の、夏服といえば?


(゚A゚)「おっぱいが!! ぷりっぷりやで!!」


(;゚ー゚)

 顔をあげた僕の目線。それはしいちゃんのおっぱいの辺りと同じ高さで。

(゚A゚)「ぷりっぷり!! あそれぷりっぷり!!」

(;゚ー゚)

41 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 17:58:04.64 ID:Fh5KQN5n0
 半袖の白いシャツ、のおっぱいの辺り、を凝視。これでもかというほどに、凝視。

 そう、そうだぞブラザー。シャツの向こうに、ブラがある。
 そうだ、間違えるな、ブライアンじゃないぞ、ブラジャーだぞブラザー。よく考えろ。
 ここからだ、ここからが問題なんだブラザー。

 ブラジャー、ブラジャーの向こうには何がある? 知っている、僕は知っている。カーチャンのソレを、見たことがあるから。
 オーケー、そうだ、間違えるな。カーチャン、ノー、しいちゃん、イエス。
 それから、そうだ。
 そうだ、乳首、そう、それだ。カーチャンの乳首、ノー。しいちゃんの乳首、イエス。
 カーチャンの乳首、黒い、しいちゃんの乳首、ピンク。オーケーオーケー、決めるぞ。準備はいいな?
 妄想、妄想、妄想。まずは、重ねる感じだ、イメージするんだ、そうだ。
 カーチャンの裸体を、しいちゃんの裸体に、オーケー。ここまでは完璧だ。

 くっ、ぐぅ……難しいな。やはり、黒をピンクに塗り替えるのは、難しい。しかし、しかしだ。
 もう少しで、しいちゃんの裸体を妄想できるはず、なんだ。
 大丈夫、僕は強い。僕にはある、そうだ、目だ。見るんだ。しいちゃんの身体を。
 シャツ、見た。ブラ、見える、乳首、見……見……く……まだだ、まだ……乳首……見……見え――

42 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:00:50.60 ID:Fh5KQN5n0
 あれ?

(゚A゚)

(;゚ー゚)

 よく見たら

(゚A゚)

(;゚ー゚)

 ブラ透け――

(゚A゚)「水色!! 水色や!! 水色のブラ!! 透けとる!! 見えた!! いや見えとる!!」

(;゚ー゚)「え、ちょ――」

(゚A゚)「わかっとるお前の言いたいことはわかっとる何も言わんでエエ」

(;゚ー゚)「はあ?」

(^A^)「抱いてェ、ドックぅン。そう言いたいんやな? しい」

(;゚ー゚)「いい加減怒るよ?」

(゚A゚)「たまらん!! しいちゃんたまらん!! いやらしい身体しとんでホンマ!! ゆでたまご――」

 そこで、僕の意識は途絶えた。

44 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:04:21.08 ID:Fh5KQN5n0
(;゚ー゚)「いや、え?」

( ФωФ)「なにをしている」

(;゚ー゚)「え?」

( A )

( ФωФ)「貴様、ドクオに何をした」

(;゚ー゚)「え、話しかけた、だけだよ」

( ФωФ)「なんと!!」

(;゚ー゚)「え」

( ФωФ)「それはひどい」

(;゚ー゚)「ひどいの? わたし凄いひどいこと言われたけど」

( ФωФ)「ゆるさん」

(;゚ー゚)「えぇー」

45 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:06:07.18 ID:Fh5KQN5n0
( ФωФ)「まあ、あれだ」

(;゚ー゚)「?」

( ФωФ)「このーコレ」

( A )←コレ

(;゚ー゚)「コレが?」

( A )←コレ

( ФωФ)「変態である」

(*゚ー゚)「変態ね」

46 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:09:07.59 ID:Fh5KQN5n0
( A )

 声、声だ。声がきこえる。三つだ、三つの声。

 ひとつは、ロマネスクだな。僕はロマネスクの犬。これは決定事項。

 ひとつは、あの人。紫のバラの人まちがえた、水色のブラの人。

( A )

 もうひとつ、ある。きこえる、聞こえる、聴こえた。

――チカラガ ホシイカ

 誰だよ。いらねーよ。

――シイチャン ノ パンティ ガ ミエル チカラガ ホシイカ

( A )

 いる。超いる。欲しい。えげつないほどに欲しいという気持ちがある。くれ、ください。

――ナラバ チカラヲ アタエヨウ

( A )

 うわぁ、力が、溢れてくるぞ――

47 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:11:04.25 ID:Fh5KQN5n0
( A )

 ん、まあ、あのー、アレだ。

( A )

 ここまで、全部僕。一人芝居。暇だったもので。演技派。さすが。すごい。

( A )

 パンティか、おパンティ。しいちゃんのおパンティ。そんなものを見ちゃったら、僕もう死んじゃう。失神じゃ足りないね。

( A )

 でも、見たい。見たいなあ、しいちゃんのパンティ。おパンティ。

( A )

 何色かなあ? 僕はね、本当は、本当はね――

48 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:14:45.64 ID:Fh5KQN5n0
(゚A゚)「水色のおパンティが好きやねん」

( ФωФ)「は?」

(;゚ー゚)「は? 何言っ――きゃあっ!!」

 紺色のスカートが、ひらり。

( ФωФ)「おや、風が吹いたである」

(゚A゚)「パンティチラしたでアル」

( ФωФ)「神風であるな」

(゚A゚)「ああ、おパンティだ。僕、僕僕僕はもう、ああおパンティだ」

(;゚ー゚)「死ね!! 死ね!! あとおパンティって言うな!!」

(゚A゚)

 ああ、どこかの世界の女神様。

 ありがとう。僕には、水色が見えました。

( A )



【女の子とおパンティについて考えました】

49 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:16:58.81 ID:Fh5KQN5n0
【考えるについて考えてみる】

 下校の時刻。

(´・ω・`)「ねえ、ドックン」

('A`)「ん?」

 今は何時だろうか、遠くの空に見えるあれは、夕陽だろうか。
 僕は、帰り道を歩く。付き合いの深い、二人と一緒に。畑、畑、畑、畑がふえるよ!! やったね田舎道!!

(´・ω・`)「昨日、また面白い本を見つけたんだ」

( ^ω^)「ショボンは本当に本が好きだおね」

('A`)「小学生、いやもっと昔から本の虫だよな」

 僕たち三人は、所謂、幼馴染みの間柄。

50 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:19:28.92 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)「文字を読むのが好き。たのしい」

 ショボン。しょぼくれ顔のショボン。それがコイツだ。
 僕とブーンは同じクラスだけれど、ショボンは別クラス。教育委員会の陰謀だ。まちがいない。

('A`)「奇特なことで」

( ^ω^)「ブーンは目次でお腹が空いちゃうお」

('A`)「それもわからん」

 二人との会話は、苦痛ではない。自然なはずだ。嫌というほどに、手慣れたもの。
 最大限に力を振り絞って記憶の鉱山を掘り進み、爪が剥がれるほどに無茶をしてみせたって、
 二人はいつも僕の隣にいて、笑い合っているのだから。

52 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:20:49.64 ID:Fh5KQN5n0
(*^ω^)「がおー、がおー」

(・ω・`*)「ねえねえ、えほんよもう」

(*'Θ`)「ぼくは、クールな、おとこさ」

 無邪気なブーンと、人懐っこいショボン。そして、クールに決める、僕だ。

(´・ω・`)「それでね――」

( ^ω^)「ほうほう――」

('A`)「それは――」

 なんだろうな、この感覚。変わらないんだけど、変わっているんだ。
 以前はもっと、楽しかったはずなんだ。この二人こそが、僕にとっての親友なんだと。

53 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:23:33.55 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 高校に入ってからかな。微妙な違和感を、覚え始めた。



 例えば、こんな時。

55 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:24:28.47 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「なあ、ショボン。明日お前の家に行ってもいい?」

(´・ω・`)「あ、ゴメンね。バイト始めたんだ、僕。明日は無理かな」

('A`)「バイト?」

(´・ω・`)「うん、本屋でね。部活とか入ってないし、時間だけはあるから」

('A`)「へぇ、本屋か。いいな」

(´・ω・`)「うん、たのしいよ。お小遣いも増えるし」

('A`)「なんか欲しい物でもあんの?」

(´・ω・`)「本が欲しい。沢山ほしい」

('A`)

(´・ω・`)「ぼくは、ほんが、すきだから」

('A`)

(´・ω・`)

('A`)「そっか、そうだよな」

57 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:25:57.58 ID:Fh5KQN5n0
 例えば、こんな時も。

( ^ω^)「おっおっおっ」

('A`)「楽しそうだな」

( ^ω^)「ブーンはいつか、飛行機になるんだお」

('A`)「……乗る?」

( ^ω^)「なる」

('A`)「そりゃ難しいな」

( ^ω^)「そうかお?」

('A`)「お前は本当に――」

( ^ω^)「そうだお」

('A`)

( ^ω^)「ぶーんは、ひこうきが、すきなんだお」

('A`)

( ^ω^)

('A`)「そうだな」

60 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:29:15.09 ID:Fh5KQN5n0
 二人は、変わったのだろうか。あの頃とは、違うのだろうか。

 耳鳴りがする。いやな音。

 ああ、ダメだ。今日は、無理だ。

('A`)「なあ」

( ^ω^)「お?」

(´・ω・`)「ん?」

('A`)「俺ちょっと用事思い出したから、先に、帰ってて」

( ^ω^)「学校にかお?」

('A`)「あ、いや、まあ」

61 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:30:31.23 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)「ん、わかった。行こう、ブーン」

( ^ω^)「お? お?」

(´・ω・`)「大丈夫、大丈夫だよ」

('A`)「悪いな、二人とも」

(´・ω・`)「ん、また明日ね、ドックン」

('A`)「ああ」

( ^ω^)「お? ばいぶー」

('A`)「あいあい」

 手を振って、見送って、二人の背中が小さく小さくなってからやっと、ため息をひとつ。
 二人してちょくちょく振り返りやがるもんだから、変に気を張ってしまった。

62 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:32:39.08 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「疲れた」

 道の真ん中、一人になってぽつりと洩らす。聞かれちゃいないさ、あんなに遠いのだから。

('A`)「んー」

 空に手を翳し、仰ぐ。夏の空は、まだ青い。

――君は?

('A`)

 幻聴、時々、幻覚。最近の僕を、悩ませているもの。

――君は、何が好きなの?

 冷めた視線が、僕の背骨を貫くんだ。途端、立っているのも嫌になって、田舎道に身を投げ出す。
 制服が汚れるだなんてどうでもいいのさ。砂利道に寝っ転がる。

64 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:34:44.75 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「あーういー」

 自慢話に聞こえてしまったらもう謝るしかないが、僕には本当に、何もない。
 苦手なことは沢山あるけれど、得意なことは何一つと、ない。
 僕から見れば、野比のび太だってスーパーマンさ。パーマンじゃないよ。

('A`)「助けておくれよドラえもん」

 ブーンにしろ、ショボンにしろ、好きなものがあるんだな。
 僕には、ないんだな。だからね。

 二人が「コレがすきだ」と言う度に、僕ですら知らない風な顔で笑ってみせるもんだから、聴こえてしまうんだよ。

 「君は?」って。

 叩いたって引っ張ったって、なんにも出ないよ、僕からは。

('A`)「まいったまいった」

(*゚ー゚)「なにしてるの?」

65 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:37:05.90 ID:Fh5KQN5n0
 ヘドロまみれの悩み事の海を、全裸で平泳ぎ中の僕の隣に突如、舞い降りた天使。

('A`)

(*゚ー゚)「そんなところで寝てたら、服が汚れちゃうよ」

 ショートカットの可愛い、あの子。

(゚A゚)「水色のブラの人や!! なんべん見ても可愛らしいでホンマに!! ゆでたま――」

( ゚ー゚)「ヤメロ」

(゚A゚)「み、みじゅ――」

( ゚ー゚)「二度は言わない」

(゚A゚)

( ゚ー゚)

('A`)「アイヤ……アノ……スミマセ……ン……」

(*゚ー゚)「許す」

67 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:38:47.60 ID:Fh5KQN5n0
('A`) ナンスカ

(*゚ー゚)「え?」

('A`) ナンカ ヨウスカ

(*゚ー゚)「声ちっさ」

('A`)「アノ……イヤ……アノ……」

(*゚ー゚)

('A`) アノ

(*゚ー゚)

('A`) カワイイ

 ここから二十分ほど、僕は挙動不審を演じていた。
 そう、演じていただけさ。女の子との会話なんて、呼吸をするよりも簡単なことなのさ。

68 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:40:03.57 ID:Fh5KQN5n0
(*゚ー゚)「落ち着いた?」

