mesimarja
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(-_-)が流れ星を見つけるようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:12:23.26 ID:pzGlbQmCO


神さま…

神さまお願いします
流れ星を降らせてください
たくさんの流れ星を降らせてください

いい子になるから
学校にも行くから

お願い、流れ星をたくさん降らせてください
僕のミィにもう一度会わせて…





3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:13:38.65 ID:pzGlbQmCO

(;-_-)「はぁ…はぁ…」

息が苦しい。酸素を吸い込んでも吸い込んでもまだ足りない。
喉がひっつきそうだ。
体が悲鳴を上げている。
僕は空を見上げた。
口の中に広がる苦い味。
それでも僕は走る。

(;-_-)「神さま……!」

精一杯、喉の奥からしぼり出した声は嗄れていて老人のようだった。



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:14:32.46 ID:pzGlbQmCO

昨日、ミィが死んだ。

ミィは僕が生まれた次の次の年にやってきた猫だ。ミィミィ鳴くから、ミィ。
体は真っ黒で鼻先と足が白くて、靴下をはいているみたいだった。

ミィは僕の友達で兄弟で家族だった。

嫌なことがあっても、ミィをギュッと抱きしめるとそれだけで全部良くなった。


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:15:04.91 ID:pzGlbQmCO

テストで悪い点を取っても、
お母さんに怒られても、
学校で友達に無視されても、
お父さんが家にあまり帰ってこなくなっても、
お母さんが僕に怒鳴り散らすようになっても、
学校に僕の居場所がなくなっても、
酔っ払ったお父さんが僕を殴っても、
それを見たお母さんが何も言わなくても、
先生が僕を助けてくれなくても……

ミィだけは僕に優しかった。


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:15:51.02 ID:pzGlbQmCO

もうミィミィとは鳴かない、大人になっても代わりにゴロゴロと喉を鳴らしてすり寄ってきた。
ご飯がなくてお腹を空かせていたらスズメをくれた。
……さすがに食べられなかったけど。
僕が悲しくて、どうしようもない時、ミィは僕のそばにずっといた。
お父さんに殴られた場所が痛かった時、ミィは僕の指を舐めた。
僕は笑った。
一人ぼっちの僕でもミィがいると安心できた。

でも、ミィは死んだ。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:17:44.08 ID:pzGlbQmCO

ミィは冷たく、固くなって、僕の知らない場所へ行ってしまった。

お父さんが、あんな汚い猫いなくなって良かっただろ?と笑いながら言った。
僕は笑った。
泣きながら笑った。
お父さんはそんな僕を見て、気持ち悪いと殴った。

僕は殴られながら、ミィはこんな気持ちだったんだろうかと思った。
僕もいつかミィみたいに冷たく、固くなるんだろうかと思った。
そしてその日がくるのはは遠くないと思った。


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:18:26.35 ID:pzGlbQmCO

(-_-)「ミィ…」

真っ暗な部屋の中で僕はミィを探した。
ミィの臭いがする。ミィの足音が聞こえる。
でもミィは見えなかった。
ミィはいるのにいなくなってしまった。

僕は一人ぼっちだ。
決して広くないこの部屋に、僕は本当に一人ぼっちで取り残されてしまった。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:19:05.32 ID:pzGlbQmCO

その夜僕はダンボールを抱えて、少し離れた河原へ行った。
ミィのおもちゃを持って。
ミィの毛布を持って。
ミィの食器を持って。
ミィが好きだったもの、全部を持って出かけた。

みんな燃やした。

僕はそれを全部全部燃やしてしまった。
赤く揺らめく炎が僕の顔を撫でようとした。
いたずらに僕を引きずり込もうと、炎はゆらゆら動いていた。
僕はそれをジッと見つめた。
どす黒い煙が空まで昇っていって、夜空に溶けていくまでずっと見ていた。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:20:40.19 ID:pzGlbQmCO

家についた頃には、空は仄かに明るくなっていた。
僕はできるだけ静かに部屋に戻った。
ミィのいない部屋。
そんなの僕がいる所じゃない。

(-_-)「……もうここにはいられない」

ポツリと呟いた言葉がじわじわと現実味を帯びていった。
ここには、いられない。
僕はありったけのお金と少ない食料を適当にリュックに詰めて家を出た。
もしかすると、ここは大分前から僕の家じゃなかったのかもしれない。
だって僕にはここに戻ってくる意味もない。

