mesimarja
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(*゚∀゚)つーはラーメンを作るようです
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 14:40:12.71 ID:X2ZHcwxq0
(*゚∀゚)つーはラーメンを作るようです


それでは、始まります


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 14:43:07.18 ID:X2ZHcwxq0





それは小さなラーメン屋。




ラーメン職人同士が熾烈な争いを繰り広げるその区域、
人々が行き交う大通りで、
寂れた小さなラーメン屋が建っている。




誰が入るとも分からないそのラーメン屋は、
いつまでも潰れることなく
そこでラーメンを作り続けているらしい。





6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 14:45:17.03 ID:X2ZHcwxq0






(*゚∀゚)つーはラーメンを作るようです







7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 14:46:36.33 ID:X2ZHcwxq0



(;^ω^)「あちぃ! あちぃお! 夏死ね! 氏ねじゃなくて死ね!」

人通りの多い大通りを、僕は人波をかいくぐりながら歩いていた。
時折鼻に飛び込む香りに釣られ、ふらふらと右往左往しながら僕は目ぼしい店を探していく。
まあでも迷うほどでもないだろう。僕は財布の中身を覗き込む。幾つもの野口さんが、僕を熱情的な視線で見つめている。
何せ金はある。行きたい店があれば、金にものを言わせて喰いまわればいい。
取材費でラーメンを食えるのは、グルメライターの特権だ。

そこは「ラーメン天国」と呼ばれている通りだった。
勿論通りそのものの名前ではない。「ニュー速VIP通り」というのが本当の名前だ。
「ラーメン天国」というのは俗称でしかないので、呼ぶ人によって呼ばれ方は変わる。
例えば「ラーメン牧場」。例えば「ラーメン街」。
どの俗称でも、「ラーメン」が付くことだけは変わらなかった。

一歩通りの外から出れば、見上げるほどのビルが幾つも建っている。
最初はこの通りもブティックだとか普通のレストランなんかが沢山建っていたらしい。
しかしブティックなんてそうそう行かないし、レストランは何処もかしこも高いものしか売っていない。

彼らに最も需要があるのは、安くて美味くてさらっと食べれる昼食を売っている店だった。
そしてその人たちを標的として、幾つものラーメン屋が通りに建っていった。
そして今に至っている。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 14:47:47.57 ID:X2ZHcwxq0
一区域に幾つもラーメン屋があると、客の入るラーメン屋と入らないラーメン屋の格差が出てくるものである。
それぞれの店舗が潰れまいと切磋琢磨し合うから、この界隈のラーメン屋は何処も美味いと評判である。
雑誌に載ることなど一度や二度ではなく、中には日本一とまで言われるようなラーメン屋もここにある。
それほどにここのラーメンは優秀なのだ。


そして僕は、謂わば発掘屋。
この大量のラーメン店の中から、埋もれた才能を引き出して輝かせてやる係。
要はラーメンを食べて見込みのある店を雑誌に載せてやるのだ。


雑誌に載れば知名度はうなぎのぼり。一度雑誌に載せてやればそのラーメン屋は一気に栄光への階段を駆け上がる。
だから、僕の仕事は下手をすれば一つのラーメン店の命運を左右することにもなるのだ。
僕はニヤニヤしながら街中を歩く。


やいやいそこをどけ。お前の好きな店が潰れるかもしれないんだぞ?
やいやいそこをどけ。僕次第で店一つ潰せるんだぞ?
少し、というかかなり偉くなった気分で僕は財布をぽんぽんと放って弄びながら、通りを練り歩く。


そのとき、突然僕の体に誰かが体当たりを仕掛けてきた。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 14:49:32.87 ID:X2ZHcwxq0

( ゚ω゚)「メメタァ!」


僕は突然のダメージにその場にへたり込む。
痛いな、いきなりなんだお、と悪態をつきながらわき腹を押さえる。
次の瞬間に、自分の財布がなくなっていることに気付いた。


(#´_ゝ`)「おい、どけ! 邪魔だ!」


僕の財布を奪ったらしい男は人混みを突き抜けながら走っていく。
あそこには僕がラーメンを食うための取材費がたんまり入ってる。
それをみすみす取られるわけにはいかない!
右半身に刺さる痛みに耐えながら、僕は大声で叫びながら男を追う。


(#^ω^)「誰かそいつ捕まえてくれお! 泥棒だお!」


(#´_ゝ`)「くそっ! 邪魔だっつってんだろ!」


必死に男を追いかけるが、痛みがちくちくと刺さってまともに走れない。
そうこうしている間に男はどんどん遠くへ行ってしまう。
糞、何だって言うんだよ、突然。畜生。
心の中で悪態を付きながら、僕はもう一度大声を張り上げる。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 14:55:10.61 ID:X2ZHcwxq0

(#^ω^)「泥棒だお! 誰かそいつを捕まえてくれお!」


「泥棒? そいつはいけないなぁ」


( ゚_ゝ゚)「アウチ!」


突然脇の人垣の中から誰かが男に向かって飛び出してくる。というか、飛んできた。
足を高く上げたドロップキックの姿勢で飛んできたその誰かは、
わき目もふらず走り続けていた男にクリーンヒットし、男は情けない声を上げてばたりと倒れこむ。
僕がよたよたと歩きながら追いつくと、誰かは着ているエプロンについた埃をぱたぱたと払いながら、財布をとってたちあがる。
その誰かは女性だった。鼻筋の通った端正な顔立ちをした小柄な人で、美人と呼ぶに相応しいその顔を見て僕は少しどぎまぎしてしまう。


