mesimarja
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( ・∀・)晴男と雨女の相性のようですζ(゚ー゚*ζ
1 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:00:29.79 ID:kw98uIHa0
 


 オレはいわゆる“晴男”だ。
 遠足は曇ったことすらないし、運動会や体育祭は必ずどピーカンな秋晴れだ。
 だから。


( ・∀・)「……あ?」


 小雨とはいえ、イベント事で雨に遭遇するなんて、思いもしなかった。


 


3 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:05:01.82 ID:kw98uIHa0
 
 大学の学祭。
 天気予報は曇りのち晴れ、所により小雨が降るでしょう。
 だが少なくとも、この大学のキャンパス内ではそんなことはあり得ない。何せこのオレという晴男がいるのだから。
 その筈、だったのに。


(*゚ー゚)「わっ、雨」

ξ゚⊿゚)ξ「少し待ってましょう」


( ´_ゝ`)「ふむ、ちょうど席が取れてよかったな」

(´<_` )「ああ、流石だな俺ら」


 そんな会話があちこちから聞こえてくる。


( ・∀・)(何だってんだ一体)


 そりゃ晴男なんて、所詮は迷信の類に過ぎない。
 だが物心ついた時から、イベントでは必ず晴れだったのだ。
 濡れた服が張り付いて鬱陶しい。
 

6 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:06:47.25 ID:kw98uIHa0
 
川 ゚ -゚)「何だ、来てたのかモララー」

( ・∀・)「クー」


 女の声に振り向くと、中学から大学まで一緒に過ごした、クーこと素直クールの姿があった。
 別に合わせたわけでなく、単に成績優秀だったが為に、常にトップを選びとっていただけのことだが。
 興味の方向性は違うので、学部は別だ。


川 ゚ -゚)「雨が降ってきたから、今日はお前は居ないものだと思ったが」

( ・∀・)「なワケないだろ。この後サークルの出し物あるんだぞ」

川 ゚ -゚)「ふうん。それにしても晴男のお前がいるのにな」

( -∀-)「オレだってまあ、正直びっくりしたけど、結局迷信だったってだけだろ」

川 ゚ -゚)「どうかな」

( ・∀・)「何がだよ」

川 ゚ -゚)「“雨女”でもいるんじゃないか。でなきゃ雨降らしでも」


 真面目な顔で、クーはのたまう。
 彼女はいつだってこの氷のような表情で、冗談も真面目な話もしてみせる。
 

7 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:08:38.75 ID:kw98uIHa0
 
( ・∀・)「はっ」

川 ゚ -゚)「冗談ではないが」

( ・∀・)「だから迷信だって言ったろ。馬鹿馬鹿し――」

川 ゚ -゚)「ほら、そこ」


 オレの言葉を遮り、クーはベンチを指さした。
 少女が一人、しょんぼりと雨に打たれて項垂れていた。

 彼女が雨女? 何を根拠に馬鹿馬鹿しい。
 今度こそ、そう言い切ろうとした時。


( ・∀・)(……あれ?)


 雨は降っている。
 ベンチは屋根のない場所に設置してある。
 なのに、座っている少女には、濡れた痕跡ひとつ見当たらなかった。
 

8 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:11:27.54 ID:kw98uIHa0
 
( ・∀・)「……え?」

川 ゚ -゚)「ほらな」

( ・∀・)「ほらな、っていやいやいや」

川 ゚ -゚)「話しかけてみればいいじゃないか」

( ・∀・)「『あなたは雨女ですか?』って? そんなこと」

川 ゚ -゚)「こんにちはお嬢さん。あなたは雨女かな?」

ζ(゚ー゚*ζ「え?」

( ;・∀・)「うおおおおおい!」


 それじゃただの変質者だろうが!


