mesimarja
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('A`)はメルヘンの町に生きるようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:22:32.05 ID:F4YamYFp0
ララライララライ


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:24:17.77 ID:F4YamYFp0

ビルの隙間から射す太陽の光に目を細めながら、俺はただ歩いていた。
黒のトレンチに身を包み、頭にはソフト帽を目深に被る。
まだ肌寒い朝の匂いを感じながら、ふ、と口元に笑みをもらした。

('A`)「ふふっ……」

近くで野良犬が一声吼えた。
しかし俺が口笛を吹きながら睨むと、情けない声を出して逃げて行っちまう。
おいおい、今日日の野良犬は根性がないねえ。

不敵な笑みを向けながら、今日の朝飯に思惑を巡らせる。
するとふと、煙草が切れていることに気づき、ポケットの奥を探り、口にくわえて大きく吹かした。

('A`)「ふぅ~~~………」
   
そう…シャボン玉を。


( A )「…………はぁ」

シャボン玉はそのまま大きく空へと舞い上がっていき、やがて小さな音と共にパチンと弾けた。
同時に俺は持っていた箱を握りつぶし

(#'A`)「って、やってられるか―――――――っ!!!」

そのまま地面へと叩き付けた。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:24:55.18 ID:F4YamYFp0






~('A`)はメルヘンの町に生きるようです~






7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:26:57.84 ID:F4YamYFp0


『closed』

路地裏にある薄汚い小さな店。
煉瓦造りのぼろっちい店先にそんな看板が取り付けられているのを見つけて、俺は盛大なため息をついた。
まあ、こんな朝早くじゃやってないのは当然なんだけどさぁ。

帰ろうかと足を反対方向に向けたが、やはり元に戻し、そのままの勢いで、店の中へ入っていった。
ここのマスターとは昔からの付き合いだし、まあ、入ってしまえばこっちのもんだろう。

――――カランカラン

('A`)「邪魔すんぜー!」

(´・ω・`)「まだ準備中だよーって…なんだ、君かい」

勢い良く中に入ると、しょぼくれた顔のバーテンダーが振り向いた。
どうやらグラスを磨いている最中だったらしい。白い布巾で磨かれたグラスは美しく輝いている。

俺は勝手にカウンターの前へ座るとテキーラを一つ頼んだ。

(´・ω・`)「だからまだ準備中なんだってば。 全く、相変わらず人の話を聞かない男だねえ」

ショボンの話を無視して、俺は重鎮な口ぶりで言う。

('A`)「……ショボン、俺は決めた。 決めたぞ。今日だ、今日こそこの町を出て行く!」


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:27:57.52 ID:F4YamYFp0

(´・ω・`)「そのセリフは昨日も聞いたよ」

('A`)「今日こそは本気だ!」

(´・ω・`)「無駄だと思うなー」

こっちを見ようともしないで戸棚を開く男に向かい、俺は怒鳴りつける。

(#'A`)「何でだよ! 俺はな! ただハードでボイルドな生活に憧れているだけなんだよ!!?」

(´・ω・`)「そんなこと言っても仕方ないじゃない。 はい、ハチミツミルクお待ちどうさま」

ことり、とピンクのグラスの中でたゆたう液体を見た瞬間、思わず叫んだ。

(#'A`)「テキーラはどうしたぁっー!?」



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:29:23.19 ID:F4YamYFp0




俺が住む町、メンヘル町はもともと小さな土地に佇む、寂れた町だった。

住人も少なく、一歩間違えば過疎寸前なこの町は、いつもすぐに迫ってくる隣街からの侵略に怯えていた。

もともと薄弱な町だし、町長もヘタレだったから武力でも行使されてしまえばすぐに潰れてしまう
そんな町だったんだ。
誰もがいつか潰される、そう思ってたよ。

だけど予想に反して、ある日突然この町は生まれ変わった。
いや、生まれ変わったというよりも、変身した。

それもこれも、町長の一人娘が町長の後を継いでからだ。

('A`)「何がメルヘンだ、何が夢いっぱいの町だ!」

ガン、とカウンターにハチミツミルクを叩きつけた。
舌にまとわりつくような甘さに反吐が出る。

(´・ω・`)「いい娘だと思うけどねえ」

('A`)「そういう甘さが付け上がらせるんだよ!!」

町長の娘である、彼女は言った。
その顔に笑みを浮かべながら。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:31:26.80 ID:F4YamYFp0

『この町を夢でいっぱいにしましょう。そうすれば絶望に暮れることなんてなくなりますわ』

『メルヘンな町に致しましょう。 誰もが明るく、楽しく、希望に満ちた生活を送れるような、可愛らしい町に』

『皆様が私を応援してくださるのならば、私は決して皆様を裏切ったりなんて致しません
 夢を、愛を、希望を、未来を、皆様にお届けします! 約束ですわ』

金色の髪をふわりと浮かせ、風船のようなスカートを翻し、彼女は笑う。
小鳥囀り太陽が彼女を照らし出す、それはまるで女神のごとく。

町の中に笑顔が満ちて、希望の声が響いたのはその瞬間だ。
歓声が町を包み込んだ。

こんな小さな町の何処にそんな声を出すパワーが潜んでいたのかと思えるほどに。

少女はこの時まだ幼く、一体何が出来るのか、という疑問の声も上がったが彼女はそれを全て笑顔で制した。
まるで聖母にも似た、慈愛に溢れた笑顔だった。

ζ(^ー^*ζ「メルヘンな町を、皆様に!」

その日から、このメンヘル町はメルヘンタウンに名を変えた。
俺という、ハードボイルドに憧れる男を残して。


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:33:04.22 ID:F4YamYFp0





('A`)「何がメルヘンだ、ふざけんなっつーの。このっ」

(´・ω・`)「店の椅子を叩かないでよ」

('A`)「キノコじゃねーか、このこのっ!」

(´・ω・`)「男性器だと思えばいいじゃない」

(;'A`)「よくねーよお前何言っちゃってんの!?」

気持ち悪いことを言い出したマスターに突っ込みを入れてから(漫才的な意味で)
俺はカウンターに突っ伏した。
ここに来るといつもそうだが、泣きたい気分になってくる。

('A`)「はぁ…なんでこんなことになっちゃったんだろうなあ…」

(´・ω・`)「……………」

('A`)「誰もおかしいと思わねえのかよ…。煙草の自販機はハチミツを搾り出す機会に変わっちまうし。
   酒はこのとおり甘ったるいミルクセーキだ」

(´・ω・`)「ハチミツミルクだよ」


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:35:13.06 ID:F4YamYFp0
('A`)「いいよどっちでも。外にでれば風船が空飛んで、
    ファンファーレの音にあわせて皆口々に甲高い声で喋りやがる。
    俺にはもうこの町はメルヘンっつーより狂った世界にしかみえねーよ」

