mesimarja
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('A`)割と住めば都のようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:31:38.96 ID:ECotM2+E0



('A`)「あー…」

('A`)「ヒマだな…」



――――シーン…

('A`)「静かすぎる…」

('A`)「なーんかよくないことが起こりそう」


~('A`)割と住めば都のようです~




3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:33:01.23 ID:ECotM2+E0

無気力ってのはまさに今の状態のことを言うのだろう、と俺は心の底から思った。
空になったプラスチックの弁当箱、無数のゴミが占めるこの空間を見て、
気の抜けた声をあげた。意味なんてない。

面倒くさい、なんかもう全てがどうでもいいのだ。
食うことも喋ることも働くことも何もしたくない。ただぼんやりしていたい。

いつの間にかついていたテレビを見ると今は昼時らしく、タモさんがにやにや笑っていた。
俺を見て笑っているみたいで気分が悪い。

リモコンを操作してタモさんを消すと、再び布団の中にもぐりこんだ。
だるい、でも特に眠くもねえ。

どうしようかと頭を揺らしていたが、どうせすぐにこんな倦怠感も、
静寂も破られるのだろうと俺はどこかで考えていた。
その考えは正しかったらしく、しばらくしてこの鬱屈とした空間を裂くように、チャイムの音が鳴り響いた。

ピンポーン

俺は当たり前のように無視する。

ピンポンピンポンピンポーーン

俺は当たり前のようにシカトする。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:33:54.14 ID:ECotM2+E0

ピンポンピンポンピンパラポンポンポン

俺は当たり前のように……

ピンジャンポンポンポンンジャジャンジャカジャカ

当たり前のように、当た…あたり…

ズンチャカズンチャカギュィィィイイイイン!ノってるかい?イエェーイ!

(#'A`)「うるせええ――――――!!」

ていうかうぜぇーー!扉の前で自由すぎるだろうが!

(#'A`)「誰だようるっせぇな!」
  _
( ゚∀゚)ノ「よーーすドクオ!元気か!」

扉を開けると、そこには無駄にハイテンションなお隣さんがウクレレ持って立っていた。
つか、え…?ウクレレ?ギターじゃねえかよ。

俺はすぐさま扉を閉めようと手を動かしたが、それよりも横にいた男の方が早かった。くそっ

( ・∀・)「僕は止めろといったんだけど言ったんだけどねえ」

(;'A`)「ぬ、ぐ…このっ…」


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:35:32.34 ID:ECotM2+E0

素早くく扉の間に靴を挟まれてしまい、閉めることができない。
人のコンプレックスを刺激する整った顔立ちの男が、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべて俺に問いかけた。

( ・∀・)「君もそう思うだろ?」

(;'A`)「思います思います。だからその挟んでいる足を避けてくれませんか」

( ・∀・)「何を言う、僕らはこれから出かけるんだよ!三人で一人、いわばスリーマンセル!」

知らねぇよいつの間に組み込まれたんだ。
お前ら二人だけで出かけろよ。

('A`)「いえ、悪いんですけど僕今忙しいんでほんと勘弁してください」

せめて精一杯の力で足を潰してやろうと力を込めたが、びくともしない。
どういう靴を履いているのか甚だ疑問だ。
  _
( ゚∀゚)「おいおい冷てぇじゃねえか兄弟!いこうぜー、ピリオドの向こう側へ!」

('A`)「うるせぇ誰が兄弟だ」

( ・∀・)「忙しいってどうせ何もしてないんだろ?」

('A`)「いや、そんなことないですってば。これからちょっと部屋の掃除でもしようかと考えてたんですって」
  _
( ゚∀゚)「部屋の掃除なんていつでもできるだろっ!でかけようってば!なっ、なっ」

('A`)「黙れ」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:36:35.21 ID:ECotM2+E0
  _
(;゚∀゚)「…なんか俺に対して冷たくない?」

俺はしばらく扉を閉めようと悪戦苦闘していたが、どうせこの人に敵うはずもないと、早々に諦めることにした。
ちなみにこのウクレレ男、ジョルジュ長岡というのだが、彼に対しての態度
が冷たいというのはまったくもって見当違い、単なる彼の加害妄想である。

俺の態度は別に変わらない。
この間フィギュアとか壊されたけど。

( ・∀・)「最初からそういえよ。お邪魔します」

('A`)「あれ、出かけるんじゃないんスか」

( ・∀・)「出かけるよ。でもその前に君の汚い部屋を罵っておこうと思って」

どんなドSだ。
  _
( ゚∀゚)「俺はまた心無いセリフ言われそうだからここで待ってるわ」

出来ればそのまま帰って欲しい、が無駄にポジティブなこの男はたとえ俺が
明日の朝になるまで出てこなくとも扉の前で遅いなあ、などと言いながら待
っているのだろう。

そうなるのは非常に鬱陶しい。

( ・∀・)「君が考えていることは大体わかるぜ」

('A`)「そッスか。あ、すいません。土足勘弁してもらえます?」


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:38:09.27 ID:ECotM2+E0

( ・∀・)「僕汚い床素足で歩くの嫌なんだよね」

じゃぁ入んなきゃいーだろーがこのスットコドッコイ!顔面にパイぶつけて死ね!
心の中で高らかに叫ぶが、超能力者ではないこの人にその気持ちが伝わるはずはなかった。


さて、ここで少し俺と彼らとの関係について説明をしておこう。
俺はこのVIPアパートに住むごく普通の青年である。念を押して言うが俺はごく普通の青年なのだ。

ただちょっと働くのが嫌いで人間嫌いという、今時の青年。


毎日本能に従って唯々諾々と過ごしていたわけなのだが、此処で一つ大きな問題があった。
それは、俺が住むこのVIPアパートは、俺を除いてまともな人間が少なかっったということである。

どいつもこいつも、一癖も二癖もある連中ばかりで、気の許せるというか、
まともに話せるのはさっき会ったジョルジュくらいだ。
まぁあいつはあいつでアレではあるが。

ちなみに今俺と一緒にいるこの人もアパートの住人で、モララーさんという。通称ドS。本当酷い。
しかもこの連中そろいもそろって余計な事に首を突っ込みたがる厄介な奴ら
とあるから、どうしようもない。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:39:15.97 ID:ECotM2+E0

ただでさえ人嫌いである引きこもりの俺のところに、そんな奴らがそろって
押しかけてきたらどうなる?
答えは想像に難くない。簡単だ。

ただ単に俺が凄い迷惑を被る!!!

その時、後ろで鈍い音がした。
鈍い音っていうか、前にジョルジュが発した嫌な音。なんていうか、フィギュアが壊される系?

( ・∀・)「おーいドクオ、これ何?落としちゃった」

(;'A`)「ぎゃああああああ俺の嫁ぇえええええ!」

振り向くと床には壊れた俺の嫁(長門)が。
ていうかそれ普通に踏み潰しただろアンタ!

( ・∀・)「あと君の部屋本当汚い。ゴミは捨てろよゴミは。仕方ないから僕が捨てといてあげたよ」

(;'A`)「俺のかがみんがぁあああ!!」

ゴミ箱にはくしゃくしゃに丸められたポスターが。
てめぇは今全国のかがみんファンを敵に回した!