('A`)「うっす」

(*゚ー゚)「よかった」

('A`)「ありゃっす」

(*゚ー゚)「あのね」

('A`)「うぃあ」

(*゚ー゚)「ドクオ君に、話があるの」

('A`)「あざっす」

(;゚ー゚)「なんでお礼」

 話があるの。なんだこのトロピカル魅了攻撃は。耐性はどこだ。どうやって鍛えるんだ。

69 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:41:32.64 ID:Fh5KQN5n0
(*゚ー゚)「今度の土曜、空いてるかな?」

('A`)「あはは、いつも暇なんで大丈ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ」

(*゚ー゚)

('A`)

 今度の土曜、空いてるかな?
 オーケー。映画に行こう、アレを観よう。可能な限りエロいヤツ。
 それから、しいちゃんの両親に会おう、それから、結婚して、幸せになろう。

('A`)「あれスか? で、あのー、で、在れ、我、アノ、デー」

(*゚ー゚)「違うよ」

(゚A゚)「デートやて!! わてもついにデートデビューやて!! お母さん!! お赤飯炊いて!! 4合で!!」

(*゚ー゚)「違うってば」

('A`)「すみませ」

(*゚ー゚)「許す」

70 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:44:00.17 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「でも何故スか? 私、あの、お金とか、ないんで。絵とか、買わないですから」

(*゚ー゚)「しっかりなさい」

('A`) ハゥ

(*゚ー゚)「日曜日にね、みんなで花火をしようかって」

('A`)「……みんな?」

(*゚ー゚)「うん、みんな。ブーン君も来るよ」

 みんな、か。それは……それは、ちょっと、どうなん……だろう。

('A`)「そう、なんだ、知らなかった。ショボンは?」

(*゚ー゚)「あー、ショボン君にはまだ伝えてない」

('A`)「俺から伝えておくよ」

(*゚ー゚)「そう? じゃあ、お願いね」

('A`)「うん」

71 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:46:25.25 ID:Fh5KQN5n0
(*゚ー゚)「じゃあ、300円。みんなから貰ってるの」

('A`)「え? 俺まだ行くって決めてな――」

(*゚ー゚)「300円」

('A`)「……」

 僕は基本的に、学校には財布を持っていかないので。紺色のズボンのポケットに、多少の小銭。それだけ。

 ちゃらちゃら。100円、200円、さんびゃ――

('A`)「あ……299円しかない」

(;゚ー゚)「えぇ。惜しいね」

('A`)「ごめん」

(*゚ー゚)「いいよ、1円オマケしてあげる。特別だよ」

('A`)

 特別だよ。おやおや、これはたいへんだ。

74 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:48:13.28 ID:Fh5KQN5n0
(*゚ー゚)「?」

('A`)「あぁ、じゃあ、はい」

 ぢゃらぢゃら。

 しいちゃんの小さなてのひらの上に、小銭を置く。手汗にまみれた硬貨の群れを、嫌な顔ひとつせず受け取ってくれる。

 指が、触れそうになった。しいちゃんの手は、それを避けたりはしなかった。慌てて手を引っ込めたのは、僕だ。

(*゚ー゚)「……ものすごく、多いね」

('A`)「ごめんね、10円玉と1円玉ばかりでごめんね」

(*゚ー゚)「まあ、いいけど」

 触れてしまったら、危ないじゃあないか。

('A`)「ありがとう」

(*゚ー゚)「ん」

75 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:50:00.03 ID:Fh5KQN5n0
 僕にはわかる。しいちゃんはきっと、いや、絶対。

(*゚ー゚)「じゃあね、また明日」

('A`)「うぃあ」

 ほら、ほらほらほらあ。また明日って。これはもう、決定的。

(*゚ー゚)「ばいばい」

('A`)「へへ」

(*゚ー゚)「なんの笑い?」

 しいちゃんは、僕のこと好きなんだ。うふふ。
 僕を置いて歩き出したしいちゃんの背中、かわいい。
 僕はそれほど背が高い男ではないが、むしろチビだが、しいちゃんはそれよりも小さい。

 守ってあげなくっちゃ、ね。

76 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:52:06.10 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「恋、か」

 遠くの空に見えるあれは、夕陽だな。空を仰いでも、青はもう見えない。

('A`)「俺って奴は」

 恋なんて、恋なんて、僕にはまだ、わからない。

('A`)「罪作りな男だぜ」

 だからごめんね、しいちゃん。手、握ってあげられなくて、ごめんね、しいちゃん。
 今はまだ、なにもわからないから。傷付けてしまうだけだと思うから。ごめんね、ふふ。

('A`)「俺が、色男だ」

(*゚ー゚)「一人でなに言ってるの?」

('A`)「え?」

 また来たよ。なんでだよ。なんかこの子、気配がないんだよ。あれか、アサシンか。なんかそういう怖い人達の末裔か。

78 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:54:35.35 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「え、な、なに? なんスかね」

(*゚ー゚)「言い忘れたんだけど」

('A`)「え、あ、なんスか。アレ、あの、悪口っスか」

(;゚ー゚)「言わないよ」

('A`)「あい、あい」

(*゚ー゚)「わたし、楽しみにしてるからね」

('A`)「……はい?」

(*゚ー゚)「ドクオ君と一緒に、花火をするの」

('A`)「……」

(*゚ー゚)「……昔みたいに、みんなでね」

('A`)「……わかった、わかったよ。ありがとう、しいちゃんさん」

(;゚ー゚)「そんな呼び方してたっけ?」

 今度こそ、じゃあまたね、と言って。しいちゃんさんは去って行った。

('A`)「良い子だなあ、可愛いなあ、好きだなあ」

79 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:57:07.93 ID:Fh5KQN5n0
('A`)


('A`)「夕焼けだ」

 僕の頬が熱く感じるのは、あの朱色のせいなんだ、と。言い聞かせるつもりで、頬を一回叩いてみた。

('A`)

 胸が踊るのはどうしてか。わかってるさ、これが、アレだ、恋だ。

('A`)

 まいったね。マイッチングだよよしこちゃん。

('A`)

 これじゃあ、相思相愛じゃないか。負けた、僕の負けだ。認めるよ。
 しいちゃんさんは僕が好き。これはもう決定的、間違いない。
 僕もしいちゃんさんが好き。これはまだ少し自信がないが、きっと、そうなんだ。
 嬉しいけど、どこかむず痒くって、そわそわして、気が付くと頬がゆるんでいる。好きのきもちが、コレなんだろう。
 氷山のように凍り付いてカチンコチンだった僕の心を、彼女が溶かしてくれた。

80 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 18:59:08.81 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 あ、彼女って言っちゃった。あわてるなドックン。まだ違うぞ、しいちゃんさんが僕の彼女になるのはまだだぞ。
 それはもう少し我慢するべきだ。カチンコチンも、我慢だ。何がだ。

('A`)

 うふふ。ふふへへへ。

('A`)

 青春、万歳。

('A`)

 それはそうと。

('A`)「みんな、か」

 みんな。みんなってなに? ブーンも、ショボンも、しいちゃんさんも、みんな。みんなの中の一人。

('A`)「うー」

81 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:01:37.77 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 呆けて、呆けて、呆け続ける。考えがまとまらない。

 どのくらいそうしていたのか、ふと見ると、夕陽はどこかへと旅立っていて、しかめっ面で見上げる必要もなくなった。

 空が? 僕が?

('A`)「暗くなっちゃうな、帰ろう」

 みんな、みんなって言葉。便利な言葉。

('A`)「苦手だなあ」



【考える、思い出と、恋と、土曜日について考えました】

82 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:03:34.44 ID:Fh5KQN5n0
【友達について考えてみる】

 土曜日がやってきた。朝、家を出て、まずはブーンの家に向かった。おばさんに挨拶をして、ブーンの部屋へ足を踏み入れた。

('A`)「今日も暑いなぁ。昼からはもっとキツそうだ」

( ^ω^)「アイスが食べたくなるおね」

 いつも通り、他愛のない世間話をしていると、ショボンがやってきた。

(´・ω・`)「暑いね、今日。走ってきたから汗かいちゃった」

('A`)「クーラーつけようぜ」

( ^ω^)「ブーンの部屋には、クーラーないお」

('A`)「だからさ、クーラーつけようぜ」

( ^ω^)「設置の方かお」

(´・ω・`)「いくらかかるんだろう」

('A`)「ああ、暑い」

83 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:06:00.34 ID:Fh5KQN5n0
 かたかた、と音がした。目をやると、いまにも壊れてしまいそうなくらいに古く小さな扇風機が、ゆっくりゆっくり首を振っていた。

 その向こう、壁にはやっぱり飛行機のポスター。よく見ると天井にもある。すごいな。

(´・ω・`)「~~♪」

 ショボンはショボンで、我が物顔でブーンのベッドに寝そべりながら、漫画の本を読んでいる。

 あれはいつだったか、ショボンに言ったことがある。

84 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:07:48.06 ID:Fh5KQN5n0
「せっかく遊びに来てるのにさ、本ばっかり読むなよな」

 僕は少し、怒っていたのか。場所は、ここだ、ブーンの部屋だ。
 そうだ、今日みたいに、三人で遊んでいた日だったな。

「楽しいからいいんだ」

 本当に、楽しそうにして。

「わからないな。自分の家でも読めるじゃないか。だったらわざわざ来なくたって、いいじゃないか」

 やっぱり僕は少し、怒っていたな。何に対して? 対象はわからない。理由は、わかる。きっと、寂しかったから。面倒くさい奴だ。

「それは違うよドックン」

 次に聴こえた言葉に、驚いたんだ、僕は。

「君たちといるからこそ、読書も一層楽しくなるんだよ」

 未だに、掴みきれない言葉。意味がわからないわけではない、掴めない。けれどもその時は、嬉しかったな。何故だかね。

85 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:10:15.80 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)「~~♪」

 今のショボンも、同じだ。楽しそうにしている。
 僕やブーンがここにいるからだろうか。だったらやっぱり、嬉しいな。

('A`)「お前達は、変わらないな」

( ^ω^)「急に、どうしたお?」

('A`)「いや」

 ふーん、とだけ呟きながら、ベッドにもたれつつパンを食べているブーン。
 揚げパンだ。飲み物も無しに。すごいな、暑いのに。ていうかなんで揚げパン食べてるの。

( ^ω^)「食べるかお?」

('A`)「いや、いらない」

( ^ω^)「よかったお」

('A`)「安心するくらいなら言うな」

 ふと気が付けば、蝉の鳴き声が僕の耳に届き始めていた。もう、昼か。

86 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:12:41.33 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)「――?」

 それに紛れて、すうっ、と、息を吸う音が、聴こえた。
 見ると、ショボンがいる。やっぱり漫画を読んでいる。そのはずなのだけれど、目線は天井。何を、見ている?

('A`)「どうした?」

(´・ω・`)「ん、今ね、ふと思ったんだけどね」

( ^ω^)「お?」

 揚げパンを頬張りながら、顔だけをショボンに向けるブーン。ああ、口の周りが粉まみれだぞ。
 床も、揚げパンまみれだ、揚げパン戦争だ。揚げパンが揚げパンをちぎって投げる、地獄絵図だ。
 なんの話ー? わかる人にはわかるさ。一人の女の子が見る、揚げパン戦争だ。

(´・ω・`)「ドックンってさ」

('A`)「え、俺?」

 てっきり揚げパン戦争について語り始めるのかと思っていたが、僕について何か疑問があるらしい。

(´・ω・`)「なにが、すきなの?」

('A`)「え」

87 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:14:40.95 ID:Fh5KQN5n0
 汗が、吹き出した。幻聴か? いや、違う。現実だ。ショボンの声だ。
 不思議そうな顔をして、いま僕の目の前にいる、ショボンの。

(´・ω・`)「ほら、ボクやブーンと違ってさ、ドックンって好きなものを語らないよね」

( ^ω^)「そういえばそうだお」

('A`)「いや、俺は」

 僕は。

('A`)「うん、俺は」

 僕は。

('A`)「特に、ない。そういうの」

 0だ。0より少ない、マイナスだ。プラスなんぞは、見たことすらない。

88 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:17:22.53 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)「ないの?」

( ^ω^)「無趣味ってやつかお?」

 これは何度も想像したさ。君には何もないんだねって、唯一無二の親友たちが、冷めた目で僕を見るんだろう。

(´・ω・`)「ふふふ」

('A`)「え?」

 ショボンは笑った。いや、想像の中のショボンだって、笑いはするんだけど。引いたような困ったような顔をしてね。

(´・ω・`)「そっかそっか」

 でも、違う。ここにいるショボンは、楽しそうに? 嬉しそうに? そう、嬉しい時の笑い方だ。笑っている。

('A`)「え、なに?」

(´・ω・`)「ううん、いいんだ」

 わからない。なんだろう。けれども、不快ではない。心のどこかが、スッとした。なんでだろう。

( ^ω^)「無趣味な男、カッケーお。イケメンの必須ステータスだお」

 こっちはこっちで、わからない。

89 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:19:19.68 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 ああ、暑いな。

