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| (´∀【+ 】ゞ゚)∋゚)友達がいないようです |
- 1 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:11:22.01 ID:FVOz5oBx0
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このスレッドは VIPを見守る
∧_∧ノノノノ (´∀( ゚∋゚) ( つ⌒\/ ( / /ゞ゚) クックル製薬 (_) /) ( \/ヽ \ ) ) /// `ヾ ヽミ
の 提供で お送りします
- 3 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:13:53.49 ID:FVOz5oBx0
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飛行機のエコノミー席に、しょぼくれた男が座っていた。 男は新聞を広げ、ぶつぶつと独り言を言っている。
('A`)「連続爆弾魔、今度は都内のビルを爆破……か。怖い世の中になったな。 しかもまだ捕まってないのかよ。警察の意味ねえじゃねえか」
「あの、すみません」
('A`)「はい?」
- 8 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:15:34.01 ID:FVOz5oBx0
-
(;´ー`)「もう少し静かにして頂けますか?」
(;'A`)「ああ……すんません」
声をかけてきたのは若い青年だった。 青い顔をしていて、何やら気分が悪そうだ。
('A`)「顔色悪いけど、大丈夫?」
(;´ー`)「あ……はい。実は飛行機は苦手で……」
彼らの乗っている飛行機は、現在上空1万メートルを飛行している。
- 11 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:17:55.93 ID:FVOz5oBx0
-
('A`)「ふうん。でも大丈夫だよ。 俺はもう十回くらい飛行機乗ってるけど、事故した事は一度も無いから」
(;´ー`)「飛行機事故の確率自体は少ないでしょうね。 会社によって割合は違いますが、平均して0.0009%ですから」
('A`)「詳しいね」
(;´ー`)「これでもパイロットを目指しているので……」
それなのに飛行機が怖いなんて、と男は心の中で笑う。
(;´ー`)「東京には、仕事で行くんですか?」
恐怖を紛らわしたいのか、青年は話を続けた。
- 12 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:19:15.57 ID:FVOz5oBx0
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('A`)「いや、今まで地方に出張しててさ。 これから家に帰るところなんだよ」
(;´ー`)「結婚されてますよね?」
男の左手につけられたリングに気がついたらしい。
(*'A`)「そうなんだよ。これが美人の嫁さんでさあ」
(;´ー`)「へえ。子供は?」
(*'A`)「いるよ。今年で小学一年生になったんだ。 可愛いんだよこれが。ちっちゃくてふにふにで」
- 13 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:20:50.37 ID:FVOz5oBx0
-
男は心の底から楽しそうに語る。 家族をかなり溺愛しているようだ。
(;´ー`)「出張が終わって良かったですね」
(*'A`)「しかも今日は結婚記念日なんだ」
(;´ー`)「ほう……それはそれは」
(*'A`)「俺の出張終わり祝いもかねて、パーティを開いてくれるらしいんだ。 あー早く帰りたい。今の俺は誰にも止められないね!」
- 14 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:22:42.68 ID:FVOz5oBx0
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――(#'A`)ドクオは家に帰るようです
- 15 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:24:57.68 ID:FVOz5oBx0
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Act1:飛行機
- 18 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:27:18.75 ID:FVOz5oBx0
-
飛行機は、速い。 雑談をしている間に、関東圏内に入っていた。
( ´ー`)「当たり前かもしれませんが、事故が起こらなくて良かったです」
('A`)「着陸失敗したりして」
(;´ー`)「お、驚かさない下さいよ」
('∀`)「はははははは」
ハハ ロ -ロ)ハ「Freez(動くな)!」
( ´ー`)「え」
('A`)「へ?」
- 19 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:29:06.94 ID:FVOz5oBx0
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ハハ ロ -ロ)ハ「I Nottotta this plain!(この飛行機は乗っ取った!)。 Nobody can move!(動いた奴は殺す!)」
( ´ー゚)
(゚A゚)
メガネをかけた金髪の女が、拳銃を振り回し叫んでいた。 乗客は震え上がり、誰も動けない。
ハハ ロ -ロ)ハ「HAHAHA hare-hare yukai……」
- 22 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:31:14.40 ID:FVOz5oBx0
-
女はコクピットの方へ歩いていった。
(;´ー`)「ああ何てことだ……。 ハイジャックされる確率はかなり低いはずなのに……」
(゚A゚)
(;´ー`)「ちょ、ちょっと! 気絶してる場合じゃないですよ!」
(;'A`)「ちゃんと意識はあるよ。ちくしょう……東京は目の前なのに……」
何とか無事に東京に着いてくれ。 男の願いも空しく、間もなく流れてきた機内放送が、乗客を絶望の淵に落とす。
- 23 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:33:44.96 ID:FVOz5oBx0
-
『乗客の皆さんにお知らせがあります』
(;'A`)「?」
(;´ー`)「なんでしょうね……」
『ただいま、モナー機長が失禁して気絶しています。 乗客の皆様の中に、大型旅客機の操縦を出来る方はおりませんか?』
('A`)「い……」
(゚A゚)「いるか――――――!!!」
- 25 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:35:59.72 ID:FVOz5oBx0
-
機内がむせび泣く声で満ちる。
「もう駄目だ」「儚い人生だった」「死にたくない」。 泣き声に混じって、そんな呟きが周りから聞こえてきた。
(゚A゚)「ちくしょう……ちくしょう……もう終わりなのか……」
('A`)「ん?」
(;´ー`)「……」
(;'A`)「お前……パイロットを目指してるんだろ!? 操縦できるんじゃねえのか!?」
乗客たちの視線が青年に集中する。
- 26 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:37:50.44 ID:FVOz5oBx0
-
(;´ー`)「……無理ですよ」
(;'A`)「なに?」
(;´ー`)「僕はシミュレーションでしか運転したことが無いんです。 そんな僕がいきなり大型旅客機なんて、無理に決まってます」
('A`)「……うるせえ」
(;´ー`)「え?」
ドン、と一発、男は壁を叩いた。 目を丸くしている青年に、男は怒鳴りつける。
- 27 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:40:04.51 ID:FVOz5oBx0
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(#'A`)「俺は家に帰るんだよ! こんなところで死んでたまるか!」
(;´ー`)「ひぃ!」
(#'A`)「さあ行くぞ!」
席から青年を引きずり降ろし、コクピットへ引っ張っていった。
~ コクピット ~
(#'A`)「パイロット連れてきたぞ!」
ミセ*゚ー゚)リ「ほんと!? へーいるとは思わなかった」
そこにいた、ぱっと見小娘に見えるアテンダントが答える。 すぐそばに、ズボンを濡らして気絶している機長の姿もあった。
- 30 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:41:51.44 ID:FVOz5oBx0
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ハハ ロ -ロ)ハ「Be quick(早く操縦しろ)!」
ミセ*゚-゚)リ「あ、そうそう。ちょっと言いにくいんだけど……」
('A`)「どうした?」
ミセ;゚ー゚)リ「この外人さん、国会議事堂に飛行機を突っ込ませるつもりなんだって」
(゚A゚)「はああ!?」
(;´ー`)「ど、ど、ど、どうして!?」
ミセ*゚-゚)リ「日本は外人を差別する国だから、思い知らせてやる!って……」
- 31 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:44:00.62 ID:FVOz5oBx0
-
('A`)「意味が全く……」
ハハ ロ -ロ)ハ「What(ん)?」
(#'A`)「わかんねえんだよ!」
男の怒りがこもった鉄拳が、ハイジャック犯に振り下ろされる。
ハハ;ロ -ロ)ハ「Outi(っぱねえ)!」
鈍い音と共に、あっけなくKOされてしまった。 床に大の字に倒れて、そのまま気絶する。
その時足下に拳銃が転がってきたので、男はひとまず懐に隠した。 ハイジャック犯が目を覚ました時、取られないようにする為だ。
- 33 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:46:04.25 ID:FVOz5oBx0
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('A`)「よし、後は着陸するだけだ」
ミセ*゚ー゚)リ「すっごーい! どこの国のエージェントですかぁ?」
(#'A`)「ジャパンのサラリーマンだボケ!」
(;´ー`)「あ、あの……やっぱり無理です」
(#'A`)「ああ!?」
(;´ー`)「……」
(;'A`)「……くそ」
死に神が首に鎌をあてる。 そんなイメージが、男の脳裏によぎった。
- 34 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:47:38.66 ID:FVOz5oBx0
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(;'A`)「……」
――パパ見て! テストで百点取ったよ!
('A`)「……!」
――ははは、お前は頭がいいなあ
――ママも見てよー!
――うむ。見ている
――いや、褒めてよママ……
- 35 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:49:20.58 ID:FVOz5oBx0
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('A`)「……帰るんだ。俺は、家に帰るんだ」
彼の帰りを待つ家族の姿が、死に神を滅する。 彼は帰らなくてはいけないのだ。 世界で一番大切な、家族の為に。
('A`)「俺が操縦する」
ミセ;゚ー゚)リ「はい?」
(;´ー`)「な、何を言って……」
(#'A`)「うるせえ! てめえは指くわえてそこで見てろ!」
二人が唖然としている中、男は操縦席に座った。
- 38 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:51:15.45 ID:FVOz5oBx0
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ミセ*゚-゚)リ「操縦出来るんですか?」
('A`)「飛行機でGOならやりこんだ」
ミセ;゚ー゚)リ「ひいいいいい!」
ザザザ――。 スピーカーから雑音が聞こえる。
管制塔『こちら管制塔。モナー機長、着陸出来そうですか?』
('A`)「おれはモナー機長じゃない」
管制塔『?』
('A`)「鬱田ドクオ。サラリーマンだ」
しばし沈黙が流れる。
- 40 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:53:14.24 ID:FVOz5oBx0
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管制塔『えっと、モナー機長は?』
('A`)「寝てる」
管制塔『は、はい?』
(#'A`)「ごちゃごちゃうるせえ! 細かいこと気にすんな! 今から着陸するから、やり方教えろ!」
管制塔『な、何なんですかあんた……』
(#'A`)「早くしろ。じゃねえとお前の会社の評判が地に墜ちるぞ」
(;´ー`)「本気でやるつもりなんですか!?」
(#'A`)「当たり前だ! 俺はまだ死ねないんだよ!」
- 42 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:54:48.99 ID:FVOz5oBx0
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管制塔『……わかりました』
('A`)「よし」
ドクオは管制塔からの指示に従って、システムを着陸モードに切り替えた。
管制塔『後は操縦桿で操作するだけです』
('A`)「タイミングは?」
管制塔『……勘』
('A`)「……やるしかねーか」
(;´ー`)「……」
ミセ;゚-゚)リ「……」
- 43 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:57:03.32 ID:FVOz5oBx0
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飛行機が傾き、高度が急激に下がってきた。 雲から抜けると、はるか下方に街並みが見えた。
(;'A`)「よし……いける。俺はいける……」
(;´ー`)「……無('A`)「無理なんてほざきやがったら殺すからな」
青年は言葉が出なくなる。
('A`)「いいか。絶対に成功する。俺が保証してやるよ」
ミセ;゚-゚)リ「な、なんでそんな自信満々なんですか? 素人の癖に……」
('A`)「俺がこんなところで死ぬ訳ねえんだよ」
- 46 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 18:59:03.31 ID:FVOz5oBx0
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飛行場が見えてきた。 ドクオは操縦桿を握りしめる。
('A`)「……死ねないんだよ」
汗で滑らないように、何度も握り直す。
('A`)「家族がいるからな」
(;´ー`)「……」
(;´ー`)「僕が代わります」
('A`)「あ?」
- 47 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:00:50.83 ID:FVOz5oBx0
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( ´ー`)「僕にだって、家族がいる。それに、夢がある。 貴方のそれと同じくらい、大切なものがあるんです」
('A`)「……」
ドクオはじっと青年を睨み付けた。 青年は怯むことなく、真っ直ぐ見返してくる。
その目には、覚悟が宿っていた。
('A`)「よし、やってみろ」
( ´ー`)「はい!」
- 49 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:02:22.33 ID:FVOz5oBx0
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ドクオが席を立ち、入れ替わりに若者が座った。 シートベルトを装着し、どっしりと席に構える。
まだ一度も運転したことが無い、若者はそう言っていた。 しかしいざ席に座ると、ドクオと違い様になっていた。
(;´ー`)「反動が来ると思います。客室に避難しておいてください」
('A`)「いや、ここにいる」
ミセ;゚-゚)リ「わ、私も……」
( ´ー`)「……ありがとう」
- 51 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:03:40.08 ID:FVOz5oBx0
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眼前に、飛行場に広がるアスファルトが、ゆっくりと迫ってくる。 若者はレーダーの動きを見ながら、操縦桿を徐々に倒していった。
(;´ー`)「あ……」
(;'A`)「どうした?」
(;´ー`)「……車輪って、どうやって出すんでしたっけ?」
(゚A゚)「しるかあ――――――!!!!!」
もう時間が無かった。 しかし手有り次第ボタンを押すのは危険すぎる。
- 52 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:04:55.52 ID:FVOz5oBx0
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ハハ ロ -ロ)ハ「Where is here...Who am I...(ここは何処? 私は誰?)」
その時、気絶していたテロリストが起き上がってきた。 ふらふらと立ち上がり、ぼんやりとした目で辺りを見回している。
(;'A`)「ん?」
ハハ ロ -ロ)ハ「……!」
ドクオの顔を見た途端、テロリストは奇声を上げながらつかみかかってきた。 気絶する前の記憶が一気に蘇ってきたらしい。
ハハ#ロ -ロ)ハ「Fuck! Kill you!(てめえこの野郎!)」
- 53 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:06:50.97 ID:FVOz5oBx0
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(;'A`)「うわ!」
押し倒された拍子に、何かのボタンを押してしまった。 しまった、とドクオは思ったが、若者は逆に歓声を上げた。
( ´ー`)「やりました! 車輪が出ましたよ!」
('A`)「よし、いけるか!」
若者は返事をする代わりに、親指を立てた。
(;´ー`)「……」
(;'A`)セ;゚-゚)リ「……」
ハハ;ロ -ロ)ハ「……」
- 55 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:08:22.41 ID:FVOz5oBx0
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地面はすぐそこに迫っている。
ガガン――!
重い衝撃が機内に響く。 着地したようだ。
ハハ;ロ -ロ)ハ「Outi!(またかよ!)」
着地の衝撃でテロリストは頭をぶつけ、二度目の失神。 ドクオたちは祈るように、若者の背中を見つめている。
飛行機は徐々にスピードを落としていき、やがて止まった。
- 57 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:09:26.32 ID:FVOz5oBx0
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( *´ー`)「やった……やったぞー! おおおおお!」
(*'A`)「いやっほぅ! お前最高のパイロットだぜ!」
ミセ*゚ー゚)リ「キャーキャー! 助かっちゃった助かっちゃった!」
ドアの向こう側からも、大勢の乗客たちの歓声が聞こえてきた。 若者は涙を流しながら、両手を振り上げてそれに応えた。
: : : : : : : : : :
- 59 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:10:38.18 ID:FVOz5oBx0
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タラップから下りると、大勢の警官たちが集まっていた。 モナー機長が予め管制塔に伝えていたようだ。
乗客と入れ替わりに中に入り込む。 やがてぐったりとしたハイジャック犯が、胴上げのような格好で運び出されてきた。
(;´ー`)「ドクオさん!」
('A`)「あん?」
どさくさに紛れて逃げようとしていたドクオを、若者が引き留める。
( ´ー`)「これから警察署に行かなきゃいけないみたいですよ。 一人一人取り調べがあるんですって」
('A`)「俺パス」
- 60 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:11:48.55 ID:FVOz5oBx0
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(;´ー`)「え?」
('A`)「今日は用事あるから、また後日出向くよ。 お前から伝えておいて。じゃあな」
後ろ手に手を振りながら、ドクオは去っていく。
( ´ー`)「……不思議な人だったなあ」
ミセ*゚ー゚)リ「ええ」
(;´ー`)「うわっ! いつの間に……」
ミセ*゚ー゚)リ「貴方も良かったわね。いい勉強になったでしょ?」
- 63 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:13:20.77 ID:FVOz5oBx0
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( ´ー`)「うーん……どうだろう」
ミセ*゚-゚)リ「え?」
( ´ー`)「でもたぶん、もう飛行機が怖いなんて思わないだろうね」
この若者の名前はシラネ。 後に名パイロットとして名を馳せる事になる者だ。
ミセ*゚ー゚)リ「そうね。これ以上怖い事なんてないもの」
アテンダントの名前はミセリ。 彼女はその後も、結婚するまでこの仕事を続けた。
- 65 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:15:24.60 ID:FVOz5oBx0
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彼女が誰と結婚したか。
( ´ー`)「あの……取り調べが終わったら……」
ミセ*゚ー゚)リ「ぱーっと飲みに行きましょ!」
( ´ー`)「はい!」
それは、ご想像にお任せしよう。
Act1 『出会いは上空1万メートル』 完
- 67 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:17:00.39 ID:FVOz5oBx0
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空港は大混乱に陥っていた。 警官が忙しなく走り回り、事情を知らない者たちは訳がわからず立ち往生している。
荷物チェックをかねたゲートには、大行列が出来ていた。
(;'A`)「……並んでる暇なんてねえんだよ」
一刻も早く家に帰りたい。 妻を抱きしめ、娘の頭を撫でなければいけない。
彼の頭にあるのはそれだけだった。
('A`)(仕方ねえ)
ゲートを諦め、空港関係者しか入れない部屋にそっと潜りこんだ。 警備員は対応に追われていて、セキュリティはざるである。
- 70 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:18:19.26 ID:FVOz5oBx0
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そのまま適当に廊下をさまよい、数分後空港のロビーへと抜け出ることが出来た。 その際受付の女性と目があったが、ドクオがあまりにも堂々としていたので、逆に怪しまれなかった。
空港前のタクシーを拾い、一直線に家を目指す。
(*'A`)「帰れる……あと一時間もしない内に家に帰れるんだ。 長かった……この三ヶ月は長かった」
運転手「お客さん、出張帰り?」
(*'A`)「あれーわかる?」
運転手「まあ……何となく」
- 72 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:19:36.52 ID:FVOz5oBx0
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べらべらと家族自慢を始めるドクオに、運転手は苦笑しながらも相づちを打つ。 およそ30分くらい経った頃だろうか。
異変は起こった。
キキキキ――!