( ・∀・)「まったく君ってやつは本当にダメだよねぇ。社会のクズだよ害悪
     だよ、ニート、ダメ人間、働けこのゴミ虫が」

(;A;)「あうあう…」

酷い、酷すぎる。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:40:05.21 ID:ECotM2+E0

( ・∀・)「………………」

(;A;)「うっ…うっ…」

( ・∀・)「あははははは」

(;A;)「笑わないで下さいよ!」

俺が言うのもなんだけど、この人絶対友達いねぇ。

モララーさんは一頻り俺の部屋で(自分流に)遊んだあと、またいつものよ
うにニヤニヤとした嫌な笑みを浮かべ、まるで一汗かいたとでもいうように
俺の肩を叩いた。

( ・∀・)「さて、気も済んだし出かけようか友よ!」

('A`)「俺アンタのこと嫌いです…」

( ・∀・)「うん、僕もこういう汚い部屋に住んでいる奴は嫌いだ!気があう
ねぇ」


まったく同感だったが、腑に落ちない。






13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:41:36.32 ID:ECotM2+E0

  _
( ゚∀゚)「お、戻ってきたかドクオ…って何でそんなにへこんでんだよ」

('A`)「欝だ……ジョルジュ、俺はもう死にたい」
  _
(;゚∀゚)「たかだか数分で一体何が!?」

('A`)「愛する人を失った…この俺の悲しみ…今のお前にはわからないだろう…」

うな垂れてから明後日の方向を見つめると、ジョルジュは焦ったように手を振った。
  _
(;゚∀゚)「が、頑張れよ!ほら、ウクレレ弾いてやるから!」

じゃんじゃかじゃかじゃかじゃ…

('A`)「うるさいから止めて。ていうか辞めろ」
  _
( ゚∀゚)「お前モララーさんのことドSっていうけどさ、お前も結構酷いよ…」

ジョルジュの発言には耳を傾けないようにしていると、
後ろからモララーさんがやってきて頭を叩かれた。鈍い音が頭の中に響く。
痛、ごりって言った。ごりって。

( ・∀・)「何してるんだよ君たち、さっさと行こうぜ」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:43:08.82 ID:ECotM2+E0

('A`)「イタタ…行くって…」
  _
( ゚∀゚)「どこにッスか?俺明日バイトあるんで日帰りでお願いしますぜ」

当たり前である。
そんないきなり連れ出された挙句泊りとか冗談じゃない。
俺は旅行に行くと必ず体調を崩すタイプの人間なんだ。

欠かせないですコーラック!みたいな。そんな簡単に外泊させられてたまるか。

つーかお前も行き先知らなかったのかよ。スリーマンセルとか言いながら信頼力0じゃねーか。

( ・∀・)「何、そんな泊りがけじゃないさ、遠出するでもなくこのアパートにいるからね」

('A`)「というと…?」

( ・∀・)「よろこべドクオ、一生女には縁のなさそうな君に遊びの誘いだ。
     クーさんが呼んでいるから下の階へレッツゴー」

('A`)「それじゃあ、俺はこれ…でっ!」

穏やかな口調でそう告げると共に、俺はその場を駆け出した。

( ・∀・)「そうはいくか!君を生贄、もとい連れて行かないと僕が彼女に付き合わされる。
     それはゴメン被るからね」

だが、体力の落ちた体はあっさりと捕らえられ首根っこ掴まれたままひきずられる羽目となった。
ちょっと待て、アンタ今生贄っつったか。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:44:30.11 ID:ECotM2+E0

(;'A`)「離せ~~」

俺はクーと呼ばれるこのアパートの住人を思い出して震え上がった。
ああ、今思い出しても鳥肌が立つ、あの人に初めて会ったときのこと。
そう、あれはとても暑い夏の日のことだった。

「やあ初めまして、このアパートはちょっと変わった人が多いけど住めば都だから。歓迎するよドクロくん」

「ドクオです。…ところであの、その肩にくっついているものは一体」

「ああ、これか、コレは私の父が北海道から送ってきてくれたまりもっこりの偽者だ。
 阿部もっこりといってな…」

「いや、それも気になりますけどそっちじゃなくて…その…」

「え…?」

ッザーザーザーーーザザザザザザザ…!

いやああああああああああ!

そこまで思い出して俺の脳が拒否反応を示した。全力で思い出したくないと拒否している!
身の毛もよだつあの■■■■!とにかくとこんな所にいられるか、俺は自分の部屋に戻るぜ!
とばかりに身を捩じらせていたのだが、いい加減鬱陶しくなってきたのかモララーさんに首へ手刀を落とされた


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:45:33.68 ID:ECotM2+E0

('A`)「ぐふっ」

( ・∀・)「往生際が悪いんだよ。諦めろ」

('A`)「…スリーマンセルとか言っておきながら…あんた自分だけ逃げる気でしょう」

( ・∀・)「やだな、友達にそんなことするわけないだろ。ほらついたよ」

ついちゃったよ。
なんで同じアパートに住んじゃったんだろ俺。人生最大の選択ミスだ。

  _
( ゚∀゚)「わーい、クーさん元気かなー」

そして隣で喜んでいるアホが一名。
このポジティブウクレレは考えられないことにクーさんに惚れているのだ。
俺には考えられない。

どうしてあの人に惚れられる?一度そう聞いてみたことがある。
するとこいつはまるでアメリカ人のようなオーバーリアクションでこう答えた。

『だって君、彼女のおっぱいを見たかい?ビューティフル!僕は彼女に出会って
 初めて恋というものを知ったんだ!もう二度と二次元に逃げたりしないよ!』


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:46:57.66 ID:ECotM2+E0

なんでいきなり一人称まで変わってるんだよ、というツッコミは俺にはできそうもなかった。
だが一つだけわかったことがある。こいつは多分おっぱいのためになら死ねる男だ。

そのくらいアホなのだと。

しかし俺は違う。たとえおっぱいが好きでも命を捨てる覚悟なんてない。
だからここはお前が一人生贄になって俺はにが( ・∀・)「クーさーん。連
れて来ましたよー」うわあああああああああ

(;'A`)「ちょっ、開けるの早すぎ!もうちょっと心の準備とかさせてくださいよ!」

( ・∀・)「じゃあ僕はこれで」

(;'A`)「逃がすかぁ!」



「やあ、やっときたか。待っていたぞトグロくん」

すぐに走り出そうとするモララーさんを捕まえる。さっきとシチュエーションは逆だ。
俺が彼のスーツを掴んで逃がすまいとしていると、扉の向こうから凛としたキレイな声が聞こえてきた。

ていうかトグロじゃねーし。あってそうで一文字もあってないよその名前。


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:49:16.61 ID:ECotM2+E0

川 ゚ -゚)「相変わらず幸薄そうな顔をしているね、だが君のそういうところ、嫌いじゃないよ」

にこりと笑ったその顔は間違いなく美人だ。美人なのだろう。
だがそれよりも俺には彼女の肩についているそれが気になって気になって仕方なかった。

川д川「くふ…くふふふふ…クーちゃんはぁ…嘘をつくのがおじょーず…くふふ…」

ずるずると伸ばした黒髪で顔が見えないが、口元だけははっきりと見える。
やたら青白いその女は、口角を引きつらせるようににたりと笑った。
不気味な笑みだった。

クーさんの肩にくっついているこの女には、下半身がない。
俺はぞくぞくとこみ上げてくる寒気を抑えて、挨拶をした。

('A`)「ドクオですよ。どうも…お久しぶりです」

川 ゚ -゚)「ああ、ドクオくんね。どうも人の名前というのは覚えられないから困る」

('A`)「はぁ…」
  _
( ゚∀゚)「クーさんクーさーん、俺も来ましたよー」

川 ゚ -゚)「ああマーフィー、君も来てくれたのか」
  _
( ゚∀゚)「はい!」

覚えられないっつうより覚える気がないだろこの人。
ジョルジュも訂正しろよ。


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:50:44.15 ID:ECotM2+E0

( ・∀・)「ドクオ…そろそろ僕の服を離してくれないか。皺がつくだろ、高いんだよこのスーツ」

忘れかけていたがモララーさんが俺の方を憎らしげに見ていた。
多分クーさんに見つかる前にこの場を立ち去ろうとしていたのだろうが、そうは問屋が卸さない。

というよりも自分だけ逃げるなんざ許してたまるか。

クーさんの後ろに憑いている女を見れば解ると思うが、
この人はこのアパートの住人の中でも群を抜いて厄介なのだ。

モララーさんのように性格ではなく、その体質。
性格も厄介といえば厄介だが、…自覚のない霊媒体質ほど厄介なものはない。

川 ゚ -゚)「なんだ、君も来てくれたのか」

( ・∀・)「いや、僕はこのまま帰るよ。ほら、なんかクーさんとは口調が似てるからキャラも被るし」

モララーさんはなんとかこの場から逃げ出そうと必死だが、俺はそれを見逃さなかった。
ていうか逃がすか。

('A`)「いや、そんなことないですよ。クーさん、なんかモララーさんも一緒に遊びたいそうです」

(;・∀・)「おい」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:51:44.24 ID:ECotM2+E0

川 ゚ -゚)「ん?そうなのか?」

(;・∀・)「いや、僕はこれからちょっと用事があるっていうか…」

川 ゚ -゚)「こう言ってるが」

('A`)「ツンデレなんですよ」

川 ゚ -゚)「そうか…ツンデレならしょうがないな」

(;・∀・)(えええええええ!?)