(´・ω・`)「ハチミツミルクだよ!」

(;'A`)「わかったってば!しかも女はどんなピザでも自分のことを
    『私お姫様だからぁ、あなたとは付き合えない(笑)』とか言ってくるし
     あれが一番腹立つっつーの、お呼びじゃねえんだよ!」

(´・ω・`)「ハードボイルドに女は不要じゃなかったの?」

('A`)「イイ女は必要なんだ」

どっちにしても君には関係ない話だよね、と続けるショボンに睨みを聞かせるが
奴はまるで答えてる風もなく、カウンターを拭き始めた。

(´・ω・`)「まぁでも実際、彼女が来てからこの町はいい方向に変わったと思うよ?
      今まで敵対してた近隣の町との友好関係を築いているし」

('A`)「それだよ」

(*´・ω・`)「え、どこ?やだドックン…何処見てるの?」

('A`)「それがまずおかしいんだ。なんであんな小娘にそんな芸当ができるんだよ?
    確かに可愛いけど、町を動かせるほどってわけでもないだろ。あとお前気持ち悪い」

(´・ω・`)「ノリが悪いなあ。町長という権限と、巧みな話術、それからあの慈愛に満ちた笑顔。
     これらの要素が強いんじゃないかな?
     あの笑顔は不思議だよね、人の心を暖かくさせる」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:38:13.49 ID:F4YamYFp0

('A`)「それだ!俺がおかしいと思ってるのは!」

俺はカウンターを勢いよく叩いて立ち上がった。
そうとも、問題はその部分だ。
あの笑顔、見るものの心に希望を与え、何者も自らの下につかせてしまうあの笑顔が問題なのだ。

俺はショボンの耳元に口を寄せ小さくと呟いた。

('A`)「ここだけの話だがな…ショボン。俺はあの娘をモンスターだと思ってる」

(´・ω・`)「なるほど、ハートをゲットだぜ!て作戦かい?ハハッワロス」

(;'A`)「いやそういう比喩的な意味じゃなくて!ていうか失礼だなお前」

(´・ω・`)「大体前半ハードボイルド系で攻めてたくせにいきなりそんなファンタジー要素出されても対応に困るんだよね」

(;'A`)「お前は一体誰視点なんだよ!だからそうじゃなくて…!」

前々から思っていたことだけど、どうにもこのマスターは人の話を真面目に聞かない節がある。
しかしこれでも俺は必死なのだ。これから先のことを話そうと思った時、店のベルが再びりんと鳴り響いた。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:39:56.89 ID:F4YamYFp0

――――カランカラン

俺たちが扉の方へ目を向けると、そこにはこのメルヘンの町に似つかわしくない
古びたローブを着た奴が突っ立っていた。
まるで一昔前の魔女を髣髴とさせる、そう考えると意外にもメルヘンか?

(´・ω・`)「まだ準備中だよ」

ショボンがそう言っても、そいつは引き返すことなく、それどころかどんどん店の中へと入ってくる。
なんだこいつ、無礼な奴。

('A`)「おい、準備中だって言ってんだ…」

ろ、という言葉まで続かなかった。
店の中まで来て、ローブを取った女の顔が…

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと…聞きたいことがあるんだが…」

(;'A`)「!!」

(´・ω・`)「おや」

まるで、町長の娘にそっくりだったからだ。


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:43:58.78 ID:F4YamYFp0





その女はツンといった。
旅の者だとだけ話したが、そのローブはなんだ?こういっちゃなんだが怪しすぎるぞ。

ξ゚⊿゚)ξ「この町に入ってから、やたらと追いかけられるからな、顔を隠すには丁度いいんだ」

('A`)「ああ…まあな」

確かにあの女クリソツのその顔では彼女のファンに追い掛け回されるかもしれない。
しかも彼女ならあの笑顔で信者共を黙らせることは出来るが、この女は別人だ。
それに顔は似ていてもどうやら中身はかなり違うようだった。

ξ゚⊿゚)ξ「出来ればテキーラを頼みたいのだが…」

(´・ω・`)「悪いけど、うちじゃハチミツミルクしか作れないね」

ξ#゚⊿゚)ξ「そんな甘ったるいものを出すのか!バーだろうここは!」

まったくもってその通りだ。

(´・ω・`)「バーだけどさ、君この町の事情知らないの?」

ショボンが言うと、ツンは神妙な顔をして押し黙った。
旅の者と言っていたが、その反応から見るに彼女もこの町の異常さは知っているのだろう。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:48:57.34 ID:F4YamYFp0

ξ゚⊿゚)ξ「浮かれた街だと思う。…風船に子供が乗って空を飛んでいたからな」

('A`)「あ…それは普通に事故だと思うけど。え?ていうか浮かれてると浮いているをかけたの?今?」

ξ゚⊿゚)ξ「?……………ハッ」

ξ///)ξ「う、うるさいな、別にかけてなどいない!」

(*'A`)

(´・ω・`)「クソビッチが」

ξ;゚⊿゚)ξ「何!?」

おっといかんいかん、ハードボイルドを目指す俺としたことが
うっかりこんな小娘にときめいてしまうところだった。
北方謙三のようになるんだからこんなところで心ときめかせるストーリーなんて
送ってられない。

俺は気を持ち直し再びツンへと問いかける。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 13:55:09.13 ID:F4YamYFp0

('A`)「それよりアンタさ、なんでこんな町に来たの?」

たまに道端を歩けば太ったおっさんが花の蜜を吸ってるようなこんな狂った町、
俺が旅人なら寄りたくないところNo.1なんだがな。

ツンはその言葉にむっつりと口をつぐんだが、俺たちが何も喋らずにいると
やがて小さく喋りだした。

ξ゚⊿゚)ξ「わたs(´・ω・`)「そういえば昨日のいいとも見た?タモさんがウエディングドレス着ててさ」

(#'A`)「るっせーな空気読めよ!」

どうでもいいんだよ!この町のテレビ事情は!
大体アニメはジブリか日本昔話しか放映してねえし、他の番組も全部メルヘン使用に
されてるし、ネタとしか見れねえんだよって何解説してんの俺気持ち悪い!