(;'A`)「うわっ! な、な、なんだ!?」
運転手は急ブレーキをかけ、ドクオは前のめりにつんのめった。 後部座席のドアが開かれ、がっちりとした体格の男の、胸から下が現れる。
運転手「あんた危ないじゃないか! 急に前に出てきて……」
「乗せてもらうぞ」
男は持っていた紙袋から、銀色の銃を取りだした。
- 75 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:21:31.18 ID:FVOz5oBx0
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運転手「ひいいいいいい!」
「あ、おい!」
運転手は銃を見るなり、ドクオを置いて一目散に逃げ出していった。
「まあいい。お前が運転しろ」
(゚A゚)「ひぃ!」
銃をつきつけられるドクオ。 男は銃を向けたまま、車に乗り込んでくる。
(メ`ωメ)「早くしろ。死にたくなければな」
- 77 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:22:07.77 ID:FVOz5oBx0
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Act2:チェイス
- 81 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:24:23.67 ID:FVOz5oBx0
-
(;゚A゚)「な、な、な……!?」
遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。
(メ`ωメ)(早すぎる。奴が動いているということか……)
(メ`ωメ)「おい。早く運転席に行け」
(;'A`)「ぐ……嫌だね!」
(メ`ωメ)「あ?」
(;'A`)「俺は家に帰るんだ! よくわかんねえけど、運転は自分でしろ!」
(メ`ωメ)「おい!」
銃をつきつけられているにも関わらず、ドクオは強気だった。 男が乗り込んできた方とは反対側のドアから降りる。
- 82 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:25:43.97 ID:FVOz5oBx0
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キキキキ――キキ――!!!
(;'A`)「うお!」
タクシーの後方で、数台のパトカーがタイヤを滑らしながら停車した。 警官たちと共に、コートを羽織った女が現れる。
ξ゚⊿゚)ξ「おい。お前もブーンの仲間か」
(;'A`)「へ?」
(メ`ωメ)「……」
('A`)ティン!
('A`)(そうか、こいつはブーンっていうのか……)
ドクオは両手を上げて、抵抗はしないという構えを見せた。 誤解を解かなくてはいけない。
+ + ∩(*'A`)∩「違いまーす! 僕は善良な市民でーす!」 +
- 83 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:27:29.85 ID:FVOz5oBx0
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ゴトン
ξ゚⊿゚)ξ「あ」
(*'A`)「え?」
(メ`ωメ)「ん?」
その時、ドクオの懐から、拳銃がこぼれ落ちた。
(゚A゚)「ええええええ!? あ……ああああ――――!!!」
ξ#゚⊿゚)ξ「捕まえろ!」
(;゚A゚)「そんな馬鹿な!」
- 88 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:28:49.68 ID:FVOz5oBx0
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鬱田ドクオ(36)、拳銃所持で逮捕。 そんな新聞の見出しが見えた気がした。
(;'A`)「ま、待って、違うんだ! 俺はこいつとは無関係だ!」
(メ`ωメ)「おいおい。つれないこと言うなよ兄弟」
(#'A`)「テメーといつ兄弟の誓いを結んだ!?」
警察の包囲網が徐々に迫ってくる。 頭が真っ白になり、ドクオは一歩も動けなくなった。
(゚A゚)「ああ……もう終わりだ……」
(゚A゚)「――?」
- 90 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:30:13.82 ID:FVOz5oBx0
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――あのね、パパ
――なんだ?
――わたし、大きくなったらパパのお嫁さんになる!
――おーそうかそうか! 楽しみにしてるからな!
――駄目だ! これはママのものだからな!
――わたしのだもん!
――ようやく俺のモテ期が来た……感無量だ
(;'A`)「……!」
それは夢か、幻か、走馬燈か。 いずれにしても、妙にはっきりと見えた。
- 92 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:31:55.84 ID:FVOz5oBx0
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ξ;゚⊿゚)ξ「あ……!」
ドクオは開けはなったドアから、運転席に飛び込んだ。
ξ;゚⊿゚)ξ「逃げるぞ! 囲め!」
(;'A`)「ちくしょう! 俺は家に帰らなきゃいけないのに!」
砂煙を巻き起こしながら、車体が飛び出していく。 すぐにクラッチ、ギアをセカンドに、スピードを上げていった。
(メ`ωメ)「いいぞ! 飛ばせ!」
(゚A゚)「おおおお――――!!!」
- 96 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:33:29.53 ID:FVOz5oBx0
-
トップギアに入れたまま、ドクオたちは街の中を疾走し始めた。
『止まりなさい!!! 止まれこらぁ!!!!!』
(メ`ωメ)「ちっ」
けたたましいサイレンの音と共に、パトカーが後ろから追ってくる。
(メ`ωメ)「やばいな。投降するか?」
(#'A`)「しねえ!」
(メ`ωメ)「それでこそ俺の兄弟だ」
(#'A`)「だから俺は兄弟じゃねえ!」
- 98 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:35:01.21 ID:FVOz5oBx0
-
パトカーはどんどん距離を詰めてくる。 それでもドクオは走り続けた。
(メ`ωメ)「……もう終わりだな」
(#'A`)「ああ!?」
(メ`ωメ)「俺もヤキが回ったもんだ……」
(;'A`)「く……」
弱音を吐くブーンに、ドクオは怒りを覚える。
(#'A`)「……何ほざいてんだよ」
(メ`ωメ)「あ?」
- 101 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:36:36.99 ID:FVOz5oBx0
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(#'A`)「悪者だったら最後まで悪者でいろよ!」
(メ`ωメ)「てめえ俺に向かってそんな口……」
(#゚A゚)「うるせえボケぇぇ! 途中で諦めるなら最初から悪い事すんじゃねえ! やっちまったもんは仕方ねえんだ! だったら地の果てまで逃げてみろやあああ!」
ガン!
パトカーの鼻先がタクシーを小突く。 数も増えて、今や十台以上のパトカーがぞろぞろと後ろに続いていた。
(メ`ωメ)「俺も出来ればそうしたいところだが、これは流石に無理だ」
(#'A`)「無理じゃねえ!」
(メ`ωメ)「根拠は?」
(#'A`)「ねえよ! でもなあ……」
交差点にさしかかった。 赤信号だったが、ドクオはそのまま突っ込んでいく。
- 105 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:38:11.25 ID:FVOz5oBx0
-
(#'A`)「人間やろうと思えば、何だって出来るんだよ!」
(メ`ωメ)「!」
ギアチェンジ、そして強めのブレーキ。 ハンドルを切ると、テールスライドによって、車が横を向いた。 横滑りしながら、かつ車の波を縫うようにして走っていく。
(メ`ωメ)「グッド」
車の後方から衝撃音がした。 ミラーで確認すると、パトカーと乗用車が玉突き事故を起こしていた。
(;'A`)「はあ……はあ……」
ギアを戻し、再びトップスピードで突っ切っていく。 サイレンの音が、徐々に小さくなっていった。
- 108 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:40:06.05 ID:FVOz5oBx0
-
: : : : : : : : : :
ドクオが車を止めたのは、人里離れた山の中だった。 二人は車の外に出て、追っ手がいないことを確認するとほっとため息をついた。
(メ`ωメ)「凄いなお前」
(;゚A゚)「死ぬかと思ったぜ」
(メ`ωメ)「お前何者だ? どっかの国のエージェントじゃないのか?」
(#'A`)「ジャパンのサラリーマンだよ!」
ブーンはタバコを取りだし、火をつけた。 上手そうに紫煙をはき出すと、持っていた紙袋をドクオに差し出した。
('A`)「何だよ。銃ならいらねえぞ」
- 111 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:41:16.52 ID:FVOz5oBx0
-
(メ`ωメ)「銃じゃない」
('A`)「?」
渡された紙袋を覗くと、中には札束がつまっていた。 数えなくても、かなりの額が入っていることは一目瞭然である。
(゚A゚)「お前これ……」
(メ`ωメ)「駄賃だ。お前にやるよ」
(;'A`)「え、ちょ……」
(メ`ωメ)「じゃあな。また会えるといいな、兄弟」
(;'A`)「だから兄弟じゃないと何度言えば……」
- 113 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:43:48.35 ID:FVOz5oBx0
-
ブーンは薄く笑いながら、車に乗り込んでいった。 エンジン音を響かせながら、ゆっくりと遠ざかっていく。
('A`)「はあ……さて」
(;'A`)「って俺どうやって帰ればいいんだ!?」
(;゚A゚)「てか何処なんだよここは――!?」
「札束より車よこせ――!」ドクオの叫びが山々にこだました。
Act2 『この男、凶悪犯につき』 完
- 117 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:46:04.50 ID:FVOz5oBx0
-
山の中、ドクオはあてもなくさまよっていた。
(;'A`)「ちくしょう……このままじゃ時間に遅れちまう。 連絡しようにも携帯は圏外だし……あの野郎」
もし今度会ったら、顔面に一発お見舞いしてやる、とドクオは誓う。
('A`)「にしても……」
(*'A`)「これ、いくらあるのかな?」
手に持った紙袋を下ろし、中の札束を数え始めた。
('A`)「ひいふうみ……1000万以上あるな。こんな大金見たことねえや。 まあどうせ汚い金だ。あとで警察に渡そう」
- 118 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:47:43.78 ID:FVOz5oBx0
-
札束を数えるのをやめ、再び歩き出そうとしたその時だった。
「助けてええええええええ!!!!!」
(;'A`)「えぁ!?」
聞こえたのは、天に響き渡る大絶叫。
そして、木々の向こう側から、何かがやってくるのが見えた。
(;-@∀@)「ひいいいいいいい!!!」
(;'A`)「うわっ! なんだぁ!?」
(;-@∀@)「た、たすっ、助けて下さあああぁぁぁい!!!!!」
- 119 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:48:40.83 ID:FVOz5oBx0
-
Act3:鬼ごっこ
- 122 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:50:49.34 ID:FVOz5oBx0
-
現れたのは、ドクオに負けず劣らずしょぼくれた男だった。
よれよれのシャツに、汚れたメガネ、ボサボサの頭。 浮浪者一歩手前のような風貌をしている。
(;-@∀@)「はわわわわわ……」
('A`)「何があったんだ。クマでも出たか?」
(;-@∀@)「もっと恐ろしいものです!」
男は後ろを指さし、ぶるぶると震えている。
数秒後、ガサガサと茂みが震え、そのクマよりも恐ろしいものが姿を現した。 鋭い目つき、隠しきれていない入れ墨、体の傷、サングラス、派手なシャツ。
それはそれはテンプレートな、その筋の人たちであった。
- 124 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:52:37.84 ID:FVOz5oBx0
-
ヤクザ「誰だてめえ」
(;'A`)「へ?」
ヤクザ「人いるじゃん。だからバラすの夜になってからにしようって言ったんだよ」
ヤクザ「あ……やべ。携帯つながんねーや」
ヤクザ「こいつも殺します?」
ヤクザ「ちょっと待てよ。ジョルジュさんがまだ来てない」
(゚A゚)(え……? 何これ……)
男たちは、殺すという言葉を平然と使った。 それは脅しでも何でもなく、殺しが日常的になっている者たちの会話であった。
- 127 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:54:17.68 ID:FVOz5oBx0
-
(;-@∀@)「たたた、助けて下さい……」
(;゚A゚)「な、な、何でだよ……俺知らないよ……」
ヤクザ「うるせえぞ。黙れ」
(;'A`);-@∀@)「はひぃっ!」
ドクオとメガネの男は、地面に正座させられた。 周りを囲まれ、逃げ道を塞がれる。
ヤクザ「お、きたきた」
数分後、縦にも横にもでかい大男が現れた。 どうやら彼らのボスらしい。
- 128 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:56:10.59 ID:FVOz5oBx0
- _
( ゚∀゚)「……お前、誰?」
(;'A`)「あ……僕はただのサラリーマンでして……」 _ ( ゚∀゚)「何でここにいるの?」
(;'A`)「えっと……自分でもよくわからないというか……その……」 _ ( ゚∀゚)「他に連れは?」
(;'A`)「……いないです」
ヤクザ「一応辺りを見てみたけど、誰もいませんでした」 _ ( ゚∀゚)「そうなんだ」
_ ( ゚∀゚)「じゃあこいつも殺そう」
- 129 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 19:58:35.75 ID:FVOz5oBx0
-
(゚A゚)「ひぃぃぃぃ! そんな!」
(;'A`)「あ……そうだ」
ドクオは持っていた紙袋を広げて、中の札束を見せた。
ヤクザ「おお、すげえ」
(;'A`)「おおっお、お金ならあります! それにこの男とは全くの無関係であって僕は殺される筋合いなんか全く……」
(;-@∀@)「そんな薄情な!」
(;'A`)「うるせえ!」 _ ( ゚∀゚)「お金あげるから逃がしてくれって?」
(;'A`)「……」
- 132 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:00:04.42 ID:FVOz5oBx0
- _
( ゚∀゚)「別にいいよ。殺して奪うから」
(゚A゚)(話になんねえ――――!!!)
ジョルジュはコートの中に手を入れた。 同時に周りのヤクザたちもエモノを構え始める。
ドクオはそれがスローモーションに見えた。
(゚A゚)(駄目だ……今度こそ死ぬ……)
(゚A゚)(……死ぬ?)
思い描いていた未来が、音を立てて崩れ始める。
- 134 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:01:57.29 ID:FVOz5oBx0
-
セーラー服を着た娘。 校門の前、笑顔でピース。
初めての彼氏。 嫉妬する自分。
大学生になり、娘は一人暮らしを始める。 娘のいなくなった家が、妙に広く、静かに感じる。
結婚式、娘の晴れ着。 スピーチで涙を流す自分。
出産、孫が生まれる。 育児に悩む娘を優しく諭す。
老後は孫の成長を暖かく見守る。 娘は正月や盆には必ず会いに来てくれる。
そしていつも、隣には妻がいる。 ベッドの中で、自分の心臓が止まるまで、彼女は傍にいる――。
- 135 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:03:31.23 ID:FVOz5oBx0
-
('A`)「……帰るんだ」
ヤクザ「あ?」
ヤクザ「何だって?」
('A`)「家に帰るんだ。俺は」
ヤクザ「いや、もう無理だから」
ヤクザ「もうすぐ土に還るんだし」
ヤクザ「あ、それうまくね?」 _ ( ゚∀゚)「……」
(;-@∀@)「……」
銃口がドクオたちに向けられる。
- 137 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:04:57.68 ID:FVOz5oBx0
-
すると突然、ドクオはあさっての方向を指さして叫んだ。
('A`)「あ! 希志あいのだ!」
ヤクザ「マジで?」
('A`)「今だ、逃げるぞ!」
(;-@∀@)「は、はい!」
一瞬の隙をつき、ドクオは男の手を取って走り出す。
ヤクザ「やべ。逃げられた」
ヤクザ「ばーか」
ヤクザ「好きなの?」
ヤクザ「俺ファンなんですよ」 _ ( ゚∀゚)「……追え」
- 140 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:07:05.95 ID:FVOz5oBx0
-
(;'A`)「はあ……はあ……」
(;-@∀@)「ひい……ひい……」
ヤクザ「おーい待てよー」
ヤクザ「もう殺さないからさー話し合おうぜー」
(;'A`)「ちくしょう! もっと早く走れよ!」
(;-@∀@)「ぼ……僕はっ……今までずっと……走ってたっ……から……」
(;'A`)「追いつかれるぞ!」
(;-@∀@)「ひぃ……! ひぃ……! も、もう駄目だ……もう走れない……!」
(;'A`)「ちっ……!」
- 143 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:08:37.89 ID:FVOz5oBx0
-
地面にへたれこむ男。 ドクオは足を止めざるを得なかった。
(;'A`)「立て! 走るんだ! 殺されるぞ!」
(;-@∀@)「はぁ……はぁ……僕の事は構わず……」
(;'A`)「馬鹿野郎! 見捨てておけるか!」
(;-@∀@)(さっき思いっきり見捨てたじゃないか……)
(;-@∀@)「それに……生き延びても仕方ないよ。 どうせこの先生きてても……良いこと無いだろうし……」
(#'A`)「何だと……」
(;-@∀@)「……」
- 145 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:10:31.51 ID:FVOz5oBx0
-
(#'A`)「……お前最低だな。もう駄目? 生きてても仕方ない? お前みたいな奴は一杯見てきたけど、お前は特に最低だな」
(;-@∀@)「……そうさ。僕は最底辺の人間だよ。3浪して入った大学を1年で中退。 ようやく入れた会社ではお荷物扱い。仕事も雑用ばっかり。 お見合いも全部失敗。親も見放した。僕は最低さ。クズなんだよ……」
(#'A`)「……」
(;-@∀@)「さあ、早く行きなよ。君だけなら逃げられるかも」
(#'A`)「俺に指図すんじゃねえよ」
ドクオは男の首根っこを捕まえ、無理矢理立たせた。
(;-@∀@)「やめろよ! 何すんだよ!」
- 147 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:12:12.51 ID:FVOz5oBx0
-
(#'A`)「てめえ見てるとイライラすんだよ!」
('A`)「……昔の俺を見てるみたいでな」
(;-@∀@)「え……」
('A`)「俺だってそうだった。4流大学を出て、糞みたいな会社で働いてた。 毎日朝がくるのが怖かった。寝てる間に死んでたらいいな、なんて考えてた。 でもな! 俺は変わった。大切なものが出来たから、俺は変われたんだ」
(-@∀@)「大切な……もの」
ヤクザ「あ、いたいた。おーいこっちにいたぞー」
(#'A`)「いいか! 人は変われる! 最底辺なんだから後は上がるだけだ! 上がってみせろ! お前なら出来る! 俺が出来たんだからな!」
- 148 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:13:49.62 ID:FVOz5oBx0
-
(-@∀@)「……まだ、間に合うのかな」
ヤクザ「おい。動くなよ」
('A`)「間に合うさ。手遅れなんてねえ」
(-@∀@)「……」
ヤクザ「手間かけさせやがって……」
(-@∀@)「あ、紅音ほたるだ!」
ヤクザ「マジかよ!」
(;'A`)「ナイス!」
(#-@∀@)「うおおおおおおお!」
- 151 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:15:49.79 ID:FVOz5oBx0
-
男はそっぽを向いていたヤクザに体当たりをぶちかました。 穴が出来た包囲網を飛び出し、二人は再び走り出す。
ヤクザ「いってぇ……また引っかかった」
頭を抱えるヤクザの後ろに、いつの間にかジョルジュがいた。 手にサイレンサーをつけた拳銃を持って。
_ ( ゚∀゚)「あのさ、悪いけどお前クビ」
ヤクザ「え?」
ヤクザの眉間に、銃の照準が合わせられる。 発砲音はほとんどしなかった。