三人とも入って来い、顎でと促すと彼女は自室の奥へと歩いていった。
俺たち三人は誰ともなく顔を見合わせる。
正直俺はこのまま自分の部屋へユーターンしたいところだが…

川д川「来なかったら…呪…まぁーーす…くふくふ…」

行かなかったらしにそう。
まぁ行ってもしにそうですけどね。

仕方なく俺達はクーさんの部屋へと足を踏み出すことになった。

( ・∀・)「まったく、君のせいでとんだ災難だよ」

('A`)「同感です」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:52:24.80 ID:ECotM2+E0

( ・∀・)「スリーマンセルは三人で一つだと言ったのに、裏切られるとはね」

('A`)「同感です」

( ・∀・)「…僕は君が嫌いだよ」

('A`)「俺も人をボロクソに言ってへこまして部屋を荒らす人は嫌いです。
    気が合いますね」


モララーさんは憎憎しげに同感だ、と呟いた。





川 ゚ -゚)「まあ、何もないところだが座ってくれ。今トン汁入れるから」

('A`)「あの、お構いなく…」


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:54:13.81 ID:ECotM2+E0

ていうかトン汁て。
喉あんまり潤わないだろそれ。

ジョルジュがクーさんの横に立ち手伝うといわんばかりについていった。
後には俺とモララーさんだけが残され…いや、正確にはこの部屋には俺達以外にも人がたくさんいるが。
それこそ無数にといってもいいほどに。

( ・∀・)「まったく…ここはいつきても慣れないな」

('A`)「…はい」

部屋の中を無数に飛び回る人だか無視だか動物だか、なんだかよくわからない幽霊
(と呼んでいいものなのかどうか、俺は知らない)達は、俺達を見ながら口々に何か囁きあっていた。
会話に集中でもしないと頭がおかしくなってしまいそうだ。

誤解しないでもらいたいのだが、俺にもモララーさんにも霊感といったものは一切ない。
モララーさんはどうか知らないが、少なくとも俺は金縛りなんてもんにはあったことがないし、
そもそもあの人に会うまでは見たことすらなかった。

それがなぜいきなり見えてしまったのかというと、原因はクーさんに他ならない。

あの人の体質はこういった霊を呼び寄せ、そして見えない人間にまで見えるようにしてしまう。
いわば『強制的な霊感増幅人間』とでも言うべきか。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:55:19.94 ID:ECotM2+E0

モララーさんが隣で深いため息をついた。

( ・∀・)「はぁ…ドクオを生贄にして逃げる予定だったんだけどなあ…」

('A`)「ぶっちゃけましたね」

( ・∀・)「当然だ。こんなところに長くいたら気が狂うぜ。
     ここにいてまともでいられるのは見えないか、気にしないかのどちらかだ」

生憎僕は繊細なんだよ、と続ける彼に、俺はまったくもって同感だった。
この人のことは嫌いだが、気が合うことに関しては同意したい。

つまり、クーさんはこの部屋に無数に敷き詰められている幽霊に気づいていない、
というよりも見えてないのだ。
さっき言ったように、自覚のない霊媒体質、とでも言うのだろうか。

('A`)「どうして、クーさんには見えないんだろう…」

他人に与える影響力は強い癖、自分にはなんの影響も及ばない、なんて…

川д川「そ・れ・わ・ねぇ~~~…」

呟いたと同時、にゅっという擬音が似合いそうな唐突さで、その女は俺の前を覗き込んできた。

(;'A`)「うわあああああああ!」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:56:18.41 ID:ECotM2+E0

驚きのあまり後ろにあった棚に頭をぶつけたがそんなことはどうでもいい。
ひんやりとした手が俺の頬に付けられたまま離れない。
女は嬉しそうににやぁと笑った。

川д川「くふ…くふ…失礼しちゃうなぁ……そんなんじゃ女の子にモテないよぉ…
    アナタは元からモテなさそうだけどぉ~」

(;'A`)「うおっ、ば、あばばばば、いきなり何…!」

( ・∀・)「君の考えに答えてくれるんじゃないのか?」

俺がテンパってる横で、意外にもモララーさんは落ち着いていた。
手にはDAKARAを持って悠々とそれを口に運んでいる。
格好いいとでも思ってるのか。

('A`)「…この状況で何飲んでるんすか」

( ・∀・)「僕の大切なライフパートナーにケチつけるな。それより貞子ちゃんがお待ちかねだよ」

指の方向には首がありえない方向に曲がった女が甲高い声をあげて笑っていた。

(;'A`)「ぎゃあああああああああ!」

川д川「くふ…くふふふふ…きゃあはははははははははは!」

(;゚A゚)「あひぃぃいいいいい!」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:57:12.78 ID:ECotM2+E0

( ・∀・)「うるさい」

もっていたDAKARAで頭を殴られた。
大切なライフパートナーじゃないのかよ。

( ・∀・)「貞子ちゃんもふざけすぎだよ。まぁこいつをからかって楽しいのはわかるけど」

('A`)「痛いよう…頭痛い…モララーさんは、その人と知り合いなんですか…?」

( ・∀・)「そりゃ、僕は君よりも先にこのアパートに住んでいるからな。多少は詳しいよ」

そういうことは先に言えよ、と思ったがこれ以上ここで騒いでいても話が進まない。
そろそろクーさんたちも戻ってくるだろうし、俺は早急に話を聞くことにした。

目の前の女幽霊はモララーさんが言うに貞子という名前らしい。
それなんてホラー映画?と思わないでもない。

('A`)「しかし、俺の質問って言っても…」

( ・∀・)「クーさんにどうして彼女達が見えないか、ってことだろう」

('A`)「はい。…あれ?俺言いましたっけ?」

( ・∀・)「口に出てたぜ。君は馬鹿だね」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 19:59:03.65 ID:ECotM2+E0

('A`)「マジすか…」

川д川「くふふふふ、おばかさん~」

貞子が俺の首に指をつけて楽しそうに笑う。どうでもいいが怖いのでやめて下さい。

('A`)「それで…どうしてなんですか?」

川д川「あのねぇ……ちょっと耳貸してぇ~…」

('A`)「ちゃんと返してくださいね。何すか?」

貞子の口元へ耳を寄せると、大きな音を立てる心臓に相反するように静かな口調で貞子は言った。

川д川「うん…あの、ね………
    
    
          ばぁああああ!」

(゚A゚)「ひゃっ!」

川д川「くふふふふふふ…ひっみーつ↑~」

耳が破裂するかと思った。つか、ええええええええ!
ここまで引っ張っておいて秘密って!