('A`)

 好きなこと、なんてない。だけどさ、聞いてくれよ二人とも。
 僕さ、好きな人ができたんだ。明日、いや明後日、いや今日かな。彼女ができるんだ。
 しいちゃんさん、そんな名前のレディさ。可愛いんだ。僕の、彼女さ。

('A`)

 今日は土曜日だ。明日もお休み。僕はこれから、しいちゃんさんに会う。
 土曜の夜だよ? 明日休みだよ? 部長!! もう一軒行きやしょう!! 部長ってダレー?
 夜更かししたって、構いやしない。だって、男と女なんだから。

('A`)

 燃え盛る太陽よりも熱く、サンタさんに夢を抱く少年の心よりも無邪気に。そんな夜を、過ごすのです。
 僕は今日、大人になるのです。たのしみ。

('A`)

 しいちゃんさん、愛しているよ。ドックン、わたしもよ。うふふ。
 いやあ、恋人がいるってのは、幸せなことなんだなあ。
 誰が僕たちを止められようか。二人きりの夜行列車は、もう既に、走り出している。
 そんな僕たちを引き裂こうとしたって、無駄さ。担任? 両親? 収入? ふ、関係ないね。

90 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:21:38.10 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 愛だ。この世の中は、愛が全てだ。愛があれば生きていける。
 愛がある男が女が一緒にすることって、なあに? ヒント、場所は、ベッドの中です。
 まあ、煎餅布団でも僕はいいけどね。

('A`)

 アレだ。あの、まずね、僕はしいちゃんさんと、き、ききき、キッスだ。キッスをします。ぶちゅって。
 それから、首を触りたい。鎖骨をなぞって、水色だ。
 水色も捨てて、胸……お、おっぱお!! ち、ちぶさ!! に辿り着く。ふ、フヒ。
 そしてしいちゃんさんのふわっと膨らんだち、ちぶさ!! おっぱいを、揉みしだく。
 その辺りからしいちゃんさんは、堪えきれなくなって声を洩らすんだ。

('A`)

 で、で、だ。ふとももも触る。ふとももも。
 「もももも!」ってタイトルのエロ漫画は、僕のオススメさ。読んでみたまえ。何の話ー?
 最後に、フヒヒ、僕の手はついに、しいちゃんさんの、おパン、おパンティを。ぐふゅ、ひぇひぇ、おパンティをそっと触――

( ^ω^)「お?」

(´・ω・`)「あれ、扇風機止まっちゃった」

91 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:24:10.29 ID:Fh5KQN5n0
 かたかた、と鳴っていたそれは、動きを止めて。

( ^ω^)「壊れちゃったかお?」

(´・ω・`)「これ、ずうっと前からあったもんね。壊れちゃったら、寂しいね」

( ^ω^)「そうだおね。修理に出してみるお」

(´・ω・`)「それがいいよ」

( ^ω^)「ドクオ、扇風機が壊れたお」

( A )

(´・ω・`)「あれ、ドックン?」

93 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:25:14.88 ID:Fh5KQN5n0
( A )

( ^ω^)「……しんでる」

(゚A゚)「しんでない」

(´・ω・`)「いきてない」

('A`)「否定できない」

( ^ω^)「おっおっおっ」

(´・ω・`)「どうしたの、ドックン」

('A`)「いや、予想よりずうっと柔らかいんだよ。おっぱいって」

(;´・ω・`)「ちょっと意味がわからないよ」

('A`)「カーチャンのは硬かったのにな」

( ;^ω^)「ドクオが壊れたお」

 気付けばもう、カラスが鳴いている。まだまだ、暑いな。



【友達としいちゃんさんについて考えました】

95 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:26:57.13 ID:Fh5KQN5n0
【みんなについて考えてみる】

 空がほんのりと暗くなってきた頃。僕は、いや、僕たちは近所のファミレスへと足を運んだ。

( ^ω^)「もぐもぐ」

ξ゚⊿゚)ξ「もぐもぐ言いながら食べるのをやめなさい」

 みんな。

(*゚ー゚)「チワワだよね。名前は?」

( ФωФ)「チクワである」

(*゚ー゚)「チワワ」

( ФωФ)「ちくわ」

(*゚ー゚)「ちわわか」

( ФωФ)「ちくわ」

(*゚ー゚)「チワワの名前、ちわわ。ふしぎ」

( ФωФ)「話を聞け」

 みんな。

96 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:28:22.36 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)「昨日は辞書を読んでいたんだ」

川 ゚ -゚)「しょぼたんの、えっち」

(;´・ω・`)「え、なんで」

川 ゚ -゚)「そこは、らめぇ、らめなのぉ」

(;´・ω・`)「ちょ、ちょっと、やめてよ変なこと言うの」

川 ゚ -゚)「なんでやねん」

(;´・ω・`)「え、なに、なにが?」

川 ゚ -゚)「うんこ。貴様は、うんこ」

(´;ω;`)「意味がわからないよ」

 みんな、楽しそう。

97 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:29:59.60 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

  で、僕は。

('A`)

( ∵) アイヤー

 先生と一緒。

( ∵) アイヤー

('A`)

 今ここに、僕を含め7人の若者がいる。そこに先生を足して、8人。休みの日だけどみんな、制服姿さ。
 遊びを遊びで完結する為に? させる為に? 先生もついてきてくれた。危ない奴が多いからね、この世界は。
 気勢を上げる若者なんて、何をしでかすかわからないから。僕は危なくないよ、ちっちゃくないよ、股間はね。虚しい。

106 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:44:49.87 ID:Fh5KQN5n0
( ^ω^)「ぱくぱく」

ξ゚⊿゚)ξ「ぱくぱく言いながら食べるのをやめなさい」

 さっきからブーンの隣にはずっと、ツンがいる。
 なにかと口うるさいが面倒見がよくって、本当は優しい女の子。少し照れ屋な。
 巻き糞みたいな巻き毛と、パンスト被った強盗犯みたいなつり目。
 容姿はそれなり、頭脳はそこそこ。とか言ったら殺されそうだから訂正しよう。つんはかわいい。はい。

111 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:48:59.75 ID:Fh5KQN5n0
川 ゚ -゚)「ちわわ。ちわわ」

( ФωФ)「ん?」

川 ゚ -゚)「みせて。ちわわ」

( ФωФ)「うむ、いつでも見に来るがよい」

川 ゚ -゚)「ひゃっほーいチョゲップリァわっしょーい」

( ФωФ)「うむ」

 ロマネスクと喋っているのが、物凄い美人のクーだ。
 切れ長の目に長い黒髪と、表情をどこかに捨ててきたのか、常に真顔。ちょっと怖い。
 その真顔から発射される言葉の弾丸は、全方位を支配する。わけがわからないよ。

112 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:52:21.05 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)「ねえねえ、しいちゃん。昨日ね、面白い本を読んだんだ」

(*゚ー゚)「えっちな本でしょ?」

(;´・ω・`)「え、違っ、なに急に」

(*゚ー゚)「クーが言ってたから」

(;´・ω・`)「違うよ!! えっちな本はたまにしか読まな――」

(*゚ー゚)「ほら、読んでるじゃん」

(´;ω;`)「なんだよぉ、なんだよぉ」

 しいちゃんさん。いつも元気で、明るくて、誰とでもすぐに打ち解けられる、素敵な人。
 僕の彼女、になる予定の人だ。

 ショートカット、小さな丸顔、くりっとした垂れ目、薄い唇。
 笑うと顔がくしゃくしゃになって、怒ると頬がぷっくり膨らむ。悲しそうな顔は、見たくない。
 しいちゃんさんは、鎖骨が綺麗だ、たぶん。おっぱいは所謂、鳩胸だ、絶対。まちがいない。
 それから、それから。もういいや、そこからは夜な夜な考えよう。

 さっき、しいちゃんさんが、言ったんだ。

114 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:55:55.58 ID:Fh5KQN5n0
(*゚ー゚)「おなかすいちゃった」

 花火の前に、みんなでご飯を食べよう、って。

('A`)

 僕は困った。お金持ってきてなかったから。必要ないと思ってた。
 ポケットの中には多少の小銭があったけど、飲み物代にすら届きやしない。

 だから、言ったんだ。店に着いて、ちょうど8人が座れる長テーブルを陣取って、席についた頃、言ってやった。

('A`)「具合悪いからさ、俺は水だけでいいや」

 「大丈夫であるか?」って、ロマネスクが言ってくれたんだけど、
 僕は一度頷いただけで、それ以上は何もしなかった。声を出したくなかった。それだけさ。

116 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 19:59:56.74 ID:Fh5KQN5n0
 店員が注文をとりにきて、ハンバーグだのコーンポタージュだの、
 魅惑の単語が飛び交っている最中。アイツだ、ブーンが言った。

( ^ω^)「おっおっおっ、ブーンはお金持ってきてないんだお。だから何もいらないですお」

 店員にだって愛想の良い笑顔を振りまきながら、言ったんだ。

 すると、だ。

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、私が出すからいいよ、ブーン。好きなの頼みなさい」

( ^ω^)「お? いいのかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「お腹すかしたアンタの横でご飯なんて食べられないわよ」

 たしかに。

( ^ω^)「おっおっおっ。ありがとうだお、ツン。じゃあ遠慮なく、メニューに書いてあるやつ全――」

ξ゚⊿゚)ξ「奢りじゃないわよ」

( ^ω^)「お子様ランチを、お願いしますお」

ξ゚⊿゚)ξ「よりによってそれか」

118 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:04:12.46 ID:Fh5KQN5n0
 おっおっおっ、特徴的な笑い声がまた響く。
 変な笑い方だーって誰もが思うだろうに、誰もそれを馬鹿にはしない。
 それどころか、ほら、ツンだって笑ってる。おやおや、店員も笑ってら。お前はすごいよ、ブーン。

('A`)

 料理が運ばれてきて、みんなが美味しい、美味しいと、口にする。
 僕には聴こえる。美味しい、楽しい、美味しい、楽しい。その輪の中に、僕はいない。おなかすいた。

( ^ω^)「ぷちぷち」

ξ゚⊿゚)ξ「ぷちぷち言いながら食べるのをやめなさいったら」

 ブーンはただ、ご飯を食べているだけだよ? なんか変だけど。
 それだけなのにさ、隣にいるツンは楽しそうなんだ。なんでだよ。

119 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:08:48.19 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 今更ながら、僕たち7人はただの友達ってわけではない。
 ロマネスクだけは知り合って間もないが、あとは、そう、
 紅白帽を被り玉入れに夢中になってたあの頃からの、仲だ。ブーンはショボンは、もっと前から。

('A`)

 たいそうしみったれた田舎なもので、この街には高校が1つしかないんだな。 高校卒業、はやい奴だと中学卒業の時点から、夢や刺激を求め都会に流れるものも少なくはない。
 ここにいるみんなの他にも、沢山の友達がいたのだけれど、年々、数は減ってゆく。
 今日だって、誘った人数はもっと多かったはずだ。来ないんだよね、みんな。飽きちゃったのかな。

('A`)

 今はもう、たったの7人。ショボン、ツン、クーの三人は別クラスではあるけれど、
 毎日のように顔は見ている。別段、珍しくもない。
 これからも、減り続けるのかな。僕たちはまだ、変化の途中だ。
 これからも、変わるのだろう。だけど僕は、ここにいたい。

121 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:12:23.37 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 小さい頃は平気だったんだ。クールでかっこつけのドックン。それが僕だった。

 キッカケなんていうほど、わかりやすいものはなかった、と思う。例えば、そうだ、ブーンだ。

(*^ω^)「どっくん、あそぶお」

 これが。

( ^ω^)「ドクオ、遊ぶおー」

 今はこう。

('A`)

 だからなんなんだって話。悪意なんて微塵もない。成長に伴う変化なんだ。それだけだ。

 例えば、そうだ、この子だって。

(*゚ー゚)「わたし、どっくんの、およめさんになる」

 そうなんだよ。お嫁さんになるって、言ってくれたじゃあないか、しいちゃんさん。
 嬉しかったなあ、あれは。まあ、この話は嘘だけど。捏造。ゴメンね。

('A`)

 でも、ドックンと呼ばれていたのは本当だ。
 上手に嘘をつくポイントは、嘘の中にほんの少しの本当を忍ばせることだ。って誰かが言ってた。

122 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:15:26.23 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 僕には昔から、一つの物事について考え込んでしまう癖がある。未だ、なおらない。むしろ悪化した。

「1から10まで進みなさい」

 こんな時、人は1を踏みしめた後、2へと向かい足を動かす。これが普通だ。

('A`)