その代わり発射と共に、眉間に穴が空き、後頭部から血と肉片が飛び散る。 地面に倒れた男は、数秒間手足を痙攣させていたが、すぐに動かなくなった。
- 153 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:17:35.04 ID:FVOz5oBx0
-
ヤクザ「あーらら」
ヤクザ「AVの見過ぎっすね」 _ ( ゚∀゚)「行くぞ」
ヤクザ「はい」
(;'A`)「はあ……! はあ……!」
(;-@∀@)「ふう……! ふう……!」
(;'A`)「……?」
遠くから、木々の間を抜けて妙な音が聞こえてきた。 最初に気が付いた時は、川のせせらぎのような微かな音だった。 しかし音が近くなると共に、地響きのような激しい音になってくる。
- 156 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:19:43.94 ID:FVOz5oBx0
-
(;'A`)「!」
眩しい光に一瞬目がくらむ。 林を抜けて、開けた場所に出たのだ。
(;'A`)「う」
(;-@∀@)「……しまった」
そこは切り立った崖に囲まれていた。 水しぶきを立てて、豪快に水を吐き捨てる滝がすぐ傍に見える。
地響きのような音はこの滝が出していたのだ。
ヤクザ「みーっけ」
ヤクザ「だから言ったじゃん。行き止まりって」
- 159 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:21:22.96 ID:FVOz5oBx0
-
林の奥から、目を光らせた人型の獣たちが下りてくる。 ドクオたちは諦めたように、ただ棒立ちで滝壺を見下ろしていた。
(;'A`)「……」
(;-@∀@)「……!」
ドクオは何かを確認するように、男をじっと睨んだ。 男は一度だけこくりと頷いた。
彼らは、諦めてはいなかったのだ。
ヤクザ「銃ある?」
ヤクザ「俺持ってません」
ヤクザ「あー持ってる持ってる。俺がやるよ」
- 160 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:23:11.00 ID:FVOz5oBx0
-
('A`)「お前、名前は?」
(-@∀@)「……あさぴー。君は?」
('A`)「ドクオだ。お前が死んだら、墓くらいは作ってやるよ」
(-@∀@)「ありがと」
ヤクザ「ねー何喋ってんの?」
('A`)「……ただの世間話だ」
ヤクザ「ああそう。じゃあ……」
ドクオたちは同時に踵を返し、前に飛び出した。 後ろから怒声が聞こえたが、二人が振り返る事は無かった。
地面が途切れ、体が宙を舞う。
あさぴーはボサボサの髪を振り乱しながら、ドクオに笑いかけた。 ドクオはかっこつけて笑い返そうとしたが、上手く笑うことが出来なかった。
- 162 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:24:25.39 ID:FVOz5oBx0
-
ヤクザ「うわ、すげえ」
ヤクザ「やりやがったよあいつら」
_ ( ゚∀゚)「どうした」
ヤクザ「いや、あいつら飛び降りたんすよ。ここから」 _ ( ゚∀゚)「……」
ヤクザ「死んだでしょうね。早く回収に行きましょう」 _ ( ゚∀゚)「……本当に、死んだのかな」
ヤクザ「え?」
- 164 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:25:51.46 ID:FVOz5oBx0
- _
( ゚∀゚)「あさぴーは知らんが、あの男は生きてるかもしれない。 ああいう目をする奴は、中々しぶといんだよ」
「はあ……」ヤクザが気の入ってない返事をする。
ヤクザ「もし生きてたら、どうするんですか?」 _ ( ゚∀゚)「もちろん始末する」
ヤクザ「やっぱり」
理性と狂気を併せ持つ、獣たちの目が光る。 狩りは、まだ始まったばかりだった。
Act3 『ジョルジュ一家、始動』 完
- 167 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:27:39.17 ID:FVOz5oBx0
-
全身をずぶ濡れにした二人が、とぼとぼと山道を下っていた。 空は薄暗く、もうすぐ日が落ちそうである。
(;-@∀@)「携帯、繋がります? 僕はまだ圏外なんですけど……」
(;'A`)「いや……ていうか携帯壊したみたいだ。画面が映らない」
(;-@∀@)「はぁ……」
壊れた携帯をポケットに戻すと、ドクオは手に持っている紙袋に目をやった。 命を賭けた紐無しバンジーで、頭は完全に混乱していたのに、手放してはいなかったのだ。
自分のせこさを感じ、ドクオは自嘲する。
- 169 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:28:46.57 ID:FVOz5oBx0
-
(*'A`)「お……おお! 橋だ!」
(-@∀@)「車も通ってますね!」
遠くに真っ赤な鉄橋が見えた。 ちらほらと車が行き交う姿も見受けられる。 遭難を回避出来た嬉しさで、疲労も忘れて二人は走り出した。
: : : : : : : : : :
- 171 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:30:30.13 ID:FVOz5oBx0
-
道標の青い看板に従い、二人は鉄橋を渡っていた。 看板によるとこの道を20キロ進めば、街に出られるとの事だった。 二人は車が通る度に、手を挙げてヒッチハイクを試みたが、誰も捕まらなかった。
ずぶ濡れで薄汚い二人は、今や浮浪者と見分けがつかない。 それも山の中というのが、二人の不気味さをさらに後押ししていた。
(-@∀@)「ん、あそこに人がいませんか?」
('A`)「何処?」
あさぴーが指さした先を見ても、誰もいないように見えた。 しかし必ずいると言い張るあさぴーを信じ、目を凝らしてみる。
すると、髪の長い、女性らしき人影がぼんやりと浮かんできた。
- 175 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:31:51.00 ID:FVOz5oBx0
-
(;-@∀@)「ほら……あそこのちょっと窪んでるところ……ああああ!!!」
(;'A`)「おおおおお!?」
その人影は、橋の手すりに足を引っかけ、今にも飛び降りようとしていた。 二人は重い足を引きずって、慌ててその人影に駆け寄る。
(;-@∀@)「はあ……はあ……待って!」
「え?」
(;'A`)「は、早まるんじゃない……!」
「……」
- 178 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:33:20.96 ID:FVOz5oBx0
-
近くで見ると、その女性は若く、中々美しい顔をしていた。 ただ顔は青白く、目に生気が無い。
(;'A`)「人生はまだ長いぞ! 生きていれば何か良いことあるかも!」
(;-@∀@)「そ、そうですよ! 今死んだら何もかもお終いです!」
「……何よ。人の気も知らないで、いい人ぶっちゃって」
('、`*川「私の人生、もうとっくに終わってるのよ!」
- 180 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:33:57.05 ID:FVOz5oBx0
-
Act4:橋
- 181 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:36:16.83 ID:FVOz5oBx0
-
女は手すりの上に立ち、ドクオたちを見下ろしている。 少しでも後ろに体重をかければ、彼女は数秒後にはただの肉塊となるだろう。
(;'A`)「じ、事情はしらねえけどよ……死ぬことは無いって」
(;-@∀@)「良かったら訳を話してくれませんか?」
('、`*川「あんたたちに話す事なんて無いわ」
聞く耳もたず、女は怒鳴り散らす。 彼女が激情に駆られないように、ニトログリセリンを扱う気持ちで二人は説得を続ける。
(;-@∀@)「あの……では名前を教えて頂きますか? 私はあさぴーです」
(;'A`)「俺は鬱田ドクオ。サラリーマンだ」
('、`*川「……ペニサス」
- 182 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:37:45.66 ID:FVOz5oBx0
-
(;'A`)「なあペニサスさん。訳くらい話してくれても損は無いだろ?」
(;-@∀@)「……駄目?」
('、`*川「……」
「……私はもう終わりなの」。 ペニサスは、そう言って話を切り出した。
('、`*川「生きてる価値なんて無いのよ」
(;'A`)「まだ若いのに……俺たち見てみろよ。どん底の30代だぜ」
(;-@∀@)「僕はまだギリギリ20代ですけど……」
('、`*川「年なんて関係無いわよ。生きるのが嫌になれば、小学生だって死を選ぶもの。 今まで死ぬ勇気なんて無かったけど、ようやく踏ん張りついたのよ……」
- 187 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:39:27.52 ID:FVOz5oBx0
-
(;-@∀@)「……どうして、死のうだなんて……」
('、`*川「……」
きっと深刻な事情があるに違いない、ドクオとあさぴーはそう考えた。 美しい女性である為、誰かに乱暴な事をされ、やけになったのでは……など。
しかし現実は妄想より単純なり。
('、`*川「フラれたのよ」
('A`)「へ?」
('、`*川「彼氏にフラれたのよ。信じらんない。 高校の時から付き合ってたのよ!? 結婚だって約束したのに……」
(;-@∀@)「……それだけ?」
- 189 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:41:10.20 ID:FVOz5oBx0
-
('、`#川「しかもあいつ、浮気してたのよ! それも超ブサイクな女と!」
('、`*川「会社はめんどくさいし、ダイエットも失敗したし……。 生きるのが嫌になったって訳」
(#'A`)「……」
ふざけるな、ドクオはそう言いたかった。 命は決して一人の物ではない。
そもそも一人で生きている人間なんていないのだ。 そう叫んでやろうとした。
(#'A`)「お前(-@∀@)「ふざけるなよ……」
(;'A`)「え?」
- 192 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:42:45.99 ID:FVOz5oBx0
-
あさぴーによって、ドクオの言葉は遮られる。 横にいた彼は、顔を真っ赤にして怒りに震えていた。
(-#@∀@)「何が浮気だ! 何がダイエットだ! 馬鹿かお前は!」
('、`*川「はあ?」
(-#@∀@)「お前なんか生きる価値以前に生まれる価値すら無かったんだよ!」
(;'A`)「お、おい……」
('、`#川「何よ人の気持ちを踏みにじって! 私は本気で悩んだんだからね!」
(-#@∀@)「うるせぇ――――――!!!」
('、`;川「ひっ!」
- 198 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:44:55.88 ID:FVOz5oBx0
-
鉄橋を響かせる咆哮が、ペニサスを萎縮させた。 「僕はなあ……僕はなあ……!」あさぴーの言葉は、怒りと悲しみが入り交じっていた。
(-#@∀@)「僕は……今まで一度も、女性と付き合った事が無いんだ!」
('A`)「……」
('、`*川「だ、だから何よ」
(-#@∀@)「お前は贅沢過ぎるんだよ! いいじゃないか恋人がいたんだから! 美人だしスタイルもいいし! 僕を見てみろ! ネクラで不細工でダサくてド近眼! 何一つ良いところが無いんだぞ!」
('、`;川「そんな事言われても……」
(-#@∀@)「借金だってあるんだ! 最初は30万だったのに、一気に124万になった! それからもいろんなところから借りて、今や1000万だ!」
('、`;川「えぇ!?」
(;'A`)「そりゃ殺されるわ……」
- 199 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:46:19.26 ID:FVOz5oBx0
-
(-#@∀@)「お前みたいな奴は死んで当然だ! さっさと飛び降りろ! 僕は生きるからな! 絶対お前より幸せになってやる!」
('、`#川「何よさっきから黙って聞いてれば……!」
(-#@∀@)「なにぃ?」
(;'A`)「な、なあ……ひとまず落ち着こうぜ……な?」
(-#@∀@)('、`#川「うるさい!!!」
(;'A`)「はい……」
(-#@∀@)「お前みたいな彼氏に寄生するような女はいつまで経っても 独り立ち出来ないんだろうな! そういうのビッチって言うんだよ!」
('、`#川「恋人も作れない童貞野郎に偉そうな口叩かれたくないわね! 所詮恋愛した事ない奴に失恋した女の痛みなんてわからないでしょ!」
(-#@∀@)「恋愛だって失恋だって経験済みだ! でも僕はお前みたいに いつまでもウジウジ引きずって人に迷惑かけたりしてないもんね!」
('、`#川「あんたの性欲丸出しのポルノ映画みたいな恋なんてどうだっていいのよ! 私は純愛よ! 純粋な気持ちを裏切られたの! 貴方のそれと同じにしないで!」
(;'A`)「あのー……ちょっと……」
- 201 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:48:57.08 ID:FVOz5oBx0
-
(-#@∀@)「お前の純愛なんてただの妄言だ! 本当に純粋なら結婚するまで寝るな! 綺麗な体のまま花嫁衣装着てみろよ! お前みたいなのが出来ちゃった婚するんだ!」
('、`#川「寝る事の何が悪いのよ! 二人の愛を確かめ合う美しい行為じゃない! あんたは寝る相手がいないからひがんでるだけよ!」
(-#@∀@)「なぁぁぁんだとこのアマァァァ!!!」
('、`#川「本当の事を言ったまでよ! 悔しかったら恋人作ってみなさい!」
二人の言い争いはヒートアップしていく。 いつの間にか、街灯に光が灯っていた。
('、`;川「はあ……はあ……」
(;-@∀@)「ふう……ふう……」
(;'A`)「俺空気……」
- 205 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:50:31.96 ID:FVOz5oBx0
-
('、`*川「……お腹空いた」
(;'A`);-@∀@)「?」
('、`*川「ご飯食べに行かない?」
気がつけば、彼女は手すりから下りていた。 返事も聞かず歩き出していく彼女に、ドクオたちは戸惑いながらもついていった。
: : : : : : : : : :
- 206 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:52:17.89 ID:FVOz5oBx0
-
近くのパーキングエリアに、ペニサスの車があった。 彼女は車の中からサイフを取り出すと、そのPAのレストランに二人を連れて行った。
('、`*川「だから愛なの。でも彼氏は鬱陶しいって……」
(-@∀@)「独りよがりな愛は嫌われるもんだよ」
('、`*川「でも好きなんだから仕方ないじゃない」
(-@∀@)「好きだからこそ、相手の気持ちを尊重して……」
('A`)「ステーキうめえ」
レストランの中でも、二人の話し合いは続けられた。 ただし先ほどのような言い合いでは無く、ペニサスの愚痴をあさぴーが聞いている感じだ。
- 209 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:54:10.48 ID:FVOz5oBx0
-
(*'A`)「ふー食った食った」
(;'A`)「あ、やばい! 今何時だ!?」
('、`*川「7時だけど……」
(;'A`)「今日中に家に帰らなきゃいけないんだ! 頼む、近くの駅まで送ってくれ!」
('、`*川「いいわよ」
意外なほど、彼女はあっさりと承諾した。 その表情には血の気が戻っていて、目にも光がある。
そして何よりも、吹っ切れた表情をしていた。
- 211 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:55:53.90 ID:FVOz5oBx0
-
駅まで行く間の車中、ペニサスとあさぴーはまだずっと話し込んでいた。 一度生を放棄した者同士、どこか波長が合うのかもしれない。 時折笑い声さえも聞こえてくる。
('A`)(もうすぐ……帰るからな)
山並みが後ろに過ぎていき、街灯から光の尾ひれが伸びる。 空に輝く、一際眩しい二つの星が、何かと重なって見えた。
: : : : : : : : : :
駅につくと、ドクオは助手席に座っていたあさぴーに、紙袋を差し出した。 あさぴーは最初遠慮していたが、それでもドクオは強引に紙袋を受け取らせた。
('、`*川「それ何が入ってるの?」
('A`)「金だ。数えてないからわかんねえけど、借金は返せるだろ」
- 213 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:57:21.87 ID:FVOz5oBx0
-
(;-@∀@)「ほ、本当にいいんですか?」
('A`)「ああ。持ってけ」
車のドアを開け、まばらな人が行き交う駅前に、ドクオは一人下りていく。 「待って」開いたウィンドウから、あさぴーが顔を出した。
('A`)「何だよ」
(;-@∀@)「やっぱり受け取れません」
('A`)「どうして?」
(-@∀@)「貴方には凄くお世話になった。というか、命の恩人です。 ただでさえ借りがあるのに、これ以上面倒をみてもらうなんて僕は……」
('A`)「……あのなあ」
- 214 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 20:59:37.70 ID:FVOz5oBx0
-
ぽりぽりと頭を掻くドクオ。 「いいか?」ゆっくり、諭すようにドクオは言う。
('A`)「借りは、誰か他の相手に返せばいいよ。 元々見返りが欲しくてお前を助けたんじゃないんだからな」
(;-@∀@)「それはもちろん、わかっているんですが……」
('A`)「まあ成り行きだけど、俺はお前の命を助けたな。 でもその借りは、もうお前は返したはずだぜ?」
(-@∀@)「え?」
('、`*川「……」
- 217 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:01:37.16 ID:FVOz5oBx0
-
('A`)「今までの自分におさらばして、その金でもう一度やり直せ。 崖から飛び降りた時の勇気がありゃあ、何でも出来るだろ」
(-@∀@)「……でも、こんなお金……」
('A`)「いいんだよ、別に」
('A`)「俺はその金の何億倍も価値があるもの見つけたんだ。 それに比べたら、そんなはした金……借りにもなりやしねえ」
(-@∀@)「……ドクオさん」
「じゃあな」二人をおいて、ドクオは歩き出していった。 後ろ姿が見えなくなるまで、二人はじっと駅の方を見つめていた。
('、`*川「……ねえ」
(-@∀@)「え?」
- 218 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:03:35.37 ID:FVOz5oBx0
-
('、`*川「あの……さ」
(-@∀@)「……」
('、`*川「携帯のアドレス、教えてくれない?」
少し恥ずかしそうに、彼女は言葉を紡ぐ。 何かが――まだカタチになっていない何かが――始まろうとしていた。
何処からか、ギターの音色と歌声が聞こえてくる。 誰も知らないラブソングが、二人の乗っている車を包んだ。
Act4 『死にぞこないの賛歌』 完
- 222 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:06:45.65 ID:FVOz5oBx0
-
疲れた体をシートに沈ませ、ドクオは天井の広告をぼおっと見上げていた。 一定のリズムで揺れる電車に合わせて、ドクオの体も微かに上下している。
周りの乗客はまばらで、空いている座席が目立った。
('A`)(疲れたなあ……)
ため息と共に、全身に溜まった疲労をはき出す。 その時、電車の振動音に混じり、言い争うような声が聞こえてきた。
(,,゚Д゚)「だからそういうのがウザいんだよゴルァ」
(*゚-゚)「お弁当が食べたいって言ったのギコ君じゃない」
('A`)「……」
- 225 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:08:49.06 ID:FVOz5oBx0
-
目の前で、何やら口げんかをしている高校生のカップルがいた。 以前なら心の中で目一杯罵倒していたところだが、ドクオはドクオであって毒男ではない。
心に余裕があるからか、それほど苛立たしくは感じなかった。
(,,゚Д゚)「はあ……」
(*゚-゚)「……サイテー」
(,,゚Д゚)「ああ?」
(* - )「一生懸命作ったのに……」
('A`)(ありゃりゃ。泣いちゃったよ……)
目を伏せて泣き出す女に、男の方は困り果てて、頭を抱えている。 ドクオは我関せずといったように、視線を再び天井の広告に移した。
- 227 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:10:50.25 ID:FVOz5oBx0
-
(*'A`)(次の駅で降りれば、家はもうすぐだ)
すっかり遅くなってしまったが、約束通り結婚記念日には間に合いそうだった。 駅が近くなると、待ちきれないのか、ドクオは立ち上がりドアの前で待機を始める。
止まったらすぐに降りて、誰よりも早く改札口を出る。 そして一番近いタクシーに乗り込んで、後は一直線に家を目指す。
頭の中のシミュレーションは完璧だった。 しかし、イメージトレーニングは無駄に終わってしまう。
('A`)(あれ?)