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:00:16.00 ID:ECotM2+E0

なんだか微妙に暗いんだか明るいんだかわからない幽霊に不満の声を漏らすと、
彼女はごめんねぇと、まったく悪いと思っていない声色で告げた。

川д川「もうすぐクーちゃんがぁ…戻ってくるから…。クーちゃんの遊びに
付き合ったら教えてあげる…」

('A`)「付き合わなかったら…?」

川д川「………どうしてクーちゃんに私達の姿が見えないのか…
教えることは出来ないけどぉ、コレだけは言っておくねえ…」

彼女の白い腕が、俺の手の上に下りてきた。
気がついたときには貞子の顔が目の前に迫っていて、あ、と思ったときにはもう遅い。

川д゚川「私達…姿は見られないけどぉ、皆皆皆みーんな、クーちゃんのことが
だぁああああああい好きなの……もしアナタがクーちゃんを悲しませるようなことがあれば…くふふふふ…
    
    殺すよ」

(; A )「…………っあ」

どういう理屈だ。コレは。
口をふさがれているわけではない。キスシーンとか思った奴乙。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:01:26.01 ID:ECotM2+E0

そもそも幽霊である彼女に口をふさがれたとしても息は出来るはずなのだ。
なのに今の俺は呼吸が出来ない。周りには幽霊たちのはやし立てる笑い声。
冷たい腕の感触が遠のいていく。

苦しい、酸素が、脳に、まわ、ら


( ・∀・)「貞子ちゃん。その辺にしとかないとドクオが死ぬ」


その一言で、圧迫感が消えた。
顔に集まった熱が引いていき、脳に回っていない酸素を求めるように、
俺は大きく息を吸い込んだ。

(; A`)「ぶはっ……げほっ…げほっげほっ…!」

川д川「くふ…ごめんなぁさあい…」

必死に酸素を吸い込んでいる俺の耳に聞こえてきたのは、
やっぱり大して悪いとは思っていなさそうな、貞子の声。
多分、彼女は俺がクーさんを悲しませたら本気で殺す気なのだろう。

改めて此処の異常さを知って俺は鳥肌が立った。
なんだって自分が住んでいるアパートで取り殺されなきゃいかんのだ。

モララーさんの方へ視線を寄越すと彼はもうどうでもいいようで、
周りの幽霊達の笑い声に耳を貸さないようにしている。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:02:14.50 ID:ECotM2+E0

('A`)「あの…ありがとうございました…」

( ・∀・)「まったく…だから此処には来たくないんだよ…この部屋では彼女が女王だからね。
     彼女を馬鹿にしたらそれだけで処刑だ」

彼女、というのはおそらくクーさんのことだろう。
どういうことかは解らないが、とにかくここにいる幽霊共がクーさんを
慕っているということだけは理解できる。

俺は一刻も早くこの部屋を抜け出すことを真剣に考えることにした。





川 ゚ -゚)「すまない、待たせた」
  _
( ゚∀■)「お待たせー」

それから数分もしないうちに、クーさん達は戻ってきた。
手には煮えたぎったトン汁がお椀一杯に注がれている。ジョルジュの手が赤い。

('A`)「本当お構いなく…」

川 ゚ -゚)「そうはいかない。客人はもてなすのが私のルールだ。さあぐいっと飲んでくれモグロくん」


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:03:14.94 ID:ECotM2+E0

('A`)「ドクオです。あの、箸とかはないんですか…?」
  _
( ゚∀■)「………………」

( ・∀・)「何を言ってんだドクオ。トン汁くらい箸使わず飲めよ。
     あ、僕はライフパートナー意外は口にしないことにしているから、このトン汁はドクオに譲る」

('A`)「アンタが何言ってんすか。ていうかコレ湯気がすごいし具がでかいんですけど…」

箸使わずに飲むのは不可能に近い。
しかし飲まなかったら飲まなかったで奴らの報復が怖い。
八方塞四面楚歌、ああ無情なり。
  _
(;゚∀■)「な…なあっ!」

('A`)「あ?」
  _
(;゚∀■)「なんで二人とも俺の眼について何も言わねーのっ!?
     どうしたのそれ、とか、なんで眼帯してるの?とか、なんかあるだろ!」

('A`)「………………」

( ・∀・)「……………」

俺とモララーさんは、なんとなく顔を見合わせ、それから二人でため息をついた。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:04:05.45 ID:ECotM2+E0
  _
(;゚∀■)「なんだよー!」

('A`)「いや…なんていうか…想像つくし」
  _
(;゚∀■)「!?」

( ・∀・)「どうせトン汁が飛んで火傷でもしたんだろ」
  _
(;゚∀■)「す…すげっ!すげっ!なんで二人ともわかんの!?超能力者!?」

両手を火傷で赤くしているジョルジュをシカトして、俺は手の内にあるお椀を見つめた。
火傷したあいつを馬鹿にしてはいるが、なんというか、コレを飲んだら…

川д川「貴方達もそうなるよ、ね~…くふふふふふ」

(;'A`)「うわ!」

川 ゚ -゚)「どうした?」

(;'A`)「いや、な、なんでも…」

お椀の中から貞子が顔を出している。ちょっ、飲みにくくなることすんな!
つか怖!

川д゚川「さっきの言葉…忘れちゃや~~~~よ…」


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:05:14.99 ID:ECotM2+E0

お椀の中でにや~っと笑う女幽霊はかなり怖い、
何が怖いってトン汁の具なんて気にせず顔を出してるところが。
隣にいるモララーさんを見ると彼も周りの幽霊にメンチ切られて顔を青くさせていた。

さっきの発言から勝手にこの人はここの幽霊とも親しいのかと思っていたが
どうやらそれは思い違いだったようだ。

性格最悪なあの人もやはりここではこいつらに逆らえないらしい。

次に俺はクーさんを見た。
気のせいか顔がわくわくしている。まるで期待に胸を膨らませた子供のようだ。

川*゚ -゚)「いや、嬉しいな。私は友達が少なくてね、料理は好きなんだが
     滅多に人が尋ねてこないから手料理も振舞えないんだ」

(;'A`)「………………」

ああ、そんなこと言われたら…

川д川「くふ、くふふふふふ~…クーちゃんったら嬉しそう…可愛い…」

飲まないとフルボッコは確定だった。
俺とモララーさんは再び顔を見合わせ、笑う。
それは死地に赴く時の笑みだった。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:06:25.70 ID:ECotM2+E0

('A`)「いただきます…」

( ・∀・)「…いただくよ」

ごく、口に入れた瞬間


(; A ); ∀ ).。*゚「あっつい!!!」



俺達はその場にぶっ倒れた。






口元に手を当ててごろごろと転がってマジ涙目。
モララーさんも同様に口元に手を当て涙を堪えているようだ。
大げさにも思えるリアクションだがマジで熱い。熱すぎて味もよくわからん。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:08:26.82 ID:ECotM2+E0

上で笑う幽霊どもにこの熱さを思い知らせてやりてぇ畜生!おーれのしーたが
真っ赤に燃えるぅうううう!!

川 ゚ -゚)「そういえば、この間両親から双六が送られてきたんだ。
     遊ぶものもないから皆でやろう」

そしてどうしてアナタは俺達のこの悶えにはノータッチなんだ!
見ろよ、俺達を!
あっついっ!っつって転がってるだろ!
  _
( ゚∀■)「双六ですかー懐かしいですね!俺はクーさんがやろうってんなら
      いくらでもやりますよ!じゃんじゃんやります!」

ウクレレを弾きながら同意するジョルジュを俺は呪った。
やめろよ!そんなのしてたらますます帰れなくなるだろ!

川 ゚ -゚)「ああ、私の両親は悪魔祓いとかいう胡散臭い職業についているのだが
たまにこういったいわくつきの代物を送ってくるんだ」

いわくつき!?
胡散臭いはあんたが言えたことじゃないだろう!

(;'A`)「あ、あの…その双六にはどんないわくがあるんですか…?」

ようやく舌の熱さから立ち直ったが、今日はもう何も食えない。舌が痛い。

息も絶え絶えに彼女へ問いかけると、またも子供のようにわくわくした表情で、言った。


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:09:48.30 ID:ECotM2+E0

川 ゚ -゚)「バカだな、君は」

('A`)「え…?」

川 ゚ -゚)「それをこれから確かめるんじゃないか」


ああ、帰りたい。






その双六は年代物らしく、なんでも鑑定団とかに出せばちょっとイイ値がつきそうな代物だったが、
いかんせん、いわく付きじゃ鑑定する人も「ちょwwwww無理スwwwww」
と言うだろう禍々しさももっていた。

実際嫌なオーラを放っている(なんかオーラとか言うと一気に胡散臭いが)
年代物だが見た目はきれいで、紙製の簡素なものだった。

川 ゚ -゚)「まずは自分のコマを決めてくれ。私はこのめろんちゃんにする」

クーさんが、コマの一つであるめろん型の模型を手に取った。
続くようにモララーさん、ジョルジュ、俺が自分のコマを手にしていく。
正直やりたくない気持ちでいっぱいだったが、ここまできたら腹をくくるしかない。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:16:33.13 ID:ECotM2+E0