( ;・∀・)「あ、あー、すみません、コイツちょっと頭のネジが一本二本飛ん」

ζ(゚ー゚*ζ「はい、そうです」

( ・∀・)「」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、ええと、正確にはその、私は人間ではなくて、雨を引き寄せるモノと言いますか、はい」

( ・∀・)「」

10 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:13:07.90 ID:kw98uIHa0
 
川 ゚ -゚)「やっぱりな」

( ・∀・)「やっぱりなじゃないっての」

川 ゚ -゚)「ところでさっき、失礼な言葉を言いかけてなかったか」


 クーの言葉を無視して少女を凝視する。
 濡れてない。
 当たった雫は全て、すぅ、と吸い込まれるように消えていく。


ζ(゚ー゚*ζ「あの、あなた達は……?」

川 ゚ -゚)「わたしはクー。こっちはモララー。このモララーは“晴男”なんだ」

ζ(゚ー゚*ζ「ああ! そっか、だから小雨だったんだ!」


 少女の顔が輝く。
 まるで僥倖に巡り合えたかのような。
 

12 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:15:16.43 ID:kw98uIHa0
 
ζ(゚ー゚*ζ「あ、ごめんなさい、私はデレです。会えて嬉しいです、モララーさん」

( ・∀・)「え」

ζ(^ー^*ζ「私、こういう所に行くといつも雨になってしまって、申し訳ないと思ってたんです。
       でも今日はモララーさんが居たから、小雨で済みました!
       ……あ、もう止みそう」

川 ゚ -゚)「ああ」


 少女――デレの言葉通り、雨はぱらぱらと余韻を残して引いていった。


川 ゚ -゚)「晴男の面目躍如だな」

( ・∀・)「いや……ええ?」

ζ(゚ー゚*ζ「凄い! 凄いですモララーさん! それにクーさんも、どうして私が雨女だってわかったんですか?」

川 ゚ -゚)「ああ、わたしも似たようなモノと一緒にいるから」

('A`)「よ」

川 ゚ -゚)「コイツだ」


 貧相な顔と体つきの男が現れた。
 クーの肩に腕を置き、空中に浮かんで。

13 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:17:02.56 ID:kw98uIHa0
 
( ・∀・)「」

ζ(゚ー゚*ζ「わあ、お仲間さん!」

('A`)「おうよ。ドクオって呼べ」

ζ(゚ー゚*ζ「うん!」

川 ゚ -゚)「そらな。分かっただろう、モララー。今日は雨女が居たんだ」

( ・∀・)「…………か」

川 ゚ -゚)「ん?」

( #・∀・)「理解できるかボケええええええ!!!」


 この瞬間最大級の罵倒を放って、オレはその場から駆け出した。

 

14 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:19:05.06 ID:kw98uIHa0
 
 後日、クーから詳細に説明を受けた。
 あの貧相な男はドクオと言って、何か植物とかが生えやすくしてしまうモノらしい。
 クーとは高校の頃に出会って、そのまま一緒にいるのだとか何だとか。

 人間にも“引き寄せやすい”体質というのはあるそうで、オレの“晴男”体質もその一種だとその時知ったとか。
 クー自身は植物の流れが把握しやすいとかよく分からない説明を受けた。
 だから一緒にいるとお互い心地いいらしい。


('A`)「まあ何つーの? ベストパートナー的な?」

川 ゚ -゚)「照れるじゃないかドックン」

('A`)「俺もだよクーにゃん」

川*゚ -゚)「ふふふ」

(*'A`)「あはは」


 今までは言われる立場だったが、あえて言おう。
 リア充爆発しろ。
 いやリアルどうか分かんないけど、とっとと爆散しろこの二人。
 

15 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:21:28.03 ID:kw98uIHa0
 

ζ(゚ー゚*ζ「モララーくんっ」


 それからだ。
 オレの日常に、デレが介入してくるようになったのは。


ζ(゚ー゚*ζ「モララーくん、今日はモララーくんの方が調子いいみたいだね。雲一つないよ」


川 ゚ -゚)「やあ。今日は大分雨だな」

('A`)「よ。何だ、曇りってハッキリしねえな」


 正確には、デレとクーとドクオだ。
 オレの体質は基本的にイベントにしか効いてないらしい。
 だからデレが来ると、大体は雨になった。
 その度に申し訳なさそうな顔をするもんだから、つい一度怒鳴ってしまった。
 