(*゚∀゚)「アヒャヒャ! とんだ災難だったな!」


(;^ω^)「あ、ありがとうございますお」


(*゚∀゚)「アヒャヒャ! 気にすんな」


(;^ω^)「それじゃ、財布を……」

(*゚∀゚)「おっと」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 14:56:07.01 ID:X2ZHcwxq0

僕が女性から財布を受け取ろうとすると、ひょいと女性は財布を引っ込める。
また僕が手を伸ばして財布を取ろうとすると、今度は別の手に持ちかえる。
またそれを取ろうとすると今度は上に上げる。またそれを取ろうと(ry


(;^ω^)「はぁ……はぁ……い、一体何なんですかお!」


(*゚∀゚)「ふふーん。せっかく助けてやったのにただで返すわけにゃいかないな!」


( ^ω^)「ちょwwwwwwそんなwwwwwwwww」


(*゚∀゚)「見たところグルメリポーターかなんかじゃないか?」


彼女が僕の胸元を指しながら言う。彼女は胸ポケットに入れたメモ帳とペンを指しているようだった。
僕は仕事の時にはその店の良かった所や悪かった所をメモして持ち帰るようにしている。
仕事を円滑に進めるために他のライターを真似して始めたことなのだが、彼女はそれを目ざとく見つけたらしい。


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 14:57:15.31 ID:X2ZHcwxq0

( ^ω^)「あ、そうですお」


(*゚∀゚)「じゃあ一つ頼みごとがあるんだが」


(;^ω^)「な、何ですかお?」


何か助けたかわりに要求するつもりだろうか? 僕は頭の中で色々想像をする。
財布の中身の一割を寄越せとか? 取材費を持っていかれたら取材が出来なくなるのでかなり困る。
仕事の手伝いをしろとか? 僕は元々労働向きな体をしてないので、凄く嫌だ。かなりの重労働を迫られたらどうしよう。


うわぁ、どれも最悪だ……
やっぱり自分で追いかけてしとめたほうがよかったかもしれない、と思いながら僕は彼女の言葉を煽る。


(*゚∀゚)「――うちのラーメン屋でラーメン食っていってくれ!」


( ´ω`)「……分かりましたお……」






( ^ω^)「え?」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 14:58:22.50 ID:X2ZHcwxq0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



というわけで今僕は彼女の店にいる。
彼女の名前はつーと言うそうで、たった一人で店をやりくりしているそうだ。
それは大変だろう、と僕が言うと彼女は「繁盛してないから大丈夫さ」などと苦笑していた。


その時は「それでも流石に売れてるから、この通りに軒を連ねてるんだろう」と僕も考えていた。
しかし僕のその考えは彼女の店を実際に見たときに、覆されることとなった。


まず看板を上げていない。
小ぢんまりとした店の概観のせいで家なのか店なのか分からないくらいなので、看板すら上げていないのは商売において致命傷だろう。
辛うじて店のすぐ傍までくれば換気扇から流れ出るラーメンの香りを嗅ぐことはできるが……
ラーメン店の並ぶ通りで、この店から流れてくる匂いだと確定は出来ないだろう。


そして中に入ってみると何より狭い。
カウンターと椅子と小さなテレビとあとある程度のスペースがあるだけで、かなり狭い。
店内が広いというのも結構なアドバンテージになるので、これでは商売をしていくには少しきついものを感じる。


よくこんな店が生きながらえてきたものだな、と僕はつくづく思う。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:00:20.02 ID:X2ZHcwxq0
(*゚∀゚)「ごちゅーもんは?」

( ^ω^)「何がありますかお?」

(*゚∀゚)「しょーゆだけ」

(;^ω^)「レパートリーすくNEEEEEEEEEEEEE!!」

(*゚∀゚)「しょーゆいっちょー!」

( ^ω^)「ちょwwwwwまだ頼んでないwwwwwwww」


意気揚々と厨房に消えていくつーさんの背中を見ながら、僕は胸ポケットのメモ帳とペンを取り出す。
先に上げたマイナスポイントを書き出しながら、僕はこの店が続いている理由を考える。
椅子に埃がかぶってたりかぶってなかったりするのを見ると、客の入りも中々悪いらしい。


もしかしたら、ラーメンの味一つで店を経営しているのだろうか?
だとすると日本一レベルで美味いラーメンじゃないと流石に長続きしないだろう。
それにそんな味を持ってるなら雑誌の一つや二つ載っててもいいはずだ。


しかしこんな店は生涯ライターやってて聞いたこともない。
じゃあ何なんだろう。
うーん、と唸りながら思考していると、「へいお待ち!」と威勢のいい声とともに僕の前にラーメンが差し出される。
僕はまずじっくりとラーメンを眺める。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:01:17.18 ID:X2ZHcwxq0
( ^ω^)「すごく……シンプルです」


トッピングはねぎ、めんま、チャーシューと王道三種。見た目も何の変哲もないただのラーメン。
カップラーメンにトッピングしただけじゃねえか? と思うほど普通でありきたりなラーメン。
少し困惑して顔を上げるが、ニコニコ笑顔でうれしそうにこちらを見てくるつーさんを見て、なんだか居たたまれなくなって一口いただく。



――うめぇ。


(*^ω^)「うめえええええええええええええええええええええええええええ」


(*゚∀゚)「お? 美味いか?」


(*^ω^)「ちょwwwwwwこんな美味いの食ったことねえwwwwwwwwwww」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:02:27.93 ID:X2ZHcwxq0
堪らず二口、三口、さらには一気にかきこむようにラーメンを食べる。
一口目はこってりとしていて、いざ飲み込んでみるとさっぱりとした後味を味わえるスープ。
コシのきいていてつるつるとした触感の麺とスープを一度からませれば、絶妙の一言に尽きるハーモニーが僕の味覚を刺激する。
トッピングのチャーシューもあまり脂ぎっていなく、元々脂っこい印象のあるラーメンの味を損なわないようになっている。


全部が全部支えあって、崇高な一杯のラーメンを作り出している。


まるで人と人が支えあって「人」という字が出来上がっているように――
スープと麺とトッピングが支えあって――「ラーメン」というものを作り出している。


これは まちがいなく おいしい !!