ドアのガラスの向こうで、目的の駅が通り過ぎていった。 電光掲示板は、既に次の駅名を表示している。
(;'A`)(乗り間違えた……?)
そう思って冷や汗を垂らしたが、どうやら違っているらしい。 周りの乗客の中にも、ドクオと同じようにドアの前で首を傾げている者がいた。
- 231 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:14:33.23 ID:FVOz5oBx0
-
(;'A`)(とにかく、次の駅で降りて引き返そう)
今ならまだ間に合う、とドクオは思っていた。 しかしこの電車に乗った時点で、既に手遅れだったのだ。
『えー乗客の皆様に悲しいお知らせがあります』
(;'A`)「……」
嫌な予感がする。
『ただいま緊急通信が入りました。それによると、電車に爆弾が仕掛けられたらしいです』
(゚A゚)「え?」
(,,゚Д゚)「……は?」
(*;゚ー゚)「嘘……」
『先ほど犯人から連絡があったようで、今さっき爆弾を起動させたらしいです。 何でもスピードを落とすと爆発する仕掛けらしくて、電車を止める事が出来ません。 あー申し遅れました。わたくし、車掌のビコーズです。彼女募集中です』
- 233 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:15:43.15 ID:FVOz5oBx0
-
Act5:電車
- 236 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:17:53.96 ID:FVOz5oBx0
-
車内はにわかに慌ただしくなった。 座席を立ち、周りの者と話し始めたり、落ち着き無く歩き回る者が出始める。
(;'A`)(爆弾だって? そう言えば飛行機に乗ってる時……)
昼に読んだ新聞を思いだした。 未逮捕の連続爆弾魔の記事だ。
( ;゚Д゚)「お、おい……何かやばくね?」
(*;゚ー゚)「う、うん……」
鈍感そうなカップルも、危機を感じ慌て始めている。
- 239 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:19:24.00 ID:FVOz5oBx0
-
(;'A`)(それにしても、やばいぞこれは……!)
電車がまた一つ駅を通り過ぎていった。 だんだんとドクオが降りる駅から遠ざかっている。
(;'A`)(このままじゃ家に帰るどころか死んじまう……一体どうすれば……)
『余談ですが、私は中々イケメンで、性格も良いとよく言われます。 乗客の皆様の中で、ハニワが好きな女性がいましたら、運転席にいる私の所までお越し下さい』
(;'A`)「余談過ぎるだろうが……!」
車掌は頼りにならないし、他の乗客に期待するのも無駄。 警察もあてにならないとすると、自分で何とかするしかない。
(;'A`)「……覚悟決めるか」
ここに爆弾処理員、鬱田ドクオが誕生した。
- 241 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:21:34.90 ID:FVOz5oBx0
-
('A`)「おいバカップル」
(,,゚Д゚)「お、俺たちの事か?」
('A`)「今から爆弾を探して解除する。お前らもついてこい」
(*;゚ー゚)「オジサン、警察の人?」
('A`)「いや違う」
('A`)「鬱田ドクオ。サラリーマンだ」
( ;゚Д゚)「でもドクオさん、爆弾なんて解除出来るんすか?」
('A`)「子供の頃は負け無しだったぜ」
(,,゚Д゚)「負け無し……?」
- 243 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:23:26.97 ID:FVOz5oBx0
-
(*;゚ー゚)「……ボンバーマン、てオチじゃないですよね」
('A`)「…………」
( ;゚Д゚)(当たりっぽい!)
(#'A`)「グダグダ言ってねえでついてこい!」
( ;゚Д゚)「は、はい……!」
(*゚ー゚)「でも私たちも行く必要あるんですか?」
(#'A`)「馬鹿野郎!」
('A`)「……一人じゃ、心細いだろうが」
( ;゚Д゚)「……」
(*;゚ー゚)「……ああ……そう」
- 249 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:25:11.40 ID:FVOz5oBx0
-
その後ドクオたちは懸命に爆弾を探した。 網棚の上、トイレの中、連結部分のなんかごちゃごちゃしたところまで。
そうしてくまなく探していった結果、ゴミ箱の中で爆弾らしきものを発見した。 それはゴミ箱の底を貫通して床に貼り付けられており、外せないようになっていた。
( ;゚Д゚)「これを床からひっぺがして、窓から捨てましょう」
('A`)「駄目だ。下手に動かすと起爆するだろう」
(*;゚ー゚)「これくらい小さい爆弾なら、後ろの車両に避難していれば助かるんじゃ……」
('A`)「いや、これはあくまで起爆装置だ。たぶん爆薬はレール付近に繋がれている」
( ;゚Д゚)「どういう事っすか?」
- 250 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:27:10.91 ID:FVOz5oBx0
-
('A`)「少ない爆薬量で、最大限の効果を得る為だ。 レールの近くで爆破されたら、スピード次第だがおそらく脱線する。 ごちゃごちゃした都内の路線で脱線してみろ。必ず何かに衝突する」
(*;゚ー゚)「……」
( ;゚Д゚)「……マジかよ」
('A`)「助かるには、これを止める他ないって事だ」
(;'A`)(でも見つけたはいいけど……どうやって解除するんだ。 こんなのドラマか映画でしか見たことねえぞ……!)
('A`)(……そういえば、昔“新幹線大爆発”っていう映画があったな。 あれも確か、爆弾はゴミ箱の中にあったはずだ。 待てよ、映画の中ではガスバーナーとペンチで爆弾を解除してたぞ)
('∀`)「よし、ガスバーナーとペンチだ!」
- 251 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:28:49.53 ID:FVOz5oBx0
-
(#'A`)「ねえよ!」
忙しいドクオであった。
(*;゚ー゚)「ペンチだったら、私持ってますよ」
(*'A`)「本当か!?」
(*゚ー゚)「はい。私工作部に入ってますから」
(,,゚Д゚)「ガスバーナーだったら俺が持ってますよ」
(;'A`)「なんでだよ!」
(,,゚Д゚)「俺も工作部なんで」
('A`)「工作部すげえ!」
- 253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/14(金) 21:29:30.12 ID:VmyB/vntO
- すげぇwwww
- 254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/14(金) 21:29:54.41 ID:trFZscah0
- 工作部すげぇwwwwwwwwwwww
- 255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/14(金) 21:30:05.85 ID:fe3DAGzw0
- 工作部すげえwwwww
- 256 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:30:15.39 ID:FVOz5oBx0
-
ドクオはさっそく解除にとりかかる。
まずバーナーでゴミ箱に穴を空け、中を覗いてみた。 配線が縦横無尽に張り巡らされていて、まるで蜘蛛の巣である。
(;'A`)「俺はキアヌリーブスだ……俺はキアヌリーブスだ……」
(*;゚ー゚)「……“スピード”かしら」
( ;゚Д゚)「“スピード”だろうな……」
(#'A`)「よし、やるぞゴルァ!」
(,,゚Д゚)「俺のアイデンティティが!」
それはまるで取り憑かれたかのような早業だった。 ペンチを使い配線をこねくり回し、切断と接合を繰り返す。 目にも止まらぬ手さばきで、ドクオは徐々に爆弾をただの無機物へと変えていく。
- 258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/14(金) 21:30:30.77 ID:YxbePxx3O
- ドクオwwww忙しいやっちゃのうwwwwww
- 259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/14(金) 21:31:11.69 ID:1y3rNSwh0
- ドクオすげえなwwwww
- 260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/14(金) 21:31:18.18 ID:VmyB/vntO
- ドクオスゴスwwwwww
- 261 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:32:10.42 ID:FVOz5oBx0
-
(*;゚ー゚)「凄い……! 工作部部長、神速の兄者さんを越えるスピードだわ!」
( ;゚Д゚)「それだけじゃねえ。複雑な配線をかき分ける反射神経と動体視力。 そしてこのペンチ捌きは、指技巧職人と言われた副部長の弟者さんを越えている!」
(#'A`)「うおおおおおおおおお!!!」
(*;゚ー゚)「この人こそ……生ける伝説となったうちの学校のOB」
( ;゚Д゚)「“工作の女王”に違いない……!」
(#'A`)「ただのサラリーマンだし男じゃボケ!」
('A`)「さて、そんなこんなで、後は配線を一本切るだけになったぜ」
(,,゚Д゚)「すげ――! 勘だけでここまでやりやがった!」
(*;゚ー゚)「早く解除しましょう」
- 265 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:33:59.85 ID:FVOz5oBx0
-
(*'A`)「へっへっへ。まあ任せとけって」
('A`)「えーと、ど・れ・に・し・よ……」
( ;゚Д゚)「ちょっと待った――! 何やってんすか!?」
(*;゚ー゚)「ここにきてそれですか!?」
(;'A`)「いや、何ていうか……配線が二本のこっちまってな。 赤と青の配線なんだけど、どっちかが解除用で、どっちかが起爆用のはずなんだ」
映画やドラマでよくある、運命の二択である。
( ;゚Д゚)「ここは慎重に選びましょう」
(*;゚ー゚)「そ、そうですよ。間違えたらみんな死んじゃうんですから……」
- 268 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:35:38.46 ID:FVOz5oBx0
-
(;'A`)「そうは言っても時間が無いんだよ。 いつまでも電車が走り続ける訳無いからな」
( ;゚Д゚)「……赤か」
(*;゚ー゚)「青……」
(;'A`)「……さあ、腹をくくろうぜ。どっちを選ぶ?」
( ;゚Д゚) ドクン…
(*;゚ー゚) ドキドキ…
(;'A`) ゴクリ…
- 270 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:36:28.55 ID:FVOz5oBx0
-
(;'A`)「よし……赤を――」
「駄目!」
('A`)「?」
(,,゚Д゚)「しぃ……?」
(*;゚-゚)「赤は……赤い糸の赤だから……」
(*; - )「私とギコ君を結ぶ……赤い糸だから――」
(,*゚Д゚)「しぃ……お前……」
(#'A`) ビキビキ
- 274 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:37:55.59 ID:FVOz5oBx0
-
(,,゚Д゚)「……ごめんな。弁当の事。本当は恥ずかしかったんだ。 だからあんな事言っちゃったんだけど……美味しかったよ」
(*゚ー゚)「ギコ君――!」
(,*゚Д゚)「しぃ――!」
(#'A`) プチン
ドクオは迷う事無く赤い糸を切った。
(*;゚-゚)「ちょっとぉぉぉぉぉぉぉ!?」
( ;゚Д゚)「オッサン何やってんのおおおおお――――!?」
(#'A`)「うるせえボケ! 死んでしまえ!」
- 277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/14(金) 21:39:01.22 ID:dFX4d7y40
- 切っちゃったwwww
- 278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/14(金) 21:39:06.66 ID:VmyB/vntO
- ドクオはやっばり毒男wwwwww
- 279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/14(金) 21:39:09.14 ID:YxbePxx3O
- ドwwwwwwクwwwwwwオwwwwwwww
- 282 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:40:06.59 ID:FVOz5oBx0
-
( ;゚Д゚)「そ、そうだ! 爆弾は!?」
切ったのが起爆用のコードなら、とっくに爆発しているだろう。 ドクオが選んだのは、解除用のコードだったのだ。
(*;゚ー゚)「……止まった?」
( *゚Д゚)「やったぜしぃ! 俺たちの愛が勝ったんだ!」
(*゚ー゚)「私たちを引き裂く事なんて出来ないのね!」
(#'A`)良かったね ああ良かったね 良かったね
ドクオ カップルに捧げる心の俳句
- 285 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:41:23.06 ID:FVOz5oBx0
-
三人は車掌のところに、爆弾が止まった事を伝えにいった。 車掌は嬉しさのあまり、全裸で踊り始める。
電車は次の駅で無事停止する事が出来、乗客は死の恐怖から解放された。
(;'A`)(くそ……俺の家から結構離れちまったな……)
(,*゚Д゚)「俺たちのラブはネヴァーエンドだぜ。しぃ」
(*゚ー゚)「貴方の瞳にリバースフォーリンラブよ、ギコ君」
(,*^Д゚)(^ー^*) イチャイチャ…
(#'A`) ブチ…
赤いコードは切れたし、ドクオもキレている。 しかし二人を結ぶ赤い糸だけは、切れなかったようだ。
Act5 『恋の爆弾は止められない』 完
- 290 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:43:56.09 ID:FVOz5oBx0
-
駅前には大勢の野次馬が出来ていた。 警察やマスコミに加えて、事情を知らない一般人も群れに加わっている。
もみくちゃにされながらも、ドクオは何とか人の波から脱出した。 しかしこの先どうしていいかわからず、途方に暮れる。
(;'A`)(やばい……やばいぞ……! もう時間が無い! タクシーを拾って……いや待て。 今までの展開からすると、乗り物は危ない……ん?)
その時、倒れたままになっている放置自転車がふと目に付いた。 普通に考えて自転車で行くような距離では無いが、もはや交通機関は信用出来ない。
('A`)「……日付が変わるまで残り2時間か」
(#'A`)「やってやんよ――!」
- 293 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:45:57.87 ID:FVOz5oBx0
-
近くに落ちてあった傘を分解し、即席のピッキングツールをこしらえた。 それを自転車の鍵穴に差し込み、一瞬でロックを解除する。 高校生時代に身につけた、ちょっと人には言えないスキルだ。
サドルを調節し、ハンドルと同じ高さにしてから乗り込んだ。
('A`)ペッ
手の平に唾をつけ、ぐっとハンドルを握る。 既に心も体も満身創痍だ。 それでも残された最後の力を振り絞り、ペダルに力を入れた。
(#'A`)「うおおおおおおお!!!」
彼を突き動かしているのは、家に帰りたいとう想いだけだ。 しかしそれは、彼の全てでもあった。
- 295 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:46:31.90 ID:FVOz5oBx0
-
ActFinal:決戦
- 298 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:48:02.18 ID:FVOz5oBx0
-
( ・∀・)(良い風を感じるぜ! 今日の俺は絶好調だ!)
やあみんな! 俺の名前はモララー。 今をときめく競輪選手さ。
今俺が乗っているのはイタリア製最高級ロードレーサーだ。 イカしたフォルムをしているが、俺が乗るとさらに格別だろ?
( ・∀・)(遅いぜ! 遅すぎるぜ!)
また一台車を越しちまった。 都内じゃ俺よりも速い奴なんていないのさ。 そう……俺は今間違いなく最速なんだ!
- 301 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:49:40.18 ID:FVOz5oBx0
-
まあそんな事を考えながら、その夜も街中を飛ばしてたんだ。 すると俺の横を、何か大きなカタマリが過ぎていった。
( ・∀・)「……?」
最初は何かわからなかったぜ。 だってそれは、あまりにも速すぎたから。
( )「うおおお――――――!!!」
( ;・∀・)「……嘘……だろ」
俺は追いかける事も出来ず、その場で立ちつくしていた。 だってそいつは、ただのママチャリで俺のロードレーサーを圧倒したんだ。
猛スピードで離れていく背中を、呆然と見ていることしか出来なかったね。
- 304 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:51:56.76 ID:FVOz5oBx0
-
( ・∀・)「……すげえ」
世の中には、俺よりもずっとずっと速い奴がいる。 認めたくなかったが、それは紛れもない事実だった。
それから俺は、今までの二倍も三倍も練習をこなしてきた。 奢りを捨てて、初心にかえってな。
きっとそれが世界大会の走りに繋がったんだと思う。 俺がチャンピオンになれたのは、あの時の名前も知らない男のおかげさ。
今も俺は、あの背中を追い続けている。 きっとこれからも、俺はチャレンジャーさ。
――モララー著 『世界で最も速い男』 より抜粋
- 307 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:54:04.45 ID:FVOz5oBx0
-
(;'A`)「はぁ! はぁ!」
体が鉛のように重く、虫がはえずり回るが如く乳酸が筋肉を痛めつける。 ペダルを一漕ぎする度に、寿命が削られるような苦痛だった。
(;'A`)(絶対! 家に! 帰るんだ!!!)
ドクオの目は、もう前しか見えていない。
だから彼は気がついていなかった。 自分が追われているということに。
- 310 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:55:56.49 ID:FVOz5oBx0
-
プップ――!
(;'A`)「!?」
けたたましいクラクションの音。 ペダルを漕ぐ足を休め、後ろを振り返る。
(゚A゚)「!!!」
スモークが貼られているバンが二台、すぐ真後ろに迫っていた。 誰が乗っているかというのは、一瞬見ただけですぐにわかった。
暗闇の向こうで、忘れたくても忘れられない、獣たちの目が見えたからだ。
(;゚A゚)「うあ……ああああ――――!!!」
- 312 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:57:32.22 ID:FVOz5oBx0
-
あの時の恐怖が蘇ってくる。 ドクオは自転車を加速させ、バンを離そうとした。
しかし交通法規をまるで無視して、バンはぴったりと後ろにくっついてくる。 ドクオをあざ笑うかのように、ギリギリの距離を保ちながら。
「ほらほらもっと走れ!」
(;゚A゚)「ひぃ!」
後ろからジョルジュのはやし立てる声が飛んだ。 少しでも減速したら、そのままひき殺されそうだ
(;゚A゚)(ちくしょう! あと少しなのに! ちくしょう! ちくしょう!!!)