( ・∀・)「それじゃあ僕はこのオムライスちゃんにしよう」
  _
( ゚∀゚)「じゃー俺はりんごちゃん!」

('A`)「あ…じゃあ俺はこのカタツムリちゃんで」

なんで皆ちゃんづけなんだよとかそんなことはどうでもいい。
ただ、コマを掴んだ時の違和感に俺は奇妙な浮遊感を覚えた。
それが何かなんてわからない、ただ

嫌な予感がすることだけは確かだった。

川д川「くふ、くふふふふ…楽しみねぇ~…」

後ろでささやく女の声に、耳は貸さない。もう二度と貸すものか。
クーさんが付属品であるサイコロを掴んだとき、さらにゾクゾクとした怖気がこみ上げてきた。

川 ゚ -゚)「誰からサイコロを振る?」

( ・∀・)「クーさんからでいいんじゃない?そこから時計回りが妥当だろう」

川 ゚ -゚)「そうか、じゃあ、私から」


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:17:42.13 ID:ECotM2+E0

ということでクーさんがもっていたサイコロを振った。

ちなみに双六のルールに関しては知らないものはいないと思うが、もしもいたらアレなので一応簡単に言っておく。

双六とはサイコロをふって、出た賽の目だけマスを進み一番最初にゴールのマスへ
辿り付いたものが勝ちというものである。以上

つーかなんで俺心の中で双六のルール説明してんの気持ち悪っ。
きっとこれもこの部屋が持つ魔力とか異常な力が働いてのことなのだろう。

深くは突っ込まないことにする。


そうこう考えてるうちにクーさんの賽は6の目を示した。

川 ゚ -゚)「おお、いきなり6とはついている」

確かに彼女には色々と憑いているが、この双六に関してはどうやら部屋を漂っている
奴らは近寄らないようにしているらしく、遠巻きに見ている。

胡散臭いとはいえ、一応悪魔祓いとかいう両親から送られてきたものだ。
もしかしたら何かを祓う力があるのかもしれない。

唯一近寄ってくるのはこの貞子だけで、「すごぉい」などといいながら手を叩いていた。


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:19:38.46 ID:ECotM2+E0

1、2、3、4、5…と進みクーさんの手が6の目で止まったところで
モララーさんがマスのセリフを読み上げた。

( ・∀・)「今までで一番楽しかったときのことを話す、か。ふうん…まぁありがちだね」

川 ゚ -゚)「!!!」
  _
( ゚∀゚)「あれ?どうしたんすか?」

モララーさんが読み終えたと同時に、クーさんはその場で固まり、
虚ろな目でテープレコーダーのように抑揚なく話し始めた。
俺達一同は驚きのあまり何もいえない。

川 ゚ -゚)「正直私にはあまり楽しい思い出というものはないが、やはり一番楽しかったのは
     子供の頃、両親に連れられていったお化け屋敷だろう。
     自分でもなぜかわからないがあれはよかった。心がとても温まったのだ。
     両親は私のことを笑っていたが、私はとても楽しかった。
     今でも思い出すのはあの時のことである」

全て話し終えると、彼女の目には再び光が戻ってきた。


(;'A`)「…ク、クー…さん?」


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:20:33.78 ID:ECotM2+E0

川 ゚ -゚)「む…私は今一体何を…?」

( ・∀・)「…どうやら厄介ないわくつき、というものは間違いないようだぜ」

モララーさんがやれやれとでもいうように肩をすくめたが、俺には意味がわからなかった。
考える暇もなく能天気にジョルジュが賽を振った。
今の状況を見てなにも考えず振るあたりこいつはやはりアホなのだ。

出た目は…3
  _
( ゚∀゚)「3か…!クーさんの半分ですね!」

川 ゚ -゚)「ああ」

1、2、3とコマを進め、止まったところを自ら読み上げた。
  _
( ゚∀゚)「自分が一番好きな言葉を体で表せ、か…」
  _
( ゚∀゚)「!!!」

読み終えた瞬間、今度はジョルジュがさっきのクーさんと同じように虚ろな目で立ち上がった。
そして腕を大きく振り上げ、叫ぶ。


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:21:04.37 ID:ECotM2+E0





  _
( ゚∀゚)o彡゜「おっぱい!おっぱい!おっぱい!」








58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:21:57.32 ID:ECotM2+E0
  _
( ゚∀゚)「ん?あれ?今俺何を…」

('A`)「……………」

( ・∀・)「……………」

川 ゚ -゚)「……………」

誰も何も言わなかった。というよりも言えなかった。

さっきのクーさん、そして今のジョルジュ。
明らかに可笑しい。まるで自分の意思が働いていないようなその行動に、
ようやく俺もさっきモララーさんが言っていた意味が解ってきた。

これは確かに厄介だ。

( ・∀・)「次は僕だね」

('A`)「続けるんですか?」

俺は驚いて聞き返す。
この双六は、察するに出たマスのことを強制的に言わせるのだ。

いや、言わせる程度ならまだいいが、さっきのジョルジュのように
行動まで支持されるようになったら、と考えると恐ろしい。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:23:34.25 ID:ECotM2+E0

極端な話、出たマスに「人を殺せ」とあったら殺さなくてはならなくなる。
それも、さっき見たところ自分の意思とは無関係に。

( ・∀・)「…僕もやめたいのは山々なんだが、なに、君も自分の番が来ればわかるさ」

自嘲気味に笑ってモララーさんが賽を振る。
出た目は5だ。

( ・∀・)「1,2,3,4,5…と。……今までの自分の恋愛暦を暴露、ね」

( ・∀・)「!!!」

( ・∀・)「別に僕としては特に彼女が欲しいわけでもないんだぜ、
     ただ単に向こうから女が寄って来るんだよ。最初は誰たったかな。
     小学校のとき、隣に座っていたミヨちゃんに付き合ってって放課後言われたんだっけか。
     それを最初にまぁサチ、ゆき、リリ、マコ、アリス、カナエ、…数えたらキリないけど
     高校までは大体そんな感じ。まぁ性欲処理には事欠かなかったからいいさ。
     そんで大学はしばらく遊んでそれからしぃと付き合ってた。
     これが今までで一番長かったんだけど彼女が妊娠してしまって別れてしまった。
     今は誰とも付き合ってない」

( ・∀・)「あれ?今僕は何を…」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:24:36.17 ID:ECotM2+E0
  _
( ゚∀゚)「……………」

('A`)「……………」

川 ゚ -゚)「……………」

( ・∀・)「なんだよ、君たち」

('A`)「とりあえずモララーさんが最低だってことはわかりました。」

川 ゚ -゚)「知ってはいたが失望した」
  _
( ゚∀゚)「酷いっすよ!!」

( ・∀・)「なんだよっ!」

最初から性格最悪だってことはわかっていたが此処まで最低な人だとは思わなかった。
つーかなんだこの人、所詮男は顔だって言いたいのか?
はっきり言って気分悪いが、お陰でやはりこのゲームが危険だということがわかった。

やはりこのゲームはここでやめるべきだ。
このまま続けていたら人間関係が破綻するどころか社会にまで害を及ぼすかもしれない。
まぁ俺社会と関わりとかもってないけど。


65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:25:37.14 ID:ECotM2+E0

川д川「そう…うまくいくかなぁ~…?」

貞子は俺の考えを見抜いたのかやはり不気味に笑ったが俺はそれに反応を示すことはしなかった。

('A`)「……………」

('A`)「皆さん、やっぱりこのゲームやめませんか?これは危険すぎ…ってあれ?ちょ…」

双六をたたんで、ゲームをやめようと思っていたのだが、気がつけば俺の手にはサイコロが握られていた。
どういうことだよこれ!?自分の意思とは無関係に腕が振られる。

(;'A`)「ちょ、おい!?嘘だろ!?」

( ・∀・)「バカだね、やめられる位ならとっくに僕のところでやめていたさ。
     このゲームはやめられないんだよ。言っただろう?いわくつきだって」

(;'A`)「やめっ…チクショオオオオ!」

絶望的なセリフとともに、賽は投げられた。
出た目は…1。

(;'A`)「くそっ…1…は………今まで自分が起こした事件や奇行…?」

('A`)「!!!」


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:26:36.08 ID:ECotM2+E0


そこで俺の頭は真っ白になった。








('A`)「はっ!俺は一体何を…」

それは一瞬だったか、それとも何分も続いたのか。
よくわからないが想像するに後者なのだろう。
気がつけば頭の中が真っ白になっていて、そして気がつけば気の毒そうな
目でで俺を見る三人が目の前に座っていた。
いや、モララーさんだけは面白そうな目で俺を見ている。

(;'A`)「…なんですか…」
  _
(;゚∀゚)「いや…なんていうか…」

川;゚ -゚)「聞かなかったことにするから…」

( ・∀・)「あっはっはっは!君は本当に予想を裏切らない変態でうれしいぜ!
     コーラと蛙をそんなことに使うだなんてね!それでこそこのアパートの住人だよ。あははははは!」

(;'A`)「ちょ、ま、俺は一体何を言ったんですか!?」


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:27:43.78 ID:ECotM2+E0

一人で大爆笑しているモララーさんに焦って問いかけた。
コーラとか微妙に嫌な思い出が蘇ってくるが…静まれ、俺の邪鬼眼!思い出したくないんだよ!