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:03:52.83 ID:X2ZHcwxq0
(*^ω^)「日本一のラーメンだお! こんな最高なラーメン食ったことないお!」


(*゚∀゚)「そこまでほめてくれるとはうれしいね」


(*^ω^)「お世辞なんかじゃねーお! これ以上のラーメンはきっと何処にもないお!」


(*゚∀゚)「よし、そんじゃもう一枚チャーシューサービスだ!!」


(*^ω^)「ぶひいいいいいいいいいいいいいいいいい」


(*゚∀゚)「(キメェwwwwwwwwww)」


そんな掛け合いをしながら、僕はラーメンの虜になり、夢中でラーメンを啜り続ける。
やがて三分もしないうちに丼の中は空になり、僕は一杯になったおなかをさすりながら水を飲む。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:05:27.53 ID:X2ZHcwxq0
( ^ω^)「しっかしこんな店がどうして流行らないんだお? 一度名を広めればそのうちここは日本一にもなれるお!」

(*゚∀゚)「そうか?」

( ^ω^)「幾つものラーメン屋を有名にしてきた敏腕ライターが言うんだから間違いないお!」


僕は親指をぐっと立ててつーさんに突き出す。
つーさんは誇らしげに胸を張りながら僕の言葉にうんうんと頷いている。
僕は急いでメモ帳とペンに手を伸ばし、先ほど食べたラーメンについてメモを取り始める。
こんな美味いラーメンを作る店を流行らせてやらねば、グルメライターの名が廃るというものだ。


(*゚∀゚)「おっと」


突然、つーさんが手に持ったペンを取り上げる。


( ^ω^)「何するんですかお」

(*゚∀゚)「いやさ、ラーメン食べてもらえればそれでいいんだ俺は」

( ^ω^)「? どういうことですかお?」

(*゚∀゚)「あのさ……雑誌には載せないでもらいたいんだ」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:06:41.43 ID:X2ZHcwxq0
( ^ω^)「……!?」


何を言ってるんだこの人は。
一度雑誌に載れば客は来るし、売り上げは上がるし、こんな小ぢんまりとした店も改装して大きくしていくことが出来る。
ましてやこんなに美味いラーメンを作れるなら、知名度は一気に上がるだろうし日本一も本当に夢ではなくなるだろう。
誰だって店を立ち上げたら少しでも売れたいと思うものだ。


より多く売れればお金に余裕が出来るし、従業員を雇って経営を楽にしていくことも出来る。
一人でラーメン屋をしていくには流石に大変だろうし、このまま売れずにいればそのうち潰れてもしまうだろう。
今の僕の誘いは彼女にとって願ってもみないチャンスだったはずなのに。
それなのに、何故?


(*゚∀゚)「俺はよ、別に売れたくてラーメン屋やってるわけじゃねーんだ」

( ^ω^)「何を言ってるんだお。この店なら日本一にだってなれるお?」

(*゚∀゚)「いーんだよっ! これ以上客が増えたら、俺一人じゃ捌ききれなくなるだろ?」

( ^ω^)「?」

(*゚∀゚)「だからいーんだよっ」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:07:54.97 ID:X2ZHcwxq0
うれしそうににかにかと笑って、つーさんは胸を張る。その顔に一切の憂いはない。
心のそこから太陽のように振舞う彼女の気持ちが分からなくて、僕は首を傾げる。
彼女とて、売れたほうが自分が幸せになれることは分かってるはずだ。


それなのに何故この人はこんなに幸せそうに振舞うのだろう。
コップの中の水を飲み干して、僕は椅子から立ち上がる。
つーさんは「雑誌には載せないでくれよな」と念を押してから、僕にペンを返してくれる。


( ^ω^)「いくらですかお?」


僕は財布の中の野口さんをいじりながら聞く。


(*゚∀゚)「ああ、お勘定はいらん」

(;^ω^)「はぁ!?」

(*゚∀゚)「いーよいーよ! 美味そうに食ってくれたお礼だ!」

(;^ω^)「いやでも……」

(*゚∀゚)「その代わりッ!」

僕の言葉をさえぎるようにして、つーさんは大声で言う。


(*゚∀゚)「また来てくれよな!」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:08:45.66 ID:X2ZHcwxq0
( ^ω^)「…………」


にかにかと太陽のような笑い顔で、つーさんは僕を見上げてくる。
僕は困ってしまって頭をぽりぽりとかきながら目を背けた。
へへへ、と笑うつーさん。僕は観念して苦笑しながらドアを開けた。





( ^ω^)「また、来ますお」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:09:20.60 ID:X2ZHcwxq0








第一話 それは一つのラーメン屋

ここまで







43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:11:46.79 ID:X2ZHcwxq0
ちょっと休憩挟んで二話を投下します。
一応この作品は1スレ短編です
そもそもは総合に投下しようとしてた作品なのですが
そこらへんの話は最後にばばっと書きますので