- 315 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 21:58:59.58 ID:FVOz5oBx0
-
ヤクザ「ジョルジュさん」 _ ( ゚∀゚)「何?」
ヤクザ「街中で殺すのはやばいっすよ」
ヤクザ「そうですよ。第一、こいつ殺しても俺らにメリットないし」 _ ( ゚∀゚)「やばい? メリット? 何それ」
ヤクザ「え?」
_ ( ゚∀゚)「俺たちは何だ。言ってみろ」
ヤクザ「……ヤクザ……ですよね」 _ ( ゚∀゚)「違う」
- 319 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:01:13.30 ID:FVOz5oBx0
- _
( ゚∀゚)「俺たちはな、クズなんだよ」
ヤクザ「……」 _ ( ゚∀゚)「社会からはじかれ、組からも破門をくらったクズ共だ」
ジョルジュ一家は、どの組にも属していない。 正確に言えば、ジョルジュが作った愚連隊なのだ。
あまりにも暴力性が高く、誰からも理解されない狂気を持った男たち。 そういう人間たちを、ジョルジュは受け入れていった。
しかしシマが無く、シノギも無い。 たまに回される仕事と言えば、雑用に近い殺しだけ。 もはやヤクザ業だけで食っていけるような収入では無かった。
_ ( ゚∀゚)「舐められちゃ駄目なんだ。例え知らない野郎一人が相手だとしてもな」
- 323 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:03:22.08 ID:FVOz5oBx0
- _
( ゚∀゚)「俺たちは同じヤクザにも煙たがられ、何処にも相手にされないクズだ。 その代わり……俺たちは従わない。恐れない。逃げない。 負けない。折れない。振り返らない。そうだろ?」
ヤクザ「兄貴……」
_ ( ゚∀゚)「こいつを殺したら、もうくせえ殺しは無しだ。 東京中のヤクザを殺して金を奪う。 それから外へ高飛びする。どうだ、この話?」
ヤクザ「ま、マジっすか!?」
ヤクザ「うわ、最高に面白そうっすね」
ヤクザ「乗りますよ。殺しであれば、何でも」
_ ( ゚∀゚)「……俺たちは誰にも止められない。誰一人俺たちから逃げられない。 奴を例外にする気は無い。殺して、殺し尽くす。俺たちが俺たちである為に」
- 326 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:05:27.78 ID:FVOz5oBx0
-
迫り来る狂気の沙汰に、ドクオは必死にペダルを漕ぐ。 しかし度重なる過負荷によってチェーンが外れ、遂に自転車が壊れてしまった。
(;゚A゚)「うああああああ――――――!」
バランスが効かなくなり、転倒する。 空中に投げ出されたドクオは、バンにはじき飛ばされる自転車を見ていた。
世界が回り、地面が迫る。 受け身が取れず、全身をしたたかに打ち付けてしまった。
二台のバンは急ブレーキで止まり、方向転換を始めた。 地面に倒れたままのドクオを、ひき殺すつもりであった。
(;'A`)「これで……終わりかよ……」
- 327 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:07:31.11 ID:FVOz5oBx0
-
限界を超えて動き続けた体は、もう一ミリも動かせなかった。 今度という今度は、ドクオも諦めている。
怖いのは、死では無い。 死によって、失うものだった。
(;'A`)「ごめんな……パパは……約束守れそうにないわ……」
バンはバックして助走の距離をとった。 ある程度離れると、今度は猛烈に加速し、ドクオの眼前に迫ってくる。
恐怖よりも何よりも、家族に対し申し訳なかった。 目を瞑り、ドクオは最期の時を待った――。
- 333 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:08:40.36 ID:FVOz5oBx0
-
(;'A`)「……?」
脳の芯に響くような衝撃音。 しかし車が当たった感触は無く、ドクオはまだ生きていた。
(;゚A゚)「!!!」
バンはあさっての方向に飛んでいき、電柱にぶつかっていた。 そしてドクオの目の前には、見覚えのあるタクシーが一台、助手席を開けたまま停車していた。
フロントガラスにヒビが入っていて、バンパーが半分外れている。 体当たりをして、ドクオを助けてくれたのだ。
(#'A`)「く……ぐおお――!」
痺れた体にムチを入れ、精神力のみで立ち上がる。 ドアの淵に手をかけ、倒れ込むように助手席に飛び込んだ。
- 345 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:10:28.39 ID:FVOz5oBx0
-
(メ`ωメ)「よう兄弟。また会えたな」
(;'A`)「……おせえんだよ」
嬉しくて泣きそうになるのをこらえ、わざと素っ気ない言葉で返す。 血の絆ではない、二人は運命で繋がっていた兄弟なのである。
- 347 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:12:24.53 ID:FVOz5oBx0
-
(メ`ωメ)「飛ばすぜ」
車は急発進を始め、二台のバンを一気に引き離していった。 ドクオはバックミラーでそれを確認し、ほっとため息をつく。
(メ`ωメ)「兄弟。どうして命を狙われてるんだ?」
('A`)「しらねえ。お前の兄弟だからじゃねえのか?」
(メ`ωメ)「なるほどな。ところで、ちょっと俺も今やばいんだ」
('A`)「何だよ」
(メ`ωメ)「いやあ……実はな」
ブーンの台詞は、けたたましいサイレンの音にかき消された。 何事かと思ってドクオが後ろを向くと、身の毛もよだつ光景が広がっていた。
- 353 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:14:28.44 ID:FVOz5oBx0
-
数十台にも及ぶパトカーの大群が、真っ赤なランプをかざしてついてきているのだ。 さしずめ、ハーメルンの笛吹男になったような気分である。
(メ`ωメ)「お前みたいにうまく行かなかったよ。見つかって30分でこれだ」
(;'A`)「ははは……もう驚かねえ」
(メ`ωメ)「それでこそ俺の兄弟だ」
『止まれコラァ! ぶち殺すぞ!』
パトカーのスピーカーから、ヒステリックな女の叫びが聞こえた。 警察が言ってはいけないような罵声が、雪崩のように耳に飛び込んでくる。
(メ`ωメ)「ありゃあ結婚できねえな」
('A`)「同感だ」
- 355 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:16:40.55 ID:FVOz5oBx0
-
ξ#゚⊿゚)ξ「さっさと車を停車しろ! ケツの穴に38口径ぶち込むぞ糞が!」
警官(この仕事辞めたい……)
警官(お母さん……僕頑張ってるよ……)
助手席でわめき散らす上司に、運転手と後部座席の警官は精神的にまいっていた。 彼女の名前はツン、いわゆるキャリア組で、29歳の警視である。
女性の警視というだけで珍しいのに、現場大好き、喧嘩上等という性格をしている。 抜群の容姿をしているのだが、性格が災いし、お見合いの失敗数はあさぴーを越えていた。
プライベートが充実しない分、仕事にかける情熱は銭形警部並だ。 彼女はブーンを捕まえる事に、使命を感じてさえいるのだから。
- 359 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:19:13.62 ID:FVOz5oBx0
-
ヤクザ「どうします? うざいのが一杯来ましたけど」 _ ( ゚∀゚)「奴を殺すのは俺たちだ。先回りするぞ」
ヤクザ「わかりました」
ヤクザ「聞いたか? 先回りするからついてこいよ」
『了解』
携帯電話で連絡を取り合い、獣たちは狩りを続ける。 二台のバンは、警官の大群についていくことをやめて、別の道に分かれていった。
: : : : : : : : : :
- 361 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:21:09.94 ID:FVOz5oBx0
-
リビングのソファーに、一人の少女が座っていた。 テレビに映し出されている光景に、目が釘付けになっている。
从*゚д゚)「ほわあ……」
「どうした?」
从*゚д゚)「ママ! テレビみて!」
それはヘリコプターから撮られた映像で、緊急放送のようだった。 アナウンサーが歯切れの悪い言葉で、状況を説明していく。
しかしその光景は、もはや説明などいらなかった。 ボロボロのタクシーを、数え切れない数のパトカーが追っている。 日本の、いや世界の歴史に残るような、壮絶なカーチェイスである事は見て取れた。
从*゚д゚)「ねーこの車、なんでおわれてるの?」
「悪いことをして、お巡りさんを怒らせちゃったんだよ」
从*゚д゚)「わるいことって何?」
「そうだな……例えば、ママが作ったご飯を残したりとかだな」
- 366 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:23:10.20 ID:FVOz5oBx0
-
真面目に答えてくれない母親に対し、娘は口を尖らせる。 「ふわ……」あくびを一つ、子供にはもう遅い時間だ。
从*゚д゚)「パパ、帰ってこないのかな……」
「……」
从*゚д゚)「まだおしごと?」
「いや、そんなはずは無い。きっともうすぐ帰ってくるさ」
从*゚д゚)「ほんとにー?」
「ああ。必ず帰ってくる。あの人は、約束を一度も破った事が無いんだ」
「それに……」続く言葉は、胸の中に留めておいた。 言葉にするより、想いが届く気がしたからだ。
――それに
- 369 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:25:34.86 ID:FVOz5oBx0
-
――あの人は、世界で一番、私たちを愛してくれてるからな
(;'A`)「お、おい! ガソリンが尽きかけてるぞ!」
(メ`ωメ)「結構走らせたからな。メーターもやばい事になってらあ」
(;'A`)「どうすんだよ! このままじゃ捕まる!」
(メ`ωメ)「いや、それよりもやばい事があるぞ」
('A`)「?」
直後に、割れたフロントガラスの前で、何か赤いものがはじき飛んでいった。 ミラーで確認できたそれは、工事現場によくあるカラーコーンであった。
気がつくと、周りに一般車がいない。 その代わりに、危険、立ち入り禁止等の看板が、道の端々に見えた。
(メ`ωメ)「この先は、建設中の高速道路なんだ」
(;'A`)「……まさか」
- 374 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:28:03.63 ID:FVOz5oBx0
-
(メ`ωメ)「……まだ道が出来てないんだよ」
(゚A゚)「嫌ああ――――――!!!!!」
タクシーは上を目指して、未完成の高架橋を上っていく。 明かりがついていないので、いつ事故を起こしてもおかしくない道だ。
例え無事に行けたとしても、そもそも通る道が無いときている。 気持ちばかりが焦り、ドクオは貧乏ゆすりが止まらない。
(;゚A゚)「どうすんだよ……やべえよ……」
(メ`ωメ)「……兄弟。お前は降りろ」
(;'A`)「何?」
(メ`ωメ)「お前は元から罪が無い。警察に追われる必要が無いんだ。 今ここで降りても、事情を説明すれば何とでもなる」
(;'A`)「いや……しかし」
(メ`ωメ)「あの時の拳銃は、俺からもらった事にしたらいい」
(;'A`)「そうじゃなくて……!」
- 378 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:30:32.81 ID:FVOz5oBx0
-
('A`)「お前は……どうするんだよ」
(メ`ωメ)「……」
高架橋を上り詰め、目の前に真っ直ぐ伸びた道が現れた。 街灯はついておらず、暗闇に覆われている。
(メ`ωメ)「俺は……行けるところまで行ってみるさ」
('A`)「……」
ブーンはブレーキを踏んで減速を始めた。 ここでドクオを降ろすつもりなのだ。
(#'A`)「……」
(メ`ωメ)「!」
しかしドクオはそれを許さなかった。 ブーンの足を蹴飛ばし、アクセルを踏みつける。
- 383 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:32:27.81 ID:FVOz5oBx0
-
(メ`ωメ)「お前……!」
('A`)「降りるつもりはねえよ」
(メ`ωメ)「帰らなきゃいけないんだろう!? どうして……」
(#'A`)「俺は帰る! 絶対にな! でもな……」
('A`)「お前を見捨てちまったら、もう家族に会わす顔がねえんだよ」
サイレンの音が、洪水のようになだれ込んでくる。 後ろでは、暗闇の高速道路が、ランプの赤い色に染められていた。 まるで血の濁流が後ろから迫っているようだ。
(#'A`)「お前が何をしたかはしらねえ。でもな……命の借りがある。 それを返すだけだ。その先の事は、テメーで考えな」
(メ`ωメ)「兄弟……」
ブーンは押し黙ったまま、力強く頷いた。 アクセルを踏みきり、パトカーを離していく。
- 387 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:34:27.55 ID:FVOz5oBx0
-
: : : : : : : : : :
世界は私を否定し続ける。 どんなに存在を主張しても、私は世界に押しつぶされる。
川д川「……」
途切れた道、この高速道路はまだ工事中だから、誰もいない。 まるで包丁で切り落とされた大根みたいに、すぱっと道が切れているから、面白い。
- 392 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:36:26.10 ID:FVOz5oBx0
-
途切れた道の淵に腰を下ろし、足を空中に投げ出した。 落ちればタダじゃ済まない高さだけど、恐怖なんて無い。 死よりも怖い生を、私は知っているから。
川д川「……」
すぐ下には川が、その向こうに街がきらきらと輝いて見える。 あの街にいくつの人生があり、どのように交差しているのだろうか。
川д川「……私には……関係無い」
そう、関係無いの。 他人の人生なんて、これっぽっちも興味無いわ。 だって私以外の人間は、全て敵のはずだもの。
川д川「さあ……始めましょうか」
私の可愛い分身さん。 アルミケースから出ておいで。 うん、良い子よ。 今スイッチを入れてあげるわ。
- 394 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:38:31.48 ID:FVOz5oBx0
-
川д川「ふふふふふふふふふふふふふふ――」
最高のエンターテイメントを始めましょう。 そろそろ電車に仕掛けた爆弾も爆発してるでしょう。
でもそれは開幕のファンファーレ。 終幕の劇場は、これから始まるのよ。
タイマーを一時間後にセットし、スイッチを押した。 電子時計がリズムを刻み、終焉に向かって鼓動を始める。
川д川(これで二つ目……あと一つ)
用意していた爆弾は三つ。 この爆弾は、わざと人気の無い場所に置いて、捜査を攪乱させるもの。
最後の爆弾は何処に置こうかしら……ふふふふ。 明日のニュースは、東京を恐怖に陥れる爆弾魔の事で持ちきりね。
川д川「?」
さっさともう一つの爆弾が置いてある所へ戻ろうと、振り返った時だった。 血……血の塊……赤い光の渦……パトカーの大群が、こちらに来るのが見えた。
- 398 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:40:22.41 ID:FVOz5oBx0
-
川゚д川「ど、どうしてここがバレたの!?」
答えてくれる人はいない。 逃げようにも、道は無い。
川д川「!?」
その時パトカーの前に、一台の車が逃げるように走っているのが見えた。 どうやらパトカーはこの車を追っているみたいだ。 私を探してきたんじゃない。 良かった……。
川゚д川「良くない!」
警察が調べたら、ここにいた私がすぐに疑われる。 近くに置きっぱなしにしてある、最後の爆弾も見つかってしまうだろう。 そうなればいい訳出来ない。
あの電車が脱線していれば、何十人もの人間が死んでいるはずだ。 私は極刑になるだろう。
- 402 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:42:50.25 ID:FVOz5oBx0
-
こんなところで終わりたくない。 私はもっともっと高みに上れる。 “工作の女王”として、みんなに褒めたたえられたあの時代に戻るんだ。
もう会社の雑用なんて嫌よ。 工場の生産ラインに組み込まれるなんて嫌よ。 私の手先は芸術なの。 人間の理解を超える、神域なのよ!
津波のようなサイレンの音。 私を飲み込むランプの光。 これが私のフィナーレだなんて。
この汚濁にまみれた世界で、自分の存在を証明したかった。 生きているという事の実感を確かめたかった。 ただそれが、爆弾というだけだったのに。
私は、タイマーの時間を変えた――。
川゚д川「ああああああああ――――!!!!!」
- 404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/14(金) 22:43:07.45 ID:lmyhVYzU0
- 工作の女王お前かよwwww
- 405 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/14(金) 22:43:35.63 ID:dFX4d7y40
- 工作の女王伏線だったwwwww
- 408 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:45:11.14 ID:FVOz5oBx0
-
(メ`ωメ)「うおおおおおお――――――――――!!!!!」
(#゚A゚)「行けえええ――――――――――――!!!!!」
加速し狭まる視界に、女の影が見えたような気がした。 次の瞬間、車は高架橋を飛び出し、月夜の空に雄々しく舞う。
(メ`ωメ)「――――!!――――――――!!!」
(#゚A゚)「――――――――――!!!!!」
無重力になった車内で、二人は吠え続けていた。 少しでも気を緩めたら、気絶してしまいそうだった。
- 412 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:47:21.37 ID:FVOz5oBx0
-
ξ#゚⊿゚)ξ「あの馬鹿……! 飛び込みやがった!」
警官「どうします!?」
ξ#゚⊿゚)ξ「近くの警官に緊急通信だ! 私たちは一度戻って体勢を整え……」
「ああああああああ――――!!!」
狂ったような叫び声と共に、閃光と爆風が巻き起こる。 それはとてつもない衝撃となり、停車していたパトカーを吹き飛ばした。
燃えさかるパトカーと、逃げまどう警官たちで辺りはパニックとなる。 ツンは随分と遠くなった耳、霞んでいく視界で、ひび割れた窓ガラス越しにそれを見ていた。
ξ;゚⊿ )ξ「何が……起こった……」
衝撃により、ツンは頭をぶつけ、脳しんとうを起こしていた。 薄れゆく意識の中で、ただあの男を捕まえなければという想いだけが、くっきりと残っていた。
- 414 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:49:58.59 ID:FVOz5oBx0
-
: : : : : : : : : :
燃えさかる高架橋の下、冷たい川の中を、 ブーンはドクオを背負ったまま泳いでいた。
(メ`ωメ)「はぁ……はぁ……」
着水の衝撃で気絶したドクオは、 ブーンの背中の上でぴくりとも動いていない。
(メ`ωメ)(兄弟……死ぬな……!)