ξ゚⊿゚)ξ「…話してもいいのか?」

('A`)「あ、ごめんなさい、どうぞ」

うっかりだ。
こんな突っ込み俺らしくもない、段々ハードボイルドから遠ざかっている気がするのは
俺の気のせいか?

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 14:00:13.69 ID:F4YamYFp0

ここは気を引き締めて、ハードボイルド路線に持ち込まなければ。
俺は懐に入っていたタバコ(シャボン液)を取り出し、ゆったりと吹かした。
ちなみに、この町がメルヘンタウンに変わってからタバコは前面的に禁止されたので、
このタバコっぽいのは俺の自前である。時々死にたくなるけど口寂しいときは有効だ。

ξ゚⊿゚)ξ「私がこの町に来たのは、とある薬草を探しに来たからだ」

('A`)「薬草?」

ξ゚⊿゚)ξ「ああ、万能薬と言われるものでな、この町にあると聞いたんだ」

(´・ω・`)「万能薬ねぇ…そんな話は知らないけどな」

('A`)「お前が知らないんだったら俺が知るわけねぇなあ」

この男はこう見えてもこの町の情報通なのだ。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 14:09:18.84 ID:F4YamYFp0

まぁ町の酒場(といっても酒はおいてないが)のマスターは事情通と相場は決まっているから
その辺は意外でもなんでもないんだが。
俺は甘ったるいハチミルクをちびちびと飲みながら話を聞く。

ξ゚⊿゚)ξ「私の住んでいた町は元々寂れた小さな町だったんだ」

(´・ω・`)「へぇ、ここと似ているね」

ξ゚⊿゚)ξ「?ここは栄えているだろう?」

('A`)「あー、その辺は後で話すから、続けて」

手をひらひらと振って話を促した。

ξ゚⊿゚)ξ「う、うむ。それで…貧困や疫病が流行してな。町は絶望に明け暮れていた。
    国王に言っても私達のような小さな町は目にかけられないし」

('A`)「まぁ、国王も沢山の国を治めているからなー」

そういうわけで格町には町長やら納める人物が立てられるんだが、この町も今じゃこれだしな
本当救えねぇ…。
プワッとシャボン玉を吹きだした。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 14:17:47.95 ID:F4YamYFp0

ξ゚⊿゚)ξ「しかしそれでも人は死んでいく」

('A`)「………………」

なんだかここに来ていきなり話が重たくなってきたぞ。
こんな人々が常に喜びの歌とか歌っている程度はまだ軽いのかもしれん。
俺は無性に申し訳ない気分になってショボンにバーボンを一つ頼んだ。
勿論来たのはハチミツミルクだ。

ξ゚⊿゚)ξ「そんな時に、な。この話を聞いたんだ。どんな壊れた町にも聞く”万能薬”なるものが
     存在するのだと。それを使えば壊れた町も蘇り、人々も生きる意志や活気を取り戻すと」

('A`)「ファンタジーだな」

はっきり言って夢物語だ。三流小説にも使えない。
第一、そんな薬があるなら俺はとっくに使っているさ、この町にな。

確かに前のメンヘル町は常に誰かがリスカしているような陰気くさい町だったが
それでも煙草はすえたし酒も飲めた。メンヘル女には相手にされなかったがそれなりに
可愛い子もいた。
今のこの強制された安穏よりも俺は前の町の方が好きだったよ。

ξ゚⊿゚)ξ「しばらくそれを探していたのだが、ある情報によりこの町にあると聞いたんだ」

('A`)「だからねぇって」

(´・ω・`)「まぁまぁ、話は最後まで聞こうよ」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 14:24:11.45 ID:F4YamYFp0

何故かショボンが仕切りだした。

(´・ω・`)「それで?その万能薬ってどんな形状をしているの?キノコ?」

ξ゚⊿゚)ξ「いや…、それがわからないんだ」

(´・ω・`)「わからない?」

ξ゚⊿゚)ξ「私もその万能薬がある、ということを聞いただけで、形状や大きさ、
     そういったものは一切知らない」

('A`)「ありきたりなこと突っ込んでいい?どうやって探すんだよそんなもの、つーかねーだろ」

そもそもそれ誰情報?
するとツンは顔を険しくさせて俺を睨みつけてきた。まるで親の敵でもみるような顔だった

ξ#゚⊿゚)ξ「万能薬はある!!不謹慎なことを言うな!!!」

(;'A`)「ひぃっ!ごめんなさい!」

思わず謝ってしまったがよく考えると俺別におかしなことは言ってないだろ!
だって形もどんなものかもわからない万能薬なんて、探せるわけがねぇだろうが!!

ξ゚⊿゚)ξ「それに、情報がないわけではない」

('A`)「あ、そうなんですか…」

(´・ω・`)「ドクオ、君敬語になってるよ」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 14:31:59.78 ID:F4YamYFp0

うるさい、別に怖がってなんかいねえよ。

ξ゚⊿゚)ξ「どうやらその万能薬はこの町の町長が握っていると聞いたんだ」

('A`)´・ω・`)「町長?」

俺たちは声を揃えた。
だってそうだろ、町長といえばあの小娘。
いや、もしかしたらあのヘタレた元町長の可能性もあるが、すでに隠居して
庭でタンゴを踊っているあの町長がそんな大それたものを持っているとは考えにくい。

だとすればやはりあのツンに似た娘の方しか考えられない。
しかし、仮にそれが本当だとしてもなんでそんなものを持っているんだ?