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:13:15.97 ID:X2ZHcwxq0
爪'ー`)y‐「で? 記事の原案は書いてきたか?」

( ^ω^)「書いてきましたお」

爪'ー`)y‐「んー……『鶏ガラクックル』か。確かにあそこは美味いが、使い古されてるからなぁ……」

(;^ω^)「うー」

爪'ー`)y‐「まぁ記事は悪くない。今週はこれでいこう」

( ^ω^)「ありがとうございますお」


グルメ雑誌「週間F・O・X」の編集部。僕はそこのライターを担当していた。
毎週刊行されているグルメ雑誌なのだが業界でも一、二を争う有名な雑誌で、「一度『F・O・X』に載れば一気に有名になれる」といわれるほどだった。
僕は「F・O・X」の中でも「ラーメン王」と呼ばれるほどのライターで、実際に僕が栄光にのし上げた店の数もかなりの数なのだ。
そして僕が対峙しているのは「F・O・X」の編集長、フォックスさん。


ライター時代はプロフェッショナルと通称がつくほどの凄腕ラーメンライターで、僕が一番尊敬している人でもあった。
今現在「日本一」の「せうゆのブーム」を有名にしたのも彼だ。
僕もいずれは彼のように幾つもの有名店を作り出していきたいと思っている。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:15:00.10 ID:X2ZHcwxq0
爪'ー`)y‐「あとはそうだな。再来週は特大号を出すつもりだから何店かラーメン店を探してまとめておいてくれ」

( ^ω^)「分かりましたお」

爪'ー`)y‐「取材費はこっちで出しとくから」

( ^ω^)「把握ですお」

爪'ー`)y‐「それじゃお疲れ」

( ^ω^)「お先に失礼しますお」


仲間の「乙カレー」の言葉を背中に受けながら、僕は退室する。
とりあえず特大号用の記事を書かなければいけないので、僕は取材のために「ラーメン天国」へと足を向ける。
今回の記事はどうしようかな、と考えながら僕はメモ帳を見て、通りに並んでいる店の名前を何個か引き出す。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:16:08.35 ID:X2ZHcwxq0
「伊藤ラーメン」――あそこは美味いがサービスがなっていない。

「キムチラーメン」――そもそもあそこの店長が僕は好きじゃない。

「すぎうらーめん」――うん、そうだな。ここが一店目でいいだろう。

「せうゆのブーム」――いや、ここは使われすぎてる。というか取り上げても元から話題になってるからいらないし。

「せんとじょぉんず」――些かマイナーな店ではあるが……そろそろ掘り出し時だろう。


あとは――


( ^ω^)「そうだ」


つーさんの店。僕はつーさんの最後の一言を思い出す。


「また来てくれよな!」


そうだな。つーさんの店にも行っておこう。
それで今日の取材は終わりだ。
と、僕はメモ帳を閉じた。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:17:16.50 ID:X2ZHcwxq0




(*゚∀゚)「いらっしゃー……お、ライターさんじゃないか」

( ^ω^)「どうもですお、つーさん」


僕が店内に入ると、つーさんが厨房のほうから首を出してきた。
店内を見るともう既に一人客がいるようだった。背の低い老人が椅子に座ってラーメンを食べている。
本当に客は入ってるんだな、と僕は思いながら席についた。


(*゚∀゚)「ご注文はー?」

( ^ω^)「聞く必要あるんですかお?」

(*゚∀゚)「うちだってレパートリーくらいもってんだぞ?」

( ^ω^)「じゃあどんなラーメンあるんですかお」

(*゚∀゚)「醤油ラーメンと、醤油チャーシュー」

(;^ω^)「二つ目はラーメンって言わないですお」

(*゚∀゚)「じゃあ醤油ね。醤油いっちょー!」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:18:01.00 ID:X2ZHcwxq0
元気な声を出して、つーさんは厨房に戻っていく。
カウンターに置かれた水差しで勝手に水を汲んで、一気に飲み干す。


横で老人がのろのろとラーメンを啜っているのをじっと見つめながら、僕はぼーっとしていた。
あーあー、ラーメン伸びちゃってるよ……
そんなことを考えていると、突然老人がラーメンを食べる手を止めてこちらを見てきた。


/ ,' 3「おお、お客とは珍しいですのう。見ない顔じゃが、新入りさんかな?」

( ^ω^)「あ、つい昨日初めて来たばっかりで」

/ ,' 3「ほっほっ、この店のラーメンは至極美味いじゃろう?」

( ^ω^)「日本一の味でしたお」

/ ,' 3「じゃろう? 流石は埴谷ギコの娘じゃ」

(;^ω^)「はッ、埴谷ギコの娘!?」

/ ,' 3「そうじゃよ、知らなかったのか?」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:19:45.91 ID:X2ZHcwxq0
埴谷ギコといえば「せうゆのブーム」と並ぶ「日本一」として有名な「ラーメン・はにゃーん」の店長である。
「せうゆのブーム」はラーメン天国の一店舗だけで営業をしているが、「ラーメン・はにゃーん」は全国展開もしている超有名店。
しかしもう十年も前に店長ギコの失踪で消えてしまった店だった。


ギコの失踪については、「ラーメンが怖くて逃げた」「酷いスランプに陥った」などと色々と議論されていた。
だが議論の大本はギコへの誹謗中傷が殆どであり、それが幾度も囁かれるうちにギコは「ラーメン界の恥さらし」とまで言われるようになっていた。