水を吸った衣服は重く、人一人背負っている分さらに辛い。 それでもブーンは必死に川岸まで泳ぎきった。 地面にそっとドクオを降ろすと、膝をついて倒れ込む。
- 418 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:53:02.06 ID:FVOz5oBx0
-
(メ`ωメ)(まだ……倒れるのは早い)
ぐっと膝に力を入れ、よろよろと立ち上がった。 ドクオを引き起こして、再び逃走を図るも、体が言うことを聞かない。
(メ`ωメ)「!」
土手を上がったところに、一台の乗用車を発見した。 明かりはついておらず、誰も乗っていないように見える。
ひとまずドクオを降ろし、土手を上る。 足を引きずりながら車に駆け寄った。
ブーンの思った通り、その車には誰も乗っていなかった。 それどころか鍵が開いていて、エンジンキーが刺さったままになっていたのだ。
(メ`ωメ)「へへ……運が向いてきたぜ兄弟」
何故こんな人気のない場所に、鍵がついたままの車があったか。 後部座席に置いてあるアルミケースの中身が何なのか。 そんな事を考える余裕は、ブーンには無かった。
- 423 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:55:24.92 ID:FVOz5oBx0
-
: : : : : : : : : :
エンジンの音が、遠くから聞こえてきた。 やがてだんだんと近くなり、今度は体に振動が伝わってくる。
それがある時を境に、一気に鮮明に、現実のものへと変わった。 意識が自分を捕らえ、やがてゆっくりと頭が覚醒していく。
('A`)「……」
ドクオが目を覚ました時は、既に車内の中に運び込まれた後だった。 後頭部に固い感触があり、寝ころんだまま目をやると、銀色のアルミケースが見えた。
うめき声を上げながら、のそのそと体を起こす。 ミラー越しに運転席のブーンと目が合った。
- 428 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:57:15.50 ID:FVOz5oBx0
-
('A`)「……今どこに向かってるんだ」
(メ`ωメ)「ひとまず、警察の追跡が無いような場所を走ってる。 お前は何処に行きたい? 途中まで送っていくぜ」
('A`)「俺の家だ。場所は――」
大ざっぱな位置だけ教えると、ブーンは「わかった」と返した。 FMラジオが23時を告げる。 車で行けば、途中で降ろされてもぎりぎり間に合う時間だ。
('A`)(……ここまで長かったな)
ボロボロになったスーツを見て、今までの苦労が蘇ってきた。 それも家に帰れれば、きっと忘れられる。 そう考えているドクオは、もう半分家に帰った気でいた。
車は林道に入り、周りに建物が無くなる。 ブーンは時折、いぶかしげな顔でミラーを覗いていた。 後方から、猛スピードで飛ばしてくる二台のバンが見えたからだ。
- 431 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 22:59:49.79 ID:FVOz5oBx0
-
_ ( ゚∀゚)(逃がしはしねえぞウサギ共……)
ジョルジュはブーンの顔を覚えていた。 だからブーンが運転するこの車を見つけたとき、すぐにドクオも見つけられた。
しかしそれ以上に、彼には人間が失っていた狩りの本能があった。 五感ではなく、いわば六つ目の感覚で、ブーンたちを探し出したのだ。
_ ( ゚∀゚)「レンコン出せ。タイヤを狙うんだ」
ヤクザ「そんな簡単に言われても……」
- 433 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:01:55.91 ID:FVOz5oBx0
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(;'A`)「奴らだ! ヤクザたちが追ってきた!」
(メ`ωメ)「敵が多いな。俺たちはよ」
(;'A`)「ちくしょう……今度こそ終わりだ……」
(メ`ωメ)「どうして」
(;'A`)「お前はあいつらの目を見たことないから、そんなのんびりしてられるんだ」
「あれは人間の目じゃない」ドクオは真顔でそう言った。 ブーンは無言でギアを上げ、車を加速させる。
(;'A`)「くそ……何か武器は無いのかよ」
(メ`ωメ)「拳銃があるが、予備の弾は無いぞ。全部で六発だ。ほらよ」
後ろ手に銃を渡されたが、ドクオは焼け石に水だと思った。 ヤクザたちも銃を持っているし、彼はただのサラリーマンだ。 映画のようなラッキーショットを期待する程、馬鹿ではない。
- 438 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:04:50.02 ID:FVOz5oBx0
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(メ`ωメ)「そうだ。そこにでっかいケースがあるだろ? そいつをフロントガラスにお見舞いしてやれ。 うまく行けば車一台潰せるぞ」
(;'A`)「あ、ああ……これか」
傍に横たわるアルミケースを見て、ドクオは返事をする。 バンは既に30メートル後方まで迫っていた。 他に良い案も思いつかないので、アルミケースを手に取る。
(;'A`)「そういやこれ、中身は何なんだ」
(メ`ωメ)「さあ。しらねえ」
鍵はついていないようで、留め金を外すとすぐに蓋は開いた。 中に入っていた物を見て、ドクオは言葉を失った。
これで、勝てる。 そう確信したからだ。
- 443 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:07:08.95 ID:FVOz5oBx0
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_ ( ゚∀゚)「もっと上手く狙え」
ヤクザ「ちゃんとやってますってば」
窓から顔を出したヤクザが、車のタイヤを狙って何度も発砲を繰り返していた。 しかし走行中の車に乗りながら、動く標的に弾を当てるのは至難の業であった。
ヤクザ「ちっ……難しいなこれ」
ヤクザ「俺に貸してみろ」
今までずっと黙っていた中年の男が、銃を貸せと手を差し出す。 多少不満そうな顔をしながらも、若いヤクザは素直に銃を手渡した。
ヤクザ「いいか……明鏡止水だ。銃と一体になる気で狙うんだ」
ヤクザ「はい?」
ヤクザ「狙いはタイヤだ。だが運転しているのは人間だ。動きに癖がある。 意識をリンクさせて、敵と自分を同化させるんだよ。 そうすると……0.5秒後の景色が見えてくる」
- 446 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:09:43.48 ID:FVOz5oBx0
-
それはたった一発の発砲だった。 カーブの手前、ヤクザの放った弾がタイヤを捕らえ、車の制御が効かなくなる。
ブーンたちの乗っている車は、カーブを曲がりきれず、ガードレールを突っ切っていく。 そのまま暗闇に覆われた林に突っ込んでいった。
_ ( ゚∀゚)「見事だ」
ヤクザ「すげええ! 流石っす!」
ヤクザ「ふん……まあまあだな」
二台のバンは路肩に駐車した。 それぞれ懐中電灯を持って、林に向かっていく。
_ ( ゚∀゚)「急げ。逃げられるかもしれん」
車が通った後には、タイヤの跡や折れた木々の破片が散らばっていた。 ジョルジュたちはそれに沿って、小走りで駆けていった。
車はすぐに見つかった。 太い木にぶつかって、完全にポンコツとなった状態で停車していた。 ジョルジュが目配せすると、ヤクザたちはその車を即座に囲んだ。 中は暗く、何も見えない。
- 450 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:11:49.77 ID:FVOz5oBx0
- _
( ゚∀゚)「おい。開けろ」
ヤクザ「はい」
四人のヤクザが、前部後部の四つのドアに手をかけ、一斉に開けはなった。 懐中電灯の光がもぬけの殻となった車内を照らす。 既に逃げられた後だったのだ。
_ ( ゚∀゚)「遅かったか……」
ヤクザ「あ、足跡がありますよ」 _ ( ゚∀゚)「でかした。それを辿って――」
光が見えた。 目が潰れるような閃光が。
ほんの一瞬だけ、爆発音が聞こえたような気がしたが。 次の瞬間には、ジョルジュたちの鼓膜は破れ、無音の世界になっていた。
体がはじけ飛び、バラバラになった手足が、血の雨と共に降り注ぐ。 燃えさかる車に映し出されたのは、人間のスクランブルエッグだった。
- 458 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:13:59.11 ID:FVOz5oBx0
-
ドクオとブーンは、ヤクザたちのバンに乗っていた。 まだ興奮が冷めていないらしく、二人の息は荒い。
(;'A`)「はぁ……はぁ……うまくいったかな」
(メ`ωメ)「失敗しても、足止めにはなっただろ」
アルミケースの中には、爆弾とタイマーが入っていた。 ドクオは林に突っ込んだ後、二分後にタイマーをセットして車から離れた。 その後ジョルジュたちと入れ替わるようにバンに乗り込み、見事逃げおおせたという訳だ。
罪悪感は無かった。 言ってみれば正当防衛であるし、そもそも人間を殺したという感覚は無かったからだ。
(;'A`)「警察に行く用事が増えたぜ……飛行機に、拳銃に、これか……。 ひょっとしたら犯罪者になっちまうかもしれないな」
(メ`ωメ)「同じ所に行けたらいいな。兄弟」
(;'A`)「え? お前は――」
- 461 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:16:11.01 ID:FVOz5oBx0
-
「このまま逃げるんだろ?」ドクオが問う。 ブーンは運転しながら、片手でタバコを取りだし、火をつける。
(メ`ωメ)「まあ……行けるところまで行くさ」
('A`)「ははは……やっぱりな」
ドクオはブーンがこのまま逃げ続けるのだと思った。 しかしこの言葉は、本当は別の意味が込められていた。
('A`)「なあ。お前何をしたんだ?」
(メ`ωメ)「何って?」
('A`)「だから、何をしたらあんなに警察に追われるんだよ」
「そうだな……」ブーンは思い切り紫煙をはき出す。 何かを思い出すように、目を細めた。
(メ`ωメ)「警察は俺をはめたがっているんだ。 何とかして、俺に罪をなすりつけようとしている」
(;'A`)「どういう事だ?」
- 464 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:18:11.27 ID:FVOz5oBx0
-
(メ`ωメ)「俺は……元々警部だった」
(;'A`)「マジで?」
(メ`ωメ)「大マジだ。だが俺は、大罪になる警官殺しの罪に問われてる」
(゚A゚)「同僚を殺したのか!?」
(メ`ωメ)「いや、俺じゃない。俺の顔に傷をつけた相手さ。今でも奴の顔は忘れていない。 ただ状況が悪く、俺と死んだそいつが対立してた事もあって、俺が疑われた」
塞がった片目に、頬を横切る深い傷跡。 ただの怪我ではなく、そこには深い因縁があるように思えた。
(メ`ωメ)「まあ対立してたって言っても、憎んではいなかった。 むしろ俺は尊敬さえしていたよ。馬鹿がつくほど純粋なそいつにな」
('A`)「……」
- 472 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:20:08.65 ID:FVOz5oBx0
-
(メ`ωメ)「おそらく、警察内での抗争。 信じられないかもしれないが、黒幕は上層部だろう」
(゚A゚)「う……嘘だろ。そんなのが日本である訳……」
(メ`ωメ)「あるんだよ。この国は闇だらけだ。ちょっとつつくだけで鬼が出る。 あいつは鬼に出会っちまったんだ。そして、殺された。 何を知ってしまったのか検討もつかんが、警視庁が揺るぐくらいの秘密だろうな」
おいそれと信じられるような話では無かった。 しかし、嘘とも思えなかった。
(メ`ωメ)「真犯人を捜し出して、この手で捕まえる。 上手く事が運べば、また警察に戻れるだろう。 そうしたら俺は、あいつを殺した黒幕をこの手で暴いてやるんだ」
淡々と語っていたが、瞳の中には高熱度の怒りが見えた。 それは汚名を晴らす為であり、友の仇を討つ為でもあるのだろう。
('A`)「……そうか。悪かった」
(メ`ωメ)「いや、いいさ」
- 478 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:22:21.52 ID:FVOz5oBx0
-
街灯の光をくぐり、車は飛ばしていく。 人気の無い林道は薄暗く、ハイビームで走る必要があった。
(メ`ωメ)「そういや兄弟。あの金はどうしたんだ?」
('A`)「ああ、あれか。友達にやったよ」
(メ`ωメ)「ば……! あれはお前への報酬のつもりだったんだぞ」
('A`)「ありがとよ。しっかりと社会に役立てたさ」
「元々は俺の結婚資金だったんだがな」少し寂しそうに、ブーンが呟く。 「相手はいたのか?」という問いに、ブーンは舌打ちで返した。
(メ`ωメ)「!」
('A`)「?」
バックミラーを見ていたブーンは、何かに気付いたように突然後ろを振り返った。 ドクオはすぐに悟り、身を強ばらせた。
- 483 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:24:21.56 ID:FVOz5oBx0
-
恐る恐る後ろを振り返り、ドクオはソレを確認した。 闇にとけ込むバンが一台、真っ直ぐこちらに向かってきている。 ライトをつけておらず、接近するまで気がつかなかった。
(;'A`)「……」
(メ`ωメ)「しつこいな……くそ」
そのバンは酔っぱらいのように、ふらふらと走行している。 しかしカーブの度に、徐々に距離を詰めてきていた。 ブーンの運転では、追いつかれるのは時間の問題であった。
(メ`ωメ)「く……まずい!」
(;'A`)「うわ……ああああ――――!!!」
カーブで減速したブーンに対し、バンはフルスピードで突っ込んできた。 横から体当たりされた車は、ガードレールにバウンドし、壁に激突する。
後部座席に乗っていたドクオは、車の中でピンボールのように転げ回っていた。 上も下も無くなった世界で、一瞬だけ意識が遠くなる――。
- 487 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:26:33.37 ID:FVOz5oBx0
-
(゚A゚)「!」
数秒間だけ、ドクオは気絶していた。 エンジンは停止し、車は壁にめり込んでいる。
ブーンはハンドルに突っ伏して、ぴくりとも動いていない。 割れたフロントガラスから、ガレキの屑が中に入ってきた。 ブーンの頭や体に、さらさらと降り積もる。
(;゚A゚)「ブーン! おい……嘘だろ……!」
呼びかけても、何も反応が無い。 身を乗り出して、生死を確認しようとした時、目の端で何かが動いた。
- 489 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:28:23.34 ID:FVOz5oBx0
-
(;'A`)「……?」
(;゚A゚)「――!」
それは、狂気だった。 焼けただれた顔と、血走った目つき。 足を引きずる様は、まるでゾンビの様で。
_ (※゚Д%)「みぃ……つぅ……けぇ……たぁ……」
底なしの悪意を携えたそれは、まさしく狂気のカタマリだった。
(;゚A゚)「うあっ……うわあああああ……あああああ――――!!!!!」
喰われる。 このままでは、あの男に。
殺さなければ、殺される。
倫理も法も糞もない、単純な論理だ。 ブーンから渡されていた拳銃を手に、ドクオはドアを蹴り開けた。
- 497 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:30:07.12 ID:FVOz5oBx0
-
(;゚A゚)「はぁ……! はぁ……! はぁ……! はぁ……!」 _ (※゚Д%)「コ……ロス……ぉ……前を……」
(゚A゚)「ああああああああ――――――――!!!!!」
両手で拳銃を持ち、引き金を引く。 しかしジョルジュを捉える事無く、弾丸は虚空へと消えていった。
相手との距離はまだ20メートルある。 素人が撃てば、まず当たらない距離だ。
_ (※゚Д%)「ぃひぃひひ……コわガル事ハ無ィ……楽にコロしテゃる……」
(;゚A゚)「来るんじゃねえ! 来るんじゃねえ――!!!」
立て続けに二発。 しかしやはり当たらない。
ジョルジュは懐から拳銃を取りだした。 片手で構え、撃つ――。
(゚A゚)「ああああ!!! あああああああ!!!」
- 505 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:32:18.72 ID:FVOz5oBx0
-
映画やアニメなら、格好つけて躱すか、微動だにしないだろう。 しかし拳銃を向けられ、パニックになったドクオは、地面を転げ回った。
それが功を奏したのか、弾丸は当たらず。 再び立ち上がり、ドクオも銃を向ける。
(;゚A゚)「死ね! 死ね! 死ね!!!」
体の震えが伝わり、銃身が安定しない。 撃った弾は目の前の地面に当たり、火花が一瞬辺りを照らした。
_ (※゚Д%)「コヮイか……? 死ヌのガ怖ィか……?」
(;゚A゚)「う……」
立ったまま、ドクオは胃の中のものをはき出した。 口内に嫌な酸味が広がる。 夕食に食べたガーリックステーキの臭いがした。
- 507 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:34:19.08 ID:FVOz5oBx0
- _
(※゚Д%)「ぉレは怖ク無ぃ……」
ジョルジュのブローニングが火を噴く。 ドクオは反射的に身を仰け反らした。
(;゚A゚)「!?」
肩口に熱を感じ、手で覆う。 ぬるりとした感触で、血が出ているのがわかった。 弾丸が肩をかすめたのだ。
(;゚A゚)「ひぃあ……へああああああ――――!!!!!」
焦燥が頭を焦がし、無茶苦茶に引き金を引かせる。 二発の銃声の後、撃鉄が空回りする音だけが続いた。 弾が、切れた。
(;゚A゚)「あ……あああ……」
- 515 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:36:02.74 ID:FVOz5oBx0
-
足の力が抜け、へなへなと座り込んだ。 もう抗う気力は無かった。
ジョルジュは愉快そうに目を細め、ゆっくりと歩いてくる。 もう距離は無く、手を伸ばせば届きそうだ。
銃がドクオの顔面を捉える。 小さな銃口が、大口を開けた獣に見えた。
(;゚A゚)「――――――――」
――よよよ、よ、良かったら……ぼ、僕と結婚……
――良いに決まってるだろ。さっさと式場を決めるぞ
――や……やったー!
- 521 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:38:09.53 ID:FVOz5oBx0
-
――生まれたぞ。お前と、私の子だ
――よく頑張ったな!
――名前は何にしようか
――二人の名前から取って、ナオにしないか?
――お前の名前が消えているぞ……
――パ……パ……
――お、おい、今喋ったぞ! しかもパパって言った!
――ああ、3日前にママって言ってたぞ
――そ、そっか……でも嬉しい!
――ふふ……そうだな
- 523 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:39:00.39 ID:FVOz5oBx0
-
――パパー! ママが怒るー!
――ははは。もう許してやりなよ
――お前のパソコンに水鉄砲を撃ったんだが
――ば、バックアップあるから……
――はっぴぃばーすでぃ!
――え、今日俺の誕生日だっけ!?
――忘れてたのか?
――自分の事となるとどうも物覚えが……
――プレゼントだ。ほうれ
――ほれー!
――び、美女二人が体にリボンを巻いて……! 鼻血が……
――ギャ――! パパが血だしてる!
――デスマッチ後の大仁田厚みたいになってる! ナオ、ティッシュ取って!