('A`)「ちなみに、それって誰情報?」

聞くとツンは顔を気まずそうに横へと伏せた。

ξ゚⊿゚)ξ「悪いが、言うことはできない約束でな。それよりお前達、この町の町長を知っているのか?」

('A`)「そりゃあ不本意ながら住人だからな、知ってはいるが…」

ξ゚⊿゚)ξ「なら、案内して欲しい。私にはこの町はわからないことが多すぎる」

('A`)「それは俺もだけどな」


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 14:42:18.68 ID:F4YamYFp0
メルヘンタウンに変わってからのこの町は、俺にとってわからないことだらけだからだ。
しかしまあ、案内くらいならできるだろ。
俺はそう頷いて、立ち上がった。

('A`)「ついてきな」

(´・ω・`)「ドクオ、お勘定」

('A`)「つけといてくれ」

(´・ω・`)「………………」

町長の家はこの町の虹の坂(元絶望坂)を上った丘の上にある。
白い小さな家で、俺は滅多に行ったことはないが場所はわかっている。
頭を小さく下げたツンを見てから、俺は出入り口に向かって歩き出す。

すっかり早朝の空気は消え去って、空には大きなバルーンがいつものようにその身を躍らせていた。
町からは活気溢れる楽器の音が鳴り響き、それに混じる人々の笑い声が聞こえてくる。傍から見ればこの町はきっと

ξ゚⊿゚)ξ「良い町だな」

('A`)「…そう思うか?」

ξ゚⊿゚)ξ「違うのか」

('A`)「俺には狂ってるようにしか見えないよ」

ξ゚⊿゚)ξ「…………………」

俺の答えに対して、ツンは何も言わなかった。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 14:53:16.87 ID:F4YamYFp0




町の広場へと出ると、そこにはいつも通りの光景が広がっていた。
子供達が駆け回り、大人たちは楽しそうに踊っている。蛙すらも楽しそうに歌を奏で
今にも空へと飛びたたんばかりだ。
こいつら薬でもやってんのか。

そこへ、一人の男が俺たちの方へと近付いてきた。

  _
( ゚∀゚)ノ「よードクオ、お前まだそんな格好してんのか?」

ヘラヘラと笑いながらそいつはいった。
そんな格好とは、このトレンチコートのことだろうか、うっせーよほっとけ。
と言ってやりたいが今の俺には一応やることがあるから適当に流すことにしよう。

('A`)「ああ、まぁな。じゃ」
  _
(;゚∀゚)「おいおい、早ぇよ無視すんのが!」

肩を掴まれ止められたところで小さく舌打ち。畜生、いくところがあるんだっつーのに。

  _
( ゚∀゚)「なぁドクオ、お前も早くこっち側に来いよ。結構楽しいぜ?」

('A`)「……………」



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 15:00:04.01 ID:F4YamYFp0

この男の名はジョルジュと言って、メンヘルの時は俺とともにハードでボイルドな生き様を
志す同志だった。
しかし、あの娘が町長になってからこいつも変わってしまったのだ。
  _
(*゚∀゚)「お前も早く、デレ様の素晴らしさに気づけよ!!彼女は最高だ!」

鼻息荒くして迫ってくるジョルジュに俺は視線を背けた。
どいつもこいつも、デレデレデレデレ、あの町長の娘はそんなにすごいのか。
何がお前をそんなに変えちまったんだよ。
前はおっぱいが好きなちょっと変わった奴だったが、クールで格好よかったのに。
  _
( ゚∀゚)「おっぱいよりも、デレ様が好き!」

今じゃこの様だ。
俺はもう見なかったことにしてそのまま通り過ぎることにした。
しかし
  _
( ゚∀゚)「お?そういえばその娘は?」

ξ;  )ξビクッ!

('A`)「いや、この娘はなんでもない。気にするな、気にするな」

その前に今度はツンの方へと興味を示してきやがった。
ローブで顔を隠したツンを見られないようにしながら、俺は前へと進む。
しかしジョルジュは執拗に後ろから追いかけてきやがる。


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/24(木) 15:07:57.12 ID:F4YamYFp0

  _
( ゚∀゚)「だからなんでそんなすぐどっか行こうとすんだよー、無視すんなよーなぁなぁなぁ」

お前UZEEEEEEEEEEE!と叫んでしまいたかったが、ツンを連れたこの状況で
騒ぐのはまずい。
俺は内心慌てふためきながら、表面上はクールに決めた。

('A`)「いい加減にしとけよジョルジュ、これ以上追求すると…俺のマグナムが火を噴くぜ」

ξ* )ξ「ぶはっwwwwwww」

('A`)「…………………」

ξ; )ノシ「あ、いや、笑ったわけじゃないんだ。ちょっとむせただけだ。うむ」

やたらと言い訳する姿がもう笑いましたって言ってるようなもんなのに…

  _
(;゚∀゚)「……………」

ジョルジュはそんな姿を見て、何を思ったのかどこか哀れむ表情で去っていった。
畜生、うまく切り抜けられたはずなのにまったく嬉しくない。むしろちょっと悲しい。

('A`)「もう家帰ろうかな…」

ξ;  )ξ「だからスマンと言っているだろう!!」



88 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 19:58:48.00 ID:F4YamYFp0


町長の家へと向かう途中、いじける俺にひたすらツンはそう怒鳴ってきた。
いや、謝ってないだろ…。







さて、ここで一旦話は戻るがこの町にはあの女が町長になってから一つ、妙な風習が持ち上げられるようになった。

それ即ち、皆何かおとぎ話や童話に出てくる登場人物の格好をするということ。

もちろんこれは強制ではないし全ての町の人間がやっているわけではない。

ショボンなんかがそのいい例だ。
しかし町長の娘を慕っているものは率先してやっているし、ぶっちゃけ町に
馴染みたければその格好をすればいいからやっている奴は結構多い。

ちなみにさっきのジョルジュなんかは触れなかったがピーターパンの格好を
していた。ドキドキの緑タイツだ。

町の人間もティンカーベルやジャックにアラジン、みにくいアヒルの子など
様々なコスプレをしている始末。
しかし郷に入っては郷に従えというわけで、俺はまずそのことをツンに提案した。



89 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 19:59:46.45 ID:F4YamYFp0


('A`)「だからさ、怪しまれないようにするにはそうやってコスプレするのが一番だと思うんだ
   お前、何か好きなおとぎ話とかある?」

ξ  )ξ「…いや、別に」

('A`)「…そっか、俺も童話よりハードボイルド小説とか読むから…」

ξ  )ξ「そうか…」

('A`)「………」

ξ  )ξ「……………」

('A`)「…………」

ξ; )ξ「…あ、赤頭巾ちゃんは読んだことあるぞ」

('A`)「よし、じゃあそれでいこう」

よかった、空気を読んでくれる奴で。
このまま何も会話が続かなかったらどうしようかと思ったぜ。

コスプレを決めた俺たちは早急に近くの衣装屋で衣装を借りて着替えることにした。
ああ、トレンチだけは脱がないのが俺のポリシーだったんだが…まぁ仕方ない。

状況によりけりだ。俺もそんな万能薬があるってんならお目にかかりたいからな。



90 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:00:11.64 ID:F4YamYFp0



・・・・・・・・

・・・・・

・・・





そして数分後、そこにはきつい眼差しの赤頭巾と微妙に小さい狼男がいた。



/ ̄\
ξ゚⊿゚)