(-_-)「バイバイ」

お母さんだった人、お父さんだった人。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:21:21.52 ID:pzGlbQmCO

家を出る準備をしていた時から、ぼんやりと頭にあった目的地。
朝焼けの太陽に目を細めながら、僕はそこに行くことを決めた。
VIP山。
僕の住む街から結構離れた場所にある山だ。

きっとあそこなら流れ星が見えるかもしれない。

僕は適当な方向を目指し歩き始めた。
目的地は小さくだけど見えている。迷うことはないだろう。


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:22:26.63 ID:pzGlbQmCO
(;-_-)「………」

一時間後、僕の足が言うことを聞かなくなってしまった。
考えてみれば僕は運動なんてほとんどしたことがないんだ。
むしろ一時間とは言え、歩き続けられた方が奇跡だ。

(;-_-)「どうしよう…」

体にぐったりとのしかかってくる疲労感。
それを振り払う元気もない。
しかし一番困ったことは、僕のいる場所だった。

(;-_-)「こんな山道…誰も通らないよなぁ」

整備されているだけまだ望みはあるかもしれない。ただ、さっきから車が全くと言っていいほど通らなかった。
考えてみればこんな朝っぱらから、この道を通る物好きはいないだろう。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:23:05.42 ID:pzGlbQmCO

ピーピーとどこかで鳥が鳴いている。
ああ全く。僕の気持ちも知らないでのん気なものだ。

(-_-)「こんなんじゃミィにもバカにされるな…」

道端の石に腰掛けたまま、体力が回復するのを待った。
いい天気、気持ちいい風。
ミィと来たかったな……ああ…
なんか……眠…い………

ミィ…待っててね……


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:31:26.72 ID:pzGlbQmCO

「―――お!―大丈――!」

何だろう…なんか…聞こえる。
もう少し寝かせてほしい。
昨日から寝てないんだ…。

(;^ω^)「君!大丈夫かお!」
(;-_-)「っわあ!」

突然の大声にびっくりして飛び起きた。
ここは…いや、この人は誰だ?

(;^ω^)「お!意識あり!人工呼吸は必要なしと見たお!」
(;-_-)「え?は?」

混乱する僕。目の前でもっと混乱する人。
一体何がどうなってるんだ?


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:35:30.95 ID:pzGlbQmCO
(;^ω^)「君大丈夫かお?具合でも悪いのかお?気分は?頭は?お腹は?」
(;-_-)「え、ええ、ええっとあの」

矢継ぎ早に質問してくる目の前の人。
僕は寝起きの頭をなんとか回転させてみる。

えっと、えっと、どうしよう。
こんなときなんて言ったらいいか分からな―――

(;-_-)グウゥ

(;^ω^)「ほ」
(;-_-)「あ」

ξ゚⊿゚)ξ「サンドイッチならあるわよ」

近くに止められた車の中から女の人が顔をのぞかせ、だるそうにそう言った。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:40:00.63 ID:pzGlbQmCO
(-_-)「ごちそうさまでした」
( ^ω^)「もうお腹いっぱいかお?もっと食べても大丈夫だお?」
(-_-)「あ、もうだいぶいただきましたから…」

あの後、何となく僕のお腹の音で落ち着いて、
なんのご縁かVIP山の途中まで車で送っていってくれることになった。

( ^ω^)「それにしても驚いたおー」
(-_-)「あ、すみません」
ξ゚⊿゚)ξ「いいのよ、ヒッキーくん」

ブーンが勝手に勘違いしたんだから、とツンさんは言った。


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:43:34.97 ID:pzGlbQmCO
ブーンさんとツンさんは大学生だった。
今日は「自主休講」という休みらしい。
ツンさんは

ξ゚⊿゚)ξ「こんな大学生になっちゃダメよ」

と言っていたけど、僕は自主休講の意味が分からなくて曖昧にうなずいた。
ブーンさんはちょっと舌を出して笑っていた。

二人とも、僕が中学生なのに学校を休んであんな所に倒れて
(……本当は寝ていたんだけど)
いた理由を聞かなかった。
何となく居心地のよい二人だった。


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:46:57.04 ID:pzGlbQmCO
( ^ω^)「それにしても…」