- 526 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:40:17.51 ID:FVOz5oBx0
-
(;A;)「……」
走馬燈が見せてくれたのは、最高の思い出だった。 死ぬ前に、良いものが見れた。 ドクオは夜空を見上げ、二人の未来を祈った。
(;A;)「……幸せにな」
_ (※゚Д%)「――死ネ」
- 537 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:42:17.96 ID:FVOz5oBx0
-
鈍い音がした。 あきらかに、発砲音では無かった。
顔を戻すと、銃口をこちらに向けたまま、ジョルジュが静止しているのが見えた。 見続けていると、体がぐらり揺れ、その場に崩れ落ちる。
(メ`ωメ)「……」
(;A;)「……」
ジョルジュのすぐ後ろに、レンチを持ったブーンがいた。 何も言葉は出なかった。 ドクオはただ、泣き続けていた。
ただし、悲しみではなく、安堵の感情で。 死ではなく、生を感じて。
ただ、泣き続けていた。
- 542 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:44:20.80 ID:FVOz5oBx0
-
: : : : : : : : : :
(メ`ωメ)「ここで降ろすぞ。あとは歩いていけるな」
('A`)「ああ。色々ありがとうな」
ひしゃげたバンからドクオが降りる。 後部座席には、ガムテープでぐるぐる巻きにされているジョルジュがいた。
真夜中のベッドタウンは、静けさに包まれていた。 この近くに、ドクオの住んでいるアパートがあるのだ。
(メ`ωメ)「礼はいらない。言われる筋合いが無いさ」
('A`)「そうか。あ、じゃあ一つ」
(メ`ωメ)「うん?」
- 547 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/14(金) 23:45:55.76 ID:FVOz5oBx0
-
(#'A`)「うらあ!」
ドクオは思い切りブーンの頬を殴った。 最初はぽかんとしていたブーンだったが、ドクオが笑うと、つられて笑い出した。
(メ`ωメ)「ふん。食えない奴だ」
('A`)「お前が言うな」
('A`)「そういや……どうするんだよ、そいつ」
顎でジョルジュの事を示す。 ブーンはにやっと笑い、言った。
(メ`ωメ)「俺はこいつに用がある。後は任しとけ」
('A`)「用?」
(メ`ωメ)「こっちの話だ兄弟。じゃあな」
('A`)「あばよ」
- 582 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:01:07.10 ID:p8b2braX0
-
バンが走り去っていくのを見届けてから、ドクオは歩き出す。 見慣れた風景が、本当に帰ってきたのだと実感させられる。
しかし時刻は深夜0時を過ぎている。 結婚記念日には、間に合わなかった。
(;'A`)「はあ……」
それに、明日になれば警察に行かなくてはいけない。 全ての事情を話し、場合によっては法廷に行くこともあり得る。 ようやく帰れたというのに、心の中のわだかまりがドクオを憂鬱にさせる。
('A`)「……」
いつの間にか、アパートの前まで来ていた。 自分の部屋には、明かりがついている。 おそらく鬼のように怒っているだろう妻を想像すると、また気分が落ち込んだ。
- 585 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:01:55.46 ID:p8b2braX0
-
階段を上り、二階へ行く。 重い足取りで自分の部屋を目指した。 鍵は開いていて、取っ手を回すと簡単に開いた。
(;'A`)「あ……」
目の前で仁王立ちしている女に、ドクオは背筋を凍らせた。 普段から時間に厳しい彼女を、何時間も待たせたのだから。
「……」
(;'A`)「あ……あの……」
「……」
(;'A`)「ごめん、電話した? 携帯が壊れてて……」
「……」
(;'A`)「パーティ開くって言うから、ちゃんと帰ろうとしたんだけど……その……」
「……」
- 592 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:02:44.75 ID:p8b2braX0
-
(;'A`)「……ナオはもう寝た?」
「……」
腰に手を当てたまま、女は無言で頷く。
(;'A`)「ごめん……本当にごめん。いい訳はしないよ……」
「……」
(;'A`)「……」
「違う」
(;'A`)「え?」
「お前が言うべきなのは、そういう言葉じゃないだろう」
('A`)「……クー」
- 600 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:03:42.41 ID:p8b2braX0
-
川 ゚ー゚)「おかえり」
「ただいま」('∀`)
終わり
- 632 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:06:29.36 ID:p8b2braX0
-
~ エピローグ ~
後日、ドクオは全ての事情を話す為、警察へと出向いた。 取り調べの為に、数週間の拘束を余儀なくされる。
妻子が見守る中、法廷で下された判決は、全て不可抗力の事故と見なしての無罪であった。 この判決には、復職したブーン警部と、ツン警視の力添えがあった事を、ドクオは知らない。
(メ`ωメ)「最近見合いにいってないみたいだな」
ξ゚⊿゚)ξ「どうせ無駄だし、もう必要無いわ」
(メ`ωメ)「どういう事だ?」
ξ゚⊿゚)ξ「さあな」
エピローグ 完
- 646 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:09:45.95 ID:p8b2braX0
- ご愛読どうもでしたー【+ 】ゞ゚)
途中で投下やめてごめんなさい。時間配分を間違えてたもので。
とりあえず俺は終わりですたい。 この後実験の投下だよー。
あと名前欄について突っ込みはしないように!
- 657 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:12:34.33 ID:p8b2braX0
- 良い雰囲気だから、いっそ投下せずにこれで終わりたいな…。
もの凄く重い話なんだこれが…。
あ、ちなみに僕実験です( ´∀`) 名前欄は見ないで下さい。
みんなの安眠の為に、急いで投下するね。
- 660 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:14:06.78 ID:p8b2braX0
-
姉さんの三回忌は、何の滞りもなく終わった。 淡々と進んでいったその単純作業に、何か意味があるとは僕には到底思えなかった。
親戚たちの会話には、姉さんのこと以上に、僕の母さんのことが挙がっていた。 僕の母さんは今入院している。もう、長くないらしい。
(-@д@)「なあ、茶を出すからちょっと手伝ってくれ」
「うん……わかった」
( -@)「台所に湯飲みがおいてある。あ……湯を沸かしてなかったな」
あんなに大きく頼もしかった父さんの背中が、この二年で丸く、小さくなった。 僕の家族は、再生しようが無いほど、バラバラになっていた。
――世界で一番やさしい嘘
- 663 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:16:10.42 ID:p8b2braX0
-
学校が終わると、病院に行くというのが日課になっていた。 近道をする為に、いつも通っている商店街を抜ける。
その時、新しい花屋が出来ているのを見つけた。 はっと思いついた僕は、アネモネの花を買いに花屋に寄った。 母さんが、好きな花だったから。
川%д川「いらっしゃい。誰かへのプレゼントかしら?」
「あ……母さんに、アネモネの花を……」
川%д川「わかった。ちょっと包んでくるね」
店長だろうか。僕の母さんと同い年くらいの人がいた。 一瞬顔の火傷に反応してしまったけど、気付かれただろうか。 きっとまた来るだろうから、嫌われていなければ良いけど。
アネモネの花束をもって、病室の入り口を抜けた。受付の横を通り、階段を目指す。 途中すれ違ったおじいさんが、僕が手に持っているアネモネを見て、顔をしかめた。
ひょっとしたら、アネモネはあんまり縁起が良くないのかもしれない。 アネモネの花言葉は、何だったろうか。 でもそんなの気にしていられない。 僕の母さんが好きなんだから、それでいいじゃないか。
- 665 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:17:09.01 ID:p8b2braX0
-
看護師の人が僕に気が付くと、軽く会釈をしてくれた。僕も慌てて頭を下げる。 毎日病院に通っているので、ここで働く人は大体僕のことを知っている。 僕の母さんのことも。母さんの病気のことも。
母さんの病室は個室で、他に誰もいないから、気兼ねなく毎日来ることが出来る。 病室の扉をノックすると、中から母さんの声が返ってきた。 声だけ聞くと昔と変わらない。
扉を開け中に入る。 母さんは上半身を起こして、僕の方をじっと見ていた。
('、`*川「どなたですか?」
母さんはもう、僕のことを覚えていない。 よくわからないけど、そういう病気なんだ。
- 670 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:19:01.06 ID:p8b2braX0
-
以前病院の先生から、病気のことを説明してもらった。 でも高校生の僕には、よくわからない病気だった。
たぶん父さんも完全に理解している訳ではない。 わかったことは、脳がどんどん病気に冒されていって、いずれ死ぬということだけだ。
「花を持ってきたよ。アネモネ、好きだよね」
('、`*川「あらあ嬉しいわあ。どうもありがとう」
母さんは子供のようにニコニコしている。やつれた頬が、痛々しかった。 僕は花瓶に水を入れ、束になったアネモネを入れて、窓際に飾る。 カーテンは全開になっていて、太陽の光がとても眩しく、目がくらんだ。
('、`*川「いい天気ですねえ」
「うん。そうだね」
殺風景な病室から見える青空が、妙に儚く、切ない色に見えた。
- 672 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:20:21.31 ID:p8b2braX0
-
母さんのいる方から、ガタガタと引き出しを漁る音が聞こえた。 振り返ると、ベッド横に置いてある机の引き出しから、紙を一枚取り出しているのが見えた。 その紙には見覚えがある。
('、`*川「これ見て下さいな。うちの娘がコンクールで優勝したときの表彰状です」
僕の姉さんが中学生の時とった、読書感想文のコンクールの表彰状だった。 最優秀賞という字が大きく書かれた紙の下の方に、ハインという名前が楷書で書かれている。
母さんは僕や父さん以外にも、病室に訪れる人みんなに、姉さんの話をしていくそうだ。 どんどん記憶を失っていく中で、姉さんの記憶だけが鮮明なものとして残っていた。
- 675 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:21:15.58 ID:p8b2braX0
-
「五万円分の図書券をもらったんだよね。姉さん、こんなの使い切れないってぼやいてた」
('、`*川「うちの娘は本当に出来た子でねえ。最近見ないけど、元気にしてるのかしら」
姉さんは本当に良く出来た人だった。 勉強は学校でトップだったらしいし、 部活でやっていたソフトテニスでは県二位という成績を残している。
優しくて裏表の無い性格で、友達も多かった。 何もかも、僕とはまるで正反対だった。
('、`*川「あの子は本当に優しくてねえ。 私が熱を出した時とか、おかゆを作ってくれて……。 おいしかったわあ。おかゆ」
- 676 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:22:02.15 ID:p8b2braX0
-
どうして姉さんが死んで、僕が生きているんだろう。 どうして母さんは姉さんしか覚えていないんだろう。
あ、そうか。
('、`*川「誕生日には毎年アネモネの花をもらってるのよ。 あら不思議、花瓶にアネモネが挿してあるわ。誰がやってくれたのかしら」
母さんの中では、姉さんは生きているんだ。 死んでいるのは、僕の方なんだ――。
- 678 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:23:05.91 ID:p8b2braX0
-
病院を出ると、病室で見ていたような青空はなく、分厚い雲が空を覆っていた。 この雲が世界中を覆ってしまえばいいのに。光が無ければ、影も消える。
生まれた時からずっと日陰を歩いてきた。 姉さんという光が生み出した影の中で、僕はずっと息をひそめて生きてきたんだ。
光は消えて、影も消えた。 影の中にいた僕は、誰にも気づかれることなく、消えていった。
家に着く頃には外は暗くなっていた。冷たい風が体から体温を奪う。 玄関のドアを開けると、中は真っ暗で、まだ父さんが帰っていないのだとわかった。 二階にある自分の部屋に入り、カバンを床に投げ出しパソコンの電源をつける。
- 680 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:24:34.98 ID:p8b2braX0
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インターネットに接続し、アネモネの花言葉を検索する。
『悲哀』『薄れゆく希望』『見放される』 真っ先に出てきたそれらの言葉を見て、それ以上調べるのをやめた。
ふと携帯の電源を落としたままになっていることに気がついた。 病院に入るとき電源をOFFにしてから、戻すのを忘れていたらしい。
電源をつけ、新着メール問い合わせをすると、父さんからメールが来ていた。 今日は遅くなるから、一人で適当に食べてくれ、とのこと。
姉さんが死に、母さんが病気になってから、家に帰るのが遅い日が多くなった。 そして遅く帰ってきた日は、例外なくべろべろに酔っていた。
大人はずるい。そうやって酒に逃げることが出来るからだ。 僕にはどこにも、逃げる場所が無い。
光が無いと、影も出来ないから。
- 683 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:26:04.56 ID:p8b2braX0
-
文化祭が近いので、学校の雰囲気も慌ただしい。 僕はまだ一年生なので、仕事は無いだろうとタカをくくっていたが、違うようだ。 ちゃんと一年から、きっちりと仕事を回された。
ξ^⊿^)ξ「まだ役員が決まってない人いますか?」
HRの時間を使い、文化祭で何を担当するか決めている。 総合担当の文化祭委員や、出し物担当のステージ係。
いろんな役職があるが、僕は体を小さくしてただ会議を見守っていた。 友達同士で役に就く人が多いみたいだ。友達が少ない僕は、そんな事出来ないけど。
ξ^⊿^)ξ「――え。ねえ」
「……あ、僕?」
- 686 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:26:59.14 ID:p8b2braX0
-
会議の進行役、クラス委員の内藤さんが僕を見ている。 どうやら僕以外の人の役職が決まってしまったらしい。
ξ^⊿^)ξ「あと一つしか残ってないけど……」
「あ、それでいいよ」
ξ^⊿^)ξ「本当に?」
「うん」
みんなから注目されるのが嫌だから、さっさと決めて欲しかった。 でも黒板に書かれている事を、もっとよく見ておけばよかったと、この直後後悔する。
ξ^⊿^)ξ「じゃあ、女装コンテストお願いね」
「え?」
- 688 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:28:37.73 ID:p8b2braX0
-
ξ^⊿^)ξ「今日の放課後から、それぞれの役に分かれて仕事をします。 三年生の人の指示によくしたがって下さい」
「……」
元々、文化祭に何かを期待していた訳じゃない。 でもそんな事は関係なく、気が滅入った。
放課後になり、それぞれの役職で分かれて行動し始める。 この文化祭では、学年が違うクラスが一つのチームとなり、準備を行うことになっている。
その中で役職ごとに分かれるから、先輩たちと会議をする訳だ。 僕の女装コンテストは一クラスにつき一人。 だから一つの教室で、全てのチームが集まるらしい。 指定された、多目的ルームへと急ぐ。
- 692 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:29:37.13 ID:p8b2braX0
-
教室には、既に他の人は集まっていたようだ。 僕が席についた瞬間、会議は始まった。
決まったことは、カツラや化粧道具は三年生が用意するという事。 ただし服は各自で準備、という事だ。
会議が終わると、それぞれのチーム毎で集まる事になった。 三年生と二年生の人に、簡単な自己紹介を済ませる。 驚くことに、三年生の人が既にカツラを準備していた。 僕はショートカットの髪の束を手渡され、再び気落ちした。
次の日、土曜日だったので、僕は昼前に起きた。 父さんの姿はなく、冷めたチャーハンだけがテーブルに乗っていた。 土日が休みということを常識だと思うな、というのが、父さんの口癖。
- 693 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:30:33.54 ID:p8b2braX0
-
何も予定が無いので、ベッドにふんぞり返り、漫画を取り出す。 その時、ふと昨日の会議を思いだした。
女装用の衣装は、各自で用意する事――。
ため息をつきながら、ベッドから体を起こす。 先輩がかなり張り切ってたから、早めに準備をしよう。
自分の部屋を出て、姉さんの部屋に入った。 洋服ダンスの中に、まだ姉さんの私服が残っているはずだ。 故人に失礼だとか、そんなお行儀の良い考えは無かった。 僕は背が小さく、痩せているので、サイズの心配は無かった。 スカートやワンピース等があったが、僕は姉さんの高校の制服を選んだ。 それなら、コーディネートの必要が無いからだ。
- 696 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:32:10.79 ID:p8b2braX0
-
学ランを脱ぎ、セーラー服へ袖を通す。 今父さんが帰ってきたら、まずいことになるな。
カバンからカツラを取りだし、頭に着けた。 ワンタッチで着けられるもので、一人で簡単に出来た。
自分の姿を確認する為に、洗面所へ行く。 絶句したのは、鏡の中の人物を見てからだった。
从;゚∀从「――」
- 700 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:33:49.98 ID:p8b2braX0
-
胸が苦しくなるほど、心臓の鼓動が高まった。 何度見返しても、鏡に映っていたのは、僕の姉さんだった。
そう言えば、母さんや姉さんの友達に、二人は似ていると何度も言われた。 確かに女顔ではあるけど、姉さんは否定していたし、僕自身そう思わなかった。 でも違ったんだ。僕と姉さんは、うり二つだったんだ。
从;゚∀从「……」
一つの考えが頭に浮かぶ。そう、この姿なら。 再び動悸が激しくなる。例えそれが成功しても、何も変わらない。 でも、もしも……もしもそれが、母さんの為になるなら――。
女装して街を歩くことになるなんて思わなかった。 人の視線が怖く、最初はびくびくしていた。 でも誰も僕に気がつかない。この女装はそれほど完璧なんだ。
- 703 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:34:42.37 ID:p8b2braX0
-
病院に行く前に、昨日の花屋へ寄った。 もう一度、アネモネをプレゼントするんだ。
川%д川「いらっしゃい」
从 ゚∀从「あ、あの……アネモネを下さい」
川%д川「うん。包むから、ちょっと待ってて」
良かった。僕の事はばれていないみたい。 はっきり言って、通報されてもおかしくない格好だから、内心はドキドキだ。
川%д川「はい、出来たわ」
从 ゚∀从「ど、どうも」
川%д川「二回目だと、慣れちゃった?」
从;゚∀从「え?」
- 705 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:36:54.00 ID:p8b2braX0
-
川%д川「どうもありがとう。良かったら、また来て下さい」
从;゚∀从「は、はい……」
二回目って言った。僕のこと、覚えてたのかもしれない。 でも何も言わなかった。僕が男って事、知っているはずなのに。
考えても仕方ない。これは、あの人の勘違いだということにしよう。 女装した高校生を見て、あんなに平然としてられる訳ないだろうし。
商店街を抜けると、急に太陽の光を浴びたので、目がくらんだ。 背の低いビルの向こうに、水彩絵の具をこぼしたような青空が顔を見せていた。
いつ見ても、この空は不快な眩しさを放っている。 まるで、暗い闇の底にいる僕を、あざ笑うかのように。
- 707 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:37:27.06 ID:p8b2braX0
-
病院の入り口をくぐり、階段を上り、いつもの病室の前に出る。 マジックで書かれた名札がかけられている病室。もう見慣れたものだ。
ノックをする。いつもの母の声。何も、変わらないのか……? そう思い扉を開けたが、僕を見る母の目は、今まで見たこと無いくらい輝いていた。
('、`*川「ハイン……! ハイン! 来てくれたのね!」
从 ゚∀从「あ……母さん……」
('、`*川「さあ、こっちに来て座りなさい。学校はどうしたの? 今日は休みなの?」
僕は迷った。まさか、こんなにあっさり成功するなんて、思ってなかったからだ。 どうする。言うべきか。僕は、姉さんじゃないと。
でもこんなに嬉しそうな母さんを見るのは、病気になってから初めてだった。 僕に母さんから笑顔を奪う権利なんて、あるのだろうか。
- 709 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:38:04.90 ID:p8b2braX0
-
从 ゚∀从「今日は……創立記念日で休みだから」 ('、`*川「あらそう。良かったわねえ。 貴方が来るのを知ってたら、メロン食べずに取っておいたのに!」
痩けて肉がそぎ落ちた顔で、母さんは満面の笑みを浮かべる。 こんなに笑ってくれるなんて、何だか僕の方まで嬉しくなってしまった。
从 ゚∀从「あの、これ買ってきたよ」
('、`*川「やだ、アネモネじゃない! ありがとうハイン。 これね、この前も誰かが持ってきてくれたのよ」