17 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:23:14.22 ID:kw98uIHa0
 
( #・∀・)「あのな、来る度にそんな顔するんだったら、最初から来るな。
      来るなら来るではっきりしろ!」

ζ(゚、゚*ζ「……ごめんね、モララーくん」

ζ(゚ー゚*ζ「あの、あのね、私モララーくんに会いたいの。雨じゃない時に会いたいの。
       ……多分いっぱい、雨になっちゃうけど、来てもいい?」

( ・∀・)「……好きにしろよ。別に雨だろうが何だろうが、傘差せばいいだけだし」

ζ(^ー^*ζ「――うんっ! ありがとう、モララーくん!」


 こうしてオレは晴男の称号を返上し、傘男の異名を頂くことになるのだが、まあどうでもいいことだ。
 

18 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:25:02.15 ID:kw98uIHa0
 
ζ(゚ー゚*ζ「モララーくん、私ね、プラネタリウムに行きたかったんだ」

( ・∀・)「プラネタリウム? 花火大会の時は晴れてただろ。その時星だって」

ζ(゚ー゚*ζ「んーん、違うの」

( ・∀・)「何が? プラネタリウムなんて、結局夜空の偽物じゃないか」

ζ(゚ー゚*ζ「偽物でもいいの。あのね、夜の中の星も凄く綺麗だったけど、遠いじゃない。
       でもね、プラネタリウムは、もっともっと近い距離で、夜空を見られる」

( ・∀・)「……」

ζ(^ー^*ζ「ぎゅって、夜空を閉じ込めて、それを全身で感じられたらいいなって、思うんだ」

( ・∀・)「……流石、人間と違うと感覚も違うな」

ζ(゚ー゚*ζ「もー、モララーくんだって、体質だけ見たら晴男なんだからねっ」
 

19 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:27:02.47 ID:kw98uIHa0
 

 天候一つに気を揉んだり、デレが行けなかった所に行ったり、何かある度に、デレは大きく反応する。


ζ(゚ー゚*ζ

ζ(゚∀゚*ζ

ζ(-、-*ζ


 或いは驚きで、或いは好奇心で、或いは悲しみで。


ζ(^ー^*ζ


 或いは、喜びで。


 気付けばオレの日常は、すっかりデレと共にあるのが当たり前になっていたのだ。

 

21 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:29:33.14 ID:kw98uIHa0
 
( ・∀・)、「っ」

ζ(゚ー゚*ζ「モララーくん? どうしたの?」

( ・∀・)「や、何か、ちょっとふらついただけだ」

ζ(゚、゚*ζ「だ、大丈夫? 休んでた方が」

( ・∀・)「別に平気だって」

( ・∀・)(……ただの、貧血だろ)


川 ゚ -゚)「最近、顔色が悪いな」

( ・∀・)「……そうか?」

('A`)「おう。なまっちろい顔が、更に白ーくなってやがるぜ」

( ・∀・)「やる気のない顔よりマシだろ、イケメンだし」

('A`)「あーあーあーこれだからナルシストはー」

川 ゚ -゚)「わたしはドクオのその顔も好きだぞ?」

('A`)「俺もクーが好きでいてくれるなら何でもいいぜ!」

( ・∀・)「今すぐ核ミサイルでも落ちてこないかな」
 

22 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:31:23.42 ID:kw98uIHa0
 
川 ゚ -゚)「モララー」

( ・∀・)「……何だよ」

川 ゚ -゚)「分かってるんだろう?」

( ・∀・)「……」


 付き合いは、長い。
 幼なじみなんて上等な存在もないから、家族以外じゃクーが確かに一番長いのだ。
 ――体調に異変をきたす原因は、推測出来ていた。

 

24 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:33:15.15 ID:kw98uIHa0
 

ζ(゚、゚*ζ「……モララーくん。体調、悪いよね」

( ・∀・)「気のせいだろ」

ζ(゚、゚*ζ「気のせいじゃないよ。絶対、悪い」

( ・∀・)「……気のせいだ」

ζ(゚、゚#ζ「気のせいじゃない!」


 顔が硬い。
 ああ、くそ。当事者でない、クーとドクオが分かっているくらいだ。
 コイツがいくら馬鹿っぽいからって、分からないワケがない。


ζ(゚、゚*ζ「……私のせい、だね」

ζ( 、 *ζ「私が“雨女”だから、“晴男”のモララーくんに、悪い影響与えてるんだね」


 ――それでも分からないで、いて欲しかったのに。

 