しかし、彼は独り身で妻も子供ももっていないと言われていたが……そういえば、と僕は思い出す。
確か一時期彼が結婚したという噂が立っていた気がする。もしかしたらあれは本当の話だったのかもしれない。それなら納得がいく。
このラーメン職人としての腕も、父親から受け継いだものならば……
道理で美味いラーメンなわけだ、と僕は確信する。


/ ,' 3「ここはその埴谷ギコのラーメン屋の一号店だったのじゃよ」

(;^ω^)「一号店……こんな狭いところがですかお?」

/ ,' 3「そうじゃよ。どんなでかいラーメン屋でも始めはちっちゃい店舗から始まってるんじゃ。
    一号店だからこその思い入れがあったんじゃろうな。ギコの娘のつーは、その思い出の店でラーメン屋をやってる。
    父親にとってはとてもうれしいことじゃろうな」

( ^ω^)「…………」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:20:52.54 ID:X2ZHcwxq0
言い終わると、再び老人はラーメンに取り掛かり始めた。もう殆ど伸びきったラーメンを、おいしそうにずるずる食べていく。
僕は何か忘れていたことを思い出したような気がして、ずっと老人の言葉を反芻していた。


思い出の店、か。
そりゃ、改装したくもないだろうな。
父さんが守り続けた思い出の店ならば。


(*゚∀゚)「へいおまちー」

( ^ω^)「おっおっ、いただきますお」

/ ,' 3「それじゃあわしはそろそろお暇するかのう。代金はここにおいていくぞ」

(*゚∀゚)「まいどー。また来てね」

/ ,' 3「ほっほっ、また来るよ、つーちゃん」

( ^ω^)「…………」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:21:49.68 ID:X2ZHcwxq0
僕はそのほほえましいやり取りを、ラーメンを啜りながら聞いていた。
何だろうか、この感情は。老人の話を聞いていた時も然り。
初々しさ、というか。微笑ましさ、というか。


ああ、なんだかもう分からないや。
僕は考えるのを諦めて蓮華でスープを掬って飲む。美味い。


( ^ω^)「あのご老人からお話を聞きましたお」

(*゚∀゚)「ああ、そうそう。俺の父親のことだろ? 聞こえてたよ」

( ^ω^)「ラーメンが美味しいのも納得ですお」

(*゚∀゚)「そりゃそうだろ。俺は父さんを尊敬してるんだ。一人のラーメン職人として、な」


つーさんは誇らしげに言う。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:22:54.86 ID:X2ZHcwxq0
(*゚∀゚)「父さんみたいなラーメン職人が父親で、俺は本当に恵まれてるよ。
     店が続いてるのは父さんのおかげかもなww」

( ^ω^)「今こうやって店が続いてるのは、つーさんのお父さんのおかげじゃなくてつーさんの力ですお」

(*゚∀゚)「嬉しいこと言ってくれるじゃないかwww」


つーさんはからからと笑い、僕もその笑いに釣られて笑ってしまう。
つーさんと僕の二人しかいないこの空間が、凄く暖かく感じられるのはきっとラーメンの湯気のせいだけじゃないだろう。
たとえそんなに流行っていなくても、こういうほんわかしたラーメン屋もそれはそれでいいのかもしれない。


と、僕はほんのりと思った。

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:24:19.16 ID:X2ZHcwxq0







第二話 それは思い出のラーメン屋

ここまで








76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:25:31.55 ID:X2ZHcwxq0
第二話終わりです
デッドライジングのフランク並にたっぷり休憩をとってまた再開したいと思います
次回、最終話

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:26:39.79 ID:X2ZHcwxq0
>>73
まとめフリーなんでじゃんじゃんまとめてください

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:28:53.70 ID:X2ZHcwxq0




爪'ー`)y‐「最近、一つの店に通い詰めらしいじゃないか」


つーさんとであって一週間もたったころ。
特大号を前に気合の入った編集部での編集長の一言目がそれだった。
すぐにつーさんのラーメン屋のことを指しているのだと分かったが、僕は白を切る。


( ^ω^)「何のことですかお?」

爪'ー`)y‐「とぼけても無駄だぞ。は瀬川がお前がラーメン屋に入ってるところを見たと言っている」

( ^ω^)「……確かに、行ってますお」

爪'ー`)y‐「それで取材はしたのか?」

( ^ω^)「…………」


僕は閉口する。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:29:52.12 ID:X2ZHcwxq0
爪'ー`)y‐「お前が入り浸ってるラーメン屋だ。それはそれは美味いんだろうな?」

( ^ω^)「…………」


僕は無言で話を聞き続ける。


爪'ー`)y‐「取材して、原案を持ってこい」

爪'ー`)y‐「ラーメン食って、そのラーメン屋を有名にする。それがライターの仕事だろう?
      それが出来ないなら、お前はここにいても仕方がない。分かったな」


刺々しくそう言って編集長はデスクへと戻っていく。
「ライターの仕事」。
フォックスさんは昔、プロの凄腕ライターだった。ラーメンを有名にしてやる。それがライターの仕事。何も間違っちゃいない。

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:30:52.50 ID:X2ZHcwxq0


でも、僕はライターの仕事に違和感を覚えつつあった。
つーさんの店。決して有名じゃなくても、あんなに幸せそうにラーメン屋を続けている。
少しのお客さんと、少しの売り上げ。それだけでも、つーさんは至極嬉しそうにラーメンを作り続けている。


フォックスさんは僕の目指すところだ。僕の目標で、僕の幸せだ。
何か違う。フォックスさんみたいになることだけが、本当の幸せなんだろうか?
僕は椅子に座ってデスクを見つめながら、それだけをただひたすらに考えていた。