 僕は違う。1ってなんだろう、踏んでも大丈夫かな? 危なくないかな?
 1に、触れてみよう。叩いてみよう。大丈夫だけど、もう少し。
 細かく砕いてみよう。カケラを拾って、かじってみよう。
 ぽりぽり、ぽりぽり、無味無臭。ああ、よかった、なにもなかった。
 次は2か、さあて、2に、触れてみようか。

 進みなさいといわれても、僕は不安で仕方がない。考えて、考え込んで、確認して、ようやっと動く。

123 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:19:27.37 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 双六をしよう。ゴールは10マス先にある。サイコロを振ろう。
 ころころ、ころころ、こてん。6つの黒が、僕を見た。

「6マス進んでいいですよ。1から5までは関係ないので」

 そうですか、では遠慮なく。

('A`)

 6マス進んでみたものの、どうにも居心地が悪い。無視してきた1から5までが、気になって仕方がない。

 進んでいいといわれても、僕は後ろを振り返る。もしかしたら、そこに何かがあるかもしれない、と。

('A`)

 そんなことをしているからさ、みんなに置いていかれた。みんなが変わってゆく中で、僕はぽつんと、立ち竦む。

 愚図で愚鈍で、鈍足だ。だけど、それが僕なんだ。そうなんだから、仕方がないじゃあないか。どうにもならないんだ。

125 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:21:22.96 ID:Fh5KQN5n0
( ^ω^)「おっおっおっ」

ξ゚⊿゚)ξ「美味しい?」

( ^ω^)「美味しいお」

ξ゚⊿゚)ξ「そか、よかったね。それ、私が頼んだはずのハンバーグステーキなんだけどね」

 とられたのかよ、ツン。でも、微笑んでる。なんでだろうね。
 ブーンの周りには、笑顔しかない。ブーンにも笑顔しかないからか。

 まったく、すごいやつだよ。カカロッ、ブーンは。

('A`)

 僕は、知っている。人には様々な性質があるって。怒りっぽいとか、傷付きやすいとか、涙もろいとか、いろいろ。
 色は違えど、心は同じだ。知っているさ、世の中の多くの人々は、ほぼほぼ、自分のことだけを考えて生きている。

127 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:25:33.56 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 悪意はもちろん、好意にしても、だ。講釈垂れたところで行く先は一つ、自分の為さ。

 自分の為に動いてみせよう。楽しみたい、喜びたい、悦に浸りたい。さあて、簡単なのはどれだ。
 そうだ、刃物だ。対象に刃物を突き付け、自分は幸せ。
 対象は、不幸を飲み込む。飲み込まれてしまう人もいる。一番簡単だ。

('A`)

 例えばそう、僕はいま、退屈だ。だから、言ってやろう。

「死にたい」

 言葉を刃物にみたて。大声で、叫んでやった。するとどうだ、みんなが僕を心配してくれる。
 そうさ、それを知った上で叫ぶのだから、わかってるのさ、最初から。死ぬ気なんて、ないさ。
 僕は満足するのだろうね。それがたとえ一瞬だとしても、幸せそうな顔で笑うだろうさ。
 周りのみんなは、なんにも楽しくない風な顔をしてね。
 そうして、快楽に浸りきった後になるとさ、また、みんなはいなくなるから。繰り返すんだ、同じことを。
 たげど次第に、そうすることでしか、自分という存在を証明できなくなってしまう。
 そうなったら最期だ。もうダメ。終わり。終了。再起不能。

 そんなのは、嫌だ。気持ちが悪いったら。

129 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:29:04.00 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 僕は、望む。周りに楽しみや幸福を与えられる人になりたい、と。難しいんだな、コレが。
 自分の為に動いた結果、自分は幸せで、周りの人達も幸せ。なんだそれ、最高じゃないか。幸せ怪獣だ。

 昔は僕だって、幸せ怪獣だったはずなんだ。人気者だったわけではないが、たしかに僕は怪獣だった。
 気付いたのは討ち取られた後だったけれど。
 ひょっとすると、子どもはみんな幸せ怪獣なのかもしれない。成長するにつれ、それを忘れ去ってね。

「例があれば、例外がある」

 英語の先生の口癖。そう、この世の中には、眩しすぎるくらいに、鬱陶しいくらいに魅力的な、例外も存在する。
 その一つが、ブーンだ。怪獣のまま大人になった。幸福を振り撒く術が身体に染み付いている、怪獣だ。

 ほら、見てみろよ。楽しそうな、あの二人。

132 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:32:58.45 ID:Fh5KQN5n0
( ^ω^)「もぐもぐ」

ξ゚⊿゚)ξ「だからもぐもぐ言うなってば。ほっぺにご飯粒ついてるよ」

( ^ω^)「ん、とってくれお」

ξ゚⊿゚)ξ「はいはい」

( ^ω^)「ありがとうだお」

ξ゚⊿゚)ξ「ファミレスに来て米粒しか食べてないんだけど」

( ^ω^)「美味しかったお?」

ξ゚⊿゚)ξ「ヒニクのヒの字も知らんのか」

( ^ω^)「おっおっおっ」

ξ゚⊿゚)ξ「……ばか」

('A`)

133 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:35:17.62 ID:Fh5KQN5n0
 うん。

('A`)

 いま、思ったんだけどさ。
('A`)

 あの二人、仲良すぎじゃね? さすがにおかしくね? 自然体そのものじゃね?
 
('A`)

 もしかして、ブーンが凄いんじゃなくて、
 あの二人は突き合ってるまちがえた、付き合ってるんじゃね?

('A`)

 ブーンすごいなって、僕は駄目な奴だなって。
 くちゃくちゃになるくらい色々考えてたけどさ。


('A`)

 単純に、甘えんぼの彼氏と面倒見の良い彼女っていうアベックなだけじゃね?

 だとしたら、悩んでる僕って、滑稽じゃね?

('A`)

 いや、ブーンに限ってそんな――いや、ブーンなら――いや、ああ、もう、聞こう。

139 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:42:24.15 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「なあ」

( ^ω^)「お、ドクオ、体調はどうだお?」

 ああ、そうだ。そういう設定だった。

('A`)「だいじょぶ。それよりさ」

( ^ω^)「お?」

('A`)「お前らって、付き合ってんの?」

( ^ω^)「誰と?」

ξ゚⊿゚)ξ「誰が?」

('A`)「ヤメロそういうやり取り。お前ら二人だよ」

( ^ω^)「おっおっおっ、付き合ってないお」

ξ゚⊿゚)ξ「……そうよ」

142 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:45:36.25 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 ああ、わかった。アレだ、ツンの片想いだ、コレ。
 僕にはわかる。色男だからわかるよ。ツンはブーンが好き。絶対そうだ。
 で、ブーンはそれに気付いてないな、間違いなく。コイツ、鈍いから。
 こんなに可愛い女の子に想われておきながら、気付く素振りすらないってか。

 ツンは今までに何度、ブーンを想って涙を流したのだろうか。
 まあ、ブーンは言わなきゃわからない奴だからなあ。昔からそうだもん。
 とはいっても、下手なアドヴァイスは逆効果になる恐れもあるし、どうしたも――

( ^ω^)「でもブーンはツンのことが大好きだお」

('A`)

ξ゚⊿゚)ξ

( ^ω^)「ツンには内緒だお?」

('A`)

ξ゚⊿゚)ξ「えっ」

( ^ω^)「お?」

143 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:47:35.98 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

ξ*゚⊿゚)ξ「ぶ、ぶぶぶー、ぶーん!! 今の!! もう一回言って!! 誰が大好きって!!」

( ^ω^)「ブーンはツンのことが大好きだお」

ξ*゚⊿゚)ξ「わ、わちゃ!! わちゃしも!! ぶーん、すき!!」

('A`)

( ^ω^)

ξ*゚⊿゚)ξ

('A`)

( ^ω^)「あれ?」

 あれ? じゃねーよ。

ξ*゚⊿゚)ξ「ブーン」

( *^ω^)「ツン」

 囁くなクソども。

145 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:50:14.92 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 あーあ。なんてこったい。こりゃめでてーな。ヤーバババイ。
 ヤバくーない? スゴくなーい? 二人して嬉しそうな顔しちゃってまあ。

 そんな顔されたら、こっちまで、あーあ。

('∀`)「よかったな、ふたりとも」

( *^ω^)

ξ*゚⊿゚)ξ

「 う ん !! 」

 ハモるなそういうのヤメロって。嬉しそうな二人、嬉しくない僕。
 プラマイゼロ、むしろマーイ!! こりゃめでてーなって最近見ないね。何の話ー?


('A`)

 あー。なんだか本当に具合悪くなってきた。

146 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:54:20.63 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 僕は何を悩んでいたのだろうか。ふふふ、知らないね、そんなこと。
 ぼくは、なやむのを、やめた。

 ちっくしょおおおおおおおおおおがあああああああッッッッ!!

('A`)

( ^ω^)「お? ドクオ? 顔色悪いお」

ξ゚⊿゚)ξ「顔もね」

( *^ω^)「言い過ぎだお、ツン」

ξ*゚⊿゚)ξ「ごめんなさい、ブーン」

(゚q゚) オロロロロ

ξ;゚⊿゚)ξ「ってわー!! 吐いたー!! ドクオが吐いたー!!」

( ;ФωФ)「ドクオ!! しっかりするである!! 保健室へ行くのである!! 保健室ある!!」

(;゚ー゚)「保健室ないよ、ロマネスク君」

 最高だ。最高にまいっちんぐだよ、よしこちゃん。幸せって、いいね。



【みんなと親友とその彼女について考えました】

148 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:57:19.64 ID:Fh5KQN5n0
【花火について考えてみる】

 ぼおお、だか。
 しゅうう、だか。

 音が聴こえる。煙が見えて、光があった。黄色、赤、青、白。水色はないが、色とりどり。

(゚A゚)「うー」

 具合が悪い、ひたすらに。煙たいし、くさいし、なんだコレ、寝返りをうつと、背中が痛い。
 ここはどこだ。水がある。川だ、河原だ。ええと、僕は、ゲェーしたんだ。たしか、ファミレスで。
 あの後どうなった? どうして僕は、河原で寝ているんだ。

( ФωФ)「大丈夫であるか?」

(゚A゚)「ああ、ご主人様。私はあなたの犬です」

( ФωФ)「ヤメロ」

 ロマネスクだ。ロマネスク、ああ、ロマネスク。話し相手がいると、気が楽になるよ。さすがだロマネスク。

149 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 20:59:43.23 ID:Fh5KQN5n0
( ФωФ)「ほら」

(゚A゚)「?」

 僕の隣に腰をおろして、三角座りするロマネスクが小指で指し示した先に

( *^ω^)「ドクオー!! 見えるかおー!!」

ξ*゚⊿゚)ξ「やめなさいよ、みっともないったら」

 両手を広げ走り回るブーンと、言動と表情が一致していないツンがいる。
 ブーンの手には、花火だ。はしゃぎ過ぎだろ。でも、悪くない。見ているとなぜか、落ち着く。

(*´・ω・`)「うふふ」

川 ゚ -゚)「うふふ」

 ブーンの近く、ショボンとクーもいる。なんだ? なんか笑ってるぞ。なにを、している?

(゚A゚)

(*´・ω・`)「燃えてるよ、うふふ」

川 ゚ -゚)「もえろー」

(゚A゚)

 本、燃やしてるんですけど。ショボンが、あの、本大好き怪獣のショボンが。ええー?