26 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:35:07.69 ID:kw98uIHa0
 
ζ( 、 *ζ「モララーくんの体質、一部にしか効かないけど。でも体質だから、晴れが心地いいのは変わりないんだよね。
       私は“そういうモノ”だから……無理にでも引き寄せちゃうから、モララーくんとは反発しちゃうんだね」

( ・∀・)「そんなもんどうってことないだろ。クーだってドクオとずっと居るって言ってたじゃないか」

ζ(゚ー゚*ζ「クーちゃんとドクオくんは、相性がいいの。
       お互い惹かれる素質だから、一緒にいても平気だし、むしろ調子よくなるくらい」

( ・∀・)「……オレは別に、これくらいで倒れるようなヤワな男じゃねえよ」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

ζ(^ー^*ζ「うん。モララーくんは、強いよ」


 何で、そこで、笑うんだ。

 

27 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:37:02.56 ID:kw98uIHa0
 

ζ( ー *ζ「いっぱい、人と遊べて楽しかった。いっぱい、雨じゃない所いけて、楽しかった」


 やめろ。


ζ( ー *ζ「ありがとう、モララーくん」


 やめろ!


ζ( 、 *ζ「さよなら」


( #・∀・)「――デレっ!!」


 伸ばした手はただ霞を掴み。
 雨の止んだ道端で、オレは一人、佇んでいた。

 やり場のなくなった手を、コートに突っ込む。
 かたん、と。
 ポケットの中身が虚しく音を立てた。

 

29 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:39:03.24 ID:kw98uIHa0
  
 数日。
 デレが来なくなって、すっかり体調は元通りになっていた。
 何も変わらない。
 大学に行って、講義を受けて、サークルに顔出して、たまに遊んで帰る。
 ただの日常生活だ。


( ・∀・)「……」


 空を見上げる。
 ほんのり雲がかかった、晴れ。雨の気配はまるでない。
 左手に提げた傘は、当てもなくぶらぶらと揺れている。
 何も、変わってなど、いない。
 コートのポケットの中身も。


(  ∀ )「……あの、馬鹿」


 オレの心も、何も。変わっていないのだ。

 

30 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:41:02.86 ID:kw98uIHa0
 
('A`)「おい、そこの馬鹿男」

( ・∀・)「何だよひょろひょろ男」


 目の前に、逆さまの貧相な男の顔が現れた。
 くりるりとドクオは回転して、正位置に戻る。


('A`)「口減らねえな、相変わらず」

( ・∀・)「お前が突っかかってくるからだ」

('A`)「ん? この場合、口が減らないんじゃなくて、口が悪ぃって言うべきなのか?
    なぁクー、っていなかった」

( ・∀・)「いないのか? 何でだ」


 クーがオレに会いに来るのは普通だ。
 だがドクオが一人だけでオレに会いに来るなど、今までなかった。そもそも用事がない筈だ。
 

32 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:43:03.53 ID:kw98uIHa0
 
('A`)「そりゃお前さんに伝言しに来たからだよ」

( ・∀・)「伝言? クーから?」

('A`)「そ。俺ならクーより早くお前の場所掴めるし、歩いてくる労力も掛けないで済むからな」

( ・∀・)「何だそれ……こわっ。つーかキモっ」

('A`)「しょうがねえだろ、お前の晴男体質わりと相性よくて分かりやすいんだよ!
    俺だってお前みたいなクソイケメン相手にぐだぐだやってるより早くクーに会いたいクー」

( ・∀・)「うざい」


 思わずチョップをくらわすと、意外にもぺしりといい音がした。
 触感は何か微妙だった。
 

33 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:45:02.22 ID:kw98uIHa0
 
( ・∀・)「……あー、実体あるんだ、お前」

('A`)「つくってんだよ、クーといちゃいちゃする為に」

( ・∀・)「もういい。本当お前らの惚気もういい」

('A`)「そうだな、早いとこクーに会う為にもちゃっちゃと用件すませるか」


 いい加減オレはキレても許されると思う。
 というか、あの氷の女クーがこの奇妙なモノといちゃついて憚らないのが何よりの衝撃だった。
 しかも高校からずっととか。



( ・∀・)「んで?」

('A`)「『デレの居る場所、知りたいか?』」

( ・∀・)「――」


 何で、とか、どうやって、とか。
 そんな言葉すら出なかった。
 ああそうか、オレの居場所が分かるくらいだ、同じような“モノ”なら尚更分かるんだろう。
 妙に平静に、そんなことを想う。
  