90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:31:36.89 ID:X2ZHcwxq0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



( ^ω^)「あ゛ー……もうすっかり夜中だお……」


ビルから出て時計を見る。特大号の編集が酷く長引いたせいで、終電ももう終わっていた。
こんな遅くなるのも久しいなぁ、などと思いながら僕はどうしようかと頭をひねっていた。
この頃運動もあまりしないしな、と僕は自分のおなかを叩く。腹にたまった大量の贅肉が、ぶるんぶるんと揺れた。
そんなに家まで遠くもない、たまには歩いていこう。僕はニュー速VIP通りへ歩いていく。


もう殆どのラーメン屋は営業を終えていて、明かりが点っているのは居酒屋かカラオケボックスなどだけだった。
いつもは通りを突っ切らずに駅のほうまで行ってしまうため、普段「ラーメン天国」として賑わっているこの通りの別の姿を見れた気がした。
こういう寂しい空気って、嫌いでもないかもしれない。


小走りになりながら僕が歩いていくと一つだけ明かりの点っているラーメン屋を見つけた。
深夜に営業するラーメン屋も珍しいなと近付くと、暗がりでさっきまではよく分からなかったが、つーさんの店だと分かった。
まだやってるなら晩飯に寄ってくか、と僕は店のドアを開ける。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:33:29.81 ID:X2ZHcwxq0



(*-∀-)



そこではつーさんがカウンターに突っ伏して眠っていた。
仕事中に寝ちゃったのか、と苦笑しつつも起こしちゃ悪いと思ってそっと外に出ようと振り向く。
すると突然後ろでがたがたと大きな音がした。僕はびっくりして振り返る。


飛び起きたつーさんが驚いてあたりをきょろきょろと見回していた。
大きな音は水差しが倒れたものらしい。床がびちゃびちゃになって、水差しがくるくると回っている。


(;゚∀゚)「うおっ! え!? 今何時!?」

(;^ω^)「もう一時ですお、つーさん」

(;゚∀゚)「おわ! 何でライターさんがここにいるのさ!」

(;^ω^)「いや、鍵閉まってませんでしたお」

(;゚∀゚)「あーしまった。寝ちゃったか……」


眠そうな目を擦り擦りしながら、つーさんはごめんね、と言った。そしてどたばたと閉店準備をする。

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:34:50.28 ID:X2ZHcwxq0

( ^ω^)「つーさんはこの店に住んでるんですかお?」

(*゚∀゚)「いや、VIP区のほうに住んでる」

( ^ω^)「あ、じゃあ同じ方ですお。一緒に帰りませんかお?」

(*゚∀゚)「ナニソレ誘ってるの?」

(;^ω^)「やましい気持ちがあって言った訳じゃ……」


にへらにへらと笑いながらつーさんは明かりを消す。
まあ確かに魅力的なことに変わりはないが。
鍵を閉めるから、とつーさんについて外に出る。鍵を閉めるがちゃがちゃという音が止むと、通りは本当に静かで、本当に真っ暗だった。
空に浮かぶ満月が、僕らを淡く照らし出す。


(*゚∀゚)「それじゃあ帰ろうか」

( ^ω^)「把握ですお」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:35:41.33 ID:X2ZHcwxq0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




( ^ω^)「つーさんは幸せですかお?」

(*゚∀゚)「ん?」


電灯がいくつかぽつぽつとあるだけの暗い夜道を、僕はつーさんと並んで歩く。
人通りはまったくなく、たまに横を車が通り抜けていくだけだった。
僕はふと編集長の言葉を思い出してつーさんに聞く。


(*゚∀゚)「幸せかっつーたら幸せに決まってるじゃんか」

( ^ω^)「繁盛しないのに、ですかお?」

(*゚∀゚)「……繁盛するだけが幸せじゃないのさ」


つーさんは少し声を低くして言う。
いつもの明るいつーさんとは違う気がして、僕は黙り込んでしまう。
少しばかりの静寂。
やがて、つーさんがぽつりぽつりと言い出した。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:36:27.44 ID:X2ZHcwxq0
(*゚∀゚)「父さんは……埴谷ギコは、交通事故で死んでるんだ」

(;^ω^)「えッ……!?」

(*゚∀゚)「失踪して二年は経ったころだから。それに口止めもされてたから雑誌には載らなかったけどな」

(;^ω^)「…………」


埴谷ギコが死んだ、ということはまったくの初耳だった。
ラーメンライターの業界の中でときたまギコの話が出てくると、もうギコは死んだだとかまだどこかでラーメン屋やっているだとか色々と噂は聞くが、
そのどれもが確証のないただの噂話ばかりで、実際のところ埴谷ギコが今どうしているのかは誰も知らなかった。


だからこそ僕は驚いた。
あの天才ラーメン職人が死んだことと、それを目の前のつーさん以外が――親族以外の誰もが知りえなかったことに。


(*゚∀゚)「父さんが失踪したのはチェーン店が軌道に乗ってきて、まさにこれから一気に売れるって時だった。
     父さんは事故にあう前日までずっと言ってたよ。
      ――『俺がやりたかったのはこんなラーメン屋じゃない』って」