ブーンさんは運転席からバックミラーで僕の顔を覗いた。

( ^ω^)「そんな格好でVIP山まで行こうなんて無謀だおww」

確かに。
車でもそこそこかかるというのに僕の格好はまるで遠足だ。
まあ簡単な準備しかしていなかったから…

僕は何も言わずにうなずいておいた。
流れ星を見に行く、と言ったら二人は笑うだろうか。


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:50:37.45 ID:pzGlbQmCO

( ^ω^)「何か訳でもあるのかお?」
(-_-)「……」

僕は膝の上に置いた両手を握りしめた。

言ってみようか。
やめようか。

二つの感情がぐるぐると頭を回って、僕は変に緊張してしまった。

(-_-)「猫の、流れ星の話って…聞いたことありますか?」

僕が話すか話さないか、考えているうちに勝手に口が動いていた。

( ^ω^)「うーん…聞いたことないお」

ツンさんは黙って首を振った。

(-_-)「小学生のときに読んだ本の話です…」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 21:56:09.81 ID:pzGlbQmCO

 あるところにとても愛らしい猫がいました。
 目はまんまるで毛並みはビロードのよう。
 可愛い口でみゃあと鳴くのです。
 みんなその猫が大好きでした。
 しかし、あるひねくれ者はその猫が嫌いでした。
 みんなに愛される猫が、憎くて憎くてたまらなかったのです。

 ある日猫は殺されてしまいました。

 あんなにも可愛かった猫はぼろ雑巾のようになり、醜く腐っていきました。
 みんなは嘆き悲しみました。

 それを天界で見ていた天使が猫に魔法をかけました。
 死んでしまった猫を、またみんなが愛するように。
 またみんなを幸せにするように。
 魔法をかけられた猫は流れ星になって夜空を駆けていきました。
 猫は永遠に美しい存在になったのです。
  おわり

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:00:42.87 ID:pzGlbQmCO

(-_-)「…っていう話なんですけど」

車内は静かだった。誰かが鼻をすする音がした。
ツンさんかな、と思って顔を上げるとミラーにブーンさんの泣き顔が映っていた。

( ;ω;)「…おっ…おお…」

ブーンさん、と声をかけようとした瞬間車が揺らいだ。

(;-_-)「ひ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!あんた!ハンドル!」

ブーンさんがハンドルから両手を離し、顔を拭っている。

ミィ、もう少しでそっちに行くことになりそうだ――

ある意味、冗談じゃなく、そう思った。


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:07:24.31 ID:pzGlbQmCO

(#)ω`)「面目ねぇ…」
(;-_-)「いえ…大丈夫ですから」

あの後泣きじゃくるブーンさんを我に返らせたのは、ツンさんのビンタだった。
ものすごい音がした。
僕はブーンさんのほっぺたが破裂したんじゃないかと本気で思ったぐらいだった。

ツンさんは、ブーンさんが車を脇に止めた瞬間すごい剣幕で怒った。

ξ#゚⊿゚)ξ「あんたいい加減にしなさいよ!」
(#);ω;)「おうっ…おうっ」

ブーンさんはオットセイみたいな嗚咽を上げながら、
ツンさんの説教(とパンチ)を受けている。
僕はツンさんを止められるわけもなく、後部座席でガタガタと震えていた。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:12:03.61 ID:pzGlbQmCO
( ´ω`)「すまないお…」
ξ#゚⊿゚)ξ「本当によ!ヒッキーくんも殴っていいわよ」
(;-_-)「あ、や、僕はみんな無事だったんで…もう…」

ツンさんからのお仕置きが終わり、しおしおにしなびたブーンさん。
ツンさんはまだ怒っているみたいだけど、
とりあえず手が出ることはもうなさそうだ。

( ´ω`)「…ブーンも」
(-_-)「?」
( ´ω`)「ブーンもにゃんこさんを飼ってたから悲しくなったんだお…」

そう言って携帯を見せてくれた。
ふにふにと膨らんだ猫がだるそうな顔でこっちを見ていた。


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:17:52.19 ID:pzGlbQmCO
僕らが黙っているとツンさんが唐突に言った。

ξ゚⊿゚)ξ「行くわよ」
( ´ω`)「…お?」
ξ゚⊿゚)ξ「だからVIP山に行くって言ってんのよ!」
(-_-)「え…」

僕とブーンさんが驚いた顔でツンさんを見ると、ツンさんは真っ赤な顔をしていた。

ξ////)ξ「だから流れ星を見に行くんでしょ!早く車出しなさいよ!」

照れ隠しだろうか。
ツンさんのキックがブーンさんにクリティカルヒットした。


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:22:19.04 ID:pzGlbQmCO
( ^ω^)「~♪」