36 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:47:09.73 ID:kw98uIHa0
 

('A`)「……重症だな、お前」

( ・∀・)「……そう、みたいだな」


 茶化すでもないドクオの呟きに、短く返した。
 ドクオの身体が薄まって、半透明になる。


('A`)「こっちだ。もたもたしてると置いてくぞ、モララー」

( ・∀・)「ああ」

('A`)「傘、多分役に立たないぜ」

( ・∀・)「傘男だから別に構いやしない」

('A`)「あっそ」

('∀`)「今戻るからなー、クーにゃーん!」

( ・∀・)「ドクオ自重しやがれマジで」

 

37 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:49:02.79 ID:kw98uIHa0
 
 ふわふわ浮かぶドクオを追って約1時間。
 郊外の、だだっ広い草原に、雨がどっさり降っていた。


川 ゚ -゚)「おかえり、ドクオ」

('A`)「ただいま、クー」


 レジャーシートにレインコート、足元はサンダルに、穿いてるズボンは恐らく防水仕様。
 更に肘置きと傘まで完備して、クーは待っていた。


( ・∀・)「何その完全防御態勢」

川 ゚ -゚)「立ってるのは疲れる。座るなら必要なものを用意する。以上」

( ・∀・)「……オレに知らせるだけ知らせて帰るって選択肢なかったワケ? つかケータイ」

川 ゚ -゚)「別にお前はそれで構わないだろうがな。ドクオの為だ」

( ・∀・)「クーもかよ」


 いや、いい。もうつっこむのも疲れてきた。

 それよりも、クーの視線の先に目を向ける。
 今オレ達がいる場所は、小雨が少し強くなったくらいの雨が降っている。だがそのほんの少し離れた場所は、完全に豪雨だった。
 その余波でオレたちの居る場所にも雨が降っている、が正しいのかもしれない。

38 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:51:08.02 ID:kw98uIHa0
 
( ・∀・)「……ずっとあそこに居たのか?」

川 ゚ -゚)「さあ」

('A`)「移動してたみたいだけどな。ここまですげー降ってんのは、多分初めてだ」


 デレと居た時、ここまで酷い豪雨にあったことはない。
 こことそこを仕切る壁のような強さだった。
 オレの晴男体質がデレの力を抑えていたのか。
 それとも。


( ・∀・)「……」


 傘を開く。濡れるのは構わないが、ポケットの中身だけは濡らしたくない。

 

40 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:53:17.73 ID:kw98uIHa0
川 ゚ -゚)「モララー」