( ^ω^)「……どういうことだお?」

(*゚∀゚)「父さんはいつも言ってたよ――




104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:37:22.86 ID:X2ZHcwxq0



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


(,,゚Д゚)「つー。ラーメン屋にとっていっちばん大事なのは有名になることじゃない!」

(*゚∀゚)「アヒャ? それじゃ何が大事なんだ?」

(,,゚Д゚)「いいか。売れようと思えば思うほど、ラーメンを作る腕は上がるが代わりに大事なもんを忘れてくんだ」

(,,゚Д゚)「それはなァ、『ラーメンを美味しく食べてもらう』って心なんだよ」

(*゚∀゚)「そーなのかー!」


(,,゚Д゚)「ああそうだ。確かに一杯売れて一杯店作って一杯稼ぐのも幸せかも知れない。
     でもな。ラーメン屋にとって結局一番大事なのは、お客に美味しい美味しいって言ってもらうことなんだよ。
     たとえ売れなくたっていい。たとえお客が少なくたっていい。
     何人ものお客さんにただ商売をするだけより、たった一人のお客に『美味い』って言ってもらったほうが、ラーメン屋ってのは幸せなんだよ。
     分かるか!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:39:21.83 ID:X2ZHcwxq0



(*゚∀゚)「失踪した日から事故の前日まで、父さんは『俺はこんなことのためにラーメン屋をやってきたわけじゃない』って言ってたよ。
     きっと父さんはラーメンが怖くて逃げたんでも、スランプに陥ったんでもない。
      お客さんに心のそこから『美味しい』と言ってもらえなくて失踪したんだと思う」

( ^ω^)「…………」


そうだ。僕は一週間前のつーさんと老人のやりとりを思い出す。
あの時のつーさんはとても幸せそうだった。僕がラーメンを「美味しい」と言ったときも。
きっとつーさんも、ギコも、その一言のためだけにラーメン屋をやってきたんだろう。


そうだ。何も有名になることが幸せじゃない。
底辺でも、著名じゃなくても、売れなくても、人に認知されなくても。
たった一人の目の前のお客のために、ただひたすらにがんばるのが幸せなんだ。


(*゚∀゚)「だからさ。俺は有名になんてならなくたっていいし、ライターさんたちお客さんに一言『美味い』って言ってもらったほうがずっと幸せなんだ。
     俺はそれだけは……忘れたくない」



109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:40:43.74 ID:X2ZHcwxq0
(  ω )「……!!!」


つーさんのその一言で、自分の固まった心が一気にほぐれていった気がした。
自分が始めて雑誌に記事を載せた時、その店の人気がほんのちょっと上がっただけだった。
そのとき自分は、どう思った?


記事が載って嬉しかった。少しでもラーメン店のためになったと、本気で嬉しかった。
そうだ、そうなんだ。
今僕は何がしたくてこの仕事をやっている?


腕が上がって、人気も出てきて、自分が書いた記事で一気に人気が出てくるようになって。
僕の一言で店を変えられる、栄えるか潰れるかを変えられる、と天狗になってたんじゃないのか?
そしてそれが自分の幸せだ、などと思ってたんじゃないのか?


違う、違うだろう僕。
ただ雑誌に載るだけでも、今なんかよりずっと幸せだったじゃないか……!
一体僕は……何を考えていたんだ……!!



113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:41:43.66 ID:X2ZHcwxq0
(*゚∀゚)「それに父さん、いつも言ってたぜ」

( ^ω^)「…………」



(*゚∀゚)「雑誌とかの取材が来て有名になるごとにさ。
     『有名になんかなったら、俺一人じゃお客さんを捌けなくなるじゃんか』……ってさ」



( ^ω^)「……!」


もう僕は、何も言えなかった。
言うことなんて、見つからなかった。


(*゚∀゚)「あっと、俺こっちだからさ。それじゃあ」

(  ω )「…………」

(*゚∀゚)「あのさ、また、来てくれよな?」

(  ω )「……り……で………」

(*゚∀゚)「?」

( ^ω^)「当たり前ですお!」

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:42:46.27 ID:X2ZHcwxq0





僕が顔を上げて叫ぶ。
つーさんは最後ににっかりと笑って、言う。






「ありがとう」







118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:43:16.83 ID:X2ZHcwxq0





その次の週。
「週間F・O・X」のライターの内藤ホライゾンが業界から離れるというニュースが雑誌面で飛び交った。
誰もがその辞職理由をしりたがったが、どの雑誌にもその理由は記載されていなかった。
ただ少なくとも。
内藤ホライゾンがすがすがしい顔をしていたということだけは、どの誌面にも記載されていた。








121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:43:51.03 ID:X2ZHcwxq0






第三話 それは愛されたラーメン屋







124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:44:36.31 ID:X2ZHcwxq0






それは小さなラーメン屋。



ラーメン職人同士が熾烈な争いを繰り広げるその区域、
人々が行き交う大通りで、
寂れた小さなラーメン屋が建っている。




誰が入るとも分からないそのラーメン屋は、
いつまでも潰れることなく――




そこでラーメンを作り続けているらしい。





128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:45:15.61 ID:X2ZHcwxq0






(*゚∀゚)つーはラーメンを作るようです

<fin>




134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:47:02.98 ID:X2ZHcwxq0
一時間という長きにもわたる時間の投下にお付き合いいただきまして
誠にありがとうございました
ここからは色々な質問とかに答えていきたいと思います


136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:47:25.52 ID:epkGULi90
最近のバカみたいに長ったらしいブーン小説よりはるかに面白かった>>1

>>126
雑誌面で飛び交ったってそうとう有名な人だったんだろうなwまぁこんなこというと無粋か

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:48:09.55 ID:33ROyttaO
何年生?