ブーンさんは急に元気を取り戻し、スイスイと車を走らせた。
窓の外の景色が流れていく。

(-_-)「あの…ブーンさん、ツンさん」
( ^ω^)「んー?」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
(-_-)「僕…あの…」

嬉しくて。
すごく嬉しくて。
二人にすごく感謝をしていて。

ξ゚⊿゚)ξ「……VIP山なら」
(-_-)「?」
ξ゚ー゚)ξ「きっと見えるわよ、流れ星」

ツンさんはそう言ってちょっとだけ笑った。
ドキドキするぐらい美人だった。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:23:15.28 ID:pzGlbQmCO
だんだんと暗くなる空。近づくVIP山。

( ^ω^)「もうそろそろだお」
ξ゚⊿゚)ξ「確か途中までは車で登れる道があったわね」

そこからは徒歩だけど、とツンさんは付け加えた。
気づけば僕は緊張していた。指先が冷たいような気がした。

( ^ω^)「入り口あったお」

グンッと体が浮き上がるような感覚と、車体が一、二度大きく左右に揺れた。

( ^ω^)「ここからはちょっと揺れるかもしれないお」
(-_-)「はい」

カツンコツンと車体に小石が当たる音がした。


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:24:07.82 ID:pzGlbQmCO

しばらく車を走らせて、ブーンさんは車を止めた。
どうやらここから歩きになるみたいだ。山の中は真っ暗で、フクロウみたいな鳴き声が聞こえてくる。

(;^ω^)「真っ暗だお…」
(;-_-)「怖い…」
ξ゚⊿゚)ξ「一応散策路というか…階段みたいなのはあるのね」

怖がる僕らをしり目にツンさんはずんずん進んでいく。
女の人ってすごいなぁと僕が漏らすと、全くだおとブーンさんが笑った。

ξ゚⊿゚)ξ「行くわよ」

僕らは慌ててツンさんの後を追った。


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:25:08.22 ID:pzGlbQmCO
一応階段があるとはいえ、やっぱり山道は山道だ。
僕はへばりそうになりながら必死に登った。

ミィ。
もうすぐ。もうすぐだから、ミィ。

ブーンさんもツンさんも僕もただ、黙々と登っている。
真っ暗な道は足元がよく見えないから、みんな俯いて登る。
そもそも喋る余裕なんて僕にはない。

(;-_-)「っはぁ…」

ふと顔を上げると、月が見えた。

(;-_-)「あ…」

そして、月を覆い隠そうとする雲も。


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:26:40.11 ID:pzGlbQmCO
僕は走り出した。

雲が!雲が流れ星を隠してしまう!

後ろからブーンさんとツンさんの声が聞こえた気がした。
危ないと叫んでいるようだった。

そうだ、早くしないとミィが見えなくなってしまうんだ。急げ。急げ。急げ!

(;-_-)「もっと早く!」

自分自身に叫びながら僕は不安定な斜面を走っていく。
木の枝がほっぺたを引っ掻いた。石が僕をつまづかせた。
転んで顔を思い切りぶつけた。苦い土の味がした。
それでも僕は起き上がって走った。


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:27:26.72 ID:pzGlbQmCO
足がガクガクしているのを僕は分かっていた。

僕の居場所なんかないことも分かっていた。

ミィ、ミィごめんね。
分かってたんだ、分かってたよ!
お父さんがミィのことを殺したことを分かってた!分かってたのに!

(;-_-)「…はぁ…ミ、ミィ…!」

僕は何もできない子どもだ。ただの中学生だ。
お母さんにもお父さんにも友達にも先生にも嫌われた人間だ。
それも全部分かっていた。

(;-_-)「は…は、…ひぃ…」

喉から漏れるのは情けない空気だった。


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:28:29.70 ID:pzGlbQmCO

とうとう走ることができなくなって、僕は地面に倒れた。
また顔を地面に打ちつけた。手のひらがジンジンと痛む。
体中が痛かった。

ミィ…ミィごめんね…

ミィはもっと痛かっただろうに、僕はこれっぽっちで倒れてしまうんだ。
はがゆくて悔しくて涙が滲んだ。

起きろよ
起きろよバカ!
バカ!ミィが待ってる!
ミィが僕のことを待ってるんだ!