( ・∀・)「何?」

川 ゚ -゚)「体調、また崩れるぞ」

( ・∀・)「わざわざ知らせといて、それ言う?」

川 ゚ -゚)「分かってるならいい」


 さて。これはポケットを庇いながら行くべきか。
 いや、カバンに入れてコートの内側に包んで、傘で守るか。


('A`)「あのよ」

( ・∀・)「今度は何だよ」

('A`)「俺たちゃ、どーしても相性ってもんがあるんだ」

( ・∀・)「だから?」

('A`)「草タイプは水タイプに強いとか」

( ・∀・)「何でそこで151匹を例えに出すんだよ」

('A`)「お前らの相性、ぶっちゃけ反発しかしないぜ」

( ・∀・)「だから、今更だっつってんだろ」

41 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:55:11.26 ID:kw98uIHa0
 
川 ゚ -゚)「そうだな。今更みたいだ」

( ・∀・)「もういいか。知らせてくれたのは感謝してる」

川 ゚ -゚)「ここは草原だ。そして木もあるし、沢山の木の実もある」

( ・∀・)「……?」

('A`)「はー、察し悪いな」


 そのわざとらしい欧米人的「やれやれだぜ!」な仕草を止めろ。似合わない。


川 ゚ -゚)「手伝ってやる」

( ・∀・)「は?」

川 ゚ -゚)「何の為にわたしが座ってたと思う。流れをずっと読んでたんだ。ずーっと」

('A`)「そして俺は、その流れに乗せることが出来る」

川 ゚ -゚)「辿り着くまでの、傘代わりにはなるだろう」

( ・∀・)「……お前ら」
 

42 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:57:20.65 ID:kw98uIHa0
 
 ああ。
 そうだ、そうだな。
 そういう奴ら、だった。


( -∀-)「……頼む」


川 ゚ -゚)「ああ」

('A`)「任せとけ」


 クーが地面に手をつく。
 ドクオがそこに手を重ねる。
 ぶわりと草が成長する。


川 ゚ -゚)「ドクオ、もう少し右」

('A`)「おう」


 豪雨の境目に、若木が生える。
 蔦が絡まり、太くなり、豪雨の向こう側へ伸びていく。
 

43 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 22:59:18.59 ID:kw98uIHa0
 
川 ゚ -゚)「そのまま」

('A`)「おっけ」

川 ゚ -゚)「モララー」

( ・∀・)「ああ」


 傘を閉じる。腕に掛けて、豪雨の向こうへ。
 二人の姿を一度、振り返る。


川 ゚ -゚)ノ

('A`)シ


 とっとと行け、だろうな。
 

44 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:00:13.53 ID:kw98uIHa0
 

( -∀-)


 雨は、全てといかないまでも、大部分が防がれていた。
 濡れた草を踏む。


( ・∀・)「……ありがとな」


 小さく、呟く。
 あとは、進むだけだ。
 オレと最も相性の悪い、“雨女”の許へと。

 

45 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:02:15.30 ID:kw98uIHa0
 

( ・∀・)「居た」

ζ( 、 *ζ「……モララー、くん」


 草原のど真ん中。
 雨女は体育座りで俯いていた。


( ・∀・)「こんな来づらい場所に居るなよ」

ζ(゚ー゚*ζ「……これ、ドクオくんとクーちゃんだね」

( ・∀・)「ああ」

ζ(゚ー゚*ζ「さっきから……気配はしてたけど、雨強くなったら諦めてくれるかなって、思ったのに」

( ・∀・)「無駄無駄。クーなんか完全防備だった」

ζ( ー *ζ「……何で、来ちゃったの」


 ポケットにある物を出し、コートを脱いで、傘を広げる。

 