150 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:02:21.27 ID:Fh5KQN5n0
( ФωФ)「あれでいいのである」

(゚A゚)「え、なんで?」

( ФωФ)「あれは、エロ本だから」

(゚A゚)「……ちょっとよくわからない」

( ФωФ)「あの子が」

川 ゚ -゚)←あの子

( ФωФ)「あの子の」

(´・ω・`)←あの子

( ФωФ)「エロ本を持ってた」

(゚A゚)「なん、なんで」

( ФωФ)「知らぬ」

151 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:04:24.74 ID:Fh5KQN5n0
(゚A゚)「で、燃やしたのか」

( ФωФ)「そう」

(゚A゚)「なんでアイツ笑ってんの」

(´・ω・`)←アイツ

( ФωФ)「それも知らぬ」

(*´・ω・`)「うふふふふふふ」

(゚A゚)「壊れたか」

川 ゚ -゚)「えっちぃのは、だめです。ずるいです」

(゚A゚)「クーもなんか変だぞ。いや元からか」

( ФωФ)「壊れる、と言えば」

(゚A゚)「ん?」

152 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:06:53.74 ID:Fh5KQN5n0
( ФωФ)「ドクオ」

(゚A゚)「どうした?」

 なんだろう。ロマネスクの隣にいると、空気が痛い。ぴりっとして、痛い。

( ФωФ)「悩んでいるのだろう?」

('A`)「……え?」

( ФωФ)「吾輩には、わかる。貴様の悩みが」

('A`)「ん……どうして?」

( ФωФ)「同じだからな、吾輩も」

 それだけだ。たったそれだけの言葉で、僕は理解した。
 脳だ、脳に、電流が流れたような、衝撃。ああ、そうか。

 そうだよな、ロマネスク。見えていなかったもの、見ようとしていなかったものが今、僕の目の前にある。

( ФωФ)「多くは語るまいて」

('A`)「そっか」

154 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:09:12.23 ID:Fh5KQN5n0
( ФωФ)

('A`)

 音、煙、匂い、空気。僕は今、ロマネスクの隣にいる。優しい奴、良い奴だ、本当に。

('A`)「居心地、悪い?」

( ФωФ)「いや」

('A`)「そっか。ありがとう」

( ФωФ)「ふん」

 さて、と、一言。膝の辺りをぱんぱん、とはらいながら、立ち上がるロマネスク。三角座りで汚れるのはケツだぞ。

( ФωФ)「吾輩も、花火と戯れてくるである」

('A`)「猫目のくせに花火をするのか」

( ;ФωФ)「猫目は関係ないのである」

('A`)「行ってらっしゃい」

( ФωФ)「ドクオは?」

('A`)「俺はもう少し、ここにいるよ」

156 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:11:53.29 ID:Fh5KQN5n0
( ФωФ)「うむ。そうだ、ドクオにひとつ、教えてやる」

('A`)「ん?」

( ФωФ)「吾輩は、ねずみ花火が好きである」

('A`)「うん」

( ФωФ)「猫は、ねずみを追いかけるから」

('A`)

( ФωФ)「猫は、ねずみを追いかけ――」

('A`)「わかった、わかった。うまい。上手。感心した」

( *ФωФ)「うむ」

 それだけ言って、ロマネスクはみんなの元へと向かう。あるといいな、ねずみ花火。

157 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:15:09.80 ID:Fh5KQN5n0
 ロマネスク、ああ、優しい転入生、ロマネスクだ。 お前と僕は、知り合ったばかり、だったな。

('A`)

 僕は、色々と間違えていたんだな。僕は、わかっていなかった。
 友達とか、思い出とか、親友とか、ぎくしゃくして、僕だけが頭を抱えているのかと、思っていた。

 違うね、違うよね、ロマネスク。

 僕が、ブーンやショボン、それに旧知のみんなについて悩んでいた時。
 ロマネスクはきっと「僕たち」を見ていたのだろう。
 そして、同じ様に悩んでいたのだろうね。

('A`)

 知らず知らずだ、なんて、言い訳にもならない。
 僕が想う「みんな」の中で、ロマネスクの存在は小さかった。
 単純に、思い出の量が違うから。ふざけた話だよ。
 仰向けになって、空を見上げると、数多の星たちが煌めいている。

('A`)

 ロマネスクは一生懸命、心を奮い立たせて「僕たち」に、なりたかったのかな。

158 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:17:06.18 ID:Fh5KQN5n0
('A`)

 僕の肩を叩いた時、お前は心にどんな誓いを立てたんだい? 聞きやしないさ。言わないだろうし。
 僕がロマネスクだったら、そうだな、二度三度で折れるだろうに。だって、僕を見てはいないのだから。
('A`)

 ロマネスク、ロマネスク、君はどうだ。誓いの旗は、折れてはいないか。
 聞きやしないさ。言わないだろうし。
 今またひとつ、叩いてくれてありがとう。
 気付かなくってごめんなさい。また、ここからだ、ロマネスク。

('A`)

 ただね、僕は、ロマネスクの、犬だ。
 これは変わらない。決定事項だからね。わんわん、愛しておくれよご主人様。

161 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:20:33.94 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)「ドックン」

('A`)「ん、おう」

 ふと気付けば、今さっきロマネスクが居た場所に、ショボンが居る。
 僕の隣で、三角座りしてる。

(´・ω・`)「やあやあドックン。大丈夫? 元気かい。ふざけるなよ、ボクは元気だ。笑え」

 なんか、変だ、どうした。あ、燃やされたからか。

('A`)「落ち着け」

(´・ω・`)「ボク、決めたんだ」

('A`)「なにを?」

 ショボン、曰く。

162 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:23:58.14 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)

 ボクは、本を読むのが好きなんだ。大好きだ。でね、実は、書くことも好き。大好き。
 だけどね、書くのはあまり得意ではないの。
 どうにも、目視した文字の羅列を、満足に吸収できていないようなんだ。

 1を2に増やすのは簡単だよ? 土台を元に微増微増を繰り返すだけだから。
 でも、0から1を創り出すなんて、ボクには不可能なんだ。

 自信はあるんだよ。ボクだって、書こうと思えば書けるんだって。でも、不可能なんだ。
 不可能だと断言できるくらいに、ボクは繰り返したさ。
 
 読む、書く、読む、書く、読む、書く、読む、読む、読む。頭に来る。

164 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:27:19.63 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)

 絶望したよ、飾り物の脳味噌に。作家の脳味噌の贋作ですらない物が、ボクの頭の中にある。
 何が違うの、ボクはこんなにも読書が好きなのに、どうしてオリジナルは産み出せないの。

 ボクは頑固ではないからね、君と違って。え? いや、なんでもないよ。

 頑固ではないからね、諦めたの。絶望から希望なんて生まれやしない。生まれたところで、活かせやしない。
 もしも、しがみついてしまったら。諦めたくない、そう言って無様にすがりついてしまったら。

 ボクは「好き」を「嫌い」になる。それも断言できる。そんなのは、嫌だよ。

172 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:37:03.14 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)

 だからボクはいつも「面白い」を探すんだ。素敵な文章、好みの表現、愛しい、愛しい、数ページ。
 ぺらりと捲ったページの中、黒がびっしりあってもね、ボクにとっては虹色なの。宝石箱なんだ、本は。

 ペンは、ボクには必要ない。モノを見る目だけがあれば、ボクは七色の輝きに胸を踊らせることができる。

 こうなりたいとは、願わない。それでいいの。
 諦めからの言葉ではないよ。本が好きでいたい、それがボクの願いだから。

 だからボクはこれからも、本が好きだと言い続けるよ。

 君が、君がね、どうしてか、顔をしかめたってね。

(´・ω・`)「ボクが、ボクの可能性を否定してやるんだ。あったとしても、ないって言いきってやる」

173 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:40:53.71 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「うん、うん」

 なんだ? ショボンはいま、何を言っているんだ?

(´・ω・`)「ドックンは、ボクが好きだ」

('A`)

('A`)「はい?」

 え? なに、なんて? 唐突になにをぶちまけてんのコイツ。ホモか?
 嘔吐か? ホモが嘔吐したのか? 常日頃抱いていた愛情が細菌となって胃腸で暴れまわり、堪えきれず吐き出たのか?
 愛情の吐瀉物を一身に浴びたとしても、僕はまず考えなくちゃいけない。コイツ男だもん。ホモはいやだよ。
 いやそれよりまず逆じゃないのか? 告白するにしても自分が相手を好きだと表現するのが普通じゃないか?
 吐瀉物まみれでもそれくらいはわかるよ。

 なに勘違いしてんのよ、アタシの感情を勝手に語らないでよね!! ぷんすか!!

(´・ω・`)「そして、ボクたちが、好きなんでしょ?」

('A`)「……」

 あ。

176 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:44:02.71 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)「別に、それでもいいと思うよ。ボクは」

('A`)「そう、かな」

 吐瀉物なんかじゃなかったよ。ちくしょーめ。

(´・ω・`)「あるんだよ、好きなもの。君にもね」

('A`)「なんで、そう思うの?」

(´・ω・`)「ん、だってね。ドックンは気付いてないと思うけど」

('A`)「なに?」

(´・ω・`)「変わっちゃったもの、ドックン」

('A`)「え、どこが?」

(´・ω・`)「んっとね」

179 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:48:55.98 ID:Fh5KQN5n0
 まず、明るさがなくなった。それから、少し、怖くなった。いつも不機嫌そう? そんな風。
 あとね、あまり喋らなくなったよね。眉間に皺を寄せて、退屈そう。
 ボクは、思ってた。ドックンは、ボクたちのことを嫌いになったのかな、って。
 あの頃みたいに一緒に遊ぶ、そういう日常に違和感を抱いていたのかなって。 ドックンもこの街が嫌なのかなって、ね。少し、いや、結構な時間、ボクだって悩んだよ。泣きそうだった。

 でもね、ある日に気付いたんだよ。あれはそう、アルバイトをしていた時だ。

 ボクは君に「本が好きだ」と言った。その時の、君の顔。泣いていたよね、寂しいって。
 ボクには見えたんだ、灰色の涙が。そして、理解した。君も悩んでいるのだと。まったく、馬鹿馬鹿しいよ、ドックン。

 あ、あと、昔より顔が不細工になったね。すごいね、その顔。
 六法全書で殴られたのかな? ファンタジー小説ではないね、だって犯罪者みたいな顔だもの。捕まえなくっちゃ。
 くっちゃくちゃだよね、君の顔。ひどい、哀れだ、泣きそうだ。あ、ダメ、泣いちゃ――

('A`)「おいこら吐瀉物」

(;´・ω・`)「と、としゃっ」

('A`)「言い過ぎにも程がある」

180 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:52:37.73 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)「うるさい頑固者、意地っ張り、ニブチン、あほ、顔面交通事故、きちがい」

('A`)「お前はあまり悪口を言わない方がいいよ。相手が僕じゃなかったら戦争が起こる」

(´・ω・`)「……ふふふ、そうだね」

('A`)「そうだよ、僕はお前たちが好きだ。大好きだ」

(´・ω・`)「知ってるよ」

('A`)「いつまでかな」

(´・ω・`)「いつまでも、そうだと願いたいよ」

('A`)「そうだね」

 僕は、幸せなんだな。あたたかいよ、お前たちが居ると。

(´・ω・`)「花火、やらないの?」

('A`)「んー」

――好きなものは、見ていたい、かな。

(*´・ω・`)「そっか、うふふ、そっか」

('A`)「その笑いかた気持ち悪いよ」

182 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 21:55:28.62 ID:Fh5KQN5n0
(*´・ω・`)「クーにね、本、燃やされちゃった」

('A`)「ああ、エロ本。なんで嬉しそうなのお前」

(´・ω・`)「エロ漫画だよ、まちがえるな」

(;'A`)「あ、そうなの。一緒だと思うけど、ゴメン」

(*´・ω・`)「うふふふふふふふ」

(;'A`)「なに、なに、こわいよ」

(*´・ω・`)「燃えている本を見て、思ったの」

('A`)「なにを?」

(*´・ω・`)「ボクは将来、エロ漫画家になる」

('A`)

('A`)「え? なんで?」

(*´ーω・`)「ひ・み・つ」

('A`)

184 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:00:25.87 ID:Fh5KQN5n0
(´・ω・`)「さってと、ボクは線香花火で遊んでくるよ」

('A`)「……うん。いってらっしゃい」

(´・ω・`)「~♪」

 ぱんぱん、と。胸をはらいながら、小走りで駆けていくショボン。三角座りで汚れるのはケツだぞ。

('A`)「なんで、内股で走るのアイツ」

 ちょこちょこ、ちょこちょこ。なんだあれ、気持ち悪い。

('A`)「台無しだ。いろいろと」

 でも、まあ。

('A`)「花火は、綺麗だな」

 みんなが、笑ってる。気付けば僕も、笑ってた。

(*'A`)「ありがとう!! みんな!!」

 寝転んだまま、空に向かって言ってやった、言ってやった。
 叫んでやったよ。スッキリした。みんなはどんな顔をしているのかな。見てやろう。

( ∵) アイヤー

 身体を起こしかけたその時だ。河原に現れた変な人と、その人が乗る自転車に、僕は踏み潰された。

186 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:02:58.06 ID:Fh5KQN5n0
 お腹の辺りを思いっきり踏まれた。いたい。

( A )「……いや……意味が……わからん……」

 あと、これ前にもあったな。この痛み知ってる。

( ∵) アイヤー

 お前か、先生。変な人。

( A )「だ、台無しだ……いろいろと」



【花火よりも好きなみんなについて考えました】

187 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:06:32.60 ID:Fh5KQN5n0
【難しいことについて考えてみる】

 オーケー、解説したいところだが、今はそれどこじゃないんだ。だから君たちのために、簡潔にいこう。

('A`)←ファミレスで吐く

ファミレス←一大事

( ∵)←一応保護者

みんな←花火に行く

( ∵)←残って謝る

('A`)←寝てる

みんな←花火してる

( ∵)←事後処理

188 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:08:29.77 ID:Fh5KQN5n0
ファミレス←まだ怒ってる

( ∴)←場を和ませるための一発ギャグ

ファミレス←激怒

みんな←花火してる

('A`)←青春してる

( ∵)←キレる

('A`)←踏まれる

 オーケー、わかりやすい。簡潔で最高にパーフェクトで完璧な、解説だ。そういえばいなかったもんね、先生。

 で、だ。いなかったといえば、もう一人。

('A`)「ねぇ」

(*゚ー゚)「んー?」

189 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:11:25.97 ID:Fh5KQN5n0
 しいちゃんさん、しいちゃんは、河原のすぐそばにある橋の上にいた。
 橋の上から、僕たちを見ていたんだ、ずっと、一人で。
 自転車に踏まれた痛みに悶絶しながら転がっていたら、
 見えたから、しいちゃんのパンツ。水色。見えちゃった、うふ。

 でも、笑ってなかったから。なんと表現すればいいかもわからない難しい顔をしていたから。

 気になったんだ。しいちゃん。

('A`)「どうしたの? 花火、やらないの?」

(*゚ー゚)「ふふ」

 口だけで笑う。どうしたんだよ、しいちゃん。

191 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:13:53.09 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「花火、なくなっちゃうよ」

(*゚ー゚)「心配してくれてるの?」

('A`)「そりゃそうじゃ」

(*゚ー゚)「ふふ、ありがと」

 わたしね、と。僕の目を見ずに、しいちゃんは言う。

(*゚ー゚)「ドックンが、好きだったんだよ」

('A`)「あ、僕もです。はい」

(;゚ー゚)「え?」

 え? は僕の台詞だよね。まあ、今なんつったオメェさ。ふざけんじゃなかっぺや。
 なん? なん? オメェさは今オラのことさ好きだ言うたっちゃっぺや。
 オラぁびっくらこいちまったぺやぁさ。そんだら摩訶不思議なこと言われちったらさぁ。
 いぐら色男でぇ、ごっだらエエ顔したオラだっでね? オラだっでね?
 えんれぇ驚いでしまがっぺや。なんつった? なんつった?