∧ ∧
ミ'A`)


………………完璧だ。



多分。


91 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:01:41.75 ID:F4YamYFp0


ミ'A`)「正直なんか違う気もするがまぁいいや!
    ていうかこれ以上の変装は思いつかない!そうだろう!」

ξ゚⊿゚)「う、うむ、そんな気がする!これ以上変装する気になれん!」

俺たちは二人で声をあげ、そのまま虹の坂を駆け抜けた。
どんどんハードボイルドから遠ざかって、おまけに町の人たちが奇妙な目で
見ていた気がしたけどそれは全くの気のせいだと結論づけた。

アレだ、本当にかっこいい男は外見なんて気にしないんだよ!

ξ゚⊿゚)「しかしお前似合ってないな」

ミ;'A`)「うううううううるせえな!お前のAAも変だよ!」

ξ#゚⊿゚)「なんだと」

ミ;'A`)「ごめんなさい!」

そしてかっこいい男は女には負けてやるもんだ!
別に器が小さいとか、本気で怖いというわけじゃ断じてないんだからな!

マジで!




92 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:02:47.87 ID:F4YamYFp0





町長の娘が住む家に親はなく、今のデレという娘しか住んでいないのだが、
たまに親衛隊の奴らがうざったくも家の前に門番気取りで立っていることがある。

そして今日はうざったいことにそいつらが立っている日だったらしい。


( ´_ゝ`)「しかし弟者よ…父者と母者はどうして俺たちを家から追放したんだろうな…」

(´<_` )「兄者よ、ヘンゼルのコスプレをしているからって心までなりきらなくてもいいと思うぞ。
       俺たち別に捨てられてないだろう。兄者の将来的な話は別として」

( ´_ゝ`)「あれ?今さらっと怖いこと言わなかった?」

(´<_` )「気のせいだろう」

( ´_ゝ`)「気のせいか…………気のせいか?」

(´<_` )「兄うぜぇ」

(;´_ゝ`)「!!」


家の前に立っているのは双子の兄弟。

93 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:04:01.21 ID:F4YamYFp0
この町でも有名な町長の親衛隊だ。
というよりも兄が熱狂的なファンだと聞いたことがある。

二人してヘンゼルとグレーテルのヘンゼルのコスプレをしているがどっちか
グレーテルのコスプレしろよ、いや、されても嫌なんだけどさ。だからって二人ともヘンゼルは…


ξ゚⊿゚)「誰だ…?」

ミ'A`)「しっ」

訝しげな顔で二人を見るツンの口を手で塞ぐ。
ここで見つかってもきっと面倒なことにしかならないとわかってるんだ。

だったらあいつらが余所見したスキに進入するのが望ましい。

( ´_ゝ`)「あれ?今誰かの声がしなかった?」

(´<_` )「またいつもの幻聴か?」

(;´_ゝ`)「おま…幻聴的なものを聞いたのは初めてだよ。人を夢遊病者のように言わないでくれ」

どうやらバレていない。このまま後ろの方から…
胸を撫で下ろしていると後ろからまた声が聞こえてきた。


( ´_ゝ`)「いや、やっぱり聞こえてきたって!そこの茂みから聞こえてきたぞ」


94 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:04:46.61 ID:F4YamYFp0

(´<_` )「……………」

(;´_ゝ`)「なんでそんな残念なものを見る目で兄を見るんだ!?」

くそっ、やりすごしたと思っていたのに!
俺が焦っていると、隣のツンが立ち上がった。

ミ;'A`)「おい!?」

ξ゚⊿゚)「……………」

(*´_ゝ`)「うわあ!赤頭巾ちゃんだ!うわあ!」

(´<_` )「何者だ。ここは一応一般人は立ち入り禁止区域だぞ」

一人はしゃぎまくっている兄の方は無視して、弟の方へと向き直る。
大体一般人ってなんだよ、町長のくせにアイドル気取りか。

ξ゚⊿゚)「ちょっとここの町長に用あってきた。通してもらえないだろうか?」

(*´_ゝ`)「赤頭巾ちゃんとデレ様の絡み…うめぇwwwwwwwな、弟者、少しならいいんj」

(´<_` )「ダメだ」

(;´_ゝ`)「バッサリきられた!」

(´<_` )「第一赤頭巾と野良犬がデレ様に何の用だ?害を及ぼすようなら容赦はしないぞ」

96 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:05:37.46 ID:F4YamYFp0

そういって近くにあったツルハシを俺たちの前に構えた。…怖!
つーか野良犬じゃねえよ!狼だよ!赤頭巾との関連性でわかるだろう普通!
しかし弟の方は無表情でツルハシをこちらへと突きつけてくる。

正直メルヘンのかけらもない。


だがそれでもツンの方は物怖じせずに堂々としているようだった。

ξ゚⊿゚)「聞きたいことがあるから聞くだけだ」

(´<_` )「ならば俺が伝える、話せ」

ξ゚⊿゚)「ダメだ。自分で言う」

(´<_` )「やはり通すわけにはいかない」

ξ゚⊿゚)「そっちがその気ならばこっちもやらせていただこう!」

そう言ってツンが懐から取り出したものは小型のピストル。
おいおい、赤頭巾ちゃんはその手に銃を持ちかよ、怖いよこの二人。
なんでここで赤頭巾VSヘンゼル?
ついていけないんですけど。