46 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:04:12.90 ID:kw98uIHa0
 
( ・∀・)「馬鹿に見せてやりたいもんがあるからだ」

ζ(゚ー゚*ζ「馬鹿じゃないもん……」

( ・∀・)「いいから早くこれ被れ」


 コートをデレに被せて、傘をその上に置いて、自分も中に入る。


ζ(゚ー゚*ζ「え、な、何?」

( ・∀・)「ほれ」


 ずっとポケットの中にあった小箱を、デレの手に乗せる。
 デレは困ったように、小箱とオレを交互に見た。


( ・∀・)「開けろ」

ζ(゚ー゚*ζ「う、うん」


 恐る恐る、デレが小箱の蓋を開ける。
 金属を弾く音が流れ出す。
 そして――中心でくるりくるりと回るオブジェクトに合わせて、光が反射する。
 

47 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:06:24.30 ID:kw98uIHa0
 
ζ(゚ー゚*ζ「おるごーる……?」

( ・∀・)「ついでに上見てみろ」


 言いながらオレも上を見る。
 雨雲ですっかり暗くなった中、更に傘とコートで遮られた視界。
 光が、ぽつりぽつりと、コートに映っていた。


ζ(゚、゚*ζ「――」


 コートは被っているのだから、当然近い位置にある。
 丸く、そこだけ、オレとデレだけが、雨の中でこの光を見ている。


( ・∀・)「夜空閉じ込めて、近くで、星」

ζ(゚ー゚*ζ「……プラネタリウム」

( ・∀・)=3「ま、お粗末だけどな」

ζ(゚ー゚*ζ「そんなことないよ」


 コートの星が揺れる。
 デレの手が、震えていた。
 

48 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:08:12.33 ID:kw98uIHa0
 

ζ( ー *ζ「そんなことない……凄く……」


 ぽたり、雨がひとしずく。


ζ( ー *ζ「モララーくん」

ζ( ー *ζ「私、モララーくんに何もしてあげられない」

( ・∀・)「……」

ζ( ー *ζ「だからね、もう、これで、いいの。最後まで、ごめんね」

( ・∀・)「あのな」

ζ(゚ー゚*ζ「……?」

( ・∀・)「オレの日常はさ、変わってないんだよ。
      晴れた日でも相変わらず傘男」

ζ(゚ー゚*ζ「ひ、日傘?」

( ・∀・)「ド阿呆」


 人外にチョップ再び。
 ドクオよりは柔らかかった。

49 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:10:06.91 ID:kw98uIHa0
 
ζ(>、<*;ζ「いたっ」

( ・∀・)「お前、もうオレの日常なの」

ζ(゚、゚*ζ「――……」

( ・∀・)「今更変えられる方が体調おかしくなるっつーの」

ζ(゚、゚*ζ「……モララーくん」


 ぽつり。
 外から、雨がひとつ。


( ・∀・)「別に二、三日会えない日があったってそんくらい普通だろ」

ζ( ー *ζ「……で、も」

( ・∀・)「ああもう」


 デレの言葉を遮って、頭を引き寄せる。


( -∀-)「御託はいいから、とっととオレの日常に戻って来い」

 

52 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:12:12.30 ID:kw98uIHa0
 

 ぽたり、ぱたり。
 雨が、コートの上から強く打つ。
 はっきりと、雨を感じる。


ζ( ー *ζ


 ぽつ、ぽと、ぽた。
 シャツが濡れる。


ζ(;ー;*ζ「――うん……っ」


 そうしてオレは、ようやく日常を取り戻した。

 

53 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:14:04.30 ID:kw98uIHa0
 

 ぱらぱらと、晴れた空から雨が降る。弾くような光に、雫が輝く。
 天気雨。
 それでもオレたちを隔てていた豪雨のカーテンは、綺麗さっぱり消えていた。
 クーとドクオの作ってくれた木の道が、まるで某ジブリの成長した樹の跡みたいでちょっと笑えた。


川 ゚ -゚)「雨の後は蒸すな。……これ結構な量だな、どう持って帰るか」

('A`)「俺も幾つか持ってくぜ」

川 ゚ -゚)「知らん人が見たら空中浮遊だからな……モララーに持たせよう」

('A`)「だな」

( ・∀・)「なに勝手なこと言ってんだ」

川 ゚ -゚)「おや、おかえり」
 

54 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:15:07.40 ID:kw98uIHa0
 
('A`)「おう、無事だったか。このむっつりに変なことされてねーか?」

( ・∀・)「お前はオレの何を知ってるんだよ」

('A`)「高校二年のクラス替えの時、後ろの席でエロ本談義してる奴らの話にこっそり聞き耳立ててた」

( ・∀・)そ「だあああ!?」

('A`)「あと、好みはやや慎ましい胸とくびれt」

( ;・∀・)そ「わあああああああふざけんなお前ええええええええ!!」


 そうだコイツ、高校の時からクーと居るんだった!
 つまりオレがクーと居た時のことは全部バレて、ああああああああ嘘だろ!?


ζ(゚ー゚*ζ「つつましい、むね……?」

川 ゚ -゚)「聞かんでいい」

( ;・∀・)「おま、おまっ、ほんと、このっ」

('∀`)「はん」


 殴りたい、この笑顔。
 マジで!!
 

55 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:17:04.10 ID:kw98uIHa0
 
川 ゚ -゚)「それにしても、随分疲れた」

('A`)「そりゃしょうがねえよ。体質なんだから、意識して使うのは難しいんだ」

川 ゚ -゚)「ならドクオも疲れたろう?」

('A`)「俺は流れを乗せるだけだから、そうでもねえ。お疲れ、クー」

川 ゚ -゚)「ん」

川 -(  )