( ・∀・)「いやー楽しかった。さて、これで一巡したわけだけど、クーさんこれって説明書とかないの?」

(;'A`)「ちょっとぉ!!」

川д川「聞き返したところでアナタの恥は変わらない~変わらない~」

ぬるりと足に巻きついてきた腕がやたらと冷たく感じるのは、今の俺の体温が上がっているからだろう。
畜生、双六め!俺に何を言わせたんだ!

川 ゚ -゚)「残念ながら説明書は鍋敷きに使ってしまっている」

(;'A`)「なんで鍋敷きに使っちゃったの!?」

川 ゚ -゚)「いや、鍋敷きがないとトン汁作れなかったし…」

(;'A`)「どんだけトンにこだわってるんですか!
   もしかしたらこのゲームから抜け出すヒントがあるかもしれないでしょ、早く持って…」

川д゚川「クーちゃんに命令するなんて…いい度胸ねぇ……くふふふふふ」

(;'A`)「来て下さい!お願いします!」


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:29:19.42 ID:ECotM2+E0

川 ゚ -゚)「把握した」

ぐっと親指を立てたが、その手はすでにサイコロに伸びている。

('A`)「あの……」

川 ゚ -゚)「すまん…私も持って来たいんだが、この通り体が動かないんだ」

('A`)「…………」

何でだよ!と責めることは出来なかった。
言われてみると、俺も腕とか顔とかは動かせるがその位置から移動することが出来ないのだから。
つーかこれもういわくとかじゃなくて呪いだろ、と思わざるを得ない。

( ・∀・)「……まぁ、ゲームの内容からいって、誰か一人が上がれば終われるかもしれない。
     ここはひとまず続けるしかないようだぜドクオ」

モララーさんはすでに諦めの表情を浮かべている。
クーさんはこんなオモチャを持ってきてしまった自分に今更ながら責任を感じているの、
ちょっと俯いている。
ジョルジュは何も考えてない顔だ。

そして俺は…

('A`)「はあ…仕方ないっすね…」

どうせこのままここにいてもゲームは強制的に続くのだ。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:30:21.29 ID:ECotM2+E0

なら先に諦めてしまうのが得策だ。

俺もモララーさん同様、早々に諦めゲームの成り行きにまかせることにした。

この時、ああ、どうして俺は部屋の扉を開けてしまったんだろう、という後悔をしたけれど。







それからの展開は、もう色々言うに耐えない。
人間関係の崩壊、というものはなかったが、というよりもともと崩壊するような関係など
俺達にはないのだから、当たり前といえば当たり前の話だ。

だが、自分の過去話や性癖やら人には言いたくない秘密を半強制的に言わされるのは
正直我慢ならないっつーかやめてくださいお願いします!

( ・∀・)「あはははははは!君って満月の夜には全裸になるのかい!?やっぱりとんだ変態だね!」

('A`)「何を言いやがりますか、あんただって子供の頃近所のガキ大将にいじめられて
    女子トイレで女装してたくせに!オカマかよ!」
  _
( ゚∀゚)「クーさんのスリーサイズを意外なところでゲットした…えへ!」

川;゚ -゚)「わ、私は何か変なこと言っていなかったか?なぁ?自分では覚えてないんだ…」


72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:31:25.96 ID:ECotM2+E0

川д川「くふふ…」

ゴールも間近、俺達はもう全てを投げ出し、ただハイテンションというか、
勢いに任せて賽を振っていた。

あーあ、これで俺の性癖とか秘密は明日にはこのドSによってアパート中に広められているんだろうなあ。
やだなあ、どうせからかわれるんだろうなぁ…とか涙目になりつつも、
もう少しでゴールできるという喜びに興奮し、結構楽しくなっていたとも思う。
あれだけ上を飛んでいた幽霊も今じゃ気にならない。

むしろ奴らもノリノリである。

  _
( ゚∀゚)「次ッ!俺!出た目は3! 秘密一つ暴露!」
  _
( ゚∀゚)「!!!」
  _
( ゚∀゚)「俺、実はマザコンです!母親のストッキングとかかぶってました!」

( ・∀・)「あははははは!母親を大切にするのはいいことだよ!」

('A`)「変態じゃないっすかwwwwwwつーかそれはマザコンじゃねえよwwwww」


76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:32:22.51 ID:ECotM2+E0

川 ゚ -゚)「ドロロくんも変態だがな」

('A`)「ドクオですwww」

もう気分はどうにでもなれ、だった。

( ・∀・)「次!僕!出た目は4! 好きな子暴露!」

( ・∀・)「!!!」

( ・∀・)「とりあえずいじめやすい子!」

('A`)「ドS乙wwwwwww」
  _
( ゚∀゚)「こwwwwwwわwwwwwwい」

川 ゚ -゚)「いじめるのは良くないことだぞ」
  _
( ゚∀゚)「クーさん可愛い!好きです!」

川 ゚ -゚)「あ、次はマグロくんだ」

('A`)「ドクオですwwwwwジョルジュ無視ワロスwwwww」




そんなことがしばらく続き、ようやくクーさんが最後に振って、
2以上の目が出れば終わりというとこまでこぎつけた。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:34:18.88 ID:ECotM2+E0

( ・∀・)「やーれやれ、やっと終わるなー」

('A`)「双六にありがちの『スタート地点に戻る』とかがなかったのが救いですね。
   なんかもう俺色々テンションがやばいんですけど」

つかやっててわかったがもうこれただの暴露ゲーだ。
  _
( ゚∀゚)「クーさんがんばー!あと好きです!」

川 ゚ -゚)「よし、投げるぞ」
  _
(;゚∀゚)(あれ?シカト!?)

ジョルジュの通算5回目くらいの告白がスルーされたところで、クーさんのサイコロが宙を舞う。
2以上の目が出ればあがりだが、もうこのテンションならなんでもOKだ。

しかし、早く終われるに越したことはない。





そして出た目は……






79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:35:16.59 ID:ECotM2+E0


ゴールだ!

(*'A`)「やっ…!」

俺が立ち上がり、万歳しようとしたその瞬間、双六の画面がちりちりと赤く光り出した。

(;'A`)「!?」

ついでスターウオーズも真っ青な大きな音鳴り響く。え、何!?

―――――ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴg

( ・∀・)「やーようやく動けるね。なんか肩こっちゃったぜ」
  _
( ゚∀゚)「お疲れ様でしたー!」

川 ゚ -゚)「トン汁持ってこようか」

(;'A`)「なんであんたらそんなに落ち着いてるの!?え、これ何!?地鳴り!?」

ていうか何なのいきなりこのファンタジー展開!?読者もついていけねえよ!
俺があたふたしている間に、ドン!と大きな音が鳴り響く。

恐る恐る目を明けると、そこにいたのは見覚えのない男女が立っていた。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:36:54.44 ID:ECotM2+E0
立っていた、というよりも双六から浮き出るようになっていて、
ホログラム体とでもいうのだろうか、背景が透けて見えた。つか

/ ,' 3「クー…」J( 'ー`)し

………………誰?