ミ;'A`)「あの…」

瞬間、弟者が腰を屈めツルハシを横一線へと引いた。


97 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:07:13.20 ID:F4YamYFp0









風と共に掠めるツルハシが近付いてくるのを、身をよじってなんとかかわした。

ミ;'A`)「ぎゃああああああああああああ!」

(;´_ゝ`)「うわあああああああああああ!」

ξ゚⊿゚)「ちっ!」

俺たちがゴロゴロと芝生の上へダイブしていると、今度はツンが拳銃を放つ
弾丸はピンポイントにツルハシの棒部分を狙い撃ち、音を立てて持つ部分が砕けた。

(´<_`#)「フンッ!」

しかしそんなことは予想済みだったかのように、弟者は身を翻し、懐のナイフを持ってツンへと突撃していく。
もう完全に俺蚊帳の外。主人公なのに混じれないこの敗北感。

大体どうしてここに来てバトル路線なんだよ。

( ´_ゝ`)「弟者ー頑張れー、ついでに赤頭巾たんもパンチラとかしてー」

ミ'A`)「………………」

99 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:10:26.08 ID:F4YamYFp0

ξ;゚⊿゚)「くっ…!!」

ツンも負けじと銃を放つのだが、弟者の身のこなしの方が早かった。
戦闘能力やべぇ。

あっという間に間合いを詰められ、ナイフはツンの喉元寸前まで突きつけられる羽目となり。

(´<_` )「話せ」

ξ;゚⊿゚)「くそ…」


「そこまでだ!」


(´<_` )「!?」

ξ゚⊿゚)「!?」

しかし、そしてここで俺のターン
戦闘能力が無さそうだからって指咥えて見てると思ったら大間違いだ。
いや、指咥えて見てたけど!主役は土壇場で活躍するもんさ!

ミ'A`)「おい弟!兄貴の命が惜しくば大人しくナイフを捨てろ!」

( ´_ゝ`)「ごめーん弟者、捕まっちゃった」

まるで悪役のようなセリフをはいているが、信じれば誰でも正義になりえるって偉い人が言っていた。

103 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:15:43.63 ID:F4YamYFp0

俺はさっき弟者が投げ捨てたツルハシを兄者に押し当て、弟者へと叫んだ。
弟者はというと、あからさまに不快な表情で、こちらを睨んでくる。
ちょ、超怖ぇ!


(´<_` )「クズが…」

(;´_ゝ`)「い、今俺の方見て言わなかった!?」

正直この冷血なノットメルヘン男は気にせずツンをどうにかすると思ったが、
意外にもあっさりとツンを解放してくれた。
こんなに冷血っぽくてもやはり人の子か。

よかった。


(´<_` )「勘違いしているようだが、別に開放したわけじゃないぞ」

ミ;'A`)「え?」

(´<_` )「ただ、見極めただけだ。俺の油断をつく位なら、あいつを倒せるかもしれないというな」

ミ'A`)「あ、あいつ?」

ここでまさかのフラグを立てる男。なんか脇役なのに俺よりも目だってない?
兄者はなんか腕の中ではぁはぁ言っていたので気持ち悪かったから離すと、弟者に
首根っこ掴まれて引きずられていった。

(´<_` )「まあ、この兄が弱すぎてムカついたってこともあるけどな」

106 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:20:59.67 ID:F4YamYFp0

(*´_ゝ`)「ああんらめぇ、二人が見てるのお」

そんな兄のことは華麗にスルーし、ニヤリと不敵に笑って俺を見てくる。

(´<_` )「別に、お前だけがこの町をおかしく思っているわけじゃないさ」

ミ'A`)「ど、どういうことだ…?」

(´<_` )「まぁ、入ればわかる」

そういって弟者はそのまま丘から去って行った。
一体あいつら、なんのために出てきたんだろう…という気持ちは拭いきれないが
ひとまずこれで邪魔者はいなくなったわけだ、ククク…。
おっと、やばい、思考が完全に悪者のそれだ。

ξ゚⊿゚)「何を一人でブツブツ言っているのだ?」

ミ'A`)「あ、いや…」

ξ゚⊿゚)「入ろうぞ」

俺の答えは聞いてないようで、すでにツンは家の扉を開けていた。


――――――ガチャリ

109 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:26:41.83 ID:F4YamYFp0





家の中に入ると、そこはなんともメルヘンとはかけ離れた風景が広がっていた。
家の外見は大草原の小さな家だったのに、中に入れば一人暮らしのニートの部屋だ。

そこら辺にカップ麺は散らばっているし、何よりまずゴミが凄い。ゴミ屋敷かここは。
町のなかには見かけない虫がカサカサと這いずり回っているのを見て、横にいたツンが顔を青くしている。

そんなメルヘンと遠ざかる部屋を見て、俺たちは絶句した。

ξ;゚⊿゚)「き…汚い!」

ミ'A`)「ストレートだな、まあ汚いけど」

ここに住んでいるのは本当に町長の娘か?
俺たちは間違って一人暮らしの男の部屋に入ってしまったんじゃないのか?
しかしその考えは杞憂に終わる。

「あ~~~、超お腹減ったし♪」


ξ゚⊿゚)「!」

ミ'A`)「!」



114 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:33:22.07 ID:F4YamYFp0


その時、部屋の向こうから可愛らしい女の子の声が聞こえてきたからだ。
そしてこのスイーツっぽい声から察するに、正体は間違いなくデレだろう。

ξ゚⊿゚)「…………」

ミ'A`)「…………」

俺たちは誰に言われるでもなく顔を見合わせ、こっくりと頷いた。
そして部屋の隙間からこっそりと中の様子を覗くと、予想通りそこにはツンに
良く似た少女、町長の娘ことデレがいた。

ツンは正直自分そっくりのその少女を見て戸惑ったようだ。

ξ゚⊿゚)「…………!」


ζ(゚ー゚*ζ「恋空おもしろwwwwwwつか今時メルヘンとか流行らないのにwww
     町の連中マジ単純wwwww」

誰だよお前。

119 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:42:51.76 ID:F4YamYFp0

ソファに座りながら、下着姿で足をばたつかせスイーツ小説を読んでいる少女に
俺は再び絶句した。二の句が告げれないとはこのことだ。

だって一応町長の娘っつーのは、この町では神秘的な存在というか、崇め奉られる女神のような
もので、おしとやかな女の子像が根底にあったはずだ。
なのに今はどうだ?

まるで女子高生じゃねーか。
しかもスイーツ

その時、隣に誰かいたらしく、ここからでは良く見えないがのそりとした動きで
そいつがデレに話しかけた。

「デレ、もうすぐお仕事の時間だお…」

ζ(゚ー゚*ζ「わかってるわようっさいなあ、それはちゃんとやるってば」

手をひらひらと振りながらウザそうに振り払う、視線の先にいる奴は、どうやら
男らしいということはわかった。

彼氏か?