 ドックンがぁ、好きだったんだよぉ。

 あんっれま、よっぐ見だら過去形だこりゃ。

192 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:16:35.32 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「あれ?」

(*゚ー゚)「昔はね」

('A`)「あ、昔ですか。ソデスカ」

(*゚ー゚)「覚えてない?」

('A`)「ん?」

(*゚ー゚)「一年生の頃からね、あ、小学校ね」

('A`)「うん」

(*゚ー゚)「わたし、ずっと、ずうっと、ドックンを見てたの」

('A`)

('A`)「え、マジで? でじま?」

(*゚ー゚)「でじま」

 そういえば。

(*'Θ`)「ぼくは、クールな、おとこさ」

(*゚ー゚)「きゃ、どっくん、すてき」

 あったあった。僕をえらいヨイショしてくれる女の子。いたいた。あれ、しいちゃんか。

194 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:18:37.27 ID:Fh5KQN5n0
 ということは、お嫁さんにしてっていうアレも、妄想ではなかったわけか。

(*゚ー゚)「そうだよ」

 心読まないでね。最近のアサシンはすごいね。

(*゚ー゚)「ねえねえ、どっくんは、あたちのこと、すき?」

(*'Θ`)「ふ、かんけい、ないね」

(*゚ー゚)「くそぅ、げんじつは、きびしい」

(*'Θ`)「かべにむかって、しゃべってろ」

(*゚ー゚)「ひどい、でも、すてき」

(*'Θ`)「くっくっく」

 こんなこと、あったなあ。思い出した。これが、しいちゃんか。

196 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:20:45.58 ID:Fh5KQN5n0
(*゚ー゚)「あたち、どっくん、すき」

(*'Θ`)「あきらめるんだな、ぼくは、せかいをかえるおとこだ」

(*゚ー゚)「くそぅ、はらがたつ、だけど、すき」

(*'Θ`)「きみのきもちには、こたえられない」

(*゚ー゚)「いいの、ずうっと、まってるから」

(*'Θ`)「ふ、ぼくが、いろおとこだ」

(*゚ー゚)「きー、なんという、かっこよさ」

(*'Θ`)「しいちゃん、すきだよ」

(*゚ー゚)「わーい」

('A`)「ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って」

(*゚ー゚)「なによ、いま、いいところなのに」

('A`)「ぐちゃぐちゃだ、色々とぐちゃぐちゃだ」

(*゚ー゚)「おちつけ」

('A`)「お前がだふざけんな」

198 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:24:03.22 ID:Fh5KQN5n0
(*゚ー゚)「ふふふ」

 くしゃっと笑って、しいちゃんは空を見た。ああ、いつもの笑顔だ。星はまだ、見えるだろうか。

('A`)「言いたいことはわかるよ」

(*゚ー゚)「わかるの? すごいね」

('A`)「うん、うん」

 ロマネスクが、ショボンが、教えてくれたからね。

(*゚ー゚)「普通に会話してほしいな、わたし」

('A`)「それは無理です」

 男の子、女の子、それはいつしか、男と女。

199 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:25:49.56 ID:Fh5KQN5n0
 何年前だろうか、ブーンやショボン、時にはしいちゃんと手を繋いで、公園を駆け回っていたあの頃。
 ゆっくり、ゆっくり、時間をかけて、繋いだ手は、ほどかれた。
 仕方ないじゃん、こればかりは、変わらないままではいられない。

('A`)「僕はさ」

(*゚ー゚)「?」

('A`)「いま、あの頃のしいちゃんを見ているよ」

(*゚ー゚)「うん……うん?」

('A`)「今を見ちゃうとさ、ダメだ。えらいこっちゃ。すごいよ」

(;゚ー゚)「なに言ってるの?」

('A`)「やわ、柔らかそうですからね、色々とね」

(;゚ー゚)「ヤメロ」

('A`)「ごめん」

(*゚ー゚)「許す」

207 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:40:48.85 ID:Fh5KQN5n0
 一生懸命、積み上げてきた。友達と一緒に築いてきた。
 例えるならば、秘密基地のようなもの。僕たちだけの、思い出のかたまり。
 だけどね、友達をそれ以外だと意識した途端、崩れてしまうんだ。ぐちゃぐちゃに。

 元より、僕は女の子と話すのが苦手だ。異次元の生物のように思えて、頭の中の歯車が噛み合わない。
 ドキドキしたり戸惑ったりして、でもちょっと嬉しくて。
 悪くない感情が沸き上がるけど、どうしても欲しい程でもない。

 その上で、だ。昔から仲の良かった友達。話すことに苦痛もなく、
 そばにいるだけで安心できる。それがたまらなく、好きだ。
 じゃあ、その友達が女の子だったら。好きと苦手がぶつかって、
 歯車が暴走回転、オーバーヒート、ご臨終です。

 いや、まだだ、仕上がりはまだだ。そこにもう一つ、加えるものがある。それは――

('A`)「恋のスパイスを、ぱらり。これで完成だ。さあ召し上がれ」

(;゚ー゚)「しっかりしてよドクオ君」

 恋した相手だったなら、歯車はもう、熱を浴びたチョコレートのように溶けてしまう。思考停止。

208 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:45:01.28 ID:Fh5KQN5n0
 それでも、それでも僕は考えなくっちゃ。しいちゃんが、それを望んでいるのだから。

('A`)「普通に話したいならさ」

(*゚ー゚)「なあに?」

('A`)「ドックンって呼んでよ」

(*゚ー゚)「いやだよ」

('A`)「えー」

 ドクオという名の精神的弱者が、全身を奮い立たせて絞り出した勇気を持って挑んだのに、拒否された。
 なかなか、痛いね。頼み事を断られるのって、こんなに痛いんだ。ようし、僕は断らないぞ。

 こんな気持ちになるのは僕だけでいい。よかった、病気の女の子はいないのか。何の話ー?

 僕はイエスマンになる。そう決めた。いま決めた。

209 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:48:07.59 ID:Fh5KQN5n0
(*゚ー゚)「呼んじゃったら、戻っちゃうからね」

('A`)「はい」

(*゚ー゚)「ドックンはドックンで、ドクオ君はドクオ君」

('A`)「はい」

(*゚ー゚)「一緒にしたら、よくわからなくなるから」

('A`)「はい」

(*゚ー゚)「わたしは、ドックンが好きだった。それでいいの」

('A`)「はい」

(*゚ー゚)「で」

('A`)「はい」

(*゚ー゚)「ドクオ君って、わたしのこと好きでしょ?」

('A`)「はい」

(;゚ー゚)「ちょっと、しっかりしてってば」

('A`)「スミマセン」

(*゚ー゚)「許す。で、どうなの」

211 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:50:53.34 ID:Fh5KQN5n0
 うーん。ショボンにも同じことを言われたからな。僕はもう焦りはしない。
 これはちょっと、想像とは違う、気持ちだ。

('A`)「好きだよ」

(*゚ー゚)「うん、知ってる」

 そうそう。しいちゃんが好き。それは間違いない。ただ一つ、
 思い違いがあるんだな。違っているのかすら、わからないんだけど。

('A`)「僕はたぶん、みんなが好きなんだ」

(*゚ー゚)「だろうね」

('A`)「よく、わからないや」

(*゚ー゚)「ふしぎだね、わたしたち」

 うん。

('A`)「好きだよ、しいちゃん。大好きだ」

(*゚ー゚)「ありがとう」

 僕たちは、まだ変化の途中だ。今日この日だけで、僕は変化したんだから。
 誰が誰に特別な好きを与えるとか、わからない。
 ブーンとツンは少し先へ行ったけど、僕は自分のペースを大事にしよう。
 
 僕は僕、みんなみんなだ。

213 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:53:17.54 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「ふ、かんけー、ないね」

(*゚ー゚)「それ好き」

(;'A`)「なにがいいの?」

(*゚ー゚)「ヒーローみたいで」

(;'A`)「そうなんだ」

 いつものくしゃくしゃではないけれど、照れ臭そうに笑ってる。これはこれで、いい顔だ。

(*゚ー゚)「人と人との距離感って、あるじゃない?」

('A`)「距離感?」

(*゚ー゚)「そう、たとえばね、わたしと、わたしのお母さん」

 しいちゃんのお母さんといえば、クッキーばっかり焼いてるモンスター。クッキーモンス――これはやめておこう。

(*゚ー゚)「わたしに一番近い人」

 じゃあ、将来はしいちゃんもクッキー怪獣になるんだな。これならいいだろう。

214 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:56:15.31 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「うん」

(*゚ー゚)「その次がお父さん。でね、友達がいるのは、その少し先なの」

('A`)「うん」

(*゚ー゚)「この距離だったら、このくらいまでなら自分をさらけ出してもいいかなって。わかる?」

('A`)「まあ、なんとなく」

 つまりは、あれだ。僕が悩んでいたそれ、そのものだ。
 このくらい近いのだから、こうしてもいいだろう、とかね。
 そこで僕は戸惑っていたんだ。僕がそうした時にお前たちは、
 本当にその位置に居てくれるのか? って。不安なきもち。

 ふと、空を見た。あれ? 星が見えないぞ。暗い、暗い、曇り空。明日は雨かな。暗い空は、好きじゃあないんだ。

 きもちまで、暗くなるから。

(*゚ー゚)「でもね、わからないの」

('A`)「ん?」

 わたしたちは、どこにいるんだろうって。友達で、親友で、幼馴染みで、ずっと一緒だったわたしたち。

215 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 22:58:13.65 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「……」

 わかる、わかるよ言いたいこと。僕は色男だからな。

(*゚ー゚)「考えると、見えなくなる。モヤがかかって、確かめられなくなる」

(*゚ー゚)「今はいいの、ここにいるってわかる。でも、明日、明後日、一年後、十年後は、わからない」

(*゚ー゚)「手を伸ばして、捜すの。ここにいてほしいから。伸ばした手はね、何もつかめない」

 わたしは――

 僕は――

(*゚ー゚)「このままでいたい」

 そうだ、同じだ。変わりたくないんだよ、ね。立ち止まって、ここにいたいんだ。

(*゚ー゚)「駄目なのかな? そう思うのは」

('A`)「しいちゃん」

217 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:02:24.67 ID:Fh5KQN5n0
(*゚ー゚)「わかってる。手を引っ込めてるのは、わたしだから」

(*゚ー゚)「でもね、でもね――」

 そう、思っちゃう。

('A`)「……」

(* ー )「いなくなっちゃ……やだ。みんな……やだ」

 やめろよ、そういうの。色男は、女の涙に弱いんだ。
 泣きそうな顔するなよな。鼻声もダメ、ずるい。

 僕は、いなくならない、と思う。同じことを考えているからね。
 だけど、それでも、同じことを言っちゃあいけないんだと、思う。
 だってさあ、悲しそうな顔のしいちゃんは、見たくないんだもの。
 潤んだ瞳のしいちゃんはとっても可愛いのだけれどもね、笑顔にはかなわない。