川 ゚ -゚)「…!母さん、オヤジジィ」

(;'A`)「似てませんね!?」

両親かよ!?
あと親父さんなんか扱い低い呼ばれ方だなオイ!
突然の超展開に俺はついていけずただうろたえるだけだったが、
意外にもジョルジュとモララーさんは落ち着いていた。
やはりこのアパートの住人暦が俺より長いというだけあって、この二人とも面識があるのだろうか。

/ ,' 3「元気でやってるか?お前は友達がいないからな」

なんの前触れもなく話し出す親父さんだったが、内容は結構辛らつだ

J( 'ー`)し「何バカなこといってんのよアナタ! クーにはちゃんと友達がいるわ!」

お袋さんと思われるその人が親父さんを足蹴にし、優しい笑みをクーさんに向けた
ここでも親父さんの立場が低いのかよ。

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:38:16.44 ID:ECotM2+E0

クーさんがちょっと驚いたような表情で二人を見つめていた。
いや、ポーカーフェイスだからわかりずらいが、本当はかなり驚いているのかもしれない。

川 ゚ -゚)「どうして……」

J( 'ー`)し「ねぇクー、元気かしら? このホログラム体はカーチャンの
ちょっとした魔力で持っているから、長いこと保てないの。だから完結に言うね」

ビデオも携帯もある時代でどうしてこんな魔力を使うのか俺には理解できなかったが、
ここで口をはさんだらKYという奴だろう。
ていうかお袋さんすごいですね。

J( 'ー`)し「アナタは昔から自分に友達がいない、と言っていたけど、こんな風に
双六をやってくれる友達がいますよ、それをカーチャンは言いたかったの」

川 ゚ -゚)「………………」

J( 'ー`)し「そんな風に産んじゃってごめんね、でも、いつかクーのことを
理解してくれる人がきっと現れるから」

J( 'ー`)し「もっと自分の心のうちを友達に打ち明けて見なさい。大丈夫、
一緒に双六をやった友達の弱みは全部握ってるんだから!怖いことなんてないよ!」

え、そういう名目で作られた双六なのこれ?
クーさんは何も言わずただそこに立っている。俺は何を言っていいかわからないでいた。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:39:20.10 ID:ECotM2+E0

/ ,' 3「そうだよ、お前は頑張ればできる子だ。 私達はまだしばらく会えないけど、
今の仕事が落ち着いたら会いに行くから」

J( 'ー`)し「次来るときには、前みたいに追い出さないでおくれね……あ、やべ、もうすぐ無理、魔力切れる」

川 ゚ -゚)「母さん…」

/ ,' 3「え、嘘、ちょっと待って!?ワシまだクーにお別れの挨拶言ってな」

そこで、映像、というかホログラム体は途切れた。
誰も何も言わない。
あの貞子ですら、心配そうな顔でクーさんを見つめている。

どうでもいいけどコレ、ビデオレター送るとかじゃダメだったのかな。
オヤジさんが最後まで可哀相だったんですけど。とか関係ないことを考えていた俺だったが、
その後にクーさんが見せた表情に俺は少しどきりとした。


川 ゚ -゚)「………友達」

クーさんはしばらく考え込んでいたようだが、ややあって顔を上げる。
何か決意したような顔だった。
モララーさんはその顔を見て笑うと、俺に指でクーさんを示す。


86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:40:49.91 ID:ECotM2+E0

( ・∀・)「ドクオ」

(;'A`)「あ、はひ!?」

( ・∀・)「クーさんが君に話があるようだぜ」

('A`)「え………?」

見ると、クーさんはちょっと震えて、俺の方を見ている。そうしてぽつり、ぽつり、と語り出した。

川 ゚ -゚)「まず…最初に謝っておこうと思う。すまない、こんな強制的なゲ
ームに巻き込んでしまった」

('A`)「い、いや…別に…クーさんもどんないわくがあるのか知らなかったわけだし…」

それに最後の方はなんか微妙に楽しかったし。
あんなテンションになったのは実際久しぶりだったと思う。

川 ゚ -゚)「いや、予想は出来たのに楽しそうだという判断で巻き込んだ私の責任だ。君達も、すまない」

後ろにいるジョルジュとモララーさんにも謝るクーさん。
対して二人は軽い表情だった。

( ・∀・)「いやあ、僕は、ね」
  _
( ゚∀゚)「俺はクーさんが喜ぶならそれでいいんですよ!好きです!」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:41:59.48 ID:ECotM2+E0

その言葉に、クーさんはすまなそうに頭を下げ、そして再び俺の方に向き直る。

川 ゚ -゚)「君に、聞いて欲しい事があるんだ。聞いてくれるか?」

('A`)「…は…………はい」

すぅ、と大きく息を吸い込んで、抑揚なく呟いた

川 ゚ -゚)「私には、友達がいない」

('A`)「クーさん…?」

川 ゚ -゚)「どういうわけか判らないが、昔から友達が出来たことがないんだ。
     できたと思ってもすぐに離れていってしまう。それどころか、二度と近寄ってきてくれない」

俯きながら話すクーさんはちょっと目が赤い。
そういえば、一番最初の目で子供の頃の楽しい記憶はあまりないと言っていたっけ。
思い出したくない過去なのかもしれない。

川 ゚ -゚)「最初は何か自分に至らないところがあるのだと思った」

川 ゚ -゚)「だが、それがなんなのかはわからなかった」

川д川「……………」


89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:43:41.53 ID:ECotM2+E0

川 ゚ -゚)「お前と一緒にいると幽霊がくる、とよく言われたが私には霊感なんてものがないから、
     それがなんのことかもわからないし、改善しようにもどうすればいいのかわからなかったんだ」

俺は、そこまで聞いてなんとなく想像がついてしまった。
彼女の無意識な霊媒体質は、他人に強く影響を与える。
誰だって、幽霊が見えるようになってしまうというのは恐ろしいことだ。俺だってそうだった。

ここに来たときモララーさんの言っていた言葉を思い出す。


( ・∀・)『こんなところに長くいたら気が狂うぜ。
     ここにいてまともでいられるのは見えないか、気にしないかのどちらかだ』

('A`)「……………」

川 ゚ -゚)「だから、両親に頼んでみたことがある。私にも幽霊を見えるようにしてくれと」

しかし、結果は今の状況を見れば手に取るようにわかった。

川 ゚ -゚)「だが、結局何も変わらなかった」

悲しさそうに眉を顰め、クーさんは言った

川 ゚ -゚)「私は両親を責めたよ」


90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:45:03.55 ID:ECotM2+E0

川 ゚ -゚)「それからも私に誰かが近寄ることはなかったし、
     このアパートの人たちは仲良くしてくれるけど、それでも寂しかった。
     友達のいない自分が、どうしようもなく惨めだった」

('A`)「………」

その気持ちは、俺にも少しわかる。
なんせ学生時代全て便所飯で過ごした俺だ。友達のいない惨めさは大きな傷を与える。
ましてや彼女は女の人。クラスでさぞや浮くことになっただろう。

川 ゚ -゚)「ごめん…謝ってすむことではないと思うが」

('A`)「は…?いや、巻き込んだのはもう別に気にしてな」

川 - )「そうじゃないんだ…っ」

クーさんは被りを振って、足元を見る。泣いているのか、いやまさか。

川 - )「本当は、知っていたんだ、途中でやめる方法…」

('A`)「え…」

川 - )「昔、聞いたことがあるから、『リセット』といえば、あの双六は抜け出せる。
     だけど私はそれをやらなかった…っ」

川 - )「やめなくちゃ、って思ってた。こんな風に人の秘密を聞くのなんてよくないことだって、
     だけど、今まで…こんな風に誰かと遊ぶことなんて……なかったから…っ」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:46:17.56 ID:ECotM2+E0

('A`)「クー…」

川 ; -;)「楽しかったんだ…!どうしようもなく、友達と遊べることが…!私には楽しかった…」

顔を手で覆うと、周りにいた幽霊達がどよめき心配そうに駆け寄る。
きっと彼らは彼女に友達が出来ない原因だと、わかっているんだろう。
だけど自分の意思で離れることはできないから、ただ悲しそうに彼女を見つめるだけなんだ。