(;^ω^)「ヒッキー!!」


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:29:52.42 ID:pzGlbQmCO
ブーンさんがものすごい力で僕の腕を掴んで立ち上がらせた。
僕はびっくりして目をぱちくりとしてしまった。

(;^ω^)「はぁ…はぁ…」
ξ;゚⊿゚)ξ「ヒッキーくん!」

少し遅れてツンさんが走ってきた。
二人とも泥がはねて、ブーンさんは僕と同じに傷だらけだ。

ξ;゚⊿゚)ξ「ああ、ひどい怪我してる!大丈夫!?」
(;-_-)「あ…ああ…はい…」

膝が震えてうまく立てない。だけどしゃがみ込むこともできない。
ブーンさんが僕の腕を掴んだままだから。



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:31:45.83 ID:pzGlbQmCO
(;^ω^)「ヒッキー…はぁ…」
(;-_-)「ブ、ブーンさん、はぁ…ぼ、僕…はぁ」

(;^ω^)「行くお、早く」

僕はうなずいて走り出した。
どこにそんな力が残っているのか分からなかった。
めまいがして地面を踏んでいる感覚がなかった。
それでも走った。
ブーンさんが行けって、言ってくれたから。
泥だらけの腕で、僕を立ち上がらせてくれたから。

(;-_-)「ミィ!もうちょっ…ゴホッ!もう…ちょっとだから!」

口の中が土の味と泥の味しかしなくて、ミィはもしかしてこんな気持ちだったのかなと思った。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:34:04.14 ID:pzGlbQmCO
ξ#゚⊿゚)ξ「ブーン!」
(;^ω^)「何だお…はぁ…」
ξ#゚⊿゚)ξ「どうしてヒッキーくんを行かせたのよ!あんなに傷だらけで!」
ξ#゚⊿゚)ξ「あんなに…泥だらけ…で…」
ξ ⊿ )ξ「なのに…なのに!」

ξ;⊿;)ξ「何でよ!」

肩を震わせてツンが泣いている。
人一倍優しいツンだ。
だからこそ僕はツンより先に追いつかなくてはいけなかった。

( ^ω^)「ヒッキーが望んでたんだお」
ξ;⊿;)ξ「だからって…」
( ^ω^)「ツン」

( ^ω^)「僕らは見守ってあげるんだお、ヒッキーがやりたいようにやらせてあげるんだお」

それが僕なりの優しさだお。
そうだお?ヒッキー。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:34:53.24 ID:pzGlbQmCO
頂上についたとき、開けた視界に僕は鳥肌がたった。

(;-_-)「すごい…」

僕の住む街が見える。その奥まで見える。
みんなイルミネーションみたいにちっぽけで、きらきらと光ってる。
ああ、流れ星みたいだ。

(;-_-)「!」

そうだ!空は!

(;-_-)「……あ」


嘘、だ。



月が隠された夜空。濃い夜色の雲が月を見えなくしていた。


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:35:35.61 ID:pzGlbQmCO
体中の力が抜けた。呆然と空を見上げる僕。
ミィ。

(;-_-)「ミィ…」

神さま、神さまお願いします。
ミィに会わせて。

(;-_-)「神さま!お願い!僕の一生で最後のお願い!お願いだから流れ星を降らせて!!」

地面をえぐる爪に土が食い込む。目に見えない塊がぐりぐりと僕の喉を押し潰す。
悔しい。悔しい悔しい悔しい。
どうして僕は…僕が…何をしたっていうんだ!ミィに会わせてくれ!
ミィに、ミィに…

(;_;)「うわああああああああああああ」


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:38:55.23 ID:pzGlbQmCO

僕がつらいとき。悲しいとき。
泣きたいとき。泣けないとき。

どんなときでもミィはそばにいた。
そばにいてくれた。

喉を撫でるとゴロゴロ鳴いた。
寒い日は僕の布団に入ってきた。
一緒にあくびをして、お揃いだって笑った。

ミィ。
僕はミィにたくさんもらったものがあるんだよ。
ミィ。
もう一回だけ…


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:39:28.30 ID:pzGlbQmCO
どれくらいそうしていただろう。
肩に何かが触れた。

(-_-)「…あ…」
( ^ω^)「ヒッキー」

ブーンさん。
そう言おうとしたけど泣き叫んだせいで声がすごくかすれていた。

(-_-)「…がれ…し……見えな…て…」
( ^ω^)「ヒッキー、これ飲むお」

ブーンさんは僕に水筒を渡した。蓋を取って中身をそそぐと温かそうな湯気がたった。

( ^ω^)「ツン特製のミルクティーだお」
(-_-)「…おいしい…」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:40:09.65 ID:pzGlbQmCO
僕はただ黙ってミルクティーを飲んだ。ブーンさんも黙っていた。