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:48:52.28 ID:SfV68+NV0
>>134
1時間は短い方だろwww

他に書いた作品はあるかい?
元になった短編があるらしいけど。

141 名前: ◆dcpSr6u5OE :2008/08/21(木) 15:49:03.88 ID:X2ZHcwxq0
っと忘れてた
トリ晒しです

>>136
テレビなんかでは報道されてはいないんですが、
かなり有名なライターだったのでグルメ雑誌とか週間〇代なんかには載ったようです
「ラーメン人気の火付け役」との別名もブーンは持ってるので

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:52:43.26 ID:epkGULi90
>>141
すげぇ著名人だなw俺もブーンも後が気になる

147 名前: ◆dcpSr6u5OE :2008/08/21(木) 15:52:52.72 ID:X2ZHcwxq0
>>137
何年生、って俺のことですかね?

>>140
あれ……そんなことかいてたか……忘れ癖が酷い……

他作品では

( ^ω^)ブーンは時空を越えるようです(mesimarjaさんにてまとめ)

('A`)ドクオと从 ゚∀从ハインと夏のようです(7xまとめさんにてまとめ)

( ^ω^)ブーンと 殺人者のようです。(別府ログさん、ヴァニラアイスさんにてまとめ)

です。

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:53:47.29 ID:UwAfd5w50
批評?とかしたら場違いかもしれないが、
もう少し最後に山がほしかったかも。前半が丁寧だっただけに惜しいぜ



151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 15:57:25.65 ID:33ROyttaO
>>147
そうだよ

153 名前: ◆dcpSr6u5OE :2008/08/21(木) 15:58:58.80 ID:X2ZHcwxq0
>>143
ここで言うのは流石に野暮ったい気もしますが……
某スレまだ落ちてないんで、某スレ>>435以降を確認していただいたほうが分かりやすいかと

>>144 >>146
ブーンのその後ですが、
今では初心に帰って雑誌に載せるということの幸せを実感するために
別のライター業界で仕事をしている――
らしいです

>>148
確かに山がなかったですね
そこらへんあとで書いていきたいんですが、
最初は二話完結にしようかとかもうちょっと伸ばそうとかしたんですが
プロット破綻しかねないのでこれでいきました

154 名前: ◆dcpSr6u5OE :2008/08/21(木) 16:00:31.51 ID:X2ZHcwxq0
>>151
中二です

161 名前: ◆dcpSr6u5OE :2008/08/21(木) 16:05:34.03 ID:X2ZHcwxq0
ええと、ここからはチラ裏というか解説というか蛇足というかオナニーというか
そんな部分が垣間見える内容になるので見たくない人はスルーしてください


現役厨暴露してほめられたのなんて初めての経験
物書きには……なれればなりたいです

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/21(木) 16:08:55.03 ID:/oMWfQRp0
面白かった
でも現役厨はVIPでは晒さない方がいいとオモ

163 名前: ◆dcpSr6u5OE :2008/08/21(木) 16:09:21.22 ID:X2ZHcwxq0
某スレにてブーン系キャラについての談義が行われていたことにこの話は端を発します
何時の間にかブーン系談義が麺類の話になり、「つーがラーメン屋やってる話見てみたいな」という話に
三分の二真面目、三分の一好奇心でこの話を書き始めました。


大体のプロットは最初から決まってたんですが山場があまりにもなかったため、
当初はしぃを双子の妹として登場させたり、
つーがラーメン屋をやめるという話をつっこんだり、
妹のしぃが自殺をしたり
なんてことを色々考えてたんですが、結局無理はしないほうがいいな、と今の形に落ち着きました


ちなみに泥棒に兄者を持ってきたのは遊び心

165 名前: ◆dcpSr6u5OE :2008/08/21(木) 16:12:45.09 ID:X2ZHcwxq0
>>162
了解です



あと、この話はブーン系にも当てはまるように書いています
いわば「黄昏のブーン小説のようです」のような感じなんですが、
ブーンをまとめサイトさん、つーたちラーメン職人を作者たちと考えるとしっくりくる……かも?
といってもまとめサイトさんが「有名にさせるため」なんて思ってるわけないんですが。


やっぱりラーメンでもブーン系でも、お客に楽しんでもらえるのが一番幸せなんだと思います

167 名前: ◆dcpSr6u5OE :2008/08/21(木) 16:17:34.65 ID:X2ZHcwxq0
あとちょっとした裏設定を書くと、
老人(荒巻)/ ,' 3 は「ラーメン・はにゃーん」の常連だったりします
ギコのラーメン屋の開店当時からずっと通っていた常連さん


もう一つ、一号店の話についてなんですが、
ギコが初めてラーメン屋を開店したのはあそこですが、
実際にギコが有名になり始めたのは二号店からで、
二号店は「ラーメン天国」とは別のところに立てられていました。

「ラーメン・はにゃーん」は「ラーメン天国」にもチェーン店を展開していたんですが、
ギコの失踪と同時にチェーン店もつぶれ、跡地には別のラーメン店が建ってます

171 名前: ◆dcpSr6u5OE :2008/08/21(木) 16:24:21.69 ID:X2ZHcwxq0
あとはブーンのメモ帳に書いてたラーメン店もほとんど内装と店長くらいは構想してるんですが……
蛇足ですね
プロットの設定は多ければ多いほど話の幅が広がる、と考えているので。


やっぱり本編やあとがきでも書いてますが、
小説かいてて思うのは「支援」とか「乙」とか「面白かった」って言われるとやっぱり作者として凄く幸せですね
四作しかまだかいてませんが、どの作品でもそれだけは変わらず思います
まとめられると至極の極みですね。作中では有名になるなんて……とか書いてますがやはりまとめられると嬉しいです

それでは、支援、乙、保守、まとめ、皆皆ありがとうございました!

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