今では、貞子がクーを傷つけたら殺す、と脅した意味がわかる。
こいつらは、心底クーさんが大好きなんだ。

川 ; -;)「わかっている…君が私のことなど友だと思っていないことは…だが、それでも…私は…!」

( ・∀・)「クーさんは勘違いしているよね」

俺がなんていっていいかわからないでいると、間にモララーさんが割って入ってきた。
戸惑っているクーさんに笑いかけると、耳元で何かをささやく。

それを聞いたクーさんの顔は驚きの表情に変わるが、やがてそれは決意の表情へと変化した。

涙を拭った顔は、もう先ほどのクーさんではなく、いつものキリッとした彼女だった。

川 ゚ -゚)「ドクオ…」

('A`)「ドクオです。…て、あれ?」


92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:47:11.75 ID:ECotM2+E0

川 ゚ -゚)「今更…私がこんなこと言えた義理ではないというのは判っている。
     けど…言わずに終わるのは嫌だから…」

そこで一息して、小さく、告げる。


川 ゚ -゚)「私と…友達になってくだ、さい」

おずおずと手を差し出すその人に、俺は柄にもなく照れてしまった。

('A`)「あ…………」

だが、手を差し出すのを躊躇っていたら、後ろの女幽霊、
その他彼女を慕う幽霊の殺気が膨れ上がったので、慌てて手を差し出す。

もっとも、これは脅されたとかではなく自分の意思だが

('A`)「な、なるもなにも…俺は最初からクーさんとは友達です」

変な人だとか思っていてすいません。少なくとも、アナタは後ろにいる二人よりもずっと人格者で、
ずっと常識的で、…普通の女の人でした。

今ならこの人に惚れたジョルジュの気持ちがちょっとだけわかる。

( ・∀・)「よっ!顔に似合わずキザだね!」
  _
( ゚∀゚)「ドクオ!クーさんの手の湿度をkwsk!」


93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:47:54.39 ID:ECotM2+E0

(#'A`)「うるせぇ!!」

その時、手を掴んでいたクーさんが困ったように視線を泳がせているのを見て、俺は再び問いかけた。

('A`)「どうしたんスか?」

川 ゚ -゚)「あ、いや、その…なんていうか、私は今まで友達がいなかったから…」

照れくさそうに視線を下に移し、小さく呟いた。

('A`)「はあ?」

川 ゚ -゚)「…こういう時、どういう顔をすればわからないんだ」

…………なんという、綾(略)とは言わない。むしろ俺は笑った。この人の人間っぽさが見えて、嬉しかった。

そして、ここはセオリー通り、こう答えるべきなのだろう。

('∀`)「こういう時はですね…笑えばいいんですよ!」



さっきまで、俺はここに来た自分を呪っていたが、今は満更でもない。
なんというか、清々しい気分だ。

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:48:36.94 ID:ECotM2+E0

そういえば、最初に会ったとき、この人はなんて言っていたっけ。

川 - )「……………そうか…」

ああ、確か………

川 ゚ ー゚)「ドクオ…」


このアパートは変わった人が多いけど…………




川 ^ー^)「ありがとう」


住めば都、だ。







後ろで幽霊達の騒ぐ声がする。
モララーさんはにやにやと笑い、ジョルジュはウクレレを楽しそうに弾いていた。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:49:15.30 ID:ECotM2+E0

貞子も口元に笑みを浮かべてクーさんに抱きついている。

このアパートは変人ばかりで、煩わしい事ばかりだと思っていたが



('∀`)「…ははっ…」


……………うん、悪くない。



~('A`)割と住めば都のようです~




96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:50:07.28 ID:ECotM2+E0

エピローグ


それから、俺は以前よりちょっとだけこのアパートが好きになった。
最近はクーさんと遊びに行ったりもしている。
背後から驚かす貞子がクセモノだが、なんだかんだで楽しい毎日だ。
他のアパート住人には案の定ばらされた秘密のせいでからかわれたりもしているが、
最近は反撃も出来るようになった。

そんなある日、モララーさんが俺の部屋に尋ねてきた。
相変わらず汚い部屋だねえとかなんとか呟きながらフィギュアを壊しているってやめろおおおおお!

(#'A`)「なんですか、何しにきたんですか!悪魔!帰れ!」

( ・∀・)「随分な言い様だね。僕はお礼を言いにきてやったというのに」

すでにお礼を言う態度じゃねえ!
って、お礼…?

('A`)「なんですか、お礼って…」

お礼参り的な?いや、だがそんなもんされる覚えはないし…
俺が今までモララーさんにしてきたことを脳内で展開していると、彼は苦笑して手を振った。

( ・∀・)「僕じゃなくて、彼女がね」

('A`)「?彼女って…」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:51:03.55 ID:ECotM2+E0

川д川「んばぁ~~~」

(゚A゚)「ぎゃあああああああ!」

上を見れば長い黒髪が目に入ったような感覚だ。
貞子は相変わらず不気味な笑みを浮かべ、俺の目の前に立った。て近い、距離が近い!古泉かよお前!

川д川「くふ、くふふふふ~…驚いてる、たあのしい…」

(;'A`)「な、な、なんだよいきなり!?今日はクーさんとは会ってないぞ!?」

この女幽霊は俺がクーさんに何かひどいことをするたび呪いますとか言ってくるから、
てっきり今日もその件だと思ったが、どうやら違うようだ。

川д川「お礼を~…言いに来ましたぁ…」

('A`)「お礼…?」

( ・∀・)「つまりね、僕とジョルジュは最初からあの双六のことを知ってたんだよ」

('A`)「はぁ………」

………………。

(;'A`)「…って、はぁ!?」


99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:52:41.73 ID:ECotM2+E0

川д川「私がぁ…モララーちゃんとジョルジュちゃんにお願あいってしたの」

(;'A`)「な、なんでそんなこと…!?」

そう聞くと貞子はほんの少しだけ、申し訳無さそうに言った。

川д川「クーちゃんのお友達になってほしかった、の……だって、
    私達がいるせいで今までお友達が出来なかったんだもん…だから…」

( ・∀・)「あの双六のことを聞きつけた貞子ちゃんが、僕にセッティングを頼んだんだよ。
     クーさんと僕と、君とジョルジュくんで遊んでほしいってね、友達になって欲しかったんだと」

('A`)「はぁ…で…でもどうして俺だったんですか…」

( ・∀・)「だってほら、君友達いなさそうだし」

あんたもな。

('A`)「ていうか知ってたってことは…あれ全部演技だったんですか?
    此処にいたくないとか…帰るとか…」

( ・∀・)「半分は本気で、半分は演技だ。少なくとも僕は女性には優しいんだぜ。
あとちょっと面白かったし」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:53:56.89 ID:ECotM2+E0

こういうところが、イケメンなんだろうなあ、と、俺は不覚にも思ってしまった。
貞子が俺の前にちょこんと座る。

川^ー川「クーちゃんが楽しそうな顔、久々に見れて嬉しかったぁ~…、……ありがとね、ドクオちゃん」

そういって、にこりと笑った顔は、今までに見た陰鬱な笑顔ではなく、
心の底から嬉しそうな笑顔だった。

('A`)「…あ、ああ…」

俺は頷き、ちょっと頭をかいた。なんだ、普通に笑うとそこまで怖くもないじゃん
もしかしたらこれからの俺の日々はエロゲ的展開…

川д川「で・も」

そう思ったのも一瞬のことで、腕をつかまれいつものようなホラー顔でせまり、言う。

川д゚川「それでもクーちゃんを傷つけたら、ぜったいぜったい殺すからぁ……くふ、くふふふふ。
あんなにいい子泣かせたら許さない……!」


103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:54:37.60 ID:ECotM2+E0

鬼気迫るその表情に、俺は頷かざるを得なかった。

(;'A`)「イ、イエスー…」



前言撤回だ。

やはり俺の日常はまだまだ波乱万丈らしい。


終わり


105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/10(土) 20:56:03.60 ID:ECotM2+E0

これでおしまいです。
でも他のアパート住人とか出せなかったのでいつか違う機会で書きたいと思います。
支援してくださった方、ありがとうございました。

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