ζ(゚ー゚*ζ「わ」

( ・∀・)「お前らさぁ……公衆の面前でキスすんなよ……」

川 ゚ -゚)「どこに“衆”が居る?」

('A`)「つーか“公”でもねーし」

( ・∀・)「……あー」


 なるほど、ね。
 デレはいまいち分かってないようで、首を傾げていた。
 クーとドクオはレジャーシートを畳み、荷物を片づけていく。
 

56 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:19:08.52 ID:kw98uIHa0
 
ζ(゚ー゚*ζ「ね、モララーくん。意識して体質使えるようになったの?」

( ・∀・)「? いや、全然。何にも」

ζ(゚ー゚*ζ「でも、モララーくんの体質って行事とかにしか効かないから、雨止んだのって」

( ・∀・)、「そりゃあ、な」


 つい、言いよどむ。
 正直な所、恥ずかしいセリフはもっと吐いていた筈なのだが、こう、改めて面と向かうと。


( ・∀-)∂「まあ、オレにとって重要なイベントだったってことだろうよ」

ζ(゚ー゚*ζ

ζ(^ー^*ζ「そっかぁ」


 ああ、こっぱずかしい。
 日光に照らされた雨女の笑顔は、とても眩しかった。

 

58 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:21:11.36 ID:kw98uIHa0
 

 更に後日。


( ・∀・)「……は?」

('A`)「だーかーら、相性いいんだよ俺らとお前ら」

( ・∀・)「いやお前ベストパートナーとかほざいてただろ?」

('A`)+「勿論俺のベストパートナーはクーだ」

ζ(゚ー゚*ζ「……あっ! そっか!」

( ・∀・)「え、何?」

ζ(゚ー゚*ζ「あの、あのね、二人は植物でしょ? それで私達は晴れと雨!」

川 ゚ -゚)「そういうことだな」


 ちょっと待て。整理させろ。
 二人は植物に関連する“引き寄せ”を持ってて、オレは“晴れ”でデレが“雨”――
 

60 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:23:09.59 ID:kw98uIHa0
 
( ・∀・)「……つまり、お前ら一人一人だとオレとの相性は別にどうってことないけど、
      組み合わせると上手く回るってことか?」

川 ゚ -゚)「そうらしいな。実際、デレと会ってから、ドクオの調子はいいしわたしの調子も悪くない」

( ・∀・)「じゃオレが体調崩したのは」

('A`)「二人っきりで会ってりゃ反発するだけだからな」

川 ゚ -゚)「デートしてたんだろう?」

( ・∀・)「」

ζ(゚ー゚*ζ「えっと、モララーくんに色んなこと教えてもらったし、色んな所連れて行ってもらったよ」

川 ゚ -゚)「色んなこと教えた」

('A`)「色んな所連れてった」

( ・∀・)「おい待てわざと曲解するな」

川 ゚ -゚)「つまり、だ」


 一呼吸置いて、クーは続けた。

 

61 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:25:03.83 ID:kw98uIHa0
 
川 ゚ -゚)「わたし達といれば、負担は減らせる」

('A`)「で、ふつーに会わない日も作っとけば、管理も出来る」

( ・∀・)「……それで、どこに“公衆”がいる発言か」

川 ゚ -゚)「一蓮托生。調子がよくなるのなら、構わない」

ζ(゚ー゚*ζ「……私、モララーくんに悪い影響与えなくてすむんだね」

川 ゚ -゚)「ああ」

ζ(゚ー゚*ζ「……ありがとう……ドクオくん、クーちゃん」

川 ゚ -゚)「気にするな」

('A`)「そうそう。元はと言えば、体調崩すくらい会いまくってたコイツが悪い」

( ・∀・)「もうお前黙れ」
 

62 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:27:02.67 ID:kw98uIHa0
 

 世の中はおかしな風に出来ている。
 ああ、まったく。
 昔馴染みがこんなバカップルだったことも、それがよく分からない“モノ”だったことも、ほんと馬鹿馬鹿しい。

 “晴男”のオレは、それでも傘男を続けていくんだろう。
 “雨女”のデレは、これから雨でも晴れでも、きっと笑っているんだろう。

 いつか限界がくるのかもしれない。
 いつか、いつか。
 それでも、そのいつかまで。
 気の済むまで。


( ・∀・) ζ(゚ー゚*ζ


 オレ達は、一緒にいる。



(了)
 

65 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします:2014/09/13(土) 23:29:08.78 ID:kw98uIHa0
これは某所に投下したものを手直ししたものです
お題はプラネタリウム、豪雨カーテン

支援ありがとうございました!
またどこかで

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