 かといって、ここで僕がちっぽけな気休めを言ったとしても、
 それについての責任はとれない。自信も勇気も覚悟もない。
 精神的弱者を舐めるなよ。誰にでも出来るようなことが、僕には出来ないんだからな。まいったか。

 僕は知っている。「自分勝手」は、時に恐ろしい凶器になるんだって。迂闊には、言えやしない。
 同調、否定、沈黙。僕が選んだのは、沈黙だ。
 言葉の引き出しの中にはいくつかの選択肢が転がっているが、僕はそれを活かせやしない。

「言葉をつかうことと、言葉をつかいこなすことは、同じようでまるで違う」

 国語の先生の口癖だ。
 世間話ならまだしも、下手をすれば人生観にもかかわるような問題について、軽々しい言葉は選べやしないんだ。

218 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:06:00.39 ID:Fh5KQN5n0
 僕はそこまで、賢くはないから。さあ、どうしよう。
 どうしようか、ドラえもん。僕に知恵を、勇気を、奇跡をちょうだい、ドラえもん。

 ぽつり。

('A`)「あ」

 明日まで、待てなかったのか、ぽつりぽつりと、雨が降り始めた。

('A`)「しいちゃん」

(* ー )「ん?」

 冷静に、冷静に、大丈夫だ。これはまったく関係のないこと、
 お悩みタイムは一旦終了。冷静になるのじゃ、ドクオ。

('A`)「雨が降ってきたでござるナリよ。花火どころではない。やばいでんがな」

 冷静ってナニー? 取り乱しすぎましたけど、言いたいことは言えました。

(*゚ー゚)「本当だ」

('A`)「ひどい鼻声だ」

(*゚ー゚)「うるさい、みんなは?」

('A`)「えーっと」

 ちらり、河原を見る。

220 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:07:48.67 ID:Fh5KQN5n0
( ^ω^)「なんか、美しいおね」

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオはぶっさいくだけどね」

( ФωФ)「吾輩も、みんなの思い出の中に住みたいのである」

川 ゚ -゚)「ロマたん、いるよ。もう、いるよ」

 みんなが、見てた。僕たちを。橋のすぐ下で。会話、たぶん、聞こえてた。

('A`)「いつから?」

(´・ω・`)「ドックンがしいちゃんのパンツ見た辺りから」

('A`)「うおっ」

 ショボンにいたっては、何故か僕のすぐ後ろにいた。なんで気付かないんだよ。

(;゚ー゚)「ちょ、いつよそれ」

('A`)「そんなことより、雨だ雨、あ――」

 ごまかそうと慌てた素振りをしてみた瞬間、
 わんぱくな雨粒たちが我先に我先にと、群れを成して襲いかかってきた。

 小雨、一転、土砂降りだ。えらいこっちゃ。

221 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:10:51.59 ID:Fh5KQN5n0
( ∵) プップー

 暴れまわる雨音。橋の上だから余計に五月蝿い。
 それを突き抜け、僕の耳に届いた音がある。聞き慣れない、車の、クラクション?

ξ゚⊿゚)ξ「先生!!」

 見ると、灰色のハイエースがそこにあった。うちの担任の愛車だったか。いつの間に。

( ∵) プップー

 また聞こえた、急かすように鳴らされた音が届くよりはやく、僕たちは駆け出した。

( ^ω^)「おっおっおっ。ありがとうございますお」

ξ゚⊿゚)ξ「中も濡れちゃいますね、ごめんなさい」

( ФωФ)「猫は水が苦手なのである」

(´・ω・`)「猫じゃないけどね」

川 ゚ -゚)「みずもしたたる、いいおんな。そのなは、クー!!」

('A`)「叫ぶなよクー。しいちゃん、行こ――」

 がちゃん、と鳴らして。ドアが閉まる。

(;'A`)「あれ?」

223 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:14:23.28 ID:Fh5KQN5n0
 乗った人、5人。乗らなかった人、2人。いやいや、そんなまさか。

( ∵) アイヤー

(;'A`)「ちょ――先生?」

( ∵) プップー

 クラクション、ひとつ。何を伝えるための? わかった、行ってきます、だ。マジかよ。

(;'A`)「マジかよおおおおおおおッッ!!」

 叫ぶが、届かず、車はもう、見えないよ。

 ふざけるな、ふざけるなよクソ担任。土砂降りの中、生徒を置いていくやつがあるか。
 俺が何したよ、おい。ゲェー吐いたね、うん、ね。事後処理は先生がやったらしいね、うん。拭いたのかな、僕のゲェーを。
 おーんおーん、オーケー、この処罰は当然だな。理解した。謝ろう、全力で。

 でもさ、俺はまだしも、しいちゃんまで置いていくなよ馬鹿野郎。

('A`)「しいちゃん!! 走ろう!!」

(;゚ー゚)「うん!!」

 お互い、家はそう遠くないから、走ればすぐだ。
 ここまで濡れたらもうどうでもいいが、しいちゃんが風邪を引いたらまずい。

224 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:18:06.45 ID:Fh5KQN5n0
 ばしゃばしゃ、ばしゃばしゃ。四つの音は、暴力的な雨音にかき消される。うるさい、うるさい。
 少し黙っていてくれよ。お前たちがうるさいせいで

(;゚ー゚)「きゃっ」

 小さな悲鳴と、ばしゃり、と届いた僅かな音を、聞き逃してしまうところだったじゃないか。あぶないあぶない。

 ハデに転んじゃったね、しいちゃん。

(;゚ー゚)「いったー」

('A`)「大丈夫? 怪我してない?」

 言って、僕は、手を差し伸べた。

(*゚ー゚)「ドクオ君……うん、大丈夫」

 色男は、選択を誤らない。今は、考えてる場合じゃあないんだよ。

 残念だったな、土砂降りめ。僕としいちゃんを引き裂こうとしたって、無駄さ。
 なぜなら、悩み多き青年は、夜目がきくのさ。どれだけ暗かろうが、雨にうたれようが、手を差し伸べる先を、見失ったりはしない。

 悩み多き青年は、夜目がきくのだから。

 悩み多き青ね――

('A`)「よし、意味がわからん。ごめんロマネスク、お前すごい上手いこと言ったな。見習いたい」

(;゚ー゚)「なんの話よ」

226 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:21:21.25 ID:Fh5KQN5n0
 僕の手をつかみながら、呆れ顔。ここは照れ臭そうなあの顔がよかったな。まあいいや、今は急ごう。

('A`)「行くよ!!」

(*゚ー゚)「うん!!」

 再度、走り出す。握った手は、はなさない。はなしてなんてやるもんか。
 思えば、昔もこんなだったな。走りながら、しいちゃんが転ばないように、だけど、急ぐために、
 繋いた手を、ほんの少しだけ、引っ張る。背中を押すように引っ張るんだ。その力加減を、僕はまだ覚えていた。驚きだ。

('A`)「ははは、懐かしいや!!」

(*゚ー゚)「ちょっと、腕、いたい、な」

('A`)「……あれ? あれれ? れれれ?」

 雨の中、途切れ途切れに聴こえた声。痛いって? なんで? むかしと一緒だよ? 同じだよ?
 あはは、そうかそうか。昔はあれだもんね、男の子みたいだったもんね、しいちゃん。
 僕より足速かったし。あらら、違うわ。昔とは違うわ、コレ。

 ふむ、ぷにぷにだ。しいちゃんの手。ぷにぷにしてる。

('A`)「豚の肌みたいだ」

227 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:25:40.78 ID:Fh5KQN5n0
(;゚ー゚)「人の手、を、揉みながら、なにを」

 いやあ、しかし、まあ。女の子の手って、やわらか――

(゚A゚)

(;゚ー゚)「あ、その顔だめッ!! 絶対だめなやつだ!! だめだよ!! 今はだめなの!! ね!!」

 だめだめだめだめ。

(゚A゚)「なんや!! そのくっそエロい言い草は!! 狙ってんのか!? ガラ空きやぞ!! わてのチンコ!!」

(;゚ー゚)「イヤっ!! 本気でイヤだっ!! 触るな!!」

(^A^)「イヤヨイヤヨも幕之内って言うやん? なあ、しい?」

(;゚ー゚)「ヤメロ、だまれ。手、はなしなさい!!」

(゚A゚)「マックノウチ!! あそれマックノウチ!! お母さん!! 女の子!! 女の子の手握った!!」

(;゚ー゚)「ちょ、ほんとに」

(゚A゚)「あかん、コレあかんやつや。あの、タンスの角に小杉をぶつけた時みたいな!? みたいなカンジ!?」

(;゚ー゚)「いい加減にしろ!!」

(゚A゚)「小杉!! おい小杉!! しっかりせえ!! しいちゃん、小杉におっぱい揉ませたってぇな!!」

(;゚ー゚)「走ってるのに、よく喋るね!!」

230 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:28:06.40 ID:Fh5KQN5n0
(゚A゚)「このままじゃ死んでまう、小杉が死んでまう!! パンツくれ!! ホンマに!! ゆでたまご――」

( ゚ー゚)「あっ」

 そこで僕は、意識を失った。女の子の手がこんなに柔らかいなんて、知らなかったよ、ドラえもん。

「ちょ、ちょっと!! 起きてよドクオ君!! ドックン!! ドクオ!! おい!! ドクオォォッッ!!」

 可愛い女の子に名前を呼ばれながら死ぬのなら、まあ、悪くはないさ。

 クールでかっこつけの色男、ここに死す。

――僕は、幸せものだ。



【難しいことを考えるのは今はやめておこうと考えました】

232 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:31:19.38 ID:Fh5KQN5n0
【これからについて考えてみる】

 あの日から、色々な変化があった土曜の夜から、十年の月日が流れました。

('A`)「ふわあ、眠い」

 ここに、マンションの三階、広くはないけどあたたかい、僕の家があります。
 自慢話に聞こえたら申し訳ないですが、僕は今、無職です。母ちゃんからの仕送りで生活しています。

 あれから十年。

( ^ω^)「おっおっおっ」

 ブーンは、飛行機にはなれませんでした。そりゃそうだ。パイロットにもなれません。

( ^ω^)「おー? これ、これ見てくれお!! うまそうだお!!」

ξ゚⊿゚)ξ「どれどれ?」

 ブーンは、グルメ番組専門のタレントになりました。時々は、飛行機にも乗れます。
 美味しくご飯を食べる。それだけなのに、今や世間の人気者です。天職だと思います。
 そうそう、ブーンとツンは結婚しました。ツンは主婦業をこなしつつ、
 ブーンのマネージャーとしても毎日奮闘しています。

 ブーンは、幸せです。

239 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:40:06.66 ID:Fh5KQN5n0
(*´・ω・`)「うふふ」

 ショボンは、エロ漫画家にはなれませんでした。絵が下手だから。それだけ。

(*´・ω・`)「ほらー、こっち向いてこっち向いて」

 今は、写真家として活動しています。本を読む、人の顔。それだけを撮ります。
 絵本を読む少女の笑顔から、小説を読む老人のしかめっ面まで。
 稼ぎは少ないですが、ショボンは今の自分が好きでした。

( ∵) バブー

 そして、ショボンは今、一児のパパです。

从 ゚∀从「まったく、パパはいっつもうるさいでちゅねー」

(*´・ω・`)「うふふふふ」

 大学時代に知り合った彼女と結婚し、あたたかい家庭を築いています。

 ショボンは、幸せです。

241 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:43:00.83 ID:Fh5KQN5n0
川 ゚ -゚)「だれか、けっこんしてくれ」

 クーは今、小規模ですが息の長い企業に勤め、文房具を作っています。まだ、独身。

川 ゚ -゚)「消ゴムと、コンパスを、くっつけて」

 消すんパス、という名称の、彼女が開発した文房具があります。商品化はされていません。用途がわからん。
 彼女のウリは、独創的なアイデアです。今のところ、社の利益にはなっていませんが。

川 ゚ -゚)「見るもふゆかいな、三角定規」

 おどろおどろしい化け物の絵が描かれた、三角定規。
 ノートに押しつけると、甲高い悲鳴を発する機能付き。もちろん、却下。

 アイデアは評価されませんが、クー自体を否定する人は誰もいませんでした。
 面白いことを考える、楽しい人。そんな、評価です。

 クーも、なんだかんだで、幸せです。

243 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:46:33.94 ID:Fh5KQN5n0
( ФωФ)「よーしよし、綺麗にしてやるのである」

 ロマネスクは今、犬の美容師さんをやっています。

( ФωФ)「ペットトリマー? 否、犬の美容師さんである」

 こだわりがあるそうです。実家を改装し、そこでお店を開いています。評判は、上々。

('A`)「ちわ」

( ФωФ)「帰れ」

('A`)「犬ですよ」

( ФωФ)「ヤメロ」

 ロマネスクは、この街に残りました。だから、いつでも会えるのです。

( ФωФ)「働け」

('A`)「犬は働かない」

( ФωФ)「まったく、そんな生き方をしていると――」

('A`)「それ以上言ったら泣く」

( ФωФ)「ふん」

 ロマネスクは、僕を幸せにしてくれます。きっと。

245 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:49:34.14 ID:Fh5KQN5n0
 そして、僕。

( ∵) オギャーオギャー

('A`)「おーやおや、どうしたのかな?」

 実は、子持ちです。かわいいです。でも無職です。母ちゃん、仕送りありがとう。

(*゚ー゚)「おっぱいかな?」

 しいちゃん。大好きなしいちゃん。今では僕の妻です。げっへっへっへ、僕って、勝ち組だなあ。

('A`)「僕も、しいちゃんのおっぱい」

(;゚ー゚)「ヤメロ働け」

('A`)「明日から本気出す」

(*゚ー゚)「もう」

 幸せだなあ、無職だけど幸せだなあ。未来のことなんて、どうでもいいのさ。

 愛があれば、生きていけるさ。ふふふ。

 ふふふふふふふふふふふふふふ。



【これからについて色々、イロイロ考えました】

248 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:51:51.75 ID:Fh5KQN5n0
【今について考えてみる】

('A`)「まあ、あの、うん、アレだ」

 十年後ってナニー? 土曜の夜は昨日ダヨー?