(-_-)「ブーンさん…僕、流れ星見れませんでした。曇ってるんです。空が、曇ってるんです。僕は神さまにお願いしてみました」
(-_-)「神さまなんて普段信じてないのに、必死にお願いしたんです。流れ星を降らせてくださいって」
(-_-)「でも、信じる者は救われなかった」

ミィに僕は会えなかった。

僕の視界がまたゆがんだ。ぐちゃぐちゃになっていくミルクティー。
涙がポタリと落ちた。

( ^ω^)「待つお」
(-_-)「……え?」
( ^ω^)「晴れるまで待つお。まだ夜は明けてないんだお」


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:42:01.94 ID:pzGlbQmCO
めちゃくちゃに騒ぎ立てる僕をブーンさんは止めなかった。
ただ一緒に空を見上げていた。

たった一つの光。

途方もない奇跡が、確かにそこにあった。

僕はいつの間にか泣いていた。嬉しくて悲しくて泣いていた。
泣きながらミィの名前を呼んだ。

ありがとう、ミィ。ブーンさん。ツンさん。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:42:27.85 ID:pzGlbQmCO
(-_-)「ぐすっ…はぁ…」
( ^ω^)「もういいのかお?」
(-_-)「はい、ありがとうございました」
( ^ω^)「おっおっwwwブーンは何もしてないおww」

さあそろそろ行こう、ツンが車で待ってるお。ブーンさんがそう言って僕の肩を叩いた。

(-_-)「はい!」
( ^ω^)「じゃあ乗るお」
(-_-)「え?乗る?」
( ^ω^)「おんぶ、して行くお。その足じゃ下りられないお」

ブーンさんが指差した僕の足。膝がすりむけて泥と血でぐちゃぐちゃになっていた。

(-_-)「……あ…」

僕はそれを確認すると、

(;^ω^)「ヒッキー!?」

気絶した。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:44:48.81 ID:pzGlbQmCO
なんか暖かい。ふわふわしてる。
僕の足に噛みついてる。
ミィ?
いたずらしないでよ、僕疲れてるんだ。
ちょっとだけ眠らせて…ちょっと……。

(-_-)「ん…」
( ^ω^)「気がついたかお?」
(-_-)「はれ…ブーンさん…」
ξ゚⊿゚)ξ「目を覚まさないんじゃないかと思ったわ」
(-_-)「ツンさん…ここは…?」
( ^ω^)「僕んちだお」
ξ゚⊿゚)ξ「ヒッキーくん気絶しちゃったし、傷の手当てもしたかったからブーンの家に運んだのよ」
(-_-)「え…あ、痛っ!」

傷、と聞いた瞬間足が痛くなった。そっか、夢の中でミィが噛んでたと錯覚してたのはこのせいか。


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:46:13.37 ID:pzGlbQmCO
(;^ω^)「大丈夫かお?」
(-_-)「あ、大丈夫です!すみません、何から何まで…」
ξ゚ー゚)ξ「馬鹿ねー。子どもがそんなこと気にしなくていいのよww」

ツンさんが笑った。やっぱり笑うととても美人だった。
二人が心配そうな、でも安心した眼差しをする。
すごく心地いい。
だけど、

(-_-)「あの……」



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:51:54.93 ID:pzGlbQmCO

だけどもう、行かなくちゃ。

ブーンさんが送っていくと言ってくれたけど、
家まで近かったし二人にこれ以上迷惑をかけたくないから断った。
代わりに、家についたら連絡をすると約束した。
二人にはたくさんたくさんお礼を言いたい。たくさんたくさん恩返しをしたい。

(-_-)「ありがとうございました」

僕は痛む足を引きずり、夜明けの道を歩き出した。
頬を撫でる風が冷たく、気持ちいい。

僕はリュックから一通の封筒を取り出し、引き裂いた。
僕にはもう、必要ないから。
そうだよね?ミィ。

(-_-)「次に会うのは、僕がおじいちゃんになってからだ」

僕は家に向かって歩き出した。後ろからミィ、と鳴き声が聞こえた気がしたけど振り返らなかった。

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/28(月) 22:56:11.60 ID:pzGlbQmCO
以上でおわりです

書き溜めていた文章が途中だけ消えるというハプニングが起きました
呆然としました

でもとにかく最後までやれて良かったです
オナニー小説に付き合ってくれてありがとうございました

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