いやしかし彼氏に対してならあの手のタイプは媚びる筈。

俺は目を凝らして男を見るために身を乗り出した。

( ^ω^)「ちゃんとしてくれお、なんのために君に力をあげたのかわからないお?」

123 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:50:51.89 ID:F4YamYFp0

乗り出した先に捕らえたものは、小太りで、黒ずくめの男だった。

ζ(ー△ー*ζ「あーはいはい、アンタが私に魔法をかけてくれたから、町の奴ら操れるんだもんね
      感謝してるわよ魔法使いさん」

( ^ω^)「おっおっ、こんくらいは余裕だお」

魔法?魔法使い?なんだ?こいつらなんの話してるんだ?

つかハードボイルドからメルヘン、バトルときて次はファンタジーかよ。
方向転換しすぎで読者もついて来れねえよバカヤロウ。

ツンも驚いたように俺と同じく身を乗り出してブーンを見ている。

ミシッ

ζ(゚ー゚*ζ「大体ねえ、いくらあたしが好きな子に似てるからって、人を有名人に
     仕立てて見つけようとしないでくれる?ま、アイドルはちょっと楽しいけどwwwww」

( ^ω^)「面目ないお…、でも、ブーンの魔法は人探しには使えなくて…」

なんか聞いてもいないのにどんどん今までの事情をペラペラと喋ってくれてるんだが
ありがたいんだかありがたみがないんだかわかったもんじゃねぇな。
つうかアイドルはとは無駄に的を得ていやがる。確かにこれは偶像だ。

町の人間が信じていたこの女の本性はただのスイーツだったってことかよ

ミシミシッ

125 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 20:56:06.23 ID:F4YamYFp0

( ^ω^)「だからこそ、君に光を宿す魔法をあげたんだお。君がその調子で
     新世界の神っぽくなったら、きっと見つけられるはずだお!」

ζ(゚ー゚*ζ「うざっ。
     でもさあ、なんつったっけ?あんたの好きな女…ツン?そんなどこにいるかもわからない奴が
     そう簡単に見つかるわけ…」

バキッ!

ミ;'A`)「わあああああああああああああ!!」

ξ;゚⊿゚)「きゃああああああああああああああああ!!」

( ゚ω゚)「いたぁああああああああああああ!!!」

ζ(゚д゚*ζ「素見られたぁあああああああああああ!!」




129 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 21:02:55.95 ID:F4YamYFp0

俺たちを支えていたドアが激しく音を立てて壊れた。
そしてそのままデレたちの前へとぶっ倒れるという、最悪の形で対面することになる。

こうなったら仕方ない…!
俺はその勢いできていた変装を剥ぎ取った。正直これ着てて暑いし、AA改変も
面倒だからさっさと取りたかったんだよね!

    ∧ ∧
('A`)ノミ

('A`)「ばれてしまっては仕方ない!お前のたくらみは全て聞いたぞ!」

きた、これでようやく主人公の俺が活躍できる!!

('A`)9m「俺が、テメーらの悪事をチェックアウトしてやるぜ…!(決め台詞)」


( ^ω^)「僕はずっと君を探してたんだお!」

ξ゚⊿゚)ξ「ていうか万能薬はどこだ!」

ζ(゚△゚*ζ「終わった…こうなったらこいつを殺して…」



…誰一人聞いてねえよ。

133 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 21:13:03.81 ID:F4YamYFp0

ていうか一人やべぇ!

悔しかったので近くにあったカップ麺のゴミを投げつけた。
小太りの男に当たったが気づいてはいないようだ。なんで俺がここまで
空気じゃなくちゃいけないんだ!つかもうこれメルヘンとか関係ないだろ。

冒頭でシャボン玉吹かしてた俺が無性に腹立たしい!

('A`)「聞けよ!俺の話を聞けぇええええええ!」

( ^ω^)「アレは数年前…僕が魔法修行しに人間界に訪れたときのことだお、僕は
      君に一目惚れしたんだお!僕は死んだ!恋の病的な意味で!うひょひょい!」

ξ゚⊿゚)ξ「うるさいな!お前のことなぞ知らん!私には故郷を救うと言う使命がだな!」

ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ君?私といいことしよっか?ね?ね?そうしよ?」

完全に無視を決め込む二人と、すでに俺を消しにかかっている一人。
何気に俺ピンチ。

しかしここで逃げたら男が廃るぜ!
もはや消えかかった設定(ハードボイルドを目指す)をバネに、俺はさっき拾った
包丁を手に持ち奴らに殴りかかった

(#'A`)「うおおおおおおおおおおおおおおお!」



135 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 21:15:25.52 ID:F4YamYFp0

どっかの神よ、俺に力を――――――っ!!








「そこまでだ!!」







('A`)「…え?」

しかしそこに割り込んできたのは、神の声でもなんでもなく、聞き覚えのある声だった。

137 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 21:22:38.41 ID:F4YamYFp0


(´・ω・`)「君達全員、そっから動いちゃだーめだよ」


扉の向こうに立っていたのは、バーのマスターであるショボンだった。
そして、その後ろにはこの町のテレビでは見れないような、国王直属の兵士たちが並んでいる。

('A`)「え?え?」

ショボンがバーテン服の懐から何かを取り出した。
それは、黒い掌サイズの小さな手帳で、表紙には王直筆の紋章が入っている。
わからない人のためになんとなく脳内で説明すると、それは警察手帳みたいなもんで
特に王の紋章が入っている奴は国を動かすほどの兵士を指示できる権利を持つという。
要するに超すごいのだ。

(´・ω・`)「えーっとね、魔法使いのブーンとその共犯者デレ、君たちを王の命令で捕まえます」

いけ、というショボンの掛け声を合図に、後ろにいた兵士達が駆け出した。
俺はただひたすら混乱している。

('A`)「え?え?」

(´・ω・`)「あとドクオ、君も逮捕」

(;'A`)「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええ!?」

139 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 21:28:22.22 ID:F4YamYFp0

何で何で!?!?そうか、包丁か!?