(*-A・)「U☆SO☆SA」

 色男は、嘘つきなのさ。

('A`)「あー」

 昨日だ、土砂降りに打たれ、しいちゃんの手の柔らかさを知って、倒れた僕。
 あの後、しいちゃんが僕を家まで運んでくれたらしい。背負って。
 すごいね、小さいのに。気付いたのは朝だった。自分の部屋のベッドで寝てた。
 カーチャンが、着替えさせてくれたのかな。

253 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:55:38.39 ID:Fh5KQN5n0
 いやあ、なんだか良い夢を見ていた気分だ。あはは。現実から逃げたい。
 さすがの僕も、情けなくなったよね。醜態をさらしちゃったなあ。嫌われたかな、さすがにね。

 で、だ。

(*゚ー゚)「おはよう、ドクオ」

('A`)「うぃあ」

 昼頃に起きて、部屋を出て、一階に降りて、トイレに行った。リビングを通った際に、声がきこえた。

('A`)「ふー」

 トイレを出て、またリビングを通る。

(*゚ー゚)「あはは」

 なんか、いる。ピンク色のパジャマを着て、ソファーに寝転がってテレビを見てる。

('A`)「なに、してんの?」

(*゚ー゚)「昨日、泊めてもらったんだヨ。わたしも動けなくなっちゃって」

255 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/06(日) 23:59:47.06 ID:Fh5KQN5n0
('A`)「あ、そうなんだ。カーチャンは?」

(*゚ー゚)「道場破りしてくるってさ。夜まで帰ってこないって」

('A`)「ああ、カーチャン強いからな」

(*゚ー゚)「昔のままだね、お母さん」

('A`)「うん」

 テレビに目をやると、ムックン――小堺一機がサイコロをふって当たり目を出していた。
 これなんの番組? 曜日を間違えてない? ムックン。

(*゚ー゚)「ドクオ」

('A`)「ん? ていうか、なんで呼び捨て?」

(*゚ー゚)「怒ってるからね、わたし」

('A`)「ああ、そう」

(*゚ー゚)「何か言うことは?」

('A`)「ごめんなさい」

(*゚ー゚)「許す」

('A`)「ありがとう」

 優しいや。これでも一応、落ち込んでいたから。

256 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/07(月) 00:01:56.51 ID:msT1FnzC0
(*゚ー゚)「で、今晩なに食べたい?」

('A`)「え? あ、え?」

(*゚ー゚)「お母さんいないからね。わたしがご飯作るよ」

('A`)「ちょっと待っててね」

(*゚ー゚)「?」

 たったったっ、小走りで、風呂場へ向かった。脱衣場を通り、中に入る。湯船は空だ、浸かりにきたわけじゃない。

(゚A゚)「なんやてえええええええええええ!!!!」

 女の子の手料理やて!? こりゃめでてーな!! ヤバくなーい?

('A`)「ふふふ」

(*゚ー゚)「なにしてるの?」

('A`)「なんでいるの」

 風呂場に入って、扉を閉めて、叫んで、出ようとしたら、
 僕の背後にしいちゃん居たよ。なんなのこの子。凄腕のアサシンだよ。

257 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/07(月) 00:03:48.81 ID:msT1FnzC0
(*゚ー゚)「ね、後でお買い物いこう? 夕飯の材料とか買いに」

('A`)「しいちゃんの服は?」

(*゚ー゚)「ドクオの服かして」

('A`)「あいあい」

 そんなこと、昔は何度もあったさ。

('A`)「呼び捨てやめてよ」

(*゚ー゚)「なんで?」

('A`)「かゆい」

(*゚ー゚)「うまい」

('A`)「ヤメロ」

 部屋に戻ると、しいちゃんはソファーにダイブ。お前の家かここは。僕は、喉がかわいた。

 冷蔵庫をあけ、麦茶をとりだす。そのついでに、ちくわをひとつ。

260 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/07(月) 00:05:45.41 ID:msT1FnzC0
('A`)「ちくわ食べる?」

(*゚ー゚)「ちくわぶ?」

('A`)「ちくわ」

(*゚ー゚)「ちくわぶか」

('A`)「僕の股間のちくわ」

( ゚ー゚)「ふうん」

('A`)「ごめんね」

(*゚ー゚)「許す」

('A`)「ふふふ」

 謝っても許してくれないくらいに、怒ることってなんだろう。
 どれだけ深い付き合いだって、まだまだ知らないことがある。知りたくないけど、知りたいな。

 数時間、ぐだぐだした後、そろそろ行こうかと、しいちゃんが言った。

('A`)「Tシャツと、スカートね、はい」

 部屋から持ってきたそれらを、いまだソファーで寝転ぶしいちゃんに渡す。

(;゚ー゚)「なんでスカート持ってるの」

('A`)「ふ、おとなの、じじょうさ」

262 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/07(月) 00:08:34.45 ID:msT1FnzC0
 そうさ。色男は、ミステリアス。赤色のスカート。母ちゃんから貰ったやつだ。

(*゚ー゚)「あ、そうだ」

('A`)「ん?」

 すくっ、と立ち上がり、言った。

(*゚ー゚)「パンツとってこなくっちゃ」

('A`)

 我が家は脱衣場に、洗濯機と乾燥機が置いてある。その辺りだ、
 その辺りへ向かい、しいちゃんは歩いていった。

 パンツとってこなくっちゃ。

パンツとってこなくっ

('A`)

ちゃ。

268 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/07(月) 00:12:56.59 ID:msT1FnzC0
 落ち着け、お母さん、落ち着けよ。待て、待つんだブライアン。
 パンツをとってくる。パンツってなんだ?
 パンツは、はく物だ。はかない物ではない。儚くはある。
 さあ、問題だ。いま履いている物を、とってくるだと?
 ははは、馬鹿を言っちゃあいけないぜ。そんなこと、できるはずがないのだから。

 オーケー、オーケー、もうわかった、大体わかった、全部わかった、嫌というほどにわかった。

 しいちゃんは、はいてなかった。くっそ!! くっそ!! なんでだ!! なんで気付かなかった!!

 しいちゃんのお尻をもっとよく見ておけば!! 気付けたかもしれないのに!! くっそ!!

 さらに、さらに!! 僕はさっき、風呂場に居たじゃないか!! 脱衣場を通って!! パンツのそばを通ったはずだ!!

 一生の不覚だ!! 気付けよ、バカ!! 僕レベルになると匂いでわかるだろ!?

 養豚場で100匹の豚に囲まれたとしても、しいちゃんのパンツの匂いに気付けるはずだろ!?

 そうか、そうか、洗濯か!! くっそ!! 洗濯したパンツは匂わないのか!! 誤算だ!! 洗濯機なんてもういらない!!

 ぶっ壊してやる!!

271 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/07(月) 00:17:29.02 ID:msT1FnzC0
(゚A゚)「わああああああああああ!!」

(;゚ー゚)「ちょ、ちょっと!?」

 脱衣場の洗濯機のそばに、半裸だ、半裸のしいちゃんがいる。身にまとうのはTシャツだけ。ノーブラだ。
 そして今まさに、水色のパンツを履こうとしている。ぷりっぷりのお尻が見えた。

 今はそんなことはどうでもいい。洗濯機だ、洗濯機がゆるせない。悪魔だコイツは。

(゚A゚)「死ね!! 死ね!! 死ね!!」

 がんがん、がんがん、叫びながら、洗濯機に頭突きをかます。痛いだろう苦しいだろう、ざまあみろ。
 貴様のせいで、僕はしいちゃんのパンツを入手しそこねたんだ。死にさらせ。

(;゚ー゚)「やめなさい、やめなさいって!!」

(゚A゚)「うるっさいんじゃお尻ぷりぷり怪獣が――」

 しいちゃん、君は今、半裸だ。幼馴染みだからって、ゆるされないよ?
 これは、僕は悪くないだろう。ちくしょう。

 次からは、スカート履いてから、声かけてね。お願いだよ。

( A )「ゆで……たまご……」

( ゚ー゚)「もう知らない」


【今この時、僕は変態として究極なのではないかと考えました】

273 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/07(月) 00:21:06.50 ID:msT1FnzC0
【さいご】

 玄関の扉を開けてみると、夕陽が見えた。

('A`)「まぶし」

(*゚ー゚)「夕方になっちゃったよ」

 これから、お買い物だ。あの後一時間ほど失神していたせいで、こんな時間になってしまった。

 しいちゃんは怒っていたが、謝るとやっぱり許してくれた。

('A`)「ちょろい女だ」

( ゚ー゚)「いい加減しばき倒すよ?」

('A`)「ふ、かんけー、ないね」

(*゚ー゚)「ばか」

 今更だけど、しいちゃんの好みって変わってると思う。一言だけで顔真っ赤だ。ふしぎ。

276 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/07(月) 00:22:57.59 ID:msT1FnzC0
 歩き慣れた道を、今日も歩く。近所のスーパーまで、15分くらいかな。

(*゚ー゚)「ね、何が食べたい?」

('A`)「んー」

 しいちゃんが作ってくれるなら、なんでもいい。言おうとして、閃いた。

('A`)「みんなも誘おうよ」

(*゚ー゚)「みんな?」

('A`)「うん、昨日のみんなと、他にも声かけてみてさ」

(*゚ー゚)「……ん、いいよ」

 くすくす、と笑い。

(*゚ー゚)「ドクオは、モテないね。バカだもん」

('A`)「やかましい」

 言われなくても、わかっちょる。

(*゚ー゚)「ドクオ」

('A`)「ん?」

277 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/07(月) 00:25:59.31 ID:msT1FnzC0
 並んで歩いていたはずが、いつの間にか後ろにいて。
 振り返った僕が見たその表情は、今までに見たことのないもので。

(*゚ー゚)「好きだよ、ドクオ」

 泣きそうなくらいに寂しげな、だけど嬉しそうでもある、不思議な笑顔だった。

('A`)「僕も」

(*゚ー゚)「ふふふ」

 言葉の意味やその深さを、僕たちはまだ理解していないのかもしれない。
 誤りがあるのかもしれない。それが引き金となって、ボロボロになる程に傷付いてしまうのかもしれない。

 僕たちはまだ、変化の途中。

(*゚ー゚)「ね」

 差し出された手、僕はそれを確かめて、しっかりと掴んでみせた。
 幼馴染みの手のぬくもりは、かつてのそれと同じもので。恋人の手のぬくもりとは、違うのだろう。

('A`)「まだまだ子どもだね、僕たち」

(*゚ー゚)「そうだね」

 明日から、また考えよう。僕たちはどうなるのか、どうすればいいのか、考える。

 だから、今この時だけは、あの頃のまま。

280 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/07(月) 00:32:41.77 ID:msT1FnzC0
('A`)「最後まで自慢話に聞こえてしまったら申し訳ないが」

(*゚ー゚)「ん?」

('A`)「僕は今、青春の最中にいる」

(*゚ー゚)「なに、急に」

('A`)「うらやましいか、諸君」

(;゚ー゚)「なに考えてるの?」

('A`)「教えない」

(*゚ー゚)「ずるい」

('A`)「だって僕は――」

 僕は、クールな色男、だからさ。

 げへっ、げへっ、げへっ。

 さあてまずは、アイツを呼びに行くとしようか――



【('A`)ドクオ君は考えすぎてしまうようです】

おしまい

282 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/07/07(月) 00:34:32.03 ID:msT1FnzC0
読んでくれた人ありがとう
長時間支援してくれた人ありがとう
長すぎたごめんね
楽しかった

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