从 ゚∀从「あ……そうなんだ」
('、`*川「本当にありがとう。そこら辺に置いておいて。 そうそう、聞いてよハイン。あのね、母さん昨日ね……」
- 712 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:39:07.45 ID:p8b2braX0
-
饒舌になった母は、止まることなく話し続けた。 僕はときどき相づちをうちながら話を聞いていた。
注射が下手な看護師や、まずい入院食のこと。 それでもやはり、一番多いのは姉さんとの思い出話だった。
姉さんが生まれた日から、十七歳で亡くなるまで、一つ一つの思い出話を母さんは語った。 ただ、姉さんが死んだことについては一言も話さなかった。 その部分の記憶が無いから、今の僕を姉さんと思いこんでいるのかもしれない。
小一時間ほど経ったとき、病室をノックする音が聞こえた。 入ってきたのは、検診にきた担当の医師だった。
(´・ω・`)「ん……君は……」
先生が言い切る前に、母さんが先に僕を紹介した。
('、`*川「先生、ほら、いつも話している私の娘です。どうです、美人でしょう?」
- 714 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:39:46.81 ID:p8b2braX0
-
先生は姉さんが死んだという話を知っている。 母さんが病気にかかったのは、姉さんが死んだことによるストレスが大きく関わっていると前に説明を受けた。
それにもちろん、僕とは顔見知りな訳で。 頭の良い先生が、僕の事を見抜けないはずが無かった。
(´・ω・`)「娘さん、ですか」
('、`*川「ええ」
从;゚∀从「……」
先生が僕の方を見る。僕は無意識に訴えるような視線を投げかけていた。 一瞬だけ、先生が小さく頷いたような気がした。
- 715 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:40:29.84 ID:p8b2braX0
-
(´・ω・`)「……ええ、写真で見た通りですね」
('、`*川「でしょう!」
先生は僕の意図を汲み取り、母さんの話に合わせてくれた。 この時既に、自分の正体を明かすという選択肢は、僕の中で消滅していた。
いや、消滅したのは僕自身か。
(´・ω・`)「はい。検診終わりです。何かありましたら、ナースコールで。それじゃ」
先生は僕をちらっと一瞥し、少し会釈しただけで部屋を出て行った。 全てを委ねる、ということなのだろうか。
- 718 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:41:18.79 ID:p8b2braX0
-
从 ゚∀从「母さん。お昼がまだだから、ご飯食べてくるよ。 食べ終わったら、また来るから」
('、`*川「うん、そうね。ご飯食べないと元気出ないもんね。 お母さんも頑張るから!」
病室の扉を閉め切るまで、笑顔で手を振り続ける母が見えていた。
僕は姉さんじゃない。それはわかってる。 姉さんの代わりにはなれない。それもわかってる。
それでも、最期の時まで、僕は姉さんのふりをし続けよう。 母さんの記憶の中で生き続けているのは、他の誰でもない、僕の姉さんだけなんだから。
本当の僕は、もう死んでいるのだから。
- 721 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:42:18.63 ID:p8b2braX0
-
家に帰ったのは、日が暮れてからだった。 僕の姿を見て、父さんはぎょっとした表情を浮かべていた。 家族でなければ、間違えてしまいそうになるほど、僕は姉さんとそっくりなんだから。
(-@д@)「それ、何なんだ」
从 ゚∀从「……文化祭の衣装。女装コンクールに出る事になって……」
(-@д@)「じゃあ今まで学校にいたのか? その格好で」
从 ゚∀从「違う……母さんに会いにいっていた」
(;-@д@)「何だって……?」
父さんには、昼間のことを全て話した。 これから母さんの前では姉さんに成りきるつもりだということも。 最初は猛烈に反対された。久々に見る怒りの顔だった。
- 726 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:43:19.75 ID:p8b2braX0
-
その格好は、死者に対しての冒涜だと言われた。 でも、僕はもう死んでると言ったら、父さんはそれ以上何も言わなくなった。
母さんは父さんのことも覚えていなかった。 僕たち親子は、もう死んでいるのだ。 夕食を食べ終わった後、食器を洗う父さんの背中が、今日は一段と小さかった。
それからも毎日、学校帰りに病院に寄った。 担当の先生が他の医者や看護師に僕のことを話しておいてくれたらしく、僕の正体がばれることは無かった。
僕と話している時の母さんは、病気が回復しているのではないかと疑う程元気に笑う。 そんな母さんを見ていると、僕の方も病気のことなど忘れるくらい楽しかった。
- 727 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:44:13.55 ID:p8b2braX0
-
そろそろ文化祭が始まる頃だ。 僕は準備さえしておけば、あとは当日働くだけなので、暇になっている。
放課後、忙しそうに準備を始めるクラスメイトを尻目に、一人帰宅しようとした時だった。 担任のナオ先生に肩を掴まれた。
从 ゚ -゚)「帰るのか?」
「あ……はい」
从 ゚ -゚)「文化祭の準備はどうしたんだ」
「僕は、もう全部終わったので……」
从 ゚ -゚)「……そうか」
- 729 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:45:09.55 ID:p8b2braX0
-
無理矢理仕事を押しつけられるのかと思った。 ナオ先生はまだ若いのに凄く厳しい。
从 ゚ -゚)「じゃあ今日はさようなら。 でも暇なときは、他の班の手伝いもするんだぞ」
「……」
意外なほど、先生はあっさりとしていた。 暇なとき、か。僕の母さんの事を知っているから、気を遣ってくれたんだろう。
ナオ先生は凄く厳しい。でも優しくて、凛々しくて、知的で、美人だ。 きっと自分に凄く自信があるんだと思う。
从 ゚ -゚)「あ、待って」
「?」
- 735 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:46:06.43 ID:p8b2braX0
-
从 ゚ -゚)「体調、良く無さそうだな。大丈夫か?」
「……」
ナオ先生みたいな人は卑怯だ。 才能があって、それでいて優しいだなんて。 勝ち負けで無いとは思うけれど、何一つ僕が勝てる事が無い。
まるで姉さんみたいだ。あまりにも眩しくて、傍にいられない。 光に飲み込まれて、消えてしまいそうになるから。 もう……僕は消えたんだろうけど。
「先生……」
从 ゚ -゚)「うん?」
「僕は……誰なんでしょうか」
先生の目つきが変わったのが、すぐに分かった。 僕は突然怖くなり、その場から早足で逃げ出した。
- 736 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:47:05.64 ID:p8b2braX0
-
一時は回復したのかと思った病気も、確実に進行していたようだ。 ある日病室に行くと、虚ろな目で横たわる母さんがいた。
('、`*川「……ハイン」
从;゚∀从「あ、駄目! そのまま寝てていいから」
('、`*川「うん……ごめんね」
口元には、常に呼吸器をつけている状態だ。 口数が減り、姉さんの話すらあまりしなくなった。
それでも頭のどこかで姉さんが生き続けているらしく、ふと思い出したように語り出す。 完全に姉さんの記憶が消えたら、僕が姉さんのふりをする必要が無くなるのだが。
- 737 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:47:36.69 ID:p8b2braX0
-
そのとき僕は、一体誰なんだろうか。 母さんの中の姉さんが死んだら、僕はこの世から完全に消滅するんじゃないだろうか。
それでもいいかと、最近思えてきた。 この世界には、あまりにも辛いことが多いから。
- 740 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:48:24.56 ID:p8b2braX0
-
ある日学校にいるときに、病院の方から連絡が来た。 母さんの容態が急変したという報せだった。
早すぎる。こんな事、想像もしてなかった。 まだ全然大丈夫だと思っていた。 だって昨日まで、つい昨日まで、笑いながら話してたのに――。
从;゚ -゚)「外でお父さんが待ってる。早く行きなさい」
「は、はい……」
从;゚ -゚)「それと……」
- 744 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:49:16.24 ID:p8b2braX0
-
从 ゚ -゚)「君は君だ。君のお母さんの息子だ。それを、忘れないように」
「……はい」
僕は僕じゃない。僕は母さんの中の、姉さんなんだ。 最後まで、最期まで、そうあり続けるべきなんだ。 でも、その時僕は、涙をこらえる事が出来なかった。
学校の外に父さんが仕事で使うバンが止めてあり、それに乗り込んだ。 青い顔をした父さんが、震える手でハンドルを握っているのを見て、僕は何も言えなかった。
空は明るく、快晴だ。なんでこんなに天気が良いんだ。 こんな最低の日に、どうして。
- 749 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:50:33.91 ID:p8b2braX0
-
病院につくと、入り口で先生が待っていた。 父さんは開口一番母さんの容態のことを聞いた。 先生は病室で説明すると言って、僕らはそれに従った。 はやる気持ちを抑えて、先生と一緒に母さんがいる病室へ向かう。
ベッドには、呼吸器をつけて静かに横たわる母さんの姿があった。 先生が父さんに何か言っていたが、僕はそれをあまり聞いてはいなかった。
「母さん……」
('、` 川「……」
ついに母さんは、喋ることさえ忘れてしまった。
母さんの脳を冒している病気は、記憶のみならず、母さんが培ってきた人格さえ破壊したのか。 もう僕が姉さんの真似をしても、意味は無いのだ。
- 751 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:51:34.30 ID:p8b2braX0
-
先生が喋らなくなると、部屋に静寂が訪れた。 父さんは声を殺して泣いていた。 それを見て、ようやく自分も泣いているということに気がついた。 悲しみに満ちた病室で、電子的な機械音だけが、時を刻んでいた。
それからずっと、母さんの傍にいた。 先生や看護師の人たちが代わる代わる病室に来たが、それに対応する気力を僕も父さんも持っていなかった。
僕らは一言も喋らないまま、夜が明けてしまった。 さっきまで看護師の人がいたが、今病室にいるのは僕と父さんだけだ。
締め切ったカーテンから、外の光が漏れている。 母さんの意識があったなら、言葉が喋れたなら、きっとカーテンを開けてと要求するだろう。
- 757 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:52:35.92 ID:p8b2braX0
-
(-@д@)「……ん」
そのとき、カーテンの隙間から差し込んでいた一筋の光が、眠っている母さんの顔にすーっと伸びてきた。 僕と父さんは、まるで魅入られたかのように、光の動きを目で追っていた。
光は迷うことなく、母さんを目指して一直線に進んでいく。 それが母さんの顔の上まで来たとき、奇跡が起こった。
「……!」
(;-@д@)「な――」
眠っているはずの母さんが、ゆっくりとまぶたを起こし、僕たちを見たのだ。
僕と父さんは声にならない悲鳴を上げて、椅子から立ち上がった。 母さんは呼吸器をつけたまま、懸命に口を動かし何かを喋ろうとしていた。
- 759 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:53:17.97 ID:p8b2braX0
-
すぐに父さんが駆け寄り、母さんの呼吸器をそっとずらし、耳を近づけた。 僕も父さんに続いて母さんの口元に耳を近づける。 その時祈るような気持ちだったのは、きっと父さんも同じだったんだろうと思う。
('、`;川「あなた……」
(;-@д@)「……お、お前……!」
小さく、か細い声で、それでも確かに母さんは、そう言った。 父さんが必死に嗚咽を我慢しているのがわかった。
母さんは、父さんのことを覚えていたのだ。 最後の最後まで、父さんを忘れてはいなかったのだ。
- 760 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:53:47.62 ID:p8b2braX0
-
('、`*川「それに……」
母さんは苦しそうに呻いた。まだ何か喋ろうとしている。
僕も父さんも、何も言わずに母さんの言葉を待った。 それは永遠とも思える時間だった。
- 763 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:54:12.33 ID:p8b2braX0
-
('、`;川「……」
- 765 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:54:35.21 ID:p8b2braX0
-
「……」
- 767 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:55:05.85 ID:p8b2braX0
-
- 771 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:55:57.45 ID:p8b2braX0
-
('、`;川「ツー……ちゃん」
(;゚∀゚)「――」
死んだはずの、男の名前だった。
- 775 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:56:46.35 ID:p8b2braX0
-
母さんは、僕のことも忘れてはいなかった。 消滅したはずの僕が、輪郭を取り戻していく。
僕は影に消えてなんかいなかった。 僕は、生きている。僕は、僕だったんだ。
('、`;川「う――」
(;-@д@)「お、おい!」
慌ててナースコールを鳴らす。 すぐに足音が聞こえだし、医者と看護師が駆け込んできた。
途端に母さんが咳き込み、心電図が乱れる。 僕と父さんは母さんの手をしっかり握り、最期の時を待った。
- 777 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:57:21.31 ID:p8b2braX0
-
全て、終わった。 母さんは安らかな顔で逝ってしまった。 まるで生きているようだった。 まだ体温を感じるその体に、死が訪れたという実感は沸かなかった。
母さんのいる病室を後にし、僕たちは医務室へ連れてこられた。 先生に深く頭を下げ、僕たちは泣きながら挨拶を交わした。
その後、親戚へ連絡しなければならないため、部屋から出ようとした僕たちを、先生は呼び止めた。
(´・ω・`)「これは……ペニサスさんから口止めされていたことなのですが……」
それを聞いたとき、枯れ果てたと思っていた涙が、再び流れ始めた。
- 780 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:58:11.50 ID:p8b2braX0
-
母さんは嘘をついていた。 本当は、僕の正体を知っていて、わざと知らないふりをしていたのだ。
母さんは先生にこう言ったらしい。 あの子が私を励まそうとしてる。だからもうしばらく、騙されたふりをしようと思う、と。
思ったより病気の進行が早く、言い出せないまま危篤状態になってしまった。 それでも母さんは、最後の力を振り絞って、僕の存在を教えてくれた。
嘘をついていたのは、僕ではなく、母さんの方だった。
- 782 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 00:59:14.56 ID:p8b2braX0
-
(´・ω・`)「君がハインさんとして病室を訪れた日。 あの日から、奇跡的にあなた方の記憶が戻ってきたのです。 よく思い出話を聞かせられました。 ちょっと支離滅裂でしたけど、私がメモに書き取ってあります」
先生は机の上から、何枚かの二つの紙の束を僕たちに差し出した。 僕が受け取った紙には、小学生の時ガラスを割った事。
中学校のテストで名前を書き忘れ、あやうく零点になりかけた事。 凄く些細なことでさえ、そこには書かれていた。
(´・ω・`)「私から、記憶が戻ったことを話した方がいいと勧めました。 ですが、ペニサスさんはそれをしませんでした。 あの子の気持ちを無駄にしたくないから……と。 結果的に、あなた方に伝えられないままでしたが……」
先生がすまなそうにうなだれると、僕と父さんは顔を見合わせて笑った。
(-@∀@)「いえ、ちゃんと間に合いました。ありがとうございました」
父さんの声に、以前の力強さが戻っていた。僕の家族はバラバラになどなっていなかった。 心のどこかで繋がっていた固い絆は、不治の病でさえも断ち切ることは出来なかったんだ。
- 787 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 01:00:14.96 ID:p8b2braX0
-
(*゚∀゚)「……」
病院から出ると、空は眩しいほどの青空だった。 鮮やかな青色に、もう不快感は感じなかった。
――世界で一番やさしい嘘 終
- 796 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 01:01:47.83 ID:p8b2braX0
- 終わり…終わり!( ´∀`)
遅くまで読んでくれてありがとう。 正直、家に帰るで終わらせた方が良k
とりあえずこの後はあとがきの人に任せます 例によって名前欄は見ないように!
- 808 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 01:07:08.47 ID:p8b2braX0
- ノノノノ
( ゚∋゚) /⌒\/ヽ ありがとう>>624 | ! i i 携帯待ち受けにするよ \\ // ガチで ( ゝミ彡、 ミ二⌒ ) )
( ゚∋゚) いかがでしたでしょうか。友達いない合作
( ゚∋゚) 反省点はいろいろありました。例えば発案から投下まで
( ゚∋゚) 最初は一月に投下予定でしたが、間に合わず
( ゚∋゚) 二月の時点でほとんどの人に忘れられ
( ゚∋゚) 三月に入ると実験…?オサム…?誰だっけ。クックルさんは知ってるけど
( ゚∋゚) みたいな人も多くなってしまいました
( ゚∋゚) もう少し投下が早ければ…と反省しつつ、重大発表があります
- 813 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 01:09:35.43 ID:p8b2braX0
-
|丶 \ ̄ ̄~Y~、 | \_ / \ | \ / / ヽ | \__ ̄ //\ ;! ,ゞi ̄ ̄l‐! ̄ ̄|- 、! i `ー‐"||"---' |b |' | / | / \ ー-- イ/ ヽ _,/ト\  ̄ 実は…
オサム = 実験 = クックルだったんだよなんだってー!?
- 818 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:11:40.17 ID:MkR4VV/yO
- ΩΩΩ <な、なんだってー!!!!??
- 819 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:12:09.57 ID:MJ5KLcARO
- な、なんだってー!?
- 821 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:12:41.10 ID:X+gVakRq0
- なんだっけー?
- 822 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:12:53.63 ID:beapwbfW0
- な、なんだってー!?
- 824 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 01:14:02.45 ID:p8b2braX0
-
この事に憤りを覚える人はいると思います…一人で合作だなんて、詐欺と思われても仕方ありません。 しかし僕は言いたい。例え一人でも、友達いなくても、空気でも。
作品は作れる。やろうと思えば何だって出来るんです。
さて、うまくまとまめる事が出来ないので、最期にエンドテロップ流して終わります。
- 833 名前: ◆CnIkSHJTGA :2008/03/15(土) 01:21:47.64 ID:p8b2braX0
- (⌒\ ノノノノ
\ヽ( ゚∋゚) 企画:◆CnIkSHJTGA (m ⌒\ 制作:◆CnIkSHJTGA ノ / / 監督:◆CnIkSHJTGA ( ∧ ∧ゞ゚) 協力:◆CnIkSHJTGA ミヘ丿 ∩Д` ) 推敲:◆CnIkSHJTGA (ヽ_ノゝ _ノ
スペシャルサンクス
まぐろ姫◆CnIkSHJTGA 黄ばみ王子◆CnIkSHJTGA サモハンティンポー◆CnIkSHJTGA 淫乱NHK集金◆CnIkSHJTGA 他
>>823 その答えはしまっておいてください。
掲示板は記念に残しておきます。明日テストなのでもう寝ます。 遅くまでお疲れ様でした。あどぅー愛してるー。 ノシ
- 857 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 02:48:47.00 ID:zHsIduL60
- 駅に向かうドクオ
 http://boonpict.run.buttobi.net/cgi-bin/up/src/boonpic_1902.jpg
頭の中の風景をトレースするだけなのになんかうまく描けね。
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タイトルと中身が違ってます
[2008/07/12 11:45]
URL | #JalddpaA
[ 編集 ]
>>米1
合ってるよ、作品全部で一人合作「友達がいないようです」だよ
なんならググって見ればしたらばとか残ってると思うよ、それかブーン系の歴史を待て
[2008/07/15 07:46]
URL | #-
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