俺は持っていた包丁を投げ捨て手を上に上げた。

\(;'A`)/「ちょっと待て!今のは正当防衛だぞ!」

(´・ω・`)「ああ、うん、それは知ってるよ」

\(;'A`)/「じゃあなんで…!」

(´・ω・`)「ほら、君僕の店でお勘定払っていかなかったでしょ?食い…いや、飲み逃げだね
      そんな感じの罪で逮捕しまーす」

にっこり笑いながら俺の腕にかけられたのは冷たい鉄の輪っか。
リアルな重みが俺を現実から遠ざけた。

('A`)「……………」

\('A`)/


オワタ。マジオワタ。
目の前が真っ暗になる瞬間、ツンが俺の方を申し訳無さそうな目で見ているように思えた。




145 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 21:35:57.85 ID:F4YamYFp0




それから数ヶ月後。
豚箱の中で過ごした暗い日々は忘れられないが、変わりにわかったことがいくつかある。



俺は再び町のバーのカウンターに座って、ぐだぐだと文句を言いながら酒に浸っていた。

(´・ω・`)「だからさー、悪かったってば。それに豚箱ってある意味一番安全なんだよ?」

('A`)「うるせぇ、お前のことはもう絶対信用しねぇ、テキーラおかわり、お前の奢りで」

(´・ω・`)「はいはい」

面倒そうに言うが、ちょっとは罪悪感もあるのか、渋ることなく差し出してくれる。…テキーラを。

ブーンと言ったらしい魔法使いとデレが捕まってから、メルヘンタウンは名前だけ残して再び元に戻っていった。
もう住人は朝に甲高く歌ったりしないし、子供も風船で飛んでいったりしない。
タバコを売る自販機だけは面倒なタスポというものだけが必要になったが
だんだんと町は姿を元に戻していった。



149 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 21:41:11.34 ID:F4YamYFp0

('A`)「…なんで黙ってたんだよ」

(´・ω・`)「極秘任務だったからね。ばれるとダメなんだよ」

グラスを拭きながら、ショボンは答える。

('A`)「この町の異変に、気づいてたのか?」

(´・ω・`)「そりゃね、国王だって何もしないわけじゃないよ」

だから僕が使わされた、と続けられる言葉に、俺は何も返さなかった。
だいたい気づかなかった俺もどうかしてたしな。

そういや住人全員がおかしい中で、こいつだけがまともだった。
そして、俺はいつもショボンの店に来ていたから、異常が異常だと見抜けたんだろう。

('A`)「………」

なんとなく納得して酒を口に含むと、後ろからベルの音が鳴り響いた。

―――――カランカラン


ξ゚⊿゚)ξ


ツンだ。

152 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 21:47:35.47 ID:F4YamYFp0

今はもう古びたローブなんて脱ぎ捨てて、可愛い女の子の表情でこっちに近付いてくる。

ξ゚⊿゚)ξ「なーによ、アンタまた酒なんて飲んでんの?」

('A`)「うるせぇ…!」

ξ゚⊿゚)ξ「あぁ?」

(;'A`)「いたたたたたた、すみません!」

胸倉をつかまれ、思わず口に出してしまった。畜生。大体俺はこいつにも
騙されてたんだから、少しくらい文句言ったっていいんじゃねえか!?

('A`)「なんだよ、口調まで変えやがって…くそ…」

ξ゚⊿゚)ξ「だって任務だもん、仕方ないじゃない」

('A`)「二人して俺を騙してたのかよ!」

ξ゚⊿゚)ξ「半分は本当よ、ただ、あの二人を捕まえれば私の町も復興させてくれるって王様が言うから」

何気ない顔をしてこいつも大したくわせものだ。
どうやらこいつも王の命令であの二人を捕まえるために派遣されていた一人だったらしい。
つーかそんくらい化けなくても出来ただろうが。
俺はフツフツと沸いてくる怒りを抑えながら言った。

ξ゚⊿゚)ξ「あの魔法使いがあたしを探してるのは知ってたけどね、女の方は逃げそうだったから
     キッカケが欲しかったのよ」

155 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 21:52:22.02 ID:F4YamYFp0

フフン、と得意そうに笑う女を見て、俺は盛大にため息を吐く。
まったく、これだから女ってのは怖い。

('A`)「あーはいはい、そうですかーっと」

ξ゚⊿゚)ξ「何よその言い方、それとも…こちらの私の方が好きだったのか?」

声色をちょっと変えてすごむツンに、俺は辟易した。
そういう問題じゃない、というとツンは面白く無さそうにホッペを膨らましている。

(´・ω・`)「騙して豚箱に入れて悪かったね、でも、シャバにいると君がまたホシに襲われる可能性が
     あったからさ」

('A`)「お前はいちいち用語が生々しくて嫌なんだよ」

もう、この町にメルヘンのかけらは無い。
しかし、メンヘルにあった陰気な空気も無くなった。
ここは再び始まった新しい町なのだ。

先日会ったジョルジュも、メルヘンの時とメンヘルの時、二つの人格を組み合わせたような
感じになっていてちょっと戸惑った。

弟者と兄者の方はあまり代わっていなかったような気もするが、それでも
前より少し楽しそうに見えた。

159 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 21:58:12.75 ID:F4YamYFp0

ここは新しい町、メルヘンタウン。
メルヘンっぽさは前よりもぐんと少なくなったが、前よりもずっと活き活きしているように思える。

('A`)「しかし、なんで店の椅子はキノコのままなんだ?」

(´・ω・`)「男性器っぽくて気に入ってるんだ」

(;'A`)「気持ち悪いな!」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと!アンタ私が話しかけてるのに無視してんじゃないわよ!」

たまにタバコじゃなくてシャボン玉を吹かすこともあるけど、それもまあ気に入っている。

(;'A`)「あだだだだだだ!痛いなおい!つうかお前ら他の仕事はいいのかよ!」

(´・ω・`)「大仕事終わったからしばらくは副業に力入れるさ」

ξ゚⊿゚)ξ「私もとりあえず町が復興したから、しばらく暇なのよ」

(;'A`)「あ、そ…」



そしてそんな町で

俺は今日も生きていくんだ。

160 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 21:58:36.27 ID:F4YamYFp0



~('A`)はメルヘンの町に生きるようです~




終わり

163 名前: ◆oFUBhmBL1I :2008/07/24(木) 22:00:10.05 ID:F4YamYFp0
というわけでおしまいです。
付き合ってくれた人たち、支援してくれた人たちありがとうございました。
意外に時間がかかってしまいまましたが書き終えれて嬉しいです。矛盾とかは無視します。


>>156
ミスです。
メルヘンタウンに修正してください

誤字多すぎ泣ける


では、ありがとうございました

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